理学 療 法 学 第 18巻 第5号 487
〜
495頁 (1991年 )報 告
利
用
者
か らみ た
大 東 市 地 域
リ
ハビ
リ
テ
ー
シ
ョ ン利用者
ア ン ケー
ト調
査
の分析
*山 本
和
儀
* * 要旨 1985年 大 阪 府 大 東 市で は福 祉 事 務 所に理 学 療 法 課 を 設 置 し 0歳 か ら高 齢 者に至るまでの全ラ イフ ス テー
ジに応 じ た地 域1」ハ ビリテー
シ ョ ンの計 画と実 施 行 政・
民 間 関係 機 関との連 携と協 働 市 民 啓 発と参 加により地 域リハ ビ リテー
シ ョ ンを推 進して い る。 今回 老 人 保健 法に基づく40 歳以上の本市リハ ビ リ テー
ショ ン サー
ビス 利用者とそ の介護者に対する ア ンケー
ト調 査 を実 施 し,
事 業の評 価 と今 後の課 題にっ い て検 討 した。 利 用者は男性54.
7% 女性 45.
3% で男性で は60歳 代 女 性で は 70 歳代が多かっ た。 家族構成は核 家族 の特 徴が表れて いる。
ADL
は支 障 な くで きるものか ら全介 助の必 要 な者 まで様々な人が利 用 し,
外 出 が困難な人が多い。 介護者は配偶者が多く, 高齢であり, 女性が多くを占めて い る。 ま た, 精神 的,.
身 体的に負担を感 じてい る者が多く,
健康 状態 も6
割強の 者が良く ない。 利用者の評価が高かっ たの は,
気 分転換,
仲 間づく り,
生活の充実であ り,
介護 者の評 価 も気分転 換 や 仲 間づ く りが出来ること が高 かっ た。
今 後 望む もの と して,
送迎 と訓 練 場 所の増 設と充 実で あっ た。
今 後の課 題と して, ADL
の改善以 ヒにQOL
の充実にあ り,
双 方を視 野に納め たシス テム の充 実 を 図 り,
介 護ボラ ンティ アグルー
プ 「606会 」との協 働を な お一
層 強める必 要が ある。 また,
セ ル フヘ ル プ グルー
プ な ど当事 者 組 織の形 成と主体 化が望ま れる。
地 域 福 祉として の リハ ビリテー
シ ョ ンサー
ビス は,
介 護 者 を包 含 しっ っ 展 開し なけれ ば ならない し,
今後 益々広 く関係 機 関と連 携 しな がら草の根 的に 地 域 リハ ビ リテー
ショ ンの推 進に取り組ん で行 きた い。
キー
ワー
ド 地 域 リハ ビリテー
シ ョ ン,
機 能 訓 練 事 業,
ア ンケー
ト調 査,
QOL
の充 実,
介 護 負 担の軽 減,
地 域 福 祉 は じ め に 大東市理 学療法課は,
1985 年 〔昭和60
年 7 月)に福 祉事務 所内に設置さ れ, 理学療 法士4 名, 作 業療法士 2 名,
ケー
ス ワー
カー
兼 事 務 1名で構 成されて いる。
近 年,
人口の高 齢 化に伴い,
要 リハ ビリ テー
シ ョ ン 高齢 者 数は 増 加の一
途 をた どっ て い る。
木市 (人口 12万 7 千 人 ) ‡Community−
bas.
ed rehabilitatlen in Daito City from a user
’
s point of view*
$
大 東市 福 祉 事務 所理学 療 法 課
Kazuyoshi Yamamoto
,
RPT :Physiotherapy Section,
Daito City
’
s Welfare OMce,
Daite Clty Othce(受付日 1990年 王O月29日ノ受理日 1990年12月17H ) に お いて も
,
高 齢 化 率が昭 和60
年で は6,
5
% (平 成2
年 4月で 7.
