http://www.hitachi.co.jp/soft/magazine/ 2006 July
vol.
36
SOA基盤の装備で進化する
Cosminexus Version 7
特集
株式会社 日立製作所SOA基盤の装備で進化するCosminexus Version 7
SOA
によって実現する
ビジネスの継続的な発展
SOA
によって実現する
ビジネスの継続的な発展
日立オープンミドルウェアが
新機能を携えて
続々とバージョンアップ
TOPICS日立オープンミドルウェアが
新機能を携えて
続々とバージョンアップ
日立オープンミドルウェア
Information
Open Middleware Report vol.36[July/2006] 株式会社日立製作所 ソフトウェア事業部 販売企画センタ
TEL:03-5471-2592
本カタログは環境に配慮し、植物性大豆油インキを使用しております。 発行日◎2006年7月1日 発行(編集/制作/印刷)02 Open Middleware Report|vol.36
不許複製
All Rights Reserved. Copyright c 2006, Hitachi, Ltd.
Contents
特集SOAによって実現する
ビジネスの継続的な発展
SOA最前線 いま,
実践の時
3
8
18
20
24
22
* ITILは、英国政府OGC(Office of Government Commerce)のCommunity Trade Markおよび U.S.Patent and Trademark Officeにおける登録商標です。
* Java 及びすべてのJava関連の商標及びロゴは,米国及び
その他の国における米国Sun Microsystems, Inc.の商標または登録商標です。 * ORACLEは,米国Oracle Corporation の登録商標です。
* R/3は,SAP AGのドイツ及びその他の国における登録商標または商標です。 * その他記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。 * 秘文は,日立ソフトウェアエンジニアリング(株)の登録商標です。
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HMCC
のご紹介
HMCC(日立オープンミドルウェア問い合わせセ ンター)では、日立オープンミドルウェアに関する ご購入前のご質問を電話、メールでお受けします。 ご購入検討時の、製品情報・ライセンス・価格など のお問い合わせや弊社担当営業のご紹介など、 専任スタッフが直接お答えいたします。お気軽にお 問い合わせください。 ●電話によるお問い合わせ 0120-55-0504(フリーダイヤル) 受付時間 : 9:00∼12:00、13:00∼17:00 (土、日、祝日、弊社休日を除く) ●Webによるお問い合わせ http://www.hitachi/soft/ask/ミドルウェア・プラットフォーム
ソフトウェア総合Webサイト
のご紹介
日立オープンミドルウェアに関する製品の紹介、 導入事例、セミナー・イベント情報、各種サポー トサービスなど、旬の話題を掲載しています。ぜ ひ、下記のサイトから最新の情報をチェックして ください! http://www.hitachi.co.jp/soft/ CASE STUDY日本NCR株式会社
CASE STUDY東洋ビジネスエンジニアリング株式会社
Topics 「SOA」「内部統制(日本版SOX法)」を支える 日立オープンミドルウェア 新機能を携えて続々とバージョンアップ ・無料セミナールーム Etude TOKYO ・日立オープンミドルウェア認定制度 Pick Up Report ① ● プロダクト レビュー ―― JP1 Version 8 ビジネスレベル運用を確立する運用管理の 羅針盤へと進化した「JP1 Version 8」 ● キーパーソン インタビュー ―― HiRDB Version 8 ビジネスを成功に導くには、変化に強いITシステムが不可欠。 「情報統合」への取り組みが、SOAの柔軟性を最大限に活かす30
● プロダクト レビュー ―― HiRDB Version 8 情報統合を担うデータベースとして、 情報活用、セキュリティ、ノンストップの3つの機能要件を大幅に強化 Case Study Interview Product Review SOA導入を機に個別最適から全体最適へ SOA基盤の装備で進化するCosminexus Version 7 体制整備や意識改革でSOAに基づくシステムを構築 Pick Up Report ② http://www.hitachi.co.jp/soft/ (日立オープンミドルウェア問い合わせセンター)SOA
によって実現する
ビジネスの継続的な発展
特集
近年、XML や Web サービスといったオープンな
標準技術は、成熟の一途をたどっている。これらの
技術を取り入れたミドルウェア基盤の上に、SOA
(サービス指向アーキテクチャ)のアプローチによっ
てシステムを構築しようという試みが現実味を帯び
てきている。重厚長大を善しとした、かつての日本
企業も、顧客志向のビジネスモデルへと大きく舵を
切り、それを支える企業システムの世界も大きく様
変わりしようとしている。
SOA によるシステム構築を唱えるテクノロジプ
ロバイダは数多いが、日立は、SOA をビジネスを
継続的に発展させるためのソリューションとして位
置付け、顧客企業の強みである既存の IT 資産を活
かしながら、機器から運用、サービスへと段階的に
シ ス テ ム 統 合 を 進 め る ア プ ロ ー チ を 提 唱 す る。
PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを実現する、
包括的な製品群やサービス群は他社にはないものだ
ろう。
日立では、サービスプラットフォームコンセプト
「Harmonious Computing」に 基 づ い た 主 要 ミ ド ル
ウェア製品、Cosminexus、JP1、HiRDB のメジャー
バージョンアップを行い、SOA を実用化するため
のサービス基盤作りを整えている。今回は SOA に
対する日立の取り組みについて、日立製作所 ビジ
ネスソリューション事業部の樋野、山本とソフト
ウェア事業部の浅見に話を聞いた。
ITmedia エンタープライズ 編集長/浅井 英二 ハーモニアスコンピューティング コズミネクサス ハイアールディービー04 Open Middleware Report|vol.36
ビジネスとITの
ギャップを埋めるSOA
