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健常高齢者および若年者の歩行中の障害物跨ぎ動作における側方の姿勢安定性

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 46 巻第 1 号 21 ∼ 29 頁(2019 歩行中の障害物跨ぎ動作における側方の姿勢安定性 年). 21. 研究論文(原著). 健常高齢者および若年者の歩行中の障害物跨ぎ動作 における側方の姿勢安定性* ─ 3 軸加速度計を用いた検討─. 国宗 翔. 1)2)#.  岡 田 修 一. 1). 要旨 【目的】障害物への接近,Lead limb と Trail limb の跨ぎ越えという一連の動作を歩行中の障害物跨ぎ動作 とし,3 軸加速度計を用いて若年者と高齢者を対象に側方の姿勢安定性について明らかにする。 【方法】対 象者は 14 人の健常若年者と 14 人の健常高齢者とした。対象者は自由歩行と歩行中の障害物跨ぎ動作を ,および 行った。得られた加速度データから,各区間における側方の Root Mean Square(以下,RMSML) 【結果】RMSRML は自由歩行より障害物跨ぎ歩行の方が有意 RMS Ratio(以下,RMSRML)を算出した。 に大きく,年齢の主効果は認められなかった。RMSML は Trail limb の跨ぎ区間で他の区間よりも有意に 大きかった。 【結論】年齢にかかわらず,自由歩行よりも歩行中の障害物跨ぎ動作で側方への身体動揺が大 きくなり,Trail limb の跨ぎ区間でもっとも姿勢不安定になる可能性が示唆された。 キーワード 歩行,障害物跨ぎ,加速度,高齢者. 評価した先行研究も多く報告されている. はじめに. ら. 7). 7‒9). 。Sakurai. は,高齢者が身体機能の低下に気づかず障害物を.  高齢者の転倒事故は骨折やその後の閉じこもり症候群. 跨ぎ越える能力を過大評価することで,転倒の危険性が. に関連し,医療費の高騰に直結する社会問題となってい. 増大すると報告している。また,日々の運動習慣が障害. る. 1)2). 。我が国の地域在住高齢者における過去 1 年間の 3)4). 物跨ぎ動作の能力に及ぼす影響も研究されている. 10)11). 。. ,さらに転倒は高齢者.  障害物跨ぎ動作で重要なことは,下肢の挙上による障. が要介護状態に陥る原因として上位に位置づけられてい. 害物の回避,すなわち Toe clearance(以下,TC)の確. 転倒発生率は約 20% であり る. 5). 。したがって,高齢者の転倒予防は喫緊の課題であ. り,地域での介護予防事業において盛んに実践されてき ている. 1). 。.  転倒はおもに屋外,歩行中に生じることが報告されて おり. 1) 6). ,その状況として「躓き」がもっとも多い 3)4)6)。. 保とされている. 12). 。しかし,高齢者は感覚機能や筋力. 低下により両脚支持期が長く,片脚立位時間が長くなる 跨ぎ動作時の姿勢は非常に不安定となる. 13‒15). 。障害物. の高さが高くなるほどに姿勢は不安定となり,転倒危険 性が増すことが報告されている. 14). 。下肢が十分挙上で. 小さな段差や障害物は生活範囲に多く存在しており,歩. きても姿勢が不安定であれば転倒してしまうため,動作. 行中の障害物跨ぎ動作は日常生活に必要な動作である。. 中における姿勢の安定が前提である。そこで,跨ぎ動作. 近年,実際に障害物跨ぎ動作から高齢者の転倒リスクを. における転倒リスクの評価には TC だけでなく,姿勢の. *. Lateral Postural Stability in Healthy Elderly and Young People while Crossing Obstacles during Locomotion: A Study Using Three-axis Accelerometer 1)神戸大学大学院人間発達環境学研究科 (〒 657‒8501 兵庫県神戸市灘区鶴甲 3‒11) Sho Kunimune, PT, MA, Shuichi Okada, PhD: Graduate School of Human Development and Environment, Kobe University 2)社会医療法人祐生会みどりヶ丘病院 Sho Kunimune, PT, MA: Midorigaoka Hospital # E-mail: 131d201d@stu.kobe-u.ac.jp (受付日 2018 年 3 月 9 日/受理日 2018 年 10 月 10 日) [J-STAGE での早期公開日 2018 年 12 月 7 日]. 安定性を評価することが重要である。  先行研究では,3 次元動作解析器や床反力計を用いて 跨ぎ動作中の姿勢安定性を評価している. 13)16‒19). 。これ. らの機器を利用すれば,Center of mass(以下,COM) と Center of pressure(以下,COP)の位置が算出でき, それらを結ぶ角度から姿勢安定性を評価することができ る. 16)17). 。これらの先行研究から,障害物跨ぎ動作にお. いて高齢者は若年者と比較して側方の不安定性が大きい.

