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時間知覚に及ぼす繰り返し効果に関するクロスモダル研究

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DOI: http://dx.doi.org/10.14947/psychono.34.5

時間知覚に及ぼす繰り返し効果に関するクロスモダル研究

田 山 忠 行*・邵   瓊 瑤

北海道大学大学院文学研究科

The cross-modal study about the repetition effect on time perception

Tadayuki Tayama* and Qiongyao Shao

Department of Psychology, Graduate School of Letters, Hokkaido University

It has been reported that the perceived duration of high-frequency stimuli is shorter than that of low-frequency stimuli, even though the physical duration is equal. We call this phenomenon the repetition effect on time percep-tion. This study examined the effect using intra-modal and cross-modal tasks as well as the magnitude estimation method. In the intra-modal tasks (Exp. 1), simple visual stimuli with two different shapes were used as standard and comparison stimuli, and the repetition effect was observed even when the standard and comparison stimuli were in-terchanged. In the cross-modal tasks (Exp. 2), no repetition effect was observed when the visual and auditory stim-uli were used as the standard and comparison stimstim-uli, respectively, but the effect was clearly observed when auditory and visual stimuli were exchanged. These results support the auditory dominant hypothesis in time information pro-cessing. The repetition effect was explained by the inhibition hypothesis.

Keywords: time perception, duration judgment, repetition effect, cross-modal task

客観的には同じ時間でも,同じものを何度も見ている 場合と滅多に見られないものを見ている場合では,時間 の長さの感覚が異なり,前者より後者の方が長く感じら れるといわれている(Tse, Intriligator, Rivest, & Cavanagh, 2004; Matthews, 2011; Ulrich, Nitschke, & Rammsayer, 2006; van Wassenhove, Buonomano, Shimojo, & Shams, 2008)。こ の効果は,オドボール(新奇性)効果,あるいは期待効 果とも呼ばれている。しかし以下に示すように,この効 果の背後の機制はまだ明らかではないと考えられるた め,ここではこの効果を単に繰り返し効果と呼ぶことに する。 Tse et al. (2004)は,様々な視覚刺激を用いて,呈示 頻度の低い刺激は呈示頻度の高い刺激より持続時間が長 く見えることを報告した。彼は,判断の基準となる呈示 頻度の高い標準刺激をランダムな回数(10回程度)呈 示した後,呈示頻度の低いオドボールを呈示すると,そ の持続時間が長く見えることを示した。彼らは,この効 果を,注意の方向付けという観点によって説明し,オド ボール効果,もしくは期待性が関与する効果とみなし た。Ulrich et al. (2006)は,刺激の色や形の違いによっ て期待性を操作し,Tse et al.と同様の効果を確認した。 しかし,van Wassenhove et al. (2008)は,標準刺激の繰

り返しを,ランダムな回数ではなく3回に固定し,期待 性を排除した場合でも同様の結果が得られたことから, この効果では,注意や期待性よりも刺激の文脈顕著性が 重要な役割を果たしていると主張した。 この繰り返し効果は,繰り返しが1回でも認められる といわれている。Matthews (2011)は,風景写真の刺激 を1秒程度見る場合でも,それを初めて見るよりも,前 に一度見ておくと持続時間が短く知覚されることを示し た。Kanai & Watanabe (2006)は,運動の開始時点に注 目した実験で,運動方向の異なる2つの運動刺激を連続 して呈示すると,同じ持続時間でも最初に呈示した運動 刺激の方が長く見えると報告しているが,これも同様の 効果といえる。これらの研究からは,繰り返し効果が, 注意や期待性,顕著性に基づくというより,判断基準と なる標準刺激が繰り返し呈示されることによって次第に 短く感じられ,その結果としてオドボールが相対的に長 く判断されることが示唆される。Pariyadath & Eagleman (2007)もまた,物体写真などを刺激として用いて期待 Copyright 2015. The Japanese Psychonomic Society. All rights reserved. * Corresponding author. Department of Psychology,

Graduate School of Letters, Hokkaido University, Kita10, Nishi7, Kita-ku, Sapporo, 060–0810, Japan. E-mail: tayama@let.hokudai.ac.jp