「個人情報保護」「情報セキュリテ ィポリシーの策定」「コンプライアン ス」など、企業のシステム担当者を 悩ませるビジネスおよびIT関連の課 題は尽きることがない。資本金5億円 以上の企業に内部統制システム構築 が義務付けられる新会社法が施行さ れ、日本版SOX法も控えている今、 システム担当者にとってこれらの問 題は切実だ。しかし、企業がさまざ まな施策に取り組むことそれ自体は 良いことなのだが、場当たり的な対 処に終わってしまうことも懸念され ている。 企業は、競合企業の突然の出現や 法規制といった、ビジネス環境の変 化にも、その場しのぎではない柔軟 な対応ができるITを求めている。ま た、企業を取り巻く環境が激しく変 化する中にあっては、中・長期の計 画に基づいてビジネスを進めていく こともなかなか難しい。システム開 発も、かつてのような長期的な取り 組みでは、稼働が始まったころには 要件が変わってしまっていることも、 容易に考えられる。 こうしたビジネス環境の変化に対 して、企業のシステムがしなやかに 追従することが難しいことから、「ビ ジネスとITのギャップ」が言われる ようになり、行き詰まり感を見せた IT業界は、1990年代半ばに市場調査 会社のガートナーが提唱したSOAの システム構築アプローチに活路を見 いだした。もちろん、XMLやWebサ ービスといったオープンな標準技術 の成熟もSOAのリアリティを後押し したのは間違いない。SOAによるIT資産活用
日立では、サービスプラットフォー ムコンセプト「Harmonious Computingハーモニアスコンピューティング 」 のもと、SOAを継続的にビジネスを 発展させるソリューションとして捉 えている(図1)。日立製作所 ビジネ スソリューション事業部 担当本部長 の樋野匡利は「戦略策定、戦略実装、 戦略実行、戦略評価という一連の PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイク ルを、SOAによって迅速に回転させ ることによって、ビジネスとITの整 合性を高め、ITを活かした強みの創 生をサポートしていきます」と言う。 業務コンサルティングから始まり、 サービス指向システム構築支援コン サルティングやオブジェクト指向開 発で培ってきたコンポーネントベー スのモデリングコンサルテーション、 SOA対応の基盤ミドルウェアを核と した高信頼・高性能の統合サービス プラットフォーム、そして、ビジネ スプロセスの評価・分析サービス、 というPDCAサイクルを実現する包括 的な製品群やサービス群は他社には ないものだ。 大きな特徴としては、SOAのアプ ローチによる「IT資産活用」を強く 打ち出していることが挙げられる。 現在のビジネスを支える既存のIT資 産を活かしたり、新たなビジネス戦 略を迅速に実現していくためにパッ ケージや日立のコンポーネント、あ るいは外部のサービスを組み合わせ るソリューションが、PDCAサイクル の随所に配置されている。樋野は 「多くの企業は、既に自社の強みをシ ステムとして実装しています。SOA のアプローチによってシステムを再 構築する際には、そうしたIT資産を 株式会社 日立製作所 ビジネスソリューション事業部 担当本部長樋野 匡利
図1●継続的ビジネス発展を支える SOA/Harmonious Computing 戦略策定 業務知識 ノウハウ 業務コンサルティング ・事業戦略策定・業務分析、評価、課題解決 ・全体最適化 ・ITガバナンス ビジネスと ITの整合 ITを活用した 強み創生 戦略評価 ビジネスプロセス 評価・分析サービス ITアセスメントサービス ・IT活用バランス診断 ・IT投資評価、TCO評価 ・ITサービス管理アセスメント 戦略実装 サービス指向システム 構築支援コンサルティング システム構築技術、 ノウハウ IT資産活用型 開発技術 変化への俊敏 柔軟な対応 開発の効率化 外部サービスの 活用 戦略実行 高信頼、高性能 プラットフォーム ベストプラクティススイーツ、アプリケーションフレームワーク ITシステム最適化コンサルティング SOA基盤ミドルウェア 統合サービスプラットフォーム Harmonious Computing レガシー システム 新規 サービス ソリューションコンテンツ/ 商品群 外部サービス流通PKG/ IT資産活用型システム 構築コンサルティング コンポーネントベース・モデリング コンサルテーション(UML/MDA)有効に活用できます」と、SOAのメ リットについて説明する。 企業の内と外を問わず、IT資産を サービス化し、それを柔軟に組み合 わせていくSOAは、ITに掛かる開 発・運用コストを抑えながら、日本 の企業が培ってきた「現場力」を生 かしていく「システム再生ソリュー ション」でもあるのだ(図2)。
日立が提案する
ビジネスプロセス設計支援
ビジネスとITのギャップに着目し た場合、その接点とも言えるのがビジ ネスプロセスである。ビジネス戦略立 案からビジネスプロセス設計、ビジネ スプロセス実行、ビジネスプロセス分 析・評価という一連のPDCAサイクル が継続的な成長には欠かせない。 樋野は「SOAシステム実現のカギ を握るのは、ビジネスプロセスの設 計にある」と話す。 「現在のビジネスプロセスをそのまま 実装しても、異なるレベルのプロセ スが混在していたり、プロセスの相 互関係が把握できていないため、結 局は変化に対応できず、再利用しに くいサービスになってしまい、SOA のメリットは活きてきません」 日立では、「ビジネスプロセス設計 フレームワーク」を用意し、日立情 報システム統合計画技法に基づき、 ビジネスプロセスの階層化とビジネ スプロセスの記述レベルの統一を図 る、システム構築支援コンサルティ ングを提供している。これにより、 ビジネスプロセスの相互関係や全体 像の把握、メンテナンス性の向上や、 サービス粒度の統一も容易になる。 また、実装・実行されたビジネス プロセスの評価・分析も、同社ソリ ューションを大きく差別化している ポイントとなっている。「顧客満足度 の向上をIT導入の評価指標として設 定しても、企業によって強みが異な り、実現方法も異なります。システ ムが出すKPI(重要業績評価指標)だ けでは一律に計れません」と、樋野 は語る。 日立では、ビジネス戦略をビジネ スプロセスに実装する際、KPIの設計 も併せて支援しており、ビジネスレ ベルのKPIとシステムレベルのKPIを 対応させ、ビジネスプロセスの評価 をビジネス戦略の立案にフィードバ ックする効果的なPDCAサイクルを実 現している。 SOAによるシステム構築を唱える テクノロジプロバイダは、総合コン ピュータメーカーからニッチ製品の ソフトウェアメーカーまでさまざま あり、その売り込み方もさまざまだ。 その中で日立が提唱するSOAのアプ ローチは、PDCAサイクルの随所に同 社の業務知識やノウハウ、システム 構築の技術やノウハウが配置され、 顧客企業の継続的な成長を支援する 点で明確な差異化が図られている。 それこそが「日立のSOA」と言える のかもしれない。日立のSOAは
既に実践段階にある
これまで日立が考えるSOAについ て紹介してきたが、企業の最前線で は、SOAのアプローチによる「開発 効率の改善」や「業務の標準化」に向 けた取り組みが実際に始まっている。 日立製作所 ビジネスソリューショ ン事業部 ソリューション技術開発部 主管技師の山本洋一は「製造業のお 客さまであるA社では、開発効率の改 善というSOAのメリットを実証する ためのトライアルに取り組まれてい ます。初めてということもあって、 既存システムのサービス化やビジネ スプロセスの整理には苦労されまし たが、新しいサービスの追加や変化 への対応には工数の削減が期待でき ると評価していただきました」と説 明する。 株式会社 日立製作所 ビジネスソリューション事業部 ソリューション技術開発部 主管技師山本 洋一
