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本州の南岸沿いに梅雨前線が停滞するようにな ると梅雨の季節である 急激に日照時間が少なく なり ぐずついた天気が続く 梅雨の前半は 冷 たく湿った東寄りの風 ( ヤマセ ) が吹き 浜通り を中心に低温になることがあるが 会津ではその 影響は小さい 梅雨が明けると気温は上昇し ま た日照時間も急激に

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4.6 福島県の気候の変化

4.6.1 福島県の地勢と気候

福島県は東北地方の南部に位置 し、東西約170km、南北約130km、 面積は約13,783km²で、北海道、岩 手県に次ぐ全国第3位の広さを持 つ。東は太平洋に面し、南は八溝 山地及び那須岳、帝釈山、燧ケ岳 を連ねる山系で茨城・栃木・群馬 の三県に接し、北は飯豊山、吾妻 山を連ねる山系で山形県と、また 阿武隈高地北部で宮城県と、西は 飯豊山地、越後山脈で新潟県と接 する(図4.6-1)。 福島県は、南北に走る阿武隈高 地と奥羽山脈の二つの山系により、 浜通り、中通り、会津地方に三分さ れる。阿武隈高地は標高500mから 1000mの比較的なだらかな山地が連 なる。一方、奥羽山脈は北部に1800m 級の吾妻連峰、南部に1800m級の那須連峰があるが、中部は低く、猪苗代湖付近では標高500mほどとな っている。また、越後山脈は阿賀川によって南北に分かれ、南は東北地方で一番標高の高い燧ケ岳 (2356m)をはじめ、2000mを越す高山群となり、北は飯豊山を含む2000m級の朝日山地に連なっている。 会津の西部は日本有数の豪雪地帯として知られ、阿賀川・只見川の流域には多くの大型水力発電所が 設けられている。 福島県の気候は、浜通り、中通り、会津でそれぞれ異なる。会津は日本海側の特性を持ち、山間部 中心に多雪である。浜通りは太平洋側の特性を持ち、海風が入りやすいため、一年を通して穏やかな 気候である。中通りは太平洋側に近い気候を示す。また、阿武隈高地山間部や猪苗代湖周辺、会津山 間部では高原性の気候を示すところがあり、福島、郡山、白河、会津若松周辺の広い地域では盆地気 候の特性が現れている。 福島県の四季 冬型の気圧配置が緩み始める頃、本州南岸を通 る低気圧の影響で、浜通りや中通りでは湿った春 の雪が降る。3月から4月へと季節が急速に進み、 平均気温が10℃前後になると桜が開花し始める。 桜の開花は浜通り南部(いわき市)で始まり、中 通り北部(福島)、中通り南部(白河)、会津(会 津若松)へと移っていく。この頃になると低気圧 と高気圧が周期的に通るようになる。日本海の低 気圧が発達すると強風が吹くことがあり、福島の 強風日数(日最大風速10m/s以上)は3月から4月に かけて最も多い。また、風が弱く晴れた朝には霜 の降りることがある。5月になると帯状の高気圧に 覆われ晴れの日が続く。 福島市 春爛漫の花見山 福島市南東部の花見山は、4月中旬にウメ、ハナモ モ、サクラ、レンギョウ、サンシュユ、モクレンな どの花々が一斉に咲き競う様から桃源郷に例えられ ている。 図4.6-1 福島県の地勢とアメダス観測地点(2017年1月現在)※ 図中に観測所の位置を示す。赤◎は地方気象台、青◎は特別地域 気象観測所(旧測候所)、緑○はアメダス。 福島 若松 小名浜 ※この地図は、国土地理院『数値地図50mメッシュ(標高)平成13年5月1日』および、国土交通省国土政策局『国土数値情 報(行政区域データ)平成28年』をもとに、仙台管区気象台が加工・作製した。 白河

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本州の南岸沿いに梅雨前線が停滞するようにな ると梅雨の季節である。急激に日照時間が少なく なり、ぐずついた天気が続く。梅雨の前半は、冷 たく湿った東寄りの風(ヤマセ)が吹き、浜通り を中心に低温になることがあるが、会津ではその 影響は小さい。梅雨が明けると気温は上昇し、ま た日照時間も急激に増加し、本格的な夏が到来す る。内陸の盆地では、昇温した空気が滞留しやす いため他の地域よりも高温となりやすい。 9月になると秋雨前線や台風の影響でぐずつい た日が多くなる。台風の北上に伴い秋雨前線の活 動が活発になり、大雨となることがある。10月末 から11月にかけては、移動性高気圧に覆われ、爽 やかな秋晴れに恵まれる。初冠雪の便りもこの頃 である。会津盆地では、明け方の冷え込みによる 朝霧が見られる。秋も終わりに近づくと県内各地 で初雪が見られ、季節は秋から急速に冬に向かう。 冬至の前後から西高東低の冬型の気圧配置が続くようになり、会津では雪、中通りの平野部や浜通 りでは晴れの日が多くなる。強い寒気が入ると浜通りでも雪が降ることがある。小名浜周辺は東北地 方で最も温暖な地域であり、降雪も東北地方では最も少ない。 福島県の気象観測 福島県内の観測地点として、1889年5月に観測を開始した福島地方気象台(以下、本文では福島と記 載)と、若松特別地域気象観測所(1953年8月観測開始)、小名浜特別地域気象観測所(1910年5月観測 開始)、白河特別地域気象観測所(1940年1月観測開始)がある(以下、本文では若松、小名浜、白河 と記載。若松、小名浜、白河は旧測候所で、現在は無人化され自動観測となっている)。また、1974年 からアメダス(地域気象観測システム)の運用を開始しており、2017年1月現在、県内40地点(福島、 若松、小名浜、白河含む)で観測を行っている。 福島の月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年値を図4.6-2に示す。 図4.6-2 福島の月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年値 左図は日平均気温・日最高気温・日最低気温の月平均値(℃)、中図は月降水量(mm)、右図は月間日照時 間(h)。平年値は1981~2010年の30年平均値。日照時間は1986年に測器変更があったため、変更前の値を補 正している(気象庁,2005a)。 福島 福島 福島 下郷町 晩夏の大内宿 大内宿は、会津若松と日光を結ぶ会津西街道の宿 場町として栄えた。旧街道の両側には茅葺屋根の民 家が軒を連ねる。厳しい残暑の中、空の高さが秋の 訪れを控えめに告げる。