4% ) であり,
15年 後に は 14% と高 齢 社 会の 急 速な到 来が予 想される。
本 課で は大 東 市の 0歳から 高 齢 者に至るまで の全ライフ ステー
ジ に対 応 する地 域リ ハ ビ リ テー
シ ョ ンの計 画と実 施,
行 政 内 部および民 間 関 係機関 (病 院 特養)との連 携の強化 地域リハ ビ リ テー
シ ョ ンに対 する市 民へ の啓 発 (理解と協 力,
参 加 を得て い くこと)と参 加を中心に して,一
質し た継 続 性 の ある地域 リハ ビ リ テー
シ ョ ンを進めて い る (図D
。 リハ ビリテー
シ ョ ン対 象 者へ の地 域 ケアの あ り方 は,
一
人一
人の心身 機 能の障 害に加えて,
家 族 や 周 囲の援 助 機 能や生活 環 境 条 件の如 何に よっ て大き く 左右される。488 理学 療法学 第 18巻 第 5号
大東市ケア シ ステム
利 用 者か らみ た大 東 市 地 域 リハ ビ リテ
ー
シ ョ ン 489 そのため,
個 別 的に多様な保健・
医療・
福 祉サー
ビ スを 提 供できるよ う考えなけ ればな らない。 地域に お け る リ ハ ビワテー
シ ョ ン と は, 地 域で生活して い る障害児 ・者 や老 人が障害を持ち なが らも,
ごく普通の市民と して の 生活を営ん でい くための ものであ る。 そ の た めには,
公 的サー
ビス と して 直接か か わ りを もつ 我々だけでな く住 民全体の 取り組み と して力を合わ せ人 間ら しく生 活で き る環境を 整えて い くこと が必要で あ る。
障害児・
者や老 人の生活を介護 者が支 え,
その介 護 者 を 保 健・
医 療・
福 祉 機 関等の専 門 家や地 域 住 民,
ボ ランテ ィ アが支え, そ して, そ れ ぞ れ が障 害 を もつ 人々を支 援 す る一
員 と して 地 域 活動を しな が ら連 携し,
総 合 的に援 助で きる取り組 み を して い くこ と が大 切で ある。
昭 和 58年 2月 施 行の 老 人保健法で は,
以一
ヒのような活 動 を 目標に各 市 町村が 主 体と なっ て機 能 訓 練 事 業を実 施 する ことが法 制 化さ れ た が同法の他 事 業と比べ根づいている地 域は少 な く,
ま た方 法論 的に み て も ト分 確 立されたもの と はいえ ない。
今 回,
本 市の地 域リハ ビ リテー
シ ョ ン活 動の一
部で あ る老 健法に もと つ く施設 (総合 福祉セ ンター,
2 ヶ所の 老 人 憩の家)での リハ ビ 1丿テー
シ ョ ンサー
ビ ス の利 用 者 および その介護 者に実施し たア ンケー
ト調 査を も とに事 業の評 価 を試み,
今 後の課 題につ い て検 討した。 大東 fk’
にお ける地 域 リハ ビリ テー
シ ョ ン シ ス テムの強化を図る と ともに高 齢 化 社 会 対 策と して,
今 後最 も期待 さ れ る 活 動の1
っ である地域リハ ビリテー
シ ョ ン シス テム の普及 に向けて の一
助と し たい と考え,
以 下 に報 告 す る。 表 1 ア ンケー
ト非 対 象者 非対象理 由 人 数 転 出 (他 府 県 市へ の) 死 亡 不明 (連絡が と れ ない) 長 期 病 院 入 院中 施 設 入 所 中 職場復帰者 実庭内復 帰 (治癒を含む) 登 録のみで通所経験のない人74942316
1 十 き ほ 46 表2
利用者の年 齢構成 単位 % ( )内は人数 50 歳 未 満 50 歳 代 60 歳 代 70 歳 代 80 歳 代 十 畿’
口5.
1 男 性 (6
)5.
1 女性 (6
)12.
0 23.
911.
1 2.
6
54.
7 (14) (28
) (13
) (3
) (64
) 12.
