Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design木 か ら
つ
く
る
新 材 料
New
material
made
from
tree
田
中 久 士
株 式 会 社木 紙
TANAKA
Hisashi
KIGAMI
Ltd
.
1 .
天 然 素 材
での
こ ころ み
図1
新 材料 :木 織布当 社
が開発
し た新 素 材
「自然 木
の布
」(
図
1
)
は、
天然
の木
目を そ の ま ま の状 態で織 り上げ た世 界で初めて の無 公 害の木 布 で あ る。自
然 木 が 本 来 もっ ている 成 分 (例 :檜一
ヒノキ チ オー
ル ;殺菌
・
消 炎作 用 ) 等
を 生 か した 生活
空問
・
提 案
型の製 品
で ある。
今
、
私
た ち のま わ り に は技 術
の発達
によ り化学 繊
維 を使
っ た 紙 や 布な ど の素 材の種 類 は膨 大 な 量にな りさまざ
ま な 使 用 目 的 に 対応
し た ものが 開 発 さ れて い る。
微 粒 顔 料 を 含 む 塗料
で塗工 し た 塗工紙
、
表 面
に ざ らつ きのある非
塗工紙
、
そ の他 特 殊 紙
、
和 紙
な ど用途に応
じ た種 類
が ある。
近年
、
環境
問 題 が 騒 がれ 天然 素 材
の風合
い の美 し さ、
や わらか なぬ く も り を 好 む 傾向
が あ ちこち に見られ る よ う なっ てき た。
ま た、
天 然素 材
の温かさ は社
会の ス トレ スを和
らげる効果
が あ りイン テ リ ア向け の需 要 が高
まっ て い る。 そこ で私 達 は
「自 然 素 材
のよ
さ を 見直
したい」 と、
自
然の素 材が本 来もっ て いる匂
い・
手 触 り などの 特 性・
成 分 を そのま ま 生 か し た 素 材 が 作 れ ないか ? と 考 え 開 発 さ れ た。
2 .
事
業
着
手
の背 景
2.
1
染 物 屋
か ら生
ま れ た高 橋 屋 染工 場 か ら 生 ま れた こ の新 素 材 は
、
公 害の で る 染 色 か ら の 脱 皮で あ り、
「自 然 に や さ しい素材
」作
り をテー
マに 長年
の染
色技術
を結 集
し て生
み だ し た もの で、
製造
工程
におい て も商
品に して も無
公 害の素材
で あ る。
木 材に着 眼し たのは、
先ず 自然 素 材
で あ ること、
材料
であ る 木 材 が 現 地で調 達でき、
他 場 産 業の 織 物 が 周 辺 に ある こと。
特 に、
環 境 問 題の解 決 は 時 代 の要 求であ り、
消 費 者
が 安 心 して使 え る商 品
を提供
で き る もの で ある。今 日
、
日本
の林 業
は、
戦 後
の植 林 事 業
から60
年 目
を28
デ ザ イン学 研 究特 集号sPeciaF issue ofiaPanese society forヒhe sclence ef design
vol
.
15−
2 no.
58 2007向
か え手付
かず
の山林
が荒 廃
し、
間 伐 材
が深
刻 な問
題 に なっ て い る。
国も、
間伐 材
の有 効 利
用を支 援
し て い るが 効 果 がで て いな
い。
2.
2
日 本 の 森 林の現 状現
在、
日本の人工林 は、
かつ てない危機
に陥っ てい る。
世 界 の森林
は、
過 度
な開発
・
乱 伐
や焼
き畑
な ど に よっ て森 林面 積
が減 少
し て い るが、
日本
で は まっ た く逆の 「利
用 さ れ ない こ と に よ る危
機」 に陥
っ て い る。 長 期的
な 木材 価 格
の低 迷 等
によ り、
林 業 を 取 り巻 く情 勢が厳しい中で、
必 要 な 整 備が十 分に行 わ れ ておらず、
昼 な お 暗 く、
ツ ル植
物 が 密 生 するヤブ
に 変 わ りつ つあ
る。ヤ ブ
と化
した森 林
で は、
生 息 す
る生物
の種 類
も少
な く、
森 林に期 待される水を浄 化す る 力、
土壌を保 持
す る力も低
く なっ ている。
つま り、
森
の力
が 弱 ま りっ っ あ るのだ
。森
の力
を取
り戻
す た め に は森 林
の保 育 作 業
が 必要
と さ れてい る。
2
.
