視 覚情 報
と
体性 感 覚 情報
の不
一
致
に よ
る
迂
回 行動 時
の身 体制 御
に
用
い
られ
る
視 覚 的手
が か
り
の分 離
1松
宮
一
道
* ・安
藤
広
志
**東 北 大学 電 気 通 信 研 究 所*
情 報 通 信 研 究 機 構ユ ニ バ
ー
サル コ ミ= ニ ケー
ショ ン研 究 所* *Inconsistency
between
visualand
somatosensoryinformation
separates
visual
cues
for
the
control
of
locomotion
during
obstacle
avoidance
Kazumichi
MATsuMIYA
*,
Hiroshi
ANDo
**Research lnstitute of
Etectricat
Communication,
Tohohu
翫 勿召rs勿*Universat
Co
/nmunication l〜esearch lnstitute,
ハJational/nstitute qプJnfomaation and Co7nmunications Technology* *
To
avoid obstacles,
thebrain
may use optic 且owfor
locomotor
control oritmay
simply use theperceived
direction
Qf an obstacle.
We tested these hypotheses in an immersive virtual environ−
ment using Warren et aL
’
s (200D method where optic 日owis
displaced
frQm
the direction oflocomotion
providedby
somatosensoryinformation.
To
steer the bodY around a vertical axis,
locomotor contro !depends on the optic 月ow with a
focus
of expansion 〔FOE
)on the obstacle,
suggesting that thebrain
uses opticnow
to avoid an obstacle.
Key words :locomotion
,
visuo−
somatosensoryinconsistency
,
opticfiow,
egocentric direction,
ob−
stacle avoidance は じ め に 我々 が 障害 物を回避す るた め に迂 回行 動を行っ てい る と き,障害 物に身体が軽く接 触す るこ と は あ
っ
て も,
深 刻 な衝 突を引き起こすこ と は ほ と ん ど な い。
こ の ような迂 回 行動を行うに は,
自己身体 移動の 方 向制 御が 必要と な る。 自 己 身 体 移 動の視 覚 制 御にお い て オプテ ィ ッ ク フ ロー
(自己身 体の動 きに よ り生成され る網膜像の運動パ ター
ン;Gibson,1950
)が 重要な役割を担っ て いること は 多 くの 研究 に よ り 示 唆 さ れ て い るが (Crowell & *Research
Institute of
Electrical
Communi −
cation
,
Tohoku University, 2−
1−
1 Katahira,
Aoba −ku ,
Sendai
980 −8577
* * 2−
2−
2,
Hikaridai,
Keihanna Science CitY
,
Kyoto
619−0288,Japan
l
本 研 究は科 研 費 〔
21700234
),
お よ び,
東 北 大 学 電 気 通 信 研 究 所・
独 創 的 研 究支 援プ ロ グラム の助成 を 受 け た もの であ る。Banks,
1996;Li & Warren,
2000;Royden,
Banks,
&Crowel1
,
1992:Royden .
CrowelL
&Banks,1994
;vanden Berg
,1992
;Warren
&Hannon ,
1988;Warren ,
Morris,
&Kalish,
1988 >,
そ れ らの研 究は 自 己身 体 移 動の知 覚 応 答を 測定して お り
,
行動 応答 を測定 してい ない。後述す る最近の研 究において は自 己 身 体 移 動 時の行 動 応 答
を測 定して い る が 〔Rushton
,
Harris,
L!oyd,
& Wann,
1998;Warren
,
Kay ,
Zosh,
Duchon ,
&Sahuc,2001
),
障害物を回 避 する ような迂 回 行 動 時の オプ テ ィ ッ ク フロ
ー
の役 割に関し て は調べ て い な いe そ こ で, 本研究では, 障 害物との衝突を回 避 する 迂回 行 動 下で の 自 己身 体 移 動の 方 向 制 御に おいて オプ テ ィ ッ クフ ロー
が どの よ うに利 用 さ れて い る のかを 明 らかにするこ とを 目的とする。
自己身 体移動の 方向を制御 す る と きの視 覚 的 手が か り には,
オ プテ ィッ クフ ロー
だけでな く,
自己 身 体 か ら移 動 目標 位 置までの 方 向 (目 己 中心 的 方向) も あ ること が指 摘松 宮
。
安 藤:視 覚 情 報と体 性 感 覚 情 報の不一
致に よ る迂 回 行 動 時の身 体 制 御に 用い ら れ る視 覚 的 手が か りの分 離3
Harris
&Rogers,1999
;Warren ,
Kay ,
Zosh,
Duchon ,
&Sahuc
,
2001)。特に,
歩 行 時の身 体 移 動 方 向の視 覚 制 御に おい て は,
オ プテ ィ ッ ク フロー
は用い られておらず,
自 己 中 心 的方向だ け が 用い ら れて い る可 能 性が指 摘さ れてい る (Rushton et al.
