テレコム M&A トレンド
2015/01/27-2015/04/22
トップ3
u ノキア、アルカテル・ルーセント買収へ u 米ベライゾン、アメリカンタワーへ一部資産売却を完了 フロンティア・コミュニ ケーションへの売却準備も進む u 米通信機器メーカーのコムスコープ、スイスの同業TE コネクティビティの一部 資産を取得最近の話題
海外
u NTT コミュニケーションズ、ドイツのデータセンター事業者を買収 米国ではべ リオを吸収合併 u 仏ビベンディ、動画共有サイトのデイリーモーションの買収に向け独占交渉 u 米リバティ・グローバル、蘭KPN のモバイル事業を買収 u コムキャスト、タイムワーナー・ケーブル買収案を撤回 国内 u ベンチャー企業への投資続く ソフトバンク KDDI は生保と資本・業務提携 テレコムM&A トレンドは通信業界における 国内外の最新M&A 動向を不定期にまとめ ています。内容に関するご質問、ご意見は 下記連絡先までお寄せください。 塚原 正彦 EY Japan テレコムセクター 統括責任者 [email protected] 斉藤 武彦 EY Japan テレコムセクター 事業開発責任者 [email protected]トップ3
「トップ3」は、取引金額が公表された案件のうち、最も高額の案件三つをピックアップしています。 (出所:Thomson Reuters) u ノキア、アルカテル・ルーセント買収へ フィンランドの通信機器大手ノキアは4月15日、仏アルカテル・ルーセントを買収することで合意したと発表した。買収額は 156 億ユ ーロ(約2 兆円)。株式交換で支払われる。買収手続きは 2016 年上期に完了する予定1。統合後はクラウドやIoT といった動きに対 応した次世代技術を変化を捉えていくとともに、人とモノのインターネットのシームレスなネットワークの基礎を創出するとしている。両 社には合わせて4 万人の研究開発者がおり、2014 年には研究開発費として 47 億ユーロ(約 6 千億円)を投じているという。5G や インターネットプロトコル、SDN、クラウド、アナリティクスやセンサー、画像処理といった分野での開発を加速させる考えだが、今回の 買収に対する株式市場の評価には否定的な傾向が見られた。 仏アルカテル・ルーセントは通信機器大手。2014 年 12 月期通期の売上高は前年比 8.7%減の 131 億 7,800 万ユーロ(約 1 兆 7,000 億円)、純利益は 8,600 万ユーロ(約 111 億円)の赤字だった。2016 年 12 月期の売上高は前年比 3.3%増の 143 億 9,400 万ユーロ(約 1 兆 8,600 億円)、純利益は前年比 5.4%増の 7 億 8,400 万ユーロ(約 1,000 億円)になると予想されている。 今回の買収計画の背景には、相乗効果や経費節減よりもむしろファーウェイやエリクソンとの競争に対抗するため、との見方がある2。 ノキアは2014 年 3 月、携帯電話部門のマイクロソフトへの売却を完了し、これによりノキアの 2014 年 12 月期の売上高は 151 億9,000 万ユーロと、前年度の 234 億 4,400 万ユーロから 54%の減収となった。また、ノキアは 2013 年、独シーメンスとの合弁 会社、ノキア・シーメンス・ネットワークの全株式を取得し完全子会社化している。 u 米ベライゾン、アメリカンタワーへ一部資産売却を完了 フロンティア・コミュニケーションへの売却準備も進む 米ベライゾンは2 月 5 日、カリフォルニア、フロリダ、テキサスの地域固定通信事業を、米コネチカット州に拠点を置く通信事業者、フ ロンティア・コミュニケーションに売却することで合意したと発表した。売却額は約105 億ドル(約 1 兆 2,500 億円)。 ベライゾンはまた、1 万 1,300 以上ある同社の無線基地局のリース権利をアメリカンタワーに譲渡すると共に、165 の基地局を約 50 億米ドルでアメリカンタワーに売却する。リース権の有効期間は平均で約 28 年。アメリカンタワーにはリース期間終了後、これら の基地局を買い取るオプションが与えられる。ベライゾンはこれら基地局を最短10 年間にわたり、1 基あたり月 1,900 ドル(約 20 万円)でリースバックする。基地局の運用はアメリカンタワーが行い、余剰スペースはベライゾン以外にリースすることもできる3。 u 米通信機器メーカーのコムスコープ、スイスの同業TE コネクティビティの一部資産を取得 米通信機器メーカーのコムスコープは1 月 28 日、スイスの通信機器メーカーTE コネクティビティのブロードバンド・ネットワークソリュ ーション事業を買収することで合意したと発表した4。買収額は30 億米ドル(約 3,500 億円)。同事業には通信・法人・無線の各事業 が含まれ、2014 年度通期の売上高は 19 億米ドル。TE コネクティビティ全体の 2014 年度通期売上高は前年比 4.8%増の 139 億 1,200 万米ドル、純利益率は 12.8%。コムスコープの 2014 年度通期売上高実績は前年比 10%増の 38 億 3,000 万米ドル、純利 益率は6.2%。株式市場は今回の買収を好意的に評価した模様。 1会社発表資料 2 Financial Times 3会社発表資料 4会社発表資料最近の話題
