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2018,30,41-51 資料 におけるダイエット とメディアの を とした より 1 めぐみ 2 3 Dieting behaviors and the media influence in females: A cross-sectional study with female student

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Academic year: 2021

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(1)

女子におけるダイエット行動とメディアの影響

――小・中・高・大学生を対象とした横断的調査より――

向井 隆代

1

・増田めぐみ

2

・山宮 裕子

3

Dieting behaviors and the media influence in females: A cross-sectional study with female students in an elementary, junior and senior high schools, and college

Takayo MUKAI1

, Megumi MASUDA2

and Yuko YAMAMIYA3

The present study examines the relationships among the degrees of internalization of media messages, self-consciousness, and dieting behaviors in females from childhood to young adulthood. A total of 422 elementary, junior and senior high school, and college students completed an anonymous questionnaire. The perceived media pressure to lose weight and information on thinness obtained from the media increased with school levels, especially from junior to senior high schools. Multiple regression analyses revealed that the perceived media pressure to lose weight predicted the level of dieting behaviors in the students across all school levels. For senior high school students, public self-consciousness also explained dieting behaviors, whereas private self-consciousness was related to dieting behaviors in the students in other school levels. The findings of the present study suggest that psychoeducational programs to prevent eating problems include elementary school girls as well as pay attention to heightened tendency to focus on how they look to others as one of the risk factors in high school girls.

Key words: dieting behaviors, media influence, female students, self-consciousness, cross-sectional studies

問題と目的

 青年期の女性を中心にやせが広まっており,医 療や教育,栄養学などさまざまな側面より心身の 健 康 へ の 影 響 が 懸 念 さ れ て い る(Funatogawa,

Funatogawa, & Yano, ₂₀₀₈; Pike, Yamamiya, &

Konishi, ₂₀₁₁)。身長と体重を基に算出する Body Mass Index(BMI)は成人では₂₂が標準値とされ ているが,厚生労働省による平成₂₆年度の調査報 告によれば,₂₀歳代の女性の中では BMI 値が ₁₈.₅未満である低体重の人の割合が₁₇.₄%を占 め,その割合は過去₁₀年間に増加していた(厚生 労働省,₂₀₁₄)。また,厚生労働省の国民健康・ 栄養調査のデータを詳細に分析した結果,日本の 1 聖心女子大学(University of the Sacred Heart)

2 元聖心女子大学(Formerly University of the Sacred

Heart)

3 テンプル大学ジャパン(Temple University Japan)

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₁₅歳から₂₉歳までの女性においては,BMI 値が ₁₇未満という極端なやせ型の女性が₄.₂%を占め ていたという報告(Takimoto, Yoshiike, Kaneda, & Yoshita, ₂₀₀₄)もある。

 若い女性がやせ願望を抱き実際にやせようとす る行動の背景に,痩身を理想体型として描くメ ディアの影響があることは,以前から指摘されて い た(Stice, Schupak-Neuberg, Shaw, & Stein, ₁₉₉₄; 矢崎,₁₉₉₂)。欧米では,特に₁₉₉₀年代以降, 思春期や学童期のボディイメージの発達とやせ願 望の形成に関する研究が盛んに行われてきた (Thompson & Smolak, ₂₀₀₁など)。その中で,メ ディアの影響についても多くの横断的研究が行わ れ,少数であるが追跡研究も実施されている。  これまでの研究から,アメリカでは₁₀代の女子 の₇₀%近くが雑誌から理想の体型のイメージを得 ると答えており,ファッションや容姿に重点を置 く雑誌やテレビ番組,プロモーションビデオなど を多く見聞きする女子ほど痩身を理想として内面 化し,やせ願望をもち,身体満足度が低いこと, テレビよりも雑誌の影響が特に強いことが報告さ れている(Levine & Chapman, ₂₀₁₁)。また,大 学生を対象とした実験では,やせ理想の内面化傾 向が強い女子では,やせた女性の画像を ₅ 分間提 示しただけで自己のボディイメージの評価が低下 し た こ と も 報 告 さ れ て い る(Yamamiya, Cash, Melnyk, Posavac, & Posavac, ₂₀₀₅)。