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4.6.2 福島県の気温の長期変化

年平均気温の長期変化 福島、若松、小名浜、白河の年平均気温の推移を図4.6-3に示す。 福島では100年あたり1.5℃の割合で上昇している。長期的な変化傾向を除くと1900年代後半、1930 年代から1940年代に低温の時期がみられる。1960年頃に高温の時期があり、1980年代の低温の時期を 経て、1980年代の終わりに大きく気温が上昇し、1990年頃から高温の年が多くなっている。また、1970 年代後半から1990年代前半くらいまで気温の変動が大きい。小名浜では100年あたり1.6℃の割合、若 松では50年あたり0.8℃の割合、白河でも50年あたり0.8℃の割合でそれぞれ上昇している。小名浜、 若松、白河ともに、福島と同じような気温の変動が見られるが、小名浜の1950年代は前後の時期に比 べ比較的高温である点が福島と異なっている。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 1.5℃/100年 若松 1954~2016年 0.8℃/50年 小名浜 1911~2016年 1.6℃/100年 1923年4月に観測場所を移転したため、移転の影響 を取り除く補正を行っている。1977年6月~1979 年5月の気温は欠測である。 白河 1940~2016年 0.8℃/50年 図4.6-3及び付表 福島、若松、小名浜、白河の年平均気温の推移 図の青線は各年の年平均気温(℃)、赤線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。付表の長期変化傾向 で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有 意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 福島 変化率:1.5℃/100年 若松 変化率:0.8℃/50年 小名浜 変化率:1.6℃/100年 白河 変化率:0.8℃/50年 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意

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季節別平均気温の長期変化 福島、若松、小名浜、白河の季節別平均気温の推移を図4.6-4に示す。 福島では、すべての季節の平均気温が上昇しており、春の上昇率が100年あたり1.7℃と最も大きい。 春は1984年の低温、夏は1902年、1954年、1993年の冷夏、1978年、2010年の暑夏、冬は1945年の寒冬、 1949年の暖冬等が顕著である。また、春・秋に比べて夏・冬の変動幅が大きい。小名浜でも、すべて の季節で気温が上昇している。福島と同様に春の上昇傾向が100年あたり1.8℃と最も大きいが、各年 の推移では1943~1945年の春の低温が顕著、1954年、1993年の冷夏は比較的影響が小さいなどの差異 が見られる。小名浜の気温は、常磐沖まで北上する黒潮続流起源の暖水の影響を受けるだけでなく、 春先に南下する親潮系の冷水の影響も受けるため、親潮の南下が顕著な年には低温となる傾向がある (3.1.3「親潮の長期変化」参照)。若松では、夏・秋の気温は上昇しており、春の気温は、上昇傾向 が明瞭に現れているが、冬の気温には変化傾向が見られない。白河では、すべての季節の気温が上昇 している。各年の推移を見ると、若松、白河は福島と同じ傾向がある。

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信頼度水準 99%で有意 変化率:1.4℃/100年 福島 信頼度水準 99%で有意 福島 若松 変化率:0.7℃/50年 信頼度水準 95%で有意 信頼度水準 99%で有意 変化率:1.7℃/100年 信頼度水準 99%で有意 福島 変化率:1.2℃/100年 福島 変化率:1.6℃/100年 信頼度水準 99%で有意 若松 変化率:1.0℃/50年 若松 変化率:1.1℃/50年 信頼度水準 99%で有意 若松

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変化率:1.7℃/100年 小名浜 信頼度水準 99%で有意 小名浜 変化率:1.8℃/100年 信頼度水準 99%で有意 小名浜 変化率:1.5℃/100年 信頼度水準 99%で有意 小名浜 変化率:1.6℃/100年 信頼度水準 99%で有意 白河 変化率:1.0℃/50年 信頼度水準 99%で有意 変化率:0.5℃/50年 白河 信頼度水準 99%で有意 変化率:0.8℃/50年 白河 信頼度水準 99%で有意 白河 変化率:0.8℃/50年 信頼度水準 99%で有意

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地点名(季節) 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島(春) 1890~2016年 1.7℃/100年 福島(夏) 1890~2016年 1.2℃/100年 福島(秋) 1890~2016年 1.6℃/100年 福島(冬) 1891~2016年 1.4℃/100年 若松(春) 1954~2016年 0.7*℃/50年 若松(夏) 1954~2016年 1.0℃/50年 若松(秋) 1953~2016年 1.1℃/50年 若松(冬) 1954~2016年 - 小名浜(春) 1911~2016年 1.8℃/100年 1923年4月に観測場所を移転したため、移転の影響 を取り除く補正を行っている。1977年6月~1979年 5月の気温は欠測である。 小名浜(夏) 1910~2016年 1.5℃/100年 小名浜(秋) 1910~2016年 1.6℃/100年 小名浜(冬) 1911~2016年 1.7℃/100年 白河(春) 1940~2016年 1.0℃/50年 白河(夏) 1940~2016年 0.5℃/50年 白河(秋) 1940~2016年 0.8℃/50年 白河(冬) 1941~2016年 0.8℃/50年 図4.6-4及び付表 福島、若松、小名浜、白河の季節別平均気温の推移 図の折線は季節別平均気温(℃)とその5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。春は3月~5月、夏は6月 ~8月、秋は9月~11月、冬は前年12月~2月の3か月平均値である。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼 度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあ るものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。

