FD
の一実践としての、携帯メールによる
出席管理システム構築の試み
塩
沢
一
平
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はじめに
大学における学習成果の評価が問題となっている現在、さまざまな改革による質の 高い授業の実践が、教員には求められる。その実践の前提となる毎回の授業準備に対 して、十分な時間を確保することが必要となる。また、実践である授業の中でも、学 生が授業の内容(学習内容)に、いかに集中できるかが問題となる。しかし、100人を 超える履修者がある授業では、その出席確認をとるために、出席カードの配布・記 入・回収などと、かなりの時間が費やされることとなっている。また、回収後の履修 者名簿へ転記にも、毎回膨大な時間が費やされることとなる。 そこで、カード型学生証による IC カードリーダー認証システムのような出席管理 システムの導入(1)が望まれることとなる。しかし、これには、膨大な予算が必要と る。事前の準備として、管理者には、出席管理システムのソフトウェア、管理するた めのサーバー、各教室には、IC カードリーダライター(読み取り装置)、各履修者に は、IC カード等が必要となる。また、導入後は、IC カードの発行や抹消、読み取り 不良を防止するためのクリーニングキット等の消耗品が必要となる。 入退室の確認用システム一式を設置した場合、数十万円の予算が必要となる。それ らを複数の教室で利用するためには、IC カードリーダライターの増設や複数管理用 のシステムにする等、更に予算は増額されるであろう。このようなシステムの導入に かける予算も大切ではあるが、少子化で帰属収入の大幅な増加が見込めない今日で は、簡便なシステム作りの工夫も必要と考えられる。 出席状況を管理することにより、欠席回数の多い学生を早く把握し、丁寧な対応を 行うことがこの管理システムにより可能になり、授業への出席を促すことにつながる と考えられる。また、連続して欠席している学生へは、面接などによるフォローによ り、学生が抱えている問題を解明することが可能となる。さらに、学生支援センター や学生相談室などと連携して問題に対するケアを行うことによって長期欠席を防止す る等、最終的には退学者の防止にもつながると考えられる。このように出席管理シス テムは、学生のより良い学生生活への支援としても重要であると考えられるのであ る。 そこで私は、2009年2月に行われた「FD 報告会」における、法学部法学科准教授 −65−の鈴木優典氏による「携帯メールによる出席確認システム」をもとに「出席管理シス テムの構築」を試みた。
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システムの運用前の作業
まず、ほとんどの学生が所持していると考えられるスマートフォン・携帯電話の メールを利用するということを最優先として、今回の出席管理システムを作成してい くこととした。このときメールアドレスや出席状況などが個人情報であることを考慮 し、さらに学内での個人情報保護規定を遵守するかたちで、出席メールは大学サー バー内の教員個人専用のメール(……ac.jp)で受け取れるようにした(2)。 さて、このメールを管理するためには、これらのメールをエクスポート(出力)等 して、データ化することが必須となる。この出席の確認のためには、個人の判別がで きるためのメールアドレス・学籍番号、出席日・出席回数の判別として、受信日・受 信時間がこのメールから必要となる。また、鈴木氏の報告書を参考に、代理出席応答 を回避するため、認証番号を設けることとした。 具体的には、出席メールは、件名に学籍番号(半角数字)、本文に認証番号(半角数 字)、この2種類を打ち込むだけのものとした。その他の項目は、メール受信時に、 メールアドレス、受信日時より出席日を確認することが可能である。 最初に、この出席メールをデータ化するための確認を行った。このとき、出席メー ルの受信用に設定する大学のサーバーシステムからは、データ化するための形式に直 接エクスポート(変換出力)ができなかった。また、出席確認に必要となるこれらの 項目を拾い出すことも同様に可能でなかった。その他にも、いくつかあるメールソフ トのエクスポート機能やメール一覧のテキスト化を試みたが、データ化することはで きたが必要となる項目を拾い出すことができなかった。そこで、鈴木氏の報告書にあった「Mail Export Tool」(フリーウェア/提供:山本隆 氏)という、メールをデータ化するためのソフトウェアを利用してみることにした。 実際にこの「Mail Export Tool」にテストメールをインポート(読込み)し、エクスポー