海外 u NTT コミュニケーションズ、ドイツのデータセンター事業者を買収 米国ではべリオを吸収合併 NTT コミュニケーションズは 3 月 3 日、ドイツ、スイス、オーストリアでデータセンター事業を行っているイー・シェルターの株式 86.7% を取得することで合意したと発表した。欧州のデータセンター市場の成長率は年平均9%と予想されており、その中でもイー・シェルタ ーはドイツで最大手、欧州全体でも有数のデータセンター事業者という。イー・シェルターは2000 年創業、ルクセンブルグに本社を持 ち、金融、通信、IT サービス事業者や政府機関を顧客に持つ5。 NTT コミュニケーションズはまた、4 月 1 日、傘下の米べリオを、NTT アメリカに吸収合併したと発表した。競争が激しさを増すクラウ ド事業の強化に向け、体制の整理と機能の集中を行うという。べリオは1996 年設立、主に中小企業向けホスティングサービスを提 供している。現在はフロリダに本社を持ち、NTT アメリカの 100%子会社となっていた。NTT コミュニケーションズは 2000 年にべリオ を買収した。買収はTOB で行われ、買収額は約 6,000 億円だった6。 u 仏ビベンディ、動画共有サイトのデイリーモーションの買収に向け独占交渉 フランスのメディア関連複合企業のビベンディは 4 月 7 日、動画共有サイトのデイリーモーションの株式 80%を取得することでフラン スの通信事業者オレンジと独占交渉に入ったと発表した。買収額は2 億 1,700 万ユーロ(約 280 億円)。残り 20%は引き続きオレ ンジが保有する。買収条件を最終化するための話し合いを行っているという7。 デイリーモーションはフランスを拠点として2005 年に設立され、米ユーチューブと同様の動画共有サイトを運営している。月間ユニー ク訪問者数は1 億 2,800 万人8。ユーチューブは10 億人を超えており、大きく溝を空けられている。ビベンディのアルノード・ブイフォ ンテーヌ CEO は、デイリーモーションを傘下に収めることについて、「ユーチューブに次ぐナンバー2」としてではなく、「独自のニッチな ナンバー1 にする」との考えを示した9。 オレンジはデイリーモーションの世界展開に向け、2 年前から共同出資者を模索してきた。その中で、当初香港の通信・メディア業者 のPCCW が独占交渉に入ったものの、フランス政府は欧州域内の売却先を検討するよう求め、これを嫌った PCCW が買収交渉から 手を引いたという。さかのぼって 2013 年には、米ヤフーがデイリーモーション買収交渉に入っていたもののやはりフランス政府の介 入により破談、2014 年にはマイクロソフトやシングテルなども売却先として名前が挙げられていた10。 u 米リバティ・グローバル、蘭KPN のモバイル事業を買収 米リバティ・グローバルは4 月 19 日、オランダの通信事業者 KPN のベルギー子会社、ベースを 13 億 2,500 万ユーロ(約 1,700 億円)で買収することで合意したと発表した。リバティは主に欧州でケーブルテレビ事業を展開しており、バージンメディアや UPC、ジ ーゴなどのブランドを有している11。 u コムキャスト、タイムワーナー・ケーブル買収案を撤回 米ケーブルテレビ大手のコムキャストは4 月 24 日、タイムワーナー・ケーブル(TCW)の買収案の撤回を発表した。規制当局の承認 を得る見通しが立たなかった模様。株式市場ではすでに別のケーブルテレビ事業者によるTCW 買収が見込まれているという12。昨 5会社発表資料 6会社発表資料 7会社発表資料 8 NNA EU版9 Wall Street Journal 2015/4/8 10 Wall Street Journal 2014/2/26 11会社発表資料
年のスプリントとT モバイルの統合に続き東京エレクトロンとアプライドマテリアルの統合など、米規制当局の介入による破談が続い ている。 国内 u ベンチャー企業への投資続く ソフトバンク KDDI は生保と資本・業務提携 ソフトバンクは3 月 18 日、サイジニアの株式 20.47%を取得して筆頭株主になったことを発表した。サイジニアはアドテクノロジーの 一つであるレコメンデーション・エンジンを独自開発し、EC サイト等向けに提供している。同社は 2007 年設立、2014 年 12 月に東 証マザーズに上場したばかりの成長企業の一つ。 ソフトバンクはまた、3 月 25 日、傘下のソフトバンクモバイルおよびヤフーが揃って T ポイント・ジャパンに出資したと発表した。ソフト バンクモバイルの出資比率は17.5%(新規資本参加)、ヤフーは 15%から 17.5%に引き上げる(追加出資)。両社の出資比率は合わ せて25%、これまで 85%を保有していた CCC マーケテイングの保有比率は 65%に下がるものの引き続き筆頭株主となる。ヤフーは 2012 年に T ポイントの運営母体であったカルチュア・コンビニエンス・クラブと資本・業務提携を結んでいる13。T ポイントの顧客基盤 は約5 千万人で提携店舗数は 35 万店あるという。店舗等での利用を通じて大量の顧客行動履歴が収集されていると考えられ、そ の解析にサイジニアのレコメンデーションエンジンを活用して、ヤフーのネット広告事業の一層の強化を図ろうとしている模様。ネット広 告事業を含むヤフーのマーケティングソリューション事業は同社の売上の3 分の 2 を占めており、営業利益率も 50%を超える優良事 業となっている。