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4.6.3 福島県の雨・雪の長期変化

年・季節別降水量の長期変化 福島、若松、小名浜、白河の年降水量の推移を図4.6-5に示す(脚注1)。 小名浜では減少傾向が現れているが、他3地点には変化傾向は見られない。福島では1910年代から 1920年代初めにかけて多雨期が見られる。その後は十数年程度の間隔で多雨期と少雨期が現れており、 1970年代から1990年代半ばにかけては、年降水量が1000mm以下の年が度々見られる。若松、白河でも 1970年代から1980年代にかけて少雨期が見られるが、小名浜では明瞭ではない。 季節別では、小名浜では、図4.6-6に示すように、秋の降水量に減少傾向が明瞭に現れている。小名 浜の春、夏、冬の降水量には変化傾向は見られない(図略)。福島、若松、白河では、すべての季節の 降水量について変化傾向は見られない(図略)。なお、小名浜を除き、冬の降水は主に雪によるもので ある(脚注2)。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 - 若松 1954~2016年 - 小名浜 1911~2016年 -103.0** ㎜/100年 白河 1940~2016年 - 図4.6-5及び付表 福島、若松、小名浜、白河の年降水量の推移 図の棒グラフは各年の年降水量(mm)、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。付表の長期変化傾 向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で 有意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 変化率:-103.0mm/100年 信頼度水準 90%で有意 福島 若松 小名浜 白河 脚注1)1968年1月に転倒ます型雨量計の観測開始により、観測値の最小位数を 0.1mm 刻みから 0.5mm 刻みに変更した(気 象庁,2005a)。なお、冬期は加熱装置付きの機器を使用している。 脚注2)降水量の観測は、円筒型の雨量計に捕捉された雨の量(雪の場合、溶かした水の量)を測定することにより行われる が雪の捕捉率は風速が大きくなると低下し、少なめに観測される。その割合は測器の形状によって異なると指摘されてい る(横山ら,2003)。なお、ここでは測器の形状及び風速による降水量の補正は行っていない。

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地点名(季節) 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島(春) 1890~2016年 - 福島(夏) 1889~2016年 - 福島(秋) 1889~2016年 - 福島(冬) 1890~2016年 - 若松(春) 1954~2016年 - 若松(夏) 1954~2016年 - 若松(秋) 1953~2016年 - 若松(冬) 1954~2016年 - 小名浜(春) 1911~2016年 - 小名浜(夏) 1910~2016年 - 小名浜(秋) 1910~2016年 -79.5* mm/100年 小名浜(冬) 1911~2016年 - 白河(春) 1940~2016年 - 白河(夏) 1940~2016年 - 白河(秋) 1940~2016年 - 白河(冬) 1941~2016年 - 図4.6-6及び付表 小名浜の秋の降水量の推移 及び付表 図の棒グラフは小名浜の秋(9月~11月)の3か月合計降水量(mm)、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾 向を表す。春は3月~5月、夏は6月~8月、秋は9月~11月、冬は前年12月~2月の3か月合計値。付表には、福島、 若松、小名浜、白河のそれぞれの季節別降水量についても記載する。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信 頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値であることを 示す。「-」は、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 小名浜 信頼度水準 95%で有意 変化率:-79.5mm/100年

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年最大日降水量の長期変化 福島、若松、小名浜、白河の年最大日降水量の 推移を図4.6-7に示す。 4地点とも変化傾向は見られない。福島、若松 の年最大日降水量はおおむね50mmから100mm程度 で変動しているが、まれに150mmを超える大雨が 発生している。1998年8月26日から31日にかけて 三陸沿岸から関東地方北部にかけて前線が停滞 し、台風第4号の影響で暖かく湿った空気が入り、 白河では8月27日に日降水量266.5mmを観測した。 福島県では死者11名、負傷者22名、床上浸水1000 棟以上など土砂災害・水害となった(気象 庁,2000)。小名浜、白河の年最大日降水量はおお むね100mm前後で変動しているが、まれに200mm を超える大雨が発生している。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 - 若松 1954~2016年 - 小名浜 1911~2016年 - 白河 1940~2016年 - 図4.6-7及び付表 福島、若松、小名浜、白河の年最大日降水量の推移 図の棒グラフは各年の年降水量(mm)、折線は5年移動平均値を表す。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は 信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」 とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 磐梯町 猪苗代湖 猪苗代湖は福島県のほぼ中央に位置し、日本第4 位の面積を有する。磐梯山頂より湖を望む。湖畔に は稲刈りを終えた水田が広がる。 福島 若松 小名浜 白河

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大雨日数の長期変化 福島、若松、小名浜、白河の日降水量50mm以上の年間日数の推移を図4.6-8に示す。 白河では増加傾向が明瞭に現れており、若松でも増加傾向が現れている。福島と小名浜に変化傾向 は見られない。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 - 若松 1954~2016年 0.8**日/50年 小名浜 1911~2016年 - 白河 1940~2016年 1.3*日/50年 図4.6-8及び付表 福島、若松、小名浜、白河の日降水量50mm以上の年間日数の推移 図の棒グラフは各年の日降水量50mm以上の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。付表 の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印 の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 白河 変化率:1.3日/50年 信頼度水準 95%で有意 福島 若松 小名浜 信頼度水準 90%で有意 変化率:0.8日/50年

