盲児 にお ける図形・ 空間認知力 の育成
日
学校 算数科 にお ける学習指導 の改善――
=r* て正**
Development of Cognitive Abilities of Figure― Space for the Blind
―Improvement of Learning Program of Arithmetic
in a School for the BInd―
Sh◎
z6SASADA*,ToShie″ rANAKA**
は じ め :こ 著者 の1人
(田中)が
,盲
教育5年
目にして,初
めて精神発達遅滞 を伴 った全盲生Tを
担任 し た。Tが
中学部2年
生 の時であった。小学部入学当初か らみると,人
格形成,社
会適応,学
習活動 など種々 の面 において著 しい仲 びが見 られたが,し
か しなお,自
立 に向けて多 くの課題 を残 してお り,そ
の一つが,「空間認知力の向上」であった。Tは
小学部 の時か ら,数
字 の読 みにおいて,点
字 における点の配置が鏡構造 をもつ3組
の数字 5と9(i: :こ
と
i: ::), 4と
6(i: :こ
と
ii :こ), 8と
0(i: :こ
と
i: ::)
の区別が不明確で,必
ず といってよいほど逆読 みをし,算
数科 の指導 に困難 をきた していた。 これ を何 とか克服 させたい と思 い,あ
れ これ指導法 を工夫 してみたが,結
局,完
全 に修正・改善 す るこ とがで きなかった。 また,掃
除場所 のコの字型 に並べ られたすの子の拭 き方 も,身
体 の動 きを通 し て,再
三再四指導 したが,な
かなか定着で きなかった。 このように,Tに
は,学
習や作業,日
常 の 生活行動の中で空間認知力 の欠如 と思われ る多 くの課題がみ られた。反復練習だけで は獲得で きな いこれ らの課題 に対 し,そ
の原因を究明 し,適
切 な対応や具体的な手だてを講 じること,こ
の こと が全盲生Tが
著者 (田中)に
投 げかけた問題であ り,本
テーマでの研究の動機で もあった。 点字 ひ とつをとって も,点
の空間的配置の識別 を必要 とするように,環
境 の中の具体物 はすべて 形 と大 きさをもち,位
置や方角・ 距離 によって規定 されて存在 している。それゆえに,盲
児 の「 自 立」 を図 る上で,基
礎的な図形・空間に対す る認識 を高め,盲
児 の図形 。空間認知力 を育成 してい*)数
学科教育教室 Department of Mathemaics Education,Tottori UniverSty・
*)鳥
取県立鳥取盲学校教諭(平成 3年 度特殊教育内地留学生)TottOri school for the Blind,Tottori Prefectur‐ e 昭 利 田 中 笹 田笹田昭三・ 田中利江 :盲児における図形・空間認知力の育成 くことは極 めて重要な ことである。 そこで本論文で は
,一
つに,盲
児 の空間認知力 はいかに育成 され るのか。 また,盲
児 の感覚 の特 性,知
覚 の発達等,盲
教育 にたず さわる教師 として理解 してお くべ き基本的事項 とは何か,こ
れ ら を追究 の課題 にす る。 もう一つは,盲
学校算数科 における「図形・ 空間」領域 の授業改善 について の提案である。盲学校 における算数教育 の現状や困難点 をぶ まえ,ま
た前者の考察 の知見 に基づい た,授
業改善 の考 え方 とその学習指導のプログラムを提示する。I
盲 児 に お け る知 覚 と概 念 形 成 医学的 に生 まれつ きの盲人 を先天盲,生
後失明 した ものを後天盲 と言 うが,心
理学的 には視覚的 経験 の記憶が問題 となる。 それが彼等の心理的特性 に影響 し,ま
た教育 にも関係するか らである。 視覚的経験 に関する記憶 の有無 と失明年齢 との関係 は個人差があ り,一
様 には言 えないが, 3歳
か ら5歳
くらいまでの失明 は,視
覚的経験 の記憶が残 らない とされている(1ち そこで,本
研究で用 い る 「盲児」 とは,視
覚的経験 の記憶が無い「早期全盲児」 を意味する。 この章では,こ
ういった早期 全盲児 の知覚 の特徴や概念形成の重要性 について追究す る。1.盲
児にみ られる心理的影響② 人間の認知発達 に重要な貢献 を果たしているのは視覚的な情報であ り,日
を窓 口 とす る情報 は全 情報量 の80%を
越す と言われている。 乳児の発達 をみて も,生
後す ぐに物 を注視 し, 2ケ
月 になると動 く対象 を目で追 った り,見
るた めにうつぶせ状態で頭 を上 げた りす るようになる。4ケ
月になると目の前 の物 をつかみ, 9ケ
月 に 入 ると欲 しい ものをハイハイ して取 りに行 くことがで きるようになる。 これか らみて も,乳
児 は見 えた物 に誘発 されて行動 を起 こしていることがわか る。 このように,人
間の行動 に とって重要 な役 割 を果 た している視覚が,生
来 あるいは早期 において欠損す るとい うことになると,環
境 に対 す る 認知行動 は著 しく制限 され,以
下のような問題が起 こる。 ① 周囲の様子がわか らない。 視覚 は明暗,色
彩,形
態 に関す る情報 の窓 口である。 さらに遠感覚 と呼ばれ広い視野(視空間) をもつため,対
象の全体像 を把握 した り,対
象物間の空間的な距離関係や方向・ 位置 の関係,さ
らに運動や運動 の因果関係 な どの把握 に重要な役割 を果た している。 こうした視覚特有 の情報が 失われ ることか ら,自
分 の囲 りの情報が無いに等 しい。 したがって盲児 は,人
に教 えて もらうこ とで もなければ,囲
りの様子が全 くわか らない。 ② 視覚的模倣がで きない。 正眼児 は成長過程 において,知
らず知 らずの うちに多 くの ことを視覚的模倣 を通 して学習す る が,盲
児 はこれがで きない。イヽ学部中学年 になって も模倣笑いが現れない盲児 を経験 したが,笑
いの発達 もこの一例である。正眼児な ら集団指導ですむが,盲
児 は個別指導 によらなければな ら ない ことが多いのはこのためである。 ③ 視覚的刺激 に対す る反応が起 らない。 正眼児 に とって は,環
境 の中に行動 を誘発す る視覚的刺激がた くさんあるが,盲
児 にはそれが 刺激 として働 きをしない。例 えば,お
もちゃ。絵本 は,子
どもに とって興味ある遊 び道具であ り, 行動 の誘因になるが,盲
児 には行動 を誘発す る力 をもたない。 したがって,周
りか らの働 きか け鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第
1号 (1992) 21
がない限 り,盲
児の行動 は限定され,経
験 も少な く,非
活動的な傾向が強 くなるのである。 ④ 具体的事物で知 らないものが多い。 正眼児は生 まれてか ら自分 の身辺にあるいろいろな物を見て育っている。正眼児には全 くあた り前に見える事物で も,盲
児 は知 らないでいることが多い。 したがって,盲
児には常に周囲に何 が存在 しているかを知 らせてやる必要がある。2.盲
児 と触覚的認知(1)視
覚の代役 としての触覚による認知 (触知覚) 早期全盲者 は情報の量的,質
的な不足分 を補償するために,視
覚以外の他の感覚器官を総動員 しなければならない。視覚に代わるものとして,触
覚,聴