ト(変換出力)をした場合どのようなデータに変換されるのかを確認した。この「Mail Export Tool」は、指定したメールをデータ化しやすい csv 形式に変換することが簡単 にでき、ソフトウェアを閉じると、中のデータも消えるようになっている。メールの 二重読込みやソフトウェアの中に個人情報が残ったままにならないので、データの機 密性も保たれる良いソフトであると考えられる。 肝心のシステムに必要となる項目であるが、全て含まれた形でデータ化することが できた。ただ、受信日時に関してだけは、日付と時間が繋がった状態でデータ化され てしまう問題が残った。これに対しては、出席メールのデータを処理する際に日付の −66−
みを一括で読み取る仕組みを作成することで解決ができた。以下が、読み込み(①)、
csv形式への変換(②)、保存(③)までの流れである。
①指定したメールを読込む
②出力形式(csv)を選択する
③名前を付けて保存する
この「Mail Export Tool」を利用するにあたり、問題となる点が発見された。それは、 教員用メールで受信した出席メールを、直接「Mail Export Tool」に読込むことができ ないという点である。そのために、「Mail Export Tool」に対応するメールソフトで出 席メールを受信する必要があった。今回試みたのは、一般的なメールソフトである 「Windows Live メール」(マイクロソフト社)で受信をする方法である。この出席 メールの転送をする際には、自動転送の設定を行った。これにより受信日時の間違い も生まれず、また毎回転送作業をする手間や転送作業のし忘れも回避できた。 出席管理システムを利用するにあたり、出席メールを送信できない学生・出席メー ルの送信をしたくないという学生に対しては、従来通りの出席カードを配布し回収を することとした。この出席カードの提出で対応をしている出席確認については、出席 カードを回収した後にこのシステムに入力することで、出席メールではない情報も出 席メールと一緒に集計しリスト化することができるようになる。出席メールをデータ 化した後の処理方法は、データの抽出・加工・集計・並び替え等の多種作業が行いや すくデータのズレが生じないようにとの考えから、マイクロソフト社の Access を利 用することとした。 この出席管理システムには、さまざまな汎用性が考えられる。授業の評価と関連す る発言や提出物等の評価点数もここで入力が行えるようにし、システムの活用の幅を 広げることとした。 −68−
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このシステム運用から浮かび上がった問題点
このシステムは、出席メールとして送られてきたメールを何のチェックもせず、そ れを数え、学生名簿と照合させるだけならば、何の問題も生じない。事前に学生の メールアドレスさえ確認しておけば、これと照合し、誰が・いつ・何回出席をしてい るかというリストはすぐにでも作成できる。しかし、実際に出席メールを受信してみ るといくつかの問題が生じることとなった。 出席メールで多く見られた問題点は、以下のような問題である。その中で特に多 かった問題点は、異なる内容が入力されている・入力箇所が間違っている・1人の学 生から複数のメールが受信されるという点であった。その他にも多く見られた問題点 について、学生(送信者)側、教員(受信者)側に分けて、以下に記してみよう。 《出席メールの問題点(学生:送信)》 1 入力箇所の間違い 2 件名に学籍番号以外の文字の入力 3 件名を未入力のまま送信 4 本文に認証番号以外の文字や改行の入力 5 本文を未入力のまま送信 6 入力文字が全角になっている 7 間違えて送信してしまったための再送信 8 学籍番号の間違い 《出席メールの問題点(教員:受信)》 1 同一日の同一人物からの複数メール 2 件名から学籍番号が不明 3 本文から認証番号が不明 4 同一日に複数講義があるために、どの講義に該当するかの判別 5 送信者(学生)のメールアドレス変更の確認 6 出席メール以外のメールの受信 7 学籍番号の無い出席者(聴講生)からの出席メール 8 同一の認証番号を複数講義で使用してしまった −69−4
なぜ、問題が生じるのか、問題点をどのように解決するか
