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アポレター

5 11 21 21 19 19 20 コンセプトメッセージ

服薬ケアの真髄を探る

服薬ケアの真髄を探る

顧問連載 No.15

福岡県福岡市

風土記

SPファシリテーター

研修に参加して

スタディールーム

選ばれる医療人を目指して

わたし薬剤師です 15 5 13 17 15

薬学生のインターシップ事始め

教授掲載 17 12 17 12

薬局長コラム

middle manager's column

middle manager's column

くすりに夢があった時代

くすりに夢があった時代

と き と き ぐうたら薬剤師のつぶやき

頑張っています

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組織活性化の条件

組織活性化の条件

巻 頭 特 集 1

特 集 7

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近年、薬剤師に高いレベルの調剤サービスが求められています。 そのためにも、医療ミスをなくすことが重要です。 そこで今回は、「処方せんチェック」や「ヒヤリ・ハット」の実例に触れる取り組み・ 研究をされています、九州大学 澤田教授にお話しを伺いました。

薬学部 6 年制教育について

松尾 澤田先生は、薬物動態学、薬剤予測学という創薬 系を専門にされていますが、今は現場に近い部分の研究 をされています。これまでの経緯をお聞かせください。 澤田 医薬品開発の中のプロセスでいうと、いわゆる薬 物動態・製剤設計のところの研究・教育を担当してお りました。たまたま東京大学医学部附属病院薬剤部の 伊賀先生に薬剤部のスタッフとして呼ばれました。医 療系の業務なんて知りませんでしたから、調剤の現場へ 行ったらパニックでしたね。半日いたのですが何もで きない。微動だにできない。投薬窓口で何かやれと言 われても何もできない。大変な思いをしましたが、一ヶ 月くらいいると、大体の流れが分かってきて、今まで知 らなかった世界だということが判明しました。医薬品 市販後の適正使用や育薬がいかに重要なことであるか というのもすぐに分かりました。 松尾 そこで医療に目覚められたわけですね。そして 薬学部の教授になられた。どのような変化があったの でしょうか。 澤田 九州大学は、国立大学で初めて大学院に医療薬科 学独立専攻を作ったことでよく知られておりました。 創薬を標榜する大学が多い中、ここには医療薬学の講座 が作られて、それとの絡みで医療現場にいた私が教授と して呼ばれたというわけです。今は薬学部がたくさん 創設されています。そこに医療関係担当者として呼ば れるのは、学位持っており、医療現場にいた人たちですよ。 医療現場から薬学部に来るというのは、現在では珍し くありませんが、当時としては珍しかったのかもしれま せん。 松尾 私立大学はたけのこ式に増えていて、教員を確保 するのに大変なのではないでしょうか。 澤田 大変でしょう。学位を持っている人は、医療現場 を離れ、最初の数年程度は連携をとれるかもしれませんが、 そのうちとれなくなったりすると、丘にあがったカッパ。 こうなってはいけませんね。ところで、九州にも薬学部 を創設している大学が増えていますね。総合メディカ ルとしても、求人にはいいのではないですか。 松尾 うちにとっては追い風であろうと感じています。 澤田 優秀な人を確保できますね。 松尾 今、年間に9千人の薬剤師が輩出されていますが、 将来的には1万3千人になります。これは今回の趣旨 とは逸れますが、全員が薬剤師になるわけじゃないとし ても、たくさんの薬剤師が新設を含めた薬学部から卒業 していきます。ところが医療費の高騰で、国民保険は崩 壊の危機に立っているわけです。医療費抑制の中で、ま た分業率頭打ちの中で、「薬剤師はどうするの?」とい うときが来ると思います。そのことに対してどのよう にお考えでしょうか。 澤田 医療現場には優秀な薬剤師しかいなくなるでし ょうね。一方で製薬企業のMRへの就職口も出てくる のではないかと思います。現在でも大きな製薬企業ほ ど全MRに対する優秀な薬剤師の割合が高いと聞いて います。これから薬学部が6年制になると、病院で半 年間研修をし、病棟で医師と接する機会があるわけで すから、そういう有能な人材を企業がどう判断する かではないでしょうか。私は製薬企業にとっても魅 力のある人材が輩出されることになると思います。 しかし、6年制の教育内容はまだ分からないですよ。 製薬企業も、大学がどのくらい教育してくれるのか 分かってないと思います。また、これも教育内容に よりますが、MRだけではなく、企業の技術者・研究 者としての就職が増えてくる可能性もあります。

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SOGO Pharmacy 九州大学大学院薬学研究院 医療薬科学専攻臨床薬学講座製剤設計学分野教授 本年10月1日付 東京大学大学院薬学系研究科 医薬品情報学寄付講座教授 1974年 東京大学薬学部薬学科卒業 1979年 東京大学薬学部助手 1980年 薬学博士(東京大学) 1990年 東京大学医学部助教授(附属病院薬剤部) 1995年 九州大学薬学部教授 専門分野 薬学動態学 薬物予測学 担当教科 薬剤と生命 薬剤学Ⅰ 薬物作用評価学Ⅱ      医薬品適正使用学入門 主な著書 「薬の飲み合わせ」(講談社ブルーバックス)      「薬による脳の研究」(南山堂)      「薬剤予想学入門」(じほう)      「薬の神経・精神に対する副作用」(南山堂)      「臨床医のための薬の相互作用とそのメージメント」(南山堂)      「一目でわかる医薬品相互作用」(編著、文光堂)      「この薬はウサギかカメか」(中公新書)      「薬学と社会」(じほう)      「処方せんチェック 虎の巻」(日経 BP)      「処方せん鑑査・疑義照会 実践トレーニング」(南山堂)      「処方せんチェック 消化管吸収と相互作用」(南山堂)      「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析第1集」(じほう)