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である。 ところで,従来の時間知覚の研究では,様々な実験結 果が内的時計を仮定したモデルによって説明されてい る。近年では,この内的時計が1つなのか複数なのかと いう単一クロック説と複数クロック説の妥当性について 議論がなされている。単一クロック説では,入力刺激に 対応する感覚とは無関係に,感覚モダリティから独立し た1つのクロックが脳内にあり,それが時間タイミング の基礎となることを仮定する。従来提案されてきた時間 知 覚 の 多 く の モ デ ル で は(Creelman, 1962; Gibbon, Church, & Meck, 1984; Treisman, 1963; Zakay & Block, 1996),このようなクロックを暗黙の内に仮定している。 Treisman (1963)のモデルでは,一定の間隔でパルスを 発生するペースメーカー,パルスをカウントする蓄積 器,蓄積されたパルス量を貯蔵する貯蔵庫,また現在と 過去に記録した時間情報量の比較を行う比較器などが仮 定されている。Zakay & Block (1996)のモデルでは,そ れらに加えて,注意を制御するゲート,パルス量を制御 するスイッチなどが仮定されている。他方,複数クロッ ク説では,持続時間の長さに応じて複数のクロックを仮 定する場合(例えば,Buhashi & Meck (2005))や感覚モ ダリティの違いに応じて特有のタイミングのメカニズム を仮定する場合(例えば,Ivry & Schlerf (2008))がある。

本研究は,後者の感覚モダリティの違いに着目したク ロック説について検討してみる。クロック説を調べる上 では,従来の時間知覚研究の多くの研究で用いられてき たイントラモダル課題とは別に,クロスモダル課題を用 いることが有効と考えられる。従来のイントラモダル課 題による時間知覚研究では,充実時程錯視(Buffar-di,1971; Thomas & Brown, 1974)や視覚時程と聴覚時程の 違い(Goldstone, Boardman, & Lhamon, 1959)をはじめ, 大きさや複雑性,数の要因など,様々な刺激の特徴の違 いと時間知覚の関係が明らかにされている。Tse et al. (2004)は,視覚と聴覚の両方の感覚モダリティで繰り ル課題として区別することにする。クロスモダル課題を 用いた研究としては,例えば,視覚時程と聴覚時程の違 いを調べる実験で,視覚刺激より聴覚刺激の呈示時間が 長く見えることを示した研究がある(Goldstone & Gold-farb, 1964; Goldstone & Lhamon, 1972)。また,関連する研 究として,持続弁別学習におけるクロスモダル転移の研 究 が あ る(Bratzke, Seifried, & Ulrich, 2012; Grondin & Ulrich, 2010; Lapid, Ulrich, & Rammsayer, 2009)。これらの 研究では,視覚と聴覚のモダリティ間での持続弁別学習 の転移が,認められるという報告(Bratzke, Seifried, & Ulrich, 2012)と認められないという報告(Grondin & Ulrich, 2011; Lapid et al., 2009)がある。Bratzke et al. (2012)の研 究では,聴覚モダリティから視覚モダリティへの転移は 認められたが,その逆の転移は認められず,視覚と聴覚 で時間情報処理における役割の違いが示された。上の van Wassenhove et al. (2008)の研究では,視覚情報が聴 覚刺激の持続時間を修正(modify)するという視覚の優 位性が示されたが,Chen & Yehは聴覚の優位性を示し た。これらの研究で用いたインターモダル課題では,人 がどの感覚モダリティに注意を向けるかを示すことはで きるが,どのモダリティが時間情報処理と強い関係を有 するかを必ずしも示さない可能性がある。そこで,本研 究では,Tse et al. (2004)とほぼ同様のパラダイムを用 いて,イントラモダル課題とクロスモダル課題の両方を 用いて繰り返し効果を調べることにした。クロスモダル 課題では,標準刺激と比較刺激に対して視覚刺激と聴覚 刺激という異なるモダリティの刺激を割り当て,異なる モダリティ間で繰り返し効果が生じるか否かを実験に よって明らかにし,これによりクロック説の妥当性につ いて検討する。 以下に示す実験1のイントラモダル課題では,単一モ ダリティの刺激を用いた実験で繰り返し効果が生じるか 否かについて調べる。この実験では,標準刺激と比較刺 激として形の異なる2つの視覚刺激を用いるが,2つの