 日本の研究はまだ少なく,「メディアの影響」 の定義や測定方法もさまざまであるが,女性の身 体不満や痩身願望,ダイエット行動などに対する メディアの影響を検討する試みはいくつかなされ ている。森・山本・倉賀野(₂₀₁₂)は,女子大学 生を対象としてファッションに対する関心度や摂 食態度等に関する質問紙調査を行い,調査協力者 の₈₀%以上がファッション雑誌を購読し,ファッ ションに対する興味が強い学生ほどおしゃれのた めに痩せたいと希望し,実際に減量経験があるか 減量を希望していると報告している。さらに,「お しゃれのために痩せている方が良い」と考え始め た時期は中学生の時と回答した協力者が最も多 かったが(3₈.3%),小学校高学年と回答した者 も₁₁.₀%存在し,きっかけとしては当時のタレン トやモデルの体型からという回答が₇₀%を占めて いた(森ら,₂₀₁₂)。回顧的な回答ではあるが, テレビや雑誌などのメディアから理想の体型を内 面化し,痩身願望を抱く傾向は,少なくとも一部 の女子においては小学校高学年から始まっている と考えられる。  前川(₂₀₀₅)は,専門学校生と大学生の女子を 対象に調査を行い,TV や雑誌からの影響をどの 程度受けるかについて ₄ 項目の質問で回答を求 め,メディアの影響がやせ願望や体型不満に直接 影響を与えていることを見出した。清瀧(₂₀₁₅) も,食行動異常度が高い女子大学生ほど理想体型 やダイエット行動についてメディアからより多く の情報を取り入れており,影響を受けやすい傾向 にあることを報告している。小澤ら(₂₀₀₅)の研 究においても,女性誌を定期購読し日常的に女性 誌の情報に曝されている女子学生は,そうでない 女子学生に比べて食行動異常の割合が高く,痩身 理想を内面化する傾向も強いことが示唆された。 また,中学生を対象として,メディア(テレビ・ 雑誌・新聞など)から受ける体重減少へのプレッ シャーを 3 項目で調査した上長(₂₀₀₇)は,メディ アから体重減少へのプレッシャーを感じているほ ど身体満足度が低かったことを報告している。  メディアの影響を受けていると思うかどうか は,いわば認知されたメディアの影響度であり, メディア情報の摂取量とは必ずしも同じではない かもしれない。しかし,メディア情報への接触頻 度や摂取の程度よりもメディア情報をどの程度重 視し,社会文化的価値観を内面化しているかのほ うが食行動異常度と関連しているという指摘(清 瀧,₂₀₁₅)もある。前述の小澤ら(₂₀₀₅)の調査 においても,雑誌に対する被影響特性(どの程度 自分に影響すると思うか)が高い女子学生は,女 性誌を定期購読しているか否かに関わらず,痩身 理想を内面化している傾向が強く,食行動異常度 も高かった。一方,被影響特性が低い場合には, 食行動異常に及ぼす影響は小さく,したがって

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「被影響特性」に注目し,これを低減させること が重要であると小澤ら(₂₀₀₅)も述べている。  アメリカの J. K. Thompson と彼の研究チーム は,メディアによるやせ理想の内面化のメカニズ ム に 注 目 し, Sociocultural Attitudes Towards Appearance Questionnaire-3(SATAQ-3)を開発し た(Thompson, van der Berg, Roehrig, Guarda, & Heinberg, ₂₀₀₄)。この尺度は,「美しさと痩身に 関する情報」と「やせるべきというプレッシャー」 をメディアからどのくらい受けているか,および メディアに描かれるやせた女性のイメージをどの 程度理想体型として内面化しているかに焦点をあ てており,欧米では思春期から社会人までを対象 に研究で広く用いられている。