覚,味
覚,嗅
覚などがあるが,視
覚の 代役をするものとして触覚の役割が大 きい。触覚 は盲人にとって重要な代替感覚であり,「目を手 に代えて」 と言われるくらい大切な役割を果たす。しかし,触
覚が視覚のすべてを代役できるも のでない。視覚 と対比 して,触
覚による認知 は,次
のような問題点 と限界 をもつものである0。 ① 視覚は遠感覚 と呼ばれ,広
い視空間を得るのに対 し,触
覚 は近感覚あるいは接触感覚 と呼ば れ,一
度にとらえる情報量が極めて少ない。 ② 個々の事物 を触知することができても,そ
れ らが空間内で どのような関係,配
置にあるかを 把握することが難 しい。すなわち,経
験する物が個々にな りやすい。 ③ 触覚では,あ
る物の全体像 を把握するためには,少
しずつ順 にその物 を触っていかねばなら ない。そのため,全
体 と部分 との関係が とらえに くく,継
時的で部分的な知覚様式になりやす Vゝ。 ④ 視覚 は,目
さえ開けていれば自然に刺激が入ってきて,い
ろいろなことが学習できるのに対 し,触
覚 は,直
接的に触れないと何 もわからない。つまり,視
覚 は消極的,受
動的で もよいが, 触覚 は積極的,能
動的でなければ情報の獲得ができない。 ⑤ 視覚では可能でも,触
覚では触われないために認知不可能 というものが極めて多い。 たとえば,遠
くにあるもの(月,太
陽,空,星
など),触
ることので きない存在(光の反射や 影など),触
ると危険な もの (沸騰 しているものなど),触
っただけでは違いのわからないもの (容器に入った液体,寒
暖計の水銀など),あ
まりに大 きすぎて一部分 しか触れないもの (山, 川,海 ,島
など),あ
まりにも小さすぎて触 ってもわからないもの(アリ,虫
など)が
その例で ある。 ⑥ 動いている物の知覚 は困難である。それは,触
る時に常にその物 に圧 を加えてしまい,自
然 的な状態を壊 したり,運
動 を変 えてしまうからである。たとえば,カ
ーテンがひらひらするな どということは視覚の世界 (視空間)の
ことであって,触
覚の世界 (触空間)に
は存在 しない。 ⑦ 空間概念の形成に際 して,触
覚の世界では,左
右,上
下,前
後 という空間座標軸がつ くりに くい。 修)触
運動の役割 とコン トロール (触運動知覚) (1)で述べたような触覚 による不利 な条件 を少 しで も克服す るために重要 と考 えられているのが, 腕や手の運動 (触運動)で
ある。腕 や手 の運動 は大 きいのでつ くりやす く,ま
た教師が子 どもの手 をとって指導す ることもで きる。運動 の結果 は,す
ぐにフィー ドバ ックで きるし,必
要な ら反復 し て確認で きる。特 に,空
間概念 の学習 にあたって,図
形・ 空間の座標軸 の形成 は極 めて重要である22
笹 田昭三・ 田中利江:盲児 にお ける図形 。空間認知力 の育成 が,こ
の触運動 によって,盲
児 において も体軸 を中心 とした座標 の形成が可能 となる。 こうした触 運動の利点を考 えるとき,盲
児 に とって,触
運動のコン トロール は極 めて重要な意味 をもつ。 盲児が外界 に働 きか け,物
と接触 をもつの はよ くコン トロール された運動以外 にない。盲児 にお ける触運動 は,触
覚 による認知 の不利 な条件 を緩和 し,克
服 してい く手 だてであ り,能
力である。 このような理 由か ら,盲
教育 の出発点 は,触
運動のコン トロールについての学習 にあると言われて いる。 この「触運動 のコン トロール」の学習 について,文
部省編 『盲児 の感覚 と学習』では次のよ うな基本学習 とその指導順序 を挙 げている141。 ① 手のひ らを握 った り,開
いた りす る。 そして,物
をつかんだ り放 した りす る。 ② 平面 をなでた り,線
をた どった りす る。(平面や線か ら離れた り浮 いた まま運動 しない。) ③ 両手で物 をた どる。(まず,出
発点 を左手で押 さえ,右
手でた どる。次に,左
手がた どつてい るものを,右
手が知 るとい うようにして関係づけの初歩 を学習す る。) ④ 手の運動その ものを規制す る。(腕の運動 は円運動,あ
るいは波形運動 になっているが,これ を直線的運動がで きるよう規制す る。) ⑤ 線の方向づ けをして,運
動 の方向をとらえる。A:静
止 した線 をた どり方向づ けをす る。BI運
動するものを身体全体 を動か して追 う。Ci自
分の身体 は動か さないで,腕
や手で運動す るものを追い,運
動の方向を弁別する。 ③ 点の位置づけ。(直線が折れ曲が るところ,2直
線の交わ るところとして,空
間内における点 の定位 を学習す る。) このように,手
の運動 を意識化 させ る活動 の中で,触
知覚 は触運動知覚 に高め られるとともに, 図形概念の形成や構造化が促進 されてい くのである。3.知
覚の発達 と概念形成 概念形成 は,知
覚 の発達 と密接な関係があ り,特
に視知覚 を欠いた盲児 には容易 なことで はない。 さまざまな不利 な条件 を克月Rしていかに概念形成 を図るか は,盲
教育 における重要な課題であると 考 える。 そこで,こ
の節では,概
念形成 の過程,お
よび知覚 と概念形成 との関連 について考察する ことにす る。(1)概
念形成の過程(0 人間 はあ くまで も外界 の状態 をみた り触れた りしなが ら知覚 し,知
覚 に伴 つての判断で生活 して いる。 したがって,知
覚 した ものを「記憶」 という形で保持 してい く必要があ り,ま
た必要な場合 には,そ
の記憶 を取 り出す ことので きる機能 をもつ ことが必要である。 これが「ザい象」(イ メージ) と言われるものであ り,心
の中に視覚的,静
的な記憶 として焼 き付 けられた ものである。 例 えば,「コップが落 ちて壊れ る」 とい う事実 を例 にあげてみる。「ガチ ャンとい う音 とともにコ ップが粉々 に割れ る」とい う場面 を知覚す ると,こ
れが,い象 として記憶 の中に保持 され る。その後, また,物
が壊れ る場面 を体験 した時,音
や場面 の状態か ら以前の心象 を思い起 こす。 「物が落 ちて壊れ る」 とい う心象 を量的に積 み重ね,強
化 してい くと, ①Alの
時Blで
あつた。 ②A2の
時B2で
あつたo鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第
1号
(1992)②
Anの
時
Bnで
はないだろうか
?このような体験①
,②
,……・の蓄積の中で
,②
のような「類似性」によ
る心象をもつことが可能となる。概念形成に至る第 1段階として
,幼
児
期から経験を繰 り返してなされる,こ の心象の量的蓄積が極めて重要な
ことである。
そして,資
料 として蓄積 された心象 は,加
工 されて概念 となる。右図 抽象化抽象化
を
と
R瑞
寇 良
の
ま
]椒
≧
魁 を
結 象
綜
!_→
士
け (統合)さ
れて,一
つの概念が形成 されてい くのである。 概念が成立す ることによって,知
覚が論理的枠組 みに支配 され,幼
児期 の自己中心的な知覚 の特 徴 に支配 されな くな り,認
識 のあ り方が次第 に客観性 を増 して くるのである。 このように,知
覚 は心象 を形成 し,心
象 は概念 を形成す るための資料 とな りなが ら,互