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課題間で標準刺激と比較刺激の視覚刺激を入れ替える。 実験2のクロスモダル課題では,視覚と聴覚という2つ の感覚モダリティの刺激を用いて,繰り返し効果が生じ るか否かについて調べる。この実験では,標準刺激と比 較刺激のモダリティを入れ替えた2つの課題の結果を比 較する。繰り返し効果が,新奇性や期待性,あるいは文 脈顕著性,等を主要因とする効果であるとすれば,同一 モダリティ内での刺激の変化よりも,異なるモダリティ 間での変化の方が,その効果は大きいであろう。ここ で,特定の感覚モダリティに依存しない単一のクロック がある場合,モダリティの切り替えは新奇性や期待性に 大きく作用して,ペースメーカーの速度を高めるため, どちらのモダリティに切り替わろうと繰り返し効果が認 められると考えられる(Figure 1a参照)。他方,感覚モ ダリティごとに異なる複数のクロックがあり,それらが 完全に独立していて相互作用もないとすれば,一方のク ロックに影響を及ぼしても,他方のクロックに影響を及 ぼさないので,クロスモダル課題では繰り返し効果は認 められないことが考えられる(Figure 1b参照)。これは 各感覚モダリティに特有なクロックがそれぞれ固有の ペースメーカーやスイッチをもっているとすれば,刺激 の感覚モダリティが切り替わっても,それらが互いに影 響することはないという考えである。ただし,この効果 が新奇性や期待性を要因として生じるのではなく,抑制 機構を基盤として生じる場合には,刺激の繰り返し呈示 が異なるクロックを経由して参照記憶に影響を与えるの で,いずれのクロスモダル課題でも繰り返し効果が認め られることが考えられる。また,クロックの数とは別 に,時間処理に関して視覚と聴覚の感覚モダリティ間で 非対称の相互作用がある場合には,これらと異なる結果 が導かれることも考えられる。それは,視覚から聴覚に 及ぼす影響はあるがその逆の影響がない(視覚優位説を 支持する)場合,そして聴覚から視覚への影響はあるが その逆の影響がない(聴覚優位説を支持する)場合であ る。それらのどちらかが当てはまる場合には,上と異な るクロック説を考える必要があろう。 本研究では,これらのクロック説や視覚と聴覚の時間 処理への関わりについて検討するとともに,時間知覚に おける繰り返し効果の背景について考察する。いずれの 実験でも主観的な持続時間を測定する方法としてマグニ チュード評価法を用いる。 実 験 1 この実験では,単一の感覚モダリティとして視覚刺激 のみを用いて,標準刺激の呈示頻度を操作し,標準刺激 に対する比較刺激の持続時間の長さをマグニチュード評 価法によって測定することによって,呈示頻度の低い刺 激の持続時間が長く見えるという繰り返し効果が見いだ Figure 1. Internal clock models. a: a single clock model. b: a multi-clock model. In the right panel (b), thin lines indicate VA

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されるか否かについて調べる。標準刺激と比較刺激とし て,正方形と円という単純な視覚刺激を用い,それらの 刺激を入れ替えた2つの課題の結果を比較する。 方 法 実験参加者 大学生および大学院生 5名(女性2名, 男性3名,平均25歳)が実験に参加した。矯正視力を含 めて視力は全員正常であった。なお,実験参加者には, 実験の目的を理解したうえで,実験参加の同意書に署名 してもらった。同意書については,実験2に関しても同 様である。 刺激および装置 実験参加者は防音室内でモニターか ら55 cm離れたところに座り,ヘッドフォンを付けて顔 面固定器で顔を固定した状態で実験を行った。刺激は パーソナル・コンピュータ(Apple社製,PowerMac G5) によって制御された17インチ・ディスプレイ中央に呈 示された(Figure 2参照)。刺激として黒線(0.1 cd/m2 で縁取られた 5 cm×5 cmの正方形と黒線で縁取られた 直径 5 cmの円形を用いた。灰色背景の輝度は17 cd/m2 であった。 課題および実験条件 イントラモダル課題として,正 方形を標準刺激,円形を比較刺激とするRC課題と,円 形を標準刺激,正方形を比較刺激とする CR課題の2種 類を設けた。各課題では,標準刺激の呈示頻度の条件と して統制条件と低頻度(オドボール)条件の2種類を設 けた。統制条件では,標準刺激を1回呈示した後,比較 刺激を1回呈示した。低頻度条件では,標準刺激を4回 から8回(平均6回)連続して呈示した後,比較刺激を 1回呈示した。標準刺激の呈示時間は常に1000 msで固 定されていたが,比較刺激の呈示時間は,呈示時間条件 として,500, 600, 700, 800, 900, 1000, 1100 msの7種類を 設けた。 手続き いずれの実験参加者もRC課題をすべて終え た後に CR課題を行った。各課題の低頻度条件のセッ ションでは,スペース・キーを押すと試行が開始され, 標準刺激がランダムに4回から8回連続して呈示された。 その後,比較刺激が上の7種類のいずれかの呈示時間で 1回呈示された。刺激間時間(ISI)は950から1150 msの 間でランダムであった。参加者の課題は,標準刺激と比 べて比較刺激の呈示時間がどの程度の長さであるかをマ グニチュード評価法によって評価することであった。参 加者は,標準刺激の呈示時間をモジュラス100として, 比較刺激の持続時間の長さを数的に判断し,その数を キーボードのテン・キーで入力することが求められた。 誤入力の場合はスペース・キーを一度押した後,正しい Figure 2. Temporal flows. a: RC task and b: CR task in Experiment 1, c: VA task and d: AV task in Experiment 2. In control

condition, one comparison stimulus was presented after one standard stimulus. In oddball condition, one comparison stim-ulus was presented after several standard stimuli.