調剤過誤、ヒヤリ・ハットについて

澤田 康文(さわだ・やすふみ) 松尾 一方で、製薬企業が研究費を捻出するためにM& Aや合併を繰り返しています。そうするとパイは必ず しも大きくならないのではないでしょうか。文部科学 省の行政と厚生労働省の思惑がどこで一致したのでし ょうか。 澤田 6年制の教育の向かい風となる雰囲気は漂って いませんよね。ただ教育を担当するスタッフが充分に いないのではないでしょうか。結局、予備校的な大学に なって、試験さえ合格すればいい。また研究歴もないよ うな教員が教えても面白くないし予備校のセミナーみ たいになると悲劇ですよね。この辺を高校生が良く分 かってくれば、薬学部はあまり魅力がないとも判断され かねません。心配なことです。 松尾 さて本題に入っていきたいと思います。先生が 臨床に目を向けられてご研究されている中で、ヒヤリ・ ハットの本も出版されていますが、そこに目を向けられ たのはどういう背景からでしょう 澤田 調剤の過誤、ミス、ヒヤリ・ハットの精細な解析、 処方せん関係の問題などの的確なチェック、これらが重 要なのです。私の基本的な考えとして、机の前に座って いたって勉強できない、結局現場で学ぶ、現場が教材に なるということです。現場は宝の山なのですね。それ をしっかりと捉えて教材にする。これが、私が病院にい て学んだことです。大学の薬学部でじっとしていても 現場で役に立つようなエビデンスを捉えることはでき ません。したがって、調剤過誤などのような現場のデー タを積極的に収集して、単に統計を取るとかでは なくて、個々の事例に関して過程や要因など を明らかにしていこうと考えたのです。 これまで調剤過誤などの統計を取る話、 つまり、どういう場面でミスを 犯し、それが何パーセン ト起こるかとい

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薬剤師教育にかける思い

う統計解析はいくらでもありました。私としては、有用 な情報収集システムを作って、個々の現場で起こった エビデンスを詳細に解析して学ぼうという姿勢を一貫 してとってきました。 松尾 そうすると、それをフィードバックして医療現場 の質をあげるという意味合いがあると思うのですが、先 生がヒヤリ・ハットなどの勉強会をしてこられて、漠然で も結構ですから感じられていることをお聞かせください。 澤田 多くの若手の薬剤師には勉強・研鑽意欲はあり ますが、いい教材がないというのが現状です。“処方せ んチェック・虎の巻”(日経 BP 社)などを出版しまし たが、このような本がベストセラーになりました。薬剤 師は勉強しない連中だといわれてきましたが、結局はい い教材がない、どう勉強したらいいのかさっぱり分から ないというのが一番大きな原因ではなかっただろうか と思うのです。勉強の仕方や、いい教材・コンテンツを 提供するのは大学の役割です。それをやってこなかっ たため、先のような教材を作ると、インパクトがあって 勉強しようかなと意欲が出てくるのです。福岡市薬剤 師会との共催で勉強会をやっているときも、実際の事例 を教材として作り上げたものはとても興味深く聞いて くださいますね。彼らには勉強意欲は昔からあったと 思います。新米薬剤師だったら、現場ではいつもヒヤリ・ ハットして手がふるえて何もできないと思います。間 違ったらどうしよう、怖い、どうしたらいいのか分から ない。誰も教えてくれませんし、 いい教材もない。「他の薬剤師 さんにはこのようなことはない のだろうか?私だけなのか? 実はそうではなくて皆が同じ ように悩んでいるんだ!」と いうことが勉強家の中で 分かってくる。全国のインターネットを用いた薬剤師 間情報交換・研修システム(アイフィス)はそのために 構築されたのです(薬剤師限定の会員登録サイト→ http://133.5.227.211/i-phiss/i-phiss.html からど んどん入会してください)。 松尾 なるほど。薬剤師会と協力して行われたものは、 具体的に本、インターネットの情報交換システムとして 成果をあげられていますが、そのほかに成果としてどの ようなことがありますでしょうか。 澤田 個々の薬剤師たちがブラッシ ュアップされて良く処方を見るよう になったとか、ヒヤリ・ハットを起 こしにくくなったなどの詳細な解析は、 残念ながらいまのところ行っていま せん。このような評価を行うのはも のすごく難しく、大きな研究テーマ になると思います。大変魅力のある研究テーマであり、 今後検討したいと思っています。今現在、評価として あるのは、例えば全国の薬剤師にはアイフィスなどに興 味を持っていただいており、会員がどんどん増えている ことです。そういうサービスが充実して、薬剤師がどん どん来てくださるということが一つの成果です。とい うのは来ていただければ、彼らに間断なく優れたコンテ ンツを提供できる自信はありますから。ただ、彼らのレ ベルがどれ位上がっているかの評価は、それを具体的に 解析の方法が分からないので今後しっかり考えなくて はいけませんし、将来はアイフィス会員となっている薬 剤師群がどれくらいミスをしなくなったとかの評価に もつなげなければなりません。我々のサイトで勉強し て医師や患者から評価が上がってくれば成功ですね。 松尾 病院薬剤師は糖尿病など専門薬剤師もいます。 調剤薬局におきましては、薬剤師は勉強できる機会も少 ないですし、専門性をもつのが困難ですね。 澤田 専門の病院の前に開局している薬局であれば、 疾患に関連した特定の薬に多く触れます。よくあるの は眼科や皮膚科などですね。基本的には保険薬局の薬 剤師さんにも専門薬剤師というのはあり得ると思います。 しかし、基本は、ありとあらゆる全ての医薬品の情報を 充分にケアできるようになっていなければなりません。 その後の専門薬剤師ですね。 松尾 これからどういう薬剤師を育てていきたいか、 先生のビジョンをお聞かせください。

