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分譲住宅の設計手法の研究 : グッドデザイン賞を受賞した計画を対象として

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Academic year: 2021

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分譲住宅の設計手法の研究

(グッドデザイン賞を受賞した計画を対象として)

安田 利宏(家政学部 生活造形学科 非常勤講師)

北尾 靖雅(家政学部 生活造形学科)

1 .はじめに 一般的に住宅会社が提供する分譲住宅・建売住 宅の住戸計画や仕様は、経済合理性や短期で移り 変わるマーケット動向によって作られ、規模や住 戸計画が画一的な内容になっている。分譲住宅の デザインも、流行の色や柄、といった短期的な時 代性を反映したものであり、地域性に基づいたデ ザインが反映されていない。設計事務所を主催す る筆者(安田)は、建築家が普段手がける注文住 宅に加え、分譲住宅も積極的に受注している。依 頼された業務の背景や計画地の地域性を精査し、 事業者が持つ分譲住宅販売の根底にある先入観を 根本から見直し、様々な視点から分譲住宅のあり 方を見直した分譲住宅を計画してきた。本論では グッドデザイン賞を受賞した特徴的な 3 事業の分 析を進め、分譲住宅の可能性を検証していく。 2 .分譲住宅 A 2 − 1 .計画の概要 富山市中心部に程近い住宅地に建つ 2 棟の分譲 住宅である。この 2 棟は共働き世帯の入居を想定 した住宅である。北側の A 号地は、テレワーカー (在宅勤務)を想定した住宅で、 1 階に広いワーク スペースを備えている。南側の B 号地は、オン Fig. 1 一般的な分譲住宅の外観 出典 https://www.homes.co.jp/(2019年12月25日最終閲覧日) Fig. 4 分譲住宅 A:A 号地ダイニング(撮影・山田圭司郎) Fig. 3 分譲住宅 A:西側外観(撮影・山田圭司郎) Fig. 2 一般的な分譲住宅の平面図 出典 https://house.ocn.ne.jp/(2019年12月25日最終閲覧日) OCN 不動産 物件一覧サイトより

