香川生物(KagawaSeibubu)(34):59一陀2007
香川県丸亀市飯野山のアリ
地下洋平・後藤彩子・山本和典・谷口伸弘・伊藤文紀
〒76卜0795 香川県三木町池戸 香川大学農学部昆虫学研究室AntscollectedinMt.Iinoyama,Marugame,KagawaPreftcture
(Hymenopter’a,Formicidae)Yo・heiIkeshita,AyakoGotoh,Ka即nOriYamamoto,NobuhiroTaniguchi,andFuminoriIto,
エαあ0′α叫γ〃一点ぁわ桝0わgγ,fbc〟砂〃Ag′ic以肋′ちぬg‘−一冊肋ヱver5拗丑∽0あち〟読王乃ノー0乃ちJ呼α〃m)をえらび,それぞれの場所で筆者ら5名
が定量的にアリ類を採集した。採集方法は, 地表括動性アリを採集するために5分間の見 、つけ採り(各地点で5回づ、つ)と,地中性ア リを採集するための落葉締い(各地点5カ所 づつ)である。見、つけ採りでは,地表や植物 上を歩行中のアリを5分間にわったて探し, アリを発見次第ピンセットか吸虫管を用いて− 採集した。落葉飾いでは,落葉が蓄積し、て−い る林床に約30cm四方の方形区を設置し,その なかの落葉と土壌表面を掘り取り,それをザ ルにいれてトレーの上でふるい,落下したア リを採集した。1方形区当たり10∼15分程度を費やした。いずれの方法でも,単位時間内
および単位方形区内でなるべく多くの種を採集するように努力した。以下の解析では,採
集された個体数は考慮せず,その種が出現し た回数(単位時間数および単位方形枠数)を対象とした。また,これらの定量採集法とと
もに,自由採集も随時おこなった。さらに, 落葉をもちかえり,簡易ミニウインクラー法 によって土壌動物を抽出し,そのなかからア リを取りだした。アリはすべて−80%エタノー ル中に保存した。地下が採集されたアリ類を 摘 要 香川県丸亀市飯野山のアリ相を報告した。 合計33種が記録された。いずれの種も,これ まで既に香川県から記録がある種であった.。 は じ め に 香川県のアリ相は,1990年代から県内各地 で調査され これまでに84種が報告されてい る(湊はか,1996;湊・伊藤1997;深山・伊藤 2000;伊藤 2001;前島・伊藤 2001,な
ど)。しかし,調査地はおもに香川県東部で, 西部からは琴平周辺,大川山,詫間町などでの記録しか報告されていない。筆者らは,
2004年6月18日に丸亀市飯野山でアリ類の定 量調査を実施した。わずか1日の調査であり 注目すべき種も得られていないが,丸亀市の アリの記録ほこれまでにないので,分布資料 として一報告する。 方 法 飯野山(標高422m)の山麓にある−・王寺神 社からつづく登山道沿いに5地点(それぞれの標高は,100m,200m,290m,380m,420
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のほとんどは,讃岐平野から阿讃山地まで県 内各地で普通にみられる種であったが,イガ ウロコアリとヒラタウロコアリは比較的稀な 種とされて■おり(日本蟻類研究会,1992),県 内でも記録は少ない。イガウロコアリは三木 町神山と藤尾神社から(深山・伊藤,2000; 伊藤ら,2004),ヒラタウロコアリは高松市紫 雲山からそれぞれ記録されている(深山・伊 藤,2000)。オオズアリは,紫雲山をはじめ讃 岐平野北部ではきわめて普通にみられ,飯野 山でも定量調査では採集できなかったが登山
口付近では少なくなかった。しかし,本種は
阿讃山地側では非常に少ないようで,これまで採集されたことがない。逆に,阿讃山地で
は低地でも比較的普通にみることができるア 「日本産アリ類の検索と解説(日本蟻類研究会,1989,199l,1992)」にもとづいて同定
し,伊藤が結果を取りまとめた。 結 果 見つけ採りで21種,落葉節いで18種,自由 採集で13種,ウインクラ・一法で7種,合計33 種のアリが採集された(表1)。いずれの種も すでに香川県から記録がある種であった。 見、つけ採りと節いがけで合計28種が採集さ れ そのうち11種が両方の方法で得られた。見つけ採りでは,1回(5分間)あたり1∼
8種(平均種数4‥2±SDl.7)のアリが採集された。採集回数が多かった種は,アメイロア
リ(18回),ウメマツオオアリ(17回),アミ メアリ(14回),クロヤマアリ(9回)であっ た。見つけ採りで得られた21種のうち,9種は1度だけ,1種が2度だけ採集された。落
葉飾いでは,1方形枠当たり1∼5種(平均
2.6種±SDl,3)がえられ み、つけ取りと同様 にアメイロアリが最も多く(24方形区),つい で,ウロコアリ(8方形区)とキイロシリア ゲアリ(7方形区)が多く採集された。落葉 節いで採集された18種のうち,1度だけ採集されたものは7種,2度採集されたものは4
種であった。二、つの採集方法でえられたアリ 類の採集回数を比較してみると,最優占種は ともにアメイロアリであったが,2位以下の 種の順位は二、つの方法間で著しく異なってい た(図1)。 考 察 香川県内では,これまでに各地でアリ類が 採集されているが,アリ相を明らかにするた めの量的な採集はまだ十分ではない。そのた め,今回の調査結果を他地域のアリ相と量的 に比較して議論することはできないが,これ までの知見を基に本地域のアリ相の特徴を簡 単に述べる。飯野山で採集された33種のアリ 柑242720‖−3430ZZ255祁1233212269106131415相田31詑 落葉偉い30 20 10 0 0 10 20 30
採集回数 採集回数 図1.二つの採集方法によってえられた アリの種別の採集回数. 左側が落葉衝い,右側が見つけ採りによる採集回数をしめす、中央の番号は,表
1の種番号に対応する。 − 61−OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
調査結果では,見つけ採りによって得られた 回数がた.だ1回であった種が多かったのにた いして2回えられた種がわずか1種であり,