(2) 22. 理学療法学 第 46 巻第 1 号. ことが明らかになっている 17)。また,松澤ら 20) は 3. 算出することで姿勢安定性を評価することとした。. 次元動作解析機を用い,障害物の高さの違いによる各体.  以上より,本研究では若年者と高齢者を対象に 3 軸加. 節の運動パターン変化を明らかにしている。. 速度計を用いて歩行中の跨ぎ動作における姿勢安定性を.  障害物を跨ぐ際に,先に跨ぐ脚を Lead limb,後方か. 評価することとした。第一の目的は障害物への接近,. ら引き込む脚を Trail limb と呼ぶ。歩行中の障害物跨ぎ. Lead limb と Trail limb の跨ぎ越えという一連の動作を. 動 作 は, 接 近 中 に お け る 歩 幅 調 節 と,Lead limb と. 歩行中の障害物跨ぎ動作とし,側方の姿勢安定性につい. Trail limb の跨ぎ越えで構成される。Lead limb の TC. て明らかにすることとした。第二の目的は,歩行中の跨. は障害物より 2 歩前の視覚情報をもとに決定され,障害. ぎ動作におけるどの区間で不安定性が大きくなるのかを. 物直前の足部位置が重要とされている. 21)22). 。さらに,. その視覚運動制御は加齢により変化しないことが明らか になっている. 23). 。したがって,歩行中の跨ぎ動作にお. 検証することとした。 対象および方法. ける姿勢安定性評価は,跨ぎ動作を遂行する一部分だけ. 1.対象. でなく,Lead limb の跨ぎ運動計画が確立される障害物.  対象者は 14 人の若年者(男性 7 人,女性 7 人,平均. より 2 歩前からの分析が必要となる。しかし,先行研. 年齢 21.7 ± 1.7 歳,平均身長 166.6 ± 5.6 cm,平均体重. 究. 13)16‒19). では障害物への接近を含めた一連の跨ぎ動. 58.3 ± 6.6 kg) ,14 人の高齢者(男性 7 人,女性 7 人,. 作中における姿勢安定性については言及していない。ま. 平均年齢 68.7 ± 2.8 歳,平均身長 161 ± 7.8 cm,平均体. た,障害物への接近,Lead limb の跨ぎ,Trail limb の. 重 56.8 ± 8.8 kg)とした。年齢群で身長や体重に有意. 跨ぎといった一連の動作における不安定な区間や,その. な差を認めなかった。なお,既往歴に整形外科的疾患や. 年齢差も明らかになっていない。. 感覚障害がなく,日常生活が独歩可能であり,過去半年.  ここで,3 次元動作解析器は高価で測定に十分な時間. 間における転倒経験がない健常な人を対象とした。対象. と測定空間を要するため,臨床現場での評価や大規模調. となる若年者については学生から募集し,高齢者につい. 査には向いていない。今後,地域住民に対する調査や大. てはシルバー人材派遣センターを利用して募集した。す. 規模研究において障害物跨ぎ動作における姿勢安定性評. べての対象者にはヘルシンキ宣言に則り,研究の目的と. 価を行う場合,より簡便な方法が必要である。3 軸加速. 方法を事前に説明した。また,研究への参加は自由意志. 度計は小型で身体に直接装着が可能であり,動作を拘束. であり,途中で中断しても不利益にならないことを口答. しない。また低価格で使いやすく,持ち運びが容易なた. と書面で説明し,同意を得て研究に協力してもらった。. め実施環境に制限されず,計測に要する時間が短いな. なお,本研究は神戸大学大学院人間発達環境学研究科研. ど,臨床場面での姿勢安定性評価における有用性が期待. 究倫理委員会の承認を得ている(承認番号:223)。. されている. 24‒26). 。しかし,3 軸加速度計を跨ぎ動作の. 安定性評価に使用した報告は見られない。Menz ら. 27). 2.方法. は 3 軸加速度計を用いて不整地歩行における身体の安定. 1)身体機能評価. 性を検討している。したがって,3 軸加速度計は直線的.  まず,対象者の身体機能を評価した。用いたテストは. な歩行路における跨ぎ動作の姿勢安定性評価への利用も. Timed up & Go test(以下,TUG) ,Sit To Stand test. 可能だと考えられる。. (以下,STS)である。TUG は椅子座位から 3 m 歩い.  歩行中における体幹の安定性を評価する指標として. て戻り,再び座位になる時間を計測した。STS は両上. Root Mean Square(以下,RMS)がもっとも利用され. 肢を胸の前で組み,10 回の立ち上がり時間を測定した。. ている. 24‒28). 。RMS とは,加速度波形の振幅の程度を表. それぞれ検査は最大努力で 2 回行い,所要時間の短いも. している。体幹加速度の RMS が大きくなれば体幹の動. のを代表値とした。. 揺性が大きいと考えられ,高齢者にとっては転倒リスク. 2)歩行中の障害物跨ぎ動作. 24). は歩行異常に.  対象者は障害物を含む歩行路を快適速度で歩行し,障. より歩行周期に変化が生じるため,歩行速度に依存しな. 害物を跨ぎ,その後少なくとも 5 歩歩行することとした. い指標が必要だとして,RMS ベクトルに対する各方向. (図 1) 。歩行開始位置は障害物から 4,5 歩手前の位置と. 成分の比を求める RMS ratio(以下,RMSR)を提案し. し,障害物は必ず右足から跨ぐように指示した。測定前. ており,左右方向の姿勢安定性評価が可能だと述べてい. に数回の練習を実施し,歩行開始位置を調整した。歩行. る。言い換えれば,RMSR は体幹の動揺全体における. 路の長さは約 8 m である。歩行路上には 2 種類の障害物. 一方向の動揺比を示すため,動揺の質的指標と考えられ. (奥行:5 cm,幅:70 cm,高さ:5 cm か 10 cm)のひ. る。一方,RMS は動揺の量的指標である。よって,本. とつを設置した。また,障害物は赤く着色して見やすい. 研究では 3 軸加速度計を用いて側方の RMS,RMSR を. ようにした。対象者が障害物に接触して転倒しないよう. の増大を意味する. 。また Sekine ら. 26).