0 9,
4 15,
4 3,
4 45,
3 (14
) (11
) (18
) (4
) (53
) IO.
3 23.
9 33.
3 26.
5 6.
0 全 体 (12) (28
) (39
) (31
) (7
) 100.
0 (117) 方 去 表3
利 用 者の疾 患 別 人 数 表 疾 患 名 人 数 % 調査対象 本 市 在 住の リハ ビ リテー
シ ョ ンサー
ビ スを 利 用 したこ とのある人で,
利 用 開 始 時40歳以 ヒの 177名,
及び そ の家族であ る。 こ の中には以 前 利 用 して いた が,
現 在は CVA パー
キン ソ ン病 変形性 関 節 症 RA 脳 性 麻 痺 腰 痛 肩関節周 囲炎 その他 40843 弖40
β
り 2 154.717
.
16.
83
,
42
.
63,
43.
48.
5 計 117 100.
0
表4,
図2 利 用 者の家 族の人 数と その構成 (本人を含む) 同 居 人 数 % 実 数 その他(51%) 上 人 人 人 居 人 以 人 236 独4
人5
7
26,
519
,
714.
512
.
812
,
07
,
76.
8
137
区 U49832111
独 居 〔12.
9%) 対 象 者 夫婦世 帯 (20.
5%) 合 計 100,
0
子供 夫婦と の同居 (30,
8%) 117 婚の子 供 との同居 (30.
8%)490 理 学 療 法 学 第 18巻 第5号 表
5
利 用 前の外 出等の状 態 表6
利用の きっ かけ 人 数 % 人数 %一
人で外 出で きた 入院して い た 介 助に よっ て時々外出して い た 通 院 等 最 低 限の外 出し かで き な かっ た 外出で きなかっ た が,
身の回りは 自分で して い た 布 団の中の生 活 不 明 222 3222097
じ D 27.
418.
818
.
817.
17,
76.
04,
3 十’
三 口 117 100.
0 知 人の紹介 公的機関の紹 介 保 健 婦の紹 介 家 族の勧め 主 治 医の紹介 通 所 者の紹 介 市報で知っ た ヘ ル パー
の紹 介 その他426209545
り山
2111 120.518
,
813
。
710.
38,
57.
74.
33.
4 王2.
8
計 117 100.
G 利用 を中断してい る人 も含ま れ る。
調 査期 間 平成元年6
月か ら7 月で あ る。 調査方法 ア ンケー
トは質問 形式に よ る自記式で,
原 則と しては 施 設 利 用 時に利 用 者 と家 族 (介 護 者 )に対 して行っ た。 利 用 中 断 者につ い て は,
調査員が訪 問し調査 した。 全対 象 者 177名の うち社 会 復 帰,
転出,
死亡, 長期病院入院 中,
施 設 入 所 中な ど を除いた131名に実施 し た。 中断の 理 由は表 1の通 りで ある (表1
)。 回収 人数は117
名 (89.
3
%)で あっ た。 介護 者用は95名 回 収できた (独居 者,
介 助の必 要な しの人は除 外して い る)。
結 果 表7 介 護 者の続 柄 関 係 % 実 数 妻 夫 嫁 娘 息 子 母 その他 父 姉 孫 その他 解答な し45.
312
,
612
.
69
.
55.
33
.
27
.
32.
12,
12.
11.
04,
2322953722214
荏11
1
)利用者につ い て 利 用 者の性 別は,
男 性 54.
7%,
女 性 45.
3
% であ る。 年 齢 別は,
男性で は 60 歳代が最も多く,
以下 50 歳代,
70
歳 代で あっ た。 女性で は70 歳代が多かっ た。 全体で は60 歳代が最も多く,
以 下70
歳代,50
歳代であっ た。 疾 患 別で は脳血 管疾患が54.
7
% で最も多く, 以 ドパー
キンソ ン病,
変 形 性 股 関 節症であっ た (表2 ,
表3
)。 合 計100.
0
95
その 他 18人 (19.
70歳代 10人 (10.
5% 40歳 代 12人(12.