図2●日立が考える継続的にビジネスを発展させるためのソリューション 外部からの変化要因 経営 戦略策定 戦略評価 戦略実行 戦略実装 金融 公共 産業・流通 社会・通信 アプリケーションフレームワーク サーバ/ストレージ/ネットワーク JP1 Cosminexus HiRDB SOA基盤ミドルウェアHarmonious Computing BladeSymphony
また、製造業以上に業務の標準化 や改善が顧客への価値につながりや すいサービス業でも導入が始まって いる。B社では、サービス内容によっ て少しずつ異なる業務があり、それ ぞれに対応したシステムが構成され てしまっているという。 山本は「B社では、多様な顧客ニー ズごとにビジネスプロセスが存在し ていました。そのため、新しいサー ビス商品を追加しようとしても、現 行システムでは時間とコストがかか ってしまうという大きな課題を抱え ていました。そこで、まず、業務を 整理し、それに合わせてシステムを SOAで構築するアプローチを行なっ ています」と話す。 SOAのスムーズな導入のためには、 基本となるビジネスプロセスと、そ こから派生する業務を整理すること が課題となる。業務を標準化するこ と、つまりビジネスをきちんと整理 することがITの整理につながると言 えるだろう。
日立による電子自治体共通
基盤の取り組み
e-Japan戦略IIに基づき、SOAによ って次世代の地域情報プラットフォ ームを構築する取り組みもある。 e-Japan戦略IIでは「24時間365日ノ ンストップ・ワンストップサービス機器、運用、サービス
3段階のソリューション
「 Harmonious Computing」 は 、 一連のハードウェアからミドルウェ ア、アプリケーションフレームワー クによって構成されるサービスプラ ットフォームのコンセプト。ユビキ タス情報社会におけるITシステムの さまざまな課題を、環境の変化に自 ら即応できる統合されたサービスプ ラットフォームを提供することによ って解決するのが日立のテーマだ。 「機器の統合」「運用の統合」そし て「サービスの統合」という3つのス テップでサービス指向のシステムに 段 階 的 に ア プ ロ ー チ で き る の も Harmonious Computingコンセプト の特徴だ。 最初のステップの「機器の統合」 は、統合サービスプラットフォーム BladeSymphonyや日立ディスクアレ イサブシステムSANRISEの統合・仮 想化機能による機器の統合だ。これ まで業務ごとにばらばらに導入され、 無駄の多かったシステムの統合を可 能としている。 機器が統合されると、次に求めら れるのは「運用の統合」だ。日立で は、運用管理ソフトウェアの市場を リードするJP1を提供し、ポリシー (運用シナリオ)に基づく自動化を実 現する。 最後のステップとなる「サービス の統合」について、日立製作所 ソフ トウェア事業部 計画部 主任技師の浅 見真人は、「仕上げは、SOAのアプロ ーチによるサービスの統合です。日 立はCosminexusやHiRDBといったミ ドルウェアを利用して、インタフェ ース、プロセス、情報などをそれぞ れ統一化し、SOAによってアプリケ ーションを迅速に構築することがで きるサービスの統合基盤を提供して いきます」と話す。 企業内の異種混在環境に散在する 情報を透過的に、必要な情報を必要 なときにアクセスできるようにする のが情報の統合だ。これはプロセス の統合と密接な関係にあり、統合サ ービスの「両輪」となるものだ。そ して、人と関わる部分がインタフェ ースの統合であり、ポータルによる 統合と考えれば分かりやすいだろう。 これらの機能を日立オープンミドル ウェアで実現しているのだ。SOAの中核となる
Cosminexus Version 7
サービスプラットフォームの中核と もいえるミドルウェア製品群のメジャ ーバージョンアップが相次いで発表さ れ、4月の「Cosminexus Version 7」 を皮切りに、6月には「JP1 Version 8」と「HiRDB Version 8」もリリー スされた。 これら製品群の中でも特にSOAの 基盤となるのが、Cosminexusだ。 「日立の最大の強みは、XMLや WebサービスをベースとしたSOAが 成熟してくる以前から蓄積された、 お客さまの複雑なシステムを統合し てきたノウハウです」と浅見。 SOAの標準的な機能を採用するだSOAの実現を促進する
日立のオープンミドルウェア
戦略策定、戦略実装、戦略実行、戦略評価というPDCA(Plan-Do-Check-Act) サイクルをSOAによって迅速に回転させるのが、日立の考える継続的ビジネ ス発展へのアプローチである。その戦略実行フェーズを担うのが、日立が提案 するサービスプラットフォームコンセプト「Harmonious Computing 」に基づ く製品群だ。ここでは、ユニバーサルアプリケーションプラットフォーム 「Cosminexus Version 7 」統合システム運用管理「JP1 Version 8 」ノンストッ プデータベース「HiRDB Version 8」がSOAに基づくシステム構築においてど のような役割を果たすかを解説していく。OMR の実現と行政部門の業務効率向上」 が掲げられ、日立製作所は「電子自 治体共通基盤」の構築に取り組んで いる。これまでの自治体は、地域ご との事情もあり、共通化を意識する ことなく、各々にシステムを構築す る傾向にあったが、標準化によるシ ステムの効率化に迫られている。 また、住民に対するサービスも、 いくつもの窓口で手続きをする必要 があるのが実情だ。異なるベンダー のシステムが個々に導入されている ケースも多いため、業務間の連携は 難しく、便利なワンストップの行政 サービス、しかもネットワークを介 したサービスは実現されていない。 樋野は「自治体のサービスを整 理・共通化し、ビジネスプロセスで つなぐことによってワンストップ化 を図るのが、電子自治体共通基盤の 狙いです」と話す。住民だけでなく、 民間企業もネットワークでつながる ことにより、電力会社、ガス会社、 運送業者などのサービスを組み合わ せた付加価値の高い、新しいサービ スも提供できるようになるはずだ。 電子自治体共通基盤は、今年度末か ら来年度にかけて、試作したシステ ムの実証実験が始まるという。 日立では今後も、SOAを実現し、 継続的なビジネスの発展に寄与する ソリューションを提供していく。 けでなく、対話型フロー制御や障害に 備える機能や運用などもCosminexus の開発に反映し、製品に盛り込んでき たという。 「日立が培ってきた実践的なシス テム統合のアプローチやノウハウと、 先端アーキテクチャであるSOAを組 み合わせたのが、Cosminexusのコン セプトになっている」と浅見は言う。 最 新 の Cosminexus Version 7 で は、ESB(エンタープライズ・サービ ス・バス)と標準仕様であるBPEL (ビジネスプロセスを定義し、実行す るための環境)が追加され、さまざ まなソリューションと連携できる 「プラガブルな」プロセス統合が実現 されている。
情報活用を支える