,
1998)。 Warren ら (2001)は,
歩 行 時 の身 体 移 動の視 覚 制 御におい て オ プテ ィ ッ クフ ロー
と自 己中心的 方 向の ど ち ら が 用い ら れて い るの かを 調べ る た めに,
バー
チ ャ ル リア リテ ィ技 術を用い て,
次の ような実 験 方 法 を 開 発し た。
彼 らは,
仮 想 空 間 内に,
自 己 中心 的 方 向の 手が か り を与え る仮 想 物 体を 呈 示 し,
そ れ をゴー
ル と し, ヘ ッ ドマ ウン ト ディ スプ レ イ を装着し た実 験 参加 者に仮 想空間 内の ス ター
ト地 点か ら仮想物 体に よ っ て示 さ れ るゴー
ルまで歩 くよ う教 示 した。 実 験 参 加 者が仮 想 空間内を歩 く と,
ディ ス プ レイ上に オ プ テ ィ ッ クフ ロー
が 呈示さ れ る が,
その フ ロー
の 湧 き 出 し口の 位 置 が物理 的に止 しい位 置から右に 10deg ずれ た位 置に呈 示され た (通常は,
フロー
の 湧 き出し口 は実 験 参加 者の身 体 移 動 方 向と一
致す る)。 この よ う な状 況で は, オ プテ ィ ッ クフ ロー
の湧 き 出し口が右に 10deg ずれて いる た め,
自 己 中 心 的 方 向の手が か り を与え る ゴー
ル に向かっ て歩こ うと す る と,
その ゴー
ル の 位置 は実 験参加 者の左 方 向に ず れ てい くことにな る。 も し実験 参 加 者が 自己中心的 方 向の 手 が かりを 使っ て歩 行 時の 身 体 移 動 方 向の視 覚 制 御 を 行っ てい る な らば,
実 験参加者は歩く たびに左方向にず れて い くゴー
ルを 追いか ける よ う な状況 になるた め,
歩 行 軌 跡はカー
ブの形 状 を 描 くことになる。一
方,
も し実 験 参加者 が オプ テ ィ ッ クフ ロー
の手が か り を使 っ て歩行時 の 身 体 移 動 方 向の 視 覚 制 御を行っ
て い る な ら ば,
フ ロー
の湧 き出し口 を,
ゴー
ル を示 す 仮 想 物 体と重ねよ うとす るた め,
歩行軌 跡は直線を描くこ とに な る。 こ の よ うに仮 想空 間 内で フ ロー
の 湧き出し口 をずら す と, 利 用 する手 が か りに応じて歩 行の軌 跡が変わ る。
こ の よ うな方 法を 用いて,
Warren
ら は,
背景刺激の 面 積を変え ることで オ プテ ィ ッ ク フ ロー
の 呈示 面 積を制 御し た。 そ の結 果,
オ プ テ ィ v ク フ ロー
の呈 示 面 積が増 大 する と,
歩 行 軌 跡が カー
ブ形 状か ら直 線に移 行して い くこと が 示 さ れ た。 し た が っ て,Warren
らの実 験 方 法を用いれ ば,
身 体 移 動の 視 覚 制 御に おいてオ プ テ ィ ッ クフ ロー
と自己 中 心的方 向 の 2っ の手が か り を分離する こと がで きる。 し かしな が ら,
障 害 物との衝 突 を回避 する迂 回 行 動 下で の 身 体 方向制 御において,
オ プテ ィ ッ クフ ロー
と自己中心 的 方 向の ど ち ら が利 用さ れて い る のかは明ら かに されて いない。
上 述 したWarren
らの実 験 方 法 を用い る と,
オ プ テ ィッ クフ ロー
による 自 己移動方 向を,
体 性 感 覚 か ら得ら れ る自 己 移 動 方 向から右に 10deg ず ら して呈 示 し,
かっA
:Dark
1000 800 600 40D 2000bserver
Goal
Obstacle
B:FloorC
:Room
。 800E 呂 疂600 :耄
爵
4。。 200 00 0 0 800 600 400 200潔
μ
”
”
o−
100 0 100 200 300 400 Xposition(cm )Figure
1.
Three
virtual environrnents and meanpath under the condition that the obstacle and
the goal were placed on the right side of the
virtual world
,
(A)Dark conditjon :Backgro しindwas
drawn
in
black.
〔B
)Floor
condition :the
textured surface was presented on the ground
,
(
C
)Room
condition ;The
textured surfaces werepresented on the
frontal
,
]eft,
and right wallsand the ground
.
The obstacle and the goal wereprcsen しed in the virtual environments
,
and theobserver must avoid
the
obstacle to arrive atthe goal
.
The
right column represents 皿eanpath
in
the virtual world.
In
this experiment、
aradial pattern of optic fiow is produced with a
focus
of expansior1 〔FOE )in
the
direction
ofsimulated
locomotion
,
The
FOE
was displaced
by
an angle of− 10,0,
0r 十10 deg from theactual d正rection of the body orientation around
the vertical axis
.
The solid,
the dottcd and thcbroken lines represent the FOE
displacemcnts
of
− 10,0,
十10
deg,
respectively.
Ten
subjectsparticipated
in
this experiment.
Data were自己中心 的 方 向を与える視 覚 的 手が かり も呈 示 すると
,
実 験 参 加 者がオ プテ ィ ッ クフ ロー
を 使っ て迂 回 行 動 を 行う か,
自己中心的方向を使っ
て迂回 行 動を行う かによっ
て,
迂回 行動時の歩 行 軌 跡が異な ること が予想さ れる。 こ こで は,
障 害 物との衝 突を 回避す る ための 自己身 体 の 行動応 答を調べ たい の で,
ゴー
ル と実 験 参 加 者の間に 障 害 物を置 き,
ゴー
ル に到 達 する に は そ の障 害 物 を 迂回 し な け れば な ら ない よ う な状況を設定す る (Figure1
)。 そ して,
実 験 参 加 者の身 体 正中面と オ プテ ィッ ク フロー
の湧 き出し 冂 のずれ が右 10deg にずれ て い る場 合と左10deg
にずれて い る場合の2
種類を 用 意す る。 実験1
で は,
障 害 物とゴー
ルが実 験 参加者の右 側に配 置された 仮 想 空 間 (Figure
1
)を 用い て 自 己 身 体の 行 動 応 答 を調 べ た。 も し オ プテ ィ ッ ク フ ロー
が障害物との衝突を回避 する た めに利 用されて い る なら ば,
フ ロー
の 湧き出し口 が右にずれ てい る場 合に,
自己の身体が障害物に衝突 す る と予期さ れ,
フロー
