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II K116 : January 14, ,. A = (a ij ) ij m n. ( ). B m n, C n l. A = max{ a ij }. ij A + B A + B, AC n A C (1) 1. m n (A k ) k=1,... m n A, A k k

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(1)

線形微分方程式と対角化の応用

作成日 : January 14, 2008 今回の目標 微分積分と線形代数が融合した問題などを扱います. 今まで学んできたことを総動員し てみましょう. 難しいと思った人は, まず例題や緑の問題に取り組んでください. 行列の指数関数 A = (aij)ijを m× n 行列とする. このとき行列の絶対値 (ノルム) を次で定義する. ∥A∥ = max ij {|aij|}. もし B が m× n 行列, C が n × l 行列ならば

∥A + B∥ ≤ ∥A∥ + ∥B∥, ∥AC∥ ≤ n∥A∥ · ∥C∥ (1) が成り立つ. 定義 1. m× n 行列の列 (Ak)k=1,...が m× n 行列 A に収束するとは, Akの各成分が k → ∞ のとき, A のその成分に収束することとする. このとき limk→∞Ak = Aと書く. つまり Ak = (a (k) ij )ij, Ak = (aij)ij ならば, 任意の i, j に対し limk→∞a (k) ij = aij が成り立つとき limk→∞Ak= A. limk→∞Ak = Aであるための必要十分条件は次で与えられる. ∥A − Ak∥ → 0 (k → ∞) n次正方行列 A に対して, A の指数関数 eAを次で定義する: eA:= E + A + A 2 2! +· · · + Ak k! +· · · = k=0 Ak k!. 右辺はちゃんとある行列に収束する. これは exの原点でのテイラー展開の類似である. 一般に冪級数 f (x) =k=0anxk|x| < r で収束していたとする. このときもし A の 固有値の絶対値がすべて r より小さければ次は収束する. f (A) = k=0 akAk 実際もし A が対角化可能だったとすると, 正則行列 P をとって P−1AP = diag(α1, . . . , αn) が固有値 αiを対角に並べた対角行列になる. このとき P−1f (A)P =akP−1AkP =akdiag(αk1, . . . , α k n) = diag(f (α1), . . . , f (αn)) これより f (A) は f (A) = P diag(f (α1), . . . , f (αn)) P−1 と計算できる. (例題 1 も参照せ よ.) 対角化できないときはジョルダンの標準形にすれば同様に計算できる.

(2)

関数の一次独立 R 上定義された実数値 (または複素数値) 関数 f1(t), . . . , fn(t)は次を満たすとき一次独 立という. 任意の実数値 (または複素数値)ci (i = 1, . . . , n)に対し, 関数として, c1f1(t) +· · · + cnfn(t) = 0 =⇒ c1 =· · · = cn = 0. 次の行列をロンスキー行列という. W (f1, . . . , fn)(t) :=       f1(t) . . . . . . fn(t) f1′(t) . . . . . . fn′(t) .. . ... ... ... f1(n−1)(t) . . . . . . fn(n−1)(t)      . ロンスキー行列の行列式をロンスキアンという. (普通こちらを W (f1, . . . , fn)と書くこと が多い.) 線形微分方程式 ここでは簡単のため 3 次の線形微分方程式を考える. 3 次ではなく一般の n 次でもまっ たく同様である. 下の定理 1,2 の証明は付録をみてください. 定理 1. p(t), q(t), r(t)をR 上の実数値または複素数値連続関数とする. このとき 3 次斉 次線形微分方程式 d3f (t) dt3 + p(t) d2f (t) dt2 + q(t) df (t) dt + r(t)f (t) = 0 (2) の解全体を V と書く. このとき次が成り立つ. (i) V はべクトル空間になる. つまり和やスカラー倍で閉じている. (f, g ∈ V なら f + g ∈ V など. ) (ii) 任意の定数 a, b, c に対し, f (0) = a, f′(0) = b, f′′(0) = cとなる解 f (t)∈ V がただ一 つ存在する. (iii) V の次元は 3. つまり 3 個の一次独立な関数 f1(t), f2(t), f3(t) ∈ V が存在して, 任意 の f (t) ∈ V は f(t) = c1f1(t) + c2f2(t) + c3f3(t) (ciは定数) と書ける. 定理 2. f (t), g(t), h(t)を (2) を満たす関数とする. このとき f (t), g(t), h(t) が一次独立で あるための必要十分条件は, ある点 t = t0においてロンスキアンが det W (f, g, h)(t0)̸= 0 となることである. またある t0に関して det W (f, g, h)(t0)̸= 0 ならば任意の t に対しても det W (f, g, h)(t)̸= 0 である.