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無降水日数の長期変化 福島、若松、小名浜、白河の無降水日(日降水量1.0mm未満)の年間日数の推移を図4.6-9に示す。 福島では100年あたり11.1日の割合で、小名浜では100年あたり10.1日の割合で増加しており、白河で は増加傾向が明瞭に現れている。2.2で述べた東北地方で現れている特徴とは異なり、若松の無降水日 数には変化傾向が見られない。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 11.1日/100年 若松 1954~2016年 - 小名浜 1911~2016年 10.1日/100年 白河 1940~2016年 5.1*日/50年 図4.6-9及び付表 福島、若松、小名浜、白河の無降水日の年間日数の推移 図の棒グラフは各年の無降水日(日降水量1.0mm未満)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾 向を表す。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で 有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないこ とを示す。 変化率:5.1日/50年 変化率:11.1日/100年 変化率:10.1日/100年 信頼度水準 95%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 白河 福島 若松 小名浜

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アメダスで見た大雨発生回数の長期変化 福島県内のアメダスは、1974年に運用を開始し、2017年1月現在、県内40地点で観測を行っている。 福島や小名浜では100年以上の観測データがあるのに比べるとアメダスでの観測年数は短いが、地点数 が多いことから、局地的大雨などを気象台等による長期のデータだけを用いるよりも適切に捉えるこ とができる。そこで、福島県内の観測地点のうち、1979年から2016年まで降水量の観測を継続してい る30地点のデータから1時間降水量30mm以上、50mm以上の短時間強雨及び日降水量100mm以上の大雨の 年間発生回数を集計した。図4.6-10に示すように、1時間降水量30mm以上および50mm以上の発生回数は、 年々変動が大きく、変化傾向は見られない。日降水量100mm以上の発生回数は、増加傾向が現れている。 一般に、大雨の発生回数は年ごとの変動が大きく、それに対してアメダスでの観測期間は比較的短 いことから、長期変化を確実に捉えるためには今後のデータの蓄積が必要である(気象庁,2015)。 年間発生回数 統計期間 長期変化傾向 1時間降水量30㎜以上 1979~2016年 - 1時間降水量50mm以上 1979~2016年 - 日降水量100㎜以上 1979~2016年 2.5**回/10年 図4.6-10及び付表 福島県内の1時間降水量30mm以上、1時間降水量50mm以上、日降水量100mm以上の年間発生回数 の推移 福島県内で1979年から2016年まで降水量の観測を継続している30地点のデータから集計した1時間降水量30mm 以上の年間発生回数(上左図)、1時間降水量50mm以上の年間発生回数(上右図)と、日降水量100mm以上の年間発 生回数(下左図)。直線は長期変化傾向を表す。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的 に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に 有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 変化率:2.5回/10年 信頼度水準 90%で有意 福島県 福島県 福島県

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降雪の深さと最深積雪の長期変化 福島、若松、小名浜、白河の降雪の深さの寒候年合計値の推移を図4.6-11に示す(脚注)。 福島、若松は2005年10月に、白河は1998年3月に降雪の深さの観測を雪板による観測から積雪計によ る自動観測に変更しており、観測データがこの前後で均質ではないため、統計期間のうち福島、若松 は1954~2005寒候年まで、白河は1954~1997寒候年までの雪板による観測データを対象として変化傾 向を調べた。4地点とも降雪の深さの寒候年合計値に変化傾向は見られず、2.2.7で述べた東北日本海 側、東北太平洋側と同様である。また、福島、白河はおおむね100cm前後で変動している。若松は1980 年代半ばまで500cmを超える年が度々あったが、1980年代の終わりに急減し、その後は300cm前後の年 が多くなり、2010年以降は400㎝程度の年が続いている。小名浜は他の地点に比べかなり少なく、10cm に満たない年が多い。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1954~2016寒候年 - 観測方法の変更(2005年10月)に伴う統計切断のため、 長期変化傾向は1954~2005寒候年を調べた。 若松 1954~2016寒候年 - 観測方法の変更(2005年10月)に伴う統計切断のため、 長期変化傾向は1954~2005寒候年を調べた。 小名浜 1954~2008寒候年 - 無人化(2008年10月1日)に伴い、降雪の深さの観測を終 了した。 白河 1954~2016寒候年 - 観測方法の変更(1998年3月)に伴う統計切断のため、長 期変化傾向は1954~1997寒候年を調べた。 図4.6-11及び付表 福島、若松、小名浜、白河の降雪の深さの寒候年合計値の推移 図の棒グラフは各年の降雪の深さの寒候年合計値(cm)、折線は5年移動平均値、破線は統計切断時期を示す。 付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、 無印の値は99%で有意な値であることを示す。「-」は、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 福島 若松 小名浜 白河 脚注)寒候年とは、基本的には前年8月から当年7月までの1年を指す(例えば2009年8月から2010年7月までの1年間を2010寒 候年という)。