の湧 き出しロが 左にずれて い る場 合に は その ような衝 突は予 期され ない ことにな る。
その 結果,
フ ロー
の湧き出し[が右にずれてい る と きは歩行 軌 跡が直 線 状に な り,
フ n一
の湧 き出し口が左にず れて い る と き は歩 行 軌 跡が カー
ブ状に な る こと が予想さ れ る。 さ らに,
こ の フ ロー
の湧き出し口のず れの効 果がフ ロー
自体に起 因 してい る な らば, 湧 き 出 し口の左 右のず れに よ る 歩 行 軌 跡の 違いは背景 に呈 示 さ れ るフ ロー
の量 が減 少 すると な くな る はずで ある。 実 験2で は,
障 害 物 がな くゴー
ル だけ が実 験 参 加 者の右 側に配 置された仮 想 空 間を用い て 自 己 身 体の行 動 応 答を調べ た。 も し オ プ テ ィ ッ クフ ロー
が障 害 物との衝 突 を 回 避 するために利用 さ れて い る な ら ば,
障 害 物が ない場 合は,
フ ロー
の 湧 き 出 し口 が左に 10deg ず れたと きと右に 10deg ず れた と きで,
フロー
の湧 き 出 し口のず れに よ る歩行軌 跡の差 異は なくな ること が予 想さ れ る。 実 験3
で は,
障 害 物と ゴー
ル が 実 験 参 加 者の正 面に配 置 された仮 想 空 間 を 用い て 自己身 体の行 動応答を調べ た。 オ プテ ィ ッ クフ ロー
の 湧 き 出し口が障 害 物と重なる ときに身 体 制 御がフ ロー
に 依 存す る な ら ば,
正面に障 害 物を配 置し,
障 害 物の右 側 か ら迂 回して ゴー
ル に移 動 する場合は, 実験1
の結果と 反 対の結果にな ること が 予想さ れ る。
すな わち,
フ ロー
の湧き出し凵が右にず れて い る と きは歩行 軌跡が カー
ブ 状に なり,
フ ロー
の 湧 き出 し口が 左にず れて い ると きは 歩 行 軌 跡が直 線 状に なる はずで ある。 実 験1
方 法 装 置 本 実 験で は,
刺 激 旱示の ため に,
視覚 環境 シミュ レ
ー
タ(Visual
Environmental
Simu
】ator;VES
〕を 用いた 〔Matsumiya & Ando
,
2009 )。 VES は,
前 面,
左 右
,
床 面の計 4 ヵ所に ス ク リー
ン (2×2m
)を 配 置し て お り,
各 々 の ス ク 「丿一
ンに2
台のDLP
プ ロ ジ ェ ク ター
が 備 え付け ら れ,
プロ ジェ
ク ター
か らス ク リー
ン に 像を投 影 する際に ミ ラー
を介 すよ うにな っ て いる。
各々 の ス ク リー
ンに備え付け ら れ た2
台のDLP
プ ロ ジェ
ク ター
の一
一
一
方が左 目用と も う一
方が右 目用になるように,
左 右 眼で 光の位 相が 90 度 ず れるよ うな 円 偏 光 板 をプロ ジェ
ク ター
の前に置 き,
円 偏光 板眼 鏡 を実 験 参 加 者にか け さ せ るこ とで多面ス ク リー
ン の立 体 映 像 呈 示を実 現し て い る。
こ の よ うに VES 内で は,
実 験 参加 者の 左 右 視 野お よ び下視野に関 して は完 全にディ スプレ イに覆わ れ て い るた め,
視 野が制 限さ れて い るヘ ッ ドマ ウ ン ト デ ィ ス プ レイ (Warren et aL,
2001 )に比べ て オ ブ ティッ ク フ ロー
の 効果 を よ り効 果 的に引き出せ る利点が あ る(Brandt
,
Dichgans,
& Koenig,
1973 )。
さ らに,
VES は4
台のPC
で構 成されて お り,
各PC
が1
っ の ス ク リー
ン を制 御 して い る (画面の リ フ レ ッ シ 」 レー
ト :30 Hz)。
しか し,
実 際に プロ グラム 上でVES
を 制 御 する と きに は,4
台のPC
を意 識 し ないで 済む よ うにMDC
と 呼ば れる旭エ レク トロ ニ ク ス社に よっ て開 発され たPC ク ラス ター
に よ り,
1
台 がマ ス ター
で残りの3
台がス レー
ブの ネッ ト ワー
ク を 構 築 してお り,
マ ス ター
PC だ けで すべ て の ス ク 「丿一
ンを リアル タ イ ムで制 御できるよ うに なっ て い る。VES
は,
バー
チ ャ ル リア リテ ィ シ ステ ム と して開 発さ れ た もの であるた め,
ポ イン テ ィ ングデ バ イ スやポ ジ シ ョ ンセ ンサー
と映 像 との リン クをリア ル タ イムで操 作で きるよ うになっ てい る。 本 実 験で は,
実.
験参 加 者の頭 部 をト ラッ キン グする た めの ポ ジシ ョ ンセ ンサー
(偏光眼 鏡に装 着させ て使用),
実 験参加 者の応答 用ボ タンと して使うワン ド, そ して,
身 体の胸 部 中 央に 付 加 する ポ ジシ ョ ンセ ンサー
を 用い た。
また,
実 験 参 加 者の頭 部を ト ラッ キン グ す る ための ポ ジ シ ョ ン セ ンサー
は,
VES 内で の実 験 参 加 者の頭 部の動きに応じて,
立 体 画 像を生 成す る計 算 を 補 正 する た め に用い ら れた。
視覚刺 激 刺 激は模 擬 的な 迂回 行動を実 験参加 者に行 わせ るた め に,
障 害 物 (テ ク ス チ ャ付の茶 色の直 方 体; 幅 300 cm,
高さ 100 cm,
奥 行き 100cm )の背 後に ゴー
ル (赤い円 柱;半 径20cm ,
高 さ 170 cm ) を 呈 示 し,
実 験 参 加 者の 最 初の 立ち位 置を示す クロ スマー
ク が床 面に 呈 示された (Figure l}。 暗 黒 条 件で は背 景が暗 黒 (Fig・
ureIA
),
床 条件で は 床面に テ クス チ ャ を張り (Figure
IB;幅 1,
000 cm,
奥 行 き1,
200
cm ),
部 屋 条 件で は周 囲 全体にテクス チャを 張っ た (Figure
IC
:幅1,
000
cm,
高松 宮
。
安 藤: 視 覚 情 報と体 性 感 覚 情 報の不一
致に よ る迂 回 行 動 時の身 体 制 御に用い ら れる視 覚 的 手が か りの 分 離 5 さ300cm ,
奥行き1,
200
cm ) 。 これ よ り, 背景に依存し て フロー
の量を変え た。
また,
これ らの背 景 条 件は試 行 ごとに ラン ダム に呈示さ れ た。VES
内で実際に歩 行す ること は困難で あ るので,
こ こで は一
定 速 度 (170 cm /s}で仮 想 空 間を移 動さ せ る こ とで,
実 験 参 加 者の前 進 歩 行 を 模 擬 的に提 示した。
すな わ ち,
試 行の 開 始と同時に,
実 験 参 加 者の意 図と関 係な く,
仮 想 空 間が一
定 速 度で動いた。 実 験 参 加 者に は ゴー
ル (円 柱 )に到 達 する た めの行 動を行わ せる必 要があっ たの で,
仮想 空間の移動 方向 を実 験 参 加 者の身 体の垂直 軸周 りの回 転に よ り制御さ せ た。 こ れ が模擬的な 迂回行 動を実現さ せ た。 実験参 加者に胸の 中央部分に ポ ジシ ョ ン セ ンサー
を装 着さ せ,
仮 想 空 間に対する身 体の垂直 軸 周りの方 位と仮 想 空 間 内の身 体の位 置 をIJア ル タイ ムで 計 測し た。 そ して,
セ ンサー
か ら得ら れ た身 体の 垂直 軸 周 りの方 位に基づ いて,
身 体の正 中面か らフ ロー
の湧 き 出し口を常に一
.
.