(3) 歩行中の障害物跨ぎ動作における側方の姿勢安定性. 23. 図 1 歩行中の障害物跨ぎ動作 対象者は快適速度で障害物を跨ぐこととした.歩行開始位置は障害物から 4,5 歩手前の位置とし,障害 物は必ず右足から跨ぐように指示した.. 図 2 加速度の分析区間 3 歩分の加速度データから RMSRML を算出した.また,踵接地から対側 の踵接地までを 1 歩分として,それぞれの区間を障害物への接近,Lead limb の跨ぎ,Trail limb の跨ぎ区間と定義した.そして各区間における RMS を算出した.. に,障害物は発泡スチロール製として,歩行路上に固定. れ,Trail limb が跨ぎ終わった時点で動作終了となる。. せず外力より動くようにした。動作は障害物側方に設置. よって,加速度の分析区間は障害物より 2 歩前から障害. したデジタルカメラ(SONY 社製,HDR-CX590V)で撮. 物の 2 歩後までの 3 歩分とした。なお,踵接地のタイミ. 影した。また,障害物を除外した自由歩行も測定した。. ングは先行研究を参考に,前後方向波形における前方. それぞれ 3 回実施し,その測定値の平均値を代表値とし. ピーク値から同定した. た。歩行前にはワイヤレス 3 軸加速度計(MicroStone.  得られた加速度データは,演算ソフト(The MathWorks. 株式会社製,MVP-RF8-GC-2000)を身体重心位置に近い. Japan, MATLAB, Release 2018b)を用いて解析を行っ. 第 3 腰 椎 棘 突 起 の 位 置 に 貼 り つ け, バ ン ド で 固 定 し. た。加速度信号は 20 Hz に設定された low-pass filter(4. た. 24). 。さらに,対象者は天井の移動式滑車から吊るさ. 27‒29). 。. th. order Butterworth filtered)により変換された値を用い 29). 。3 歩分の加速度データから RMSRML を算出した。. れた転倒予防ハーネスを装着した。加速度センサーはサ. た. ンプリング周波数 200 Hz で記録した。また,歩行速度. また,踵接地から対側の踵接地までを 1 歩分として,そ. を測定するため,歩行路上には歩行分析装置(anima 社. れ ぞ れ の 区 間 を 障 害 物 へ の 接 近,Lead limb の 跨 ぎ,. 製,ウォーク way MW-1000)を設置した。. Trail limb の跨ぎ区間と定義した。そして各区間におけ. 3)分析. る RMS を算出した(図 2)。RMS は歩行速度と関連性.  障害物跨ぎ動作は障害物 2 歩前の視覚情報より計画さ. があり,指数関数的関係をもつとされているため. 24)27). ,.