上記の問題点を解決するにあたり、なぜそのような問題が生じるのかを考えてみ た。本来メールは文章等を送ったり受け取ったりする、双方でのやりとりが一般的な 使われ方である。これに対し、出席メールは学生(送信者)側から見れば送信のみ、 教員(受信者)側から見れば受信のみの片方向である。学生(送信者)側からすれば、 きちんと受信されているかどうかの確認ができず、送信エラーになっていないかのみ での確認となってしまう。 その不安からか、いくつかの問題点が生じているように考えられる。まず数多く見 られたケースは、件名(学籍番号)や本文(認証番号)に名前や講義名、その他に一文 を追加して入力している出席メールがあるというケースである。 これは、出席をしているのに「出席扱いにならなかったら困る」という不安から、 このような状況を作っているものと考えられる。この出席メールの中で、「自分は出 席している」という、何らかの主張を少しでもしようという発想が、このような出席 メールを作成させてしまっているのではなかろうか。実際このようなメールを送った 学生に話を聞いてみると、操作に手間取り、メールの送信が遅れて、欠席になるので はと危惧して付け加えてしまったという声も聞かれた。 次に多く見られたケースは、入力箇所を間違えてしまうというものである。これ は、あいまいな記憶のまま、出席メールを作成しているからと考えられ、毎回隣席の 学生と確認している姿も見られた。 その次に多く見られたケースは、同一日に同一アドレスから複数の出席メールが送 られてきたというものである。これは、入力内容を間違えてしまった、もしくは入力 し忘れたまま出席メールを送信してしまったために、再度訂正して出席メールを送信 しているものである。 次に多く見られたケースは、1回目、2回目、3回目と出席メールのメールアドレ スが異なっているものである。これは、メールアドレスの変更をしているためであ る。携帯からスマートフォンへの機種変更に伴う変更、迷惑メールを受けるなどして この防止のために変更を行ったという連絡もあった。 これらを解決していくためには、まず、双方がこのシステムを理解することが必要 となる。このシステムを運用していくには、1つのメールを1つのデータとして運用 していくことが大切となる。その1つのデータの中に件名(学籍番号)という1つの 項目、本文(認証番号)という1つの項目などがあり、項目ごとに計算をしたり照合 させたりするものである。そのため、指定した内容以外のものが入力されていたり入 力がされていなかったりすると、出席メールでは解らない部分を照合することができ −70−ず集計できない場合がある。 これらの問題点を回避するための1つとして、出席メールの送信方法について当初 口頭で説明を行っていたものを紙面にし配布したうえで、再度説明を行ってみた。そ の紙面には、1か所に1つの項目のみを入力すること・全て半角の数字で入力するこ と・メールアドレス変更時にのみ文字入力をすること・必ず本人の携帯メールから出 席メールを送信することなど、出席メールをデータとして扱うために必要と思われる ことを簡潔に書き記した。また、必要以外の文字や改行等を入力してしまった場合や 認証番号が入力されていない場合には、出席メールとして認識されない場合があるこ とも以下の「出席用メール送信のお願い」記し説明に加えた。 このことを実行することにより、学生の問題点となっている1・2・3・4・5・ 6が減少することとなった。 次に、学生の問題点6「入力文字が全角になっている」については、Access を利 用することにより、全角・半角を問わずに識別できることとなり、これも回避するこ とができた。 続いて、学生の問題点1・2・3・8を回避するために、システム内に各講義の受 講者の学籍番号とメールアドレスをリスト化したものを置き、出席メールをデータ化 したものとリスト化したメールアドレスにより照合し、正しい学籍番号をデータに反 映させるようにした。このリストから照合できるケースとして、メールの件名に学籍 番号ではなく、認証番号が入力されている学生の問題点1がある。学籍番号は7文 字、認証番号は4文字もしくは5文字となっているため、単純に入力箇所が逆になっ ている場合には、文字数を数えることで、これを抽出することが次の④のように可能 である。しかし、本来認証番号を入力すべきメールの本文には、認証番号以外の文字 を入力している場合もある。そこで、仮の置き場を下記の⑤のように1項目設け、こ −71−
こにメールの本文を移行した後に、認証番号が入力されていると思われる件名を本文 に上書きすることとした(⑥)。 ④件名に学籍番号ではなく認証番号がはいっていると思われるデータを抽出 (左側の抽出条件をリスト表示したものが右側の図) (認証番号が件名に入っているデータの本文を消さないために仮の置き場へ移動後に上書き) ⑤本文を仮の置き場へ移動 ⑥件名を本文に上書き 上記システム内に置いたリストとの照合から、入力間違いや指定以外の文字の入力 または未入力となっている学生の問題点2・3・8も回避できる。この場合、移行し なければならない項目は無いので、そのまま正しい学籍番号を反映させれば良い。そ のためにシステム内に置いたリストと出席メールの件名にある学籍番号が異なってい −72−