HiRDB Version 8
日立では、ビジネスプロセスの統 合と並んで、情報の統合にも力を注 いでいる。 「企業にとって、ビジネスプロセ スによってアクセスされる情報は非 常に重要です。必要なときに必要な 人に情報が届けられているのか、そ もそも蓄積された情報が有効活用さ れているのか、が問われているから です」と浅見は話す。 6 月 に 出 荷 が 始 ま っ た H i R D B Version 8 は、ミッションクリティカ ル 分 野 シ ス テ ム で の 実 績 に 加 え 、 SOAの柔軟性を生かすための情報管 理に関する課題も解決している。堅 牢なデータベースを中核とし、情報 を「収集」「加工」「活用」するため の 機 能 を 強 化 す る こ と に よ っ て 、 PDCAサイクルを機能させ、現場と経 営を結ぶフィードバックループを実 現する情報統合基盤に進化すると同 時に、改ざん防止機能やデータベー スに対するすべての操作を記録する 監査証跡機能も強化し、コンプライ アンス時代の要求にも応えていると いう。ビジネスの統合を支える
JP1 Version 8
運用管理をシステムレベルから経 営とITが融合したビジネスレベルへ と引き上げるのが、JP1 Version 8 だ 。 S O A に 基 づ く 運 用 の た め の PDCAサイクルや、日本版SOX法の 対応に必要なIT全般統制のPDCAサ イクルを最適化すべく、従来のシス テムレベルの運用からビジネスレベ ルの運用実現に向けた機能強化を図 っているという。 「ビジネスの変化にも柔軟に対応 できるのがSOAのアプローチです。 JP1はWebサービスの状態を監視し、 判断や対処を含めた一連の運用ノウ ハウをルールとして定義することで 自動化された柔軟な運用を可能にし ます。また、ユーザーの操作ログを 一連の流れとして記録することで追 跡可能にしたり、印刷物からの情報 流出抑止機能、検疫ネットワークな どを強化。さらに柔軟なセキュリテ ィ監査ポリシーを実現することなど でIT全般統制を徹底し、ITコンプラ イアンスの確立を支援します」と、 浅見はJP1 Version 8 の強みについて 説明する。 「ビジネスプロセスと情報の統合」 という統合サービスの両輪を運用管 理面から支えるJP1にも、PDCAサイ クルで経営とITのギャップを埋めな がら、改善していく考えが貫かれて いるのである。 これらミドルウェア製品は、これ からも顧客のビジネス発展のため、 パワーアップしていく。 株式会社 日立製作所 ソフトウェア事業部 計画部 主任技師浅見 真人
S O A 最 前 線 い ま 、 実 践 の 時 ──景気に高揚感が出てきましたが。 中村 景気回復の手ごたえを実感して います。以前に比べ,IT投資に積極的 なユーザー企業が増えています。需要 の伸びに対してITエンジニアの不足 が心配になるほどですから。 鶴保 人手が足りないという話をあち こちで耳にしますね。IT 産業が再び成長路線を 歩み始めたことの証と いえます。銀行も不良債権問題の見 通しが立ち,金融業界に活気が感じら れるようになりました。製造業も調子 がいいですし,IT業界には追い風が吹 いています。 ──最近は「個人情報保護法」や「日 本版SOX法」*1など,企業コンプライ アンスを高めるためのIT投資ばかり が話題になります。そろそろ,こうした 「守り」の投資から「攻め」の投資へと 切り替えが必要ではありませんか。 鶴保 積極的かつ戦略的にIT投資を 展開している企業はあります。世界的 な優良企業はおしなべて,ITを駆使 することにより,企業競争力を高めて います。自動車業界にしても精密機械 業界,流通業界でも,世界の手本とな るITユーザーはあります。こうした企業 は,姿勢が決してぶれない。短期的な 景気の波に左右されることなく,常に 新しいIT経営に挑んでいる。ただ残念 ながら日本のユーザー企業は二極化し ています。ITを積極活用している企業 と,そうではない企業の格差が大きい。 中村 現在は新規案件 が少ないわけではありませ ん。むしろ増えつつある。 ただ,新しいことに着手する際には,既 存のシステムにも手を入れます。その費 用がかさむことから,全体のIT投資額に おいて保守・運用の占める比率が膨ら むのでしょう。現在はシステムが大規模 になっています。何百万,何千万ステッ プというシステムも少なくありません。 ユーザー事例の中には,拡張に次
SOA
導入を機に
個別最適から
景気回復と歩調をあわせて,ユーザー企業の
情報化投資に対するマインドは,着実に高まり
つつある。2005年の「個人情報保護法」施行
に続き,2008年に向けた「日本版SOX法施行」
への対応など,企業コンプライアンスの確保
を目的に,社内の情報システムを見直す動き
がIT投資を促進する。ただ,現行業務の見直
しや効率化だけでは,次なる事業のタネを育
めない。ユーザー企業としても,新規事業の
創出を目的とした積極的なIT投資に踏み切り
S
eishiro
T
suruho
*1 エンロン事件やワールドコム事件など,企業の 会計不祥事が相次いだのを受けて,米国で2002年 7月にサーベンス・オクスリー法が成立した。これをひ な型とする同様の法制度「金融商品取引法(投資サ ービス法)」が,早ければ今夏にも日本で可決・成立 する見通しだ。米国におけるSOX法では特に「IT」に 関する言及はないが,金融庁が2005年12月に公表 した草案修正案ではITを「内部統制の目的を達成す るために不可欠の要素」と位置づけている。 →過去の資産が未来の足かせに
いま,実践の時
SOA
最前線
S O A 最 前 線 い ま 、 実 践 の 時 ぐ拡張の繰り返しによって,システム の構造が随分と複雑になってしまった ものが数多く見受けられます。将来の 拡張性を考えると,シンプルなシステム 構造に変えていく方が好ましい。新し いことをやろうとしても,既存のシステ ムが足をひっぱってしまうことがよくあり ます。将来の拡張に耐えられる 構造のシステム作りが大切で す。大規模なシステムを管理・ 運用しつつ,いかに効率よく新しい機 能を取り込んでいくか,それが重要な テーマとなっています。 鶴保 一般に,既存の基幹業務に関 連したシステムについては,保守・運 用のコストを確保しやすい状況にあり ます。そのシステムの必要性を経営者 側もよく認識していますから。それに対 して,新規の「攻め」のIT投資となると, 話が違う。新規案件は経営者にとって, 海のものとも山のものとも理解されず, 投資の決断が消極的になりがちです。 ならば,破格に安いコストで,かつ新規 ビジネスに不可避な試行錯誤に耐え られるシステムを作り上げる方法が必 要になります。 中村 新しいビジネスを創出するため のシステムといっても,何もないところ からシステムを構築するのは大きな負 荷を強いられます。今までの財産をい かに活かすかを考え,使えるものは使 う,足りないものがあれば加える,それ を実現する手段として,サービス指向 アーキテクチャ「SOA」*2という概念が 注目を浴びているのです。 SOAが期待されるのは,企業形態の 変化にあわせて,システムを変更しやす くするという理由もあります。金融業界 をはじめとし,製造業や流通業でも,企 業再編の動きが活発になっています。 ビジネスのスピードが過去と は比べものにならないほど早 くなっていますから。新しい時 代に即して,生き残りをかけた企業買収 や合併が相次いでいます。こうした企業 の統廃合にあわせて,それぞれの企業