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SOGO Pharmacy 育薬 医薬品適性使用 患者基本情報 手段 態度 技能 手段 態度 技能 本質 知識 服薬指導・薬剤管理 処方せんチェック 処方設計コンサル 薬・薬連携 インタビュアー:薬局運営サポートカンパニー 松尾俊和 編集:薬局運営サポートカンパニー 村田佳子 注)ナレッジ:知識の共有 10 月1日から東京大学大学院薬学系研究科に「医薬品情報学 寄付講座」が開設されました。製薬メーカーをはじめとする 各企業・団体、および調剤薬局からは当社が参画し、以下の 目的を達成するために寄付講座の運営に助力を行います。 ① 国民のみなさんの健康や地域医療への貢献 ②薬剤師をはじめとするみなさんへの薬学的情報  およびツールの提供・活用 本東京大学寄付講座からの情報等を活用することにより、医 療人としての能力・スキルを向上させていきましょう。 澤田 薬剤師の基本中の基本は、処方せんチェックと処 方設計コンサルテーションだと思っています。これは 医薬品適正使用から育薬につながっていきます。この 業務を充実したものにするには、患者基本情報の把握が 必要です。患者基本情報がなければ充分な処方せんチ ェックと処方設計コンサルテーションはできません。 患者基本情報をしっかり捕まえるためのツールとして あるのが服薬指導と薬歴管理ですね。もう一つは薬・ 薬連携。しかし、これらは私から言わせると「手段」、 教育の場面で言えば「技能と態度」です。では、薬剤業 務の「本質」はどこにあるかというと「知識」です。も ちろんよい「手段」がないと、的確に患者基本情報を得 ることはできません。だから優れた「知識」を充分に持 って、「技能・態度」を上手く使って患者、医師などの医 療従事者と接し、医薬品適正使用と育薬を実践していく ということが大切です。  服薬指導をしたいから薬剤師になりたいという学生 が結構います。対話していくと、私の最後の結論は、「あ なたそれは看護師や医師になった方がいい」というこ とになります(笑)。勘違いが多いですね。服薬指導は 技術・態度・手段でしかありません。ただし、これは必 要であることは間違いありません。薬学教育の中で、 技術・態度の教育は今までほとんどありませんでした から。しかし、最近では、コミュニケ−ション、SOAP などの教育はなされつつありますが、処方せんチェック、 処方設計コンサルテーションが未だに大きく欠落して います。これをしっかりやることが薬剤師にとっても 重要なことであるし、その教育を充実させることが大学 にとって必要なのです。それを積極的にやることが薬・ 人を育てることになります。ここまで来ると、国民・患 者のみならず製薬企業からも充分に認知されます。医 療現場と製薬現場の相互理解が生まれるわけです。全 体を眺めていると、真ん中に薬学部がいて、医療現場、 製薬現場、行政の関係を良好にする、そういうコーディ ネータみたいな役割を大学ができればと思います。ど この大学がやってもいいことかもしれないけれど、私自 身は、それを目指していますね。 松尾 そうするとこれをナレッジ化注)すると。 澤田 そうです。基本的に「知識」がなければ、いくら 他が長けていたとしても、患者さんからすれば、優しい 言葉はもらったけど、ほしい回答はなかったということ になります。その知識はどのようにして手にいれるか。 私が描いている図式は次のようになります。例えば、 北海道の一人薬剤師の方が大変いい経験したエビデン スを我々に送っていただく、我々はそれを磨いて優れた 教育コンテンツに仕上げます。それが全国の薬剤師に 配信されて、例えば沖縄の一人薬剤師が自己研鑽する。 一人薬剤師は限られた処方せんしか調剤しないので、 限られた経験しか得られず、限定された勉強しかできない。 しかし、薬剤師間情報交換システム、アイフィスの会員 となれば、全国の事例を目にすることが可能となり、数 百倍、数千倍の自己研鑽ができることになるのです。 今はこのアイフィスの運営のためにスタッフ3人でや っていますが、今後大勢のスタッフで取り掛かれば本当 に現場の役に立つ、国や政府に対して意見を述べられる ようなコンテンツがたくさん出来上がるんじゃないの かなと思います。これらコンテンツは薬剤師が持たな ければならない「知識」の源泉になるのです。将来の薬 剤師国家試験の実地問題となるかもしれませんよ。  おわり

(6)