いに影響 を及ば し合い,そ
れぞれの客観性 を増 してい きつつ,上
記のような仕組 み と順序◆慨念形成 されて い くのである。 彼)盲
児の知覚発達 と概念形成 知覚か ら心象,そ
して概念形成 に至 る過程 を考察 して きた。 このことか ら,よ
りよい概念 の獲得 のためには,よ
りよい知覚がで きることが大切 であることがわかる。盲児 にとって最 も有効 な触知 覚 については,本
章 の2「盲児 と触覚的認知」 で も述べて きたが,こ
こではさらに,図
形知覚 の発 達 とい う観点か ら考察 を深め,概
念形成 のための触察 のあ り方について考 えることにす る。 国立特殊教育総合研究所が行 った,特
別研究「障害児のパター ン認識 に関す る総合的研究」で は, パター ン認識 と知覚や知能などとの関係が検討 され,
とくにパ ターン認識 と知覚 との関係 で は,パ
ター ン認識の能力 の発達が知覚の分節 の発達 と深 く関わっていることが示 されている0。 知覚 の分節の発達 とは,ゲ
シュタル トの法則 でい うところの「閉合の要因」が優位 に働 く分節か ら,「よい連続 の要因」が優位 に働 く分節へ と発達 してい くとい うことであ り,そ
の発達 の方向 は盲 児,弱
視児,正
眼児のいずれにも認 め られ るとい うことが明 らかにされている171。 具体的 に言 えば, 2つの円を組 み合わせた複合図形 を知覚す る場合,知
覚発達 の初期で は,「閉合 の要因」が優位 なの で, 2つ
の三 日月形 と1つの楕円 とい うように断片的に分節 して知覚 され る。発達が進 む と「 よい 連続 の要因」が優位 に働 くようになって,そ
こに2つの円の重な りを知覚で きるようになる。つま り,発
達が進むにつれてより合理的な形 のまとまりを知覚す るようにな り,意
味 あるパ ターン(形) として認識 され るようになるい)。 図形の形の知覚 については,普
通,触
覚ない し触運動知覚で視知覚 を補償 している。 しか し,触
覚 は接触感覚 あるいは皮膚感覚 と呼 ばれ,情
報源 に直接掌や指 を触れなければ情報 を得 ることがで きない。 したがって,一
度 にとらえる情報量がずっ と狭 く,あ
る物 の全体像 を把握す るためには, 少 しずつ)贋にその物 の全体 を触 っていかなけれ ばな らない。 そのために,ス
ベスベ,ザ
ラザラ,と
んが っている,曲
線である,
といった手触 り的な特徴 (形の特徴 に関す る情報 のうち)の
みに注意 が集 中 して,形
の全体 と部分 との関係 に注意が向けられない ことが多い。 これ は,知
覚 の分節 の発 達か ら言 えば,「閉合 の要因」が強 く働 く段階である。特 に,手
だてを講 じなければ,視
覚障害児(と りわ け盲児)は,知
覚の発達が この段階に とどまったままになる危険性 をはらんでいる。笹 田昭三・ 田中利江:盲児 にお ける図形・ 空間認知力 の育成 そこで,「閉合 の要因」が強 く働 く段階か ら,「よい連続の要因」が強 く働 く知覚へ と進 んでい く ためには
,運
動 の情報,特
に方向,位
置,距
離 な どの空間的な関係 に関す る情報 の取 り込 みが必要 となる。 これを代行 で きるのは,手
や腕 の運動である。「形の特徴 の情報」と「運動の情報」のセ ッ トが記憶 に送 られ,心
象 を とどめ,既
に形成 されている概念 と照合 されて共通 の属性が抽 出 され, 概念形成がなされ るとい うことになる。 乳児期 には,い
ろい ろな感覚体験 (明暗,音
,に
おい,手
触 りな ど)と
運動体験 (握る,振
るな ど)を
重ねるうち,い
ろい ろな感覚体験が運動体験 を媒介 にして統合 され,低
レベルの概念が形成 され る。 そして,低
レベルに対応 した未分化 な知覚が発現す ると考 えられている。 その後 は,そ
う した知覚体験 と同時 に得 られ る運動の情報 によ り統合 され,柔
軟 な対応がで きる概念的枠組 や構造 をもつ高 レベルの概念へ と発展 してい く。 これに伴 つて,知
覚の分節 も進み,そ
の状況 に合 つた知 覚がで きるようになってい くのである。このように,知
覚 と概念形成 は,互
いに影響 を及ぼ し合い, それぞれの客観性 を増 してい くと考 えられている。) 国立特殊教育総合研究所 の前記 の「特別研究」で は,パ
ターン認識 の発達 とい う点か ら,盲
児が 置かれている不利 な知覚条件 を克服するための手 だてが検討 され,結
論 として豊かな触察経験 の重 要性 を指摘 している(lω 。 この触察 は触覚 による観察であ り,そ
こで は多様 な状況 に応 じたパ ター ン 認識が求 められ ることになる。触察経験 を通 していか にパター ン認識 の仕方を学習 させ るか,こ
の ことは盲学校算数科の学習指導 を成立 させ るための重要な鍵であると同時に,盲
学校教育全体 に と って も重要な課題である。H
空 間 概 念 形 成 の 学 習1.子
どもにおける空間概念の発達 環境 の空間的認知 は,対
象の位置,大
きさ,形
,お
よび対象相互,あ
るいは観察者 と対象 の方向, 距離 とい う空間関係 において把握 され る。こうした空間的認知 を可能 にしているのは,視
覚,聴
覚, 触覚,運
動感覚等であ り,
これ らの感覚 によ り総合的 に構成 された空間的認知 の枠組 みを使 って, われわれ は日々行動 している。 その中で も視覚 は空間認知 の有力な決定者である。 したが って,視
覚 を欠如 した盲人 にとって,環
境 の状態やその中での自分の位置 を正 し く判断 して行動す ることは 非常 に困難 な ことである。 波多野氏 らは,著
『 ピアジェの認識心理学』の中で,「空間概念 とは,生
来人間に備わつているも のであろうか。」 と提起 し,「知覚 は,本
来 は,あ
る視野内の限 られた事物 に対応す るものであるか ら,断
片的で確率的である。そのバ ラバ ラな知覚 を協調 させて,一
つのまとまりをもった物 の認知 を成立 させ るのが思考であ り,こ
れを介 してはじめて概念が成立す る。」と述べ,空
間的認知 の生来 説 を否定 している(11ち 確か に,見
える世界 にいる者 は,「目が見 えること」即「空間 を認知す る力」 と錯誤 しがちであるが,そ うで はな く,空
間認知力 は学習 と発達 によって組織化 されてい くのだ と, ピアジェの認識発達理論 は主張 している。 ピアジェは,空
間概念 の発達 について,次
の3つの段階 を考 えている。 まず第1段
階 は,位
相的 な関係 のみか ら成立 している空間概念である。 この段階の子 ども(3∼ 4歳
ごろ)は ,物
の大 きさ とか,幾
何学的な形,角
な どの関係 には着 目せず,図
形が閉 じているか開いているか,近
くにある か離れているか,中
にあるか外 にあるか,… …・な どの観点か ら物 の性質 を抽象す る。空間内の事物鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第
1号
(1992) を孤立 させてバ ラバ ラに意識す るにす ぎない段階である。 これに続 いて,射
影的な空間概念 の段階(4∼ 5歳
ごろ)が
くる。 この段階 になると,一
定 の見 地か ら事物 を相互 に関係づ ける操作が可能 とな り,左
右,上