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数値を再入力した。最後にエンター・キーを押すと入力 した数値が記録され,その試行が終了した。その1秒後 に再び標準刺激が呈示されて,次の試行に入った。統制 条件の手続きは,標準刺激と比較刺激が交互に提示され たことが低頻度条件と異なるが,その他は低頻度条件と 同じであった。各頻度条件の1つのセッションでは,7 種類の呈示時間条件と5回の繰り返しで合計35回の反応 が連続して求められた。各参加者は各頻度条件のセッ ションを適度な休憩を入れて4回繰り返した。統制条件 と低頻度条件のセッションは交互に行われ,どの頻度条 件を最初に行うかは参加者によってカウンターバランス を取った。 結 果 実験参加者全員のデータに基づいて,各呈示時間条件 における100個の評価値を平均して平均評価値を求め, その値をモジュラス100で割り,比較刺激の各呈示時間 に対する主観的時間(=平均評価値/ 100×標準刺激の 呈示時間)を算出した。Figure 3aとFigure 3bはそれぞれ RC課題とCR課題における各条件における主観的時間を 両軸とも対数表記でプロットしたものである。両図にお けるパラメータは頻度条件を示している。実線と破線 は,頻度条件別にプロットした値を一次関数でフィット させた結果である。いずれの図においても低頻度条件に おける主観的時間は,統制条件のそれらに比べて大きく なっている。また,呈示時間が 1秒より小さい条件で は,主観的時間は実際時間よりも大きくなる傾向が認め られる。 各参加者の各条件における平均評価値を対数変換した 値に基づいて,課題,頻度そして呈示時間を要因とする 3要因の分散分析を行ったところ,頻度と呈示時間の主 効 果 は 有 意 で あ っ た が(順 に F(1, 4)=12.17, p<.05, F(6, 24)=47.86, p<.01), 課 題 の 主 効 果 は 有 意 で は な かった(F(1, 4)=1.04)。また,交互作用はいずれも有 意でなかった(課題と頻度 (F(1, 4)=0.02),課題と時間 (F(6, 24)=0.14),頻度と時間(F(6, 24)=1.23),課題と 頻度と時間(F(6, 24)=0.28))。以上は,課題とは無関 係に,頻度条件が主観的時間に影響を及ぼしていたこと を示している。 考 察 実験結果は,標準刺激としての正方形(あるいは円 形)が同じ呈示時間で何度か繰り返し呈示された後に比 較刺激としての円形(あるいは正方形)が呈示されると, その呈示時間が,交互に呈示された場合に比べて,長く 見えることを示した。標準刺激を繰り返し呈示すること によって比較刺激が長く見えるという結果は先行研究と 同様の結果である。Tse et al. (2004)は,本研究と同様 の正方形と円形のほかに,刺激の色や大きさ,運動など の属性を変えて,様々な繰り返し効果を示している。彼 らが用いた方法は主として単純な比較法であったが,彼 らはマグニチュード評価法や再生法による実験も行って いる。実験1の結果は,繰り返し効果が方法上の違いに もかかわらず,見いだされる効果であることを改めて示 したといえる。 この実験では,単純な標準刺激を繰り返し呈示した 後,それと形がわずかに異なる刺激を呈示しただけで も,その持続時間が長く評価されることを示した。ま た,標準刺激と比較刺激を入れ替えた場合でも全く同じ 結果が得られた。これらは,繰り返し効果が,刺激の特 徴の違いに因るというより,標準刺激の呈示頻度の違い に依存した効果であることを示唆する。すなわち低頻度 Figure 3. The results of a: RC task and b: CR task in Experiment 1. The subjective time was plotted logarithmically as a

function of the presentation time. The parameter indicates frequency condition. The error bar shows±standard error. The dotted line indicates the case which subjective times equal to presentation times.