 Yamamiya, Shroff, & Thompson(₂₀₀₈) は,

Thompsonらの研究を日本の女子大学生を対象に 追試しており,SATAQ-3の ₄ つの下位尺度のうち 「 情 報 の 重 要 性 」 が「 メ デ ィ ア か ら の プ レ ッ シャー」と「一般的な痩身理想の内面化」を介し て身体不満足感を高めさらにダイエット行動に結 びつく可能性を報告している。また,日本の高校 生を対象に SATAQ-3と身体満足感の関連を検討 し た Nielson, Reel, Galli, Crookston, & Miyairi (₂₀₁3)は,「情報の重要性」と「メディアからの プレッシャー」が高校生の容姿満足度および体重 満足度と強い負の関連を示していたと報告してい る。  メディアの影響の他にも,承認欲求(清瀧, ₂₀₁₅),自尊感情(齊藤,₂₀₀₄),完全主義傾向(矢 澤・金築・根建,₂₀₁₀)など多くの個人内要因が やせ願望やダイエット行動との関連において取り 上げられてきた。自己意識については,従来,公 的自己意識が摂食障害傾向と関連していることが 指摘されていた(Heatherton & Baumeister, ₁₉₉₁) が,日本の女子高校生においても,公的自己意識 と身体不満,やせ願望,ダイエット行動との間に は有意な関連が認められ,私的自己意識との間に は見出されなかった(大仁田・崔,₂₀₁3)。しか し,女子大学生を対象に検討した山蔦(₂₀₁₀)の 研究では,公的自己意識と私的自己意識のいずれ かのみが高い学生よりも両方の自己意識が高い学 生の摂食障害傾向が高かった。公的自己意識が高 い場合,他者の目を意識し,自己の容姿に注意を 向ける傾向が強く,化粧やダイエット行動につな がりやすい(Miller & Cox, ₁₉₈₂; Striegel-Moore, Silverstein, & Rodin, ₁₉₉3)ことから,公的自己意 識とメディアを重視する傾向およびダイエット行 動には関連があることが予想される。他方,私的 自己意識が高い場合は,自己の内面に意識が向か うことで,否定的感情から不適応的な行動に結び つくと考えられる(大仁田・崔,₂₀₁3)ことから, 私的自己意識はメディアを重視する傾向とは独立 にやせ願望やダイエット行動に結びつく可能性が 考えられる。したがって,自己意識の両側面が身 体不満や不健康な食行動に関連する可能性が考え られるが,両者の発達的変化についてはまだ理解 が限られている。中学生から高校生にかけては, 特に両側面の自己意識が分化発達する時期であ り,メディアからの痩身理想の内面化とともに女 子のダイエット行動との関連のあり方について検 討することにより,予防教育に役立てる可能性を 探りたい。  本研究では,小学校 ₆ 年生から大学生までの女 子を対象に横断的調査を行い,ダイエット行動と 痩身を理想とするメディア情報の内面化の発達的 変化を検討することを目的とする。したがって, 本研究においても,SATAQ を用い,実際のメディ ア情報摂取量ではなく,痩身を美とする社会文化 の中で理想体型に関するメディアのメッセージを どの程度重視し内面化しているかを取り扱うこと とする。また,自己意識も併せて調査し,メディ ア情報の内面化およびダイエット行動との関連性 を学校段階ごとに検討する。 方  法 1 .調査対象  関西地方都市部の公立小学校,中学校,高等学 校4各 ₁ 校の協力を得て,女子生徒を対象に無記 名の質問紙調査を実施した。調査協力者は小学校

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₆ 年生₁₀₆名(うち有効回答₁₀₄名),中学 ₁ ~ 3 年生₁3₇名(有効回答₁3₆名),高校 ₁ ~ 3 年生₈₄ 名(有効回答₈3名)であった。大学生のデータに ついては,首都圏の私立女子大学の学生計₉₅名を 対象に実施した無記名の質問紙調査より,小・ 中・高校生対象の調査内容と重複する項目を選 び,本研究の分析に用いた。大学生の有効回答は ₉3名(平均年齢₁₉.₈₂歳,SD=₁.₅₆)であり,合 計₄₁₆名分のデータに基づいて本研究の分析を 行った。 2 .調査手続き  小・中・高校では,学校長の許可のもと学級担 任に協力を得て,ホームルームの時間にクラスご とに一斉に調査を実施し,回収した。大学生に対 しては,心理学の調査体験の一部として授業時間 内に一斉に配布して記入後その場で回収したほ か,授業前後の時間に配布し学内の調査票回収ポ ストにて回収を行った。説明と調査票の配布,回 収までに要した時間は小学生で約₂₀分,中学・高 校・大学では約₁₅分であった。なお,小・中学校 で実施した調査票では,教師の協力を得て難しい と思われる漢字には振り仮名をふった。いずれの 調査協力先においても,調査に先立ち,協力は任 意であり,答えたくない項目には答えなくてもよ く,成績とは無関係であり,記入された内容は調 査以外の目的に使用されることはなくプライバ シーは保持されることが,口頭および書面で協力 者たちに伝えられた5 。回収後,家庭科担当教員 の協力のもとに作成した食育に関するプリントを 配布し,活用してもらうようにした。 3 .調査内容  年齢,学年のほか,体格と理想の体格の指標と して,身長,体重および理想体重の記入を求めた。 その他の調査内容は以下の通りである。 1 )メディアの影響  理想の体型や女性像に対するメディアの影響を 測定するために,Sociocultural Attitudes Towards Appearance Questionnaire-3 Japanese short version (山宮・島井,₂₀₁₂)を用いた。これは,Thompson et al.(₂₀₀₄)によって開発された SATAQ-3の日 本語短縮版(SATAQ-3JS)であり,大学生におい て妥当性と信頼性の検証がなされている。因子分 析(最尤法プロマックス回転)により,全₁₂項目 は ₄ つ の 下 位 尺 度(「 メ デ ィ ア か ら の プ レ ッ シャー」「情報の重要性」「スポーツ選手理想の内 面化」「一般的な痩身理想の内面化」)に分かれて いる。「メディアからのプレッシャー」は,やせ なければならないというプレッシャーをメディア からどの程度感じているかを測定し,「テレビや 雑誌を見ているとやせなければならないというプ レッシャーを感じる」などの 3 項目からなってい る。「情報の重要性」は,自分の容姿を改善する ために,美や痩身についてメディアからの情報を 重視している程度を測定する,「雑誌に出ている 写真は流行のファッションや“美”に関する重要 な情報源である」などの 3 項目からなっている。 「スポーツ選手理想の内面化」は,メディアでみ るスポーツ選手の容姿をどのくらい理想として内 面化しているかを測る,「スポーツ選手のような 見た目になろうとしている」などの 3 項目から なっている。「一般的な内面化」は,メディアで みる歌手や女優,モデルなどの容姿をどのくらい 理想として内面化しているかを測る「雑誌に出て いるモデルさんのような体型・スタイルになりた い」などの 3 項目からなっている。各項目に対し, 「そう思う」( ₅ 点)から「そう思わない」( ₁ 点) の ₅ 件法で回答を求めた。山宮・島井(₂₀₁₂)に よれば,₁₂項目全体での Cronbach のα係数も, また因子ごとの Cronbach のα係数も十分な内的 一貫性を示したことが報告されている。したがっ て,尺度合計得点としても,各下位尺度得点とし ても,得点が高いほどメディアからの影響を強く 4 協力が得られた高校は普通科で,多くの生徒が進学 希望である。 5 女子生徒のみに調査協力を求めることとその手続き については,事前にそれぞれの協力校側と話し合い を重ねた上で調査を実施した。女子生徒が本研究の 調査に協力をしていた間,男子生徒は小学校では別 の調査に協力をしており,中学と高校では,部活動 などの準備のため先に退室していた。