(4) 24. 理学療法学 第 46 巻第 1 号. 結   果 1.対象者の身体機能  対象者の TUG について,若年者は 4.77 ± 0.68 秒,高 齢者は 6.94 ± 0.98 秒で若年者が有意に速かった(p<0.01) 。 STS について,若年者は 10.39 ± 1.82 秒,高齢者は 16.84 ± 4.35 秒で若年者が有意に速かった(p<0.01) 。 2.歩行中の障害物跨ぎ動作. 図 3 LTC と TTC の分析 跨ぎ動作時の障害物前縁上端から足趾先端の 距離を TC とした.Lead limb の TC を LTC, Trail limb の TC を TTC として算出した..   対 象 者 の RMSRML,RMS1ML,RMS2ML,RMS3ML, LTC,TTC および歩行速度の結果を以下に示す(表 1) 。 RMSRML について,障害物の高さの有意な主効果が認 められた(p<0.01) 。その後の多重比較検定の結果,自 由歩行よりも障害物跨ぎ歩行の方が有意に大きかった. 歩行速度の 2 乗で正規化した. 30). 。RMS,RMSR それぞ. (どちらも p<0.01)。年齢群の主効果および交互作用は. れ左右方向成分のみを求めた。障害物への接近区間にお. 認められなかった。. ける RMS を RMS1ML,Lead limb の跨ぎ区間を RMS2ML,.  RMS1ML に つ い て, 年 齢 群 の 主 効 果 が 認 め ら れ た. Trail limb の跨ぎ区間を RMS3ML とした。RMSR の左. (p<0.05) 。その後の多重比較検定の結果,RMS1ML は. , 右方向(以下,RMSRML)は前後方向(以下,RMSAP). 若年者よりも高齢者の方が有意に大きかった(p<0.05)。. 左右方向(以下,RMSML),上下方向(以下,RMSv). 障害物の高さの主効果および交互作用は認められなかっ. の値を用いて以下の式により算出した。. た。次に RMS2ML について,年齢群と障害物の高さの 交互作用が認められた(p<0.05) 。その後の多重比較検.  RMSRML = RMSML / ( √. (RMSAP2 + RMSML2 + RMSV2. ). 定の結果,障害物の高さ 5 cm(p<0.01) ,10 cm(p<0.01) の場合に,RMS2ML は若年者よりも高齢者で有意に大.  自由歩行では歩行開始後 5 ∼ 8 歩までの 3 歩分におけ. きかった。さらに高齢者の場合のみ,RMS2ML は自由. る RMSML の平均値を算出しており,各区間の RMSML. 歩行よりも障害物跨ぎ歩行で有意に大きかった(どちら. を同じ値として分析している。. も p<0.01)。RMS3ML について,障害物の高さの主効果.  また,デジタルカメラから得られた動画を動作解析ソ. を 認 め た(p<0.01) 。 そ の 後 の 多 重 比 較 検 定 の 結 果,. フトウェア(ディケイエイチ株式会社製,Media Blend). RMS3ML は自由歩行よりも障害物跨ぎ歩行の方が有意. を用いて分析を行い,跨ぎ動作時の障害物前縁上端から. に大きかった(どちらも p<0.01)。年齢群の主効果およ. 右足趾先端の距離を Lead Toe Clearance(以下,LTC) ,. び 交 互 作 用 は 認 め ら れ な か っ た。 な お,RMS1ML,. 同様に左足趾先端までの距離を Trail Toe Clearance(以. RMS2ML および RMS3ML の比較を行うため,区間と年. 下,TTC)として算出した(図 3) 。. 齢群,障害物の高さを条件に分散分析を行った結果,区.  TUG,STS については独立した t 検定を行い,若年. 間(p<0.01)の主効果が認められた。その後の多重比較. 者と高齢者で比較した。歩行中の障害物跨ぎ動作におけ. 検定の結果,RMS1ML,RMS2ML,RMS3ML の順に有意. る各分析項目について,年齢群と障害物の高さを条件と. に大きかった(すべて p<0.01)。交互作用は認められな. した線形混合モデルによる分散分析を行った。さらに,. かった。. RMS については各区間での大きさを比較するため,年.  LTC に つ い て, 年 齢 群 の 有 意 な 主 効 果 を 認 め た. 齢群,障害物の高さ,区間を条件とした線形混合モデル. (p<0.01) 。その後の多重比較検定の結果,LTC は若年. による分散分析を行った。なお,自由歩行は障害物の高. 者よりも高齢者の方が有意に大きかった(p<0.01)。障. さ 0 cm として検証した。主効果が有意であった際の下. 害物の高さおよび交互作用は認められなかった。TTC. 位検定や交互作用が有意であった際は,Bonferroni 法に. については,年齢群および障害物の高さの有意な主効果. よる多重比較検定を行った。なお,統計処理には SPSS. を 認 め た( ど ち ら も p<0.01) 。 多 重 比 較 検 定 の 結 果,. Statistics ver24.0(IBM 社製)を用い,有意水準は 5%. TTC は若年者よりも高齢者で有意に大きく(p<0.01),. とした。. 障害物の高さ 5 cm の場合よりも高さ 10 cm の場合の方 が有意に小さかった(p<0.01) 。歩行速度では,年齢群 と段差の有意な主効果および交互作用を認めなかった。.