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福島、若松、小名浜、白河の寒候年最深積雪の 推移を図4.6-12に示す(脚注)。 福島、若松、白河の寒候年最深積雪では変化傾 向は見られず、2.2.7で述べた東北日本海側、東 北太平洋側と同様だが、小名浜の最深積雪は10 年あたり0.9㎝の割合で減少している。福島の最 深積雪は30cm前後の年が多いが1936年の80cm、 2001年の56cmのように多く積もる年がある。若 松の最深積雪はおおむね60cm前後で変動してい るが、100cm以上積もる年もある。小名浜の最深 積雪は30cm以下で、1970年代以降は0cmの年が増 えている。白河の最深積雪は20cm前後の年が多 い。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1902~2016寒候年 - 若松 1954~2016寒候年 - 小名浜 1922~2008寒候年 -0.9㎝/10年 無人化(2008年10月1日)に伴い、積雪の深さの観測 を終了した。 白河 1941~2016寒候年 - 1999年の値は欠測。 図4.6-12及び付表 福島、若松、小名浜、白河の寒候年最深積雪の推移 図の棒グラフは各寒候年の最深積雪(cm)、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。欠測年は横軸 を灰色にしている。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した 値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出 せないことを示す。 下郷町 大内宿の雪景色 こんもりとした雪が宿場町の茅葺屋根を覆い、軒 先には長いつららが下がる。 脚注)1990年代以降、積雪の深さの観測を雪尺を用いた観測から積雪計による自動観測に変更した。積雪計への切替時期は、 福島1997年2月、若松、白河1998年3月(気象庁,2005a)。 変化率:-0.9cm/10年 信頼度水準 99%で有意 白河 福島 若松 小名浜

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福島、若松、小名浜、白河の日最深積雪5cm以上の年間日数(寒候年)の推移を図4.6-13に示す。 福島、若松、白河の日最深積雪5cm以上の年間日数に変化傾向は見られず2.2.7で述べた東北太平洋 側、東北日本海側の減少傾向と異なっている。小名浜では10年あたり0.3日の割合で減少している。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1902~2016寒候年 - 若松 1954~2016寒候年 - 小名浜 1922~2008寒候年 -0.3日/10年 無人化(2008年10月1日)に伴い、積雪の深さの観測 を終了した。 白河 1941~2016寒候年 - 図4.6-13及び付表 福島、若松、小名浜、白河の日最深積雪5cm以上の年間日数(寒候年)の推移 図の棒グラフは各年の日最深積雪5cm以上の年間日数(寒候年)、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向を 表す。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意 な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを 示す。 変化率:-0.3日/10年 信頼度水準 99%で有意 白河 福島 若松 小名浜

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雪の初終日の長期変化 福島、若松の雪の初日(初雪)、雪の終日の推移を図4.6-14に示す。 白河は1992年4月に夜間の目視観測を廃止し、雪の初終日の統計を切断したため、初雪は1992寒候年、 雪の終日は1991寒候年までの変化傾向を調べた。小名浜は2008年10月に、若松は2010年10月に無人化 され目視観測を終了したため、小名浜は2008寒候年まで、若松は2010寒候年までの変化傾向を調べた。 福島、小名浜(図略)、白河(図略)の雪の初終日に変化傾向は見られないが、若松では雪の終日が早 くなる傾向が明瞭に現れている。 福島の初雪の平年値は11月26日である。福島の初雪の最早は、10月31日(1904年)である。福島の 雪の終日の平年値は4月4日で、雪の終日の最晩は5月2日(1892年)である。 福島 福島 若松 若松 変化率:-1.1日/10年 信頼度水準 95%で有意 雪 の 初 日 雪 の 終 日

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地点名(要素) 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島(雪の初日) 1890~2016寒候年 - 福島(雪の終日) 1890~2016寒候年 - 若松(雪の初日) 1954~2016寒候年 - 目視観測の終了(2010年10月1日)に伴う統計切断の ため、1954~2010寒候年の長期変化傾向を調べた。 若松(雪の終日) 1954~2016寒候年 -1.1*日/10年 小名浜(雪の初日) 1951~2016寒候年 - 目視観測の終了(2008年10月1日)に伴う統計切断の ため、1951~2008寒候年の長期変化傾向を調べた。 小名浜(雪の終日) 1951~2016寒候年 - 白河(雪の初日) 1951~2016寒候年 - 夜間目視観測の終了(1992年4月1日)に伴う統計切 断のため、1951~1992寒候年の長期変化傾向を調べ た。 白河(雪の終日) 1951~2016寒候年 - 夜間目視観測の終了(1992年4月1日)に伴う統計切 断のため、1951~1991寒候年の長期変化傾向を調べ た。 図4.6-14及び付表 福島、若松の雪の初終日(寒候年)の推移 上段は福島の雪の初日(初雪)、中段は福島の雪の終日。下段左図は若松の雪の初日(初雪)、下段右図は若松 の雪の終日。図中の青線、水色線は各年の値、赤線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、破線は統計切断時期 を表す。付表には小名浜、白河も記載する。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に 有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有 意な長期変化傾向が見出せないことを示す。

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4.6.4 福島県の真夏日・真冬日などの階級別日数の長期変化

福島、若松、小名浜、白河の夏日(日最高気温 25℃以上)の年間日数の推移を図4.6-15に示す。 小名浜は1923年4月に観測場所を移転しており、 観測データが移転前後で均質ではない可能性が あるため、統計期間のうち1924~2016年の変化傾 向を調べた(以下、真夏日、熱帯夜、猛暑日、冬 日、真冬日についても同じ)。 夏日日数では、福島では10年あたり0.9日の割 合で、若松では10年あたり3.0日の割合で、小名 浜でも10年あたり1.3日の割合でそれぞれ増加し ている。白河では増加傾向が明瞭に現れている。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 0.9日/10年 若松 1954~2016年 3.0日/10年 小名浜 1911~2016年 1.3日/10年 観測所の移転(1923年4月)に伴う統計切断のため、1924~2016 年の長期変化傾向を調べた。1977~1979年の値は欠測。 白河 1940~2016年 1.9*日/10年 図4.6-15及び付表 福島、若松、小名浜、白河の夏日(日最高気温25℃以上)の年間日数の推移 図の棒グラフは各年の夏日(日最高気温25℃以上)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、 破線は統計切断時期を表す。欠測年は横軸を灰色にしている。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水 準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるも のは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 変化率:3.0日/10年 昭和村 蕎麦畑 高原の畑に白い蕎麦の花が一面に咲き、奥会津の秋 は深まっていく。 変化率:0.9日/10年 変化率:1.3日/10年 変化率:1.9日/10年 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 95%で有意 白河 福島 若松 小名浜