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サイトワーカー(職場勤務)を想定した住宅である。 共働き世帯を想定しているため、両住宅とも一般 的な住宅に比べ家族間のつながりが強く感じられ るよう、スキップフロアの空間構成を採用しワン ルームの住宅とした。 2 − 2 .計画の背景 政府の施策「一億総活躍社会の実現」において 「個人の自立性・主体性を尊重した多様な働き方 の促進」は、少子高齢化が進行する日本において 大変重要な政策である。特に地方都市では少子高 齢化や人口減少が顕著であり、その対策は待った 無しの状況である。従来の共働きが多い県民性に 加え、平成19年より「ワーク・ライフ・バランス に配慮した柔軟で多様な働き方」が富山県で促進 されたことが、本計画の土壌となっている。 2 − 3 .計画の特徴 「共働き世帯の住まい」の実現のため、住居全体 をワンルームに近い構成とした。両住宅には 4 層 のスキップフロアで構成される上下階の繋がり によって、家族同士の気配が常に感じられる。造 作収納は扉のない開放的な造りとし、収納物の視 認性を確保しスムーズな収納環境を整備した。A 号地は地域との繋がりが強い敷地角近くにワー Tab. 1 事業概要一覧表 計画地 構造・規模 面積(m2 ) 用途地域 その他都市計画 販売価格(万円)グッドデザイン賞 受賞年度 分 譲 住 宅 A 富山県富山市 2 住戸 木造 2 階建 専有: 117.60 ∼ 145.30 敷地: 120.04 ∼ 137.28 第一種住居地域 建蔽率 60% 容積率 200% 第二種高度地区 準防火地区 4000 ∼ 5000 2017 年 分 譲 住 宅 B 京都府京都市 2 住戸 (全 4 区画) 木造 2 階建 専有:92.25 敷地:115.37 第一種低層住居 専用地域 建蔽率 50% 容積率 80% 市街化調整区域 10 m 高度地区 法第 22 条区域 5630 ∼ 5830 2017 年 分 譲 住 宅 C 三重県川越町 4 住戸 木造 2 階建 専有: (117.42 ∼ 137.08) 敷地: 165.32 ∼ 168.33 第一種住居地域 建蔽率 60% 容積率 200% 法第 22 条区域 3488 ∼ 3880 2017 年 分 譲 住 宅 D 千葉県八千代市 7 住戸 木造 2 階建 専有:117.14 (107.00 ∼ 137.90) 敷地 150.74 ∼ 179.33 第二種住居地域 建蔽率 60% 容積率 200% 第一種高度地区 法第 22 条地区 4120(平均) 2019 年 ྿ᢤ䛻㠃䛧䛯 Ꮫ⩦䝇䝨䞊䝇 ᗋ䝺䝧䝹ᕪ䜢฼⏝䛧䛯䝇䝍䝑䝗䝺䝇䝍䜲䝲ಖ⟶ᗜ ኳ❆䛛䜙䛾᥇ග䛷䚸 ᐊෆ ୰ኸ㒊䛾↷ᗘ䜢☜ಖ䛩䜛 Ꮚ౪ 䝇䝨䞊䝇 䝽䞊䜽䝇䝨䞊䝇 㻷 㻸 㻰 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽䞊䞊䞊䞊䞊 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䝽 䞊 䜽 䝇 䝨 䞊 䝇 䛸 ఫ ᒃ 䜶 䝸 䜰 䛾 㛫䛻䛒䜛䜸䞊䝥 䞁䛺཰⣡䛿䚸 ⫋ ఫ䜢⦆䜔䛛䛻ศ 䛡䛺䛜䜙䚸 ✵㛫 䛾 䛴 䛺 䛜 䜚 䜢 ☜ ಖ䛩䜛 䝇 䜻 䝑 䝥 䝣 䝻 䜰 䛾᩿㠃ィ⏬䛸䛧䚸 ᐙ᪘䛾Ẽ㓄䜢䛹 䛣䛛䜙䛷䜒ឤ䛨䜙 䜜䜛䜘䛖䛻䛩䜛 Fig. 5 分譲住宅 A: A 号地断面図 S = 1:200 ୍య䛾䝇䝨䞊䝇䛷䛒䜛䝎䜲䝙 䞁䜾䛸䝸䝡䞁䜾䛿䚸 䝺䝧䝹ᕪ 䜢䛴䛡䛶ኚ໬䜢ᣢ䛯䛫䜛 ᗋ䝺䝧䝹ᕪ䜢฼ ⏝䛧䛯䝇䝍䝑䝗䝺 䝇䝍䜲䝲ಖ⟶ᗜ 㻸 㻰 㻷 Ꮚ౪ 䝇䝨䞊䝇 䝇 䜻 䝑 䝥 䝣 䝻 䜰 䛾᩿㠃ィ⏬䛸䛧䚸 ᐙ᪘䛾Ẽ㓄䜢䛹 䛣䛛䜙䛷䜒ឤ䛨䜙 䜜䜛䜘䛖䛻䛩䜛 Fig. 6 分譲住宅 A: B 号地断面図 S = 1:200

