• 検索結果がありません。

ゆりかごの 中 の l 'I.I!E_~Clþ~TIST 何 を 考 えて ~J~~ 山 山 油 仁 川 日 間 1ND パトリシア~K' 力 一 Jルレ Pal 川 1IωH: 川 IiaK.Ku 刷 川 " 札 hl 山 止 11 州 uげ 札 川.P 山 州 げ 刊 円 ハ 川 h 叶 斗 引

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ゆりかごの 中 の l 'I.I!E_~Clþ~TIST 何 を 考 えて ~J~~ 山 山 油 仁 川 日 間 1ND パトリシア~K' 力 一 Jルレ Pal 川 1IωH: 川 IiaK.Ku 刷 川 " 札 hl 山 止 11 州 uげ 札 川.P 山 州 げ 刊 円 ハ 川 h 叶 斗 引"

Copied!
315
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

O

歳児の脳力

l

ここまで伸びる

T

EARLY LEARNING

USABOUTTHE

加lI

ND

アリソン-コ‘フ。ニック

A

l

i

s

o

n

Go

p

此 ,

Ph

.

D

アンド

J

.

N

.

)

1

1

'

;

A

n

d

r

ewN

.

l

V

I

e

l

t

z

o

f

,f

Ph.D

パトリシア~K.カールPatri

c

ia

K

.Ku

h

1

Ph.D

峯浦厚子国 榊原洋一瞳餌

0

歳児の脳九はここまで伸びる

PHP

研究所

(2)

O

歳児の協力

l

ここまで伸びる

ゆりかごの中の l'I.I!E_~Clþ~TIST

科学者

l

f

Y

I

N

T

H

E

C

R

I

P

-何を考えて ~J~~山山油仁川日間1ND

いるのか

アリソン.コ、プ二ツク

A川州l仏is州川川{けI川'川川

アンド

I

'

j

.

N

.

J

i

f

y

h川i¥l町ν川l川l,d!J円t川 泊

パトリシア~K'力一Jルレ Pal川1IωH:I川iaK.Ku

刷u川"山州札州

hl札川

11止川げ川

u

げ山‘

.P

川ハ

P刊円川〉斗引川

h叶D

)

峯浦厚子閣

榊原洋一瞳寝耳東京大学小児科講師

P

H

P

研究所

(3)

本書を読むまえに いま本書の最終原稿に目を通し終え、ほっと一息つきながら、 を初めて手にとった時のすがすがしい感動を思い出しています。 私は、一流の学者が、最新の発見や理論について、平易な文章でありながら、決して手を抜 かずに解説を加えた本のジャンルである﹁ポピュラーサイエンス﹂に大きな社会的評価があた えられているアメリカやイギリスを常々うらやましく思っています。海外に出かける折には、 書庖のポピュラーサイエンスのコーナーで時間をつぶしては、本書のような本との出会いを待 っ て い ま し た 。 本書は、アリソン・ゴプニック、アンドル

1

・メルツオフ、パトリシア・カ

l

ルによる

4ZP

2

丘 三

E

F

め ( U E σ ( ゆりかごの中の科学者)一一の邦訳です。本書は一九九九年にアメリ カとイギリスで同時発売されました。ただし私がロンドンの本屋で手にとった本のタイトルは

4

Z

P

W

E

E

-D

F

め の ユ

σ =

ではなく戸。当

E

E

g

F

E

R

-となっていました。同じ本でも別の タイトルで出版されることがあるのだ、と奇妙に思ったことを思い出します。 近年の脳科学の発達で、これまでよく分からなかった乳児の行動や言語発達についての新発 見が相次いでいます。本書で紹介されているような赤ちゃんの能力、いや﹁脳力﹂についても、 さまざまな工夫を凝らしたビデオやコンピューターだけでなく、赤ちゃんの脳の中の動きを直 接リアルタイムで画像としてみることができる装置が開発され、赤ちゃん研究は急速に進化し ロンドンの本屋で本書の原書

(4)

ています。日本でもそうした動きを反映し、﹁日本赤ちゃん学会﹂という学会が創設され、乳 児発達の専門家である発達心理学者や小児科医、あるいは霊長類学者、ロボット工学者などが、 精力的に研究を続けています。 私は子どもの神経疾患を専門とする医師として、赤ちゃんの発達を研究対象とするとともに、 毎日の臨床の場で子どもの発達とその異常を見てきました。その過程で、本書の中で著者らが 語っているように、私たち大人が赤ちゃんの能力を実際よりずっと低くみつもってきたことに 少しずつ気づいていました。 そうした赤ちゃんの﹁脳力﹂を衝撃的に示した実験が、本書の著者の一人であるメルツオフ 先生の、新生児模倣です。本書の中に詳しく書かれていますが、実際の研究報告は権威ある科 学専門雑誌に写真入りで発表されセンセーションを起こしました。世の中のことはまったく分 かっていないと思われていた生まれたばかりの赤ちゃんが、目の前にある大人の表情を真似す るのです。私たち大人が他人の表情の真似をするのは簡単なことですが、そのためには他人と 自分の顔は同じ構造をしていることや、自分の顔をどのようにすれば動かすことができるかと いうこと(例えば口はどうやればとんがらすことができるか)を知っていなくてはなりません。 こうした知識は経験の中で(例えば自分の顔を鏡でみる経験を重ねて)身につけるものだと、 ずっと考えられてきました。しかしメルツオフ先生は、そうした経験がない生まれたばかりの 赤ちゃんでも、目の前にある顔の表情を(反応はゆっくりしていますが)真似ることができる ことを示したのです。 著者の三人は、この三十年間赤ちゃんについてのそうした数々の発見を続けてきた発達心理 2

(5)

学者です。その三人がそれぞれの得意とする分野を受け持ち、一つも図を使わずに、最近の赤 ちゃんについての発見を分かりゃすく、ユーモアたっぷりの筆致で、それでいて決して内容を 落とさずに解説したのが本書です。 本書の原書には巻末に数十ページに及ぶ参考文献リストがついています。一般向けに書かれ た本ではあっても、内容はきちんと検証された科学的事実に基づいていることを示したもので あり、ポピュラーサイエンスの伝統が息づいていますが、本書では割愛しました。興味のある 方は原書をごらんになってください。 また、赤ちゃんの驚くべき﹁脳力﹂について少しでも早く知りたいと思われるなら、第一章 から読みすすめるのもよいでしょう。 本 書 を 読 ま れ た 皆 さ ん が 、 近 年 の 赤 ち ゃ ん 研 究 で 明 ら か に な っ た 科 学 者 並 み の ゼ ロ 歳 児 の ﹁脳力﹂についての理解を深めていただくことができれば幸いです。 二

OO

コ 一 年 七 月 監修者 榊原洋 3

(6)

謝 辞 4 一見、何のつながりもないように見える科学者とゆりかご、そしてその中に眠っている赤ち ゃんとの聞に密接な関係があることを伝えるために、本書は執筆されました。 過去三十年間、私たち科学者は、ゆりかごや子ども部屋、保育所や幼稚園を見てきました。 乳幼児の思考能力や学習能力については、これまで何百もの精織な研究報告がなされています。 その結果、赤ちゃんや子どもについての考え方、人の心や脳の性質についての考え方が一変し ました。このような研究は古典的な哲学の問題を解く一助ともなっています。ゆりかごや子ど も部屋を見ていると、ペトリ皿や望遠鏡からわかることと同じくらい、さまざまなことがわか ってくるのです。考えようによってはそれ以上ともいえます。私たちに人間であることの意味 を教えてくれるからです。 本書は、子どもの頭脳を研究する新しい科学の物語です。頭脳と脳に関心のあるすべての人 にとって本書は重要な意味をもつことでしょう。 頭脳と脳は、認知科学と呼ばれる新しい科学分野の主要な部分です。認知科学は、心理学、 哲学、言語学、神経科学、コンピューターサイエンスなど、幅広い領域を一つに結びつけまし た。新しい科学的な洞察は、時として思いもよらない片隅にころがっているものですが、認知 科学においても、最も重要な発想への手がかりはベビ l ベッドや子ども部屋から生まれました。 子どもたちを理解することが、私たち自身を新たな手法で理解することにつながったのです。