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の比較刺激が長く見えるのは,注意や期待,文脈的特徴 の影響が関与したのではなく,判断の基準となる標準刺 激を繰り返し見ることによって,その持続時間が短く知 覚され,相対的に低頻度の比較刺激が長く見えたと考え ることもできる。この繰り返し効果の背景の詳細につい ては,一般的考察において取り上げることにする。 次に,視覚と聴覚という異なる感覚モダリティの刺激 を組み合わせたクロスモダル課題を用いて,繰り返し効 果が特定の感覚モダリティのメカニズムに依存するか否 かについて検討してみる。 実 験 2 この実験では視覚刺激を標準刺激,聴覚刺激を比較刺 激とする課題と聴覚刺激を標準刺激,視覚刺激を比較刺 激とする課題を設けて繰り返し効果を比較する。各課題 に対応して視覚刺激の呈示頻度による聴覚刺激の時間評 価に及ぼす影響と聴覚刺激の呈示頻度による視覚刺激の 時間評価に及ぼす影響について調べる。 方 法 実験参加者 大学生および大学院生10名(女性6名, 男性4名,平均23.3歳)が実験に参加した。参加者のう ち2名は実験1に参加している。視力(矯正視力を含む) と聴力は全員正常であった。 刺激および装置 装置は実験1とほぼ同様である。視 覚刺激として,実験1と同様の黒線で描かれた直径5 cm の円形を用いた。聴覚刺激としては,音声編集ソフト (Audacity 1.2.5)によって周波数600 Hzの純音を作成し, それを約70 dBの音圧レベルでヘッドホンを通じて両耳 に呈示した。音圧レベルはヘッドホンの耳当て部分に騒 音計のセンサーを接触させて調整した。 課題および実験条件 クロスモダル課題として,視覚 刺激を標準刺激,聴覚刺激を比較刺激とするVA課題, また聴覚刺激を標準刺激,視覚刺激を比較刺激とする AV 課題の 2 種類を設けた。いずれの課題においても, 実験1と同様,頻度条件として低頻度条件と統制条件の 2 種 類, ま た 比 較 刺 激 の 呈 示 時 間 条 件 と し て 500∼ 1100 msの7種類を設けた。 手続き 手続きも実験1とほぼ同様である。VA課題 では,標準刺激として円形を1000 ms呈示し,比較刺激 として600 Hzの純音を呈示した。AV課題では,標準刺 激として600 Hzの純音を1000 ms呈示し,比較刺激とし て円形を呈示した。いずれの課題でも純音を呈示する場 合には,モニターには何も呈示されなかった。実験参加 者は,AV課題の低頻度条件では,モニターに出現する 比較刺激を見落とさぬよう,常に画面中央を凝視するよ う求められた。各頻度条件における1つのセッションで は,7種類の呈示時間条件と5回の繰り返しで合計35回 の反応が連続して求められた。各参加者は各頻度条件の セッションを適度な休憩を入れて2回繰り返した。統制 条件と低頻度条件のセッションは交互に行われ,どの頻 度条件を最初に行うかは実験参加者によってカウンター バランスを取った。また各参加者は,VA課題とAV課題 のうち,一方の課題を終了した後で,他方の課題を行っ た。この順番についても参加者によってカウンターバラ ンスを取った。 結 果 実験参加者全員のデータに基づいて各条件における主 観的時間を算出した。Figure 4aとFigure 4bは,それぞれ VA課題とAV課題における主観的時間を,Figure 3と同 様の形式でプロットしたものである。実験1の結果と異 Figure 4. The results of a: VA task and b: AV task in Experiment 2. The subjective time was plotted logarithmically as a

function of the presentation time. The parameter indicates frequency condition. The error bar shows±standard error. The dotted line indicates the case which subjective times equal to presentation times.