(5) 歩行中の障害物跨ぎ動作における側方の姿勢安定性. 25. 表 1 歩行中の障害物跨ぎ動作の結果 年齢群. 自由歩行. 障害物跨ぎ 5 cm. 障害物跨ぎ 10 cm. 交互作用と 主効果. RMSRML. 若年者 高齢者. 0.39 ± 0.06 0.38 ± 0.07. 0.42 ± 0.07 0.42 ± 0.09. 0.43 ± 0.08 0.43 ± 0.07. pa=0.81 ph<0.01†. 2 RMS1ML (m/s ). 若年者 高齢者. 0.98 ± 0.37 1.34 ± 0.48. 0.99 ± 0.37 1.23 ± 0.33. pa=0.04* ph=0.13. RMS2ML (m/s2). 若年者 高齢者. 1.14 ± 0.27 1.58 ± 0.48. 1.16 ± 0.29 1.59 ± 0.53. pah=0.01*. RMS3ML (m/s2). 若年者 高齢者. 1.66 ± 0.74 1.86 ± 0.62. 1.73 ± 0.91 1.88 ± 0.61. pa=0.45 ph<0.01†. LTC (cm). 若年者 高齢者. 8.97 ± 2.18 13.68 ± 2.78. 8.24 ± 2.71 13.43 ± 3.94. pa<0.01† ph=0.14. TTC (cm). 若年者 高齢者. 6.60 ± 1.69 11.40 ± 4.86. 4.83 ± 1.72 10.08 ± 6.30. pa<0.01† ph<0.01†. 歩行速度 (m/s). 若年者 高齢者. 1.08 ± 0.13 0.89 ± 0.14. 1.10 ± 0.14 0.91 ± 0.14. pa=0.23 ph=0.41. 0.99 ± 0.17 1.07 ± 0.18. 1.15 ± 0.10 1.00 ± 0.16. データはすべて平均値±標準偏差として示した.交互作用が有意であった項目のみ,その有意確率を示 した.なお,自由歩行における RMS1,RMS2,RMS3 は同じ値である. pah: 年齢群と障害物の高さの交互作用における有意確率. pa: 年齢群の主効果における有意確率. ph: 障害物の高さの主効果における有意確率. *: p<0.05,†: p<0.01. に,実験開始前には障害物を跨ぐ練習を数回実施してい. 考   察. るため,動作に対する恐怖の訴えはなく,立ち止まるこ.  今回,若年者と高齢者を対象に 3 軸加速度計を用いて. ともなかった。したがって今回の実験では,試行前の練. 歩行中の跨ぎ動作における姿勢安定性を評価することと. 習で歩行開始位置が決定していることに加え,障害物の. した。先行研究では,高齢者の跨ぎ動作には側方への不. 高さは日常的に存在する高さであったため,高齢者は歩. 安定性があることが報告されており,さらに身体機能が. 行速度を低下させずに跨ぐことができたと考えられる。. 低下するほどに身体が動揺することが明らかとなってい.  歩行中に障害物を跨ぐ場合,障害物へ接近から跨ぎ越. る. 17‒19). 。そこで本研究では側方の加速度に着目して分. えるまで,すべてを通して姿勢の安定が必要である。本. 析を行った。. 研 究 の 第 一 の 目 的 は 障 害 物 へ の 接 近,Lead limb と.  まず,本研究の対象者について考察する。TUG およ. Trail limb の跨ぎ越えという一連の動作を歩行中の障害. び STS の結果から,本研究における高齢者は,若年者. 物跨ぎ動作とし,側方の姿勢安定性について明らかにす. よりも下肢筋力および移動能力が低下していると考えら. ることである。本研究の結果から,身体動揺全体に対す. れる。しかしながら,歩行速度は自由歩行と障害物跨ぎ. る各方向の動揺比を示している RMSRML は障害物の高. 歩行で有意な差を認めなかった。先行研究では,機能低. さによる差を認め,年齢による差や交互作用を認めな. 下を有する高齢者は障害物を跨ぐ際に歩行速度を低下さ. かった。これは,歩行中の障害物跨ぎ動作は平地歩行と. 12)14)15). 比べて身体動揺の左右方向比が大きくなり,さらにその. 実際の障害物跨ぎ動作では,障害物の手前で歩幅を調整. 大きさと変化が若年者と高齢者で同じであることを示し. することで,跨ぎ動作を適切に行うための足部位置を決. ている。先行研究では,障害物の高さが低い場合におけ. せて身体の安定を優先すると報告されている. 定する. 。. 31)32). 。また,高齢者は若年者に比べ,障害物の. 出現に対する適応行動が遅くなることが報告されてい 14). る下肢挙上は歩行の延長線上の動作と報告されている. 20). 。. しかし,今回の結果から 5 cm という小さな障害物を跨. 。今回の対象者は若年者よりも身体機能の低下を. ぐ課題においても,平地における自由歩行と比べると体. 認めたが,屋外独歩が自立しており転倒歴のない高齢者. 幹の側方動揺が大きくなるため,歩行とは異なる姿勢制. である。したがって,道路のブロックなどの障害物跨ぎ. 御が必要であることが示唆された。. 動作は日常的に遂行している動作と考えられる。さら.  RMSR は近年,歩行異常,身体動揺の質を示す指標. る.

