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<論文>資金状態変動表

著者

品田 誠平

著者別名

Shinada Seihei

雑誌名

経営論集

12

ページ

1-10

発行年

1979-06-20

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005853/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

資 金 状 態 変 動 表

品  田  誠  平 1 2 3 4 5 6 7 目    次 け じめに 資金の語意 資 金状態変動表 損益計 算の変遷 損 益と資 金の離反 資金状 態変動表生成の必然性 おわ りに 1 1. は じ め に  わが国におけ る株式会社の決算報告書・財務諸表 システムは,損益計算書 と貸借対照表を根幹とし てい る。  しかるに, アメリカにおけ る株式 会社の決算報告書は,前者のほかに資金

計 算書(Funds Statement)即ち,資金状態 変 動 表 (Statement of Changes inFinancial Position

)を加えた財務諸表 システムとし て成 立している。 

両者を比較した場合,資金状態変動表 とは何か,そし 七それは何故必要な のかが,問題視される。 

本稿においては前者に関し ては既に論者に よる若干の論説も存するので,General

Electric 社の1976年度 のAnnual Report におけ る資金状態変動

表 の様式 と内容を紹介す るにとどめ,専ら,現在 まで究 明されることのなか ったこの表に対する要請の必然性,つ まり後者について考察し ようと試 みる。

2. 資 金 の語 意

資金(fund)の語意 につ い て辞典 を み る と, 次 の如 く 述 べ られてい る。1

)The American College Dictionary, 1961 ,p. 492・  fund

(名詞) 

(3)

(2) 何 らか の もの の備蓄 ,蓄 積 財産。    現今 し ばし ば 非物的 な ものに も用い られ る。( 例) 知 識 のだ くわえ。 (3)(複数 ) 手 元貨 幣, 金 銭資産。  (4)(他 動 詞) フ ァンドを 準備し て(負債の)利子 又 は 元金を 支 払 う。 (5) (一般未払負債)を利 付 債券 に代表 され る永久 的負 債又 は貸 付 に 変 え る。2

)Webster's New Twentieth Century Dictionary, volume I, 1957, p. 741.  fund

(名詞)[意 味 はOFr. fond に影 響を うげ て い る。 基 礎,土地, 蓄 積 財産 ,資 本 の意 味かお る。 ラ テン語 のfundus か ら由来し てい る。 基 礎,土 地 , 財産 の意 味か おる。] (1 ) 貨 幣合 計 額,貨 幣転 化可 能財 産で個人 , 会社 , 経営 従 事団体 の要求 に 間 に 合 うよ うに保 管 されてい るもの。  (2) な ん らか の特定 目的 に使用 されるべ き貨 幣又 は充当 金 の集金 された もの。   [例] 年 金 フ ァンド       ▽  (3)〔複〕 貨 幣, 現金 〔例丿 彼 は フ ァンドを 全然 もっ てい ない。  (4) 多 数(量)であ るこ と。巨 額 な蓄 積やた く わえ。[例] 知 識 のフ ァン ド。  ㈲ 〔複〕 常設 政府 利 付借金 ,(∼に対す右)公 的 有 価証 券(担保物)。 3. 資 金 状態 変 動 表  資 金状 態変 動表 にお い て資金(fund)とは, 何を 意 味す るか につ い で は,n 現金 預金 ,(2)現 金 及 び市場性 あ る有価証 券,支 払資 金, (3)正 味貨 幣性資 産, 当 座資 本 ,(4)運転 資 本 バ5 )資 産 など と種々定義 さ れて お り必 ずし も統一され てい ない。  資 金 状態変 動表 は, 様式 と記 載 例に示す ご と くそ0 報 告 期 間内 に企業が そ の経営 のた め 要し 巡資 金を ,如 何にし て調 達し ,かつ ,如 何 にし て運用し た か 即ち,資 金 の源泉 とそ の適 用につい て要 約表示 す る報 告書 であ る。 AISG

(Accountants International Study Group, 1973バ よ資 金状 態 変 動 表 に おい て, 資 金 とい う語 は以下 の ような各種 の解釈, 定 義 が含 まれる と述 べ

(4)

資金状態変動表  3 てい る。 

(1) 運転資 本(working capital) 