C

oncept Message

中国西部薬局運営部 部長

松山 伸一

 組織の成長の勢いを鈍化させることなく、 確実に予算を達成し、世間の信頼を得るため にクリアしなければならない点がいくつかあ ると思います。  人材の円滑なリレーションは誰もが考える 大きな点ではないでしょうか。  運営部という組織を預かる立場として、私 の考える「求められるディメンション」をま とめると以下の項目になります。        これらのポイントは、人材育成に関しても 過去の経験から絶対条件であることは、ほぼ 間違いないと自負しています。しかし、人を 育てることこそが最もパワーを要するのも周 知の事実です。  人を育てる方法・スタイルは多種多様であり、 正解・不正解の判断は極めて困難という印象 を受けています。つまり問題を本質からとらえ、 理解し正しいジャッジのできる能力(プロブ レム・ソルヴィング)がすべてを左右すると 言えるような気がします。  そこで今回は、これまで自分自身のスタイ ル確立のために四苦八苦を繰り返し、挫折感 を味わいながら参考としたポイントを述べた いと思います。    ヒントとなる映画はたくさんありますが、 価値判断という点で研修材料としてもよく引 用される日本映画「八甲田山」はよい例です。 2つの連隊が別々のルートで八甲田山の雪中 行軍を行うという話ですが、一方は少数編成 で自然に逆らわず行軍し、全員生還した連隊。 もう一方は、上司の采配ミスにより大編成で 真っ向から挑み、目的地を見失い、吹雪の中 を彷徨し遭難してしまう連隊。価値判断のミ スが、結果の明暗を大きく分けるという点を 学ぶことができるよい題材です。その他、ユ ニークな手法で言えば、「ベストキッド(1985 ・アメリカ)」という作品があります。いじめ られっこの高校生が日本人師匠から空手を学び、 空手トーナメントに優勝するという単純明快

求められるディメンション

10

4

3

2

1

5

6

7

8

9

対面影響力

感受性

口頭表現力

バイタリティ

精神回復力(復元力)

説得力

リーダーシップ

計画力

マネジメント・コントロール

リスクテイキング

映画について

組織活性化の条件

(ディメンション)

(7)

SOGO Pharmacy

No.4

なストーリーです。空手の伝授方法が実にユ ニークで、教えることといえば、家のペンキ 塗り、車のワックスかけ、雑巾かけなど空手 とはかけ離れたものでした。教わる本人も痺 れを切らして投げ出しそうになるのですが、 実はすべて空手の防御・受身の基本型の習得 であったことを知り奮起します。基本を教え る手段の応用という視点から見ると、現場で の育成バリエーションの幅を広げるヒントに なる価値はあるのではないでしょうか。(詳 しくは両作品とも一度ご鑑賞いただければと 思います。)  吉田松蔭を人材育成のプロと賞賛する人は 多数います。どの辺りがプロかというと、極 めて短い育成期間(当時の事情からやむを得 ない事情もありますが)で完成レベルに到達 させた点だと思います。  私の人材育成の基本スタンスは吉田松蔭を 目標にした点が多々あります。そうごう薬局 萩店の立ち上げから約5年間程、山口県萩市 在住中で吉田松蔭の人材育成方法にこだわっ てみました。そのポイントは以下のとおりです。    以上の点を踏まえ、現場でどれだけ行動に 移せるかがキーポイントとなるでしょう。また、 どれだけのパワーを注ぎ込むことができるか が組織の質に直結すると思います。しかし、 人にはそれぞれ「使命」と「役割」が存在して います。それは「育てる側」「学ぶ側」に関係 なくそれぞれにいえると思います。つまり、 求められるディメンションは学ぶ側にも存在 するというわけです。この歯車がきっちり噛 み合うことで、組織が活性化し予想以上の力 が生まれるのだと思います。そうして生まれ た力が、そうごう薬局のクオリティをUPさせ、 なおかつボリュームを膨らませて患者さんの 満足度を向上させることができるのではない でしょうか。  最終的に価値ある薬局及び組織の活性化に 繋がり、各々の人材が価値高い人生を送れる ものと信じて、日々努力していきたいと思い ます。

吉田松蔭

人材育成のプロ

差別しない

1 すべてのものに対して、同じように 大事に接する癖をつける。

誇りを持つ

3 まず自分や自分の周辺、具体的には 家族、友人、会社、出身地、今いる所在地 などに誇りを持つ。

勇気を持つ

5 よいことはすぐやり、悪いことはすぐ やめる心がけと実行力を持つ。

できるだけ受け入れ、認め、ほめる

4 否定や批判、悪口を慎む努力から始める。

長所を見つけ伸ばす

2 短所是正など短所に触れないことが、 大事である。

(8)

治験について:後編

特 集

総合

SMO

Site Management Organization

総合SMO(株) 専務取締役

原 正朝

SMO・CRO・医療機関の治験の枠組み

3

医療機関での治験業務の流れ

--2 3

SMOとCROと医療機関における

臨床治験の枠組みについて説明します。

--1 3

SMO:Site Management Organization(治験施設支援機関) CRO:Contract Research Organization(開発業務受託機関)

