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2. 繰上げ受給と繰下げ受給 65 歳から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金は 本人の選択により6~64 歳に受給を開始する 繰上げ受給 と 66 歳以降に受給を開始する 繰下げ受給 が可能である 繰上げ受給 を選択した場合には 繰上げ1カ月につき年金額が.5% 減額される 例えば 支給 開始年齢

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年金繰下げ受給の効果

70 歳超の繰下げ拡大で高齢者の就業促進期待

○ 年金の支給開始年齢は原則65歳だが、66~70歳からの繰下げ受給を選択すると年金額は繰下げ1 カ月につき0.7%増える。今後、繰下げ制度の周知と70歳超の受給開始に関する検討が行われる ○ 70歳超の繰下げ増額率も同じとすれば、一定の仮定の下で計算すると手取りベースで比較しても 単身世帯で89歳まで生存すれば65歳受給開始より75歳受給開始の方が生涯の年金総額は増える ○ 少子高齢化が進み、労働力人口が減少するなか、70歳代の就業を促進するためにも、70歳超の繰 下げ受給の拡大を進めていくことが必要である

1.公的年金の支給開始年齢

公的年金の支給開始年齢は原則として65歳である。ただし、厚生年金については、60歳代前半に「特 別支給の老齢厚生年金」が一部支給されており、完全に65歳からの支給となるのは、男性は2025年度 以降(1961年4月2日生まれ以降)、女性は2030年度以降(1966年4月2日生まれ以降)である(図表1)。 図表 1 特別支給の老齢厚生年金の支給 (注)60~64歳に支給される「特別支給の老齢厚生年金」の定額部分は既に支給終了。2018年度は男性は62歳以上、女性は61歳以上に 報酬比例部分が支給されている。 (資料)厚生労働省資料より、みずほ総合研究所作成 生年月日 男性 1949.4.2~1953.4.1 女性 1954.4.2~1958.4.1 男性 1953.4.2~1955.4.1 女性 1958.4.2~1960.4.1 男性 1955.4.2~1957.4.1 女性 1960.4.2~1962.4.1 男性 1957.4.2~1959.4.1 女性 1962.4.2~1964.4.1 男性 1959.4.2~1961.4.1 女性 1964.4.2~1966.4.1 男性 1961.4.2~ 女性 1966.4.2~ 老齢厚生年金 老齢基礎年金 老齢厚生年金 老齢基礎年金 老齢厚生年金 老齢基礎年金 老齢厚生年金 老齢基礎年金 老齢厚生年金 老齢基礎年金 老齢厚生年金 老齢基礎年金 60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 65歳 65歳 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分) 政策調査部上席主任研究員 堀江奈保子 03-3591-1308 naoko.horie@mizuho-ri.co.jp