(7)

科学者と子どもの聞には、ほかにも深いつながりがあります。 最近の研究から、乳幼児は周囲の世界に対して想像以上に多くの知識を持ち、学習している ことがわかりました。赤ちゃんは思考し、予測し、あるいは説明を求め、結論を引き出す。時 に実験することさえあるのです。 子どもと科学者は、この世で最強の学習者という意味で似たもの同士ですが、そうだとすれ ば、普通の大人も思っている以上に強力な学習能力を持っているはずです。大人というのは、 結局は、昔は子どもだったのですし、潜在的な科学者でもあるからです。また、科学者と子ど もは、別の意味でもつながりがあることを、紹介したいと思います。およそ人の親であれば、 子どもというものに対して、深い、時には情熱的ともいえるほどの関心を持っているものです。 少なくとも、わが子に対しては、誰しもそうした感情を持っているでしょう。しかし、科学に ついての関心と、子どもについての関心とでは、扱われ方がちがうと感じている親は多いので は な い で し ょ 、 っ か 。 科学関係の本の読者は、関心のある分野の知識を深めようとしている知的レベルの高い聡明 な人間であると想定されています。これに対し、乳幼児に関する本はほとんどすべてがアドバ イス中心のハウツ l 物です。これでは進化について勉強しようと思っても、進化生物学者ステ ィーブン・ジエイ・グ l ルドの本ではなく、犬の繁殖マニュアル本しか手に入らないのと同じ で す 。 あるいは、宇宙に興味があっても﹁素人は、﹁星座の見つけ方﹂でも読んでいればいい。ど うせホ l キング博士の深遠な洞察など理解できないのだから﹂と言われているようなものです。

5

1

謝 辞 │

(8)

マニュアル本は確かに非常に役に立つこともあります。しかし、子どもという、気にかけずに はいられない対象についてよく知りたいと思っても、そういう本しか手に入らない状況は問題 で し ょ 、 っ 。 本書は、その欠けている部分を補おうとするものです。赤ちゃんの頭脳や心に関する科学は、 乳幼児と毎日をすごしている人にとって興味の尽きない分野でしょう。 本書から浮かぶ乳幼児像は、馴じみ深い姿もあれば、まるで別人のような顔を見せることも あります。読者の皆さんはやはりそうかと意を強くすることもあれば、新しい発見に衝撃を受 けることもあるでしょう。 科学者と子どもとの深いつながりには、ほかにも理由があります。この世界の未来は、文字 どおり子どもたちの肩にかかっています。ですから、すべての大人は子どもを理解することに 関心を持つべきだと思うのです。このような認識は、近年、広まりつつありますが、子どもの ためになる政策を支持するには、正しい科学的知識の裏づけが必要です。しかし、テレビのニ ュースや新聞記事から得られる情報は、おのずと断片的なものになりがちです。子どもたちの ために正しい政治的選択をしようと思えば市民や有権者一人ひとりが、科学の言葉に耳を傾け る必要がありますし、逆に科学的根拠のない情報はどれか、しっかり見極めていかねばなりま せ ん 。 本書を執筆するにあたり、自分の研究について語ろうとする科学者にはっきものの悩みを筆 者 ら も 経 験 し ま し た 。 科学は明快であり、理路整然としています。 6 しかし同時に複雑に入り組んだ一面もあり、さ

(9)

まざまな意見や考え方の対立も存在します。本書では筆者らが最も興味を引かれた実験や結論、 発想、推論を紹介するよう努めましたが、この複雑で多岐にわたる領域のすべてをここで紹介 するのはもとより不可能です。ですから内容については、筆者らの独自の見解なのか、その分 野での一般的な意見なのかを区別しましたし、まだ答えの出ていない問題については、その旨 明記するよう努めました。 あらゆる科学がそうであるように、現代の発達科学は、文字どおり何千人もの科学者の努力 の結晶です。しかし関係する科学者全員に本書の中で言及するのは不可能ですし、できたとし ても、読者はまるで知らない人の名前ばかり飛び交っているパーティーを訪れたような気分に なることでしょう。ささやかな解決策として、巻末に詳細な注釈と引用文献リストを添付しま した。それをご覧になれば、本書の主張がどの文献に基づいているのか、あるいは重要な概念 を詳しく述べている主要な文献はどれなのかがわかります。 本書が伝えたい真のメッセージは、子どもたちがよりよく生きるためには、その子を大切に 思う周囲の人たちの助けがあればこそだということです。それは筆者らにも当てはまります。 赤ちゃんにも頭脳や心があり、研究対象として重要であり価値があることを教えてくれた先 輩科学者たち。過去三十年にわたる彼らの業績のうえに、本書は成り立っています。そして、 快く、熱心に研究に協力してくださった何千人ものお父さん、お母さんと子どもたち。彼ら無 くして、本書はありえませんでした。 筆 者 ら の 着 想 と 研 究 は 、 国 立 科 学 財 団 と 国 立 衛 生 研 究 所 の 助 成 金 に 支 え ら れ て い ま す

(

z

m

H

d

出 ω 白 川 戸 出 口 N N E h p 出 口 Z N ∞ 。 ・ 出 口 忠

g

F

ロ 打 。 。 印 N O ) 。またカリフォルニア大学バークレー校

7

1

謝 辞 │

(10)

心理学科、人開発達研究所、認知学研究所、ワシントン大学心理学科、言語聴覚科学科、人開 発達障害センターから多大なご協力をいただきました。両大学の同僚、学生たちに、感謝申し あ げ ま す 。 草稿に目を通し、意見を述べてくれたジョン・キヤンベル氏、ダニl・ポピ、不ツリ氏に感謝 申しあげます。筆者らは遺伝学的にも恵まれていました。優しい兄でありベテラン作家である アダム・ゴプニツクからは特に有益な意見や助言を受け、ジュリアン・メルツオフからは父親、 科学者、好意的読者としての叡智を分け与えられました。本書の実現に尽力してくれたエージ ェントのカチンカ・マッソン氏、変わらぬ熱意で支えてくれた編集者の鑑、モロl社のトニ・ シアラ氏に御礼申しあげます。仕事上での長年の協力者、ケイス・ムlア氏、調査と最終稿の 仕上げを手伝ってくれたクレイグ・ハリス氏、カル・フイツシャl氏、エリカ・スティーブン ス氏にも御礼申しあげます。 筆者らはいつも最後に家族への謝辞を述べることにしていますが、本書の謝辞は特別な意味 を持っています。自分たちの子ども時代をふり返ってみると、惜しみなく愛を注ぎ、教え導い てくれた両親や兄弟姉妹に固まれ、明るく楽しい思い出ばかりであることに改めて気づかされ 幸せを感じています。アlウィン&ミルナ・ゴプニツク夫妻とアダム、モルガン、ヒラリl、 ブレイク、メリッサ。ジユリアン&ジユディス・メルツオフ夫妻とナンシl。ジヨl&スl ザ ン・クlル夫妻とデルフィlヌ、ダナ、ベノ、シャlリl。心からの感謝を捧げます。 科学と子どもたちを結びつけるのは本書のテlマであるだけではなく、筆者らの人生におい て最も重要な、そして最もやりがいの感じられる仕事でもあります。共著者のアンデイ(アン 8

