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短周期振動を受けるステンレス鋼製矩形水槽に対する制震装置の実証

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Academic year: 2021

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1-016 土木学会中部支部研究発表会 (2018.3)

短周期振動を受けるステンレス銅製矩形水槽に対する制震装置の実証

森 松 工 業 株 式 会 社 正 会 員

O

青木大祐 森 松 工 業 株 式 会 社 正 会 員 行 田 聡 森 松 工 業 株 式 会 社 正 会 員 坂東芳行 愛 知 工 業 大 学 正 会 員 鈴木森晶

1

緒 言 近年,ステンレス鋼製矩形水槽は,衛生面や耐久性に優れている点から,貯水槽等に数多く採用されてい る.この矩形水槽の固有周期が地震の卓越周期と同調すると,長周期地震動によるスロッシング現象 1)や 短 周期地震動によるパルジング現象2)が発生することが知られている.スロッシングに関しては現象解明から その対応策まで数多くの研究が行われているが,パルジング現象に関しては円筒形水槽を対象としたものが 多く矩形水槽についての報告例はほとんど見当たらない.とくにパノレジングによって生ずる動水圧は非常に 大きく,地震時の矩形水槽破損の主因となることがある. 本研究では,ステンレス銅製の矩形水槽を用いて振動実験を行い,振動現象を観察した.また,その際の 水圧低減対策として簡単な構造の制震装置を提案し,その性能について評価した.

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.

実験装置および方法 写真・

1

に,本実験に用いた振動台およびステンレス銅製 矩形水槽を示す.実験水槽の寸法は 3,000m mX3,000 m mX 3,000 m m (厚さ 1.5 '"'"'2.5m m,材質 SUS304) で,水深は 2,700 m m (常用水深)で一定とした. 制震装置として高減衰ゴム(内外ゴム株式会社ノ¥ネナイ ト)を用いた.図・1 に示すように,ゴムの種類(硬度)・厚 みおよびゴムの上下面へのステンレス鋼板設置の有無を組 み合わせた 4種類の制震装置を用い 水槽架台下面の周囲 の 8箇所に設置した.ゴムの上下面への鋼板の設置(③, ④)は,予備実験で観察されたゴムのはらみだしを防止する のが主目的である.なお,鋼板とゴムは接着材を用いて接着 をした.以下,制震装置を設置した場合を「制震J,設置し ない場合を「非制震Jと呼ぶ. 愛知工業大学所有の屋外大型振動台を使用し,正弦波に よる定常波加振および地震波による l軸加振を行った.定 常波加振では,振動数を 2 '"'"'6 Hzの範囲で 0.5Hz刻み, 共振点付近では 0.1Hz刻みとして振動数を変え(スイープ 試験), 加 振 振 幅 は 士 1mmとした.地震波加振には,短周 期の地震波として東北地方太平洋沖地震 NS波(変位 20

%

相当)と,長周期の地震波として十勝沖地震 NS波(変位 80% 相当)を用いた. 水槽底面から 100,500, 1,100, 1,500, 2,100および 2,500mm の位置の側壁に圧力センサーを設置し,サンプリングタイム 1 msでフ

k

圧の経時変化を測定した. 45 写真・

1

ステンレス銅製矩形水槽 150

一一一ー工

2

① GP・60L 鋼板無し 150

A-~+8

③ GP・70L 鋼板有り 150

一一一七

② GP-70L 鋼板無し 150 ④ GP・70L 鋼板有り

;

m 図-1使用した制震装置

(2)

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土木学会中部支部研究発表会

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)

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実験結果および考察

3

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定常波加振

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O. 7 図-2に,非制震時および制震時の振動数に対する底面か 三 よ

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5

5

0

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mm

の位置での応答水圧の変化を示す 各振動数で 足。

4

加振力が異なるので,縦軸には水圧を各振動数における加 503 振力で除した応答水圧を示した.

0

.

2

O.I 底面からの位置

=500mm

+非制緩 制震① ;0U~I鍵② ...H~I銭@ →:1担Im(1) 非制震時のパルジング振動数は 4.4Hz付近に存在し,応 答水圧の鋭いピーク(最大値)が現れる.一方,いずれの制 震装置を設置した場合でも,応答水圧の最大値の現れる振動 数は

4

.

1

Hz付近へ移動し,若干長周期化する傾向が窺える. また,応答水圧の最大値は非制震時の約半分であり,矩形水 槽下面に数 皿のゴム板からなる制震装置を設置することで 水圧が大きく低減することがわかる.これは,高減衰ゴムの 特徴である運動エネルギーを熱エネルギーに変換して発散 することにより,水槽の振動が抑えられるためと考えられる.

2 2

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3

3

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5

4 4

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6 割高動数 [Hz)

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-

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6

帥 ;:!..

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5

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.4 ~ 、、 ム 0.3 なお,図ーlに示した4種の制震装置を使用したが,長周期化 ミ

0

.

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や水圧抑制効果に有意な差異は見られない 4 01

3

.

2

地震波加振 図・3に,短周期地震波である東北地方太平洋沖地震NS波 (変位

2

0

%相当)における非制震時および制震時(図

-

1

の 図・2振動数に対する応答水圧の変化 底面からの位置

=500mm

2 4 6 振動数 [Hz) 一非制設 -~~J設@ 8 図・3応答水圧のパワースベクトル ③)での底面から

500mm

の位置での応答水圧のパワースベ (東北地方太平洋沖地震NS波,変位

20%)

クトノレを示す.非制震時で、はパルジンクゃ振動数で、ある

4

.4Hz守

0

.

0

3

5

付近でピークが現れるが,制震装置を設置することにより同志

0

.

0

3

振動数付近の水圧は大きく低減する.

0

.

0

2

5

ム 図・

4

に,長周期地震波である十勝沖地震NS波(変位

80%

0

.

0

2

相当)における同条件で、の応答水圧のパワースペクトルを示 0<0訓 5 す 非制震時の 4.4Hz付近でのパルジング振動数域の水

?

o

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l

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圧は低減する.一方,本水槽のスロッシング振動数である

0

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5

底面からの位置

=500mm

一非制泌 一計時l

袋@

10 Hz(理論値)付近で水圧のピークが現れるが,制震装置の設 置により同振動数での水圧が助長されることはない. 2

a

4 言動数 [Hz6 ] 8 10

4

.

結 言 図4 応答水圧のパワースペク トル (十勝沖地震NS波,変位

8

0

%) 実矩形水槽を用いて振動現象を観察し, 提案した制震装置の性能を評価した結果,以下の知見を得た. 1)非制震の場合,パノレジング振動数は 4.4Hz付近で応答水圧の鋭いピークが現れる. 2)制震装置の設置により,応答水圧の最大値が現れる振動数は

4

.

1

Hz付近へ移動し(長周期化),応答水圧の 最大値は非制震時の約半分になる. 3)地震波加振でも,制震装置の設置により本貯水槽のパルジング振動数域で、の水圧が大きく低減する. 謝辞 本実験では愛知工業大学学生の山内裕生氏と増田友輔氏の協力を得た.ここに記して謝意を表す. 参考文献 1) 青木大祐,鈴木森晶,黒田亮:実物大貯水槽における耐震性能向上のためのフィルター設置に関する実験的研 究,土木学会論文集A2,

V

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l.

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1

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2

(応用力学論文集

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,pp.

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5

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2

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2

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2) 箕輪親宏,清水信行,鈴木純人 :長方形ステンレスパネル水槽の振動舌実験, 日本機械学会論文集 (C編)

V

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, pp.

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参照

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