(6) 26. 理学療法学 第 46 巻第 1 号. として使用されている 26)33)34)。Sekine ら 26)は快適歩. ことが報告されている. 行における RMSRML を算出し,歩行速度にかかわらず. の挙上において体幹の側屈や骨盤の傾斜といった代償を. 健常者は一定の値を示すことを報告した。これは,身体. 行う. の動揺量は異なっても,身体動揺全体に対する側方の動. に事前に跨ぎ動作時における支持脚へ重心移動すること. 揺比は同じであることを示している。本研究では,自由. により,若年者よりも高齢者の方で RMS が大きくなっ. 歩行と歩行中の跨ぎ動作では身体動揺の質が異なること. たと推察される。. が明らかになった。また,歩行中の障害物跨ぎ動作にお.  RMS2ML は障害物を跨ぐ場合に,若年者よりも高齢. いて側方への身体動揺が増大することは,先行研究の報. 者で有意に大きかった。さらに高齢者の場合に限り,. 17‒19). 17)18). 23). 。また,高齢者は Lead limb. 可能性がある。その結果,障害物への接近中. 。さらに,Terrier ら 34)は対象. RMS2ML は自由歩行よりも歩行中の障害物跨ぎ動作で. 者にトレッドミル上で歩行させ RMSRML を分析して年. 有意に大きかった。これらの結果は,若年者の Lead. 齢差を検討し,加齢による変化がないことを明らかにし. limb の跨ぎにおける側方の姿勢安定性は,自由歩行の. ている。本研究においても,自由歩行における RMSRML. 場合と変わらないことを示している。一方,COP と. の年齢による差を認めなかったことは先行研究と一致し. COM の傾斜角度は Lead limb の跨ぎ動作中,若年者よ. ており,さらに歩行中の障害物跨ぎ動作においても年齢. りも高齢者で大きく,バランス能力の低い高齢者ほど大. にかかわらず一定の値を示すことが明らかになった。上. きくなることが報告されている. 告と一致している. 17)18). 。高齢者において. 述したように,身体機能の低下があっても慣れた環境. RMS2ML が歩行中の障害物跨ぎ動作で大きくなったこ. や,あらかじめ決められた課題に対しては高齢者も姿勢. とは,その報告を裏づけるものであり,体幹の側屈や骨. を安定した状態で跨げることが示唆された。今後,日常. 盤の傾斜といった代償が生じていると推察される。ま. 生活上の転倒予防に活かすためには,急な障害物出現に. た,高齢者の側方動揺が増大する要因として LTC が考. 対する跨ぎ動作や,転倒リスクを有する高齢者の RMSR. えられる。LTC は若年者よりも高齢者の方が大きく,. を評価し,さらなる検討が必要である。. 先行研究と一致する.  歩行中の障害物跨ぎ動作という一連の動作における側. により下肢筋力や移動能力が低下することが原因であ. 方の姿勢安定性では,年齢の差を認めなかった。ここで,. り,転倒に備えるため躓かないように下肢を十分挙上. 各区間での身体動揺は年齢により異なる可能性がある。. し, 危 険 を 回 避 す る 戦 略 と し て 考 え ら れ て い る。. 本研究の第二の目的は,歩行中の跨ぎ動作におけるどの. Kovacs. 区間で不安定性が大きくなるのかを検証することであ. ると跨ぐことが困難になり,安全のため TC を大きくし,. る。まず,本研究の結果から,RMS は障害物への接近,. 跨ぎ速度は低下すると報告している。今回,LTC は障. Lead limb の跨ぎ,Trail limb の跨ぎの順に有意に大き. 害物の高さ 5 cm,高さ 10 cm の間に有意な差を認めな. かった。障害物を跨ぐ場合,片脚立位時間が長くなるこ. かった。したがって,障害物の高さにかかわらず,若年. と と. 13‒15). や,跨ぐ際には身体重心が側方へ移動するこ. 20)35). が報告されている。したがって,障害物へ接近. 14). 12)14)15)23). 。LTC の増大は,加齢. は,高齢者は障害物の高さが 8 cm 以上にな. 者よりも下肢を高く挙上することで姿勢が不安定になる ことが推察される. 13‒15). 。. 中よりも Lead limb と Trail limb の跨ぎ区間の方が側方.  RMS3ML は年齢にかかわらず,自由歩行よりも障害. 加速度の振幅は大きく,身体の不安定性を生じやすいこ. 物跨ぎ歩行の方が有意に大きかった。TTC においても. とが考えられ,本研究結果はそれらを裏づけるものであ. LTC と同様の結果であったが,RMS3ML は年齢による. る。また,これまで Lead limb の跨ぎと Trail limb の跨. 差は認めなかった。RMS2ML では年齢による差を認め. ぎのどちらが姿勢不安定になるかを検討した文献はな い. 16‒20)35). 。Trail limb の跨ぎは視野に入らない位置で. たが,RMS3ML で同様な結果を認めなかった要因は, TTC の確保のため体幹側屈や骨盤傾斜などの代償がな 35). は TC の調整につ. の運動であるため,ワーキングメモリや視覚的注意機能. かったことが推察される。松澤ら. が必要と報告されており,Trail limb での躓きや転倒の. いて,骨盤の傾斜や胸腰椎の側屈が関与していることを. 36‒38). 。本研究の結果より,障. 報告している。また,Trail limb の跨ぎには股関節およ. 害物との接触がない場合,Lead limb よりも Trail limb. び膝関節の屈筋群が働き,Lead limb の跨ぎと運動戦略. の 跨 ぎ 区 間 の 方 が 身 体 の 側 方 加 速 度 が 大 き い た め,. が異なるため. Trail limb の跨ぎ区間で身体の不安定性が高い可能性が. 可能性がある。したがって,TTC よりも LTC 確保の方. 示唆された。. が体幹側屈や骨盤傾斜による代償が大きい可能性が示唆.  次に,各区間での RMS について検討する。RMS1ML. された。. について,若年者よりも高齢者の方が有意に大きかっ.  また,上述したように Trail limb の跨ぎは視野に入ら. 可能性が指摘されている. た。高齢者は障害物の手前で歩幅を縮小させること. 31). ,. 姿勢不安定の際に歩隔を拡大して身体の安定を維持する. 37). ,TC 確保のための代償動作も異なる. ないため,姿勢不安定性を生じやすい. 36‒38). 。ここで,. 本研究の高齢者のワーキングメモリ,視空間記憶能力は.