全体最適へ
たいところだ。
「守り」から「攻め」へと発想を
転換することから,未来に向けた情報システム
構築が始まる。そして,将来へのフレキシブル
な拡張性を実現する手法として,SOAが注目
を集めている。こうした時代観の中,いまなぜ
SOAなのか,それに対してベンダー企業の役
割は何なのか,ユーザー企業が準備すべきこ
とは何なのかを日立製作所の中村孝男氏が業
界識者の鶴保征城氏と語りあう。
(司会=ITpro発行人 浅見直樹)Interview
T
akao
N
akamura
*2 Service Oriented Architectur e(サービス指 向アーキテクチャ)の略。システム全体を「サービス の集合体」とみたてる設計手法。ソフトウエアの一部, または複数のソフトウエアをサービスという単位で部 品化し,それを標準インタフェースによって組み合わ せることでシステムを構築する。サービス単位でシス テムの拡張・変更が可能なことから,柔軟かつ迅速 なシステム構築が可能とされる。
ソフトウエアは生き続ける
(写真:栗原克己)S O A 最 前 線 い ま 、 実 践 の 時 がもっていたシステムを一つにまとめな ければならない。また同じ企業グループ 内であっても,これまで別々に稼働して いた関連会社のシステムを統合したい という要求もあります。システムの統廃 合にあたって,システム全体をサービス という単位で再構築すれば,段階的に 変化に強いシステムに変えていくことが できます。 鶴保 今の時代,新しいシステムをス クラッチから作り上げるのは一苦労で す。案件ごとに,いちいちシステムを作 っていてはお金も時間もかかります。 これでは,激しい企業間競争を勝ち抜 けません。ですから,既存のシステム の中身をつぶさに分 析し,使えるモジュー ルと,使えないモジュ ール に 切り分ける。 そして,再利用可能なモジュールをサー ビス化し,足りない部分だけを新規に 追加する方が効率的です。 日本のユーザー企業は,過去のシス テムが使えるかどうかを「0」か「1」かで 判断してしまう。これでは,あまりにもっ たいない。ソフトウエアを調べ上げ,使 えるものを積み上げていくという発想が 大切になります。特に,全部を自前で作 ろうと思わない方がいい。サービスとし て取り込めるものがあれば,どんどん利 用する。特に,みんなが使うERPや CRMの製品は日進月歩で進化するわ けですから,部分的にでも積極的に採 用する方が望ましいはずです。 ──SOAに基づくシステム設計では, どういった機能の単位でソフトウエア をサービス化するかが鍵となります。 この作業は,ユーザー企業側がやる べきでしょうか,それともベンダーに 任せる方がよいのでしょうか。 鶴保 基本的にはユーザー企業がみ ずからの責任においてやるべきでしょ う。自分で運用しているわけですから。 すべてをベンダー任せにしてしまおうと いう姿勢が目に付きますが,ユーザー 企業が自分の問題という意識をもたな いとSOAは成功しない。 中村 私たちベンダーも積極的にお 手伝いしていきたいと考えています。 ベンダーにも提案力が求められていま す。つまり単に製品を売るだけではな く,ビジネス・プロセスを見直す段階か ら,ユーザー企業と膝を交えて,どうい った単位でサービス化するべきかを一 緒に考える必要があります。コンサル ティングから製品選定,そしてシステ ム・ソリューションの提供まで,一貫し てユーザーのパートナーになるという 意識でSOA対応に取り組んでいます。 ──SOAは一種の流行語となってい ます。こうした時代背景から,SOA製 品の購入が「手段」ではなく「目的」に なっているユーザー企業もあるとか。 中村 時折,そうした誤解をされている 方が見受けられます。まずは,業務の ビジネス・プロセスをきちんと見直すこ とから始めていただくようお願いしてい ます。これまでのシステムは個別最適 の積み重ねによってできあがっていま す。システム全体を見渡すことによっ て,個別のプロセスに分解し,そのプ ロセスにあったサービスを選ぶ。これ がSOAの本質です。 SOA対応の製品さえ 購入すれば問題が解 決するわけではありま せん。そして可能な範囲で将来の可能 性を見通す必要があります。自分のビ ジネス・プロセスをどうやって発展させ ていくのか,その計画に基づいて全体 を設計するのが理想です。 鶴保 会社という組織は,個別の部門 から成り立っています。会社の業務の 全工程を分割し,そのサブ工程ごとに 個別の部門が存在しています。部門は 部門のことしか考えない。だから部分最 適の集合体になりがちです。サブ工程 ごとに最大のパフォーマンスがでるよう にシステムを設計したがる。これを単に つなぎ合わせたからといって,全体のパ フォーマンスが最大になるかといえば, ほとんどの場合は「ノー」です。ですから, 全体のゴールがどこにあるのか,これを 経営者がトップダウンに示すところから 始める必要があります。 中村 SOAではトップダウンなアプロ Takao Nakamura
中村 孝男
氏 日立製作所 ソフトウェア事業部 事業部長 1977年に日立製作所入社以来,大型コンピュータ やサーバなどの通信管理ソフトウエアやセキュリティ製 品,運用管理製品,アプリケーション・サーバなどの ソフトウエア開発に従事。2005年4月より現職。Interview
SOAは手段であって目的ではない
S O A 最 前 線 い ま 、 実 践 の 時 ーチが要求されます。そこはどちらかと いえば,日本企業が弱いところかもし れませんね。 鶴保 日本の会社は,妙に現場主義 を重んじる節があります。現場の「あう ん」の呼吸に基づく「擦り合わせ」が日 本の強さだと言われます。それは本当 でしょうか。マイケルポーター氏*3が来 日した際,「日本企業は現場が強いの に,なぜ会社全体ではうまく機能しな いのか」と疑問を呈していました。確か に日本企業は利益率が低い。その理 由は,日本企業のビジネスのやり方そ のものが部分最適の積み上げになっ ているからではないでしょうか。日本の 現場は優秀です。与えられた課 題を解決する能力が極めて高 い。問題は,トップダウンなビジ ネス・プロセスをいかに作り上げ るか。SOA導入をキッカケに,経営者 層がまずビジネスそのものやビジネ ス・プロセスを見直すことが先決だと 思います。 ──では,既存のソフトウエア資産を 活かす上での課題とは何でしょうか。 中村 2007年問題*4でも指摘されて いるように,メインフレームを中心とし た既存のレガシー・システムのことを分 かる技術者がだんだん少なくなってき ています。既存の膨大な資産を活かし ながら,それを新しいシステムといかに うまく連携させるかが効果的なIT投資 のコツとなります。 鶴保 昔のミッション・クリティカルなシ ステムがどのように動作していたのか, その本質を理解できる技術者を育てな ければいけませんね。理解せずに,昔 のソフトウエアを使うのは危険が大き すぎます。