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福島、若松、小名浜、白河の真夏日(日最高気温30℃以上)の年間日数の推移を図4.6-16に示す。 小名浜では10年あたり0.6日の割合で、白河では10年あたり1.7日の割合でそれぞれ増加しており、福 島、若松でもそれぞれ増加傾向が明瞭に現れている。福島の真夏日日数は、1890年代後半から1910年 代前半まで少ない時期が続き、その後はおおむね40日前後で推移しているが、時折60日を超える年が ある。記録的な猛暑となった2010年は、高温が夏から秋まで続いたため、真夏日日数が福島で72日、 若松で65日、小名浜で22日といずれも観測開始以来最多となった。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 0.8*日/10年 若松 1954~2016年 1.9*日/10年 小名浜 1911~2016年 0.6日/10年 観測所の移転(1923年4月)に伴う統計切断のため、1924~2016 年の長期変化傾向を調べた。1977~1979年の値は欠測。 白河 1940~2016年 1.7日/10年 図4.6-16及び付表 福島、若松、小名浜、白河の真夏日(日最高気温30℃以上)の年間日数の推移 図の棒グラフは各年の真夏日(日最高気温30℃以上)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、 破線は統計切断時期を表す。欠測年は横軸を灰色にしている。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水 準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるも のは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 変化率:0.6日/10年 変化率:0.8日/10年 変化率:1.9日/10年 変化率:1.7日/10年 信頼度水準 95%で有意 信頼度水準 95%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 白河 福島 若松 小名浜

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福島、小名浜の熱帯夜(ここでは日最低気温25℃以上の日を便宜的に熱帯夜と呼ぶ)の年間日数の 推移を図4.6-17に示す。 福島では10年あたり0.4日の割合で、小名浜では10年あたり0.1日の割合でそれぞれ増加している。 福島では、1980年代半ばに9日の年が現れ、2010年には観測開始以来最多の21日を記録した。小名浜で は、1980年代まではほとんど現れなかったが、1994年は5日、2010年は6日現れている。若松の熱帯夜 は10年に2日程度しか現れず、熱帯夜日数に変化傾向は見られない(図略)。白河で熱帯夜となったの は1952年8月3日の1日だけである(図略)。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 0.4日/10年 若松 1954~2016年 - 小名浜 1911~2016年 0.1日/10年 観測所の移転(1923年4月)に伴う統計切断のため、1924~2016 年の長期変化傾向を調べた。1977~1979年の値は欠測。 白河 1940~2016年 - 図4.6-17及び付表 福島、小名浜の熱帯夜(日最低気温25℃以上)の年間日数の推移 図の棒グラフは各年の熱帯夜(ここでは日最低気温25℃以上とする)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線 は長期変化傾向、破線は統計切断時期を表す。欠測年は横軸を灰色にしている。付表には若松、白河も記載する。 付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、 無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 変化率:0.4日/10年 変化率:0.1日/10年 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 福島 小名浜

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福島、若松、小名浜、白河の猛暑日(日最高気温35℃以上)の年間日数の推移を図4.6-18に示す。 福島では10年あたり0.5日の割合で、白河では10年あたり0.1日の割合でそれぞれ増加しているが、 2.1.5で述べた東北地方の特徴と異なり若松では変化傾向が見られない。福島の猛暑日日数は、2010年 に観測開始以来最多の24日を記録した。また、小名浜の猛暑日は1911年以降で5回現れただけである。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 0.5日/10年 若松 1954~2016年 - 小名浜 1911~2016年 - 観測所の移転(1923年4月)に伴う統計切断のため、1924~2016 年の長期変化傾向を調べた。1977~1979年の値は欠測。 白河 1940~2016年 0.1日/10年 図4.6-18及び付表 福島、若松、小名浜、白河の猛暑日(日最高気温35℃以上)の年間日数の推移 図の棒グラフは各年の猛暑日(日最高気温35℃以上)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、 破線は統計切断時期を表す。欠測年は横軸を灰色にしている。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水 準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるも のは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 変化率:0.5日/10年 変化率:0.1日/10年 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 白河 福島 若松 小名浜

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福島、若松、小名浜、白河の冬日(日最低気温0℃未満)の年間日数の推移を図4.6-19に示す(脚 注)。 福島では10年あたり3.4日の割合で減少しており、1989年頃からは80日に達しない年が多くなって いる。小名浜では10年あたり4.7日の割合で、白河では10年あたり2.6日の割合でそれぞれ減少してい るが、2.1.5で述べた東北地方の特徴と異なり若松の冬日日数には変化傾向が見られない。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 -3.4日/10年 若松 1954~2016年 - 小名浜 1911~2016年 -4.7日/10年 観測所の移転(1923年4月)に伴う統計切断のため、1924~2016 年の長期変化傾向を調べた。1977~1979年の値は欠測。 白河 1940~2016年 -2.6日/10年 図4.6-19及び付表 福島、若松、小名浜、白河の冬日(日最低気温0℃未満)の年間日数の推移 図の棒グラフは各年の冬日(日最低気温0℃未満)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、 破線は統計切断時期を表す。欠測年は横軸を灰色にしている。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水 準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるも のは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 小名浜 変化率:-3.4日/10年 変化率:-2.6日/10年 変化率:-4.7日/10年 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 白河 福島 若松 脚注)日最低気温の日界(1日の区切り時刻)は現在では00時であるが、1939年までは日界を22時としており、1953~1963 年は09時としていた。09時日界及び22時日界による冬日日数は、00時日界によるものと比べ北日本平均でそれぞれ6.7日/ 年と2.3日/年少なく、09時日界及び22時日界による熱帯夜日数は、00時日界によるものと比べ北日本平均でそれぞれ0.1 日/年と0.02日/年多いと指摘されている(藤部,2000)。