6% 家族構成は,
同居者数 2人と答え た者が最も多く, 次 に3
人で あっ た。 同 居 者の内 訳は,
既 婚の子 (子 ど も夫 婦 ) との同居,
未 婚の 子との同 居が最 も多か った。 夫 婦 世帯の み が 2割 を 占めて いる。
また独 居 者が 1割 以 上 を 占め てい る (図 2, 表4
)。 通所を開始す る まで の状態は,
ひ と りで外 出で きて い31.
6%) 25人 (26.
3%) 図3
主な介 護者の年 齢利 用者か らみ た大 東 市 地 域 リハ ビリテ
ー
シ ョ ン 寝 返 り 臥位か ら 坐位 床か らの 立ち上 が り 歩 行 階段 昇 降 食 事 衣服の着 脱 靴の ぬぎはぎ 整 容 動 作 トイレ(小 イ更) トイレ(大 便 ) 入 浴 0 20 40 60 80 lOO燃
熱
靴
靴隅
:
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1
鬘:鞭 糠黯蠶蠶翌
支 障 な くできる驪
少 し介 助鬮■
■
不可
時 間 腰 す る
嬲
全 働口
未解 答 491 図4 通 所 者の 日常生 活 動 作 表 8 介護者の健康 状態 表 9 介護 者の負 担 感 人 数 % よ い あ まりよくない わ るい717
00尸
O38.953
.
77
.
4
大 きい 小さ ・纜 齢
も 癬 答 身体的負担 計 95 100.
0 精 神 的 負 担20.
0
34.7
(19) (33
) 31.
6 30.
5 (30
) (29
)37.9
(36
)30.5
(29
) 7.
4
(7
)7.4
(7) あ ま り よ く ない,
わ るい と答え た人 (58
名 ) 人 数 % 腰 痛 疲労 感,身 体に不 調感 肩こ り 頭 痛 高 血 圧 心臓 病 特にな し その他 197551192
36.2
正5.512
.
18
.
68.
61
.
71
.
715
.
5 未解 答1
1.7
複 数 解答あり た人は3
割弱で あっ た (表5
)。 通 所 する こと と なっ た きっ か けにっ い て は,
知 人の紹 介に よる ものが, 2
割を占めて いる。 福祉事務 所,
保健 所 等 公 的 機 関の紹 介が3
割を占めてい る (表 6 )。 2) 介 護 者につ い て 介護者の続柄で は,
妻が最 も多 く,
以 下 夫,
嫁で あっ た。 介護者の年 齢で は, 50 歳代が最 も多 く,
以 ド60歳 代,40
歳代であっ た (表 7,
図 3)。
健康状態 につ いて聞いて み る と,
あま り良 くない,
悪 い と答え た者が 6割以上を占め,
症 状とし て は,
腰 痛が 最 も多く4
割弱を占めてい る (表8
)。 介 護 状況は 必要な時だ け介護 す る と答えた者が 4割を 占め,
最 も多かっ た。 ほ と ん ど1
日中介護が必 要 な者は 約 1.
5割で あっ た。 個々の 介 護 場 面で の介助 程度を聞い て み る と,
全 面介助の項目で は入 浴動作が最も多く,
以 下 立 ち 上 が り,
階 段 昇 降で あっ
た。 逆に介 助程度が低く 自立 し易い もの は,
整 容 動 作,
食 事 動 作で あっ た (図 4 )。 介 護 者の負 担 感を聞い て み ると,
身 体 的 負 担につ い て492 理 学 療 法 学 第
18
巻第5
号 0 20 40 身体機能の維 持・
改善 気 分 転 換 仲 間づ く り 身の回 り 動 作の改善 生 活の充 実 介 護者の 身体 的 負 担の軽減 介 護者の精 神的負 担の軽 減 そ の 他睡翻
利 用 者の期待 図 5 0 機 能 訓 練の 充 実 家に 近い場で の リハ 送 迎サー
ビスの充 実 精 神 的 な 撲 助・
相 談 そ の 他 介護に 関 す る 相談 自宅で の 入浴 福祉セ ンター
での入 浴 サー
クル活 動の充 実 60 80(%)匿
i
刎
利 用 者の評価鬮
介 護 者の評価 地域リハ ビリテー
シ ョ ンサー
ビ スへ の期 待と評 価 10 20 30 40(%)皿
利 用 者の期 待驪
介講 の期待 図6
今 後 期 待 する サー
ビス利 用者か らみ た大東市地 域リハ ビ リテ
ー
シ ョ ン493
は,
大 きい 20%,
どちらと もいえない37.