(2) 迅速資 産 差引 当 座負 債(quick assets less current liabilities) 

(3) 現金及 び市場 性 のあ る有 価 証券 差 引 流 動 負 債(cash and marketable  securities less current liabilities ) (4

) 現金 及 び市場 性 のあ る有 価証 券差 引短 期銀行 債務(cash and marketable  securities less short term bank credit ) 

㈲  現金及 び 市場性 のあ る有価 証券(cash and marketable securities) 

(6) 現金(cash) 

(7) 当該 企業 に投 下 さ れた全 資 金(total funds employed in the business)

㈲ 総 株主 資 金(total shareholder's funds) 

(9) 持分 権(equity interests)  上記に叙 述し だ 資 金” とい う語 の種 々なる解釈 は変 動表 の根 本的 目的に たいす る異 った ブノ ロ ーチを 反映 し てい る。 運転資 本 の変 動 原因を 公 開す る こ とを 強調 す る場 合 な らば, もちろ ん, 運転資 本 解釈 が適 切 で あ る。 し か しなが ら, 流体1生(liquidity)の変 動が主 題 となれば, た と え ば , 現金当座 資 産etc. の解釈 が よ り目的 適 合性を 有す るこ と に な る。 近 年 流 体 資 産 (liquid assets)だけ よ り叉 , 会 計 実体 の管理を 強 調す る 幅広 い ア プT3 −チ が

発展し てきてい る。す べ ての 財務 資源(all financial resources)の最 も有用 な

資 金状態変 動表 分形式 は, 資 源 の構成変 動 同様, 企業 実 体 の全 付加 的財務 資 源 と全資 源の分 配を 報 告す る1 つ であ る とい う前 提に基 づ い てい るとし て知 られてい る。  上記 の資 金 とい う語 の多 く ㈲ の解釈 は,財 務 諸表 作成 責 任 者 であ る 丘nan-cial executives よ り 乱 会 計学 著 書 の著 者に より支 持 され る。 実務 上は 運 転資本変 動を 説 明す る有 力 な実 践 とし て, 運転 資本 ,現 金 , 現金 と 現金等価

物 が広 く使用 されて き てい る。ア メリ カAccounting Trends & Techniques

の597社 の1971 年報 告 におい て,報 告 書 とし て「資 金0 源泉 と適用 に 関 す る

報 告書」(a statement of source and application of fund)を 含 め, うち558 社

が資金を運 転資 本 と解釈 し,39 社 が現 金あ るい は 現金等 価物 とし てい る。 カ

ナダで はFinancial Reporting in Canada に おい て, 319社中315 社 が運 転

(5)

資金状態変動表の様式と記載例 

上述の資金状 態変動表 の形式と内容を理解するのに便な らしめるために,General

Electric Company のAnnual Report 1976 より資金状 態 変 動

表を引用し紹介すれば次のごとくである。

General Electric Company and consolidated afiiliates

Data lor both years reflect pooling of interests with Utah International Inc. (note 1)

ended December 31 (In millions) Source of funds

From operations     

Net earnings ……… ……… ……… ……… ……… Less earnings retained by nonconsolidated finance affiliates Depreciation, depletion and amortization ………

Income tax timing differences …… …… ……… ………… ……… ………Minority interest in earnings of consolidated affiliates ………… ……… ………

Increases in long-term borrowings …… ………… ……… ………… ……… ………

Newly issued common stock ………

Decrease in inventories …… … ……, ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥.‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥Increase in current payables other than short-term borrowings … … …… … … ……other -net … … … ……. … … … ……

Total source o! funds … … … … …… … … ……Application

of funds

Additions to property, plant and equipment … … … …Dividends declared on General Electric common stock … … … ……Dividends declared on Utah International common stock* … … … ……

l n v e s i m e n l s

‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ i . . . .、 . . . .……… ……… ……… R e d u c t i o n i n l o n g - t e r m b o r r o w i n g s .