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受けていることを表す。  本調査協力者における Cronbach のα係数は, 全体で .₉₀₆であり,学校段階別では .₉₀₉(小学 生),.₈₈₈(中学生),.₈₈₂(高校生),.₈3₀(大学生) と,いずれも内的整合性は確認されたと判断し た。 2 )ダイエット行動   ダ イ エ ッ ト 行 動 の 測 定 に は Eating Attitudes Test-₂₆(EAT-₂₆) 日本語版(Mukai, ₂₀₀₉)より 「ダイエット」の下位尺度を用いた。これは,「い つもやせたいと思っている」や「太ることがこわ い」などの₁₅項目に対し,「いつも」( ₆ 点)から 「まったくない」( ₁ 点)の ₆ 件法で回答を求める ものである。高得点ほどやせ願望が強く,やせる ためのダイエット行動をしていることを表す。本 研究の協力者における Cronbach のα係数は全体 で .₈₆₄ であり,.₇₄₇(小学生),.₈₅₂(中学生),.₈₄3 (高校生),.₈₂₇(大学生)で,いずれも内的整合 性は確認されたと判断した。 3 )自己意識尺度  桜井(₁₉₉₂)による児童用自己意識尺度を用い た。 こ の 尺 度 は,Fenigstein, Scheier, & Buss (₁₉₇₅)による public and private self-consciousness

scaleとその日本語版(諸井,₁₉₈₇),および菅原 (₁₉₈₄)の自意識尺度などを参考に,桜井(₁₉₉₂) が小学校高学年児童の自己意識を測定するために 作成したものである。これは,自己の外面や他者 に対する言動などに注意を向けやすい傾向である 公的自己意識を測定する ₉ 項目と自己の内面や感 情などに注意を向けやすい傾向である私的自己意 識を測る₁₀項目からなる尺度である。 ₄ 件法で回 答を求め,高得点ほどそれぞれの傾向が強いこと を示す。本調査協力者における Cronbach のα係 数は全体で公的自己意識が .₈₆₉,私的自己意識 が .₈₂₂であり,以下公的自己意識・私的自己意識 の順にそれぞれ .₈₆₅と .₇₈₆(小学生),.₈₈₂と .₈₁3 (中学生),.₈₄₉と .₇₉₂(高校生),.₈₁₇と .₇₀₆(大 学生)であった。私的自己意識のほうがやや低い ものの,内的整合性は確認されたと判断した。 結  果 1 .調査協力者の体格と理想の体格  身長と体重および理想体重の自己記入値を基 に,BMI と理想 BMI を算出した6。理想体重は, 小学校 ₆ 年生から大学生までのすべての学校段階 において体重を下回っていたことから,幅広い年 齢層の女子生徒が体重を減らすことを希望してい ることがわかる。  BMI,理想 BMI に対し,学校段階を要因とす る一元配置の分散分析を行ったところ,いずれの 変数に対しても学校段階の主効果が認められた (BMI; F(3, 3₈₅)=3₈.₉₂, p<.₀₀₁, 理 想 BMI; F (3, 3₉₀)=3₂.₄₁, p<.₀₀₁)。Tukey 法による多重比 較の結果,BMI と理想 BMI は小学生と中学生の 間,中学生と高校生の間にそれぞれ ₅ %水準で有 意な差が認められた。女子の身体的発育のスパー トがほぼ終盤に差し掛かる高校生と大学生の間に はいずれの指標においても有意な差は認められな かった。 6 BMIの最大値は₂₄未満であり,WHO による「肥満」 の基準値である₂₅を超える生徒は調査協力者の中に はいなかったため,ほとんどの生徒は,身長に対し てやせる必要はない体重であったと判断した。