スパゲッティ構造になったソ フトウエアをできる限り解きほぐし,他へ の影響を最小限にとどめれば,後々の 再利用性が格段に高まることでしょう。 ──熟練技術者を再雇用し,過去の 資産を活かす手はないのでしょうか。 中村 昔の技術者をつなぎとめるという のは,一時しのぎになるとはいえ,本質 的な問題解決にはなりません。そうした 方はいずれ現役でなくなります。それでも ソフトウエアはどこかで動き続ける。やは り,抜本的な解決方法が必要です。ソ フトウエアは20年も30年も生き続けま す。昔のソフトウエアを開発した人が,そ の企業にいなくなっていることも多く,ま た仮にその人がいたとしても,過去の記 憶は当てになりません。そこで日立製作 所は,レガシー・システムのソースコードを 解析するためのツールを使った「業務仕 様回復サービス」を提供しています。この サービスにより,ソースコードから業務仕 様情報を回復する効率が,手作業に比 べて3倍くらいに高まるという実績があ ります。ツールを改善することで,その効 率を5倍にも10倍にも高めていきたい。 そこで削減した保守・運用作業のコスト を次の新規開発案件に回していただき たいと思っています。 鶴保 ユーザー企業であっても,ソース コードを読む力は必須です。海外企業 に比べ,日本のユーザー企業はソースコ ードの理解力が乏しいように思います。 原点に返らないと,本当の意味での効 率化を実現できないし,業務の生産性 を高めることは難しい。情報シス テムの構築を安易にアウトソーシ ングすべきではないと私は考えて います。アウトソーシング先がさら にアウトソーシングをするという多重構 造になっている。これでは,社内に技術 力が蓄積しない。すべて人任せになっ てしまっているのが現状です。 これからは,ソースコードをきちんと理 解できる高い技術力と,システム全体を 見渡せる洞察力の両方が要求されま す。一人のエンジニアが両方の素養を もつ必要性はありませんが,ユーザー企 業もベンダー企業も,こうした人材をど れだけ豊富に社内に抱えているかが, 企業価値そのものを決めることになる でしょう。 Seishiro Tsuruho
鶴保 征城
氏 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター所長 電電公社に入社,交換機や大型コンピュータの開発に 従事。NTTデータ常務取締役を経て,1997∼2003 年にNTTソフトウエアで社長を務める。現在,XMLコン ソーシアム会長や高知工科大学教授などを兼任。 *3 「ファイブフォース分析」や「バリューチェーン」 を提唱するなど,企業経営論の専門家として知られる ハーバード大学教授。著書に「競争の戦略」「企業戦 略論」「競争優位の戦略」などがある。 *4 団塊の世代である1947年生まれの労働者が, 定年退職の年齢60歳になるのが2007年である。特 にIT業界においては,メインフレームなど基幹系業務 を熟知したエンジニアが退職することにより,過去の ソフトウエア資産を継承する上でさまざまな支障が懸 念される。この問題に対処すべく,各企業は過去の ノウハウの文書化や,若手への技術の伝承などに力 を入れている。コアの技術は自前でもつ
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Cosminexusは,アプリケーション・ サーバー製品に加え,OLTP(Online Transaction Processing)や帳票関連 といったアプリケーションの開発・実 行に必要な製品群をまとめたファミリ 製品であり,統合的なアプリケーショ ン基盤を目指す決意が表明された。 V7ではそれを本格的に展開している。 V7の「ユニバーサル」という言葉に は二つの大きな意味がある。 一つは,「サービス・インテグレーシ ョン」と総称するSOA基盤製品を投入 し,「データ」「ビジネス・プロセス」「ユ ーザー・インタフェース」の各層を統一 的に扱えるようにした点だ。SOA基盤 には「サービス・プラットフォーム」「情 報統合基盤」の各製品がある。 もう一つは,エンタープライズから ユビキタスまでの幅広い対象を統一 的に扱えるプラットフォームを目指し ている点である。 Javaは,一度プログラムを書けば どんな環境でも動く。Cosminexusは, このJava自体のユニバーサル性を最 大限に活かす環境を目指していく。 「今後は,RFIDなどを利用した『ユビ キタス・アクセス統合』を実現する製 品も用意する」(日立製作所 ソフトウ ェア事業部第2ネットワークソフト設 計部の林重年部長)という。 「ユニバーサル」の中核となるSOA SOAは,「ユニバーサル」というコン セプトの中核となる考えとして位置付 けられる。 SOAが注目されている背景としては, アプリケーションやビジネス・プロセス の接続プロトコルが標準化されて実用 の域に達したことに加え,ビジネス環
Product Review
SOA基盤の装備で進化する
Cosminexus Version 7
4月末から順次出荷するCosminexus
コ ズ ミ ネ ク サ スV7では「ユニバーサル・アプリケーション・プラットフォーム」というコ
ンセプトが前面に打ち出されている。
「ユニバーサル」の中核がSOA(Service Oriented Architecture)であ
ると位置付け,最終ゴールとして,あらゆる所でコンピュータが利用できる「ユビキタス」環境を目指す。
実戦的システム統合アプローチ ・柔軟な障害時運用(リカバリ,障害回復) ・対話型ワークフロー ・ビジネス・プロセス実行状態監視 ・システム連携アダプタのコンポーネント化 SOA(Service Oriented Architecture) ・ESB (エンタープライズ・サービス・バス) ・BPEL (ビジネス・プロセス定義) ・コンポーネント・ベースの実装 ・ヘテロな情報の収集とサービスへの
透過的供給
BPEL:Business Process Execution Language ESB:Enterprise Service Bus 変化に強い高信頼かつ柔軟なIT基盤の提供 日立のSIノウハウ 先端アーキテクチャ 他社DB Oracle … HiRDB XDM 日立DB 開発/実行 uCosminexus Application Server uCosminexus Information Federator uCosminexus Information Replicator DataStage/ QualityStage (BPEL)
uCosminexus Service Platform
uCosminexus Service Architect uCosminexus Portal Framework uCosminexus Leap
uCosminexus Developer OpenTP1 倉庫 ユビキタス・アクセス 統合 売り場 インタフェースの統合 サービス統合 運用 統合 JP1 プロセスの統合 情報統合 サービス サービス BladeSymphony BPEL:Business Process Execution Language
○×
日立SIノウハウと最新アーキテクチャの融合
