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第62回税理士試験 相続税法 解説

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Academic year: 2021

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解 説 【第一問】 問1 相続税法上の申告手続に関する応用理論である。 難しい理論ではないが、問題で解答範囲に関していくつか条件が与えられている。計算との兼ね合いを考えると不必要な規定を説明しない ことが望ましい。 まず、基本となる期限後申告~更正の請求までの関連規定は次のとおりである。 国税通則法 相続税法 租税特別措置法 相法第30条第1項:相続税の期限後申告 期限後申告 通則法第18条 措置法第70条第7項:措置法70条の非課税 相法第30条第2項:贈与税の期限後申告 相法第31条第1項:相続税の任意的修正申告 措置法第70条第6項 :措置法70条の非課税 修 正 申 告 通則法第19条 相法第31条第2項:相続税の義務的修正申告 措置法第70条の2第6項:住宅取得資金の非課税 相法第31条第4項:贈与税の期限後申告 措置法第70条の3第4項:住宅取得資金の精算課税 相法第32条第1項:相続税及び贈与税の更正の請求 措置法第69条の4第5項:小規模宅地等の特例 更正の請求 通則法第23条 相法第32条第2項:贈与税の更正の請求期間 措置法第69条の5第6項:特定計画山林の特例 このうち,問題の条件から相続税法に規定するものに解答が絞られ,かつ,贈与税までに関する事項(相法30②,31④,32①九)を除外し たものが模範解答となる。 第59回税理士試験では,似たような文言で租税特別措置法上の規定まで解答となっていたが、①今回の問題では「相続税法上の」と明記し ていること、②各手続の事由をそれぞれごとに解答した場合3枚程の解答量になること、③国税通則法と租税特別措置法まで解答すると相当 なボリュームになること、④計算とのバランスを考えると理論に使える時間は多くはないこと、の4点から国税通則法・租税特別措置法の規 定は解答とは当たらないものと判断している。 また、第49回税理士試験でも、更正の請求が出題されているが、その際の条件であった「法施行令及び法施行規則に係る事項については説 明を要しない」の一文がないため、法施行令及び法施行規則も解答範囲に含めている。 なお、模範解答に挙げている規定の他、物納の許可が取り消される理由、期限後申告等の延滞税の特則などがあるが、ほぼ全ての受験生が 解答できない箇所(計算のボリュームが多い今回は解答する余裕はないので)であるため模範解答からは省略している。 参考 第49回税理士試験理論問題(抜粋) 相続税について更正の請求ができる場合及びその期限について説明しなさい。 ただし, 法施行令及び法施行規則に係る事項については説明を要しない。 (25点) ⇨ 相続税法施行令第8条第2項に規定する事由については解答を要しない。 第59回税理士試験理論問題(抜粋) 相続税法では、配偶者間における相続、遺贈又は贈与により財産の移転について各種措置が設けられている その措置の内容及び適用 要件を説明しなさい。 (配点なし) ⇨ 小規模宅地等の特例についても解答する必要があった。 問2 相続税法第21条の17《相続時精算課税に係る相続税の納付義務等の承継等》に関する事例形式の問題です。 解答としては、承継者と承継割合を正解するのはもちろんですが、①前提として規定の説明を求められていること、②各設例の判断につい て理由の説明を求められていること、を見落とさないようにして欲しいです。 解答のポイントは次のとおりである。根拠は、相続税法第21条の17に対象者に関する説明が,相続税法施行令第5条の5に承継割合の説明 にあり、具体的な適用事例は基通21の17-2に今回の問題と同じような設例があるため、参照して欲しい。 ① 相続時精算課税に係る相続税の納付義務等の承継は,特定贈与者以外の相続人を対象とする規定であるため、各設例については、相続人 のうち特定贈与者である父は承継者にならないこと。 ② 承継者となる相続人の判定は、特定贈与者を除くとしているだけであるため、設例⑵の場合には、承継する相続人がいないこととなる。 承継者の判定の段階では、特定贈与者を相続人でないものとみなすことはないことに注意すること。 ③ 承継者が2人以上いる場合の承継割合の計算は、民法第900条(法定相続分)~同法第902条(指定相続分)までの規定により計算する。 この場合に、相続人のうちに、特定贈与者がいる場合には、特定贈与者がないものとした場合の相続人により相続分を計算する。 (無断複写・転載を禁ず)