Table 1 Means and SDs for school groups on BMI, Ideal BMI, weight-ideal weight difference, and BMI-Ideal BMI difference Elementary S Junior HS Senior HS College

F

(n=₁₀₄) (n=₁3₆) (n=₈3) (n=₉3) Sigifnicant

Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD differences

BMI ₁₆.₈3 ₂.₂3 ₁₈.₂₉ ₁.₉₇ ₁₉.₅3 ₂.₀₁ ₁₉.₈₀ ₁.₄₀ 3₈.₉₂*** E<J<S,C

Ideal BMI ₁₆.₂₁ ₂.₇₂ ₁₇.₀₆ ₁.₅₁ ₁₈.₄3 ₁.3₈ ₁₈.₅₄ ₁.₀₈ 3₂.₄₁*** E<J<S,C

Weight-Ideal weight (kg) ₂.₀3 ₇.₀₀ ₂.₅₁ 3.₆₂ ₂.₄₈ 3.₀₆ ₂.₀₀ 3.₂₂ ₀.3₄*** n.s. BMI-Ideal BMI ₀.₇₇ ₂.₈₅ ₁.₄₉ ₂.₇₁ ₁.33 ₁.₁₅ ₁.₀₄ ₀.₉₁ ₁.₅₀*** n.s.

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 理想体重と体重の差に対して一元配置の分散分 析を行ったところ,学校段階の主効果は認められ ず,すべての学校段階で,女子が減らしたいと 思っている体重には有意な差が認められなかっ た。すなわち,小学生から大学生までのすべての 学校段階で,平均して₂.₀₀kg(大学生)から₂.₅₁kg (中学生)体重を減らしたいと思っていることが わかった。BMI と理想 BMI の差についても,学 校段階の主効果は認められなかった。 2 .理想の体型や女性像に対するメディアの影響  SATAQ-3JS の ₄ つの下位尺度得点と合計得点 に対し,学校段階を要因とする一元配置分散分析 を行ったところ,すべての得点に対し学校段階の 主効果が認められた(プレッシャー;F(3, ₄₁₁) =₁₁.₉₀, p<.₀₀₁, 情報;F(3, ₄₁₂)=₂₀.₈₀, p<.₀₀₁,  内面化(スポーツ);F(3, ₄₁₂)=₅.₆₉, p<.₀₀₁, 内 面化(一般);F(3, ₄₁₀)=3₈.₂3, p<.₀₀₁, SATAQ 合計;F(3, ₄₀₄)=₂₈.₇₉, p<.₀₀₁)。結果を Table ₂ に示す。Tukey 法による多重比較の結果,下位尺 度の「内面化(一般)」と SATAQ 合計得点では, 小学生と中学生の間,および中学生と高校生の間 にそれぞれ ₅ %水準で有意な差が認められた。し かし,下位尺度「プレッシャー」では,中学生と 高校生の間に有意差が認められたが,小学生と中 学生の間には有意差が認められなかった。一方, 「情報」では小学生と中学生の間に有意な差が認 められ,中学生と高校生の差は有意ではなかっ た。SATAQ のいずれの下位尺度においてもまた 合計点も,高校生と大学生の間には有意な差は認 められなかった。 3 .自己意識とダイエット行動  EAT の「ダイエット」下位尺度得点と公的自 己意識,私的自己意識の各尺度得点に対し,学校 段階を要因とする一元配置分散分析を行ったとこ ろ,いずれの尺度得点に対しても学校段階の主効 果が認められた(EAT; F(3, 3₈₅)=3₁.₁3, p<.₀₀₁, 公的自己意識;F(3, 3₉₈)=₁₂.₇₁, p<.₀₀₁, 私的自 己意識;F(3, ₄₀₂)=3₀.₆3, p<.₀₀₁)。EAT-₂₆「ダ イエット」尺度得点は,小学生から高校生まで学 校段階があがるにつれて得点が高くなり,小学生 と中学生の間,および中学生と高校生の間に有意 な差が認められ,高校生と大学生の間には有意な 差はみられなかった。自己意識尺度においては, 公的自己意識も私的自己意識においても,小学