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福島、若松、小名浜、白河の真冬日(日最高気温0℃未満)の年間日数の推移を図4.6-20に示す。 福島では10年あたり0.2日の割合で、白河では10年あたり0.8日の割合で減少しており、若松でも減 少傾向が現れている。小名浜の真冬日は1911年以降、6回観測されているが、1984年を最後に現れてい ない。 地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島 1890~2016年 -0.2日/10年 若松 1954~2016年 -0.8**日/10年 小名浜 1911~2016年 - 観測所の移転(1923年4月)に伴う統計切断のため、1924~2016 年の長期変化傾向を調べた。1977~1979年の値は欠測。 白河 1940~2016年 -0.8日/10年 図4.6-20及び付表 福島、若松、小名浜、白河の真冬日(日最高気温0℃未満)の年間日数の推移 図の棒グラフは各年の真冬日(日最高気温0℃未満)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、 破線は統計切断時期を表す。欠測年は横軸を灰色にしている。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水 準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値を示す。「-」とあるも のは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 変化率:-0.2日/10年 信頼度水準 99%で有意 福島 若松 変化率:-0.8日/10年 信頼度水準 99%で有意 白河 小名浜 変化率:-0.8日/10年 信頼度水準 90%で有意

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4.6.5 福島県のサクラ開花・カエデ紅葉への影響

サクラの開花やカエデの紅葉などの植物の季節現象は気温と密接な関係がある(気象庁,2015)。こ こでは、春の現象としてサクラの開花、秋の現象としてカエデの紅葉に着目し、その変化と気温の変 化を確認する。 図4.6-21に、福島、小名浜、白河のサクラ(ソメイヨシノ)開花日(脚注1)と、サクラ開花と相関 が高い2月~4月の3か月平均気温(脚注2)の推移を示す。 福島と小名浜ではサクラの開花日が早くなる傾向が現れているが、白河では変化傾向は見られない。 福島では1980年代まではおおむね4月中旬に開花していたが、1990年代以降は4月上旬に開花する年が 多くなり、2002年に観測開始以来最早の3月29日に開花した(最晩は1984年の4月25日)。また、福島で は2月~4月の3か月平均気温が10年あたり0.2℃の割合で上昇しており、小名浜でも上昇傾向が現れて いるが、白河では変化傾向は見られない。 脚注1)1953年に気象庁で「生物季節観測指針」が制定され、全国で一定の基準による観測業務が開始されたが、これ以前は、 官署ごとに独自の観測を行っていたため、観測データの品質に差がある可能性がある(仙台管区気象台,2005)。そこで、 1952年以前の観測値は参考値とし、1953年以降の観測値から変化傾向を調べた。 脚注2)異常気象レポート2014(気象庁,2015)では、全国のサクラの開花日平年差と2月~3月平均気温平年差との間に負の 相関(相関係数-0.90)があると述べているが、東北地方においてサクラの開花日は全国の中では比較的遅めで、4月に開 花することが多いため、異常気象レポート2005(気象庁,2005b)と同様に、2月~4月の気温との比較を行った。

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福島(サクラ開花日) 1940~2016年 -0.7**日/10年 統一基準(前頁脚注1)による観測は1953年以降。 1952年以前の値は参考値。長期変化傾向は1953 ~2016年を調べた。 福島(2~4月の平均気温) 1890~2016年 0.2℃/10年 上記に合わせ、長期変化傾向は1953~2016年を 調べた。 小名浜(サクラの開花日) 1928~2008年 -0.8**日/10年 統一基準(前頁脚注1)による観測は1953年以降。 1952年以前の値は参考値。無人化(2008年10月1 日)に伴う観測終了のため、長期変化傾向は1953 ~2008年を調べた。 小名浜(2~4月の平均気温) 1911~2016年 0.1**℃/10年 上記に合わせ、長期変化傾向は1953~2008年を 調べた。1978年と1979年は欠測。 白河(サクラの開花日) 1940~1997年 - 統一基準(前頁脚注1)による観測は1953年以降。 1952年以前の値は参考値。無人化(1998年3月1 日)に伴う観測終了のため、長期変化傾向は1953 ~1997年を調べた。 白河(2~4月の平均気温) 1940~2016年 - 上記に合わせ、長期変化傾向は1953~1997年を 調べた。 図4.6-21及び付表 福島、白河、小名浜のサクラ開花日と2月~4月の3か月平均気温の推移 図の赤線はサクラ開花日、青線は2月~4月の3か月平均気温(℃)、直線は長期変化傾向を表す。1952年以前の 値(○)は参考値。付表の長期変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した 値は90%で有意な値、無印の値は99%で有意な値であることを示す。「-」は、統計的に有意な長期変化傾向が見 出せないことを示す。 変化率:-0.8日/10年 変化率:0.2℃/10年 変化率:0.1℃/10年 信頼度水準 90%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 90%で有意 変化率:-0.7日/10年 信頼度水準 90%で有意