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【第二問】 Ⅰ.解答上のポイント 農地JとM社株式の評価にボリュームがあり、最近の問題としては財産評価以外の論点でも数多くの新規出題事項が見受けられるため、 問題のボリュームはここ数年でも最も多いといえる。個々の事項1つ1つは時間をかけて考えれば絶対に正解できないものはないが、時間 の制約を考えるとケアレスミスが普段より多く生じること、最後まで計算過程を含めて解き終わらないことは、それ程気にしなくても良い かもしれません。 いずれの論点もそれなりに悩むところがあるため、各受験生ごとに解答できた箇所変わってくると思います。どこが取れるべきといった 事は今回の問題ではあまりハッキリしないでしょう。 Ⅱ.各論点の解説 1.相続人・相続分の判定 第1順位の取扱いである。人数が多いだけで難しくはないため非嫡出子の取扱いを見落とさないように。 相続人 乙,A,C,E,G、H、X 法定相続人 乙,A,C,E,G、H、X 法定相続人の数 乙,A,C,D,E,G、H、Xの8人 2.財産評価 ⑴ 代償財産(基通11の2-9) ① 概要 代償財産とは,代償分割の際に相続人が取得する財産である。 なお、代償財産とは,共同相続人又は包括受遺者のうちの一人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し,そ の現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務を負担する分割の方法をいう。 ② 相続税の取扱い 代償財産及び代償債務は,相続人の地位に基づいて取得し,又は負担するものであるため,相続財産の一種として取扱う。 イ 代償財産の取得者 交付を受けた代償財産は本来の相続財産であるものとして,相続税の課税価格を計算する。 ロ 代償債務の負担者 交付した代償財産は,マイナスの相続財産であるものとして現物財産の価額から控除して,相続税の課税価格を計算する。 なお,代償財産は,遺産分割協議等により相続人に直接生じた債務であるため,債務控除としては取り扱わない。 ⑵ 農地J 市街地農地であるが,①不整形地の評価方法、②造成費用の計算について注意すべき事項がある。 市街地農地の評価方法(評通40) その農地が宅地であるものと その農地を宅地に転用する場合 - × 地積 した場合の1㎡当たりの価額 の1㎡当たりの造成費相当額 ① 不整形地としての評価 計算上の奥行距離による奥行価格補正の他,正面路線について差引計算による奥行価格補正が,側方路線について区分計算による奥 行価格補正がそれぞれ考えられる。 このため,各路線ごとに2つある計算方法による計算結果を示して有利判定をしている必要がある。 なお,奥行価格補正の関係上,1㎡当たりの価額に頻繁に端数処理が生じる。土地の評価明細書に従えば各計算結果ごとに端数処理 が必要となる点にも注意して欲しい。(通達で明示されていることではないため,許容範囲となっても良い気もしますが…) が選択可能な宅地についてのみ計算することとなります。 A 計算上の奥行距離を算定する方法 次の算式により奥行距離を計算し、奥行価格補正率を決定する。 ① 奥行距離の計算 ⒜ 不整形地の地積÷間口距離 いずれか短い距離 ⒝ 想定整形地の奥行距離 ② 不整形地の評価額 正面路線価 ×【①の奥行距離】による奥行価格補正率 × 不整形地補正率 × 地積 (無断複写・転載を禁ず)

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B 不整形地を区分して求めた整形地を基として計算する方法 ① 区分した整形地の価額 正面路線価 ×【各整形地の奥行距離】による奥行価格補正率 × 地積 整形地a ② 不整形地補正前の1㎡当たりの価額 ①の合計額 ÷ 地積(円未満切捨) 整形地b ③ 不整形地の評価額 ②の1㎡当たりの価額 × 不整形地補正率 × 地積 C 隣接地を含む整形地から隣接地の価額を差し引いて計算する方法 ① 隣接地を含む整形地の価額の計算 正面路線価 ×【隣接地を含む整形地の奥行距離】による奥行価格補正率 × 地積 ② 隣接地の価額の計算 隣 接 地 正面路線価 ×【隣接地の奥行距離】による奥行価格補正率 × 地積 ③ 不整形地補正前の1㎡当たりの価額 (①-②)÷ 地積(円未満切捨) ④ 不整形地の価額 ③の1㎡当たりの価額 × 不整形地補正率 ② 造成費の計算 問題で資料は与えられているため,解説することはない。 