(3)

p(t), q(t), r(t)が定数のときは解を具体的に構成できる. 定理 3. p, q, rを定数とする. このとき定数係数の 3 次斉次線形微分方程式 d3f (t) dt3 + p d2f (t) dt2 + q df (t) dt + rf (t) = 0 (3) の解全体を V と書く. ϕ(x) = x3+ px2+ qx + rとおく. (これをこの線形微分方程式の固 有多項式という.) このとき次が成り立つ. (i) ϕ(x)が重根を持たない場合, 根を α, β, γ とすると, V は eαt, eβt, eγtで張られる 3 次 元べクトル空間. つまり V ={c1eαt+ c2eβt+ c3eγt | ci ∈ C}. (ii) ϕ(x)が 2 重根を持つ場合, α を 2 重根, β をもう一つの根とすると, V は eαt, teαt, eβt で張られる 3 次元べクトル空間. つまり V ={c1eαt+ c2teαt+ c3eβt | ci ∈ C}. (iii) ϕ(x)が 3 重根を持つ場合, α を 3 重根とすると, V は eαt, teαt, t2eαtで張られる 3 次 元べクトル空間. つまり V ={c1eαt+ c2teαt+ c3t2eαt | ci ∈ C}. 補足 1. p, q, rが実数で微分方程式の解として実数値関数を求めたい場合は次のようにな る. ϕ(t) は 3 次式なので, これが実数でない解をもつのは, 重根をもたない場合である. そ の場合はひとつの実数根 α と実数でない根 β = a + bi とその複素共役 β = a− bi をもつ. この場合, 実数解の集合は, eαt, eatcos bt = e βt+ eβt 2 , e atsin bt = e βt− eβt 2i で張られる 3 次元実べクトル空間になる. 上ではオイラーの公式 eix = cos x + i sin xを使っ たが, この微分方程式の解の次元に注目すると逆にオイラーの公式を導くことができる. 行列の指数関数を使うと解を一言で書く事ができる. (2) は行列を使って d dt    f (t) f′(t) f′′(t)    :=    f′(t) f′′(t) f′′′(t)    =    0 1 0 0 0 1 −r(t) −q(t) −p(t)       f (t) f′(t) f′′(t)    と書ける. これより F (t) :=    f (t) f′(t) f′′(t)    , A(t) =    0 1 0 0 0 1 −r(t) −q(t) −p(t)   

(4)

とおくと, 微分方程式は F(t) = A(t)F (t) と書ける. (行列の微分は各成分を微分してできる行列とする.) p, q, r が定数のときは A(t) = Aとかく. 普通の関数に関する微分方程式 f′(t) = cf (t)の解は f (t) = ect × 定数 だったことを思い出すと, 実は F(t) = AF (t)の解も, F (0) = v とおくと, F (t) = etAv であることがわかる. 実際微分してみると dtd(etAv) = A etAvがわかる. (A が定数行列で ない A(t) のときは成り立たない.) これより 定理 4. ベクトル v に対し, v =t(f (0), f′(0), f′′(0))を満たす (3) の解は F (t) = etAvの第 一成分である. 定理 4 と定理 3 の関係や, 定理 4 を使って実際に解を計算するには A の対角化やジョル ダンの標準形化を行って, F (t) = P · et(P−1AP )· P−1vを計算すればわかる. 例題 1 を参照. 次に斉次でない線形微分方程式の解について述べる. 定理 5. p(t), q(t), r(t), b(t)をR 上の実数値または複素数値関数とする. このとき 3 次非 斉次線形微分方程式 d3f (t) dt3 + p(t) d2f (t) dt2 + q(t) df (t) dt + r(t)f (t) = b(t) (4) の解は少なくても一つの解 f0(t)を持つ. このとき任意の解は f0(t)と b(t) を恒等的に 0 と したときの d3f (t) dt3 + p(t) d2f (t) dt2 + q(t) df (t) dt + r(t)f (t) = 0 の解との和である. 補足 2. b(t) ≡ 0 としたときの解の構造はすでに決定してあるので, 何でもよいので少な くても一つ (4) の解を求めれば, すべての解が求まったことになる. 連立方程式 Ax = b の ときも, これを満たす解 x0がなんでもよいから一つ見つかったとすると, 全ての解は x0 と Ax = 0 の解の和として書けていた. (4)の解をひとつ求める方法はいろいろある. 例題や付録のラグランジュの定数変化法 のところを見てください. 例題 (Examples) 例題 1. 2次正方行列 A = ( 1 2 −1 4 ) に対し eAを求めよ.