下,前
後,… … な どの意識 も生 じる。 また,見
地が違 うと事物 の相互関係 も違 って見 えることを理解 しはじめる。最後 に,ユ
ー クリッド 的な空間概念が形成 され る (5・6歳
か ら芽生 え, 8。9歳
で成立す る)。 ここに至 って,物
体 は水 平一垂直軸 という強固な枠組 みによってその位置が しっか りと定 め られ,距
離,大
きさ,角
度,平
行 といった概念がすべて保存 され るようになる。 もちろん,こ
れ らの空間概念が独立 して順次現れ るというので はな く,相
互作用 しなが ら発達 してい くのである(12ち 以上 のように,子
どもにお ける空間概念の発達 は, 2次
元, 3次
元の空間認知 の枠組みを生来備 えているので はな く,直
線がわか り,平
面がわか り,角
がわか り,し
か もそれ らの基礎の上 に立 っ て,物
を繰 り返 し見比べた り,操
作 した りという経験が組織的 にまとめ られる結果 として,子
ども の内に空間認知 の枠組 みが,上
記3段
階の発達 の様相 を示 しなが ら,徐
々 に形成 されてい くのであ る。 しか も,ピ
アジェが正眼児の発達 の過程 とした この3段
階のプロセスは,盲
児の場合 において も,お
おむね同 じであるといわれている。 さらに,ピ
アジェは,い
ずれの空間概念の形成 において も,人
が物 に能動的 に働 きかけてい く過 程,つ ま リイ子為 を重要視 し,こ れが概念形成 に際 して決定的な役割 を演ず ることを強調 している(13ち この ことは, I章
で論 じた, 2(2)の「触運動の役割 とコン トロール」,お
よび3の
「知覚の発達 と概 念形成」 と密接 に関連 す ることである。盲児 における空間概念 の形成 には,意
識化 された触運動や 概念行動が極 めて重要である。手や身体 の運動 を意識化 させ るような活動の中で,触
知覚 は触運動 知覚 に高め られてい くとともに,図
形・ 空間概念 の形成や構造化 も促進 されてい くのである。2.概
念行動 と空間概念形成の学習 は)盲
教育における概念行動の重要性 I章 の2121で,盲
教育における触運動知覚の役割 と統制 された触運動の学習の重要性について述 べた。盲児が外界に働 きかけ,物
と接触 をもつのはよくコン トロールされた運動以外にない。盲児 における触運動は,触
覚による認知の不利な条件を緩和 し,克
服 してい く手がか りである。 触運動が運動感覚 として成立するということは,そ
の感覚受容器が現在 とらえている状況 と直前 までとらえていた状況 とが関係づけられていることである。その人の概念的な行動がまだ不充分な 段階にあるときには直前の状況が消えてしまって現在の状況 との結びつきが起 こらないということ になる。視覚障害児にはとくにこの傾向が著しいといわれる(14ち したがって,現
在の状況 と直前の 状況 とを同時的に受けとめられるような手がか り。場面 を,盲
児に対 しては,正
眼児に対するより 以上多 く学習させていかねばならない。たとえば,「かたち」の学習において,あ
る位置 と別の位置 とがそれぞれ駅立的に次々 と感受できたとしても「かたち」は成立 しない。ある位置 と他の位置 と 力Ⅵ贋序をもって,さ
らに言えば,空
間的な位置・方向をもって関係づけられて,は
じめて「かたち」 の概念形成の基礎が成立するのである。 このように,概
念形成の基盤づ くりとして重要な,主
体 による意識的な対象への行為,さ
らに言 えば,よ
くコン トロールされた触運動などを手がか りとして行われる外界への概念的な働 きかけの ことを,文
部省『盲児の感覚 と学習』に従って,「概念行動」 とよぶ ことにする(15ち 正眼児 は,小
学校入学時 までに,手
の運動を主 とした概念行動により,次
第に高い操作特性を身 につけ,生
活空間の関係的・概念的認識の基礎が形成される。 また,言
語においても,こ
れ らと関笹田昭三・ 田中利江 :盲児における図形・空間認知力の育成 連 して具体的イメージをもつ言葉が豊富 に獲得 され
,言
葉 とともに事物 の状態の知識が獲得 されて い く。 これに反 し,盲
児 は,運
動 ことに概念行動の不足か ら,空
間認識 はいつ まで も1次
元的,継
時的段階にとどま り,空
間の広が りに関連する言葉 も具体的イメージを欠 くことが多い。イヽ学校 の 時期 において,具
体的な教材 によ り系統的な指導を受 けない とこの傾向 はます ます助長 される。 したがって,盲
児 には,基
本的な事柄 を系統的にしか も主体的 に学習 させ,そ
こで獲得 した方法 や手がか りを用いて問題解決 させ,さ
らに新 しい方法 を学習で きるようにす る必要がある。 ここで 言 う「基本的な事柄」 とは,感
覚 により定位 された運動,こ
とに概念行動であ り,
この概念行動 に よって関係づ けられた空間の認識形態であ り,さ
らには,こ
の認識形態 によって支 えられ,枠
づ け られた言語や諸記号である(16ち このように,豊
かな概念行動で関係づ けられた空間の認識形態 を基礎 として獲得 された諸記号 を 操作 して こそ,盲
児 における各教材・ 領域 の学習が生 き生 きした活動 にな り得 るもの と考 える。(2)概
念行動 による空間の形態認識の育成 人間 は何 ら、かの感覚的な手がか りによって,生
活空間を定位 した後,運
動 を行 う。盲児 の場合 は, 手の運動 を十分 に発達 させ,手の運動 を主 とした概念行動 を獲得す ることが まず重要な課題である。 この概念行動 の獲得 の導 き手 として,幾
何学的な形や座標軸 な どを用い,そ
こで獲得 された概念的 枠組 みを用いて表現活動 を行わせた り,具
体物 ことに生活用具 を分析 させた りして,生
活空間の定 位 を図 る。 さらに,こ
れを基 に,歩
行運動 の能力拡大へ と転移 を図ってい く必要がある。 この こと はまた,盲
児が 自主的に生活経験 を拡大 してい く力へ とつなが ってい くことである。 そこで,概
念行動 を通 して,い
かにして盲児の空間の形態認識 を発達 させてい くのか,そ
の指導 の方向やあ り方 を探 ることにす る。『盲児の感覚 と学習』(文部省)に
拠 って,そ
の指導の要点 をま とめてみると,次
の ことが重要だ とされている(1°。 生得的な行動 を概念行動へ と導 くために,い
くつかの基礎的な学習活動が必要である。 まず,子
ども達が,物
や人 に対 して どんな働 きか けをする能力 をもっているか,観
察す る必要がある。 とり わけ,肩
関節の回旋,ひ
じの屈仲,手
首 の回旋,手
のひ らの開閉,手
指の1本
ずつの屈仲な どが 自 由にで きるか否か をチェックし,補
正 してい く必要がある。さらに,定
位 と運動,可
逆的概念行動, 両手の協調,属
性分離,定
位 と歩行,等
々の学習活動が必要である。 このような基礎的な学習活動 を行 った後 に,次
の5系列 の指導へ発展 させ る。 ① 幾何学的ひな形 としての立体や平面を1つの単位 として, 1次
元か ら2次
元, 3次
元へ と合 成 してい く過程。 ② 立体か ら平面を,平
面か ら輪郭線 を,輪
郭線か ら点を抽象 してい く過程。 ③ 空間を座標軸により枠 どりし,こ
れを,運
動の軌跡 と重ね, 1次
元から2次
元, 3次