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図4.6-22及び付表 福島、白河、小名浜のカエデ紅葉日と9月~11月の3か月平均気温の推移 図の赤線はカエデ紅葉日、青線は9月~11月の3か月平均気温(℃)、直線は長期変化傾向を表す。付表の長期 変化傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の 値は99%で有意な値であることを示す。「-」は、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 変化率:3.7日/10年 変化率:4.1日/10年 図4.6-22に福島、小名浜、白河のカエデ(イロハカエデ)紅葉日と、カエデの紅葉と相関が高い9月 ~11月の3か月平均気温(脚注)の推移を示す(気象庁,2015)。福島では10年あたり3.7日の割合で遅 くなっており、小名浜でも10年あたり4.1日の割合で遅くなっている。9月~11月の3か月平均気温は、 福島、小名浜ともに10年あたり0.3℃の割合でそれぞれ上昇しており、長期的な気温の上昇が紅葉を遅 らせている原因の一つと考えられる。一方、白河ではカエデ紅葉日に遅くなる傾向が現れているが、 同じ期間の9月~11月の3か月平均気温には変化傾向は見られない。 地点名(要素) 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等) 福島(カエデの紅葉日) 1953~2016年 3.7日/10年 統一基準(p170脚注1)による観測は1953年以 降。1952年以前の値は参考値。長期変化傾向は 1953~2016年を調べた。1962年、1966~1969 年は欠測。 福島(9~11月の平均気温) 1890~2016年 0.3℃/10年 上記に合わせ、長期変化傾向は1953~2016年を 調べた。 小名浜(カエデの紅葉日) 1953~2007年 4.1日/10年 無人化(2008年10月1日)に伴う観測終了のた め、長期変化傾向は1953~2007年を調べた。 1972~1975年、1990年は欠測。 小名浜(9~11月の平均気温) 1911~2016年 0.3℃/10年 上記に合わせ、長期変化傾向は1953~2007年を 調べた。1977~1978年は欠測。 白河(カエデの紅葉日) 1953~1997年 1.1**日/10年 無人化(1998年3月1日)に伴う観測終了のため、 長期変化傾向は1953~1997年を調べた。 白河(9~11月の平均気温) 1940~2016年 - 上記に合わせ、長期変化傾向は1953~1997年を 調べた。 変化率:0.3℃/10年 変化率:0.3℃/10年 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 90%で有意 変化率:1.1日/10年 脚注)異常気象レポート2014(気象庁,2015)では、全国のカエデの紅(黄)葉日平年差と10月~11月平均気温平年差との間 に相関(相関係数0.88)があると述べているが、東北地方においてカエデの紅(黄)葉日は全国の中では比較的早めで、 10月上旬に紅(黄)葉することもあるため、異常気象レポート2005(気象庁,2005b)と同様に、9月~11月の気温との比較 を行った。

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果樹の花芽の発芽日が早まっている-モモ・ナシ・リンゴを例に-

福島県では、モモ、ナシ、リンゴ、カキ、ブドウなど多様 な果樹の栽培が盛んであり、特にモモの生産量は山梨県に次 いで全国第2位となっている。 地球温暖化に伴う気温の上昇により、果樹生産への影響が 懸念されていることから、福島県農業総合センター果樹研究 所(福島市飯坂町)の観測データを用いて、モモ(品種:あ かつき)、ナシ(品種:幸水)、リンゴ(品種:ふじ)の花芽 の発芽日及び開花日の推移を確認した(下図)。また、図には 発芽・開花期である3月~4月の福島の気温の推移を共に示し ている。 1976年から2015年のモモの発芽・開花日の推移をみると、3月~4月の福島の気温の明瞭な上昇傾向 に呼応するように、発芽日が早まる傾向が明瞭に現れている。モモの開花日には変化傾向がみられな いものの、1980年代末までは4月中旬から下旬に開花しており、1990年頃からは4月上旬に開花する年 がたびたび現れている。また、ナシとリンゴについても、モモと同様、3月~4月の福島の気温の明瞭 な上昇傾向に呼応するように、発芽日が早まる傾向 が明瞭に現れている。また、ナシは開花日にも早ま る傾向が現れている。 全国的には、成熟期のリンゴやぶどうの着色不 良・着色遅延、ナシの秋期から初冬期高温による 発芽不良等の影響が報告されている(農林水産 省,2015b)。地球温暖化が更に進めば、福島県の果 樹栽培にも大きな影響を及ぼす可能性がある。 要素 統計期間 長期変化傾向 モモの発芽日 1976~2015年 -2.1*日/10年 モモの開花日 1976~2015年 - ナシの発芽日 1976~2015年 -1.6*日/10年 ナシの開花日 1976~2015年 -1.4**日/10年 リンゴの発芽日 1976~2015年 -1.7*日/10年 リンゴの開花日 1976~2015年 - 3~4月の平均気温 1890~2015年 0.33*℃/10年 開花日 発芽日 平均気温 図及び付表 モモ・ナシ・リンゴの発芽・開花日と 福島の3月~4月の2か月平均気温 上図はモモ、中図はナシ、下図はリンゴで、それぞれ 緑線は開花日、赤茶線は発芽日、青線は3~4月の2か月 平均気温、直線は長期変化傾向を表す。3~4月の平均気 温は1976~2015年の変化傾向を調べた。付表の長期変化 傾向で、*を付加した値は信頼度水準95%で統計的に有 意な値、**を付加した値は90%で有意な値、無印の値は 99%で有意な値であることを示す。「-」は、統計的に 有意な長期変化傾向が見出せないことを示す。 開花日 発芽日 平均気温 福島県農業総合 センター果樹研 究所HPより 平均気温 発芽日 開花日

参照

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