(11)

ド ル l ・

N

・メルツオフ)とパット(パトリシア

-K

・ カ 1 ル)は夫婦ですので、お互い相手 に対して感謝していることでしょうが、私、アリソンは夫、ジョージ・ルインスキ

l

に、本書 の執筆中の協力に対して、この場でありがとうと言わせて頂きます。本書は、アンディとパッ トの娘であるキャサリンと、私の子どもたちであるアレクセイ、ニコラス、アンドレスがいな ければ、誕生することはありませんでした。本書を彼らに、そしてすべての子どもたちに捧げ ま す 。 *翻訳版では、引用文献は割愛させていただきました。

9

1

謝 辞 │

(12)

目 次

OO

歳 児 の ﹁ 脳 力 ﹂ は こ こ ま で 伸 び る

(13)

序章

本書を読むまえに 謝 苦 手

昔からの謎と新しい科学

赤ちゃん、この不思議な生き物:必赤ちゃんの深い謎勾 しろさ勾知識について -e p ﹁ 他 者 の 心 ﹂ と ﹁ 外 の 世 界 ﹂ て ・ P

ゼロ歳児についての考察

赤ちゃんはコンピューターお赤ちゃんの脳はやわらか eku 進化が形づくった脳 必ヒトの長い子ども時代には意味がある刃ソクラテス、もう一つの手法・持 偉大なる知識の鎖:伊発達研究がぬりかえた子ども観 ρ ピ ア ジ ェ と ヴ ィ ゴ ツ ツ キ l 判ピアジェの子ども観科、ヴィゴツツキ l の出現必ピアジェとヴイ ゴ ツ ツ キ l に共通することタ 発達心理学のおも 到﹁言葉﹂につい

(14)

第 章

新しい見方

コ ン ピ ュ ー タ ー 式 赤 ち ゃ ん タ

第一章を読むまえに

﹁他者の心﹂の謎日 コ ン ピ ュ ー タ ー の 貢 献

生まれたばかりの赤ちゃんが知っていること

出産という体験白母と子の関係を科学の目でみると白赤ちゃんの退屈 を利用する匂人間の体の動きも理解できる。匂他人の顔真似をする赤ち ゃん匂新生児も会話する・の

永遠の三角関係

人を介して﹁もの﹂の世界を知る句指さしの意味 解する戸人を介して﹁外の世界﹂を知る戸

平和と紛争の研究

自分と他人とは違うことを理解する月 やる心の発見月

視点を変える

他人の視点の理解& 53 70 人の表情の意味を理 お そ る べ き 二 歳 児 会話の屋根裏部屋匂 77 他人を思い

(15)

第一一章

赤ちゃんは何を信じ、考えているのか匂乳幼児の﹁信じこんでいること﹂を探 る朗自分の﹁考え﹂について、筋道を説明できない:伊

三歳児オペラ││愛と裏切り

インプリンティングと親子の紳伊三歳児が嘘をつくということ凶無知の知 ││教育と記憶 W 三歳以前の記憶はどうしてないのか伊心についての三 つ の 働 き ・ : 卯

心がみえない

自 閉 症 に つ い て : 問 赤 ち ゃ ん は 生 ま れ つ い て の ﹁ 心 理 学 者 ﹂ jq

弟が見ているとき

兄、姉は赤ちゃんの指南役幼 力きょうだい々のちがいを教える教師切

2 当たりまえのように思える能力:日手品はなぜおもしろいか?・吋 報の変換装置川 川 凶 キ 品 主 同 ロ H y b i T E

(16)

第ゴ一章

縞模様の誘惑凶﹁もの﹂の動きの重要性:川﹁もの﹂の動きを予測できる 赤ちゃん町三次元のメガネを通して m 距離感を理解する赤ちゃん山 二 種 類 の 感 覚 を む す び つ け る 能 力 : 問

な ぜ 、 存 在 し て い る と わ か る の か ・ 同 ﹁ も の ﹂ に つ い て の 永 続 性 の 理 解 凶 事を起こす均赤ちゃんは因果律を理解している伊﹁もの﹂の因果関係と 心の因果関係明複雑な因果関係の理解引﹁もの﹂の種類ゆ ﹁ も の ﹂ の 種 類 を 赤 ち ゃ ん は ど う や っ て 分 け る の か ゆ 種 類 ( カ -穴 コ リ l ) 別性質 の理解叩

自閉症と正反対!│ウィリアムズ症候群附何でも説明したい哨子ども の探索行動:ゆ因果関係の追究明教師としての大人ゆ韓国の親とア メ リ カ の 親 の ち が い ・ 山 γ

子どもが言葉について学ぶこと

言 言

i

(

/

)

1

す 層

る も の コ ン ピ ュ ー タ ー に も で き な い 難 問 159 音 の 暗 号 ポ

(17)

三歳児はコンピューター以上山意味を与える血多くの哲学者を悩ませた 問題向学校で習わない文法:均進化がつくり出したヒトに特徴的なシス テ ム ・ 胤 一 番 の 難 問 、 ﹁ 言 葉 ﹂ の 問 題 ・ : 均

最初のおしゃべり:向日本人には難しい﹁

r

﹂ と ﹁ l ﹂の区別:明聞こえ方のち がいは脳のちがい中日本人の赤ちゃんは﹁

r

﹂ と ﹁ l ﹂ を 聞 き 分 け る

- m

音 を 扱う││特定言語のリスナ l w 母国語を身につける過程切音の学習か ら 語 句 の 学 習 へ

i

w

﹁ パ l パ 1 パ l ﹂ が 始 ま る W

最初の言葉

名前の由来町オックスフォードで赤ちゃん研究・出赤ちゃんの最初 の言葉のお国柄・均赤ちゃんの言葉を覚えるテクニック均

言葉をつなげる

文法を覚える湖文法を身につける道筋:均言葉が見えない││失読症と 不全失語症ゆ音の学習・桝発音を真似るゆ意味を持たせる・切 ピンとくる赤ちゃん・明母親語(マザリ l ズ ) : m 赤 ち ゃ ん は マ ザ リ l ズが好き m 母親語は言葉のお手本:叫

(18)

第 四 章 ~

科学者が子どもの心について学んだこと

科学的な積み重ね必脳はコンピューター・勾コンピューターの能力はプログ 2 ラムで決まる日発達心理学者と木の机のちがいは?的

生物学的コンピューターリ赤ちゃんのプログラムを解明するワ 2

赤ちゃんは泣くニンジン?2赤ちゃんの内的記号(表象 )-n 2

赤ちゃんの学習量均進化するプログラム必発達科学の考え方

ll

ユ リ シ l ズの船に乗って-:勾赤ちゃんのスタート地点戸コンピューターにはない赤ち 2 ゃんの能力 ip 大 き な 赤 ち ゃ ん お 子 ど も と し て の 科 学 者 │ │ 理 論 説 話 q d 赤ちゃんの遊びは科学者の実験

i

M

赤ちゃんの能力は進化の賜物語 d 四 つ の q , e ﹁

f

﹂ 明 科 学 の 誕 生 却 科 学 の 分 業 化 却 性 的 快 感 と し て の 説 明 硝 知る喜びは性的快感に似るゆ

大 人 を 導 く 子 ど も 抑 天 性 と し て の 教 育 刷 真 似 の 好 き な 赤 ち ゃ ん 叩

(19)

