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春から夏にかけて魚肉に集中するハエ群について(四国地方における主要衛生害虫の生態学的研究 VI)-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

141 第14巻第2一宇(1963) 春から夏にかけて魚肉に集合する

ハエ群について*

(四国地方に.おける主要衛生害虫の生態学的研究 Ⅵ)

松 沢

寛 工 緒 多くの八方・類匿とって1魚肉はど誘引性の強いものほまずないと思われるが,たとえそれらが,いまだ腐敗状態に まで至ってこいないとして.も,他のもの以上に多数のハエ類の飛来集合を招くものであることは,周知のことであるい ところで,こうした魚肉に集合するハエ痛も,季節紅よりまた地方によって,多少ずつ群の構成や各種類間の数量関 係がことなってくるものであろうと考えられ,■また時としてほ,それらが新鮮であるか否かによっても若干のちがい を生ずるものかも知れぬと思われるが,ここでほ,香川県地方の春から夏に至るもっともへ=・類活動のはげしい時期 における実情を,従来の調査にもとザいて.のべ,関係方面への参考に供したいと思う、 本文に入るに先だって1有益な助言をいただきまた今後の研究について多くの示唆を与えられた京都大学助教授河 野達郎氏ならびに調査に熱心なる助力をいただいた元当研究室研究補助員住友博子氏に対して,深く感謝する Ⅱ 調 査 方 法 この調査は,19占1,19る2の両年にわたって行なったものであるが,両年とも野外での調査ほ,三木田一本学農学部構 内において∴普通型ハエ取瓶を用いて行ない,町内の魚屋での調査は,其魚店所有の給金網奥のケージをそのまま借用 して店頭に設眉し,調査に用いたり前者は午前9時から午後5暗までの間の絵描狂数,後者ほ2,5日おきの11回の 終日捕鷹数または連続2−√5日の絵描華数を数えることによって,考察吟味の資料を作製することにした〃 ただし, この両年の禍査成績にほ,本質的な大きなちがいはほとんど認められなかったので,本稿でほ主として19る2年の成絞 をもとにしてのべることにする. Ⅱ 調 査 成 緯 1、野外における調査 野外に普通型ハエ取瓶を凱、て,魚に飛来集合するノ\エ類をしらべた結果を,19d2年の調査にもとずいて示すと第 TablelFly−fa11na On the dead bodyof the fishinthe field一・(Miki・Ch6,Kagawa)

Nu皿be

u

′ 85!25J52 き109 2 480 き 74

Table2.Ranking of abundance of the three groups of flies captuIed by the trapin the field”

(Mikトcb6,Ⅸagawa) 1表のようであるが,おもだったハエ の種類はCαJJよ♪加7■α,5αγC∂♪ゐαg‘Z, 力抑眉αの5つの属にほいるものであ

這㌔聖讐IMar・14lMaI・・29lApI・・17lMay2:May50ト18

り・他の属のものは・・∵般にきわめて cαJJわ如γβ 少数であった‖いまこれらの5つの屈 5α;霊だα について,属別個体数の多いさの割合 (See/ Tablel) 糖香川大学農学部応用昆虫学研究室業於No.59

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(2)

