主要な研究成果
背 景
当所が研究開発に取り組んできた金属燃料サイクル(金属燃料高速炉と乾式再処理)は、次世代の有望な高 速炉サイクルの 1 つとして高い評価を受けている。実用化のための開発拠点として、原子力機構と共同で、乾 式再処理の主要工程を連続実施できる「乾式再処理プルトニウム試験装置」を設計・製作・設置し(H12 年)、 これまでにウラン(U)やプルトニウム(Pu)を用いて工学プロセス設計の基盤データ取得を進めている。目 的
実際にもんじゅ用の混合酸化物(MOX)ペレットを用い、乾式再処理の連続プロセス(図 1)で、U-Pu 合 金製品を回収し、工程全体の物質収支を解明する。試験結果に基づき工学技術開発に展開するための課題を抽 出し解決策を検討する。主な成果
1.MOX燃料の還元における処理速度を解明 金属への還元工程(MOX 還元)で、MOX 燃料粒径を 0.5mm 以下に予め調整すれば、実用的な処理速度 (6 時間以内に 100 %還元)が達成できることを明らかにした(図 2)。 2.ウラン-プルトニウム合金製品の回収乾式再処理の連続プロセス(MOX 還元⇒ U-Pu 電解⇒陰極の蒸留⇒合金化)により、U-Pu 合金製品を回 収した(約 26g、図 3)。U-Pu の回収率は 86 %で、未回収物は主に U-Pu 電解工程における陽極残渣と蒸留工 程での再酸化であることを明らかにした。世界で始めて、MOX 燃料からの連続プロセス試験で U-Pu 製品を 回収し、物質収支データを得た。 3.工程間のつなぎに関する課題抽出と解決策の検討 (1)還元⇒電解: MOX を還元した製品をそのまま電解工程の陽極に装荷すると、U-Pu 回収の陰極電流効率 が大きく低下する(< 65 %)。網目構造の陽極バスケットを用いた試験や、還元物の形状を塊状とする ことによって陽極での接触性を向上させることができ、陽極電流効率が向上できる見通しを得た。 (2)電解⇒蒸留:蒸留工程において、①陰極製品を加熱し、Cd と塩を液相状態で保った後に、②それらの 沸点直下温度に維持しつつ真空引きするという運転条件が推奨されることを確かめた(図 3、4)。 (3)蒸留⇒合金化: U-Pu 合金の回収率を向上させるため、連続プロセス試験で発生した、電解工程の陽極 残渣や蒸留工程の再酸化物を回収し、塩化物に再調整した(リワーク技術)。これらの残渣に含有され る U や Pu を> 90 %の高い効率で回収できた。
今後の展開
金属燃料サイクルは、国の開発計画に位置づけられた(補完概念、H18 年)。当所の技術力を原子力機構に 移転しつつ、これまでに抽出された課題に基づいた個別工程の装置の改良や、技術ノウハウの蓄積を進める。 主担当者 原子力技術研究所 次世代サイクル領域 上席研究員 倉田 正輝 関連報告書 倉田、小山、土方、宇佐見他、「乾式再処理プルトニウム試験報告書」電力中央研究所-日本 原子力研究開発機構共同研究報告:(平成 12-17 の各年度)小山、土方他、Proceedings of Global 2001, Paris, France, 170(2001)
土方、小山、宇佐見他、Proceedings of Global 2003, New Orleans, 763(2003) 小山、土方、宇佐見他、Proceedings of Global 2005, Tsukuba, 440(2005)
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金属電解法再処理技術の開発
―MOXの連続プロセス試験―
C.エネルギーと環境の調和
39 約 6 時間で還元率が 100% に 達 す る こ と を 解明した。 図1 連続プロセス試験の概要(主要4工程を連続実施) 塩・Cd 高純度アルゴ LiCl/Li LiCl -KCl 固体陰極 Cd陰極 陽極 + ー ー Pu 3+ U 3+ 塩・Cd LiCl/Li LiCl -KCl 固体陰極 Cd陰極 陽極 + + ーー ーー Pu 3+ U 3+MOX U-Pu U U-Pu U-Pu
U-Pu 塩・Cd 高純度アルゴゴ ンガス雰囲気 LiCl/Li LiCl -KCl 固体陰極 Cd陰極 陽極 + ー ー Pu 3+ U 3+ 塩・Cd
MOX還元 U-Pu電解U-Pu電解 陰極の蒸留
LiCl/Li LiCl -KCl 固体陰極 Cd陰極 陽極 + + ーー ーー Pu 3+ U 3+ 製品の合金化
MOX U-Pu U U-Pu U-Pu
U-Pu (インゴット) 図2 MOX燃料の還元率の時間変化
還元時間(h)
還元率
(%)
2mm
2mm
2mm
2mm
図4 蒸留後のU-Pu合金回収物10
10mm
10mm
10mm
(650℃) (500℃) (500-1500℃)(1000-1500℃) MOX + 4Li → U-Pu + Li2OU-Pu → U3++ Pu3+ → U(固体陰極) → U-Pu(Cd陰極) (U-Pu・付着塩・Cd) → U-Pu + 塩 + CdU-Pu → インゴット 図3 連続プロセス試験で回収したU-Pu合金 (直径:約18mm、重量:約26g、Pu濃度:約25%) 本研究開発で回収したU-Pu合金 インゴット(金属光沢が見える)。 単純な真空蒸留では、十分にU-Puが凝 集せず、表面に酸化物が形成される。