9
%,
小さい 34,
7% とな り, 負担感を はっ きり意識して いる もの は2 割にす ぎ ず, む しろ小さい とい うもの が多かっ た。 これ に対して精 神的負担は,
大き い,
ど ち ら ともい え な い,
小さいと も,
ほ ぼ3
割 ずっ で あ る。 介 護の負 担 感は身 体 的なものより もむしろ精 神 的な もの の方が大 きい とい う 結果になっ た (表 9 )e 具 体 的に負 担 と感 じる項 阿は 「外 出 が 思 うようにな ら ない」が最も多く, 表 示は省略し た が3
割以.
E
を占めて い る。 以下,
病 院へ の送 迎介 助,
入浴介助であ っ た。 「外 出が思う よ う に な ら ない」 と い う, 介護者 自身の行 動に関す る事 柄が最も多く なっ
て い ること は,
先の身 体 的負 担感より精神的負 担感が強いこと と関連して い る も の と推察さ れる。 3) 地域リハ ビ リテー
シ ョ ンサー
ビス に対する期待と 評 価 (図 5) 利 用 を開 始 する際に最 も利 用 者 が期 待 していた ことは,
身 体 的 機 能の維 持,
改 善であり,
7
割 以 上 を 占 めてい る。 次に気分転換, 仲問づ く りであっ た。 実際に利用してみ て生活に どの よ うな変化が生 じ たのか,
利用者 自身の評 価と して は,
最も期待の高かっ た身体的機能の維 持改善 が なされたとい う もの は,
5
割に留まっ て い る。 身の回 りの動作の改善にっ い ては,
ほ と ん ど差が ない。 逆に期 待より評 価が 上回っ て いるの は,
仲 間づ く り,
気 分 転 換 生活の充 実であっ た。 とりわ け,
仲 間づく り,
気 分 転 換 で は,
利 用 前の期 待よ り,
利 用 後の評 価が 1.
5倍 も高い。
介 護 者 か ら見 た 利 用 後の評 価 も利 用 者よ りもほとんどの 項 囹で低い もの のADL ,
QOL
と も改善して い る と評価 して いる。 わ ず かに介 護 者の評 価が高かっ たの は,
介 護 者の身体 的負 担と精神 的負担の軽減であっ た。 今回の ア ンケー
ト の結 果,
地域 リハ ビ リ テー
シ ョ ンに対 して利 用 者の方が む しろ介護者より,
より高く評価して いる。4
) 今 後 期 待 するサー
ビス (図6) 地 域リハ ビリテー
シ ョ ンシステムにっ い て,
今 後ど の ような方 向での充 実 を 期 待 しているのかの問に たい して 利 用 者,
介 護 者か ら次の様な解 答が得ら れた。
利 用 者の期 待 と して は,
家 か ら近い場 所での リハ ビ リ テー
シ ョ ン機 能訓練の充 実が最も多く, 次に送迎サー
ビ スの充実で あっ た。 介護者におい て も同じ傾 向を示して い るが, 機能訓練の充実に対す る期待が利用者以上に大 きい。 ま た家での 介 護に関する相 談が利用 者の 2 倍の値 を示してい る。 ま と め と考察
二人 暮ら し が多 く,
独 居 も1割を占め,
夫 婦 世帯 のみが多い とい う核 家 族 化の特徴 が 表 れている。 ADL で見る限り,
支 障 なく できる者 か ら全 介 助 の必要な者ま で様々な 人が利用してい る。 ま た, 外出に 困 難を き た して いる 人 が多い。 介 護 者は,
配 偶 者が多 く,
次に嫁力i多い。 女 件が 多 くを 占め,
介 護 者 自身 も高 齢である。 介 助 者 は大 小の 差こ そ あ れ精 神 的に,
あるいは,