必要な費用の合計額を求め、1㎡当たりの金額に換算するため、不要の指示がある地盤改良費とすべての辺に必要なわけではない土 止費に注意して欲しい。 イ 1㎡当たりの造成費の計算の計算 造成費総額 ÷ 評価対象地の地積(円未満切捨て) ロ 造成費総額の計算 工事費目 内 容 計 算 式 整 地 1平方メートル 整地費 整地を必要とする面積1㎡当たり × を要する面積 当 た り の 費 用 伐 採 ・ 伐 根 1平方メートル 伐採・伐根費 伐採・抜根を必要とする面積1㎡当たり × を要する面積 当 た り の 費 用 地 盤 改 良 1平方メートル 地盤改良費 地盤改良を必要とする面積1㎡当たり × を要する面積 当 た り の 費 用 他から土砂を搬入して土盛りを必要とする 土 盛 1立法メートル 土盛費 × 平均の高さ × 場合の土盛り体積1㎥当たり を要する面積 当 た り の 費 用 土止めを必要とする場合の 1平方メートル 土止費 擁壁面の長さ × 平均の高さ × 擁壁の面積1㎡当たり 当 た り の 費 用 造成費総額 イ~ホの計 ⑶ 宅地K ① 評価単位 貸家建付地(他者の権利が存する宅地)と自用地であるため、それぞれを1画地として評価する。 ② 利用態様 貸家の敷地は、3階部分が空き室であり、貸付評価の特例を認めるための「貸付けの継続に努めている」状況にもないため賃貸 割合を考慮して評価する。(自用地と貸家建付地とに区分した上での評価でも構わない。) 分母のうち課税時期において賃貸 されている部分の床面積の合計 自用地としての価額 × (1-借地権割合×借家権割合× ) 家屋の各独立部分の床面積の合計 (無断複写・転載を禁ず)

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③ 小規模宅地等 イ 貸家の敷地のうち,課税時期の空き室部分に対応する土地は相続開始時における被相続人等の事業の用に供されていないため、貸 付事業用宅地等には該当しない。 なお、上記賃貸割合による評価に関わらず、減額金額の計算は1階及び2階の敷地部分を抜き出した貸家建付地としての価額を基 に行う必要がある。 ロ 構造上区分された独立部分を有する居宅は、各独立部分ごとに居住の有無を判定する。 このため、敷地のうち、課税時期の空き室部分に対応する土地は相続開始時における非相続人等の居住の用に供されていないもの として、特定居住用宅地等には該当しない。 なお、措通69の4-21(被相続人の居住用家屋に供していた者の範囲)なお書きに規定する同居としての申告は、本来は別居親族 となる者に対しての特例であり、配偶者がいるという人的構成要件からも適用は想定されない。 ⑷ M社株式 ① 名義株について 養子E名義となっている株式については、相続税法上は①贈与はなかったものとして甲の相続財産を構成する取扱いと②払込時に名 義人に対する贈与があったものとみなす取扱いとが考えられるが、本問では問題の条件において実質の所有者は甲であり、相続財産と して遺産分割調停の対象としていることから①の取扱いと判断している。 ※ 本取引の解釈についての疑問点 基通9-9(財産の名義変更があった場合)及びこれに関する個別通達(名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の 贈与税の取り扱いについて)の条件を形式的に当てはめると贈与とする条件も充足しており、また、贈与時期や財産価額が不明でも 本問では問題とならない(M社株式が相続取得でなければEは相続税の納税義務者に該当しないため)ことから、問題の条件がやや 不十分に感じます。 ② 株主の判定 中心的な同族株主の範囲を正しく理解していれば、原則・特例の判定はできるはずである。 養子Eは、養子縁組により養親及び養親の親族との法定血族関係を有することも確認すること。 