第 五 章 真似を介して学習する叩母親語を使うのは母親だけではない伊 クリンゴン星人とバルカン星人相航海の仲間ポ

科学者が子どもの脳について学んだこと

頭脳の発達

学習の﹁臨界期﹂・動大人の脳:拍 脳画像装置の開発向

脳はどのようにしてできたか

同じ脳はない・均まず動物の脳から研究が始まった

脳の配線

私に話しかけて

j

m

シナプス形成

j

m

損して得とれ明言葉の発達とシナプスの強化が

臨界期はあるか

経験のタイミングポ小鳥のさえずりの臨界期初 パイリンガルの臨界期地

社会脳

社 会 的 刺 激 均 死 ん だ 脳 か ら 生 き た 脳 の 研 究 へ : 均 269 言語学習の臨界期政 船 の 中 の 脳 均

(20)

終章

子どもたちの未来

ホワイトハウスからの電話 -P 根拠のない子育てアドバイス:何 2 ゃんの学習を助ける自然の能力・域新しい環境に対応する能力明

赤ちゃんを研究して、大人を知る・抑赤ちゃん研究の本当の目的:拘 んの目を通して世界を見る i 叫ん子育てはロマン派の仕事州 ﹁ あ と が き ﹂ に か え て 訳注白川 赤 ち 赤 ち ゃ

(21)

4

.

' " ~ 九 V U F b h h 川 十 ~ 、 -, 、 h;. 、ーご r~.' !'I ~.!1 ;r号4 4 可 ;,.~~ -J' -"~~\~♂ ;."t ';j-:. t時 6、 一 、 -守『 白 、 ''; 、 が

.

-~ " ,

-.

"o 》、! , i t

、;:、

4 1 凶 ご A ' を 白 川 苦 - u h E d u - - J 刻 、 d 申 A f -T ‘一 F 〆

.

A

‘ ・ 装 丁

1量 . ...:., A亀海昌次 ¥:!f 1:' ミピ二三',,;;~~~~,;1 : ;,. .'竺.,'材~~c ~ 巴・" J 斗~'J. '.l~t.~C~.:~_

(22)

│ │ ﹁ ゆ り か ご の 中 の 科 学 者 ﹂ は 何 を 考 え て い る の か

(23)

序章

(24)

幼子よ、そのうわべからは窺い知れぬ 魂の無限の広がり。 汝、最良の哲人にして、与えられし賜物をいまだ失わず、 盲者の中にありて、一人目を見聞き、 何も聞かず、何も語らず、永遠の深みを読み解くなり。 永遠の心に、とこしえに突き動かされながら。 素晴らしき預言者よ 1 祝福された占者よ! 汝の上にかの真実は宿れり。 それこそ、我ら命ある限り求めて止まぬもの::: 汝、幼子なれど、その高みにありて 天上に由来する自由の力のうちに輝けり・ . . . . . ワ l ズワ lス﹁幼き日々の回想から受ける霊魂不滅の啓示の賦﹂より

(25)

昔からの謎と新しい科学

26

赤ちゃん、この不思議な生き物

二階にあがって、そっとドアをあけ、ゆりかごの中の赤ちゃんをのぞいてみましょう。何が 心に浮かびますか。 あどけない、無邪気な笑顔。ひとりでは何もできない、頼りなげな姿。まだなにも書きこま れていない、まっ白なベ l ジ。たいていの人はそんなことを思うでしょう。でも実際は、ベッ ドの中で眠っているのは超一流の知性の持ち主、この世で最強の学習マシンなのです。小さな 指や口は、周囲の未知の世界を調べる装置です。精密さでは、火星探査機にもひけをとりませ ん。クシャツとした耳は、不明瞭な音の流れをとらえ、意味のある言葉に完壁におきかえます。 心の中まで見通すようなつぶらな瞳は、実際に人の心を解読しようとしているのです。柔らか な髪に包まれた頭の中の脳は、一日に何百万もの神経同士が新たな連絡網をつくっています。 ここコ一十年ほどの研究で、こんなことがわかってきました。 本書は、このような赤ちゃんの研究についての物語です。私たちは子どものことはなんでも 知っていると思いがちですが、実は、まだわかっていないことがたくさんあります。子どもは 実際のところ、どんな生き物なのでしょうか。 もちろん、これまでも人間は、我が子について、あれこれと頭を悩ませてきましたが、その

(26)

悩みの多くは、どうしたらもっとご飯を食べてくれるかとか、どうしたら早く泣き止んでくれ るかといった、日常的なことが中心でした。このような、今すぐ答えが欲しい問題のほかに、 立派な人間に育てるにはどうすればいいかというような、長期にわたって考えていかなければ ならない問題もあります。 これらは、親にとってはもちろん重要な問題ですし、このようなことをきちんと解決してい くかどうかで、将来的には社会や国のあり方にも影響が出てくるかもしれません。しかし、本 書では、そういう問題はあまりとり上げていません。どうしたら頭のいい素直な子どもに育っ かとか、どうしたら寝つきがよくなるかとか、有名大学に合格できるかなどという質問に対す る答

A

は本書叫は書川

τ

おりません。近所の本屋は位行けば、料理やマイホームの本と並んで、 ﹃よく寝る子の育て方﹄とか、﹃頭をよくする育児法﹂といった本がたくさん売られています (その本のとおりにしたからといって、本当に寝つきがよくなったり、有名大学に合格できる かどうかはわかりませんが)。 本書のテ l マはもっと複雑でもあり、単純でもあります。 私たちが関心を持っていることは、どうすれば子どもたちを親の望む方向につくり変えるこ とができるのか、ではなくて、どうすれば子どもたちのことをもっとよく理解できるのか、と いうことなのです。

赤ちゃんの深い謎

子どもについての日常的な疑問と、それに対する答えは数限りなくありますが、子どもたち 27 I序章│人はいつから、「他者の心Ji外の世界Ji言葉」を知るのか

(27)

を見ていると、もっと深い疑問がわいてくるのを感じることがあります。 私たちが、子どもの発達と心理を研究しようと思ったのも、そういう疑問に対する答えを見 つけたかったからです。研究したくても火星人などここには存在しません。しかし赤ちゃんな らそこにいるのです。そして、この頭でっかちの宇宙人そっくりの生き物(私たちを奴隷にし て、こき使おうとしているのではないかと感じさせる時があることも、宇宙人にそっくりです) は、真剣に研究するに値する本当に素晴らしい存在です。 赤ちゃんは本当に魅力的で、謎に満ちていて奇妙な生き物です。 例えば、生後三カ月の赤ちゃんが、縞模様の手さげ袋に日をとめたとします。お父さんがそ の手さげを持って部屋の中を歩きまわると、赤ちゃんはより目になるくらい集中して、ずっと 目で追っているのです。 あるいは一歳児を動物園につれて行くと、得意満面で象のことを指して、﹁ワンワン﹂だと 言うのです。 さらに、二歳児ときたら、もう手におえません。絶対さわってはダメと言われているコンピ ューターに手を伸ばして、お母さんがようやくまとめたデ l タをだいなしにしてしまいます。 それもお母さんの顔をじっと見ながら、わざとゆっくりとキ l を押すのです。おむつを替えた り鼻をかんでやったりしながら、知らず知らずのうちにつぶやいていることがあります。 ﹁この小さな頭の中は、いったいどうなっているのかしら﹂、﹁どこから、こんな考えをひっぱ ってきたのかしら﹂って。 28

(28)