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クスペースを設け、 2 階にはリビングを核とする 回遊性のある居住部分を配置した。仕事場と生活 の場に対する繋がり(スキップフロアによる)と 分節(階層分離)をバランスよく両立させている。 B号地は、キッチンとリビングにレベル差を付け ながら直線上に配し、視線の繋がりと変化のある 空間性を生み出した。 3 .分譲住宅 B 3 − 1 .計画の概要 京都市西京区大原野の自然豊かな地域に建つ 2 棟の分譲住宅である。敷地内に調整区域の境界 がある特殊な宅地で、大半を占める市街化調整区 域と北側斜線で建築規模が極度に制限されてい る。建築可能な延床面積は20坪強であり、そこに 子育ての終わった年配夫婦 2 人暮らしのための 小住宅を計画した。構造体等に京都府内産木材を 使用し、土間空間や薪ストーブなど、時間に余裕 のある生活を楽しむ要素を取り入れ、自然を生活 の一部として楽しめる住宅を計画した。 3 − 2 .計画の背景 敷 地 形 状 と 北 側 斜 線 か ら 建 物 形 状 が ほ ぼ 決 まった中で、 2 棟の住宅はわずかに外観に変化を 持たせながら、既存の町並みと自然環境の双方に 㻤㻢㻠㻡 㻢㻟㻣㻜 㻝㻜㻜㻝㻜 㻣㻞㻤㻜 㻤㻝㻥㻜 ྿ᢤ䛻㠃䛧䛯 Ꮫ⩦䝇䝨䞊䝇 ከᵝ䛺ᐙ᪘ᵓᡂ䛻 ᑐᛂ䛷䛝䜛ྍື཰⣡ 㻭ྕᆅ㻌䠎㝵㻌ᖹ㠃ᅗ 㻮ྕᆅ㻌䠎㝵㻌ᖹ㠃ᅗ ྿ᢤ ྿ᢤ 䝞䝹 䝁䝙䞊 㻸 Ꮚ౪䝇䝨䞊䝇 ᅇ㐟ᛶ䛾☜ಖ ᅇ㐟ᛶ䛾☜ಖ ᡬ䛾↓䛔䜸䞊䝥䞁䛺཰⣡ ྿ᢤ 䝞䝹䝁䝙䞊 Ꮚ౪䝇䝨䞊䝇 㻤㻢㻠㻡 㻡㻠㻢㻜 㻥㻝㻜 㻝㻝㻤㻟㻜 㻣㻞㻤㻜 䝽䞊䜽䝇䝨䞊䝇䛸ఫᒃ䜶䝸䜰䛾㛫䛻䛿䜸䞊䝥䞁䛺཰⣡䛜䛒䜚䚸 ⫋ఫ䜢⦆䜔䛛䛻ศ䛡䛺䛜䜙䚸 ✵㛫䛾䛴䛺䛜䜚䜢☜ಖ䛧䛶䛔䜛 䝽䞊䜽䝇䝨䞊䝇䛿⾤ 䛸䛴䛺䛜䜚䛾ᙉ䛔ᩜ ᆅゅ䛻䝺䜲䜰䜴䝖 ⣡䛜 䛜 ゅ䛻 㻥㻝 㻥 㻥 㻥 㻜 䝇 㻜 䝇 䝇 䛜 䛻 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 ᆅゅ 䝇 ཰⣡ ཰⣡䛜 ゅ 䛜 ゅ䛻 ゅ䛻 䝇 㻥㻝 㻥 㻥 㻥㻝 㻥 㻥 㻥 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 㻥㻝 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 䝇 䝇 䝇 䛜 䛜 䛜 䛜 䛻 䛜 䛻 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䛜 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䛺䛜 䛺䛜 䝇 䝇 䛜 䛜 䛜 䛜 䝇 䛜 䝇 䝇 䛜 䛺䛜 䝇 䛺䛜 䝇 䝇 䝇 䛜 䝇 䛜 䝇 䛜 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 㻥 㻥 㻥 㻥㻝 㻥 㻥 㻥 㻥㻝 㻥 㻥 㻥㻝 㻥 㻥 ゅゅ䛻ゅ䛻 㻥 ゅ 㻥㻝 㻥㻝 䛻 䛜 ゅ䛻 䛜 䛻 ゅ ᆅゅ䛻 ᆅゅ 㻝 㻥 㻥㻝 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥㻝 㻥㻝 㻥 㻥㻝 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䛜 䝇 䝇 䝇 䝇 䛜 䛜 䝇 䛜 䝇 䛜 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䛜 䛻 䛺䛜 䛻 䛻 ゅ䛻 䛺 䛻 䛻 䛜 ゅ 䛜 䛺䛜 ゅ䛻 䛜 䛜 䛻 䛜 ゅ䛻 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 㻥 㻥㻝㻝㻝 㻥 㻥 㻥 㻥 㻥㻝 㻥㻝㻝 ᆅゅ 䝇 䛺䛜 䛻 䛺䛜 ゅ䛻䛻 䛜 䝇 䛺䛜 ゅ䛻䛻䛻 䝇 䛻 䝇 䝇 䝇 䝇 䛜 䛺䛜 䝇 䝇 䛻 䛻 䝇 䝇 䛺䛜 䛻 䝇 䝇 䛻 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 ゅ ᆅゅ ᆅゅ ᆅゅゅゅゅ ᆅゅ ᆅゅゅゅゅ䛻ゅ䛻ゅゅゅゅゅゅゅ ᆅゅ ᆅゅゅ ᆅ ᆅゅゅゅ ᆅゅ ᆅゅゅゅ䛻ゅ䛻ゅゅゅゅゅゅゅゅゅ ᆅゅ 㻺 㻭ྕᆅ㻌䠍㝵㻌ᖹ㠃ᅗ 䠎㝵㻌䝸䝡䞁䜾 㻮ྕᆅ㻌䠍㝵㻌ᖹ㠃ᅗ 䝽䞊䜽䝇䝨䞊䝇 㻷 㻰 䝃䞊䝡䝇 䝔䝷䝇 ᅇ㐟ᛶ䛾☜ಖ እ㒊཰⣡䛸䛧䛶䜒 ᶵ⬟䛩䜛ᅵ㛫⋞㛵 䝃䞊䝡䝇䝔䝷䝇 㻸 㻷 㻰 ᡬ䛾↓䛔䜸䞊䝥䞁䛺཰⣡ እ㒊཰⣡䛸䛧䛶䜒ᶵ⬟ 䛩䜛ᗈ䛔ᅵ㛫⋞㛵 Fig. 8 分譲住宅 A: 平面図 S = 1:250 Fig. 9 分譲住宅 B: 東側外観(撮影・山田圭司郎) Fig. 7  分譲住宅 A:内観 吹抜を介して室内がつ ながる様子がわかる (撮影・山田圭司郎)