(7) 歩行中の障害物跨ぎ動作における側方の姿勢安定性. 評価していない。これらの機能が低下していれば,より 姿勢が不安定になっていた可能性がある。また,先行研 究では,高齢者群では Trail limb の跨ぎにおいて体幹を 前傾することが報告されており,筋力やバランス能力が 低下している高齢者では,急激な体幹の前傾および前傾 からの回復で跨ぎ動作後の転倒にも注意する必要がある と指摘されている。今回の研究では側方の動揺のみ評価 したが,前後の動揺における加齢変化についても明らか にする必要がある。  3 軸加速度計から得られるデータは大規模調査に活用 されている. 39). 。今回,3 軸加速度計を用いて歩行中の. 跨ぎ動作における姿勢安定性を評価することができた。 今後,歩行中の障害物跨ぎ動作の一連の姿勢安定性およ び,各区間の評価は,地域住民に対する調査や研究にお ける利用が期待できる。しかし,RMS とは,加速度波 形の振幅の程度であるため,解析区間における加速度振 幅の変化したタイミングや程度を明らかにすることはで きない。また,RMS,RMSR では身体動揺の量と質は わかるが,重心の移動距離や体幹のアライメント,実際 に COP-COM の角度はわからないため具体的な転倒リ スクを評価できない。これらを明らかにするためには三 次元動作解析機や床反力計を用いて,各区間の COM, COP の変位を評価し,加速度計のデータと比較検討し なければならない。また,健常高齢者と転倒経験を有す る高齢者との比較検討も必要となる。今後は転倒リスク を有する高齢者や,運動療法の効果判定に利用可能かど うか検討をすすめたい。 結   論  障害物への接近,障害物の跨ぎ越えという一連の動作 について,若年者と高齢者を対象に 3 軸加速度計を用い 姿勢安定性を評価した。今回の結果から,若年者と高齢 者は同様に,自由歩行よりも歩行中の障害物跨ぎ動作で 側方への身体動揺が大きくなることが示唆された。ま た,歩行中の障害物跨ぎ動作の中でも Trail limb の跨ぎ 区間でもっとも姿勢不安定になる可能性が示唆された。 Lead limb の跨ぎ区間において身体動揺の年齢の差を認 め,その要因は LTC の増大と体幹や骨盤帯の運動の違 いが考えられた。 利益相反  本研究において記載すべき利益相反はない。 文  献 1)川上 治,加藤雄一郎,他:高齢者における転倒・骨折の 疫学と予防.日老医誌.2006; 43: 7‒18. 2)Finlayson ML, Peterson EW: Falls, Aging, and Disability. Phys Med Rehabil Clin N Am. 2010; 21: 357‒373. 3)金 憲経,吉田英世,他:高齢者の転倒関連恐怖感と身体. 27. 機能 ─転倒外来受診者について─.日本老年医学会雑 誌.2001; 38: 805‒811. 4)新野直明,小坂井留美,他:在宅高齢者における転倒の疫 学.日本老年医学会雑誌.2003; 40: 484‒486. 5)厚生労働省ホームページ 平成 28 年国民生活基礎調査の 概況.http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/ k-tyosa16/index.html(2018 年 3 月 5 日引用) 6)Li W, Keegan TH, et al.: Outdoor falls among middle-aged and older adults: a neglected public health problem. Am J Public Health. 2006; 96: 1192‒1200. 7)Sakurai R, Fujiwara Y, et al.: Age-related self-overestimation of step-over ability in healthy older adults and its relationship to fall risk. BMC Geriatr. 2013; 13: 1‒9. 8)Shumway-Cook A, Guralnik JM, et al.: Age-associated declines in complex walking task performance: the Walking InCHIANTI toolkit. J Am Geriatr Soc. 2007; 55: 58‒65. 9)Uemura K, Yamada M, et al.: Older adults at high risk of falling need more time for anticipatory postural adjustment in the precrossing phase of obstacle negotiation. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2011; 66: 904‒909. 10)Guadagnin EC, da Rocha ES, et al.: Does physical exercise improve obstacle negotiation in the elderly? A systematic review. Arch Gerontol Geriatr. 2016; 64: 138‒145. 11)Zhang C, Mao D, et al.: Strategies of stepping over obstacles: The effects of long-term exercise in older adults. Gait Posture. 2009; 34: 191‒196. 12)徳田有美,斎川大介:またぎ動作の生体力学的特性と臨床 への応用.理学療法.2010; 27: 321‒327. 13)Park S, Ko YM, et al.: The Correlation between Dynamic Balance Measures and Stance Sub-phase COP Displacement Time in Older Adults during Obstacle Crossing. J Phys Ther Sci. 2013; 25: 1193‒1196. 14)Kovacs CR: Age-Related Changes in Gait and Obstacle Avoidance Capabilities in Older Adults: A Review. J Appl Gerontol. 2005; 24: 21‒34. 15)Galna B, Peters A, et al.: Obstacle crossing deficits in older adults: a systematic review. Gait Posture. 