元へ と 関係づけてい く過程。 ④ 概念行動により形成 された図形 を平行移動,回
転,線
対称等 により変形,移
動させ,盲
児 と 環境 との角度 を変えることにより,動
的,可
逆的な認識 を育てる過程。 ⑤ 数量および測定の概念 をつ くり,枠
づけされた空間に長 さを与 えてい く過程。 これ ら5系 列の指導は,最
初平行 して行い,次
元を高めてい く中で,適
切な時期 に結びつけてい くものとしている。最後 に枠づけられた空間を拡大・縮小させて,
この一連の学習 は完成する。 形態認識 を育てる学習では,触
覚や聴覚によって定位 された運動が,具
体物の枠によって支えら れた概念行動により操作 されねばならない。 したがって,留
意すべ きことは,概
念が定着 し,運
動鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第
1号
(1992) 27
が正確 に行われない限 り,こ
の補助 としての「枠」 をはず してはな らない ことである。13)空
間概念形成の学習における概念行動 (1)で述べた ように,子
ども達 の図形・ 空間概念 を形成 してい くためには,適
切 な場面 における概 念行動の獲得,そ
して操作的行動,さ
らに記号操作へ と接続 し,発
展 させ ることによって,概
念 の 理解 を図ってい く必要がある。 この ことを実現 してい くために,(2)で論 じた ことを踏 えて, 8つ
の 学習の視点 を取 り上 げ,各
学習 において行 われ るべ き概念行動や操作活動 を検討 しまとめた(18ち(D
対 をつ くる学 習 学習内容 (空間概念) 概 念 行 動 ・ 操 作 的 行 動 「つながっている」嘩 れている」 (連結・ 非連結) ・盆のふちに積み木 を くっつける。 まん中に離 す。 ・連結機で列車 をつな ぐ。離す。 内 と外 中 と外 ・砂をバ ケツの中に入れて運 び,外に出す。 ・手 をつないで輪 をつ くり内 と外で ジャンケン をする。 「あいているJ「しまっている」 (開 閉) ・部 屋 の戸 を閉 めて 中 を一 周 し元 に戻 る(一回 り 歩 き) ・ 積 み木 や ゴム磁 石 で閉 じた空 間 を表 現 す る。(5)二
次元的関係 づ けの学習 筆習内容(空間概念) 概 念 行 動 ・ 操 作 的 行 動 二つの座標軸の 関係づけ ・ 十 字 溝 切 り板 の溝 に タイル を滑 らせ,左右 前 後 軸 の関 係 づ け,左右 上 下 軸,前後 上 下 軸 の 関 係 づ け をす る。 角 直 ,直角 定 規 を机 の 角 や部 屋 の 内 角 に合 わ せ る。 ・ 直 角 の廊 下 の コー ナー で r右 向 け右,左向 け 左Jをす る。 縦 横 分 類 ・盲人用将棋盤 に積 み木やカー ドを縦横 に並ベ る。 ・縦横別 な属性 を組 み合わせて物 を分類する。 積 み 本 並 ベ ・ 教 室 内 の机 や椅 子 な どの配 置 の よ うす をみ木 や プ ロ ックで表 現 す る。 ,積 二 次 元 図 形 ,直 線図形の辺や角の数 を輪郭線 をたどりなが ら数 える。 ・円や不規則な図形 の輪郭 をた どる。(基準点の 意識化) 平面図形 の合成 ,分 解 ・ 直線 図形 や円 の合成・ 分解 をす る。 二 つの直線 とその挟 角 ・二直線のつな ぎめを座標軸 の原点にお き,一 つの直線 を左右軸 に固定 し, もう一方の直線 を開 く。 (角度 の大 きさと方向の変化 を見 る。) 二 つ の平面 とその挟 角 二つの平面 を一辺でつな ぎ(木やび ょうぶの ように),角 度 を変化 させ る。(固定す る面 を, 左右,前後軸 と変 えて,方向や位置 の変化 を 見 る。) 12)同じ物 を発見 す る学習 形 は め 遊 び ・受 け粋 に同形 の幾 何 的 ひ な形 を選 ん ではめ る。 同 形 分 類 ・ 同 じ形 の積 み木 を分類 す る。 属 性 に よ る集 合 づ く り ・生活 用具 を材 質や形 に よ り集 合 づ くりをする。 「 同 じJ「た くさん」「 少 し」・食べ物 と食器の数などで どち らが多いか士ヒベる。 「 同 じJ「長 いJ「短 いJ ・ 積 み木 や棒 の高 さ比 べ をす る。 13)方向づけと直線運動の学習 左 右軸 と直線 運動 ・ 窓 や ドア に直 面 し開開 しなが ら左,右と可 逆 運 動 す る。 前 後軸 と直線 運 動 の こひ きで前,後ろといいなが ら可逆運動す 上 下軸 と直線運 動 ・ 柱 にそ って指 先 を上 下 に可逆 運 動 す る。 直 線 歩 行 ・ 音 源 に向 か つて リズ ミカル に歩 く 直 線 の 表 現 ・ レー ズ ライ ターで定 規 を用 い て直線 を表 現 す る。(左右 前 後) 斜 め の方 向 と直線運 動 ・棒で斜 め寿 婦 士 ム45度を表現す る。 レーズライターで ^ 16)図形 の移動 の学習 座 標 軸 の平 行 移 動 ・ 水平面,正中面,前額面 な どの座標軸 を薄板 を用いて平行移動 させ る。(左側,上側,前側 な どの方向の領域 をとらえる。移動 した方向 に一定の距離 だけ位置が変化す る。) 平面上での平行移動 レールを前後軸 にお き,汽車 を乗せて移動 さ せ る。 (左右上下 は変化 な く,移動 した距離 だけ位置 が動 く。) 回転 軸 と直 角 の 方 向 の 平 面上 の回転 移 動 ・ 円形 レール の 中 にす わ り,左に もって いた汽 車 を右 に まわ す。(回転 軸 か らの距 離 は一 定 だ が,汽車 の左 右 前 後 は逆 に な る。) 回転 軸 と平 行 な面 の 回転 移 動 ・ 前後軸 に回転軸 を考 え,切り紙 の左右の形や 点字 を裏返 してみる。(回転軸 か らの距離 は一 定 だが,平面の裏 と表が逆 になる。) 点 の 移 動 ・ 直線 定規 や コ ングヾス に ポール ペ ンをあ て,レ ー ズ ライ ターで表 現 す る。(点の移動 に よ り線 が結 かれ る。) 認 知 角度 を変 えた 場 合 の 図形 の移 動 ・「セ ッセ ッセ」遊 びで向かい合 うと,他人 の逆 の手 と力I重な り合 う。(対象が移動 して も,盲 児 自身が移動 して も本目対的には同 じ) 歩 行 と図形 の移 動 ・「Uター ンあそびJ音源 な どの 目標 まで行 って 回れ右 をし,出発点 に もどる。往 きと帰 りの 風景 をとらえ,積み木 な どで表現す る。(前後 の順序 と左右が逆転 して重 なる。→歩行 の基 礎的学習) 但)直