新製品「uCosminexus Service Platform」や「uCosminexus Information Federator」などが用意されている
図
2
CosminexusにおけるSOAのコンセプト CosminexusにおけるSOAでは,日立のSIノウハウとSOAの先端アーキテクチャを総合して,変化に強い高 信頼かつ柔軟なIT基盤を提供する 図1
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vol.36|Open Middleware Report 13 境の変化に柔軟に対応できるIT基盤 のニーズが高まっていることが挙げら れる。SOAでは,企業内外にあるビジ ネス・プロセス単位のサービスを連携 させ,ビジネス・プロセスの高度な自動 化を図ることで,システム構築の効率 を上げる。 CosminexusではこうしたSOAの目 標を「日立のSIノウハウと先端アーキ テクチャの融合」で実現する(図1)。 まずCosminexusが提供するESB (Enterprise Service Bus)では,各種 ソリューションを連携しやすくする先端 的なアーキテクチャを用意し,異機種 混在のシステムをまとめる。 ただし,現実にはSOAの標準技術 だけでSOAは実現しない。その課題 を日立はSI事業で培った豊富なノウ ハウを投入することで解決する。例え ば,複数のシステムが連携する環境で 障害が起きた場合にも対応する「柔軟 な障害時運用」の仕組みを製品に組 み込むことで,「変化に強い高信頼か つ柔軟なIT基盤の提供」を実現してい る。 SOA対応の各種新製品を投入 さらに詳しく説明しよう。Cosminexus において,日立がSIノウハウと先端ア ーキテクチャの融合を実現する仕組み を図2に示した。 まずV7では「プロセス統合」の分野で BPEL(Business Process Execution Language)に基づきビジネス・プロセ ス の フ ロ ーを 定 義 で きる 新 製 品 「uCosminexus Service Architect」を 用意した。同製品では,業務の各プ ロセスを業務アプリケーションの汎 用的な構成要素として扱い,それらを 組み合わせて,目的の業務アプリケ ーションを開発する。アプリケーショ ン間連携のための作り込み作業の生 産 性 は 約 3 倍 に 高 ま ると い う。 uCosminexus Service Architectで 定義したビジネス・プロセスフローは, 「uCosminexus Service Platform」で
実行する。 また,「情報統合」の分野では,データ ベースを統合・連携する「uCosminexus Information Federator」という新製品 を用意した。分散している様々なデ ータベースから仮想表を作成して透 過的にアクセスできる。これにより新 規データベースの構築や既存システ ムの変更をすることなく,リアルタイム にデータを提供することが可能にな る。 アプリ開発/実行環境を幅広く強化 加えて注目したいのは,Cosminexus V7で開発/実行基盤となるアプリケー ション・サーバー製品に「開発効率や 生産性を画期的に高める機能や,信 頼性を高めたり,障害回復時間を短縮 したりする機能を強化している」(日立 製作所 ソフトウェア事業部 第2ネット ワークソフト設計部の進藤成純主任技 師)点である。 日立は従来もJava VM(Virtual Machine)を独自に強化し,スレッド単 位での実行キャンセルやメモリー状態 のログ出力などの機能を実装してき た。Cosminexus V7では,SOAのコ ンセプトを全面的に取り込み,さらなる 信頼性の強化,保守性の向上,システ SOAの本質的なところは,標準技術を ベースにビジネス・プロセスでアプリケー ション(サービス)をつなぐ(統合する)とい う考え方です。SOAによるシステム構築 のノウハウを得るに当たり,EAIでの経験 は欠かせませんでした。かつて銀行のオ ンライン・システム構築の際に,コンポー ネント化した各種システムをHUBでつな ぎ,EAIによるシステム構築を実現しまし た。しかしそれだけではお客さまにご満 足いただけなかったので,システム全体 の信頼性/運用性/生産性を高めるた めの技術をEAIに注入し,お客様の満足 度を充たすことができました。 Cosminexus Version7での実行履 歴による障害回復機能はそういったノウ ハウが活かされている機能の一つです。 これは,業務の実行中にエラーが発生 した場合,Cosminexusでは,実行履歴 を保存していますので,この実行履歴を 基にリトライすることが可能です。また, この機能はエラー個所の特定やサービ ス・レベルの向上にも役立ちます。こう いった障害時の運用支援に関する機能 は,特に今までの経験が活きているとこ ろです。 SOAの実現において,標準技術を利 用してつないでいくのは当たり前のことで, 日立ではSIerとしてこれまで培ってきたノ ウハウをCosminexusに投入し,SOA基 盤の強みを出しています。 (談)
SIノウハウを
生かしSOAを実現
林 重年氏 日立製作所 ソフトウェア事業部 第2ネットワークソフト 設計部 部長S O A 最 前 線 い ま 、 実 践 の 時
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ム障害の未然回避などを施している。 図3はV7までに実現してきた機能をま とめたものだ。 まず「自律的運用機能による導入・ 運用コストの低減」がより強化された。 これらはトラブル発生時に,できるだけ アプリケーション・サーバー自らが検 知・解決する機能である。 例えば,Cosminexusにはスマート・コ ンポーザという,パラメータ・セットやロ ード・バランサの設定などを自動化する 機能が備わり,システム導入時における トラブルを減らせるようになっている。 これまでも推奨構成などでは,パラメー タを自動生成して,実行環境に反映させ られたが,V7ではロード・バランサが冗 長構成のときやセッション・フェールオー バー構成のときもパラメータが生成可 能になり,さらに実用性が増した(図4)。 次は「システム障害の未然回避と回 復時間の短縮による稼働率の向上」に 対する機能がある。これは障害が起き る前に回避する機能だ。 例えば,Javaアプリケーションでは, ガベージ・コレクション(GC)が頻発し て,システムがスローダウンする場合が あるが,それを効果的に回避できる。 V7ではフルGC多発検知に連動した管 理が可能になっている。GCの回数を チェックして,フルGCの発生頻度があ らかじめ設定した回数以上になると, ロード・バランサの部分で動的にリク エストを絞り込み,システムを安定化さ せることもできる。リクエストを止めて 再起動すれば,最悪の場合でもシステ ムはダウンしない。 開発環境では,「開発/実行環境間 のシームレスな連携による開発生産性 の向上」が大きな特徴である。アプリ ケーションの開発から実行までを一つ のツールで実施可能にして開発サイク ルをスピードアップできるようにする。 具体的にはEclipseの一つのウイン ドウで開発とシステム管理の両方を可 能にして,開発から配置・運用までの 効率を高めた(図5)。Cosminexusで は,IDE(Integrated Development Environment)として普及している Eclipseを従来から利用できたが, Eclipseを管理コンソールとしても利用 できるようにした。 また,V7では,EJB(Enterprise JavaBeans)を使ったコンポーネント開 発は手間がかかるといったハードルを クリアするために,インターフェースや 追加するサーバーとロード・ バランサの変更を一括設定 ロード・バランサは, Loadflowbal, BIG-IPに対応 パラメータ設計工数を50%以上削減 構築作業工数を80%以上削減 →基盤の設計・構築コストを30%以上削減 パラメータ・セット