定 の 角度でずれ る よ うに した。
こ こで用 い ら れ たずれ は, −
10deg (左 方 向 ),
O dcg,
+ 10deg (右 方 向 ) の 3種 類で あり,
これ らは試 行ご とに ラ ンダ ム に変化 し た 。 手 続き 最 初に,
実 験 参 加 者は右 手に ワ ン ドを持ち,
床 面に呈示された クロ ス マー
ク の上に立っ た。
ワン ド の ボ y ンを押 すと仮 想 空 間が動 き始め,
実 験 参 加 者は障 害 物で あ る直方 体 (直方体の 中心位置を クロ ス マー
ク か ら 奥 行き 870 cm,
右350 cm ある いは正面 Ocm の 位 置に 配 置 )の背 後に配 置された,
ゴー
ル の円 柱 (円 柱の 中心 位 置を クロ スマー
クか ら奥行き950
cm,
右 450 cm あ るいは正 面Ocm
の位 置に配 置 ) にた どり着 くように 自 己身 体の操 舵 を 同 じ位 置に静 止し た ま ま身 体の垂 直 軸 周 りの回転に よっ て 行っ
た。
ゴー
ル の 中心 か ら半径100
cm 以 内に到 達し た ところで仮 想 空 間の動 きが止 ま り.
次の 試 行へ 移っ た。
1
セ ッ シ ョ ンは,
背 景 条件3
条件× フ ロー
の湧き出 し口 のずれ 3種 類×繰 り返 し4回の計 36 試 行で あっ た。
実 験 参 加 者は 2セ ッ シ ョ ン を行っ た。
実験参加者 こ の実験に は,
著者2
名を含む 10名が 参 加し,
男 性が8名,
女 性が 2名であ っ た。 実 験 参 加 者 全 員が 正常 もしくは矯 正 正 常 視 力であ っ た。
著 者2名を 除く8
名の 実 験参 加者は他の心 理物理実験に参加し た 経験を持っ て いた が,
本 実 験の 目 的は知 ら な か っ た。
結果 と考 察 Figure1
に,
障 害物とゴー
ル が右側に 配置さ れ た仮想 空 間に おいて,
実験 参加者が ゴー
ルに到 達 するまで に仮 想平面 内を移 動 し た軌跡(実験 参加者10
名の平均 値 )を 示す。 横 軸のXpositiQn
は仮想空 間 内の左 右 方 向を,
縦 軸のZposition
は仮想 空間内の奥行き方 向を 示 す。 原 点 は移 動 開始 地点を示 す。
実線は オプテ ィ ッ クフ ロー
の湧 き出し口 が身 体の正 中 面に対 し て一
10deg (左 方 向 ) ず れ た条件,
点線はフロー
の 湧き出し 口 が身体の正中面と一
致 して い る Odeg の 条 件,
破 線は フ ロー
の 湧 き出し口 が身 体の正 中 面に対 して +10deg (右 方 向 ) ずれた条 件 を表 す。Figure
IA
は暗 黒 条 件,
Figure IB は床 条 件,
Figure IC は部 屋 条 件を示す。 本 実 験で は,
障 害 物で あ る直 方体の前 面は常に奥 行き820cm
の位 置に呈 示さ れ て い た。
そ れ ゆえ,
こ こ で は,
グ ラフ ヒのZposition
がOcm
か ら800
cm の範囲にお い て,
実験参 加者の移 動軌跡の形 状を 比 較 し た。 すべ て の条 件におい て,
フ ロー
の湧 き出し口のず れ が ない と き (Odeg
)は,
移 動 軌 跡の形 状はほ ぽ直 線 形 状 を 示 した。 暗 黒 条 件で は,
フロー
の ず れ がOdeg
の と きの移 動軌跡と 比べ ると,
フ ロー
のずれ が f10deg と一
10deg の移 動 軌 跡は両 方とも顕 著に カー
ブ状に なっ た〔Figure IA)。
床 条 件で は,
フ ロー
の ず れ が一
10deg の と き はフ 囗一
の湧 き 出しロ のずれ が Odeg の と きの移 動 軌 跡か ら逸 れて暗黒条 件と 同様のカー
ブ形状を示し たが,
フ ロー
の ず れ が +10deg の と き はOdeg
の移 動 軌 跡に近 づ き,
移 動 軌 跡の形 状が 比較 的 直 線に近か っ た 〔Figurc IB)。 部 屋 条 件の 結 果は,
床 条 件と類 似 し た傾 向を示 した (Figure
lC
> 。 次に,
Figure lで得ら れ た背 景 条 件に依 存した移 動 軌 跡の差 異 を定 量 的に評 価 する ため に,
仮 想 空 間 内の移 動 の ス ダー
ト地点か らゴー
ル に到 達す る までの フ レー
ム ご との x 座 標 をフ ロー
のず れ一
一
10,
0,
+10deg
の各々 に 対 して抽 出し,−
10deg
の x 座 標か らOdeg
の x 座 標 の 差分お よ び十 10deg の x 座標か らOdeg の x 座標の 差 分 をフ レー
ム ご とに算 出 した。
そ して,
各フ ロー
のず れに対 して,
フ レー
ム ごとに得 ら れ た 差分デー
タを すべ て 平 均した もの を移 動 軌 跡の差 異 と定 義 した。
こ0)よ う に定 義さ れた移 動 軌 跡の差 異 を 各 実 験 参 加 者に対して算 出 し,
実 験 参 加 者 10名 分の 算 出 結 果 を平 均し た結 果が Figure 2で ある。
Figure 2で は,
縦 軸が移 動 軌 跡の 差 異 を示 し,
横 軸が背 景 条件 を 示 す。
棒 グラフ の シ ンボ ル に っ い ては,
斜 線がフ ロー
のずれ が一
10deg の ときの結 果を,
灰 色が フ ロー
の ず れが +10deg
の と きの 結 果 を 示す。Figure
2
よ り,
背 景 条 件によ る移 動 軌 跡の差 異の 変 化は,
フ ロー
のず れ が一
10deg の場 合と+10deg の 場 合で異なっ た。2
つ の フロー
条 件 (− 10deg
のずれ,
十10deg
のず れ) と3っ の背 景 条 件 (暗 黒,
床,
部 屋 ) を使っ て,
実 験 参 加 者 10 名のデー
タに対 して2
元 配 置 の繰り返 し あり分 散 分 析 (被 験 者 内 要 因 ) を 行っ 鵡,
そ50 30 20 10
(
巨
ε き ; p ;B
お 芒 瞿 08 五ω
ヨ o⊆
β。
三 烏 石」
の
匸
D心
ヨ
一
の
O α閥
⊆一
Φ
O⊆
ω
」
O←
一
「‘
屮呵
」
o Da厂k Fleor Ro Virt凵al vrorldFigure
2.
Path
difference
from
theFOE
dis−
placement of
Odeg
across three virtualwor 】ds under the condition that the obstacle
and the goal were placed on the right side of
the virtual world
.
Path
difference
wascalculated
by
taking the average of thedifference
in×positionsfor
each framefrom
the FQE displacement of O deg
.
The slashedand gray bars represent the FOE dis
−
placernents of− 10
and10
deg,
respectively,
Data were averaged for the ten subjects
.