線上 における順序づけと位置づけの学習 線 順 序 物 並 べ 。左 か ら右 へ3∼ 4個の具体 物 を並 べ る。 (左右 軸,前後 軸,斜め に可逆 的 に並 べ る。上 に積 む) 「前へな らえJ 「右 へな らえ」 ・教師 を基準 に前後,左右 に並ぶ。 ・教室や建物 の順序 を積み木等で表現する。 まん 中 を決 め る ・十宇溝切 り板 の溝 の中にタイル を滑 らせ,左 右左,中右中…… と可逆的 に直線運動 を行 う。 ・自分 自身 を原点 として方向 を決 める。(腕振 り 体操)笹田昭三・ 田中利江 :盲児における図形・ 空間認知力の育成 (7)三次元的関係 づ けの学習 18)図形 の大 きさの学習 平 面 図形 の積 み重 ね ・ 正 方形 の カー ドや円形 を積 み重 ね て,立方体 や直 方体,円柱 を作 る。(逆操 作 して立 体 か ら 平 面 を取 り出 す。) 立体 図形 の長 さの伸縞 ・ ち ょうちん の よ うな円形蛇 腹 の円筒 を伸 縮 さ せ る。 (立体 と平 面 図形 の 関 係 を と らえ る。) 平面図形 による内空 立体 の組 み立て ・ 底 を円形 に し,側面 を長 方 形 の紙 を筒形 に ま るめ て カ ン,茶筒 を作 る。(平面 を組 み立 て 内 空 の立 体 を表 現 す る。) 線 に よ る立 体 表現 ・棒 つな ぎ積 み木 で立体 を表現 す る。(針金 や棒 な どで立 体 を表 現 す る。) 三 次元 座標 軸 の関係 づ け と閉 鎖 空間 へ の 位置 づ け ・三本の棒 を真ん中で直交 させ二次元摩 標軸 を 作 り,左右,前後,上下の運動 を可逆的にす る。 ・ ジャングルジムをたどり左右,前後,上下方 向へ動 く。(座標軸の原点を盲児 自身に転移 し, 閉鎖空間への位置づけをする。)
3.盲
学校算数科の図形・ 空間領域の学習2節
では,前
書『盲児の感覚 と学習』を参考にして,盲
児における空間概念形成の学習のあり方 について考察 してきた。それによれば,基
礎 となる方向や位置,順
序,形
を明 らかにして,ま
ず概 念行動を,続
いて合成 。分解や変形・移動などの操作活動を獲得した後,子
ども達 を記号操作に導 いてい くよう,細
かいステップが組 まれ,概
念形成 を図る学習の体系化がなされている。 今 日,算
数教育においても操作活動が重視 されている。それは,概
念,原
理や算数のアイディア の獲得 は,言
葉や文字で教えることで達成 されるものでない。その達成には,適
切な場面 を与え, 子 ども達がね らいをもって対象に働 きかけ,具
体的な操作・作業 を通 して,対
象や操作が もつ特性 に気づかせてい くことが極めて重要だと考 えられるようになったか らである。 このことは,盲
児 も 正眼児 も変わ りない。学習させることは知識ではな く,関
係概念 とそこで用いた操作特性 を身につ けさせることである。 しかし,盲
児においては,空
間の形態認識を育成 してい く上で,さ
らにその ための概念行動が不可欠なことである。 次に,前
書の空間概念形成の学習カ リキュラム と算数科教科書を比較 してみると,概
念形成のス テップや流れはほぼ同一である。 しか し,前
者 は,学
習の導入などにおいて,
とりわけ具体物から 形 を抽象 し,さ
らに面,線,点
の要素 を抽象 してい く段階が,細
かいステップを踏んで指導されて い くということである。例えば,「三角形」を指導する場合,三
角形の形を有する立体 (具体物)か
ら平面を取 り出し,平
面図形か ら輪郭線 としての線図形を,そ
して,線
図形か ら点 を抽象 してい く 過程 を細か くたどり,概
念形成へ と導いている。 以上,考
察 してきたことか ら,次
のような知見に到達する。従来の言語・説明中心の算数の授業 では,次
図 (図1)に
おける ①→④→⑤ の形で学習指導が進められてきた。 これに対 し,最
近 の算数教育では,「子 どもの活動 こそが概念形成の源泉である。」 という心理学の知見か ら,操
作活 動の重要性が叫ばれ,次
図 (図1)の
①→③→④→⑤ の流れの学習展開が望 まれている。 しか し,視
覚機能 を失っている盲児の図形・空間概念の形成には,こ
の正眼児における ①→③ →④→⑤ の学習の流れでは十分でない。やはり,③
の操作活動の学習に入るまでに視覚障害が も たらすさまざまなハ ンディキャップをカバーしてい く学習が どうしても必要である。それが「概念 行動」 と呼ばれる学習活動である。 したがって,盲
児 における図形・空間概念形成の学習では,次
図の太線の流れ ①→②→③→④→⑤ で示 されるような学習活動を展開していかなければならな セゝ。 図形 の拡 大・ 篤チ1ヽ と関係概 念 の保 存 ・ 既習学習(例,教室 の順序 を積み木で表現) か ら,実際の大 きさとの関係 を考 える。(大き さは変わって も空間の関係 は変化 しない。) 測 定 の単 位 と 「 何 倍 」「 何 分 の一 」 ・ 感覚運動的単位尺(親指 と人差 し指,両腕, 歩幅等)ではか る。 ・5 cmの客観的単位 を知 る。盲人用 ものさしで はかる。 面 積,体積,容積 ・長 さの測定 において用 いた「かた まり」 の考 えで,面積や体 僚を求 める。 ・ 1記 の容器何倍分かで容積 を求 める。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第
1号
(1992) (図1)学
習活動の流れ このような考 え方に立 ち,盲
児 の特性 に立脚 した算数科 の学習指導のあ り方 を考 えるとき,教
科 書の研究や学習指導の工夫,用
い る教材・ 教具 の開発 な ど,盲
学校算数科で は多 くの課題があるよ うに思われ る。 Ⅲ 盲 学 校 小 学 部 盲 児 の 図 形 知 覚 発 達 検 査 と結 果 の 考 察1.検
査の内容 と目的 国立特殊教育総合研究所視覚障害教育研究部で は,昭
和56年度か ら3ケ年間にわたって「障害児 のパター ン認識 に関す る総合的研究」 を実施 している。 この研究 により,盲
児 の図形や文字 な どに 対する触覚パター ン認識 の発達 を促す上で,パ
ター ン認識 の仕方が学習で きるような触察経験 を数 多 く体験 させ ることと,そ
の触察経験 によって,盲
児 の図形概念 の形成 を図 り,か
つその構造化 を 進めることが不可欠 な条件であることが明 らかにされた(19ち この研究成果 を具体的な形 にまとめるために,同研究所 同研究部では,「盲児用触察能力発達診断・ 訓練教材セ ッ ト」 の試作 を行 った。 このセ ッ トは,盲
児 の図形の知覚発達 を促進 させ るのに必要不 可欠 と考 えられ る学習 として, 5段
階の訓練 ステ ップ と13の訓練課題,さ
らに訓練ステ ップの各訓 練課題か ら抽 出された診断検査か ら成 り立 っている。 したがって,こ
のセ ッ トによって,知
覚の発 達診断がで き,か
つ知覚発達の どの側面 に問題があるかが把握で き,訓
練 を開始する課題 も決定で きるのである(2の。(1)検
査内容 とね らい 本研究 を進 めるに当たって,同
研究所か ら,「盲児用触察能力発達検査」 と基本的には同 じだが, 検査 内容 とその配列が一部異 なる「盲児用図形知覚発達検査(21も をお借 りし,鳥
取盲学校小学部児 童の図形 の知覚発達の様相 を考察す ることにした。 その検査内容 は次頁の表1の通 りである。 偉)検
査 による訓練課題の決定 と課題の内容 (1)の検査 によって,図
形知覚 の発達診断がで き,知
覚発達 の どの側面 に問題があるかが把握で き る。そして,そ
の問題 を克服 するために,訓
練 を開始す る課題 も決定で きる。 この検査 による訓練30
笹田昭三・ 田中利江 :盲児における図形・ 空間認知力の育成 (表1)「盲児用図形知覚発達検査」の内容 とね らい 検 査 内容 ね ら い 検 査 A 1 複合図形の模写 ・複合図形 の模写 を通 して
,知
覚 の発達段 階 を チェ ックす る。 2 魚 の 再 生 ・ 具体的刺激 を与 え,概
念形成 の程度 や内容 を チェ ックす る。 検 査 B 1 平 面 上 の 方 向 ・ 図形知覚 の基礎 とな る平面空間 に関す る空間 概念 (平面上 にお け る上下,左