J2EE : Java 2 Platform, Enterprise Edition L/B : ロード・バランサ
追加するサーバー Web サーバー サーバーJ2EE Web サーバー L/B 設計 構築 テスト 30%削減 L/B J2EE サーバー Web サーバー サーバーJ2EE アプリケーション・サーバー DB 「匠」「ノウハウ」 依存度の軽減 ・ 推奨構成パラメータ・セット ・ パラメータ自動計算 ・ ロード・バランサとサーバー を一括設定 導入・運用コストを低減するスマート・コンポーザ 「製品ノウハウがないとパラメタ設計が難しい」「システム構成が大きくなると構築作業に時間がかかり,ミス も入りやすい」という課題に対応し,設計・構築コストを30%以上低減する。ロード・バランサを含めた推奨 モデルのパラメータ・セットを提供。セットアッパーによる一括設定も可能。 V7.0ではロード・バランサの二 重化やセッション・フェールオーバー構成にも対応した 図
4
BPEL:Business Process Execution Language EoD:Ease of Development GC:Garbage Collection MDB:Multi-dimensional Database PRF:性能/障害解析
1
自律的運用機能による 導入・運用コストの低減 簡易構築,セキュリティ・チェック・ ツール,アプリケーション入れ替え, パフォーマンス/リソース消費など の稼働情報3
開発/実行環境間のシームレス な連携による開発生産性の向上 Eclipseと実行環境の連携,EoD技術 の導入,標準仕様キャッチアップ,テス ト手順の簡略化,Webシステムの画面 開発5
JP1との高い親和性による システム管理コストの削減4
によるトラブルシュートの効率化障害解析・原因究明のアーキテクチャ強化2
システム障害の未然回避と 回復時間の短縮による稼働率の向上 業務ロジック・レベルのキュー制御,各種障害 検知と監視,DB障害の影響範囲の局所化, GC多発検知と自律的運用,MDB性能向上 PRFトレース(性能/障害解析トレース), スタック・トレース付加情報,メモリ・リーク調査 統合監視/統合運用,シナリオ・ベース運用 Cosminexus V7のアプリケーション・サーバー/開発環境がもたらす利点 ユーザーの継続的ビジネス発展のために,SOAに基づく変化即応のITシステムを高信頼に実現する 図3
Product Review
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vol.36|Open Middleware Report 15 属性定義を不要にするアノテーション やDependency Injection(DI)といっ た最新のEoD(Ease Of Develop-ment)技術をサポートしている。EoD 技術のサポートにより,EJBでのコン ポーネント開発のハードルを下げ,より 効率的に開発を進められる。 このほかV7では,スレッド・ダンプに おいてスレッド単位でCPU消費時間 が取得できるなど数多くの改良が施さ れている。 シームレスに連携するソリューション さらに,Cosminexusでは様々なソリ ューション製品を用意している。 Webコンテンツ管理製品としては, 「uCosminexus Content Manager」 「uCosminexus Portal Framework」 がある。活用すれば,コンテンツの作 成から公開までのプロセスを自動化し て,素早く安全に公開できる。コンテ ンツ管理システムは,多機能で高価な ものか,オープンソースでサポートがな いものかに分かれがちだが,同製品は それら中間の機能と価格帯にあり,一 般企業が購入しやすい。 電子フォーム関係のソリューションと しては,「EUR Form」が用意されてい る。これを使えば,紙帳票のイメージの 電子フォームをGUIからプログラミング なしに作成できる。電子印鑑システム 「パソコン決裁5」との連携など,既成 部品や,ユーザー作成コントロールの 利用もサポートした。ブラウザの環境 でも紙のイメージを重視したデザイン が容易である。 日本版SOX法への対応に備えるソ リューションとしては,「電子フォームワ ークフローセット」がある。承認プロセ スやルートの明確化とともに履歴情報 を取得できる。 こうしたソリューション に 加 えて Cosminexusでは「今までSIerとして蓄積 してきたノウハウを利用したコンサルテ ィングも提供できる」(進藤成純主任技 師)。Cosminexusは今後,ユビキタスも スコープに入れた強化が続いていく。 開発環境(Eclipse)からシームレ スにJ2EEサーバの起動と停止や DBアクセスの設定ができ効率が アップ コーディング JSP/Javaファイル の編集 ビルド Javaファイルのコンパイル EAR/WAR/JARの作成 配備定義 アプリケーションの 実行時属性の設定 実行 アプリケーションの実行 (デバッグを含む) 開発者 デプロイ EAR/WAR/JARを サーバー側に配備
J2EE:Java 2 Platform, Enterprise Edition JSP:JavaServer Pages 経営環境の変化に迅速に対応するた め,Web+J2EEというオープン・スタン ダードな技術をベースに基幹システムを 構築することが一般的になりました。これ に伴いアプリケーション・サーバーに代 表される基盤への意識が高まっています。 また,日本版SOX法に対応するため に,コンプライアンス(法令順守)を維持し つつも,差別化戦略や経営効率向上を 目指したビジネス・プロセスの見直しなど により,ますます基盤の重要性が認識さ れていくことでしょう。 一方,多様化する市場のニーズに迅 速に対応するために,各種サービスの迅 速な実現に向け,いかにITインフラを整 備していくかということも重要な課題とな っています。 このような背景の下,SOAが注目され るようになりました。既にお客さまでは既 存システムを活用し,SOAに基づく業務 システムの検討が進められています。SOA が注目を集めるようになったのは,ここ2年 ぐらい前からですが,実は古くからアプリ ケーション開発の理想と考えられていまし た。 実際,日立は従来からこのような考えに 基づいたシステム開発を幅広い業種で数 多く行ってきています。こうして培ったノウ ハウとコンサルティング力で日立ではお客 様の期待に応えていきます。 (談)