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配慮したデザインとした。薪ストーブの煙突が自 然を楽しむ住宅のシンボルとして、外観デザイン のアクセントとなっている。居住者は、時間に余 裕があり自然とふれあう生活を指向する夫婦と 想定し、広い土間空間・薪ストーブを中心とした 吹抜のあるリビング・善峯川まで続く広大な庭園 と一体となる開口などが住空間の中で適切に反 映されている。 3 − 3 .計画の特徴 限られた床面積を有効に活用するため、廊下や 壁を極力設けず、機能性を持たせ開放的な住戸計 画とした。「大きな吹抜と広い土間に設けた薪ス トーブ・京都府内産杉材を用いた床材」や「将来 の建設計画が無い市街化調整区域内の庭園方向 に配した大きな開口」といった住まいの特徴を取 り入れ、年配の居住者に受け入れられる住居とし 㻣㻞㻤㻜 㻣㻞㻤㻜 䕰㞄ᆅቃ⏺⥺ ▲㞄ᆅቃ⏺⥺㞄ᆅቃ⏺⥺ ▲ 㐨㊰ቃ⏺⥺ ▲㐨㊰ቃ⏺⥺ ྍື㛫௙ษ䛷 ᩜᆅ኱༙䜢ᕷ⾤໬ㄪᩚ༊ᇦ 䛷ษ䜚ྲྀ䜙䜜䛶䛔䜛䛯䜑䚸ᗈ 䛔እ㒊䝇䝨䞊䝇䛷䛿䚸䜖䛸䜚 䛒䜛᫬㛫䜢฼⏝䛧䛶䚸ᐙᗞ⳯ ᅬ➼䜢ᴦ䛧䜐஦䛜䛷䛝䜛䚹 䠎ᐊ䛻ศ๭ྍ⬟ 䠎㝵䛛䜙ᗞᅬ䜈䛾 ど⥺䛾ᢤ䛡䜢☜ಖ 䝖䝑䝥䝷䜲䝖