政 策

2018 年 6 月 8 日

みずほインサイト

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2.繰上げ受給と繰下げ受給

65歳から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金は、本人の選択により60~64歳に受給を開始する 「繰上げ受給」と、66歳以降に受給を開始する「繰下げ受給」が可能である。 「繰上げ受給」を選択した場合には、繰上げ1カ月につき年金額が0.5%減額される。例えば、支給 開始年齢の65歳より5年(60カ月)早く60歳0カ月から受給を開始すると年金額は30.0%(0.5%×60 カ月)減額となる。一方、「繰下げ受給」を選択した場合には、繰下げ1カ月につき年金額が0.7%増 額される。5年(60カ月)遅らせて70歳0カ月から受給を開始すると年金額は42.0%(0.7%×60カ月) 増額となる(図表2)。 繰上げ受給を選択している者は、徐々に減少している。老齢基礎年金のみの受給権者1のうち、繰上 げ受給権者数は2012年度末時点で323万人、受給権者全体の40.2%であったが、2016年度末には251万 人、同34.1%となっている(図表3左)。なお、老齢厚生年金の受給については、現在、特別支給の老 齢厚生年金のうち、報酬比例部分が一部支給されているため、繰上げ受給を選択する者は少なく、2016 年度末時点で5万人、繰上げ受給率は0.2%にとどまっている。 図表 2 繰上げ受給と繰下げ受給の年金増減率 繰上げ受給 繰下げ受給 請求時の年齢 減額率 請求時の年齢 増額率 60 歳 0 カ月 30. 0% 66 歳 0 カ月 8.4% 61 歳 0 カ月 24. 0% 67 歳 0 カ月 16. 8% 62 歳 0 カ月 18. 0% 68 歳 0 カ月 25. 2% 63 歳 0 カ月 12. 0% 69 歳 0 カ月 33. 6% 64 歳 0 カ月 6.0% 70 歳 0 カ月~ 42. 0% (資料)厚生労働省資料より、みずほ総合研究所作成 図表 3 繰上げ受給と繰下げ受給の状況 【繰上げ受給】 【繰下げ受給】 (注)繰上げ受給は、老齢基礎年金のみの受給権者のうち繰上げ受給権者数とその割合。繰下げ受給の「国民」は老齢基礎年金のみの受給権者 のうち繰下げ受給権者数とその割合、「厚生」は老齢厚生年金の受給権者のうち繰下げ受給権者数とその割合。それぞれ年度末現在。 (資料)厚生労働省資料より、みずほ総合研究所作成 323 304 286 268 251 40.2 38.6 37.1 35.6 34.1 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 2012 13 14 15 16 (%) (万人) (年度) 【割合(右目盛)】 【人数】 23 10 24 10 25 10 26 10 28 10 1.2 1.3 1.2 1.3 1.1 1.3 1.1 1.4 1.2 1.4 0.0 0.5 1.0 1.5 0 10 20 30 40 50 60 (%) (万人) 【割合(右目盛)】 【人数】 厚生 国民 国民 厚生 2012 13 14 15 16 (年度)

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3 一方、繰下げ受給権者数は、老齢基礎年金のみの受給権者については10万人程度、受給権者全体に 占める割合は1.3~1.4%で推移している。老齢厚生年金の受給権者については、2012年度末の23万人 から徐々に増加しており、2016年度末には28万人となった。ただし、受給権者全体に占める割合でみ ると、1.1~1.2%で推移しており、あまり変化していない(前掲図表3右)。

3.繰下げ受給の拡大検討

2018年2月に閣議決定された「高齢社会対策大綱」では、公的年金の繰下げ受給に関して、「65歳よ り後に受給を開始する繰下げ制度について、積極的に制度の周知に取り組むとともに、70歳以降の受 給開始を選択可能とするなど、年金受給者にとってより柔軟で使いやすいものとなるよう制度の改善 に向けた検討を行う」と記されており、今後、繰下げ受給の拡大が検討される見通しである。 繰下げ増額率については、70歳0カ月までと同様に繰下げ1カ月につき年金額が0.7%増額と仮定する と、75歳0カ月からの受給の場合、年金額は84.0%の増額となる。2018年度の新規裁定者の年金額(老 齢厚生年金と老齢基礎年金の合計)は、男性の平均的収入2で40年間就業した場合で年額188万円であ る3。この年金額で繰下げ受給を選択すると、70歳4からの受給で266万円、75歳からの受給が可能にな れば345万円(繰下げ1カ月につき0.7%増額の場合)となる。 ただし、年金額が増額されると、税や社会保険料の負担も増えるため、手取りベースで考えると増 額率は抑制される。年金額、他の収入、各種控除、居住する地域等により税や社会保険料が異なるた め、手取りベースの増額率は条件により差が生じる。以下では、仮に、単身世帯で、東京23区のうち 最も人口数が多い世田谷区の例で計算すると、先ほどの男性の平均的収入で40年間就業し、年金以外 の収入がない場合の手取り収入額は、65歳からの受給で169万円、70歳からの受給で229万円、75歳か らの受給で291万円となる(図表4)。 図表 4 繰下げ年齢別の年金額 (注)単身世帯で、男性の平均的収入で40年間就業したときの2018年度の年金額をもとに受給開始時の年金額と手取り額を算出。受 給開始年齢は各年齢の0カ月のもの。2018年度価格。70歳1カ月以降も繰下げ増額率が1カ月につき0.7%増額されると仮定。医療 保険料は74歳までは国民健康保険で世田谷区の2018年度の保険料、75歳は東京都の2018年度の後期高齢者医療保険料、介護保険 料は世田谷区の2018年度の保険料で算出。所得税、住民税は、基礎控除、公的年金等控除、社会保険料控除のみを考慮。 (資料)厚生労働省、国税庁資料等より、みずほ総合研究所作成 0 50 100 150 200 250 300 350 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 (万円) 〔受給開始年齢〕 (歳) 年金額 手取り額