(5)

【解答】 これは前回の問題 K115 の例題 1 と同じ行列である. よって固有値は 2, 3 であ り, 固有ベクトルを並べてできる行列 P = ( 2 1 1 1 ) をとると P−1AP = ( 2 0 0 3 ) となる. これより P−1eAP = P−1 n=0 An n! P = n=0 (P−1AP )n n! = n=0 1 n! ( 2n 0 0 3n ) = ( e2 0 0 e3 ) . 従って eA = P ( e2 0 0 e3 ) P−1= ( 2e2− e3 −2e2+ 2e3 e2− e3 −e2+ 2e3 ) . 例題 2. 次の方程式を満たす関数 f (t) で f (0) = 1, f′(0) = 3を満たすものを求めよ. d2f (t) dt2 − 3 df (t) dt + 2f (t) = 0. 【解答】 方法 1. 定理 3(の 2 次版) を使う. 固有多項式は ϕ(x) = x2−3x+2 = (x−1)(x−2) であるので, 定理 3(の 2 次版) よりこの微分方程式の一般解は c1et+ c2e2tの形. 実際に ϕ(x) の根を α = 1, 2 とすると d2eαt dt2 − 3 deαt dt + 2e αt= (α2− 3α + 2)eαt= 0 なので f (t) = c1et+c2e2tはこの微分方程式の解である. f (0) = 1 より c1+c2 = 1, f′(0) = 3 より c1+ 2c2 = 3となる. これから c1 =−1, c2 = 2である. 解の一意性 (定理 1 (ii) の 2 次 版) から f (t) =−et+ 2e2tがすべての解である. 方法 2. 行列の指数関数を使う. A = ( 0 1 −2 3 ) とおくと eAt ( 1 3 ) の第一成分が求める f (t). 実際, ( f (t) g(t) ) = eAt ( 1 3 ) とおくと, dtdeAt = AeAtを使ってこれを微分すると ( f′(t) g′(t) ) = A ( f (t) g(t) ) . これから g(t) = f′(t), g′(t) =−2f(t) + 3g(t). 従って f′′(t)− 3f′(t) + 2f (t) = 0. また ( f (0) g(0) ) = ( 1 3 ) より f (0) = 1, f′(0) = g(0) = 3がわかる. eAt ( 1 3 ) の計算は例題 1 のように eAtを求めれ ばよいが, 具体的に求めるなら方法 1 の方が速い. (A が特別な形だとこちらの方が速いこ ともある.)