右,中
央,斜
めの方向や位置)が
で きてい るか どうか を, チ ェ ックす る。 2 線 と交差 の再 生 ・ 図形 を構成す る形態的要素 (縦線,横
線,斜
線,交
差)の
概 念 が で きてい るか どうか を, チ ェ ックす る。 3 基本 図形 の再 生 ・基本図形 (円,正
方形,三
角形)の
構成 や表 現 を通 して,概
念 が で きてい るか どうか を, チ ェックす る。 4 形 の 分 化 ・仲間分けを通 して,形
の概念の分化がで きて いるかどうかをチェックする。 5 観察 の方向 と 形 の変化 ・立体 を分析的に理解で きるか どうかをチェッ クする。 6 知 覚 の 多 様 性 ・複合図形 を状況 に合わせて分析的に理解で き ているか どうかをチェックする。 課題 の決定 の手順 は,次
頁の図2のフローチャー トに示す通 りであるOり。 また,そ
の際の訓練 ステ ップ と訓練課題 は,次
頁 の表2で
その概要 を示 している°9。 俗)検
査実施のね らい この発達検査実施 のね らいを次の3点
においている。 ① 個々の児童の図形知覚 の発達状況 を把握 し,そ
れぞれの問題克服 のための今後 の課題 を追求 す る。 ② 算数科の図形・空間領域の学習を進める上で,学
習のレディネスとして求められるような基 本的な形の概念形成の様相や図形の知覚能力の発達の状況を診断し,そ
れに対応 した盲学校算 数科 としての学習指導のあ り方を追求する。 ③ なお,検
査に用いる教具 は,国
立特殊教育総合研究所の先生方が考察 されたものであり,今
後,一
人ひ とりの児童に適 した自作教具を作 る上で多 くのヒン トを与 えて くれるものである。 この検査の実施 を通 して,そ
れに学び,盲
学校算数科の身近な触察教材・教具 として大いに参 考にし,今
後の教材・教具の開発に供 したい。2.実
施方法 (う 対象児童 鳥取県立鳥取盲学校小学部の盲児童 4名 と高等部盲生徒1名
を対象 とする。(表
2)
訓練ステ ップ と学習課題の概要 訓練 ス テ ップ 一司 練 課 題 ① 平面上 の方向 や位 置 課題A
「平面上の方向や位置」 ・ 平 面 にお け る縦,横
,上
下,左
右,中
央,斜
め の方 向 や位 置 の学 習 ②線図形 の導入 課 題B「
幾 何 立 体 」 課題C「
平 面 形 態 」 課 題D「
凸 図形 」 幾 何 立 体 の形 や形 態 の特 徴 につ い て の学 習 平 面 形 態 の形 や形 態 の特 徴 につ い て の学 習 幾 何 立体,平
面形 態,凸
図形 間 の形 態 的特 徴 の共 通 性 に よ る線 図形 導 入 の準 備 と,「折 る」とい う手 の運 動 統 制 課題 の導 入 ③線 図形 による 図形概 念 の形 成 課 題E「
線 図形 」 課 題F「図形 の特 徴J 課 題G「
形 の分 化J 基 本 的 な線 図形 の学 習 と,レー ズ ライ ター に よ る「 か く」 とい う手 の運 動 統 制 課 題 の導 入 基 本 的 な形 を構 成 させ,図
形 概 念 の形 成 を図 る学 習 基 本 的 な形 の分 化 を図 る学 習 ④ 図形概念 の操 作 課 題H「
図形概 念 の操 作 」 課 題 I「観 察 の 方 向 と形 の変 化 」 課題J「実 物 の2次元 表 現 」 図 形概 念 の定 着 化 とBIE念の構 造 化 触 察 にお け る観 察 の方 向 の意 識 化 と方 向 の変 化 に伴 う形 の変化 の学 習 立 体 物 (実物)の
2次元 平 面 へ の投 影 の学 習 ⑤ 図形知覚 の分 節 とその多様 性 課題K「
重 な り」 課題L「複 合 図形J 課題M「
知 覚 の多様 性 」 図形 と図形 の「 重 な り」 の概 念 の導 入 複 合 図形 の理 解 と表 現 の学 習 複 合 図形 を重 な りと して と らえ た り,吉「分 的 な図形 を抜 き出 し,知
覚 の多様 性 を図 る学 習 鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第34巻 第1号
(1992) 検査A-2
魚の再生 V型 Ⅳ型 III型 II型 I型蜘蜘
蜘
再 そ 再 F I 発 達 段 階 の 決 定 ︱ ︱ ﹂ F I ︲ ︲ 訓 練 ス テ ッ プ ・ 訓 練 課 題 の 決 定 ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ I LB-1
平面上の方向 (図2)訓
練課題決定の手1頃笹田昭三・ 田中利江 :盲児における図形・ 空間認知力の育成
P児 (2年
,女,網
膜芽細胞腫) Q児
(3年
,男
,未
熟児網膜症)R児 (4年
,男
,小
限球)S児 (5年
,男
,先
天性 白内障) であ り,す
べて先天盲である。5年
のS児
は,日
常生活 に必要な諸能力が劣 っている。 なお,中
学部2年
の とき担当 し,指
導 に苦慮 した盲生T(現
在,高
等部普通科2年
,女 ,未
熟児 網膜症,軽
度 の精神発達遅滞 を伴 う)に
ついて も検査 を試みた。 その結果 は,驚
くばか りであ り, 今後 の指導のために も記載 し,検
討 を加 えたい。検査実施 は,1991年
7月 上旬である。 (21 手続 きおよび結果の整理 検査A-1で
知覚発達 の段階がI,Hの
児童・生徒 については,検
査B-6は
行 わな くてよい と されていたが,い
ろいろな側面か ら知覚発達 の状況 を観察す る目的で,す
べての児童・ 生徒 につい て検査A,Bと
もに実施 した。なお,今
回の検査 は,引
き続いての訓練 を格別 にね らい としなかっ たので,課
題 を提示 して はす ぐ反応 させた。ただ し,レ
ーズライターで表現す る課題 は, 2∼ 3回
の試行 を認 めた。児童の持続力,集
中力 を考慮 し,検
査 は2∼ 3回
に分 けて実施 し,反
応 を記録 し 評価 に当たった。3.診
断結果 とその考察 5名の対象児童・生徒の診断結果 は,次
頁 にわたって記載 している次の表3に示す通 りである。(1)検
査Bの
結果の考察 検査Bの
結果 をもとに,個
々の児童・ 生徒 について考察す る。P児
(小学部2年
)は ,平
面 における空間概念や図形 を構成す る形態的要素 について は,正
答率 が高 く,ほ
ぼ概念形成がで きている。基本図形 については概念形成 の過程 にあるため,今
後 の指導 に留意 しなければな らない。なお,レ
ーズライターによる基本図形作成上 の問題点 として,円
と正 方形 (四角形)に
ついて は,起
点 と終点の意識化 を図 ること,三
角形 については再指導が必要であ る。「知覚 の多様性」の課題 は遂行が困難で無答 となったが,線
図形の触察能力が不十分 な こと,お
よび「閉合の要因」が働 き,よ
い連続線が とらえに くい ことがわかつた。Q児
(小学部3年
)は,平
面 にお ける空 間概念や基本図形の概念が よ く獲得 され, 良い知覚の発達 を遂 げている。 とくに,触
察の際には,両
手 を使 った巧みな触運動が み られ,複
合図形 を分析的に とらえること がで きた。 また,「観察 の方向 と形 の変化」 で,直
角柱 の斜面 に対 し,投
影的対応 を意 図 していることが うかが え驚 いた。四角形 の概念 の明確化 とレーズライターによる表 現技能 の向上が今後 の課題 と考 えられ る。R児