ユ.iコ 香川大学農学部学術報告 (%)の順位をみると,第2表のように,時期的に第1位,第2位,第5彼の位置が入れかわってほいるが,5月から 5月上旬頃までの間ほ,CαJJよ♪加′αが優占し,5月下旬以後にはだんだんと数丑を増加してきた乙鋸さJさ−αが優占し てくるようすが明瞭にわかる…けれどもSαrCO♪カαgαは,こうした間において:かならずしも優占することはなく, むしろ5属間では,第2番目またほ第5番目の位置を占めるような傾向が存するようであって,19る1年の調査(成槍 省略)でもはとんどこれらと同様の成絞であった.したがって大患かにいうと,香川県地方において.ほ,春は一腰に CαJJ査■♪カ0γαが,初夏から夏にかけては右〝〃ねがもっとも多く魚に飛来集合する傾向があるといえるようである しかして捕狩されたノ\エの数盈は,第1表からもわかるように,時期々々によっで多少があり,−・定の傾向ほなかっ たが,これはやはり野外のことでもあり,天候その他の野外事情にもとずくものであろうと考えられる.けれども, 自然状態におけるノ、エの全体的な数盈は,こういう季節の間においては,文字通り増加に増加を重ねる時期であるこ とは,経験的にはっきりしたことである(12) 2小 魚屋店頭における調査 自然状態において.もっともノ\ヱ・類の多い時期ほ,香川県地方においてほ5月中旬から占月中旬頃までの季節にあた り,この時期にほ−−・般家庭でも,各種の商店や公共施設などでも,やっきになってノ、エ類に対するいろいろな防除手 段が講じられる.魚屋の店頭においてほ,とくに多くのハエ類が飛来集合することが普通であるので,その防蝿対策 にほとく紅工夫と努力がはらわれなけれぼならない実情にある‖ ところで占月頃の魚屋店頭におけるハ註類である が,19占1年,19る2年の両年における数次にわたる調査の結果を示すと,第5表のようであって,全体的なノ、エの捕獲 数はもちろん莫大であるが,属の数も野 外の場合よりはるかに多い傾向が見られ た.しかして,エ胱∠Jタ〃と CαJJg♪如γα ほ,常に個体数が大で,多いさの順位ほ それぞれ欝1授か第2位であり,肋ざ・ C≠邦aや0♪カ.γγαなどがこれに次ぐ順位を 占めるようであった..けれども,占月の魚 屋店頭における5α′■C∂♪ゐαgαの占める順 イ立ほ,・−・般にそれはど高い方ではなかっ た…19占1年占月に行なったこれらのヘエ 蘇各属の個体数の多いさについての順位 調査(2,5日おきの11回の連続調査) の鈷果ほ,やほり第5表と同様な傾向 で,第4表のようであったが,−・般に順 位の高いところでは,大きな順位変動 は比較的なく,順位の低いところはど それらの変動がややいちじるしい傾向 が見られた Ⅳ 考 察 以上のぺたように,香川県地方で春 から夏にかけて魚に飛来集合するハエ 類は,野外でほ主としてCαJJ査タカク′α, エ〝CよJfα,5αγC〃♪カαgαの5属のもの が,町なかの魚屋店頭においては, CαJJざ♪カ〃㌢α,エ〟C∠−∼よα,肋ざCi〝α,0♪− Table5.Fly−fa11na at the shop・front of a fish dealer.

(Miki・Cb6,Ⅸagawa)

、忘㌫;−\−−ミ1Jて拡プ

28

1壬瑞宗一粍之冒冊蒜

Table4小Ranking of abundance of sevezalgroups of flies captu【ed by the trap at the shop・front Of a fish dealez’・・(Miki・Ch8,Kagawa1961)

\\CaptuI■ing‡112】5」4151占!71819ll〔=11

Genusl ̄、▲ ̄、・一∼−

This survey was carried out at20r5daysintervalinJ11ne.

カ.γrα,風川肋k,月勿肌㍑,S明竹材紘一 gα などの諸属のものが大部分を占めるようであるが,このような傾向はおそらく,西南日本の各地で大体共通した

ことではないかと思われる.もちろん季節によって,これら諸属の多い少ないの関係の生ずるのは当然ではあるが,

(3)