・●・●●●丿●●●●●●・・●●●●●■・・ ●●●● 4● 4・・・・●● -・ ●●●脊・●●●●●●●●●・●・ ●丿●●●●・● P 4●●●●●●●●●●●喝●丿 r●●●・●

Increase in current receivables ‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥ ‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥

$ 930.6  (10.9) 486.2   (22.5)   28.3 S 688.5   (10.4}   470.5   (1.9)  25.7 1,172.4 50.5  75.4 110.2 119.3 128.9 1.411.7 156.7   87.4  -498.0  141.7 1,656.7 2,295.5 1 −S 740.4 332.5  28.3 129.7  73.9  30.1 151.5 ,486.4 -809.1 一 一 $ 753.0  56.1 588.2 293.1  33.1  13.4 214.0  49.2  -Increase in inventories ………… …… ……… ……… ……… ………… T o J a ! a p p l i c a t i o n o f f u n d s

・●・●●●●●¶ 4・・●丿●・●●●●●●● I I ●・●● I●●●●●●丿・●●● 1●● i●●●●・ l●●●●●●●●● I●●●● 1●●●●●●●・●●●●・●● t●● I N e t i n c r e a s e i n c a s h , m a r k e t a b l e s e c u r i t i e s , a n d s h o r t - i e r m b o r r o w i n g s

Analysts of net increase in cash, marketable securities, and short-term borrowingsIncrease in cash and marketable securities …… …… ………… ………… ……… ……… ……Decrease

(increase) in short-term borrov.'ings 、...‥...……… ………

・Reflects transactions prior lo merger date. The

Summary of Signiiicani Accounting Policies on page 36 and the NOTes to Financial Siateme 削s on pages 37-43 are an integral part of this Statement.

1,191 、0 $ 465.7 之 S 477.0    (11.3) S 465.7 -S 809.1 -4. 損益 計算の変遷  企業 の一時点におけ る財政状態を写 像する貸借対照表 と企業 の一期間にお け る経営成 績を写像す る損益計算書のほかに,何故,資金状態変動表を作成 し,企業 の当該 期間の資 金の源泉 と適用を 写像し なけ ればならない のか,モ の必要性,必然性について以下究明す る。 中村万次教授は,『資金会計と呼ばれてい るものの本質, 目的い 内容等に

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資金状態変動表  5 ついてい まだ 統一 あ る見 解を示 され てい ない し ,そ0 よ うな 体系 が既存 の会 計学分 野か らなぜ 分岐し 独 立せ ねば な らない か , また もし 資 金 会計な る特殊 の領域 かお るとす れば ,い か か る目的 と 内容を 具体 的 に 備 えた ものであ る か,……資 金理 論 と は要す るに, 資金 計算 書作成 のた め の技術 理論(資金計 算論)であ る とい い うるであろ う(4 頁)……資 金会 計 が独 自性を 主 張 し う るために はそ れが独 特 の研究 対象 と領 域を もち ,理 論 的に も実 践的 に 屯首尾 一 貫せ る独 自 の体系 を なし ,し か もそれ が既 存 の会 計学 体 系 と有機 的に 連繋 す るとト う条 件を 具 備す る場 合にお い て のみ で あ る。』(6 頁)(同教授著 資 金計算論・国元書房・4 ∼6 頁)と叙述 さ れてい る。  資金(状態変動表)計算 書 は損益 計算 が, 口別損益 計算 , 財産 法的 期間損益 計算,損益法 的 期間 損益 計算 へ と発展し ,貸 借対 照表 が 財政(財産)状態を示 す機能 か ら将来 の期間 の損益 を示 す 機 能に変 質す るに 及 んで,財政(資金)状 態を表示 す る手 段 とし て必 然的 に生 成し 確立す るに 至 った と筆 者は 思考す る。 1) 口別 損益 計 算  口別 損益 計算 は, 中 世 におい て口別 営業 を 営 んだ組 合 ・ コ メ ン ダ(com-menda )形 態 の当 座 営業(Gelegenheitsgeschaft)におし て, 出資 口別 の損益を 個別に計 算 す るこ とを 特 色 とし てい る。  口別損益 計 算 は,一 口の商 品 の販売 完了 ご とに , また は,一 口の旅商 の終 了 を まって ,一 白の商品 ,一 口の旅商 ご との損益 か計 算し ,そ の利益を 組合 員 に分配 す るために ,一 口の 仕入商 品 ・一 口の旅 商を 単 位 とす る特定 の勘定 科 目を 設定 し ,そ れに一 口の営業 に か んす る全取引 を 余 す と ころ なく記 帳し 。 一 口の営業 の完 了 後に こ れを 締 切 るこ とに よって 損益 を 算定し , そ のたび に 損益勘定 へ転記 す る ものであ る。 