(小学部4年)も
,基
本的な平面空 間の概念や基本図形の概念が獲得 されてい (表3)各
対象児童・ 生徒の検査結果 検 査 内 容 対象児童・ 生徒 高2 P Q R S T A 1複合 図形 (1頑合図形の模写 I Ⅳ Ⅳ I I I Ⅱ I I 2魚 (2)魚の再生 命 名 ▲ ▲ O ▲ ▲ 再 生 ▲ O ▲ ▲ B l平面上の 方向 l)上 O ○ O 12)下 ○ ○ O O 儡)右
① ▲ 左 O ○ O ○ ▲G)右
上すみ O O ▲ ,)左下 す み ① ○ ○ O ▲ (7)中央 O ○ 0 ▲ ▲ O……正答●……正答 とみるが完全でない もの ▲・……誤答
―……無答
鳥取大学教育学部研究報告 る。
Q児
と同様 に,触
察の際,指
を開いて 辺の長 さを決定 した り,指
何本 の幅かで正 方形,長
方形 を決定す るな ど,感
覚運動的 な単位 を用いて課題解決 を図 り,レ
ーズラ イターによる作図 もしっか りしている。複 合図形 の課題 は,50%の
通過率であ り,や
はりまだ,「閉合 の要因」に とらわれ,よ
り よい連続線が とらえに くい傾向が残 る。形 の分化がいま一歩であ り,基
礎的学習事項 を確実 に定着 させてい くことが今後大切で ある。S児
(小学部5年
)は
,日
常生活 に必要 な諸技能 に遅れが見 られ るが,こ
の ことが 検査結果 にも現われている。平面上 の方向, 基本図形 の命名,仲
間分 け以外の課題 は極 めて困難であ り,図
形 の知覚発達が大変劣 っている。「線 と交差 の再生」で は,右
斜 め 下 と右斜 め上が逆 になった。 また,マ
グネ ット棒で ×字交差 を表現するとき,×の上半 分,す
なわちV字
形 に触察 し,マ
グネ ッ ト 棒 を 哭Fと
置 き,「閉合 の要因」が強 く働 い ていることがわかった。「線 の交差」の段階 でつまず きがあることか ら,本
児 には,基
本的な線 図形の学習か らスター トし,形
の 概念形成 を図 るとともに,折
り紙や レーズ ライターによる手の運動統制 の学習 を多 く 取 り入れてい くべ きである。T生
(高等部普通科2年
)は ,精
神発達 遅滞 を伴 う生徒であるが,各
課題 の通過率 の低 さと反応 の稚拙 さに驚 いた。検査1の 「平面上 の方向」で は,`マグネ ッ トをかた めて置 く″とい う言語指示の理解不足のた めか, 1列
に並べて反応 した り,左
右逆の 反応 もみ られた。検査2「線 と交差」で は, レーズライターで縦・横表現 はで きたが, 斜線 は縦線 と同一の表現 となった。マグネ ッ ト棒 による交差 の再生 について も下記 の 通 り驚 くべ き反応であった。 教育科学 第 34巻 第1号
(1992) ○……正答●……正答 とみるが完全でない もの ▲……誤答
―……無答 検 査 内 容 対象児童 。生徒 4 2 P Q R S T B 2線と交差 の再生 │(レーズライター) ● O O O O ▲ 0)\
〃 ● ○ ● ▲ ▲ ,/ 〃 0 O ● ▲ ▲ (5)L(マグネット棒) ▲ ① ▲ ▲ (6)T O O ▲ ▲ (7,十 ▲ ▲ (8)× ▲ ○ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 10∠ ▲ O ▲ ▲ ▲ 3基本 凶形 の再 生 (1)円 ① 再 生 ● O ① ▲ 合 成 O O O ▲ ▲ ① ① ▲ ▲ (2)正方形□ 命 名 O O ○ ○ 再 生 ● ● ▲ ▲ 合 成 O O ○ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ (3江三角形△ 命 名 O O ○ ○ O 生 ▲ ▲ ▲ 合 成 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ A ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 4形の分化 ○グループ O ① ① 〇 ▲ ○ O ○ ▲ Q ▲ ロ グループ O O O O ○ ▲ ▲ ▲ ▲ a ▲ ▲ ▲ ① ▲ 〃 ▲ ▲ O O ▲ 凸 ▲ ▲ ▲ ▲ △ グル ー プ △ ○ O ○ O O 氏 ○ ○ ○ ○ ○ O O その他 ① ① ▲ ○ ○ O ○ ○ ☆ ● O ○ ○ ○ ▲ D O ▲ 〇 9 ① ① 5観察の方 向 と形の 変化 l O O ○ 〇 ▲ 12)底 ▲ ▲ 0上 ▲ O ○ ▲ ▲ (4)右 ∠コ O ▲ ▲ 15)左
「 ヽ ① ① ▲ ▲ 6知寛の多 様性
Å
O ○ ▲ ▲ ▲ ▲ ○ ▲ ▲ ▲ a O ▲ ▲ ▲ ▲COg
◆ ○ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 回 ○ ○ ○ O ▲ ∩ O ▲ ▲ ▲ 巾 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲L字交差
T字
交差 十字交差 ×字交差V交
差 ∠交差 一 〃 〃 JЦ
、
R II I︲ u 吼 ∼ u 吼 ゝ 地′
〃
′ 〃 吼 ゝ 也 笹田昭三・ 田中利江 :盲児における図形・ 空間認知力の育成 このように,図
形知覚の基礎 となる平面 における空間概念や形態的要素 の概念 も獲得 されていな い段階であることがわか る。基本図形 について も,命
名や仲間分 けはある程度で きたが,レ
ーズラ イターによる再生 の課題 になると次の通 りであ り,形
の概念形成 も未発達である。 円 正方形 三角形 反 応 書 き 方 起 点,終
点 の意識 な く, くる くる回 して 書 く。12)検
査Aの
結果の考察 次に,検
査A「
複合図形の模写」の結果 (次頁の表4)に
より,個
々の児童 。生徒の知覚の発達 診断を行 う。レーズライターで表現された 2つ の刺激図形 を,知
覚発達の尺度 I∼Vと
対応させる。 知覚の分節 は, I型
か らV型
に向って発達する。I型
は極めて未分化な知覚であり,H型
は「閉 合の要因」が優位 に働 く知覚の分節である。Ⅳ型 とV型
は「よい連続の要因」が優位に働 く知覚の 分節であ り,Ⅲ
型 はH型
か らⅣ型への移行型である。 刺激図形① に対 し,Q児
(小3)は
ひし形を書いてか ら中央線を入れる書 き方,R児
(小4)は
三角形 とV字
型の書 き方で,
ともにVの
段階 となるが,図
の方向や形,直
線表現が不正確であるた め,Ⅳ
の段階 と評価 した。 また,刺
激図形②の場合 は,二
人 とも図形を分割 して,Q児
は三角形 4つ とひし形,R児
は三角 形 4つ と表現 している。 ともに「閉合の要因」が働 くH段
階である。①,②
の 2つ の刺激図形に対 する反応を総合 して知覚の発達段階を決定すると,二
人 ともⅢの段階 となる。P児
(小2)は
,刺
激図形① は三角形が 2つ,刺
激図形② は三角形が 4つ とHの
段階のとらえ方 をしているが,基
本的な三角形の表現ができず,し
か も,図
形 どうしの連続性が とらえられていな いため, Iの
発達段階 とした。 Stt 1/1ヽ5),T生
(高2)の
二人 については,再
生 した図形が全 く形 にな らず,極
めて未分化 な鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第