Error bars represent the SEM
,
の結 果
,
フ ロー
条 件 (F(1,
9)=
14.
953,
p
〈0.
005>と背 景 条件(F
(2,18
)=10.
759,p
〈0,
001
)に おいて主 効果 が見 ら れ,
フ ロー
条 件と背 景 条 件の間に有 意な交互 作 用が あっ た(F
〔2,18
)=3.
804,p
〈0,
05
)。 さ ら に,
1
つ の フ ロー
条件の中で背景の影 響が あ る か ど う か を分析す る た め に,
下 位 検 定と して単 純 主 効 果の検 定 を 行 うと,
フ ロー
の ずれ が一
10deg の ときは背 景に よ る差は統 計 的 に有 意でなか っ たが 〔F(2,
36)=
0.
625,p =
O.
541 ns ),
フ ロー
のずれ が+10deg
の と きは背 景に よ る差は統 計 的 に有意で あっ た(F〔2,
36)=
6.
808,
p
<0.
005 >。 ま た.
下位 検 定として ライ ア ン法に よる多.
重 比 較を行 うと,
フロー
のず れ が+ 10deg の ときに,
暗 黒条件 と部 屋 条 件 (t=
3.
606,
p
く0,
001 ),
暗 黒 条 件と床 条 件 〔t=
2.
479,
p
< 0.
05) の間で統 計的に有意な差が あっ た。 以 上の結 果を ま と めると,
次の よ うに なる。
(i)フロー
のず れ が一10deg
の と き は,
フ ロー
の ず れ が ない とき と比べ て移 動 軌 跡は よりカー
ブ形 状を示し,
こ の傾 向は 背 景か ら得ら れ るフ ロー
の有 無に依 存し な い。 (ii
)フ ロー
の ずれが +10dcg の と きは,
背 景の フ ロー
の有 無A
:Dark
B
:Floor
C
:Room
1000 800 600 400 200 00 0 0 800 君 呂E600
:瘍爵
・。。 200 OO O O 800 600 400 200一
一
1Qdeg ニニ’
:918e5
,g μ ノ8
彡
ノ
臨’
〆
γ
グ
’
! 望
,
γ
づノ
7
グ!
γ
づ
,
ゲ
び ,グ
’(
・7
i!
γ
t ,ヴ
・γ
/
夕
o−
100 0 100 200 300 400 XPDsition(cm >Figure 3
.
Mean path under the condition thatthe goal was on !y placed on the right side of
the virtual world without the obstacle
.
(A) Dark condition ;(B)Floor condjtion ;(C)Roomcondit 三〇n
.
The details of figure 3 are thesame as
Figure
l
exceptthat
data
areaveraged
for
the eight subjects.
に依 存 して移動 軌跡 は変化 し
,
背景に フ ロー
が 呈 示 さ れ ると移 動 軌 跡はフ ロー
の ずれ が ない と きの 移 動 軌 跡に類 似 するよ うにな り直 線に近づく。
すなわ ち,
フ ロー
の湧 き出 し[ のず れ が + 10deg の と きのみ移 動 軌 跡は背景 に呈示さ れ るオ ブ テ ィッ クフ ロー
に依 存して変 化 する。 実 験2
方法 装 置,
視 覚 刺 激,
手 続 き 実 験2 で は,
実 験 1 と同 じ 装 置を使っ て,
障 害物が な くゴー
ル だ け が右側に配置さ松 宮
・
安 藤:視 覚 情 報 と体性 感 覚 情 報の不一
致によ る迂 回 行 動 時の身 体 制 御に用い ら れる視 覚 的 手が か りの分 離 7 れ た仮想 空間が 提示さ れ た (Figure
3) 。 仮想 空間 内に障 害 物が提 示さ れてい ない こ と を除 けば,
刺 激 変 数 (背 景 条 件3
条 件,
フ ロー
の 湧 き 出 し口の ず れ3
種 類 )および 実験手 続き は実験1
と同じで あ っ た。 実 験 参 加 者 こ の実 験には, 著 者 1名を含む8名の実 験 参 加 者が参 加 し,
男 性が 7名,
女 性が 1名であっ た。
実験参加者全員が実 験1
に も参 加 して いた。
結 果と考 察Figure
3 に,
障 害 物が な く ゴー
ルだ け が右 側に配 置さ れ た仮 想 空 間において,
実 験 参 加 者が ゴー
ルに到 達す る までに仮 想 平 面 内を移 動 した軌 跡 (実 験 参 加 者8名の平 均値) を示す。 図の見方は,Figure
1
と同 じで あ る。
Figure 3におい て も
,
グラ フ上の Zposition が Ocmか ら800cm の範 囲におい て
,
実 験 参 加 者の移 動 軌 跡の 形状を 比較し た。 すべ ての条件に お い て , フ ロー
の湧 き 出し口 のずれ が ない と き〔Odeg )は,
移 動軌跡の形 状は ほぼ直 線 形 状を示 し た。
暗 黒 条 件で は,
フロー
のずれ がOdeg
の と きの 移 動 軌 跡と比べ る と,
フ ロー
の ずれ が 十 10deg と一10deg
の 移 動軌 跡は両方とも 緩や か な カー
ブ状に なっ た 〔Figure3A
)。 床 条 件で は,
フ ロー
の ずれ が一
10deg の ときと+ 10deg の ときの両 方におい てOdcg
の 移動 軌 跡に近づ き,
移 動 軌 跡の 形状が 比較的 直 線に近かっ た〔Figure
3B)。 部屋条 件の結 果は,
床 条 件 と類 似し た傾 向を示 し た (Figure 3C)。
移 動 軌 跡の差 異を各 実 験 参 加 者に 対して 算 出し,
実 験 参 加 者8
名 分の算 出 結 果を平 均 し た結 果がFigure
4
で あ る。
図の見方は Figure 2 と同じで あるD Figure 4 よ り,
背 景 条 件に よ る移 動 軌 跡の羌 異の変化は,
フロー
の ずれ が一
10deg の場 合と一
10 deg の場 合で 同じ傾 向で あっ た。
2 っの フロー
条 件 (一
10deg
のず れ,
+10deg
のず れ)と 3っ の背景条件 (暗黒,
床,
部 屋)を使っ て,
実 験 参 加 者8名の デー
タ に対して 2元 配 置の繰 り返 し あ り分 散 分 析 (被 験 者 内 要因) を 行っ た。
その結 果,
フ ロー
条 件 に おい て 主 効 果 は 見 ら れ な か っ た 〔F〔1,
7)=
3.
372,
p =
0,
109 ns )。 しか し,
背 景 条 件におい て は主 効 果が見 ら れた 〔F(2,
14)=
12.