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4 前述の例による受給開始年齢別の手取り年金額から「手取り繰下げ増額率」を算出すると、70歳か ら受給を開始すると35%(制度上の繰下げ増額率は42%)、75歳から受給を開始すると72%(同84%) となる(図表5)。 また、同じ例で、受給開始年齢が65歳、70歳、75歳のときの受給終了年齢別(死亡年齢別)の年金 総額(手取りベース)を比較すると、65歳より70歳で受給開始した方が生涯の年金総額が増加するの は84歳0カ月以上生存したときとなる。また、65歳より75歳で受給開始した方が年金総額が増加するの は88歳10カ月以上生存したときとなる(図表6)。 図表 5 受給開始年齢別の繰下げ増額率 (注)前提条件は、図表4と同じ。 (資料)厚生労働省、国税庁資料等より、みずほ総合研究所作成 図表 6 受給開始年齢別の年金総額(手取りベース) (注)前提条件は、図表4と同じ。点部分は各年齢の11カ月まで年金を受給した場合。 (資料)厚生労働省、国税庁資料等より、みずほ総合研究所作成 8 17 25 34 42 50 59 67 76 84 0 7 14 21 28 35 42 49 57 64 72 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 (%) 〔受給開始年齢〕 (歳) 増額率 手取り増額率 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 65 70 75 80 85 90 95 100 (歳) (万円) 〔受給終了年齢〕 65歳から受給 70歳から受給 75歳から受給

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5 また、70歳より75歳で受給開始した方が年金総額が増加するのは93歳7カ月以上生存したときとなる (前掲図表6)。 70歳超の繰下げ増額率については70歳まで(繰下げ1カ月につき0.7%増)より上乗せされることも 考えられる。図表5で示した手取りベースの繰下げ増額率は一例であり、年金額や他の条件により個人 ごとに異なることには留意する必要があるが、2016年時点の65歳の平均余命5は、男性は19.55年(84.55 歳)、女性は24.38年(89.38歳)であることを考えると、70歳超の繰下げ受給を普及させるには繰下 げ増額率の上乗せが必要であろう6

4.高齢者の就業と年金

年金の繰下げ受給の拡大の狙いは、高齢化が進むなか「高齢期における職業生活の多様性に対応し た年金制度の構築」のためである7。現在、60歳定年企業が多いものの、企業には65歳までの継続雇用 制度の導入等も含めた雇用確保が義務付けられており、65歳までの雇用確保は概ね定着した。今後は 70歳を見据えた雇用機会の確保が課題になるが、現在、66~69歳定年企業が0.7%8、70歳以上定年企 業が1.1%、定年制を廃止した企業が2.6%、希望者全員に66歳以上の継続雇用制度を導入している企 業が5.7%(66~69歳が0.6%、70歳以上が5.1%)にとどまっている。 ただし、65歳以上の就業者数は徐々に増加しており、2017年の65歳以上の就業者数は807万人で、う ち65~69歳が440万人、70~74歳が210万人、75歳以上が157万人である(図表7上)。また、それぞれ の年齢階級別の人口に占める就業者の割合(就業率)でみると、65~69歳、70~74歳はこの数年上昇 しており(図表7下)、65歳以上の就業者数が増加しているのは高齢者数そのものが増加しているだけ 図表 7 65 歳以上の就業者数と就業率の推移 (注)2011年はデータなし。就業者数は四捨五入の関係で必ずしも合計と一致しない。就業率は、各年齢階級別の人口 に占める就業者の割合。 (資料)総務省「労働力調査(詳細集計)」(各年版)より、みずほ総合研究所作成 255 440 137 210 90 157 0 200 400 600 800 2002 03 04 05 06 07 08 09 10 12 13 14 15 16 17 (万人) (年) 75歳以上 70~74歳 65~69歳 807 482 34.2 44.3 21.9 27.4 9.1 9.0 0 10 20 30 40 50 2002 03 04 05 06 07 08 09 10 12 13 14 15 16 17 (%) (年) 65~69歳 70~74歳 75歳以上 【就業者数】 【就業率】