図5 SMO・CRO・医療機関の治験の枠組み 被験者(患者) CRO モニタリング等 SMO所属のCRC:被験者のケア SMO 治験依頼者 (製薬会社・医療機器会社等) SMO費用支払い 治験業務委受託契約 CRO費用支払い 症例研究費支払い 治験契約 医療機関 被験者(患者) CRO モニタリング等 SMO所属のCRC:被験者のケア SMO 治験依頼者 (製薬会社・医療機器会社等) SMO費用支払い 治験業務委受託契約 CRO費用支払い 症例研究費支払い 治験実施契約 医療機関  治験は、基本的に治験依頼者である製薬会社と医師 と被験者の三者間で行われます。GCPが制定される 以前は、医師が患者さんに、「今度新しい薬が出たので 使ってみませんか」というような説明で、患者さんの 口頭での同意の下、医師が治験薬を直接手渡すという ようなこともあったようです。しかし、このような方 法は治験の国際的基準に達しておらず、被験者の安全 性の確保と治験の科学性を確保するためにGCPが制 定されました。GCPでは、製薬会社は医療機関で行 われている治験がGCPを遵守して行われているのか モニタリングをしなければなりません。このモニタリ ング業務などを委託された会社をCRO(Contract Research Organization:開発業務受託機関)といい ます。CROは、医薬品、医療用具、化粧品などの開発 業務の全部または一部を製薬会社から受託する会社で あり、医療機関での治験のモニタリングは受託業務の 一部です。  製薬会社がCROに開発業務を委託する理由は、医 薬品の開発にかかる時間と労力、費用の削減です。製 薬会社があらゆる品目において、高度の知識と経験を 持つ開発要員を揃えることは難しくなってきました。 このため、製薬会社はCROに開発業務を委託するよ うになってきました。総合SMOの出資会社である医 療産業株式会社もCROの一つです。  さて、このGCPの施行により、医師が行う治験関連 の業務量は増大し、限られた時間内に治験業務を処理 することは難しくなりました。そのため、医師が医療 現場で診療の合間に治験を行うことは難しく、治験の 質の低下は避けられません。また、GCPに規定され ている治験協力者は、日常の診療業務にも携わってい るので、治験のみに専任することは難しい状況になり ます。GCPに対応して質の高い治験を円滑に実施す るには、医師の業務を軽減することが必要であり、医 師を支援する専任スタッフの存在が欠かせないため、 この専任スタッフとして、治験コーディネーター(CRC: Clinical Research Coordinator)が誕生しました。法 的には、GCPに「専門的立場から治験責任医師などの 業務に協力する治験協力者」という表現があり、治験を 実施するチームの一員と位置付けられています。平成 9年度厚生科学研究「新GCP普及定着総合研究」の最

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SOGO Pharmacy

治験コーディネーター(CRC)

具体的な業務内容例

--3 3

SMOとは

--4 3 図6-1 治験業務の流れ(症例組入時) 図6-2 治験業務の流れ(継続来院時) 治験担当医師の業務 通常の業務 治験コーディネーターの業務 治験業務 治験業務 治験同意説明補助 検査等実施 コーディネート 症例報告書作成補助 患者選定 診察 検査指示 治験薬処方 同意書 署名確認 症例報告書作成 治験スケジュール管理 来院予約確認

被験者が治験薬の対象疾患に

適合しているかの事前スクリーニング

被験者へインフォームドコンセントを

得るための説明の補助業務

検査や来院日など治験スケジュールの管理

症例報告書作成補助や提出時のチェック

治験実施計画書を遵守するための

検査・評価項目のダブルチェック

重篤な有害事象時の対応

薬や治験についての基本的事項の説明

インフォームド・コンセントに

かかわる説明の補助

患者さんや家族からの

相談や質問への対応

治験スケジュール表の作成や

来院日確認などの電話連絡

治験実施中・終了後の患者さんのケア

被験者エントリーの連絡

治験依頼者との連絡、対応の窓口

重篤な有害事象時の連絡

治験担当医師の業務 通常の業務 治験コーディネーターの業務 治験業務 治験業務 状況確認 検査等実施 コーディネート 症例報告書作成補助 患者来院 診察 検査指示 治験薬処方 症例報告書作成 治験スケジュール管理 来院予約確認

医師に対して

治験依頼者

(製薬会社)

に対して

被験者に対して

1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 6 1 2 3 終報告書の中に、「薬剤師、看護師が通常の業務を行い ながら、治験に協力するのでは不十分であることから、 専任スタッフを置くことが必要である」、また、この専 任スタッフを「治験コーディネーター」と呼ぶことが記 載されました。  医師が、医学的判断を必要とする業務のみに専 念し、専任の治験スタッフである治験コーディネ ーター(CRC)が治験に関連した業務を行えば、医師 の負担を軽減し治験の質を保つことができます。治験 コーディネーター(CRC)が医師に代わって、医学的 判断を必要としない業務を行い、さらに治験チーム内 の業務を調整して治験依頼者(製薬会社)のモニタリング、 監査に対応すれば治験データの信頼性は向上します。  医師を支援する業務を行う治験コーディネーター (CRC)には、臨床経験や患者さんと接した経験、あ るいは倫理的配慮が求められる一方、治験チーム内の 調整や治験依頼者(製薬会社)との関連業務から考え ると、GCPや医療・基礎医学・医療薬学知識やコミ ュニケーション能力が求められます。治験コーディネ ーター(CRC)の多くは、薬剤師や看護師、臨床検査技 師などの有資格者です。しかし、法的には治験コーデ ィネーター(CRC)が医療の国家資格を有することは 義務付けられていません。

 被験者に納得して参加していただくために、治験の 内容から利点・欠点を丁寧に説明します。治験の最中 や終了後、参加者の疑問や不安に対応するのも大切な 業務の一つです。