3
日
本
の森
を守
る 「間伐
」保 育 作 業
の一
つに間伐
と いう作業
が あ る。人
工林
で は、一
定
面 積 内に非 常に多
く の本 数の苗 木を植え、
木の成 長に あわせて そ の都 度 適 正 本 数 を 保つ よ う に 調 整 して い る。
この作 業 が 間 伐 である。 こ の作 業
を行
わ ない と、
木
の枝 葉
が 茂っ ている部
分 が隣
の木
々 と接 触
し、
地 面に光 が届
か な くなる。
昼でも 地面
に は 日 が当
た らず
、
当 然
下生
え も生
え な くな り、
地表
の栄 養
を含
ん だ 土 は 雨で流 さ れて しま う。
残され た木
は、
ひ ょ ろ ひ ょ ろ と高 く伸
び、
幹
が 太らない いわ ゆる線香林
がで ぎ あ がる。
こ のよ うな森
は 風雪害
で折 れ
て し まい、
根
を張
る力
も弱
い の で大 雨
が降
る た び に根こそ ぎ 流 れて し ま う。
山は水を蓄
え る力を な く し、
大 水 や 山 崩 れ とい っ た 災 害 の 原 因とな る。
で は、
間伐 作
業 を し な くてよいよ う に最 初
か ら適 正本 数
だ け植
え れ ば よいの では な い か、
と い う疑 問
が 浮 か ん だ 人 もい るだろ う。
だ が、
現 実 はそ う う ま く はいか ない。杉
や檜
、
松
な どの針 葉 樹
は密集
し て植
え ることに よ り まっ す ぐ 育つ。
材と して商 品 価 値を も た せ る た め に は、
まっ す ぐな 材 が 望 ま しい の であ る。
ま ば ら に植
え ら れ た杉 や檜
は 下の方
が太
く、
先端
に行
く に従
っ て細
く なる。木
と し て は健全 な成 長と も い え る のだが、
材
と し て は使
え る と こ ろ も 少 な く、
商
品 価値
も低
い。 と いう わ けで、
日本
の林 業
の主 役
と 言 え る 杉では、1ha
あ た り3QOO
本 もの苗 木 が 植 え ら れ る。
こ れ が最 終
的 に は500 〜600
本 に な る。
約
4
/
5
は 間 伐 し な くて はな
らない の である。 こ こ で間 伐
され
た木 材
は材
と して の商 品
_ 、_恥
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Japanese Soolety for the Solenoe of Deslgn価値 が低
く建 材 な ど
の 利 用 は難
しい。
そこで当 社
の技 術
は、
こ の間 伐 材を利 用し、
環 境 を 守 りな が ら付 加 価 値のあ る 商 品 を 提 供 す る もの であ る。一
言
で述べ る と 「一
本の木で、一
山 に相 当
する商 品
ができ る。」環 境
にや
さ しい新 索 材
であ
る。3
,
特 徴
3.