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方法 3. 数列の漸化式を解くのと同じく, ϕ(x) = x2− 3x + 2 の根を α, β として f′′(t)− αf′(t) = β(f′(t)− αf(t)) と変形する. ここで F1(t) = f′(t)−αf(t) とおくと, F1′(t) = βF1(t)となるので一つ階数が低 い線形微分方程式に帰着される. これより F1(t) = C1eβtの形. 同様に F2(t) = f′(t)−βf(t) とおくと F2(t) = C2eαtの形. F1(t), F2(t)から f′(t)を消すと F2(t)− F1(t) = (α− β)f(t) = C2eαt− C1eβt. これから f (t) = c1eαt+ c2eβtの形であることがわかる. 後は方法 1 と同じ. 補足 3. 具体的に求めるなら方法 1 が早く, 方法 2 は指数関数を使えば解を一言で表せる 利点がある. 方法 3 は定理などを知らなくても数列のときと同様の手法で素朴に解ける. 例題 3. 次の方程式を満たす実数値関数 f (t) で f (0) = 1, f′(0) = 3を満たすものを 求めよ. d2f (t) dt2 + df (t) dt + f (t) = 0. 【解答】 固有多項式は x2+ x + 1で根は α = −1+√3i 2 と β = −1−√3i 2 . よって (複素数の 範囲での) 一般解は f (t) = c1eαt+ c2eβtの形. f (0) = 1 より c1 + c2 = 1. f′(0) = 3より αc1+ βc2 = 3. これを解いて c1 = 12 76 3i, c2 = 12 + 76 3i. これより f (t) = e αt+ eβt 2 + 73 3 ( eαt− eβt 2i ) = e−12t ( e 3 2 it+ e− 3 2 it 2 ) + 7 3 3 e 1 2t ( e 3 2 it− e− 3 2 it 2i ) = e−12tcos (√ 3t/2 ) +7 3 3 e 1 2tsin (√ 3t/2 ) . 最後はオイラーの公式を使った. 補足 1 のように最初から実数解の一般項は c1e− 1 2tcos(√3t/2 ) + c2e− 1 2tsin(√3t/2 ) の形として始めると計算がもう少し楽になる. 例題 4. 次の方程式の一般解を求めよ. (1) d 2f (t) dt2 − 2α df (t) dt + α 2f (t) = 0. (2) d2f (t) dt2 − 2 df (t) dt + f (t) = t 2. 【解答】 (1) 固有多項式は ϕ(x) = x2− 2αx + α2 = (x− α)2より2重解をもつ. これよ り定理3の2次元版から一般解は c1eαt+ c2teαtの形. 実際, eαtが解なのは例題 1 と同様 にわかる. teαtに関しては積の高次微分に関するライプニッツの公式より d2(teαt) dt2 − 2α d(teαt) dt + α

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また eαt, teαtは一次独立なので (問題 3), 定理 1 より一般解は c 1eαt+ c2teαtの形. 例題 1 の方法 2 のように行列の指数関数を使っても一般解を求められる. A = ( 0 1 −α2 ) , ま た v を任意の定数ベクトルとすると eAtvの第一成分が一般解. (2) この方程式の解 f0(t)を何でもよいから見つけると任意の解 f (t) は f (t)− f0(t)α = 1のときの (1) の解になることから, f (t) = f0(t) + c1et+ c2tetの形. よって特殊解 f0(t)を求めればよい. 特殊解の求め方はいろいろある. 方法 1. 未定係数法. 右辺は多項式なので特殊解が多項式で取れないか未定係数法で考 えてみる. 右辺が 2 次式なので多項式の解があったら 2 次式であろう. f0(t) = at2+ bt + c を (2) に代入して解けるか考えてみる. 代入すると 2a− 2(2at + b) + (at2+ bt + c) = t2と なり, これから係数を比較して a = 1, b = 4, c = 6 を得る. これから f0(t) = t2+ 4t + 6は (2)の解になることがわかる. 以上より一般解は f (t) = t2+ 4t + 6 + c 1et+ c2tet. 方法 2. 積因子法. f (t) = g(t)h(t) とおいて積因子 g(t) をうまく選ぶことで解を見つけ る. これを (2) に代入して h(t) に関して整理すると (g′′(t)− 2g′(t) + g(t))h(t) + 2(g′(t)− g(t))h′(t) + g(t)h′′(t) = t2. 上式で h(t) や h′(t)の係数を 0 にすることを考えると g(t) = etと選ぶとよい気がする. 実際, g(t) = etとおくとこの式は eth′′(t) = t2,つまり h′′(t) = e−tt2. これを2回積分すれば h(t) として例えば e−t(t2+4t+6)が取れる. よって特殊解の一つは f 0(t) = g(t)h(t) = t2+4t+6. 方法 3. 演算子法. D = dtd, D2 = d2 dt2 とおくと, 方程式は (1− D)2f (t) = (D2− 2D + 1)f(t) = t2. 両辺にあたかも多項式やベキ級数のように (1− D)−2 = 1 (1− D)2 = ( 1 + D + D2+· · ·)2 = 1 + 2D + 3D2+· · · をかけると f (t) = (1 + 2D + 3D2+· · · )t2 = t2+ 4t + 6. このやり方はこのままだと論理的, 数学的に意味がないが, とにかく特殊解の候補 t2+4t+6 が求まった. これが本当に特殊解になっているかは, 実際に (2) に代入してみればよい. 方法 4. ラグランジュの定数変化法. これは付録をみてください. それによれば特殊解 の一つはロンスキー行列 G(t) = W (et, tet) = ( et tet et et+ tet ) を使って ( f0(t) f0′(t) ) = G(t)t 0 G(t)−1 ( 0 t2 ) dt = et ( 1 t 1 1 + t ) ∫ t 0 e−t ( 1 + t −t −1 1 ) ( 0 t2 ) dt = et ( 1 t 1 1 + t ) ∫ t 0 ( −t3e−t t2e−t ) dt = et ( 1 t 1 1 + t ) (∫t 0 −t 3e−tdtt 0 t 2e−tdt ) .