143 第14巻第2号(1963) −‖般に香川県地方でほCαJJi♪如・αほ5月頃に,エ肌iノダα,ダα〝〃ね,肋・9(よ〝α,0♪カγ′’αなどは5月下旬からる月頃 に,肋ざCαほ占月から7月頃にりま衆:ふ〝・√∂♪カαgαは初夏から初秋紅かけて5−7つぐらいのピークを作って発生し ているので,とくに5,る月頃の季節は,各属のハエ・類がもっとも数盈的に多く出そろう時といえる.野外において 魚の死体に飛来するハエ・軋 5月上旬頃までは断然CαJJi♪如け・αが多く,ついでSα′C∂♪カαgαが多いが,初夏が近づ くに.つれて次第に.エ独房烏厄が圧倒的に多くなり,次いで5αr“♪カαgα,CαJJ去♪血げαの順となってくる.町なかの魚屋 店頭におけるハエ類も,る月頃になってこくると,すでに.のべたように圧倒的紅エ〟CよJよαが多くなり(時にほ.,Cα//∫・ ♪厄rαの方が多いこともある),次いでCαJJよ■♪如γα,肋‘5Cよぉ,0♪カ.γ7〃といった順序になってくる.けれども, ダα〝乃fα,肋∫Cα,5αγぐ♂♪カαg〃の順位は,非常に変動して容易紅その間の順位をはっきりつけることができない. 順位の低いところであるから当然といえば当然といえるしかし,第4表の成紙をもとにして,こころみに−傲係数 W■を求め,それらの順位検定を行なってみると,

w=Ⅴ(%(m。,=筈=0・842

ただし Ⅴ(。) 仝変動 n 種類数(ここでほ属の数) Ⅴ(mn) 種類間変動(ここでは属間) m 測定回数 (11−1)W =55・29ほ…≡喜色?茎) ∴ Fo= (1−W) ここでは−・致性の保証をするのであるから両軸ほ値を大きくとって如=占,¢2=59として検定 すると. 6 Fo=55.29>F (0.05)=4.00 59 となって欝4表における7属すなわち ①エ〟CざJよα,侵)CβJJよ♪ゐ0γα,⑨肋・SCざ〝α,④0♪カ.γγ・α,⑤Sα′C♂♪カαgα,⑥ダα紹形よ−〃,⑦〃〝・ざCαという 順位ほ,偶然によるものとほ考えられないということになる(しかしで上記各属の順位の平均点ほ,1鶉1,19il, $今il,6ウil,6ウil,6予il,6弓il卜 したがって\単紅これら各属のハエの多い少ないの順位だけを問題にするとすれ ば,これほ・・一応そのままそれらの順位と認めてよいわけである. しかして各属の数盈関係ほ,第5表から大ぎっばにみると エ〟C∠Jオα 29−55% (41%) SαγC∂♪カαgα 2−5〝 (5…5〝) CαJJよ♪如㌢α 15−41〝 (28〝) ダα〃花£α 1−5〝 (1・5〝) 肋ぶぐま〝α 4′−15〝 (8.5′ゲ) 〟〝ぶぐα 1−5〝 (1・5〝) 0♪ゐ.γタα 5−8〝 (5小5〝) その他 4−51′ケ (17・5〝) といった割合であるので,エ〝C∠Jよα,CαJ鋤ゐβ′αなどはこの頃とくに圧倒的に多数を占めることがわかる・そう した割合の平均的な値(上記)あるいは節5,4表のもとに・なっている英数は,実際に等比級数的な関係をもってい るので,このことと上述の順位ほともに考えあわせて二考察なすすめるべきであろうい さて,魚肉に集合するハエ群の動態ほ,以上概略のべたようなものであるが,何れの屈もはとんど野外の葉風腐 放物,便所などと密接な関係をもつものばかりで,衛生的見地からの蛋変性は今さら喋々するまでもない。したがっ て,これらの防除対策については,今後もっともっと根本的に,もっと組織的に,考えなおして進むべきであろうと 思・う.同時にまた食品衛生取締上からの魚屋の経営管理面にも,もっと適切な指導がなされるべきではあるまいか, 現状では多くの場合,きわめて非衛生的といわざるをえない. Ⅴ 摘 要 春から夏にかけて,魚肉に飛来集合するヘエ群について調査し,概要をのべた..その結果ほ次のどとぐである.. (1)春から初夏にかけての候軋野外の魚に飛来集合するハエ顆ほ,はとんどCαJJ≠■♪如γ■α,5αγ(−〃♪カαgα,山猫溝鼠 の各属およびその他の少数の属で,はじめはCαJJ≠♪カ〃rαが圧倒的に多く,後にはかえって山肌−≠J∫αが増加してきた」 Sα′C¢♪ゐαgαほしかし大体両者の中間ぐらいの比率を保った(表卜・2参照)l・ (2)d月に魚屋店先に集合するノ、エ類を調査したところ, 大体において烏血−Jiαが圧倒的に多く,次いでCαJノダ・ ♪加γ・α,漉‘5C・去■〝α,0♪カ.γ7・αなどが多かった.けれども5α㌢■CO♪カαgα,ダ止別如−α,〟α5C〃などはそれほど多数ではなか