ガーナ ー(S. Paul Garner)教授 は ド・ル ー バ ア ー(De Roover )の 叙 述 「 各 々の冒険 的取 引に 別個 の勘定を 開 くのが メデ ィチ(Medici )家を含 む 中 世商人 の慣習 であ った。 こ の よ うな勘定 は, すべ て の支 出,原 価, 諸費用 を 借 方に記 入し た。 そし て売 上 高を貸 方 に記 入し た。 冒 険的 取 引が 終った後 に

残 った差 額 は, 利益 か損 失 のい ず れかを示 し , 商 品損 益(profit and loss onmerchandise )勘 定に 振替 えた 。 この ように ,売買 か ら生 じ た利益 と交 換(ex-change)

か ら生 じた 利益 とは別 々に され てい た 。そ れぞ れ の冒 険 取 引 会 計

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また ,「 メデ ィチ家 の毛 織 物 の売 上 原価 の約90 パ ーセン トが 材料 費, 労務 費 を 含 む直接 費 であ った こ とか ら も判 明す る ように 材料 の会 計管 理(accountingcontrol )が原 価管 理 と利益 の実 現 のため に極 め て重 要 であ った 。」 と 叙 述 し てい る。(品田他共訳・ガーナー原価計算の発展・ 532頁・一 粒社) 2 ) 財産 法的 期間計 算 16, 17世 紀に なる と径 済発 展に 伴い一 地 方か ら他地 方 へ航海し 冒 険的な 口 別 商業 を行 う当 座事業 の旅 商 は3 定 の場 所 に店 舗を設 け て長 期的 に商売を 営 む 定 住商 へ移行す る。 16 世 紀か ら17 世紀に な ると同 種 の商 品を 大量 に取 引す る メ ッセ商 売 が起 り, 商 品 の取 扱い が専門 化す る。 また, 商品 流 通量 の増大 は 次第 に一 定 の場所 に 店 舗を 設け て商 品常 備在 庫を 有し て売買 を す る定 着営業 を 出現 せし める。 さ らに 定 住商 への 移行 は, 売 掛金 ,買 掛 金 など め信用取 引を 急 速 に発 展せし め る。   口別 営業 におい て は ロ別営業 の開始 か ら終了 に至 る まで の全 営業 期間に つ い て の損益を 計 算す るロ 別損益 計 算 が適 応す るが, 何 時 営業 が終了 す るかわ か らない 定 住商人 の長 期的 な営 業 に 移行 す る と最早 口別 損益 計算 は陳腐化 し 不 適応 な もの とな る。  商人 の営業 が長 期化す ると, 営業 とは全 く無関 係 の暦 上 の時間 的長 さであ る半 年 とか1 年 とか とい う一 定 の期 間を 一会計 期 間 と定 め,商 人 の営業 期間 を 一 会 計期 間 ごとに区 切 っ て,そ の一 会 計期 間 の営業 につい て の損益 を計 算, す る財産法的 期間揖 益 計算 が 適応す る ものとな る。 1669 年 パ リの商 人 団体 は, ル イ14 世に 請願し て1673 年 の フ ランス商 事法令 (Ordonnance de Louis χIV Sur le Commerce, 1673」 を 立法 せし め た。 岡田 誠一 教 授 は,「 こ れは陸上 商 事 に関 す る規定 であ り,帳 簿章に おい て商 人 に 対 し て各2 年 ご とに 財産 目録 の作 成を 命じ てい るが貸 借対照 に 関す る規定 は み られない。 なお ,貸 借対 照 表 が成 文商 法 上現 われ るに 至っ た のは1807 年 の ナ ポレ オン商 法 の破産 編に おい てであ る」(簿記会計論攻・中央経済社) と称 さ れ る。 小島 男佐 夫 教授 は,「 サ ヴァ]) ― (Savary' Jacque)は,1975 年に 「 完 全 な商人 」を 出版し , こ の書物 で 実地 棚卸 に もとづ く 貸借対 照表 作成 の必 要 を 説い た」(新会計学辞典・同文舘)と叙 述 されてい る。 ト3 ) 損益法 的 期間損益 計 算