Table 2 Means and SDs for school groups on SATAQ total and subscales Elementary S Junior HS Senior HS College

F

(n=₁₀₄) (n=₁3₆) (n=₈3) (n=₉3) Sigifnicant

Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD differences

Pressure ₂.₀₆ ₁.₂₀ ₂.3₈ ₁.₁₉ 3.₀₁ ₁.3₈ ₂.₈₆ ₁.₂₆ ₁₁.₉₀*** E,J<S,C

Information ₂.₇₄ ₁.₂₁ 3.₂₀ ₁.₁₇ 3.₅₈ ₁.₀₉ 3.₉₁ ₀.₈₀ ₂₀.₈₀*** E<J,S,C, J<C

Int-sports ₁.₇3 ₀.₉₄ ₂.₀₇ ₀.₉₇ ₂.₂3 ₁.₀₆ ₂.₂₄ ₁.₀₁ ₅.₆₉*** E,J<C, E<S

Int-general ₂.₂3 ₁.₁₁ 3.₀₂ ₁.₂₁ 3.₈₁ ₁.₀₇ 3.₆₂ ₁.₁₀ 3₈.₂3*** E<J<S, C

SATAQ total ₈.₇₆ 3.₆₀ ₁₀.₆₇ 3.₄₅ ₁₂.₇3 3.₄₅ ₁₂.₆₂ ₂.₈₆ ₂₈.₇₉*** E<J<S, C ***p<.₀₀₁

Int-sports: Internalization-sports Int-general: Internalization-general

Table 3 Means and SDs for school groups on EAT, public and private self-consciousness scores Elementary S Junior HS Senior HS College

F

(n=₁₀₄) (n=₁3₆) (n=₈3) (n=₉3) Sigifnicant

Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD differences

EAT-Diet ₂₆.₄₀ ₈.₂₅ 3₁.33 ₁₀.₉₉ 3₉.₆₅ ₁₂.₂₉ 3₈.₆₀ ₁₁.3₂ 3₁.₁3*** E<J<S,C

Public self-consciousness ₂₂.₄₁ ₆.₆₇ ₂3.₆₀ ₆.₈₀ ₂₆.3₆ ₅.₄₁ ₂₇.₁₄ ₄.₇₀ ₁₂.₇₁*** E,J<S,C

Private self-consciousness ₂₅.₅₅ ₆.₂₀ ₂₆.₈₂ ₆.₂3 3₁.₄₈ ₅.₂3 3₁.₆₄ ₄.₀₄ 3₀.₆3*** E,J<S,C ***p<.₀₀₁