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(4)

香川大学農学部学術報告 144 った(表5−4参照). (3).上記魚屋店先のハエ類推,エ彷∽■J∠α29−・55%(平均41%),CαJJよ♪ゐ0γα15−41%(平均28%)で,他の群は比較 的少なかった∴・−・般に数盈(%)の順位ほ,上位のものはど変動少なく,下位のものはど変動がはげしかったが, ①エ払元ムーα,②CαJJよ♪加㌢■α,⑨〝〟5C壷〝α,④0タカ.γ7■α,⑤5αγC∂♪ゐαgα,⑥ダb彿肌−α,⑦肋5Cαといっ た順位ほ,順位検定の結果,偶然によるものでないという結果になった 引 用 文 献 ミ1)紘沢 寛:香川大恩学報,12(2),255−259(19引) (2)− :同上,15(2),159−1占2.(19る2).

On the crowd of flies gathering to the body of the fish during

the period from spring to summer in Kagawa

(Ecologicalstudies on someimportantinsects董romth9SanitaryviewinShikokuⅥ) HiroshiMATSUZAWA

Sllmmary The results of the research on the crowd of董Iies gatheIing to the body of the董ish during the period董rom sp工ing to summer at Miki−Choin Kagawa Prefecture caIried outin1961and1962 are desc工ibedin the present paper.They aIe Summarized as follows:

(1)The crowd of董1ies gathered to the body of the fishin the field dlユring the period from sp工ing to Summer WaS COnSistedof the groups s11Ch as Callibhora,Sarcobhaga,Lucilia and of very smal1number O董 otheIgenuS,and the n11mber of theindividuals which belong to Calliphora was verylargein SPI・ing,thoughthe number of those which belong to Lucilia grewIatherlarge afterwaIdl・But,the

number of theindividuals which belongtO Sarcobhaga was not solarge and theIate Of abundance was

intermediate of the groups of Calli♪hora and Lucilia(Tab1−2)

(2)As the consequence o董the researchon the crowd of flies at the shop fIOnt Of a fish dealerin

June,the number of theindividuals which belongto Lucilia was also found amazinglylarge and the

number of those which belong to Calli♪hora,Muscina and Oph.yra was subsequentlylarge.But the number of theindividuals which belong to SaTCOPhaga,Fannia and MuSCa WaS rather smal1compa・ Ⅰatively(Tab.5−4)

(5)The numberoftheindivid11alsinpercentageofthe flies which belong to LuCilia and Calliphora at the shop front of a fish dealer described above was29−55%(Av.41%)and15−41%(Av.28%)

IeSpeCtively,b11tthepercentage of other genus was not sohigh.Generally speaking,the ranking of

abundancein percentage of the dominant groups of flies was comparatively stable,thoughthat of the

undominant groups was rather vaIiable.But,after the statisticaltest for ranking,it was董o11nd that the

Ianking such as(1=h由一J∠α:>・(2)C‘ZJJ∠−♪加7α>(3)肋ぶCわzα>し4IO少々γγα>し5)Sα7’C0♪カαg‘Z>(6=物彿−α

>(7)Musca must beallowed as aninaccidentalphenomenon。

(Received October29,19占2)

参照

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