733,p
〈 0.
001 )。
また,
フ ロー
条 件と背 景条 件の 間に交 互 作 用は な かっ
た (F
〔2,
14)=O.
107,
p =
O.
899 ns )。 し た が っ て,
障 害 物が ない と き は,
障 害 物が あ ると き と 異 な り,
自己身体の 移動軌 跡の 形 状はフロー
の ず れ が一
10deg と+ 10deg の と きで変 わ ら ない こと を示して い る。
これよ り,
障 害 物が ある仮 想 空間に お い て, 背景に呈示さ れ る オ プテ ィ ッ ク フ ロー
に依存して 移 動軌跡が変 化 する とい う結 果(Figures 1,
2>は,
障 害物の有 無に依 存する こ と が示唆され る。 50 40 30 20 10 宕o)
き ; 望 且 o←
o 岩Φ
E8娜
五の
う o=
日 Φ 三 尸 』 Φ」
の
⊆。
三 8Ω
x ε 8匸
。
」
ε +一
刀
焉。
。 」 o 回一
10deg 國 10de 琶ミ
ミ
ミ
\ 磯蔓
嘩
難
.
鱗
離 鍵 彊 蹇
§
§
ミ
§
霞 寝 華 萋 鰯鞏
鑼
Dark Floor Room
Vlrtual world
Figure
4、
Path difference frorn the FOEdisplacement of
O
deg
across three virtualworlds under the condition that the goa 〔was
only placed on the right side of the vlrtual world without the obstacle
,
The details of
Figure
4
are the same as Flgure 2 except that
data
are averagedfor
the eight subjects,
し か し
,
Figure 4 よ り,
暗 黒 条 件の移 動 軌 跡の差 異は 床 条件と部 屋 条 件に比べ て大き くな る傾 向が あ り,
下 位 検 定と して ライア ン法に よ る多重比較を行う と, 暗 黒条 件と床 条件(彦=
4395.
ρ <0.
OOI ),
暗黒条 件と部 屋条 件 (t=
−4.
345,p
<0.
001
)の間で統計 的に有意な差が あ っ た。 障 害 物が ない仮想 空間で は,
移 動 開始地点か ら迂回す る ことな く直 線 的に ゴー
ルに移 動 する こと がで きるた め,
Warren
ら(2001
)の 実験条件に類似して いた。Warren
らは,
背 景に フ ロー
が ない と きに移 動 軌 跡が湾 曲し,
背 景に湧き出し 口の ずれ たフロー
が あ る ときに移 動軌 跡が 直線 状に な るこ と を報 告して お り,
Figure 4の結 果は Warren ら の結 果と一
致 して いる。
これよ り,
本 研 究は,
Warren
らの 研 究と 異 な り,
実 際に歩行は さ せて い ない が,
Warren ら が報 告し た歩 彳J.
制 御にお け るフロー
の効 果と同 じ効 果が本 研 究におい て も抽 出で きてい ると考え ら れ る。
しか し な が ら,
障 害 物 が あ る 仮 想 空 間で フ ロー
が一
10deg ずれ た ときの移 動 軌 跡の 差 異は,
障 害 物が ない仮 想 空 間 と異 なり,
背 景に依 存 しなか っ た (Figure
2
)。 これ は, フ ロー
のず れ が ない Odeg の と きの 移 動 軌 跡が背 景に依 存 して 変わる た めで ある と考え ら れ る。 Figuro 1に示 さ れ る よ うに,
暗黒 条件のOdeg
の移 動 軌 跡は,
床 条 件と部 屋 条 件の Odeg の移 動 軌 跡よ りも左 側に偏 る傾 向が あっ た。一
方,
障 害 物 が ない 仮 想 空 間では
,
直 線 状 に身体 を 移 動 させ るこ と が で き た ため,O
deg
の 移 動 軌 跡が背 景 条 件に依 存せず 同 じに なっ
た (Figure 3)。
し た が っ て,
障 害 物がない仮 想 空 間で は,
暗 黒条件に お け る移 動 軌跡の 差 異が,
床 条 件と部屋条件よ り も大き く なっ た と考え ら れる。 実 験3
方 法 装置, 視覚 刺 激, 手続き 実験3
で は, 実 験 1 と同じ 装 置を使っ て,
障 害 物とゴー
ルが正 面に配 置さ れ た仮 想A
;Dark
B
;Floor
C
:Room
空間が提 示さ れ た(Figure 5) 。 障 害 物とゴー
ル の 配 置が 異 な るこ と を除 けば,
刺 激 変 数 (背 景 条 件3条 件,
フ ロー
の 湧 き 出 し口のず れ3
種 類 )お よび実 験 手 続 きは実 験 1 と同じで あっ た。 実 験 参 加 者 こ の実 験に は,
著 者 1名を含む8名の実 験 参 加 者が参 加 し,
男 性が7
名,
女性が1
名で あっ た。
実 験 参 加 者 全 員が実 験 1 と実 験 2に も参 加して いた。 1000 800 600 400 200 OO O O 800 言葺
60。 :羣
苔爵
4。。 200 00 0 0 800 600 400 20Q 亀_
−
1。d,gll =一
二?
・8eg
・9ノ
丿
少
!
ゲ
f
・Ji
’
・’
N
=8
〃
〃
’
〃
冒「
、
’
〃
コ
〃
’7
、
−
o−
100 0 100 200 300 400 X position(cm )Figure
5.
Mean
path under the condition thatthe obstacle and the goal were placed
in
frent
of the subjects at the beginning oftrials
.
(A
)Dark
condition ;(B
)Fleor
condition ;(C)Room condition
.
The
details
ofFigure
5
are the same as Figure l except that data are
averaged
for
the
eight subjects.