被相続人甲 配偶者乙 …同族株主グループ(65%) (18%) G・Hを基準とする中心的 … な同族株主グループ(23%) Eを基準とする中心的な A 亡B C D 養子E … 同族株主グループ(60%) (20%) (14%) (5%) (3%) F G H (3%) (2%) ③ 配当還元価額の計算 1株(50円)当たりの年配当金額 1株当たりの資本金等の額 × (円未満切捨) 10% 50円 ※1 1株(50円)当たりの年配当金額(銭未満切捨て) … 直前期末以前2年間における平均配当金額÷1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数 ※2 1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数 … 直前期末の資本金等の額÷50円 ※3 1株当たりの資本金等の額 … 直前期末の資本金等の額÷直前期末の発行済株式数 (無断複写・転載を禁ず)

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④ 純資産価額の計算 純資産価額の評価の細目である。第60回試験でも一度出題されているが、今回の方が難しく最終値を正解できなくても構わない。 預 金 帳 簿 価 額:当座借越は,実質が銀行からの借入金であるため,資産から相殺せず負債として計上する。 相続税評価額:上記+既経過利息(源泉徴収税額控後)を加算する。 受 取 手 形 帳 簿 価 額:切捨てられたY社債権額を帳簿価額から控除する。(※2) 相続税評価額:上記+支払期限6月超の手形は割引回収可能額により評価するため割引料を控除する。 売 掛 金 帳 簿 価 額:切捨てられたY社債権額を帳簿価額から控除する。(※2) 相続税評価額:上記+回収可能額により評価するため,回収不能見込額を控除する。 貸 付 金 簿価・相評 :債権として確定している利子未収金を別途「未収金」勘定により計上する。 前 渡 金 簿価・相評 :財産性のある資産であるためそのまま計上する。 有 価 証 券 相続税評価額:直前期末ベースであっても,相続税評価額は課税時期に評価した場合のものを用いる。 前 払 費 用 簿価・相評 :財産性のない資産であるため計上しない。 構 築 物 相続税評価額:(再建築価額 - 課税時期までの減価償却費)×70/100で評価する。 本問では再建築価額不明のため,帳簿価額×70/100で評価している。 機械・借入金 譲渡担保に供されている資産は,形式上は所有権が相手方にあるが,借入金の返済により返還されることが あきらかであるため,担保資産をM社の資産に,担保の目的となっている借入金をM社の負債に計上する。 よって特に調整は要しない。 宅 地 相続税評価額:課税時期前3年内取得土地等であるため,通常取引価額により評価 ただし,本問では通常取引価額不明のため,取得価額=通常取引価額としている。 山 林 相続税評価額:倍率方式による山林として評価する。 電 話 加 入 権 相続税評価額:1回線当たりの価額 × 回線数で評価する。 ゴルフ会員権 相続税評価額:通常取引価額 × 70/100で評価する。 長期前払費用 簿価・相評 :指示が明確ではないが,おそらく財産性のない資産であるため計上しない。 商 品 券 簿価・相評 :前渡金と性質は同じであり,財産性のある資産であるためそのまま計上する。 未 払 金 相続税評価額:支払いを要しない額は,確実な債務でないため控除する。 未 払 税 金 簿価・相評 :直前期末までの所得等に対する債務であることから負債に計上する。 未 払 退 職 金 簿価・相評 :被相続人の死亡により相続人等に支給することとなった退職手当金等の給与(弔慰金に該当 するものを除く。))は,負債に計上する。 ※ 計算方法の補足 1 当座借越を「借入金」を増やすか,負債の空欄に別に計上するかは判断が迷うところですが,いずれの方法でも採点はされる ものと考えられます。 2 受取手形の帳簿価額の減少は,帳簿価額が法人税法上の簿価であることを踏まえ、次の点(法基通9-6-1)から判断しました ① 債権者集会による切捨決定(債権の減少事実の確定日)は、直前期末たる平成24年3月31日であること。 ② ①の貸倒れは,法人税法上損金経理要件のないため,直前期の損金としなければいけない項目であること。 3 貸付金の利子未収金は,貸付金債権(評通204)ではなく,未収法定果実(評通208)に規定するものであるため,貸付金欄に まとめて計上はしないものと判断しました。 4 構築物の取得価額に70/100を乗じるかどうかは微妙なところなため,取得価額そのままであっても採点されるものと考えられ ます。 5 未払金の支払いを要しない額は,支払いを要しない理由が不明であり,債務免除の通知を受けたなど,実際に債務そのものが 減少したのかがわからないことから,相続税評価額のみ減額が正解になると思われる。 6 未払税金は,法人税~法人市民税まで一括して計上する案もありますが,解答欄が区分して解答できるようにされていること と実務で作成する明細書では,個々に計上することが多いことから,区分した解答としました。 第60回と異なり端数処理の問題も生じないため,一括して計上しても正解になると思われる。 (無断複写・転載を禁ず)