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生・中学生よりも高校生・大学生において有意に 得点が高かった。 4 .メディアによる影響とダイエット行動の関連  EAT の「ダイエット」尺度得点を従属変数, BMI,SATAQ の ₄ つの下位尺度得点,および公 的自己意識と私的自己意識の各尺度得点を独立変 数として,学校段階別に stepwise 法による重回 帰分析を行った。その結果,小学生,中学生,高 校生,大学生のすべてのグループで,SATAQ の 「プレッシャー」尺度得点が EAT 得点と有意に関 連していた(小学生;β=.₅₇₂, 中学生;β=.₅₄₀, 高校生;β=.₅₂₈, 大学生;β=.₅₅₂, いずれも p <.₀₀₁)。また,自己意識については,小学生, 中学生,大学生では「私的自己意識」が EAT と 有意な関連を示したのに対し(小学生;β=.₂₅₆, 中学生;β=.₂₂₄,大学生;β=.₂₂₂, いずれも p <.₀₁),高校生では,「公的自己意識」が有意な 関連(β=.3₂₂, p<.₀₁)を示した。いずれの学校 段階においても BMI は EAT 得点と有意な関連は 示さず,大学生においてのみ SATAQ 下位尺度「内 面化スポーツ」が有意な関連(β=.₂₅₉, p<.₀₁) を示した。 考  察  本研究では,小学校 ₆ 年生から大学生までの女 子を対象に,学校段階ごとのグループを比較する ことにより,ダイエット行動とその関連因子の発 達的変化を検討することを目的とした。特にメ ディアからの痩身へのメッセージの内面化の程度 とその影響に着目した。その結果,特に中学生か ら高校生にかけて,メディアから受けるプレッ シャーをより強く感じ,メディアを痩身や理想体 型の情報源としてより重視する傾向が強くなるこ とがわかった。SATAQ のほぼすべての下位尺度 得点において,高校生と大学生の間には差が認め られず,一部の下位尺度得点では小学生と中学生 の間にも差が認められなかった。また,学校段階 ごとにメディアの影響,BMI および自己意識と ダイエット行動の関連を検討したところ,いずれ の学校段階においても,メディアからのプレッ シャーがダイエット行動と有意に関連していたの に加え,小学生,中学生,大学生においては私的 自己意識が関連していたが,高校生においての み,私的自己意識ではなく公的自己意識が関連し ていた。 1 .痩身願望とメディアの影響およびダイエット 行動の発達的変化  小学生から大学生まで,発育に伴い理想とする 体重も増えていることは,健康的な発達の過程で ある。しかし,すべての学校段階の女子が平均し て₂.₀~₂.₅kg 程度やせたいと考えていたことか ら,やせたいという希望は小学校 ₆ 年生ごろにす でに多くの女子がもっているといえよう。加え

Table 4 Predicting dieting behavior in school groups: Dependent variable=EAT

Diet scale

Elementary S Junior HS Senior HS College (n=₁₀₄) (n=₁3₆) (n=₈3) (n=₉3) Independent variablesb β β β β BMI ― ― ― ― SATAQ Pressure .₅₇₂*** .₅₄₀*** .₅₂₈*** .₅₅₂*** SATAQ Information ― ― ― ― SATAQ Int-sports ― ― ― .₂₅₉*** SATAQ Int-general ― ― ― ― Public self-consciousness ― ― .3₂₂*** Private self-consciousness .₂₅₆*** .₂₂₄*** .₂₂₂*** Model R2a .₄₅₅*** .₄₂₁*** .₄₁₉*** .₄₁3***

a Adjusted R2 was reported.

b Int-sports=Internalization-sports; Int-general=Internalization-general.

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て,小学校 ₆ 年生もすでにメディアによる痩身へ のメッセージを内面化し,中学生とほぼ同程度に 痩身へプレッシャーを感じていることが示唆され た。  メディアを痩身の情報源とする傾向は,中学生 と高校生や大学生の間に差が認められなかったこ とから,情報源としてメディアを活用する傾向 は,中学生は高校生や大学生と変わりないのかも しれない。さらに,中学生よりも高校生のほうが メディアから受ける痩身へのプレッシャーをより 強く感じており,一般的な理想の体型の内面化も 高校生のほうがより進んでおり,ダイエット行動 も中学生より高校生の方がより多く報告してい る。したがって,中学から高校にかけてはメディ アからの影響に関してもダイエット行動において もより問題傾向が高まる時期と考えられる。  興味深いことに,スポーツ選手のような体型を 理想とする傾向は,小学生と高校生や大学生の間 に差はあったものの,学校段階による差は小さ かった。スポーツ選手のような体型にあこがれる 傾向は,比較的早い年齢で起こりうるのかもしれ ない。一方,内面化(スポーツ)の下位尺度得点 が,大学生においてのみ,EAT「ダイエット」得 点と関連していたことは,昨今のフィットネス・ ブームなどを反映しているのかもしれない。 2 .高校生の特異性  すべての学校段階において,メディアから受け るプレッシャーが直接ダイエット行動に関連して いた。これは,日本の高校生を対象に Nielson ら (₂₀₁3)が報告した結果と一致している。加えて, 小学生・中学生と大学生では私的自己意識がダイ エット行動に関連していた。しかし,高校生では, Nielsonら(₂₀₁3)の報告と同様に私的自己意識 ではなく公的自己意識がダイエット行動と有意に 関連しており,自己の内面よりも他者の目に映る 自己に意識が向く傾向が,高校生の摂食障害傾向 に関連していたことは注目すべきと考える。中学 から高校にかけて,SATAQ の各側面も,ま た EAT「ダイエット」も得点が高くなることを考慮 すると,高校生はメディアにより注目し,痩身願 望が高まり,ダイエット行動が増加する時期であ るといえよう。メディアからのプレッシャーを感 じ取り,他者の目にうつる自分に意識が強くなる 高校生の時期は,少なくとも一部の女子において は,不健康な食行動のリスクも高まる時期でもあ ることに,予防教育の中で留意すべきである。 3 .予防教育に向けて  小学校高学年向けの少女雑誌から中・高年層の 女性をターゲットにした雑誌まで,女性向けの雑 誌に理想とされる体型やダイエットに関する記事 や広告が れていることは,諸橋(₂₀₀₉)も指摘 している。諸橋(₂₀₀₉)によれば,女性雑誌にお ける痩身と美容整形に関する広告の占める割合は ₁₉₈₀年代後半にすでに平均して約₄.₈%であった。 矢崎(₁₉₉₂)が指摘した終戦後から高度経済成長 期の日本において「白人女性の八頭身の体型」が 理想とされた価値観は,現代の日本の雑誌に継承 され,より幅広い年齢層の女性たちに影響を与え ていると考えられる。  やせ志向文化の中にいても,やせ願望や体型不 満,ダイエット行動など摂食障害傾向を示す女性 もいれば,そうでない女性も存在する(齊藤, ₂₀₀₄)。メディアの影響を特に受けやすいのはど のような女子なのか,大学生だけではなく中高校 生を中心に小学生も含めた検討が必要であり,メ ディアの影響による身体満足感や自尊感情の低下 を防ぐための予防教育の開発が急務である。メ ディア・リテラシーを充実させ,身体満足感や自 尊感情を低下させないための予防教育が欧米では 既に行われている(e.g.,Wilksch & Wade, ₂₀₀₉)。