結果 と考 察 Figure
5
に,
障 害 物と ゴー
ル が正 面に配置さ れた仮 想 空間に おい て, 実験 参 加 者が ゴー
ルに到達 す る まで に仮 想 平 面 内を移 動 した軌 跡 (実 験 参 加 者 8名の平 均 値 )を 示 す。 図の 見 方は,
Figure 1と同じであ る。
こ の条 件で は,
常に障害物の右 側か ら 迂回す る よ う実験 参 加 者は指 示さ れ て い た。
Figure
5
に おいても, グラフ上のZposition
がOcm
か ら800cm の範囲に おい て,
実験 参 加 者の 移動 軌跡の 形 状 を 比 較 した。 暗 黒 条 件で は,
フ ロー
のず れがOdeg の と きの移動 軌 跡と比べ る と,
フロー
の ずれ が +10deg
と一
10deg の移 動 軌 跡は両 方と もフ ロー
の湧き出し口 のずれが Odeg の移 動 軌 跡か ら逸れ た (Figure sA)。 床 条 件で は,
フ ロー
の ず れ が一10deg
の と き はフ ロー
の 湧 き出 し口のず れが Odeg の移 動 軌 跡に近づ き,
フロー
の ずれ が+ 10deg の ときはOdeg
の と きの移 動 軌 跡 か ら逸 れた (Figure 5B )。 部 屋 条 件の結 果は,
床 条 件と類 似 した傾 向 を 示 した(Figure5C
}。
移 動 軌 跡の差異を各 実 験 参 加 者に対して算 出し,
実 験 参 加 者8
名 分の算 出 結 果 を平 均 した結 果が Figure 6 で あ る。 図の 見方はFigure
2
と 同 じで あ る。 Figure6
よ り,
背 景 条 件に よ る移 動 軌 跡の 差 異の変 化は,
フ ロー
の ずれ が一10deg
の 場 合 と+ 10deg の場 合で異なっ た。
2
っ の フ ロー
条 件 (− 10deg
の ず れ, +10deg
のず れ) と3
っ の背 景 条 件 (暗 黒,
床,
部 屋 )を使っ て,
実験 参 加者8
名の デー
タに対 して 2元配置の繰 り返 し あ り分 散 分 析 (被 験 者 内要 因 )を行っ た。 その結 果, フロー
条 件 (F(1,
7)=
27,
176,
p
<0.
005)と背 景 条 件 (F(2,
14)=
5.
865 ,
p
く0.
05
〕におい て主効果が見ら れ, フ ロー
条 件と 背 景 条 件の 間で有意な交彑 作 用が あ っ た(F
(2,14
}=
5.
014,p
<0.
05
)。
さ らに,
1つ の フ ロー
条件の 中で背 景 の影 響 が あ るか ど うかを分析す るた め に,
下 位検定と し て単 純主効 果の 検定 を行 う と,
フ ロー
のず れ が一
一
10deg
の ときは背 景 に よ る差 は 統 計 的に 有 意で あ っ た が(
F
(2,
28
)=
10.
745,
p
くO.
OOI
),
フ ロー
のず れが +10deg の と きは背 景 に よ る差 は 統 計 的に 有 意で な か っ た松 宮
・
安藤:視 覚 情 報と体 性感覚 情報の不一
一
致によ る 迂回 行 動 時の身 体制 御に用い ら れ る視覚的 手が か りの 分 離9
〔
5〕
ぎ[
←
2 豈。
も セ 瞿 8幻
五ω
看 。 ⊆ βΦ
三岬
』 巴。
。
⊆
o … 旨Ω
x 三。
。
匚 o」
。
←
← ヨ ‘ 拓 匹 50 40 30 20 10 o Dark Floor Ro Virtllal worLdFigure 6 Path difference from the FOE
displacement
ofO
deg
across three virtualworlds under the condition that the obstac !e
and the goal were placed
in
front
of thesubjects at the beginning Qf trials
.
Thedetails Qf Figure 6 are the same as Figure 2
except
that
data
are averagedfor
the
eightsubjects
.
イ ア ン法に よ る多重 比 較を行 うと,
フロー
の ずれ が一
10deg
の ときに,
暗 黒条 件と部屋 条 件 (t=4.
500,
p
く 0.
0005 ),
暗黒条件と床 条 件 (t=
3.
216,
p〈0.
0051 の間で 統 計 的に有 意な差が あっ た。
以上の結果 を ま とめ る と,
次の よ うにな る。 (i
)フ ロー
のず れ が.
一
.
10deg の と きは,
背 景の フ ロー
の有 無に依 存 して移 動 軌 跡が変 化 し,
背 景にフ ロー
が 呈 示されると 移 動 軌 跡 はフロー
の ず れ が ない と きの 移 動 軌 跡に類 似 す る ようにな る。 〔ii
)フ ロー
のず れが一
+10deg の ときは,
フ ロー
の ず れ が ない と きの移 動 軌 跡よ りも逸 れて,
こ の 傾 向は背景か ら得ら れ るフ ロー
の有無に依 存し ない。 す な わ ち,
フ ロー
の湧き出し口 の ずれ が一
10deg の とき の み移 動 軌 跡は背景に 呈 示 さ れ るオ プテ ィッ クフ ロー
に 依 存して 変化する。 これ らの結 果は,
障 害物とゴー
ルが 右 側に配 置さ れた仮 想 空間 を 用 いたときの結果 (Figure 2)と反対の結果で あっ た。 す な わ ち, フ ロー
の ず れ が一10deg
の場 合と+ 10deg の場 合の背 景 条 件による移 動 軌 跡の差 異の変 化が,
フ ロー
の ず れに対して 逆の結果 になっ た。 障 害 物とゴー
ルが右 側に配 置さ れ た仮 想 空 間 で は,
障 害 物の左側か ら迂 回 し て ゴー
ル に到 達 する が,
障害物とゴー
ル が正面に配 置さ れ た仮想 空 間を用いた と きは,
障 害 物の右 側か ら迂 回し て ゴー
ル に到 達し た。
し た がっ て,
障 害 物とゴー
ルが 右 側に配 置さ れ た仮 想 空 間 を用い た と きの結 果 と 正面に配 置さ れ た仮 想 空 間を 用い た と きの結果の違い は,
オ プ ティ ッ クフ ロー
の湧き出し 口 が障 害 物と 重 なる と きに自己身 体 移 動の 方 向 制 御がフ ロー
に 影響さ れ るこ とを 示 唆 して いる。
総合 考 察
本 研 究で は,
視 覚 情 報 と体 性 感 覚 情 報 を 不一
致にするWarren
らの方法を 用いて,
障 害物 と の衝 突 を 回 避 す る 迂 回 行 動 ドで オ プテ ィ ッ クフ ロー
が どの よ うに利 川さ れ る の か を調べ た。 Warren らの方 法を用い ると,
身 体 移 動の軌 跡が カー
ブ形 状か直 線かを見 分ける こ と で,
迂 回 行動時の身 体移 動 方 向の 視 覚 制 御に利用で き る2
つ の 手が か り,
オ プ テ ィ ッ ク フロー
と自己中心 的方 向を分 離 するこ と が できる。 本 研 究は,
こ のWarren
らの方 法 を 迂 回行動時の身体 移 動に適用 し た。
オ プテ ィ ッ ク フロー
が障 害 物との衝 突を回 避 する た めに利 用さ れて い る な ら ば,
フ ロー
の湧 き出し凵が障 害 物と重な る場 合に フ ロー
の 手 が か り を 使 っ て身 体 移 動を制 御し,
フ ロー
の 湧 き 出 し口が障 害 物と 重 な ら ない場 合に 自己中心的 方 向の手が か り を使っ て身 体 移 動を制 御 する こ と が予想された。
本 実 験の結果は, フロー
の湧き出し口のず れ が障害 物と重 な る と きに,
背景にオ プテ ィ ッ クフロー
が 呈示さ れ るこ と で移 動 軌 跡が直線に近づ くこ と を示 し た。一
方,
フ ロー
の湧き出し 口のずれ が障害物と重な ら ない と き は, 背景に呈 示され たフロー
に依存せず,
身体の移 動 軌 跡は カー
ブ形 状を示 し た。
これ らの結 果は,
フロー
の 湧 き出 し口のず れ が障 害 物と重な る と きの み,
身 体 移 動 方 向を 制 御するた めに フ ロー
が利 用さ れて いたこと を示して い る。
近年の研究は,
歩行 制御におい て オ プテ ィ ッ ク フロー
と自 己 中 心 的 方 向の 2っ の視 覚 的 手 がか りの 存 在 を 示して い る(
Rushton
et al.