KDDI は 4 月 14 日、EC サイトのルクサの子会社化を発表した。KDDI は 2013 年からルクサに出資、業務提携して au スマートパ
ス会員向けのサービス提供などを行っていたという。ルクサは転職サイト、ビズリーチの事業の一つとして2010 年に設立、有名飲食
店やブランド化粧品など比較的高価格帯の多様な商品をタイムセールで値引き販売するというもの。
KDDI はまた、ベンチャーファンド「KDDI Open Innovation Fund」を通じて、オンラインゲーム開発のソフトギアおよび、スマートロック
14のオーガストホームなどに出資したと発表した。KDDI は一方で、グリーの株式 1%を市場内取引で処分したと発表した。これにより 出資比率は5.03%から 4.03%に低下したものの、引き続き第 2 位の株主で変わらず、資本・業務提携関係にも変化はないとしてい る。グリーもルクサも、かつて上記ファンドの出資を受けている。 KDDI はまた、4 月 20 日、ライフネット生命との資本・業務提携を発表した。出資額は 30.4 億円。ライフネット生命の売上高は 2014 年 3 月期、前年比 27%増の約 76 億円ながら当期利益は赤字が続いている。生保との提携ではドコモが 2010 年、東京海上 日動火災保険と業務提携している。 以 上 12 Reuter 2015/04/25 13会社発表資料 14スマートフォンで開閉できる鍵。通常のドアに専用機器を取り付けて使う。
EY | Assurance | Tax | Transactions | Advisory EY について EY は、アシュアランス、税務、トランザクションおよびアドバイザリーなど の分野における世界的なリーダーです。私たちの深い洞察と高品質な サービスは、世界中の資本市場や経済活動に信頼をもたらします。私た ちはさまざまなステークホルダーの期待に応えるチームを率いるリーダ ーを生み出していきます。そうすることで、構成員、クライアント、そして 地域社会のために、より良い社会の構築に貢献します。 EY とは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバル・ネットワ ークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法 的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国 の 保 証 有 限 責 任 会 社 で あ り 、 顧 客 サ ー ビ ス は 提 供 し て いま せ ん 。 詳 し く は 、 ey.com をご覧ください。 EY のグローバル・テレコム・センターについて 通信事業者はビジネスモデルの急速な転換に直面しています。テクノロ ジー企業の市場参入が顧客獲得競争やサービス革新への厳しい課題 をもたらしており、値下げ圧力とネットワークの有限性により投資効率を 厳密に精査することが求められています。さらに、規制の強化と株主の 期待の高まりによって迅速性とコスト効率性も必要となります。貴社がこ のような課題に直面した際に、私たちはアシュアランス、アドバイザリー、 トランザクションや税務についてセクターの視点に立ったサービスを提示 することができます。EY のグローバル・テレコム・センターは多彩な人材 や文化、先進的な知見を世界中から集積するバーチャルなハブとして機 能するものであり、貴社のグローバルあるいはローカルな課題の解決を 支援するものです。対応すべき課題としては、次世代サービスへの対応 や製品の収益性評価、カスタマーライフサイクルおよび収入への保証、 運転資本管理、リスク管理、規制に対する戦略やコンプライアンス、コス ト削減の可能性、M&A、財務効率やオペレーションの改善、会計・税務 戦略などが挙げられます。貴社のいかなる要請に対しても、私たちは貴 社の事業パフォーマンスの向上を支援致します。 新日本有限責任監査法人について 新日本有限責任監査法人は、EY メンバーファームです。全国に拠点を 持つ日本最大級の監査法人業界のリーダーです。監査および保証業務 をはじめ、各種財務アドバイザリーの分野で高品質なサービスを提供し ています。EY グローバル・ネットワークを通じ、日本を取り巻く経済活動 の基盤に信頼をもたらし、より良い社会の構築に貢献します。詳しくは、 www.shinnihon.or.jp をご覧ください。
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