 CRCの所属先としては、医療機関の職員である看 護師、薬剤師がCRCとして業務を行う場合と、SMO の社員であるCRCが医療機関に入って業務を行う場 合の二通りがあります。SMOは Site Management Organization(治験施設支援機関)といわれ、特定の医 療機関(治験実施施設)と契約し、その施設に限定して 注⑨

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治験にかかる費用

4

製薬会社と医療機関間のお金の流れ

--1 4

製薬会社からSMOへのお金の流れ

--2 4  SMOにかかる費用は、製薬会社からSMOへ支払わ れます。SMOは、製薬会社へCRCの人件費などを請 求します。価格は、CRCが医療機関で仕事を行った日 数の実績に応じて請求する方法(Visit型)と、治験の 症例実績に応じて請求する方法(成功報酬型)があります。  SMOは、Visit型ではCRCの一日当りの費用 を決め、医療機関で仕事を行った日数に応じて製薬会 社へ請求します。成功報酬型では、一症例ごとのS MOの費用単価を決め、治験の症例が完全に確保でき た場合のみSMO費用を請求します。  治験ごとにSMOは製薬会社へ見積もりを出します。  製薬会社とSMO、医療機関、被験者にかかるお金の 流れについて説明します(ここでは、製薬会社とCRO 間のお金の流れについては割愛します)。  医療機関が治験を実施した場合の研究費は、臨床試 験の内容に応じて定められています。これは、各項目の ポイントを合計するのでポイント制(図7参照)と呼ば れています。研究費は、各項目の分類に記載してある 点数を縦に合計した点数に 6,000円を乗じた金額とな るのが通例です。このため、1例あたりの単価は 15万 ∼ 80万円ぐらいとなります。 診療所との連携が進んでいる大病院では患者さんの確 保が難しいということもあるようです。例えば、慢性 糸球体腎炎の薬の開発においては、尿蛋白の量が一定 量以下の患者さんを対象とし、今後の腎炎の進行を予 防する薬を開発するという考え方で、軽度の腎炎の患 者さんを対象としている製薬会社があります。このよ うな軽度の腎炎の患者さんは、健康診断で蛋白尿が指 摘されるが、経過観察という場合が多いようであり、 積極的に大病院で治療するケースは少ないようです。 このため治験実施対象医療機関が大病院から腎臓を専 門とする診療所まで広げられました。  SMOは、自社の治験協力施設として提携契約を結 んだ医療機関の中から、製薬会社が開発中の薬品の対 象患者さんが多く通院されている医療機関を選んで、 製薬会社に紹介します。SMOの提携医療機関には、 大病院だけではなく専門性を持った中小病院や診療所 も数多くあります。製薬会社も、SMOから紹介され た医療機関で、開発中の薬品に適合する症例が早く確 保できるのであれば、SMOとその提携施設を活用し ます。このように、SMO は製薬会社の症例確保の支援 も行っているといえます。SMOは治験コーディネー ター(CRC)を医療機関に派遣するとにより、医療機 関が実施しなければならない治験業務の補助を行い、 治験をスムーズに進める役割と、製薬会社へ治験を確 実に実施することができる医療機関を紹介する機能を もっているといえるでしょう。 治験業務の一部を受託または代行する会社です。   SMOの業務として、治験事務局の設置・運営、治験 の実施に関する手順書(SOP:Standard Operating Procedure)の作成、被験者への治験の説明と同意取得 の補助、医師が作成する症例報告書の作成補助、治験責 任医師や治験分担医師による必須文書などの資料作成 などがあります。簡単に言えば、SMOは煩雑な医療 機関の治験業務を支援する企業といえます。SMOは、 治験に関わる医師、看護師、事務局の業務を支援するこ とにより、スタッフの負担を軽減し、治験の品質・スピ ード向上を支援します。それでは、なぜSMOという 業態が生まれてきたのでしょうか。前号にも書いたよ うに、医薬品の開発には、10 年以上の年月と 100 億円 単位の資金が必要です。製薬会社からみれば、できる だけ早く、そして開発にかかる経費をできるだけ少な くしたいと考えるでしょう。患者さんの立場からみると、 有効な治療法がない病気では、一日も早く新しい薬を 開発してほしいと願われることでしょう。医薬品の開 発では Phase Ⅰ∼ Phase Ⅲまでに数百例単位で治験 が行われます。治験を迅速に進める上で、最も重要な ポイントは治験を受けてくださる被験者(患者さん)の 確保です。これまでは大学病院や地域の基幹病院など 大病院で治験を行う事例が多かったのですが、大病院 だけでは承認申請するまでに必要な症例数を確保する ことが難しくなってきました。  その理由の一つに、最近の薬品の開発傾向として重 症の患者さんではなく軽症の患者さんを対象にし、そ の病気の進行を抑える薬を開発するという考え方があり、