,
1998
;Harris
&Rogcrs,
1999 ;Warren et al
.
,
2001>。 Rushton et al.
(1998)は,
プ リズ ムを 使っ て 歩 行 方 向とフ ロー
の湧 き出 しn
を ずら し た実 験 を 行い,
オプ テ ィ ッ クフ ロー
の湧 き出し口が ず れて い て も歩 行によ りゴー
ル に到 達で きること か ら,
フ ロー
は 歩行制御 に 用 い ら れ てい ない と 結 論づ け た。
この と き,
歩 行 制 御に利 用で きる手が か りと して,
自 己 中 心 的 方 向 があること をRushton
らは示 唆 した。
しかし な が ら,
Rushton
ら が行っ
た実 験 環 境は,
あ まり周 囲に建 物な ど が ない場 所で実 験 を 行っ て い た ため,
フ ロー
自 体が あ ま り含ま れて い な か っ た。
その ことに気づ い たWarren eta1.
〔2001
)は,
バー
チ ャル リア リテ ィ技 術 を用いて,
仮 想環境 内で オ プ テ ィ ッ ク フロー
の呈 示 面 積 を 刺 激 変数として
,
Rushton
ら と同じ実 験を行っ た とこ ろ,
歩 行制 御に フ ロー
が使わ れて いること を示し た。 さ らに,
歩 行 制 御にお けるフ ロー
の利 用は周 囲の環 境に依 存 すること を Warren ら は 見い だ し た。 っ ま り,
フ ロー
の 呈示面積 が広い場A
に は,
歩 行 制 御に フ ロー
が利 用される が,
フ ロー
の呈 示 面 積が狭い場 合に は,
歩 行 制 御に 自己中心 的 方 向が利 用さ れ るこ と を明ら かに し た。 し か し な が ら,
こ の ように オ プ テ ィ ッ クフ ロー
が歩 行 制 御に利用 されて い るこ と は 示 さ れて い る が,
どの よ う な状況で利用さ れ るのか は明ら かで は な かっ た。 本 研 究で は,
障 害 物との 衝 突を回 避 するた め の迂回行 動 下でフ ロー
が利用 されて い る とい うこ と を明ら かに し た。 本 研 究は,
迂 回 行 動におい て脳は フ ロー
を使 っ て身 体 の方 向を制御して い る こ とを 示唆して お り, フ ロー
が身 体 制御の た めに使わ れ るには,
障 害物が目の前に呈 示さ れ て い る必要が ある こと を示 唆 する。 しか し,
Warren ら は, 歩 行制 御に おいてフ ロー
を利用 する際に障害物が 必要か ど う か は言及 して いない。
それに もか か わらず,
歩行 制 御に お いて フ ロー
が用い ら れた の は なぜ なので あ ろ う か。 これに関して,
少な く と も2
っ の可 能 性が考え られる。 1っ は,
視 覚一
体 性 感 覚 間の不一
致の導 入の仕 方 の 違い で あ る。Warren
らの研究で は, フ ロー
が +10
deg にず れ た場 合のみ を用い て い た が,
本研 究で は一
10deg
と+10deg
の2
種 類の フ ロー
のず れ を 用いてい た。
身 体制御において フ ロー
を利用する際の 障害物の 必要性 を示 すに は,
本 実 験の ように,
フ ロー
のずれ が障 害 物に 重な る場合と重な ら ない場合の2
通 りを用意 する 必要 が ある と 思 わ れ る。 実 際,
Warren ら が用い た視 覚 刺 激 に は,
障害物が含まれて お り,
その障害 物にフ ロー
が重 なるよ う な刺激になっ て い た。 そ れ ゆ え,
Warren
ら は,
障 害 物の必 要 性に気づ か な かっ たのか もしれない。 二っ 目の可 能性は,
実 験 参 加 者の行動の違いである。 Warren らは,
ヘ ッ ドマ ウ ン ト ディ スブ レイ を実 験 参加 者に装 着させ,
仮 想 空 間 内 を実 際に歩かせ て い た。一
方,
本 研究で は,
VES 内で実 験 参 加者は歩か ず,
身体の 向き を 変え るために垂 直 軸 回 りに身 体 を 回 転 させて い た。 こ の よ う な行 動の違い が,
身 体 制 御 系の フ ロー
の利用方 法 を 変えて い たのか もし れ ない。 すな わ ち,Warren
らの 研 究の よ うに実 際に歩 行 する場 合には,
障 害 物が なくて も身 体 制 御に フ ロー
が利 用で き,
本 研究の よ うに身 体の 向きのみを変え る行 動の場 合に は,
身 体 制 御に フ ロー
を 利 用す る た めに障 害 物が 呈示さ れ る 必要が あ るの か も し れ ない。
こ の点 を 明らかにする に は,
さ ら なる研 究 が 必 要であ ろ う。 迂回行 動 時の身 体 移 動 を 制 御 するために,
脳は視 覚 情 報だ けで な く体 性 感 覚 情 報も利用 す る ことが で きる。
オ プ ティ ッ ク フ ロー
に よ っ て提 供さ れ る視 覚 情報を使え ば,
自己身 体が将来ど こへ 向か う か を知ること がで き,
自己身 体が障 害 物に衝 突す るか ど う か を予 測で きる。
こ の 予測に基づい て,
体 性 感 覚 情 報か ら得ら れ る身 体の現 在の 状態を 更新し,
身 体が障害物に衝 突し ない よ うに し て い るこ と が本 研 究か ら示 唆 さ れる。
こ の よ うに,
脳は 視 覚 情 報 と体 性 感 覚 情 報 を協 調 的に処 理 するこ とで,
安 全 な 迂 回 行 動 を 実 現 す るこ と がで き る と考え ら れ る。 引 用 文 献Brandt,
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