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た。ハウスメーカーが提案する高機能バリアフ リー平屋住宅とは一線を画した、コンパクトな計 画を試みた。 4 .分譲住宅 C 4 − 1 .計画の概要 本分譲住宅は、三重県北部・川越町の平坦な田 園地帯に造成された、 4 区画分譲地に建つ建売住 宅である。南北の田園に挟まれた東西に細長い分 譲地には、川越町の現状の詳細なリサーチ結果を 反映した、建売住宅の域にとらわれない分譲住宅 か建設された。各 4 住戸は街並としての統一感を 持たせながら、異なった特徴を持つ住宅として計 画された。 4 − 2 .計画の背景 事業主は、東海地方に複数の営業所を持つ地元 密着の住宅販売企業である。この事業者が手掛け てきたのは全国どこででも見かける一般的な建 売住宅であり、住戸計画・住宅デザインに地域性 Fig. 13 分譲住宅 C:南側外観(撮影・山田圭司郎) 㻺 䠑ྕᆅ 䠏ྕᆅ 䠎ྕᆅ 䠍ྕᆅ 㞳䜜 䠄ಶᐊ䠍䠅 ಶᐊ䠍 䝣䝸䞊䝇䝨䞊䝇 ಶᐊ䠎 䝞䝹 䝁䝙䞊䠍 䝞䝹䝁 䝙䞊䠎 䝞䝹䝁䝙䞊䠍 䝞䝹䝁 䝙䞊䠎 䝞䝹䝁䝙䞊䠍 䝞䝹䝁 䝙䞊䠎 䝞䝹䝁䝙䞊䠍 䝞䝹䝁 䝙䞊䠎 䝞䝹䝁䝙䞊䠏 ಶᐊ䠏 ಶᐊ䠍 ಶᐊ䠎 ಶᐊ䠏 ಶᐊ䠎 ಶᐊ䠏 ಶᐊ䠐 ྿ᢤ ྿ᢤ 㻝㻠㻡㻢㻜 㻝㻟㻢㻡㻜 㻝㻞㻣㻠㻜 㻤㻝㻥㻜 㻠㻡㻡㻜 㻝㻠㻝㻜㻡 㻤㻢㻠㻡 㻟㻢㻠㻜 㻢㻜㻜 㻤㻢㻠㻡 㻤㻢㻠㻡 ⋞㛵ᅵ㛫䛸㥔㌴ሙ䛜୍య䛸䛺䜚䚸 ㌴䜔䝞䜲䜽ᩚഛ䛺䛹䛾䝇䝨䞊䝇䛻 㻸㻰㻷䜢䛴䛺䛠ᅵ㛫䝇䝨䞊䝇 㞳䜜䛾䜘䛖䛺⊂❧䛧䛯䝇䝨䞊䝇 ⾤䛸᥋䛩䜛఩⨨䛻㞳䜜䜢㓄⨨䛩䜛 ಶᐊ䠍䛷⏕ά䛜᏶⤖䛷䛝䚸 ஧ୡᖏఫᒃ䛸䛧䛶䜒ᶵ⬟䛩䜛 㻰 㻷 㻸 㻸 㻰 㻷 ⋞㛵 ⋞㛵 㞳䜜 እ㒊 ཰⣡ 䝕䝑䜻䝔䝷䝇 䝕䝑䜻 䝔䝷䝇 䝕䝑䜻 䝔䝷䝇 䝕䝑䜻 䝔䝷䝇 ಶᐊ䠍 ಶᐊ䠍 ࿴ᐊ ᅵ㛫 㻸 㻸 㻷 㻷 㻰 㻰 ⋞㛵ᅵ㛫 ⋞㛵 ᅵ㛫 䠍㝵ᖹ㠃ᅗ㻌 䠎㝵ᖹ㠃ᅗ㻌 Fig. 14 分譲住宅 C: 全体平面図兼配置図 1/400