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なり,Figure 4aのVA課題では,低頻度条件と統制条件 の主観的時間の差が小さい。実験1と同様,各参加者の 各条件における平均評価値を対数変換した値に基づい て,課題,頻度,そして呈示時間を要因とする3要因の 分散分析を行ったところ,いずれの主効果も有意であり (順にF(1, 9)=12.23, p<.01, F(1, 9)=7.89, p<.05, F(6, 24)=48.54, p<.01),課題と時間の交互作用も有意 であった(F(6, 54)=2.62, p<.05)。課題と頻度の交互作 用と課題と頻度と時間の交互作用は有意傾向であった (順にF(1, 9)=3.48, F(6, 54)=2.14, ともにp<.10)。頻度 と時間の交互作用は有意ではなかった(F(6, 54)=0.69)。 課題と頻度の交互作用が有意傾向であったことから,課 題別に頻度と呈示時間を要因とする2要因の分散分析を 行ったところ,VA課題では,呈示時間の主効果のみが 有意であり(F(6, 54)=36.71, p<.01),頻度の主効果お よび頻度と呈示時間の交互作用は有意ではなかった(順 にF(1, 9)=0.57, F(6, 54)=1.87)。AV 課題では,頻度と 呈示時間の主効果がいずれも有意であり(順にF(1, 9)= 10.63, F(6, 54)=49.55,ともにp<.01),頻度と呈示時間 の交互作用は有意でなかった(F(6, 54)=0.52)。以上は, VA課題では頻度条件の影響が認められなかったのに対 して,AV課題では頻度条件の影響が認められたことを 示している。 考 察 Figure 4aが示すように,VA課題では,低頻度条件と 統制条件の両方とも主観的時間を示すマークが物理的時 間と一致する点線部よりも上の方に位置しており,主観 的時間は比較的大きな値を示している。それに対して Figure 4bが示すAV課題の結果では,両条件とも主観的 時間はそれほど大きな値を示していない。この違いは, 比較刺激として聴覚刺激を用いる課題と視覚刺激を用い る課題の違いに基づいており,従来の研究からよく知ら れ て い る よ う に(例 え ば,Goldstone & Goldfarb, 1964; Goldstone & Lhamon, 1972),視覚刺激よりも聴覚刺激の 方が長く感じられることを反映していると考えられる。 頻度条件の違いに注目すると,実験 1の結果と異な り,VA課題では,低頻度条件と統制条件の主観的時間 の間に違いは見いだされなかった。他方,AV課題では, 実験1と同様,低頻度条件の主観的時間は統制条件に比 べて有意に長かったといえる。したがって繰り返し効果 はAV課題においてのみ認められたといえる。 総 合 考 察 本研究では時間知覚における繰り返し効果に関してイ ントラモダル課題とクロスモダル課題によって,時間情 報処理過程に関わる共有のクロックの存在の有無を実験 的に検討した。イントラモダル課題による実験1では, 単一の感覚モダリティによる刺激を用いて繰り返し効果 が生じるか否かを調べたところ,低頻度条件の比較刺激 の主観的時間は統制条件の主観的時間に比べて大きく評 価されるという繰り返し効果が確認された。クロスモダ ル課題を用いた実験2では,異なるモダリティの刺激を 組み合わせて繰り返し効果の有無を調べたところ,標準 刺激として視覚刺激,比較刺激として聴覚刺激を用いた 条件では繰り返し効果は認められなかったが,標準刺激 として聴覚刺激,比較刺激として視覚刺激を用いた条件 では繰り返し効果が認められた。これらの結果に基づい て,繰り返し効果とクロック説について考察する。 繰り返し効果について 実験1では,視覚モダリティの刺激を用いたイントラ モダル課題によって,繰り返し効果が見いだされた。 Tse et al. (2004)は,この効果を期待の効果と見なし, それを注意とその知覚情報処理に及ぼす影響に帰した。 すなわち,呈示頻度の低い刺激と高い刺激では注意分配 が異なり,呈示頻度の低い刺激(すなわちオドボール) が出現するとそれに多くの注意が向けられ,単位時間当 たりの知覚情報量が増大し,持続時間が大きくなると考 えた。この考え方は,時間知覚の一般的なモデル,例え ば,Zakay & Block (1996)のモデルとは正反対の結果を 予測する。このモデルでは,注意の時間判断に及ぼす役 割は覚醒やペースメーカーの役割と正反対の結果をもた らすことを仮定している。彼らのモデルに従えば,時間 に対して注意が増すと時間は長く評価されるが,滅多に 見ない低頻度の刺激を見る場合には,時間ではなく刺激 そのものに注意が向けられるので,時間が短く評価され ることを予測する。Zakay & Blockのモデルによって本研 究で見いだされた繰り返し効果を説明するとすれば,注 意の方向づけではなく,覚醒度やペースメーカー速度の 変化を考慮し,低頻度条件では比較刺激が呈示されると 参加者の覚醒が高められ,ペースメーカーの速度が増加 してパルス量が増えるので,時間が長く評価されると考 えるべきであろう。

van Wassenhove et al. (2008)は,繰り返し効果の主た る要因は注意や期待性ではないと主張した。彼女らは, 繰り返し回数を3回に固定して期待性を排除した場合で も繰り返し結果が認められたので,この効果が文脈顕著 性に基づいて生じると考えた。しかし,本研究の実験1 で用いた刺激は,線で描いた正方形と円形という極めて 単純な視覚刺激であった。これらは形がわずかに異なる だけであり,これらを入れ替えただけでも全く同じ繰り

