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つねにフロントであり続ける井上先生

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Academic year: 2021

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6 京都女子大学生活福祉学科紀要 第9号 平成 25 年(2013 年)2月 高齢化の問題は,早くから認識されていたが,基盤整 備が整う暇もなく,早くも超高齢社会を迎えてしまった。 高度成長期を経て,都市部への人口の集中と核家族化, 単身者の増加,女性の労働市場への参入など,家庭機能 の著しい低下が明らかとなった。これらに高齢化の進行 が加わり,必然として,家庭から乳幼児の養育と親の介 護の機能を外部化させる結果となった。好むと好まざる とに関わらず,「親の介護を,自らの介護をどうするのか」 という介護をめぐる問題は,遅かれ早かれ誰も避けては 通れない問題になったのである。 そして今,近未来の少子高齢人口減少社会を推計する 数字を前にして,「安心して老いる場はどこですか」と 問うても,納得し安心できるような答えはだれもだせな いままである。 ところで,先生は,教師から福祉の分野に軸足を移し, 介護の現場において常にフロントとして活躍してこられ た。時おりしも 1962 年に国庫補助事業となった家庭奉 仕員制度が,翌年老人福祉法に規定され,1989 年の福 祉八法の改正と高齢者保健福祉計画の策定により,ホー ムヘルパーの存在も,徐々に社会的に周知されるように なったころである。 一旦は公務労働として量的拡大に向いたものの財源の 確保の困難さから,税による政策から「高齢者介護を社 会で支える」として介護保険制度が発足し,企業労働も 加わり今日に至った。 介護をめぐる諸課題は,これまで概ね三つの観点から 語られてきた。一つは,介護を受ける立場から,二つは, 介護を提供する側から,三つ目は,政策的視点からであ る。介護を政策の立場から論じてきた者の多くは,介護 を家庭のシャドウワークの延長線上に置き,コストを切 り下げるため,介護労働の主力として「主婦のパート労 働」をおいて,補完としてボランティアを想定した。 このような流れに抗して,井上先生は,介護を担う人 材の養成と専門職としての位置づけを確かなものにする ために,人生の大半の時間と情熱を傾けてこられたのだ と思う。 介護をめぐる現場に身をおいてこられた井上先生の 「前に道なく,後に道ができる」おそらくそのような職 業人生を歩んでこられたのではないだろうか。はじめは 介護の現場の最前線で,次に後進を育てる側に身を置い て。その総仕上げとして,4 年制大学で介護福祉士を養 成し,更に大学院で学ぶ場を用意し,現場から介護に関 わる研究や介護政策を提言できる人材を養成することに 取り組んでこられた。 一番ヶ瀬康子先生は,生前に「介護保障は人権保障の 総仕上げである」と語っておられた。まさに本学の教育 目標である「主体的に認知する力,創造的に協働しつつ, 自ら課題を発見し,高い倫理観と責任感をもって想定外 の対して立ち向かえる人材」によって育った学生たちは, 介護の現場において,政策を企画する場において,その 力を発揮し,人権保障の総仕上げに資するとともに,そ の基盤づくりに取り組んでこられた井上先生の後に続く 人材に成長してくれると信じている。 井上先生,お疲れさまでした。そして,もうひとふん ばり,介護と京女の未来のために!

退官に寄せて

つねにフロントであり続ける井上先生

原田由美子

参照

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