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資金状態変動表  7 18 世紀後 半 の産業 革命を 契 機 とし て小道具 を生 産手 段 とし て生産 す る家 内 工業制生 産 は,機 械を 生産 手段 とし 間断 な く商 品を 生 産 す る工場 制生産 へと 移行す る。 こ の事 は企業 にお け る固定 資産 の 流動資 産 に 対す る割合を 増大 せ し め, また ,固定 費 の変 動 費に対 し て占め る比 率を 増 加させ ,経 営におけ る 操 業度を 重 要 な らし めた。  製品 原価を 算定 し ,そ れを 期 間売 上高に 対応 す る部 分 と, 将来 の 期間売上 高に対応 す る部 分 とに分化し なけ れば期 間損益 を正 し く計 算し えな くなる と, 財 産法 的期 間 損益 計算 はこ れ らの過程を 余す ところ な く捕捉す るシス テムで ない ので不 適応 化し , これ らの過程 を漏 らす こ と かく 追跡 捕捉 す るシ ステ ム た る損 益法的 期 間 損益計 算 が適応 す る もの とな るに 至 る。  損益 法的 期 間損益 計算 の成 立に伴い , 発生主 義, 実 現主 義 に基づ く費用, 収益 の認識 と対 応 ,特に製 造業 にお け る原価 記 録 と財 産記 録 の統合 と固定資 産 及び棚 卸等 の資 産につ い て原価 主 義が 適応す る も(D とな る。  ガーナ ー教 授 は,「1908 年 まで に, アメ リカ の原 価 の 専門 家 たち は, 製 造

元 帳(production ledger)と。総勘 定元 帳(general ledger)に 言及し て, そ の二

つを 結合 させ る 考え方 の萌芽 が存 在し てはい たが, そ の二つを 相互に はっき りと結合 させ な か った」 が……「い まや, 少 な くと も ア メリ カに か んす る限 りでは, 原価 帳簿 と財務 帳簿 と の結 合の機構 及 び 技術 は完全 な もの とな り,1920 年代 の初 め頃以 来重 要 な発展 が ほと ん どなか っ た」(前掲書・444∼452頁) 「1862 年 にJ ・ ソ ーヤ ー(J. Sawyer)は, イ ギ リス0 製 革業 の会計につい て 書い たが ,彼 は もし 価値 が 減少し てい ない 場 合 に は原 価 で完成 品や 仕掛品を 評価す る のが 当時 の慣習 であ った」 と述べ てい る。(前掲書・510頁) 5. 損益と資金の離反 1 ) 口別損益計算  口別損益計算においては,営業期間と会計期間とが 同一であるから,投下 資本乃至は全期間の費用は現金支出額と合致し, また ,回収資本乃至は全期 間の収益は現金収入額と合致す る。そして,全損益は現金 の収支を対応せし め ることに より,現金(狭義の資金)収支の差額として算定される。 2 ) 財産法的期間損益計算  財産法的 期間損益計算におい ては,企業 の営業 期間を暦上の一定 の時間的