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ら,この効果には主要因として予測性が関与していると 主張した。彼女らはまたこの効果の背後に抑制効果と呼 ばれる神経活動が作用していることを示唆した。彼女ら が示唆した抑制効果は,本研究の実験で見いだされた繰 り返し効果を説明するうえでも重要な概念であると思わ れる。 新奇性や期待性,文脈顕著性を要因として繰り返し効 果が生じると仮定した場合,その背後の機制としては, 上述した内的時計のペースメーカーの速度の増加が考え られる。すなわち比較刺激の出現が新奇であったり,期 待を裏切る刺激であったり,文脈的な変化が生じること によって覚醒が高まり,一定時間内に蓄積されるパルス 量は増加し,比較刺激の時間は相対的に長く知覚される ということである。しかし,実験1では同じ感覚モダリ ティ内でわずかに特徴の異なる刺激を組み合わせただけ であるにもかかわらず繰り返し効果が認められたが,モ ダリティを切り替えた実験2のVA課題ではこの効果が 認められなかった。モダリティの切り替えは形の切り替 えよりも新奇性や期待性,文脈顕著性に影響すると考え られるので,これらの要因では繰り返し効果が説明でき ないと考えられる。 冒頭で述べたように,繰り返し効果は,その繰り返し が1 回でも生じるといわれている(Kanai & Watanabe, 2006; Matthews, 2011; Pariyadath & Eagleman, 2007)。この 結果は,古くから知られている時間順位誤差と関係があ るかもしれない。一般には,2つの短い時間の刺激を比 較する場合,最初よりも2番目の刺激の方が短く判断さ れると考えられている(Allan, 1979; Tse et al., 2004)。時 間順位誤差との関係を考慮すると,本研究の実験で測定 された主観的時間の長さが,2つの刺激の相対的な関係 によって導かれたことは明らかである。すなわち,この 繰り返し効果は,低頻度刺激が長く見える効果であると も考えられるが,判断基準となる標準刺激を単純に繰り 返し受容することによって,その持続時間が短く見える の区別に関係なく,背後の機制として反復性や抑制機構 を重視する立場を示した。筆者らは,彼らと同様,繰り 返し効果には反復性や抑制機構が関与していると考えて いる。ただし,主観的時間と神経興奮の抑制の関係につ いてはまだ不明なことも多いため,今後,様々な観点か ら検討する必要があると思われる。 共有クロックの存在の有無について 本研究では,クロスモダル課題を用いて感覚モダリ ティの違いに着目したクロック説の妥当性について検討 した。新奇性や期待性によってクロックのペースメー カーの速度が変化することを仮定した場合,単一クロッ ク説では,いずれのクロスモダル課題でも繰り返し効果 は認められるが,複数クロック説ではいずれも認められ ないことを予測した。しかし,抑制機構を仮定した複数 クロック説では,参照記憶に保持される時間情報が縮小 し,いずれのクロスモダル課題でも繰り返し効果が見い だされることを予測した。 本研究の実験2の2つの課題では異なる結果が得られ たので,上に示したクロック説はいずれも支持されな かったといえる。これらの結果は,視覚と聴覚の時間情 報処理に関する役割が異なり,聴覚から視覚への影響は あるがその逆の影響がなかったことを示しており,これ は冒頭に示した視覚より聴覚の方が時間情報処理メカニ ズムに関して優位に働くという聴覚優位説を支持するも のである。van Wassenhove et al. (2008)は視覚優位説を 支持する結果を示し,Chen & Yeh (2009)は聴覚優位説 を支持する結果を示した。したがって,本研究では, Chen & Yehと同じ結論が導かれたといえる。しかしなが ら,本研究で用いた実験方法は彼らが用いた方法と異な る。また,彼らは,実験結果をペースメーカー速度の増 加によって説明したが,抑制機構については触れていな い。本研究の実験結果は,視覚刺激に比べて聴覚刺激を 呈示する方がクロックや参照記憶に及ぼす影響が大きい こと,また視覚よりも聴覚の方が時間情報との結びつき