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等を反映してこなかった。本計画に先立ち、川越 町の現状を詳細に調査すると、近年は若年世帯が 増加傾向で、農地転用による宅地確保が活発であ る事が判明した。また水害が多い歴史性から震災 以降防災コミュニティに高い関心がある事が判 明した。その結果川越町には豊かな近隣 コミュ ニティが形成できる分譲地開発が必要という結 論に至った。豊かな近隣コミュニティ形成のた め、均質化した住まい作りではなく、若者層の多 様化なライフスタイルの受け皿になる、従来の建 売住宅の範疇を越えた分譲地計画を進めてきた。 4 − 3 .計画の特徴 1 号地は近隣と接する道路側に「離れ」をもつ 住戸である。趣味スぺース等の私的空間や、塾や ゲストスぺースとして地域・社会に関わる公的空 間として活用可能な「離れ」を設定した。 2 号地 は「二世帯」で暮らせる住戸である。 1 階に水回 りを有する個室を配し、介護車両から直接親世帯 個室にアプローチできる動線を確保した。 3 号地 は「室内土間」のある住戸である。リビングとダ イニングの間に玄関から続く大きな土間を設置 した。 5 号地は「子育て」に配慮した住戸である。 ここは専用道路の一番奥にあるため、外部も安全 で子育て環境に適している。ロフトのある大きな 個室は、子供の性別・年齢構成や成長に合わせて、 可変な子供室を作る事ができる。 5 .分譲住宅 D 5 − 1 .計画の概要 千葉県八千代市の新興住宅地内の分譲住宅で ある。分譲地内の敷地境界を貫く「ロジ」と多数 点在する「テラス」との接点が、住戸間コミュニ ティの場となる計画とした。植栽計画は若い家族 層に支持されている千葉市内のガーデンショッ プと共同で取組んだ。建売住宅では軽視される外 構計画の充実を多方面から取り組んだ分譲住宅 である。 5 − 2 .計画の背景 事業者は千葉県柏市に本社を置く総合建設会 社である。本事業者は2018年に創業50年を迎え、 この計画は節目の事業として、今後の企業体制を 見つめ直す機会となった。50年前の創業時には都 市部でも存在し、近年では喪失しつつある「住戸 間コミュニティの場の創出」が、住まい作りの原 点に立ち返る方法と位置づけ、外構計画を充実さ せることで住戸間コミュニティが活性化する分 譲住宅を目指した。 5 − 3 .計画の特徴 いわゆる一般的な建売住宅が購入可能な若い 中間所得層が販売対象であり、建材・住宅設備の スペックは事業者が設定する標準仕様とする反 面、外構計画の充実を図った。その結果、住居内 外が一体となった開放的な住環境が実現し、そこ に住民同士が通り抜け可能なロジがつながり、分 譲地全体でコミュニティの場が創出されている。 6 .まとめ 筆者は事業の背景を観察し計画地の環境を精 䝝䝘䝺 䝝䝘䝺 䜸䞊䝥䞁 䝔䝷䝇 䜸䞊䝥䞁 䝔䝷䝇 䜸䞊䝥䞁 䝔䝷䝇 䜸䞊䝥䞁 䝔䝷䝇 㻡ྕᆅ 㻢ྕᆅ 䝻䝆䛜ᩜᆅቃ⏺䜢㈏䛟⟠ᡤ 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝇 䝝 䝻䝆䛜ᘓ≀䜢䛟䛠䜛⟠ᡤ 䜸䞊䝥䞁䝔䝷䝇䛸䝻䝆䛿ఫᡞ 㛫䛾䝁䝭䝳䝙䝔䜱䛸䛺䜛 䞁 䞁 䞁 䞁 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䝔 䝔 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䜸 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䞊 䞊 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䞊 䞊 䞊 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䝔 䞊 䞊 䞊 䝷 䝷 䝷 䝷 䝷 䝷 䝷 䝷 䝥 䝥 䝥 䝥 䝥 䝥 䝥 䝷 䝷 䝷 䝷 䝷 䝷 䝷 䝷 䝷 䝷 䝥 䝥 䝥 䝷䝇 䝷䝇 䝷 䝷䝇䝇䝇 䝷䝇 䝥 䝥 䝇 䝇 䝇 䞁 䝇 䝇 䝇 䝇 䞁 䞁 䝇 䝇 䝇 䝇 䞁 䞁 Fig. 15 分譲住宅 D: 5,6 号地平面図 1/300

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査することで、個性的な分譲住宅を実現させてき た。分譲住宅 A の事例では共働き世帯に特化す ることで、室数確保が優先される従来の分譲住宅 とは違うワンルーム住戸を実現させた。分譲住宅 B の事例では、延床面積が30坪を超えるものが一 般的な分譲住宅市場で、20坪強の小規模分譲住宅 を実現させ、子育てが終わった年配夫婦を販売対 象にした分譲住宅、という新しいマーケットを開 拓した。分譲住宅 C の事例では、現代の多様な 家族像に細かく対応した多様な住戸計画としな がら、街並みとして一体感がある外観デザインを 実現した。分譲住宅 D の事例では、住戸間の敷 地境界にある塀やフェンスなどの構造物を撤去 するだけではなく、敷地境界を越境して分譲地の 住民が通り抜けできる路地の設置が実現した。こ うした取り組みはグッドデザイン賞(公益財団法 人・日本デザイン振興会主催)を受賞した実績か らもその社会的意義が立証されている。少子化が 進みライフスタイルの多様化が進む現代社会に おいては、多様性に富んだ分譲住宅の可能性はま すます高まっていく。 Fig. 16 分譲住宅 D: 俯瞰外観(撮影・山田圭司郎)

参照

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