発達心理学のおもしろさ

私たち発達心理の専門家は、このような疑問を組織的に考えていくという賛沢を味わってい ます。いくつかの聞いに対しては、答えも見つかってきています。﹁この小さな頭﹂の中がど うなっているのか、﹁どこから、こんな考えをひっぱってきた﹂のかも、少しずつわかってき 土 品 1 ν h

赤ちゃんのことがいろいろとわかってくるだけでも胸が躍りますが、赤ちゃんの研究をして いると、赤ちゃんだけではなく人間という生き物全般について、たくさんのことがわかってく る の で す 。 私たち人間は、基本的には水と蛋白質のかたまりにすぎません。しかし宇宙の謎や生命の神 秘にまで興味を示し、自分自身のことをもっと知ろうとしたりもします。ほかの動物はそんな ことはしませんし、最新のコンピューターでも自分のことを理解するという真似はできません。 私たちは皆、最初はゆりかごに横たわっている、ちっぽけな存在でしかありませんでした。 外の世界から届くのは限られた情報だけです。わずかな光線が網膜にぶつかり、かすかな音波 が鼓膜を振動させるだけでした。それなのに最終的にはこの世のことがすっかり理解できるよ うになるのです。私たちはどうしてこんなことができるのでしょう。どうやって、このレベル に ま で た ど り つ い た の で し ょ う 。 , 赤ちゃんについて最新の科学的手法で研究していると、そのようなこともわかってきます。 外の世界や自分自身について学習する能力は乳幼児期にすでに芽生えていたのです。私たちは 生まれた時から、宇宙の神秘や心の謎を解き明かすことのできる能力を持っており、目標を達 29 I序章│人はいつから、「他者の心JI外の世界JI言葉」を知るのか

(29)

成するまで実験や探索を続けずにはいられない強い欲求を持っていたのです。そういう意味で、 科学というのは、無味乾燥な一部の選ばれた者たちが取り組む特別な分野ではなく、私たちの 誰もが赤ちゃんの時にはやっていたことなのです。 人間に興味を持つのが人間の性質であるといわれますが、私たち科学者は赤ちゃんに興味を 持ち、手で触れたり、観察したり、声を聞いたりして、赤ちゃんの心の働きや言葉の発達、外 の世界との関係などを調べようとしています。しかし、赤ちゃんも私たちに興味があるのです。 ベ ビ l ベッドの中で、私たちの言葉や心を理解しようとして耳を澄ませ、目を凝らしているの で す 。 赤ちゃんと目が合うと自然と笑みがこぼれるのは、赤ちゃんも科学者も同じようなことをし ているのだ、という思いがあるからでしょうか。 30

知識について

私たち人間の感覚は限られているのに、なぜこれほど多くの知識を持っているのでしょう。 この﹁知識﹂についての問題は哲学の領域でも最も古く、最も深遠な謎の一つで、認識論と呼 ばれる分野がこの謎にもっぱら取り組んでいます。﹁知識の問題﹂の中でも、三つの分野が、 大人と子どもの双方にとって特に重要であり、しかも多くの謎に満ちています。それは﹁他者 の心﹂、﹁外の世界﹂そして﹁言葉﹂、これら三つにまつわる問題です。そして新しい学問であ る発達心理学が、これらの問題を解く力となっています。

(30)

ごく普通の出来事を考えてみましょう。日曜日の夕食の場面です。今日のメニューは健康に いい、ジャガイモとネギのス

1

プ(これを食べなければデザートはもらえません)。皆、笑つ ‘ ﹂ T F み ・ 司 , たり、冗談を言ったり、口げんかをしながら食事は進み、塩や胡根、バターやパンを取りまわ し、食事が終わると席を立ちます。 お兄さんはいつも弟をひどくからかうので、傷ついた弟は﹁謝ってよ﹂とくってかかります。 のどかで安らぎに満ちた、ごく平凡な家庭の情景です。しかし、実は私たちはこのようなこ とを直接体験しているのではないのです。 外の世界から実際に私たちの脳に届いているのは、活発に変化する色と形、光と音の感覚刺 激だけなのです。 例えば、食卓を囲んでいる人たちです。お父さんやお母さん、お兄さんや弟のように見えて いますが、実際に私たちに見えているのは、いすの背にグニャリともたれかかっている、布に 包まれた何個かの皮袋にすぎないのです。袋の上のほうにはよく動く小さな黒い穴が二つあい ていて、その下にもう一つ穴があり、不規則に音を発しています。皮袋は予測できない動きを し、時折、互いに触れ合ったりします。三つの小さな穴は始終形を変え、時にはしょっぱい液 体(涙)が上の二つの穴からあふれ出ます。

私たちはどのようにして、これらが皮袋ではなく、父親や母親、兄弟の姿、つまり人間の姿 に見えるのでしょうか。なぜ自分と同じように思考や感情や信念や欲望を持ち、時にプライド 31 I序章│人はいつから、「他者の心Ji外の世界Ji言葉」を知るのか

(31)

を傷つけられて謝罪を要求するような人間の姿に見えるのでしょう。 部屋の中にある物体も実際に見えてはいないのです。テーブルだと思っている茶色の物体は、 私たちが動きまわるにつれて絶えず形が変わります。見た目は三次元の固体であるスプーンや 胡搬入れも網膜上では平面像にすぎません。手にしたスプーンの感触も、見た目とはまるでち がいます。テーブルの表面は一様ではなく、皿や茶碗で隠れているところは、白い穴になって います。スープは皿からスプーン、それから口へと運ばれ、まったく見えなくなってのどに温 かさを感じるだけになるまで激しく形を変えます。私たちは、私たちの体とは別個の性質をも っ物体の世界、つまりテーブルやスプーンやス l プについてなんでも知っているように思って います。しかし、私たちが直接経験していることは実際は、絶え間なく変化し続ける混沌とし た感覚刺激の連続でしかないのです。 これが﹁外の世界﹂についての謎です。 32

﹁言葉﹂について

皮袋の穴(つまり口のことです)から出てくる音声の問題となると、さらにやっかいです。 海外へ行き、街角のカフェに座ってみます。家族との夕食の席で、聞くともなしに聞いていた 意見や冗談や謝罪の言葉が、実は、一つひとつが少しずつちがう、微妙に調整された音声がも のすごいスピードで流れているものだということが、突然はっきりと認識されることでしょう。 一つひとつの語は、つぎの語にとって代わられるまでの、わずか千分の一秒間、空気を乱すさ さやきでしかないのです。最新のコンピューターですら、特定の人聞が落ち着いた声で話した

(32)

発話をなんとか解読できるレベルなのに、私たち人間にとっては言葉は透明であるに等しく、 その向こうにある話し手の思考をたやすく理解できるのです。顔を真っ赤にして怒っている男 の子が、スープをほおばったまま話す言葉を聞くだけで、話し手の考えていることが理解でき るのです。これが﹁言葉﹂の謎です。 感受性の強い三歳の男の子でも食事中の様子を見ると、皮袋ではなくお兄さんがからかって いるのだという経験をしていますし、ごちゃごちゃした色や形の代わりに、テーブルやスプー ンやス

l

プが見えているはずですし、実際にはつかの間の空気の振動でしかない、元談や謝罪 の言葉の意味を即座に理解できるのです。どうしてこんなことが可能なのでしょうか。 33

I

序章│人はいつから、「他者の心JI外の世界JI言葉」を知るのか

ゼロ歳児についての考察

赤ちゃんはコンピューター

こうした昔からの謎に対する現代的な答えは、赤ちゃんは、つまり人聞は非常に特殊なコン ピューターのようなものであるということです。シリコンチップの代わりに神経細胞でできて いて、コンピューター技術者ではなく、進化によって形づくられているのです。外界からの断 続的に入ってくる混沌とした感覚を入力して、赤ちゃんたち(つまり、私たち)は、それをな んらかの方法で冗談や謝罪の言葉やテーブルやスプーンに変換しているのです。私たち発達心 理学者の仕事は、赤ちゃんの頭脳の中でどんなプログラムが働いているのか発見することであ