(8)

これより f0(t) =−ett 0 t 3e−tdt + tett 0 t 2e−tdt. これを計算すればよい. 補足 4. 方法 1 について. もし (2) の右辺が t2などの多項式ではなく etなどテイラー級数 になる関数だったら, 多項式ではなく∑antnという形の級数を (2) に代入して, 右辺の関 数のテイラー展開の係数と比較して anを求めるとよい. もしこれで anを求めることがで きるのなら特殊解が得られる可能性が高い. (収束等をチェックしなければならない.) あ るいは (2) の右辺が三角関数などならば, 特殊解を a sin x + b cos x などと推測して, (2) に 代入して右辺と比較することで未定係数 a, b が存在するか調べるとよい. 方法 2 について. 積因子法は初等的に微分方程式を解くときの強力な方法である. 積因 子を選ぶところにひらめきを必要とするが, 簡単な方程式ならこの方法でたいがい解ける. 方法 3 について. このような妙な計算を正当化するのが演算子法であるが, この方法が 適用できる場合は限られている. (2) の右辺が多項式なら高次微分が消えるので収束性を 議論する必要がなくなり, 演算子法が使える. 方法 4 について. この方法は最も一般的で理論的だが, これを使うと具体的な計算は大 変になることが多い. 問題 (Problems) 問題 1. (a) 行列の絶対値に関する不等式 (1) を証明せよ. (b) 不等式 (1) を使って eAが収束することを示せ. 問題 2. 次の行列 A に対して eAを求めよ. (1) ( 1 −2 −1 0 ) (2) ( 1 2 0 1 ) 問題 3. α, β, γを相異なる定数とする. このとき以下の問いに答えよ. (1) 関数 eαt, eβt, eγtが一次独立であることを示せ. ロンスキアンも求めよ. (2) 関数 eαt, teαt, eβtが一次独立であることを示せ. ロンスキアンも求めよ. (3) 関数 eαt, teαt, t2eαtが一次独立であることを示せ. ロンスキアンも求めよ. 問題 4. f (t), g(t), h(t)を定理 1 の方程式 (2) を満たす関数とする. (1) a(t), b(t), c(t)を微分可能な関数を成分とする 3×1の縦ベクトルとする. |a(t), b(t), c(t)| で a(t), b(t), c(t) を並べてできる行列の行列式を表すことにする. このとき次の公 式を示せ. d dt|a(t), b(t), c(t)| = |a (t), b(t), c(t)| + |a(t), b(t), c(t)| + |a(t), b(t), c(t)|. 横ベクトルに関しても同様な公式が成り立つことを示せ.

(9)

(2) ロンスキアン w(t) = det W (f, g, h) は微分方程式 w′(t) =−p(t)w(t) を満たすことを 示せ. そしてリュービユの公式 w(t) = w(t0)e− Rt t0p(t)dtを証明せよ. (3) 定理 2 を証明せよ. 問題 5. 次の方程式を解け. (1) { f′(x) =−7f(x) − 4g(x) g′(x) = 12f (x) + 7g(x) (2) { f′(x) =−75f(x) + 16g(x) g′(x) = −360f(x) + 77g(x) 問題 6.次の g(t) に対し次の方程式の一般解を求めよ. また (1) に関しては初期条件 f (0) = 1, f′(0) = 4を満たす解も求めよ. d2f (t) dt2 + df (t) dt − 2f(t) = g(t). (1) g(t) = 0 (2) g(t) = t (3) g(t) = sin t 問題 7. 次の微分方程式の実数解を求めよ. d3f (t) dt3 − 3 d2f (t) dt2 + 4 df (t) dt − 12f(t) = t. 問題 8. Aを正方行列とする. このとき (1) 次を示せ.

det(E− tA) = exp ( n=1 Tr An n t n ) ただし TrA は A のトレース, つまり対角成分の和である: Tr A :=iaii. (収束は気 にしなくてもよい. 両辺を形式的に展開したとき係数が等しいという意味.) ヒント: 上三角化してみよ. (2) Aがベキ零行列 (ある自然数 n に対し An = 0となる行列) であることと, すべての の自然数 n に対し Tr An = 0となることは同値であることを示せ. 以下の2つの問題は中村郁著, 線形代数学, 数学書房からである. この本は, 線形代数の CTスキャンへの応用など, 実社会で線形代数がどのように使われているのかを垣間みる ことができるよい本です. 興味のある方はどうぞ. 問題 9. αを定数として, 次の微分方程式を考える. d2f dx2 − 2x df dx − f = αf.