る、もしくは未入力となっているものを抽出するためのものが下記の⑦である。これ はメールアドレスから確認しているものであり、学籍番号の微妙な桁違い等も確認す ることができる。そして、このシステム内に置いたリストから正しい学籍番号を件名 に上書きするものである(⑧)。ただし、学籍番号の入力間違いや未入力の他にも、 代理出席応答の可能性が考えられる場合もありうる。そこで、データを反映させる前 には必ずリストを表示し、確認してから反映させた方が良いと考えられる。 このことを考慮して、システム内に置いたリストからの反映の対象外となる場合の チェックボックスを設けた。⑦の抽出データ(⑦リスト)から事前に対象外となるデー タにチェックを入れることで、チェックの入っていないデータのみ学籍番号を反映 (⑧)させるようにし、チェックの入っているデータは、後に確認できるようにした。 ⑦システム内のリストから学籍番号が異なっているか抜けているデータの抽出 (④・⑤・⑥で認証番号の移動をしたデータもここで学籍番号が判明) ↓(⑦の抽出条件をリスト表示したもの) −73−
⑧システム内のリストから正しい学籍番号を件名に上書き 次に学生の問題点4・5を回避するために、出席メールをデータ化した後に、日 付・講義ごとに、本文に入力されている認証番号をリスト表示して、下記の⑨のよう に確認することとした。このリストを時系列で並べ替え、リスト表示することによ り、認証番号が異なっている場合や入力漏れの場合の他にも、送信時間が大幅に違っ ているデータや本文に何らかの文章が書かれている場合も見つけやすくなる。その際 に、対象外・確認用のチェックボックスにチェックを入れることで、後に確認する必 要のあるデータを抽出できるようにもなる。 ⑨日付・講義ごとの認証番等の確認用リスト −74−
学生の問題点の最後である7の解決のために、出席メールは1通(1データ)のみ を有効とすることとした。これは、出席メールの通数(データ数)を数えることによ り、出席回数を算出しているためである。このために、出席メールをデータ化した後 に、同一日に同一メールアドレスからの出席メールデータを抽出しできるだけ入力不 備と思われるデータを“重複データ”として識別できるように、⑩のようにチェック ボックスを作り、チェックできるような形にした。 ⑩重複データのチェック 以上のような対処法により、学生の問題点は、おおよそ解決・回避されることと なった。 一方教員(受信者)としての問題点はいかがであろうか。その前に、このメールに よる出席管理の大前提は、今までの出席カードでの出席確認によってかかっていた時 間を省力化するということである。そのためには、学生が出席メールの送信方法を認 識し、その都度正確に送信をすることがこの問題を解決する一番の早道である。ま た、受講の公平性の面から代理出席応答等の不正も回避する必要がある。このことを 前提に具体的に教員の問題点について解決方法を考えてみよう。 まず、教員の問題点1・2・3は、上述のように、学生の問題点を解決する方法に よって解決することができる。 次に、教員の問題点4の解決のためには、各出席メールがどの講義に該当するかの 識別が必要である。残念ながら、出席メール内では、任意で入力できる項目は件名と 本文のみのため、講義を認識するための項目を増やすことができない。では、どのよ −75−
うにして講義の認識をしていけば良いだろうか。日付と時間帯から講義を認識するの が、現状のデータからは一番確実と考えられる。学生の問題点4・5を回避するため のリスト表示の際に、どの講義に該当するか識別できる項目を設定し、これを反映さ せることとした。加えて、各講義を数字化し、その数字の後に認証番号を設定すると いう方法をとってみた。さらに、これを受講生に下記のように示すこととした。これ ならば、出席メールの入力ミスさえなければ目で見ても認識することができ、データ としても本文の先頭文字を確認することでどの講義かがわかる。例として、下記⑪に は、火 曜 日 の 講 義 の 出 席 デ ー タ(認 証 番 号 の リ ス ト)を 示 し た。本 文 の 認 証 番 号 「10049」の最初の番号「1」により火曜日の講義であることが明確にわかる。 ⑪火曜日の授業のデータ例(認証番号のリスト) 続く教員の問題点5について。これは、問題というよりも対処方法を一定化させる ことによって解決が可能である。この問題は、学生の問題点1・2・3・8とも関連 する。これら問題を回避・解決するためにもメールアドレスの把握は不可欠なものと −76−