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SOGO Pharmacy

被験者(患者さん)への治験協力費の支払い

--3 4 質の悪い仕事を行えば、次からの治験の依頼が入らな くなるのは当然です。  治験協力費は、被験者が治験薬を使用している期間に、 治験のために医療機関へ通院された日数に応じて、交 通費などの負担軽減を目的に支払われる費用です。通常、 一回通院するごとに、7,000 円∼ 10,000 円程度が、 製薬会社から被験者へ支払われます。 製薬会社は、複数のSMOと取引をしているケースが 多く、SMOの費用についても他のSMOとの比較を 行い、適正な価格で契約することになります。製薬会 社から見れば、医療機関とSMOへ費用を支払うこと により、一症例あたりの開発費用は高くなります。当然、 高い費用を支払うので、治験計画に従って確実に治験 症例を確保し、質の高い治験を実施することを強く求 めてきます。SMOは治験を行う医師とともに、治験 計画に沿った確実で良い仕事をすることが求められます。 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S 対象疾患の重篤度 要素 ポイント数 ポイント ポイント ポイント 軽度 中等度 外来 入院 他の適応に 国内で承認 同一適応に 欧米で承認 重症・重篤 オープン 使用 単盲検 二重盲検 内用・外用 皮下・筋注 静注・特殊 4週間以内 5∼24週 25週以上 19以下 20∼29 30以上 4以下 5∼9 10以上 4以下 5∼9 10以上 49以下 1回 30枚以内 50∼99 回数×5ポイント 回数×2ポイント 回数×5ポイント 100以上 30∼51枚以内 Ⅱ相・Ⅲ相 Ⅰ相 51枚以内 成人 小児、成人 高齢者、肝、腎 障害等合併有 乳児・新生児 同効薬でも 不変使用可 2 1 1 2 5 1 2 1 3 1 1 7 5 5 1 1 6 3 3 6 3 6 3 9 3 3 15 15 3 3 10 5 10 5 10 5 15 5 5 25 5 5 同効薬のみ 禁止 全面禁止 未承認 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 入院・外来の状況 治験薬製造承認の状況 デザイン プラセボの使用 併用薬の使用 治験薬の投与経路 治験薬の投与期間 被験者層 被験者の選出 チェックポイントの 経過観察回数 臨床症状観察項目数 一般的臨床検査+ 非侵襲的機能検査及び 画像診断項目数 侵襲的機能検査及び 画像診断回数 特殊検査のための 検体採取回数 生検回数 症例発表 承認申請に使用される 文書等の作成 相の種類 合計ポイント数 (適格+除外基準数) 図7 研究費算定ポイント表の例

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最後に

 SMOの市場規模は 100 億から 200 億円、年間 20 %程度の成長が見込まれています。SMOの会社数は、 日本SMO協会に加盟している会社が 53 社、その他の 会社を含めると 100 ∼ 200 社程度が存在するといわ れています。数多いSMOの中で生き残っていくポイ ントは何でしょうか。それは、やはり質だと思います。 これは調剤薬局となんら変わりがありません。薬局の 質=薬剤師の質ですが、SMOの質はCRCの質で評価 されます。前に説明したとおり、CRCの多くは、薬剤師、 看護師、臨床検査技師などの有資格者です。CRCに 求められる資質は、基礎医学、医療薬学の知識とコミュ ニケーション能力です。コミュニケーション能力は、 患者さん、病院内スタッフ、製薬会社との折衝が多い CRC業務においては最も重要な能力でしょう。  そうごう薬局の薬剤師は、日頃から服薬ケアに取り 組み、患者さんとのコミュニケーションスキルの向上 に取り組んでいると思いますが、基礎医学の知識やカ ルテの読み方などの知識が不十分な面はないでしょうか。 謙虚に自分の実力を知り、自己研鑽を積んでスキルア ップを図ってください。薬局で十分な経験を積み、ス キルアップをしている薬剤師にとって、CRC業務は さらに仕事の幅を広げるのではないでしょうか。  総合SMO株式会社の目的は、「一日も早くその薬 を必要としている患者さんの手元に、新しい薬を届け るためのお手伝いをすること」です。これは、社是「わ たしたちは、医療機関の社会的使命を支え、よりよい社 会づくりに貢献します」を実現するための手段の一つ であると思います。8月1日現在、総合メディカルグ ループに在籍する、719 名の薬剤師の更なる活躍の場を、 総合SMO株式会社は提供したいと考えています。ご 期待ください。 参考資料(ホームページ) ●厚生労働省 ●大阪市立大学文学部助教授 土屋貴志インターネット講座「人体実験の倫理学」 ●辛口薬事放談・おくすり千一夜 ●治験ナビ ●薬害資料館 No.19 9ページ 図1 治験の空洞化 0 50 100 150 200 250 160 115 104 95 71 54 52 63 43 1200 1080 782 722 500 406 391 463 424 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001年 n回治験届出数 初回治験届出数 200 400 600 800 1000 1200 0 新医薬品の算定見直し 新GCP公布 新GCP完全施行 外国臨床データ受入れ拡大 No.19 10ページ図4 治験と臨床試験の関係 前 期 後 期 第   相 Ⅰ 第   相 Ⅱ 第   相 Ⅲ 第   相 Ⅳ 単回投与試験(臨床薬理試験) 反復投与試験(臨床薬理試験) 市販後臨床試験(治療的使用) 二重盲検試験(検証的試験) (対照的:プラセボ、同種同効薬) 少数例の患者における単回投与試験 パイロット試験(反復投与) 用量設定試験(反復投与)(探索的試験) 長期投与試験(6ヵ月∼1年投与) 参考図書 ●新 GCP 改訂医療機関の治験実務(じほう) ●治験実施体制の実態と展望 2002 年版(矢野経済研究所) ● CRC テキストブック(日本臨床薬理学会) お 詫 び と 訂 正 アポレターNo.19の図に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。 図中のGPO、正しくはGCPです 図中の第Ⅱ相、正しくは上図のように前期と後期に分かれます 初回治験届出数 n 回治験届出数 注⑧治験協力者 治験実施医療機関において、治験責任医師または治験分担医師の指導の下に治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師、その他医療関係者。 注⑨有害事象 治験薬を投与された被験者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごと。必ずしも当該治験薬の投与との因果関係が明らかなもののみを示すの ではない。すなわち有害事象とは、治験薬が投与された際に起こるあらゆる好ましくないあるいは意図しない徴候(臨床検査値の異常を含む)、症 状または病気のことであり、当該治験薬との因果関係の有無は問わない。 重篤な有害事象とは、1:死亡にいたるもの、2:生命を脅かすもの、3:治療のため入院もしくは入院・加療期間の延長が必要なもの、4:永続 的もしくは重大な障害・機能不全に陥るもの、5:先天異常をきたすもの、6:その他の重大な医学的事象をいう。