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この方程式の解を二次以下の複素数を係数とする多項式の集合 V ={ax2+ bx + c| a, b, c ∈ C} で求めよ. (0 でない解が存在するための α の条件も求めよ.) ヒント: 微分作用素を F : d 2 dx2 − 2x d dx − 1 とおくと, F は V から V への線形写像を定める. 従ってこの解を求めることは F f = αf , つまり F の固有値 α と固有べクトルを求めることと同値である. (ちなみにこの問題は量 子力学と関係がある. ) 次の問題は微分方程式とは関係ないが対角化の応用として解いてみてください. 問題 10. 話を簡単にするため, 日本人は一人一日一食として, 一様に次のような食事傾向 を持つとする: (1) 和食を食べた翌日は, 和食を食べる確率は 1/2, 洋食を食べる確率は 1/2. (2) 洋食を食べた翌日は, 和食を食べる確率は 2/3, 洋食を食べる確率は 1/3. (3) 一日一回, 和食と洋食のいずれか一方だけを必ず食べる. さらに日本人の x0%が元旦に和食を, y0%が洋食を食べたとする. (上の (3) より x1+ y1 = 100.) このとき以下の問いに答えよ. (a) n日後の和食の割合を xn%,洋食の割合を yn%ととするとき, ( xn+1 yn+1 ) = ( 1 2 2 3 1 2 1 3 ) ( xn yn ) という関係が成り立つことを示せ. (b) 365日後の割合 x365, y365はどうなっているか? (c) 無限に日数がたつとどうなるか? (x∞:= limn→∞xnや y∞:= limn→∞yn が存在した とすると, べクトルt(x ∞, y∞)は (a) の行列の固有値 1 に関する固有べクトルになって いるはずである. ) 同様の問題を今度は和食, 洋食, 中華の割合で考えてみよ. 例えば和食を食べた翌日は, 和 食, 洋食, 中華を食べる確率はすべて 1/3, 洋食を食べた翌日は, 和食を食べる確率は 1/4, 洋食は 1/2, 中華は 1/4, 中華を食べた翌日は, 和食, 洋食, 中華を食べる確率はすべて 1/3 などとして考えてみよ.

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付録 (Appendix) 線形微分方程式の解の存在と一意性 ここでは定理 1 の証明と定理 4 の特殊解 f0(t)をラグランジュの定数変化法を使って求 める方法を解説する. ただ定数変化法は理論的ではあるが, この方法で具体的に計算する のは面倒なことが多い. 実際には例題 4 (2) のように様々な方法を駆使して状況に応じて 効率がよい方法を選ぶのがよい. 定理 1 の証明

定理 1 の (i) はすぐにチェックできる. (iii) は (ii) からわかる. よって (ii) を示せばよい. (ii)は解の存在と一意性という2つのパートに分かれる. f (t)が (2) を満たすとすると, 3 ページの記号で F(t) = A(t)F (t) (5) が成り立つ. また (5) をみたす F (t) があると第一成分をみることで (2) を満たす f (t) が取 れる. これより (5) を解くことを考えればよい. まず (2) の解の一意性を示す. f (t) を (2) の解とする. v := F (0) =    f (0) f′(0) f′′(0)    とおく. (5) を 0 から t まで積分すると F (t) = v +t 0 A(t)F (t)dt (6) と書ける. (行列の積分はその行列の各成分を積分したものとする. ) もし G(t) も G(0) = v で (2) を満たしたとすると, F (t)− G(t) を考えることで, v が 0 のときに F (t) が (6) を満 たすならば F (t) は恒等的に 0 であることを示せばよい. t ≥ 0 とする. (t < 0 の場合も同 様.) t < R となる R をとる. このとき A(t) の成分は連続関数なのでワイヤシュトラスの 定理より|t| ≤ R で ∥A(t)∥ ≤ M となる M が取れる. v = 0 のとき (6) と (1) より ∥F (t)∥ ≤t 0 ∥A(t)F (t)∥dt ≤ 3Mt 0 ∥F (t)∥dt. (7) h(t) := e−3Mt0t∥F (t)∥dt とおく. h(t) は単調減少関数である. 実際 (7) より h′(t) =−3Me−3Mtt 0 ∥F (t)∥dt + e−3Mt∥F (t)∥ ≤ 0. 従って 0 ≤ h(t) ≤ h(0) = 0. これより h(t) は恒等的に 0 で0t∥F (t)∥dt = 0. ∥F (t)∥ は 0 以上の連続関数なので, これより F (t) は恒等的に 0 でなければならない. 次に (2) の解の存在を示すには (6) を満たす F (t) の存在を証明すればよい. ピカールの 逐次近似法で F0(t) = 0から出発して関数列 (Fn(t))nFn+1(t) = v +t 0 A(t)Fn(t)dt (8)