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6 ではなく、就業率が上昇していることも影響している。 わが国の高齢者の就業意欲は高いことが知られる。60歳以上の男女を対象とした内閣府「高齢者の 地域社会への参加に関する意識調査」(2013年)によると、就労を希望する年齢は、「働けるうちは いつまでも」が29.5%、「76歳以上」が2.7%、「75歳ぐらいまで」が10.1%、「70歳ぐらいまで」が 23.6%となっており、65歳を超えて働きたいと回答した者の割合が全体の7割弱となっている。これを 年齢層別にみると、年齢層が高いほど「働けるうちはいつまでも」と回答する割合が高まる傾向があ る。 こうしたなかで、70歳代の就業をさらに促進するためにも、70歳を超える繰下げ受給の拡大を実施 すべきである。また、現在、厚生年金の適用対象は70歳未満となっているが、70歳以上も適用対象と し、保険料を拠出し続けることになれば、退職後の年金額のさらなる増額にもつながる。厚生年金の 適用対象年齢の引き上げもあわせて検討すべきであろう。 なお、高齢者の就業促進に関しては、年金制度改革のみならず、それぞれの就業ニーズに応じた多 様な形態による就業機会や勤務形態の確保、高齢者を積極的に雇用する企業への支援拡大、再就職支 援や高齢期の起業支援等の対策もあわせて実施することが必要である。 1 年金を受ける権利を持っていて、本人の請求により裁定された者。全額支給停止されている者も含む。 2 平均標準報酬(賞与を含む月額換算)42.8 万円。 3 厚生労働省「平成 30 年度の年金額改定について」(2018 年 1 月 26 日)による。月額 156,336 円。 4 70 歳 0 カ月。以下同じ。 5 厚生労働省「簡易生命表」(2016 年)による。 6 繰下げ受給で年金額が増額されることにより、医療保険や介護保険の自己負担割合が上がることがある。医療費は 70 歳以上は原則 2 割負担、75 歳以上は原則 1 割負担であるが、現役並み所得者(単身世帯で年金収入等が 383 万円以上) は現役世代と同じ 3 割負担である。介護保険は原則 1 割負担だが、一定以上所得者は 2 割負担(単身世帯で年金収入等 が 280 万円以上)であり、2018 年 8 月からは 2 割負担者のうち特に所得の高い層(同 340 万円以上)は 3 割負担となる。 7 「高齢社会対策大綱」(2018 年 2 月閣議決定)による。 8 厚生労働省「平成 29 年「高年齢者の雇用状況」集計結果」(2017 年 6 月 1 日現在)による。全国の常時雇用する労働 者が 31 人以上の企業 156,113 社に占める企業数の割合。以下同じ。 ●当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、取引の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基 づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。本資料のご利用に際しては、ご自身の判断にてなされますようお願い申し上げます。 また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。なお、当社は本情報を無償でのみ提供しております。当社からの無償の情報提供をお望みにな らない場合には、配信停止を希望する旨をお知らせ願います。

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