身 体 的に負 担 を感 じて い る者がい る。 健 康 状 態にっ い て も6割 以 上の者 が 良 く ない と答え て い る。
利 用 者 が 実 際に リハ ビ リテー
シ ョ ンサー
ビスを 利 用して みて期 待して いた以 上に評 価が高かっ た のは, 気 分転 換,
仲問づくり,
生活の充 実で あり,
介護者側の 評 価も気 分転 換, 仲間づくりが高かっ た。 今後,
望む もの と しては,
家か ら近い場所で の リ ハ ビリテー
シ ョ ン,
送 迎サー
ビス の充 実で あ り,
機能 訓 練の充 実も望ま れて い る。 少 数 解 答では あ るが,
通 所 を 中 断 してい るケー
ス を みて みると,
1) 送 迎の手 段が ない,
施 設まで の距 離 が遠い の で し ん どい, 2
)今 は も う他の施 設 を利 用 して い る。
3
) 状 態 が 悪化して,
在 宅 訪問ケアを要望 してい る,
4) 改 善 し たの で もう終了 した,
で あっ たQ これら の結 果をまとめて み ると, 本市で実施し て い る 老 人保 健 法に基づ く リハ ビ リテー
シ ョ ンサー
ビス は医 療 機関で行わ れて いる機能訓練と は異な る意 味をもち,
利 用 者 や 介 護 者にとっ て有用であると評価 しうるといえよ う。
地 域リハ ビリテー
シ ョ ンの 目的は,
退 院して き た患 者や在 宅で心 身の機 能 が 低 下 した者に対 し,
個々 の状 況 に合わせ て,
生 活の質を豊か に す ることにあ る。
す な わ ち,
低 下 した部 位 およびその機 能の改 善の み に関心 を お くこ と よ りも, 全体と して の生活に関心 を大き く お くこ とで ある。 病 院で の訓練は,
原 則と して障害の 「治療」 と して捉え, そ れに対して, 地域での訓練は治療が中心 で はな く,
「今,
もっ て い る機能を維 持し,
障害を持ち な が ら も,
これ か らの生活に どう残っ た機能を応用して い くか」の手 段の一
部と して の訓 練と捉えて い る。 障 害 者,
老 人の生 活の質の向 上 を大 切に し,一
方,
障 害 を も っ者 臼身に身 体を良 くして い こう,
障 害が あっ て も健 康 で より楽しく生 活し ようと認 識 して もらう必 要があ り,
更に は,
地 域 リハ ビ リテー
シ ョ ンが自分 達の もの で ある とい うこ と を知っ て も ら うこと が大切で あると考えて い494 理学 療 法学 第 18巻第 5 号 る。
今後
,
人口 の高 齢化 を迎 え,
急 増 することが予想さ れ る在 宅で の介 助,
看 護 が 必 要 な老 人, ま た,
その ことに 直接 関 わる家 族に とっ て,
地域で保 健・
医 療・
福 祉が連 携 し,
充実して い くこと は重要で あ る。 介 護の負 担が家 族だ けに (ア ンケー
ト結 果か らも,
と り わ け介護 者 自身 も高齢で あ る)集 中しないように,
ボ ラ ンテ ィアの育成,
民 生 委 員,
ヘ ル パー,
保 健 婦の活 動な ど が より望ま れる。 本市に は介護ボ ラ ンテ ィ ァ グルー
プ 「606
会 」が あ り,
自主 的に活 動 して いるが,
今後若年層で の参 加を促 進 し て い く必 要があると考えて い る。
ま た,
通所 手 段と して の送 迎サー
ビスの充 実,
通所施設の 充実,
生活を主 体に した訓練の内容の 充実, 地 域リハ ビ リテー
シ ョ ンの広が りを 得るための啓発活動等,
ア ンケー