(12)

で定義する. もし F (t) = limn→∞Fn(t)が存在すれば, それは (6) を満たす. 関数列 (Fn(t))nが収束することを証明する. R を実数として|t| < R で考える. このと∥A(t)∥ ≤ M となる M をとると ∥Fn+1(t)− Fn(t)∥ ≤ ∥v∥ ·|3Mt| n n! が成り立つことを帰納法で示す. t≥ 0 のときを示す. (t < 0 のときも同様.) n = 0 のとき はすぐにわかる. n = k− 1 の時上の不等式が成り立つとすると, (8) と帰納法の仮定より ∥Fk+1(t)− Fk(t)∥ = w w w w ∫ t 0 A(t)(Fk(t)− Fk−1(t))dt w w w w ≤t 0 ∥A(t)(Fk(t)− Fk−1(t))∥dt ≤ 3Mt 0 ∥Fk(t)− Fk−1(t)∥dt ≤ (3M )k+1 k!t 0 tkdt = (3M t) k+1 (k + 1)! . これより n = k の場合も示された. これを使うと m≥ n に対して ∥Fm(t)−Fn(t)∥ = ∥(Fm(t)− Fm−1(t)) + (Fm−1(t)− Fm−2(t)) +· · · + (Fn+1(t)− Fn(t))∥ ≤ ∥(Fm(t)− Fm−1(t))∥ + ∥(Fm−1(t)− Fm−2(t))∥ + · · · + ∥(Fn+1(t)− Fn(t))∥ m−1 k=n |3Mt|k k! m−1k=n |3MR|k k! → 0 (m, n→ ∞). これよりコーシーの判定法より|t| ≤ R で Fm(t)はある F (t) に一様収束する. F′n(t) = A(t)Fn−1(t)より F′n(t)も一様収束するので, F (t) は微分可能で F(t) = A(t)F (t)が成り 立つ. 作り方より F (0) = Fn(0) = v. ラグランジュの定数変化法 関数 a(t), b(t) に対し, 方程式 f′(t) = a(t)f (t) + b(t) の一つの解は, b(t) を恒等的に 0 とした場合の方程式 g′(t) = a(t)g(t)の解を一つをとると, f (t) = g(t)t t0 g−1(t)b(t)dt で与えられる. (上を微分して本当に解であることを確かめてみよ.) 今の場合 g(t) = e Rt t0a(t)dtと取れる. この行列類似を行う. f (t) を (4) の解とすると, 3 ページの記号で, F(t) = A(t)F (t) + b(t) (9) が成り立つ. ここで b(t) = t(0, 0, b(t)). また (9) を満たす F (t) の第一成分は (4) の解であ る. これより (9) の微分方程式を解けばよい. (2)の一次独立な解を g1(t), g2(t), g3(t)とする. (p, q, r が定数なら具体的に求まる.) こ のときロンスキー行列 G(t) = W (g1, g2, g3)(t)を考える. 定理 2 より G(t) はどんな t に対 しても正則行列である. また G(t) = A(t)G(t)もすぐにわかる. このとき F (t) = G(t)t t0 G(t)−1b(t)dt とおく. これが (9) を満たすのは実際に微分すればわかる. (行列の積の微分公式 (A(t)B(t))′ = A′(t)B(t) + A(t)B′(t)を使う.)

参照

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