4 .本研究の問題点と今後の課題  本研究の限界は多いが,まず,横断的研究で あったため,すでに食行動の問題をもっている女 子が,メディアの痩身メッセージを重視し内面化 している可能性は否定できない。メディアからの 影響によって実際に摂食障害傾向が高まるのかど うかを検証するためには,縦断的研究が必要であ る。しかし,小学生や中学生を対象としてメディ アの長期的な影響を検討する試みは欧米でもまだ 少なく,否定的なボディイメージやダイエット行

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動との関連を示唆する研究(Harrison & Hefner, ₂₀₀₆)もあれば,長期的予測は得られなかったと する報告(Tiggemann, ₂₀₀₆)もあり,一致して いない。本研究の結果から因果関係についての言 及はできないが,メディアの痩身理想をより内面 化しているほど体型不満や痩身願望が強く,ダイ エット行動が多い傾向があることは,相関研究で あっても確認することができた。さらに,小学生 や中学生においても,メディアの影響は無視でき ないことが明らかになった。さまざまな要因が関 連する中で,メディアの相対的な影響力を明らか にすることは容易でないが,今後必要な研究であ る。  自己意識がダイエット行動にどのように関連す るのかについても,十分な検討ができなかった。 公的自己意識が高い女性は,身体不満足感が誘発 されるような情報に接することにより,不快感情 が喚起され,ダイエット行動などを行うと考えら れるが,私的自己意識が高い女性も,同様な情報 に接してむしろ内省の頻度が高くなり,否定的な 感情を増幅させる結果,ダイエット行動につなが る可能性を大仁田・崔(₂₀₁3)も指摘している。 本研究では,自己意識とダイエット行動の関連を 学校段階ごとに検討したにとどまったが,自己意 識がメディアの影響を媒介する可能性も含め,痩 身願望やダイエット行動に結びつくメカニズムを 明らかにしていくことは今後の課題である。  テレビや雑誌以外にもメディアにはさまざまな 体型や体格の女性像があふれており,小学生もそ れらの情報にさらされている。本研究では扱わな かったインターネットの影響も無視できないであ ろう。本研究で対象とした小学生は ₆ 年生のみで あったが,より低い学年の児童にも対象を広げ, 得られる知見を , メディアによる痩身へのメッ セージが女子児童の体型不満や痩身願望につなが る前に予防をする教育に活かすことが期待され る。そして,メディアの影響は女子のほうがより 強く受けていることが先行研究(上長,₂₀₀₇)で 確認されているが,痩身願望をもつ男子も近年増 えており,男女で共通する要因もあれば,男子特 有の要因もあるかもしれない(浦上・小島・沢 宮・坂野,₂₀₀₉)ことから,今後は男子も含めた 研究も必要である。 文  献

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Table 1 Means and SDs for school groups on BMI, Ideal BMI, weight-ideal weight difference, and BMI-Ideal BMI difference
Table 2 Means and SDs for school groups on SATAQ total and subscales
Table 4  Predicting dieting behavior in school groups: Dependent variable=EAT  Diet scale

参照

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