(33)

り、できれば、そのプログラムがどうやって赤ちゃんの頭脳に組みこまれ、どのように進化し てきたのかを解明することです。 もしそれができれば、昔からたくさんの人が頭を悩ませてきた知識についての哲学的問題を、 科学的手法で解決することになります。 赤ちゃんの頭脳が、進化によってプログラミングされている神経細胞でできたコンピュータ ーだと考えると、赤ちゃんに対する見方が変わってきますが、逆に、コンピューターやニュー ロンや生物の進化についての考え方も変わってきます。 赤ちゃんコンピューターは、シリコンバレーの最高傑作よりもはるかに高性能です。 例えば、ピル・ゲイツの小さな娘さんでも、お父さんが何千億円かけても解決できないでい る問題をいとも簡単にクリアしているのです。 発達に関する最近の研究から、ゼロ歳児は非常に特殊な性質を持っていることがわかってき ま し た 。 まず、赤ちゃんのコンピューター-プログラムには、外の世界についてのたくさんの知識が、 すでに組みこまれているにちがいないということです。後で紹介する実験から、新生児でも人 間や﹁もの﹂や言葉について、すでにたくさんのことを知っているということがわかったので す。しかし、さらに重要なのは、乳幼児は強力な学習の仕組みを持っていて、臨機応変に知識 を修正、再編、再構築しているという点です。これは現存するコンピューターの最大の弱点で す。コンピューターは厳密に定義された問題を解くのには素晴らしい能力を発揮しますが、あ まり学習熱心ではありませんし、学習方法を臨機応変に変えていくことに関してはまったくお 34

(34)

手上げ状態です。そして一番重要な点は、赤ちゃんには宇宙最強の技術支援システム、つまり お母さんがついているということです。大人自身が、赤ちゃんの学習を支援するように設計さ れているのです。大人の支援は、赤ちゃんの発達に強力な役割を果たしているので、赤ちゃん というシステムの一部であると考えてもおかしくありません。赤ちゃんコンピューターのシス テムは、実際はネットワークになっていて、光ファイバーの代わりに、言葉と愛情で結ぼれて い る の で す 。 351序章│人はいつから、「他者の心Jr外の世界Ji言葉」を知るのか

赤ちゃんの脳はやわらか

赤ちゃんについて研究していると、脳についても新しい見方が生じてきます。私たちは人間 の頭脳の働きを二つに分けて考えがちです。すなわち進化によって形成され、神経学的に決定 される﹁自然な﹂部分と、学習によって形成され、社会的に決定される﹁文化的な﹂部分です。 赤ちゃんについて研究していると、このように二つに分けて考えることが、いかに誤ったもの であるかがわかります。生まれつき持っているものと、後から身につけていったものの聞には 相互作用がありますし、少しずつでもその両方が備わっているはずだという意味で、明らかに これは間違いです。さらに、呼吸をつかさどる自律的なメカニズムから、結婚式でのこまごま したエチケットや、﹁自分自身の存在の意味﹂についての悩みのような高度に文化的な事象ま で、私たちの精神に関することはすべて私たちの脳で起きていることの結果なのです。そうい う意味においても﹁自然な﹂部分と﹁文化的な﹂部分の二つに分けて考えることは誤りなので す。それはつまり、脳が非常に順応性に富み、繊細かつ柔軟に外の世界で起こるさまざまな出

(35)

来事の影響を受けやすいということも意味しています。大人の脳を形づくっている特定の役割 をもった何十億もの神経接合部を少数の遺伝子が前もってすべて決定しているとは考えられま せん。後でもっと詳しく述べますが、脳というものは知れば知るほど順応性に富み、繊細かっ 柔軟であるという思いが強まります。死体の脳を解剖するのではなくて、脳を生きたまま分析 できるようになったのはつい最近のことなので、なおさらそう感じるのかもしれません。一般 的に命あるものは、命がないものより、はるかに活発に見えるものだからです。 36

進化が形づくった脳

精神に関する出来事は脳に起因しているように、脳に関することは、結局はすべて、私たち の進化の歴史の中で形づくられてきています。しかしそれは、反射や本能が進化によって選択 されるのと同じように、学習の戦略や文化的な能力も、進化によって選択されうるのだという ことを意味します。学ぶことこそが、人間の本来の姿なのです。文化を吸収する能力は人間の 生態の一部であり、学習に対する強い欲求は最も中心的な重要な本能なのです。発達について の最近の研究は、人間特有の進化の秘訣や主要な適応能力や生存競争における最大の武器は、 赤ちゃん時代の学習能力と、大人になってからの教育能力という素晴らしい二つの能力である こ と を 示 唆 し て い ま す 。 事実、さまざまな動物の種を見てみると、いくつかの進化的特慨が同時に現れることがある ようです。比較的大きな大脳皮質を持ち、行動に柔軟性があり複雑な認知能力を持つもの(つ まり人類形態学的見地から賢い動物というわけですが、こういう見方に対してゴキブリは異議

(36)

を唱えるかもしれません)は、ほかにも共通の特徴を持つ傾向があるのです。 例えば雑食性で、いろいろな体位で性行為を行ない、一夫多妻制で、さまざまな場所に住み、 (私たち子どもの発達の専門家にとっては、ここが一番大切なところですが)幼年期が長いと いうことです。一夫多妻制というのは除外するとして、私たち人聞ははっきり言って、こうい う傾向をすべて備えています(特に私が住んでいるバークレーではそうです)。

ヒ卜の長い子ども時代には意味がある

幼年期、すなわち子ども時代の長さには困惑します。どうして子どもをそんなに長い間無力 なままにしておいて、親にあんなに時間とエネルギーをかけて守らせるのでしょう。有名な心 理学者で教育者でもあるジエロ l ム・ブル l ナーによると、守られて育つ幼年期に、子どもは 自分たちの置かれている特定の物理的環境について学習できるのだと(人間は確かに、ほかの 生き物よりもさまざまな環境、例えば宇宙でも生きのびることができます)。さらに重要なの は、幼年期が長いことによって、子どもたちは自分たちが置かれている特定の社会的環境につ いて学習できるということです(人聞は確かに、ほかの生き物よりもさまざまな社会的グルー プに自分を組みこんでいくことができます)。人間以外の種は、特定の生息環境に見事に順応 した、高度に発達した本能を持つことによって生きのびていますが、人間はいかなる生息環境 でも、それに適した行動を学習できる能力、そして自分にあった生息環境を構築することがで きる能力によって生きのびているのです。 これが人間の進化の戦略だとすれば、赤ちゃんが非常に知的な学習者であるのも、大人が子 37

I

序章│人はいつからJ他者の心Ji外の世界Ji言葉」を知るのか

(37)