なっている。随時、各講義の受講者の学籍番号とメールアドレスのリストには、メー ルアドレスの変更は反映させる必要がある。そのために、メールアドレスに変更があ る場合は、出席メールの本文の認証番号の後ろに“アドレス変更”の文字を入力して もらうこととした。これにより、出席メールの本文から“アドレス変更”という文字 を含むデータのみを抽出することにより、随時、上記リストの更新をすることができ る。また、学生に出席メールの他にアドレス変更の旨を個別に連絡してもらうとい う、わずらわしさも回避できる。 だが、アドレス変更の連絡を忘れてしまうことも大いに考えられる。そのために、 学生の問題点4・5を回避するためのリストと、システム内に置いてある学籍番号と メールアドレスをリスト化させたものを照合し、学籍番号からメールアドレスが異 なっているデータを抽出することも⑫のように必要となるだろう。 ⑫アドレス変更のためのリストアップ 次に、教員の問題点6の解決である。これは、教員の問題点4の解決のために日付 と時間帯から講義の識別を行っているので、この識別が入っていないデータに関して は、出席メール以外のメールであると分かり解決する。 続いて、教員の問題点7の解決について。これは、出席メールの確認用のための仮 の番号を学籍番号と同じ文字数で発番し、システム内に置いてある学籍番号とメール アドレスをリスト化させたものにも、反映させることで解決が可能である。 最後に、教員の問題点8である。これは、日毎にデータを抽出し確認するようにし たことで、同一の認証番号があっても問題は無くなった。 以上のような対処法により、教員の問題点も、おおよそ解決・回避されたものと考 −77−
える。
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むすび
このシステムを作成したことにより、携帯メールでの出席管理が行えるようになっ た。このシステムでは、携帯メールが使えない学生にも対応できるように、今までの 出席カードで対応し、システムに入力していくという方法も採用した。この携帯メー ルのデータと入力データを合わせることで、出席管理のシステムとして運用できるよ うになった。以下にその入力画面を示した(⑬)。 ⑬出席カード対応用の入力画面 また、この出席管理システムに、評価用のデータ入力欄を⑭のように付加した。こ の欄に入力していくことにより、成績評価システムへと発展させていくことが可能と なった。 −78−⑭評価用のデータ入力画面 半期ごとのセメスター制授業では、送信する学生が半期ごとに変わり、常に正確な 携帯メール・正確なデータを揃えるということは難しいと考えられる。また、学期内 での携帯からスマートフォンへの機種変更・キャリアの変更なども考えられる。この ため、前述のように、学生が(間違いを含む)どのような携帯・スマートフォンメー ルを送信するかを想定することとその検証を行うこと、また、送られたメールから間 違いを是正する方法を検討・開発することが大切である。またデータ化したものを、 後でいかに手をかけずに正しいデータに修正していくかという方法を随時開発するこ とも重要である。 このシステムは、その利点として、「1 はじめに」でも述べたように、出席確認 の省力化以外に、非常に重要な教育的側面がある。出席状況をいち早く確認すること により、欠席回数の多い学生の把握と丁寧なフォローが可能となる。逆に欠席がちで あった学生が、しっかり出席するようになった場合に称揚するなどの対応も可能であ る。さらにこのシステムの可能性として、データ項目に授業内アンケートを付加する こと、授業内に問題を出し短い記述式で解答する項目を付加することなども挙げられ る。授業の活性化・質の向上という FD の側面からも、この可能性を追究していきた いと考える(3)。 −79−
注 1 この認証システムの導入例としては、國學院大学出席カードリーダーシステム(IC カー ドリーダー方式)、山口大学出席確認システム(IC カードリーダー方式)、大妻女子大学 OMA管理システム(IC カードリーダー方式)などが挙げられる。金沢大学では、アカ ンサスポータルという名称で、学生証による IC カードリーダー方式の他に、携帯電話や パソコンによる出席管理システムも構築されている(「アカンサスポータル・金沢大学 IDの利用サービスについて」https : //acanthus.cis.kanazawa-u.ac.jp/Portal/u 001/help/acanthus _portal_service_manual.pdf)。 2 本論文の作成にあたっては、「個人情報保護法」並びに山梨学院が定める「個人情報保護 に関する規則」に基づいた「『web 履修者名簿』利用上の確認事項」を遵守した。 3 本システムの構築にあたっては、八田システム開発の八田圭子氏に多大な助言を頂い た。共同執筆とすることを予定していたが、氏が固辞されたため、単独のものとした。 ここにお礼を申し上げたい。 −80−