2009; 30: 270‒275. 16)Hsu WC, Wang TM, et al.: Control of Body’s Center of Mass Motion During Level Walking and ObstacleCrossing in Older Patients with Knee Osteoarthritis. Journal of Mechanics. 2010; 26: 229‒237. 17)Lee HJ, Chou LS: Detection of gait instability using the center of mass and center of pressure inclination angles. Arch Phys Med Rehabil. 2006; 87: 569‒575. 18)Chou LS, Kaufman KR, et al.: Medio-lateral motion of the center of mass during obstacle crossing distinguishes elderly individuals with imbalance. Gait Posture. 2003; 18: 125‒133. 19)Huang SC, Lu TW, et al.: Age and height effects on the center of mass and center of pressure inclination angles during obstacle-crossing. Med Eng Phys. 2008; 30: 968‒ 975. 20)松澤恵美,南風原英之,他:高さの異なるまたぎ越え動作 の運動分析に関する研究.臨床バイオメカニクス.2011; 32: 477‒482. 21)Timmis MA, Buckley JG: Obstacle crossing during locomotion: Visual exproprioceptive information is used in an online mode to update foot placement before the obstacle but not swing trajectory over it. Gait & Posture. 2012; 36: 160‒162. 22)Mohagheghi AA, Moraes R, et al.: The effects of distant and on-line visual information on the control of approach phase and step over an obstacle during locomotion. Exp.

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(9) 歩行中の障害物跨ぎ動作における側方の姿勢安定性. 〈Abstract〉. Lateral Postural Stability in Healthy Elderly and Young People while Crossing Obstacles during Locomotion: A Study Using Three-axis Accelerometer. Sho KUNIMUNE, PT, MA, Shuichi OKADA, PhD Graduate School of Human Development and Environment, Kobe University Sho KUNIMUNE, PT, MA Midorigaoka Hospital. Purpose: In this study, we aimed to evaluate lateral postural stability in young and elderly people while crossing obstacles during locomotion. The collective action of approaching an obstacle and crossing over it by a lead limb and a trail limb was assessed using a three-axis accelerometer. Methods: We enrolled 14 healthy young people and 14 healthy elderly people. They were instructed to cross an obstacle during locomotion and to walk while wearing a wireless three-axis accelerometer. The root mean square (RMSML) in each section and RMS ratio (RMSRML) of mediolateral trunk acceleration was calculated. Results: The RMSRML values for crossing obstacles during locomotion were significantly higher than those for walking with no obstacle, and there was no main effect due to age. The RMSML in the crossing section of the trail limb was significantly larger than that in the other sections. Conclusion: Regardless of age, lateral postural instability became larger in obstacle-crossing during locomotion rather than in free-walking. It was suggested that lateral postural instability may be greatest in the crossing section of the trail limb. Key Words: Walking, Obstacle crossing, Acceleration, Elderly people. 29.

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