1
木 の 累 材の魅 力世 界 的 に 環 境 問 題 が 叫 ば れて いる 中で人 々 に
自
然回 帰
の風潮
が目覚
めている。布 類
に関
しては、
数年 前
まで殆
ど見 向
き も さ れ な かっ た原始 布
が脚 光を浴びて い る。
こ の原 始 布 (自 然 布 ) と呼 ば
れて いるもの にシナ 布・
葛
布・
芭 蕉 布
が あ る。
これ ら の 材 料 は、
樹 皮 や 葉 柄・
蔓の繊 維 か ら 織 り上 げ た もの で、
ど れ も が 同 じ繊 維 だ け の布
であ る。
「
木 織 布
」 は、
繊 維
で は な く木
の幹
をそ のまま
の状 態
で 日本
伝 統 技
法の 「 引き箔 織 り亅 で 織り 上 げ た自
然 布であ り、
最 大 の特 徴
は樹 木
の成
分 を 有効
利 用 し た製
品 ができ ることであ る。
又、
布の表 情 も 木 肌 に よ り多 彩であ り使 用 す る 用 途 に あ わ せる こと がで き る。
ブ
ナの木
は 洋 式 用 に、
檜
・
杉
は和
式用
に合
い、
高級 感
を表 現
する に は2000
年
の木
目を そ の状 態
で再 現し た世
界 遺 産の 屋久 杉
がある。
(注 :屋 久 杉は 土 埋木 を 加工 して い る )難
、
1:;爵
i
職
;
.
図2
左 ) ブ ナ 材’
柾 目 中 央 ) 檜 材 :板 目 右 ) 屋 久 杉,
板目生 産性
に おいて は、
収 穫 時 期 の 限 ら れ た 原 始 布 と 比べ る と、
木 材 その もの を 加工 す るの で安 定 した 供 給 が 可 能であ り材 料 費 に 格 段の差 が あ る。
更
に、
材料
1
個
の単
位 が、厚
さ0
.
1
rnm、
巾
0
.
6mm
のもの であ り、
全て の木 材
を有
効 的に利 用す る こ とがで きる の で環 境
の保 護
に もな る。
従 来
の木 製
品 は、
ど れ も 「木
」本
体 の使
用 に 留 まっ て いたの で製 品 に 限 り が あっ た。
又、
市 場 の方 向 性 も 木 を 強 化 さ せる技 術の商 品であ り、
木 を 柔 ら か く す る考 え が 無 かっ た。(
特許 取 得済
:8
件)
壁
材
と し て大量 に使
わ れ て い る商
品に木を薄
く ス ラ イ ス し た 「突 き板
」が あ
る が、
機 能
的 に 限 界で直 角
に貼
るの は 不 可 能で あ り、
施 工 費 も 高 く取
り付
け場 所 も限
ら れて い る。更
に、
全面
に貼ると圧迫 感 と 息苦
し さを 感じ て いた。
そ の 反面 「木 織 布
」 は、
ジャガー
ド織
りがで き る ので、
例
えば画期 的
な技 法
では木
の表
面に多 彩
な柄
を 現 すこ と がで き、
木 そのものだ け と 異 な り 全体
の雰 囲気
を 柔 ら か く 表 現 する こと がで きる。
更に、
織っ て いる た め 機 能 面 も良
く素 材
が 呼 吸 を する の で湿度 調整
や光
の吸
簾
収
に よ り 目 に や さ しい快 適
な生 活 空
間 を 提案
でき る。
(
原木
か ら作 った と は 思 え ないその しな や か さ は、
カー
テンに も 使 用で き る。
)
その機 能
か ら木 材
・
建築
・
織 物
・
紙 業 界
等 に 拡 大で き幅広
いエ リ ア に進 出
できるもの であ
る。纛 嚢
聡
マ:
i
灘
1
靉
谿
難灘
驪
縫
1
難
舞
屋 久 杉 材 市 松 模 様 織 り 屋 久 杉 材,
1
1
図3
木織 布・
柄 織り見本ま た
、
こ の素 材
は0
.
1mm
に ス ライス した単板
を使
う ので、
非
常 に 薄い状 態のま ま 仕 上 げ ることができ る。
その薄 さ は 透か し て向こ う側 が 見 えるほ ど だ。
こ の特徴
を 生 か し 照 明 器 具 な どの素 材
とし ても利用
できる。(
図
4
:写真 参 照)
デ ザ イ ン 学 研 究 特集 号sPecトal Issueof ]apanesesocletyforthesclenceefdesign vol
15
−
2 no58 2007NJapanese Society for the Science of Design
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Japanese Sooiety for the Soienoe of Design図4 左 ) 木目乙し に向こう 側が 透けてみ え る 中央)試作した照 明 器 具 右 ) 点 灯 し た 写 真