どもの学習を献身的に支援するのも納得がいきます。きっと赤ちゃんはまったくの無力なので、 大人は赤ちゃんを生きのびさせるために全力をつくすのです。学習の利点は、自分の置かれて いる特定の環境についてさまざまなことを理解できるようになることで、欠点としては、それ がわかるまではどうすることもできないまったくの無力だという点でしょう。私たちは進化の うえで二つの贈り物をもらっているのかもしれません。つまり、自分の周囲の世界について学 習する偉大な能力と、この能力を使うことができる長期の保護された期間です。 科学に携わるという一見不可解な大人の能力は、子ども時代の学習能力の名残りであると、 私たちは主張してきました。 子どもたちが短期間に非常に多くのことを学習できるように自然が人間に与えてくれた能力 を、大人の科学者たちは利用しているのです。子どもが小さな科学者であるというより、科学 者が大きな子どもなのです。 もちろん、心についての進化の議論はまだ推測の段階を超えてはいません。少なくとも科学 において確実にわかっていることは、赤ちゃんが素晴らしく知的な学習者であり、大人は子ど もの学習を献身的に支援するということです。本書はそのことについてお話ししたいと思いま す 。 38

ソクラテス、もう一つの手法

知識の問題、つまり﹁他者の心﹂、﹁外の世界﹂、﹁言葉﹂、これらにまつわる問題は古くから あるものですが、乳幼児の研究がこれらの問題を解くのに役立つのではないかと最近考えられ

(38)

ています。子どもたちは常に周りにいるのに、 なに長くかかったのでしょう。 おかしな話ですが、子どもに注目する考え方は、かなり大昔にはあったのです。 知識について考察し、その謎を解こうとした試みのうちで、最も古く最も有名なものの一つ は、﹃メノン﹂と呼ばれるソクラテスの対話の中にあります。 ソクラテスとその友人たちは、メノンという若者の家でワインを飲みながら、﹁直接経験し たわけでもないのに、どうしてか徳々というような抽象的な概念を人間は理解できるのだろう か﹂と話しています。 ソクラテスの答えは、徳やほかの抽象的概念は経験から学ぶのではなく、最初から知ってい たにちがいないというものでした。ソクラテスは過去の人生にあったことを思い出しているの だと考えたのです。これを現代風に言いかえると、それは私たちの遺伝子記号の上にあるのだ というところでしょう。 哲学を専攻する学生は、最初の学年でソクラテスの問答法について学びます。でも彼らは、 それが単なる抽象的な理論上の問答ではないということは教わりません。ソクラテスの問答は、 ある種の実験、経験に基づいた科学的調査に基づいているのです。 ﹃メノン﹄の登場人物の中で一番重要なのは、メノンやソクラテスや、ソクラテスの友人の貴 族たちではなく、ワインを注いでまわっている、名もない奴隷少年なのです。﹁メノン﹄は知 識の考察における最古の問答であり、記録に残っているもので最初の発達心理学の実験でもあ る の で す 。 科学者が子どもに注目するまで、 どうしてこん 39

I

序章│人はいつから、「他者の心J

r

外の世界Jr言葉」を知るのか

(39)

ソクラテスは徳という抽象的な概念から、さらに抽象的な幾何学の概念に話題を変え、無学 なこの奴隷少年に幾何学の証明の問題を細分化された段階に分けて出していきました。少年は 各段階で正解し、ついには定理を証明してしまいます。幾何学など知らないこの少年が定理を 証明できたのは、自分でも気がつかないうちに幾何学の証明を知っていたからだと、ソクラテ ス は 結 論 づ け ま す 。 現代でもこんな結論にはびっくりしますが、当時はもっとセンセーショナルだったのです。 ユークリッドがアテネのアカデミーに勤務しており、﹃メノン﹄が書かれたのと同じ頃に、彼 の証明が公式化されつつありました。当時、幾何学は最も華々しい最先端の科学だったのです。 注 -ソクラテスの結論は、今風に言えば、アンドル l ・ワイルズがついに成功した﹁フエルマ l の 注 2 定理﹂の証明を、子どもたちはすでにみんな知っているのだと言うようなものだったのです。 最近の研究は、直観的にはとても正しいと思えないソクラテスの驚くべき考えが、実は正し かったことを示しています。小さな赤ちゃんや無学な子どもできえ、私たちが考えているより ももっとたくさんのことを知っているのです。これが、知識の考察に対する現代的な答えの大 部分を占めるものです。もちろん、これからお話しするように、これがすべてではないのです 4 H 40

偉大なる知識の鎖

それから二千五百年間、知識の問題について、哲学者たちは延々と議論を重ね、(時には苦 痛に感じられるほど)分厚い本を書いてきましたが、ソクラテスの手法を改めて試してみよう

(40)

とする人は誰もいませんでした。誰一人として、子どもに話しかけ、彼らの知っていることを 聞いてみることによって、この問題を解こうとはしなかったのです(あるイギリス人の哲学者 は、もちろん周囲に子どもはいたけれど、一度も話しかけたことはなかったと言っていました)。 事実、﹁子どもの知識﹂というのは用語的に矛盾しているように思えます。子どもというの は、基本的には不完全な大人だという見方が支配的でした。子どもは、﹁:::ができない﹂と か、﹁:::を知らない﹂としか言われてこなかったのです。もちろん、このとらえ方にも幾分 正しい点はあります。子どもにはできないこと、知らないことがたくさんあるのは明らかで、 親の本分として私たちは、その欠陥を正すことに精力を傾けてきたのです。しかし、このよう な子ども像は、大きな誤解を与えるものでもあります。 これは、子どもが一方の端にいて、哲学者がもう一方の端にいる、﹁知識の偉大な鎖﹂をイ メージさせます。このイメージによると、子ども(そして力未聞の u の人々と、女性)は理性 や科学や文明とは正反対の特徴を持っているとされ、理性より直感に頼り、文明的ではなく自 然のままであり、計画よりは感情に導かれて行動し、頭の中は、表面的なことや迷信や魔法で いっぱいだというのです。幼ければ幼いほど、知識からは遠ざかっていき、新生児などは無に 等しいとされてきました。十七世紀の哲学者、ジョン・ロックの有名な警えによると、生まれ たばかりの赤ちゃんは﹁何も描かれていない書き板﹂なのだそうです。 また、それとはまったく反対の見方もあり、主に十九世紀初頭のロマン派の詩人や哲学者に よって唱えられました。その代表が、ワ 1 ズワ

l

スの偉大な持情詩﹃幼き日々の回想から受け る霊魂不滅の啓示の賦﹂で、その一部が、この序章と終章にも引用されています。ロマン派の 4I I序章│人はいつから、「他者の心

J

r

外の世界

J

r

言葉」を知るのか

(41)

考え方は、子ども(そしてか未開の“の人々と、女性)は、あまりに無知であるがゆえにある 種の特殊な知識を持っているというものです。ロマン派の人々は、子どもの知識は詩のような ものであって、科学のようではないと考え、子どもの経験は大人の概念に毒されていないので、 ある種の明快きと激しさを持っていると考えました。このような見方にももちろん正しい点は あ り ま す 。 子どもを見ていると、あるいは自分の子どもの頃をふりかえってみると、並はずれた知覚と 想像の力が必ず垣間見られるからです。 しかし、ロマン派の見方でも、当時、支配的だった子どものとらえ方と共通点はありました。 実際、ロマン派の人々は子どもが直感的で、理性と教養に欠け感情に流されやすく、科学の対 極にあるという点については同意見でした。ただ、ロマン派は、こういった点を短所ではなく、 むしろ長所ととらえ、欠陥ではなく力であり、知識を阻むものではなく、知識の源であると考 えたのです。 これら二つの見解は今でも残っており、その根幹にある仮定もまだ存在しています。今でも 科学的で理性的な教養ある方法で知識を得るのと、直観的、感情的、自然にまかせて知識を得 るのはまったく異なるという考え方があるのです。そして子ども(そして H 未聞の u の 人 々 と 、 女性)は今でも、科学よりは直感、理性よりは感情の権化だと思われていて、どちらのほうが 大切かということばかり議論されています。 42