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が強いことを示唆している。ただし,抑制機構を仮定し ない場合には,これと異なる考え方が成り立つ可能性が あることも指摘しておく必要があろう。既述したよう に,筆者らは形の切り替えよりモダリティの切り替えの 方が新奇性や期待性,文脈顕著性に及ぼす影響が大きい と考えたが,これを裏づける証拠は必ずしもない。実験 2のVA課題では,円から正方形に切り替わることに比 べて,視覚刺激から聴覚刺激に切り替わる方が,新奇性 や期待性に作用する影響は小さく,クロックに及ぼす影 響が小さかったので,繰り返し効果が見いだされなかっ たことも考えられる。これが当てはまる場合,聴覚優位 説は支持されないことになる。 ここで単一クロック説に基づいて考察すると(Figure 1a参照),筆者らの立場は,抑制機構を仮定し,実験2 で見いだされた視覚と聴覚の非対称性の結果は,視覚系 からの時間情報が,聴覚情報処理システムを経由して利 用されるという聴覚優位説を支持するものである。この ような聴覚優位説は,最近の心理学や神経生理学の知見 とも合致している(Allman, Teki, Griffiths, & Meck, 2014; Bueti, 2011; Kanai, Lloyd, Bueti, & Walsh, 2011)。Kanai et al. (2011)のTMSを用いた実験では,視覚皮質を麻痺させ ることは視覚刺激に対する時間評価に影響を与えるだけ であったが,他方,聴覚皮質を麻痺させることは聴覚刺 激のみならず視覚刺激に対する時間評価にも影響を及ぼ すことが示された。この結果より,彼らは時間識別課題 において視覚入力が聴覚的表象に符号化されるという見 解を示した。本研究の結果に関しても,抑制機構や参照 記憶に及ぼす影響を仮定し,視覚刺激からの時間情報は クロックに直接的に入力されず,聴覚情報処理システム を介していると仮定すると,実験2の非対称の結果がう まく説明できるといえよう。ただし,実験2の非対称の 結果は,上述したように抑制機構や参照記憶に及ぼす影 響を仮定せず,クロックに及ぼす影響を仮定するだけで も説明が可能である。現時点では,本研究で見出された 繰り返し効果が,ペースメーカー速度の増加によっても たらされたのか,抑制機構による参照記憶に及ぼす影響 によって生じたのかは明らかではない。両方がともに関 与したことも考えられる。 複数クロック説に基づいて考察すると(Figure 1b参 照),2つのクロックが完全に独立している場合,標準刺 激によって一方のクロックのペースメーカー速度に変化 があったとしても,他方のクロックに影響が及ばないと 考えられるので,刺激の繰り返しが判断に影響すること はないと仮定した。しかしながら,実験2のAV課題で は,聴覚刺激を繰り返し呈示することによって効果が認 められた。この結果は,少なくとも AV課題では抑制機 構による参照記憶に及ぼす影響があったことを意味して いる。すなわち,複数クロック説によって非対称の結果 を説明するうえでは,聴覚刺激による参照記憶に及ぼす 抑制的な影響を仮定することが不可欠であるといえよ う。また,この非対称の結果を説明するためには,視覚 クロックから参照記憶への直接的な入力がないことなど を仮定する必要がある。ただし,本研究の実験結果から は,必ずしも複数のクロックを仮定しなければならない という証拠は見いだせない。 最後に,本研究の実験に関わる2つの疑問について触 れておきたい。その1つは,本研究の実験では,低頻度 条件で標準刺激を複数回提示した後に比較刺激を提示し たが,その場合,実験参加者は比較刺激を一体どの時点 の標準刺激と比較したのかということである。最後に呈 示した標準刺激の主観的な持続時間か,それとも呈示さ れた標準刺激の主観的な持続時間の平均なのかというこ とである。実験参加者は,あらかじめ標準刺激の持続時 間が同じ長さであることを知っていたため,後者の方で あろう。しかし,もしも参加者に比較刺激の時間を最後 に呈示した標準刺激の持続時間とだけ比較するように求 めた場合には,本研究の実験とは違った結果が得られた かもしれない。もう1つの疑問は,本研究の実験2で用 いた視覚刺激と聴覚刺激が相互に比較できる適切な刺激 であったかどうかということである。異なる強さや質の 刺激を組み合わせた場合には異なる結果が得られる可能 性があるので,検討する必要があろう。ただし,Ortega, Guzman-Martinez, Grabowecky, & Suzuki (2014)の持続弁 別の研究では,聴覚刺激の信号が弱い場合でも聴覚優位 説を支持する結果が得られているので,刺激強度の違い は大きな問題ではないかもしれない。 筆者らは,本研究で見いだされた繰り返し効果を抑制 的な効果とみなすのが妥当であると考えている。しか し,本研究ではその兆候が示されたとはいえ,それを明 確に支持する結果が得られたわけではない。この説明の 妥当性については今後,様々な観点から調べてみる必要 がある。エレベータが来るのを期待して待っている時に 時間が長く感じられるのは,明らかに期待性や予測性な ど高次の認知的要因が関与しているからであろう。この ような要因が,どの程度の長さの時間から関与してくる のか,それを調べることも今後の課題の1つである。ま た,クロック説についても,もっと様々な角度から検討 してみる必要があろう。

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参照

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