ト結 果に より示 峻 さ れ る。 今 後の課 題 1) 地 域 リハ ビリテー
シ ョ ンの 目標は, ADL
の改 善 以 上 にQOL
の 充 実に ある。QOL
の 充実は リハ ビ リ テー
シ ョ ン対 象 者 自身にとどま らず, 介護者を中 心とす る家 族の問 題でも ある。 調査結果か ら みて も,
利 用 者に も介 護 者にもそれに対する期待は大き い。我々 と して は
,
この よ う な事 実を認識しっ っ,QOL
,
ADL
, 双方を視 野に納め たシス テム の充 実 を図る必要 が あ るQ そのた めには, 当 然の ことな がら, ス タッフ の 充 実 とい うこ とが一
方で問題と な る。
2) 現状に おい ては, 利用者は サー
ビス の受 け手であ り,
シ ス テ ムの虫体と して の位 置づけは低い。 医学 的リハ
ビ リ テー
シ ョ ンに おい て はこれも妥 当で あろうが,
QOL
の充 実の ため に は,
利用 者 自ら が 主体と な る場 面 が要 求さ れて こよう。 具体的に は近年注目を集めて いる セ ル フヘ ル プグルー
プ であるとか,
利 用者 (家族)の会 とい っ た,
当 事 者 組 織の形 成 と主体化が望ま れ る。3
) 地 域リハ ビ リテー
シ ョ ンシステム に参加 す ること によっ て,
利 用 者 自身の生 活が広が り,
その結 果,
利 用 者はさ らなる充実を求めて,
もっ と生活の輪を 広 げよう とする。
身体的機能に著しい改 善が み ら れ ないま ま での こ の ような循 環は,
結 局の ところ,
せっ か く盛りヒが っ た利 用 者の志 気 を萎縮させ るこ とにな る か,
介 助 者が付 き添 わなければ な らない時間を増大さ せ ることにな り,
介 護 者の生 活 を拘 束 する ことに な る。 利 用を中 断 した者 の中に,
送 迎,
あ るいは利用の場との距 離を問題にす る 者 が 多 く,
また今後の期 待に お い て も,
送 迎 問 題 が 多 かっ たこ と を考え ると,
こ の問題へ の対応が当面の大 き な課 題と な ろ う。 当然の こと な が ら,
これは,
地 域 リハ ビ リテー
シ ョ ンへ の参加とい う視点か らのみ な らず,
身 体的機能の 低 ドで家庭に閉 じこも りが ち な 人 達の社会参 加促進の基本 的 手 段で あり,
地 域 リハ ビ リテー
シ ョ ン の 場面 以 外での対 応 も合 わせ て検 討 する必要が あ る。4 )
一
方で,
制 度 的にこれ を完全に保 障す ることは,
現 実に は非 常に困 難で あ り,
現状で は や む を得 ず 介 護 者,
家 族へ の直接 的なサー
ビスが中心 と なっ
て く る。 利 用 者 の生 活の充 実は,一
方で介護者の負 担を大 き くし,
生 活 意 欲を低 下さ せる とい う,一
見 矛 盾 し た状 況 を 呈 するこ とが ある。 介護 者は,
身体面 以上に精 神 面において疲 労 し ている。 地域 福 祉と して の リハ ビ リ テー
シ ョ ンサー
ビ スは,
介護 者を含む家 族 福 祉とい うこと も包含しっ っ 展 開し なけれ ばな らない。 5) 各 関 係 機 関と連携の強化を図 りな が ら,
益々広 く,
草の根 的に地 域 リハ ビリテー
シ ョ ンの促進に取 り組ん で いきたい と考え る。 文 献 1)大 東 市理学 療 法 課 :大 東 市の地 域リハ ビリテー
シ ョ ン.
公 衆 衛 生 情報 16−
12,
廴986,
2) 山 本 和 儀 :地 域ケア の一
環 と しての生活リハ ビリ.