発達研究がぬりかえた子ども観

(42)

最近の発達に関する研究は、子どもについてのこの歴史的共通認識は、明らかな誤りである ことを示しています。子どもたちは、何も書きこまれていない書き板でも、コントロールのき かない食欲のかたまりでも、直観的な予言者でもありません。乳幼児も思考し、観察し、推理 しているのです。彼らは証拠を吟味し、結論を引き出し、実験を行ない、問題を解決し、真理 を求めているのです。もちろん、科学者とはちがって、彼らは意識的にそうしているのではあ りません。それに、彼らが解決しようとしているのは、惑星や原子のようにわずかな人にしか わからないものではなく、人や物や言葉はどのようなものなのかという日常的な問題です。し かも、生まれたばかりの赤ちゃんでさえ、この世界についてたくさんのことをすでに知ってい て、もっと知ろうとして活発に活動しているのです。 これが本当だとすると、少なくとも知識の偉大な鎖の図式は損なわれます。少なくとも女性 と異文化に属する人々は、﹁子どものよう﹂というマイナスのイメージからは逃れることはで きました(今日では、ロマン派の人々のように肯定的な意味で言うならば、女性や異文化に属 する人々を、直観的であり自然、だと考えるのは許されています)。しかし子どもたちまで﹁子 どものよう﹂でないとすれば、この図式全体が崩れてしまいます。高貴な野蛮人も、普通の野 蛮人もなく﹁自然の申し子﹂など、子どもたちの中にもいないことになります。いるのは子ど もと大人、女と男、狩猟採集生活者と科学者。何が起きているか理解しようとしている人聞が いるだけということになります。 興味深いことに、子どもについてのこのような共通認識には科学的根拠がありません。常識 とされていることを鵜呑みにせず、誰もが知っていると思っていることを確かめるのが科学で 43 1序章│人はいつから、「他者の心Jr外の世界Jr言葉」を知るのか

(43)

す。しかしこれまで、子どもたちが世の中について何を知っていて、何を知らないのか、生ま れた時にはどんな能力を持っていて、後から学んでいくことは何なのかということについて調 べてみようとする人は誰もいなかったのです。アリストテレスが、女性の歯の数は、男性より 少ないと述べたことについて、パートランド・ラッセルが気のきいたことを言っています。 ﹁驚くべきことは、アリストテレスが間違いを犯したということではなくて、なぜ奥さんにち ょっと口をあけてもらって、歯を数えてみなかったのかということだ﹂と。 子どもたちは、いつも私たちのまわりにいます。子どもを観察するために、わざわざ大海を 越えて遠征する必要などありませんし、ハイテク装備の実験室も必要ありません。ただ、口を あけて話を聞かせてと頼むだけでよかったのに、二千五百年間も、誰もそうする人はいなかっ たのです。 44

ピアジ工とヴィゴッツキ

l

ソクラテスの手法が現代に復活したのは、一九二

0

年代に入ってからで、地球上でも目立た ない二つの場所で起きたのです。一つは穏やかで、退屈で、繁栄と平和を事受していたスイス のジュネーブ、もう一つは戦火に踏みにじられ、飢餓が蔓延し、専制政治のもとにあったモス ク ワ で す 。 スイス生まれのジヤン・ピアジェは早熟で、才能豊かな生物学者であり自然科学者でもあり ました。彼の最初の学術論文﹁スズメの白子について﹂が出版されたのは、わずか十哉の時で した。二十歳になる前に、彼は何十もの生物学の論文を書きましたが、その多くは貝類につい

(44)

てでした。しかし彼は、カントの﹁純粋理性批判﹂も読んでいたのです。彼は三十前にジュネ ーブ大学のルソ

l

研究所の所長に任命され、彼の長い人生の残りを、ずっとその職で過ごしま し た 。 ピアジェは古典的な哲学の問題である知識の問題を説明しようとしましたが、 学者とはちがって生物学的なアプローチをとろうとしたのです。 生物学の進歩によって、十九世紀末には、人間の精神は脳に関係があるにちがいないと考え られ始めていました。人間の知識そのものが、自然な生物学的現象ではないかと考えられたの です。ピアジェはカントと員類、認識論と生物学を結びつけるものを探していました。素晴ら しい洞察力によって、彼は人間の子どもの発達を研究することが、その一つの手段だと気がつ い た の で す 。 三十代の時、ピアジェは自分の三人の子どもたち、ジャクリ

1

ヌ、ルシエンヌ、ローランの 生活を記録し始めました。それ以前にも、また現代でも、育児日記は見られますが、ピアジエ の日記に及ぶものはありません。ピアジェの日記は、一見、決まった形などないように見える 乳幼児の行動に、重要なパターンがあることを発見し、詳細かつ明確に記録しているのです。 しかもこの日記は毎日欠かさず、重要な瞬間を見逃すことなく記されているため、個々の記述 が、進行形の物語の一部のようになっているのです。 ピアジェの日記を読むと、自分の子どもの赤ちゃん時代よりも、ジヤクリ l ヌやルシエンヌ や ロ l ランの赤ちゃん時代のほうに詳しくなるくらいです(一九九六年のピアジェ生誕百年祭 で、私の両親と同じ年代になった三人にお会いしました。親切ないい方たちでしたが、なんだ これまでの哲 45 I序章│人はいつから、「他者の心J

r

外の世界J

r

言葉」を知るのか

(45)

か妙な気分でした)。赤ちゃんの観察記録は確固とした、そして洞察力に富んだ文章で書かれ ています。ペンと紙と鋭い観察力しか記録装置がなかった時代に、多忙な研究の合聞をぬって 行なわれたことを思うと、たった一人の人間の業績であるとは信じられないくらいです。実際、 ピアジェが一人でやったわけではありませんでした。ピアジエの妻であり、子どもたちの母親 であり、心理学者でもあったヴァレンタイン・ピアジェが、観察の大半を担っていたのです。 しかし才能豊かな人聞が二人がかりでやったにしても、偉大な業績であることにかわりはあり ま せ ん 。 46

ピアジ工の子ども観

ピアジエもソクラテスのように、乳幼児は、大人が考えている以上にこの世界について知っ ていると考えました。しかし、現代の子どもの見方について彼らの最も偉大で独創的な貢献は、 別の点にあります。﹃メノン﹄の中でソクラテスは、奴隷の少年が大人と同じように幾何学を 理解しているのかどうかを繰りかえし確認しています。彼の聞いに対し少年はいつも、﹁はい、 ソクラテス様﹂と答えます。ピアジェも、大人に見えているように、世界が子どもの目にも映 っているのかどうかを子どもたちに尋ねます。 これに対し、子どもたちはいつも﹁いいえ、お父さま﹂と答えているのです。ピアジエは、 乳幼児、つまり赤ちゃんの世界のとらえ方は、大人と同じように複雑で、高度に組織化されて いることを示し、赤ちゃんが周囲の世界について真理を求めていることも示しています。しか し同時に彼は、赤ちゃんのとらえ方は、大人のとらえ方とは全く質的に異なっているとも言つ

参照

関連したドキュメント

関係委員会のお力で次第に盛り上がりを見せ ているが,その時だけのお祭りで終わらせて

今回の調壺では、香川、岡山、広島において、東京ではあまり許容されない名詞に接続する低接

白山にちなんで名づけられた植物は、約20種 あります。ハクサンとつく以外に、オヤマリン

はありますが、これまでの 40 人から 35

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から

○杉山座長 ありがとうございました。.

荒川 CA は「荒川のゴミを拾うことを通じて自然豊かできれいな荒川を取り戻す運動 35 」とし て