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3 財産評価以外の項目 ⑴ 退職手当金等 退職手当金から除外される弔慰金の判定に当たっては,業務上の死亡でない場合「被相続人の死亡当時における賞与以外の普通給与の 半年分相当額」を弔慰金として取扱うこととされている。 本問では、相続前4ケ月の普通給与が病気のため 500,000円に引き下げられているが,労働基準法上の遺族補償(法律で支払いが義務 付けられている弔慰金)の算定基準を考慮すると,病気となる前の給与 1,000,000円を基礎に計算することが適正と判断される。 参考資料 ◆ 労働基準法第79条(遺族補償) 労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、平均賃金の千日分の遺族補償を行わなければならない。 ◆ 労働基準法第12条(平均賃金の定義) ① 平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3ケ月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の 総日数で除した金額をいう。 ② 省略 ③ 前2項に規定する期間中に、次の各号の1に該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前2 項の期間及び賃金の総額から控除する。 一 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間 ⑵ 葬式費用 ① 葬式費用には,葬儀費用のほか「葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの」を含めて良いこととされ,反対 に法会に要する費用(いわゆる初七日,四十九日の費用)は含めないこととされている。 本問での初七日の法要は,葬儀日と同日に行われていることを考慮し,通常葬式に伴うもの(又は葬式費用そのもの)として債務控 除の対象としている。(あくまで初七日費用だという解答も別解で認められても良いかもしれませんが。) ② 永代供養料とは,供養と墓の管理をお寺などに委託する場合に支払うものであり,非課税財産である墓所に係る債務であることから 債務控除の対象とはならない。 ⑶ 準確定申告の費用 所得税の負担額は,被相続人の所得に対して課された租税であり,申告により甲の死亡時に債務が確定していない場合でも被相続人の 債務として取扱う旨の法令があるため(法14②,令3)に債務控除が認められるが,税理士報酬については,確定申告という役務提供に 基づき債務が確定していると考えられるため,相続開始時の債務には該当しない。 ⑷ 生前贈与関係 ① 孫Hは,相続又は遺贈による財産の取得がないが,相続時精算課税適用財産を相続又は遺贈により取得したものとみなして相続税を 課税する。 対して生前贈与加算は,相続又は遺贈により財産を取得した者が前提となるため要件を満たさない子D及び孫Fに対しては相続税は 課されない。 ② 住宅取得等資金の非課税は,非課税限度額までの範囲内で累積して適用を受けることができる制度であるため,平成23年分の非課税 金額は限度額 1,500万円から既に適用を受けた 800万円を控除した残額となる。 ⑸ 生命保険契約 ① N生命保険は,契約者貸付金及び未払利息控除後の残額と保険金受取人が取得したものとして相続税を課税する。 ② P生命保険は,保険金の受領後に保険金額により借入金を返済したに過ぎないため,保険金総額に対してみなし財産の規定を適用し 借入金は甲の債務ではないことから債務控除の対象とはならない。 ③ Q生命保険は,生命保険契約に関する権利であり,源泉徴収税額控除後の残額により課税する。 (無断複写・転載を禁ず)

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