地 域 保 健,
⊥987ユ2.
3) 高橋紘士,
山 本 和 儀・
他 :地 域 リハ ビリテー
ショ ンと福 祉 サー
ビ ス の 総合 化に関 す る 研 究.
地 域 保 健 福 祉 研究 会,
1989,
4)山 本 和 儀・
他 1高 齢 化 社 会にお ける地域リハ ビリテー
シ ョ ン のあり方に関 する研究.
大阪ガス グルー
プ福 祉 財 団 研 究 調査報 告 集 vol,
2 :73−
80,
1989.
5) 山 本 和 儀:大東市の地域リハ ビリテー
ショ ン.
理 学療 法 学.
16〔4):273−
279,
1989.
6) 山 本 和 儀,
山縣 文治:大東 市訪問リハ
ビリ事 業の現 状と課 題 老 人 問 題 研 究,
vol.
10.
大 阪 府 老 人 総含セ ン ター,
1990.
7) 山 本 和 儀,
山 縣 文 治・
他:地 域 福 祉 と地 域リハ ビリテー
シ ョ ン.
日本の地域福祉,
日本地域福 祉 学 会,
Vol.
3,
⊥990.
8)「.
[1縣 文 治,
山 本 和 儀・
他 :大東 市における地 域 「丿ハ ビリ テー
ショ ン シ ス テム の現 状 と課 題.
地域福祉研 究,
VoL.
18.
日本生命 済生 会,
1990.
9) 山 本 和 儀,
山 縣 文 治 :地 域リハ ビリテー
シ ョ ンと機 能 訓 練 事 業,
地 域リハ ビ「丿テー
シ ョ ンにおける拠 点.
公 衆 衛 生.
54〔S):560−
564,
1990.
1の LI」本 和儀,
高 橋 紘 士・
他 :21世紀の保 健・
医 療と福 祉一
大 東 市に お け る地域リハ
ビ リテー
ショ ン の実 践一.
エ ル ビス 社.
lggo,
*ljMghts
6
dykJklNpttdeti
T) ,Ne
])f
-
y e y 495<Abstract>
Community-Based
Rehabilitation
in
Daito
City
from
aUser's
Point
ofView
Kazuyoshi
YAMAMOTO,
RPT
Pdysiotheropy
Section
Daito
City
'sWedum2OOZce,
Daito
City
OLe2ce
The
Rehabilitation
Section
of theSocial
WelfareOthce
inDaitoCity
has been promotingcommunity-based rehabilitation
<C.B.R.)
for
people of all ages since 1985, We carried out anin-vestigation of
C.B.R.
service users over40
years ef age toevaluate present servicesfrom
theuser's pointof view.
The
majorfindings
are asfollows
1
1.
54.7
percent of theC.B.R.
users are rnale manyin
theirsixties while many are womenintheirseventies.
2.
Their
family
structures are characterized by nuclear family features,3. Activitiesof daiEy}iving
(ADL)
have various functions. Many users have handicaps and so have diMculty going out,4. Many C.B.R.patientsare taken care of by their wives who are of advanced age. These women feela good deal of
burden
both mentally and physically,and60
percent of them feelunhealthy.
5,
Many
C,B.R.
users see the service as useful inallowing them some diversity,inhelpingthern
to
make friends,andin
promotingtheir
qualityoflife.
Those
who carefor
them also seeitas useful inallowing them some diversionand enabling them tomake friends,
6.
Theyhope
that
suchC.B.R.
services willbe
more accessible, and moreC.B.R.
training facilitieswill beestablished.Our tasksin
the
future willbe
not onlyto
improve
userfunctions
ADL
but
alsoto
enrich theirQOL.
Still
more, the scope of rehabilitation services as community welfare would also need toinvolve
the Iivesof those who take care of theusers. To achieve thesetasksitwill be necessary tofuLlyuseCB.R.
service systems toclosely collaborate with volunteer groups suchas "606
Kai"
group. The organization of self-help groups by tho$e needing such help them-selves