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SOGO Pharmacy 福岡中南部ブロック 兼 福岡西部ブロック 薬局長織田圭之介  1970 年代は新薬や新薬開発に夢があった時代 ではなかっただろうか。たとえば、今でも利用価 値が高いH2ブロッカー、セフェム系第一世代の 注射薬、カルシウム拮抗剤、ジソピラミドを始め とした不整脈用剤など、現在でも第一線の臨床に 供されている有名な医薬品が数多く発売となって いる。折りしも薬価収載品目でいえば、72 年で 7,236 品目であった医薬品が、78 年には2倍近 い 13,654 品目まで増加した時代であった。  この時代こそ、日本の医療界においては「地域 医療計画」の実施前夜であり、竹の子のように各 地に病院の新設・増床ラッシュが続いた時代でも ある。  すでに現在の数に匹敵するまで増加した病院と ともに、病院薬剤師も同様に増加した時代であった。  そして、これはまさに医療界全体が活気に満ち た時代でもあったし、医薬品メーカーや医薬品卸 が夢を描けた時代でもあった。  当然、そうなってくると、医薬品を数多く使用 する医療機関はまさに情報とサービスが土砂降り のように降り注ぐこととなったわけである。まさ にバブルそのもの。新薬の発売が続き、その説明 会と称した勉強会、製品の説明とリンクした講演 会なども多く、必然的に一日の仕事が終わった時 間には、お土産付の勉強会を梯子しながら勉強で きる、夢のような時代であったのである。  こういった時代が自分自身の成長のための投資 を考慮しない薬剤師、そして、製薬メーカーがサ ービスをすることが当たり前の風土を生んだので はないかと、古きよき時代を過ごしたぐうたら薬 剤師は愚考している。 「遅い」「まだか?」ファミレス、 弁当屋、料金所、その他もろも ろの場所で待たされてイライラ した経験は誰しもあると思いま す。そのようなときに私は、文 句を言ったり怒鳴ったりするこ とはありませんが、イライラが 顔に出やすい方でした。  以前(製薬会社のMRをしてい た頃)、ある薬局に勤める先輩と居酒屋に行ったとき のことです。店内は非常に込み合っていて、注文した ものがなかなか来ず、また仕事のストレスなどもあっ てイライラしていました。店員を見る表情も不機嫌な 顔をしていたと思います。そういった中で、「遅いの でちょっと言ってきましょうか?」と先輩に話したと ころ、このような答えが返ってきました。 「遅いのはしゃーない注) やん。それに店員も一生懸命 働いとるやろ。俺も昔はこんなときに結構文句言った んやけど、そんなときに限ってなぜか仕事で患者さん からのクレームがあったり、店舗の人と関係が悪くな ったりしたんよ。人に嫌な思いさせたら、どこかで自 分に返ってくるもんなんやね。」  そのときはあまり気に止める言葉ではなかったですし、 文句を言うことと仕事でのクレーム・人間関係とは関 係ないと思っていました。しかしながら、本当に因果 関係はないのでしょうか。  待ち時間などのイライラを、感情にまかせていわな いということは、「相手の立場になって考える」という ことに繋がると私は思います。実際、そういった場合 に相手を観察して一生懸命働いている姿を見ると、イ ライラの感情は多少落ち着いてきます。さすがに、そ ういった人たちに怒りの感情を持つことはないでしょう。  皆さんは毎日の業務の中で、患者さんの立場で考え色々 と施策を実行していらっしゃると思います。日常の生 活の中でも常に相手の立場を考えることで、仕事の中 でも自然と患者さんの立場で考えられるようになりま すし、店舗スタッフとのコミュニケーションもうまく いくのではないかと思います。  今は普段の生活の中で、できる限り「人に嫌な思い をさせたら、どこかで自分に返ってくる」ことを意識し、 人に優しく接するよう心掛けています。  見返りを期待する訳ではありませんが、「人に良い ことをしたら、どこかで自分に返ってくるかも…」  忙しい毎日だと思いますが、ちょっとだけでも普段 の生活を見直してみてはどうでしょうか。 注) 仕方がない ※今回は「4コママンガ」「OTCのちょっとした工夫」はお休みさせていただきます。ご了承ください。

参照

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1991 年 10 月  桃山学院大学経営学部専任講師 1997 年  4 月  桃山学院大学経営学部助教授 2003 年  4 月  桃山学院大学経営学部教授(〜現在) 2008 年  4

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