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長さである会計期間に区分し て/ 一会計期間ごとの損益を算定す るものとな る。その特色は一会計期間の期首と期末に企業 財産を実地棚卸し て,そ れぞ れの財産目録を作成し 次に各財産 目録から貸借対照表を作って期首と期末 の正味財産を求め, 最後に両者の差額たる期間におけ る正味財産 (広義の資 金)の増減を 測定し  これを期間損益 とし て認識するこ とにある。  財産目録には,企業に帰属する動産,不動産,債権が積極財産,そして債 務が消極財産とし て記載され,貨幣以外の財産につト ては時価評価が行なわ れて,積極 と消極の財産の総額が算定される。貸借対照表の資産には積極財 産,負債には消極財産のそ れぞれの価額が財産目録から転記 される。そして, 両者の差額,つ まり,正味財産の価額が資本として算出記入される。 かくし て貸借対照表に より算定 される期末 と期首の正味財産・資本を比較し ,期末 の正味財産が期首の正味財産を超過する額が期間におけ る資 本の増加部分・ 利益として算定される。つ まり,期 間におけ る損益は,期末と期首の正味財 産 の対応に より,その差額として求められる。  但し,期中に資 本の追加額や払戻額を生じた場合は,その額を上述の期間 における正味財産 の増加又 は減少 の額から差引又は加算して期間損益 とする。 3) 損益法的期間損益計算  これは一会計期間ごとの損益を算定する点においては,上述の2)と同様で ある。しかし,貸借対照表を作成する方法や損益の実体及び損益を認識し測 定する方法におい ては全く異なる。  この場合は, 日々の取引を簿記によって細大漏らすことなく会計帳簿に記 帳してゆき期末に至って,会計帳簿から誘導的に貸借対照表 と損益計算書と を作成するのである。期間損益 は収益 と費用を対応せしめ,そ の差額 として 算定される。そして,期間損益を算定する手段は,損益計算書となる。  上述の如く3)のべ 損益)貸借対照表(Erfolgsbilanz)は,2 )の(財産) 貸 借対照表(Vermogensbilanz)と相違し, 資産には積極財産のみならず近代会 計に固有の繰延資産や 未収収益,前払費用などが包含され, また,負債には 消極財産のほかに前受収益,未払費用,引当金などを包含す るものに転ずる。 上述しきたったところ から判明するごとく,1)口別損益計算は口別の現金 収入と現金支出 とを対応させ,そ の差額としての口別損益を算定す るもので あ る か ら,ロ別損益の実体は口別 現金(挟義の資金)収支差額とし て認識測

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資金状態変動表  9 定 され る。2 )財産法的 期 間損益 計算 に移 行 す ると 期末 と期 首 の正味 財産を対 応 させ, そ の差額 が期 間損益 とし て算定 され る か ら,期 間損 益 の実 体 は期間 正 味財産(広義の資金)の増減 とし て認 識 測定 さ れ る。3 )損益法 的 期間損益 計 算に 転ず ると期間に 実 現し た収 益 と期 間に 発生 し た費 用 とを対 応 させ,そ の差額が期 間 損益 とし て算定 され る。 こ の場 合 の期 間損 益 の実 体 は, 現金や 正 味財産 の増減 とし て具現し ない 。 す なわ 牡 費用 は現 金支 出や 積極 財産 の 減少 と相違し 期 間的 な価額(value)の費 消額を 発 生主 義 に より認 識測定 す る ものとな り, まブこ,収益 は 現金収 入や 積 極財 産 の増 加 と相違 し 現金, 販売, 割 賦 工 事 完成 の各基 準 のほかに 収穫(生産), 工 事進 行 の諸基 準か ら構成 される実 現主 義に よ り認 識測定 さ れ る期 間 的 な価 額 の実 現額 とな る ので, 期 間損益 の実体 は現 金や正 味財 産 ・資金 の増 減 とか かわ りのない 価 額 となる。 6. 資金状態変動表生成の必然性  財産法的期間損益計算におけ る貸借対照表 の機 能は,期首や期末などの一 時点 の企業 の積極,消極,正味の各財産 の在高を意味す る財政状態を表示す る点に存してト だ。 また,それは期末と期首の財政 (正味財産) 状態を比較 し,期間正味財産 の増加を期間利益として算定する手段でもあった。  しかるに損益法的期間損益計算におけ る貸借対照表 の機能は,損益計算書 と共に損益を計算す る機能に移行す る。ただ。前者は将来の期間の損益を計 算し 後者は当該期間の損益を計算す る点において区 別される。  資金状態変動表は貸借対照表の上述の如き機能の変 化に伴って, 財政(資 金)状態を写像する新しい用具として必然的 に出現す るに至ったのである。 しかもそれは従来貸借対照表が一時点におけ る企業0 財政 (財産) 状態ない し 将来の期間損益を示す機能を果したのに比し,一期 間の財政 (資金)状態 を示す機能を有する発展形態を装うて1940年頃から株主に対する財務諸表 の 一環として生成した のである。 7. お わ り に  損益法的期間損益計算システムにお廿 る貸借対照表 は,現在の経済機構の 下にあって期間損益を算定するために最も適応する心 のと化している。この システ ムにおける貸借対照表は,繰延資産,前払費用 ,未収収益,未払費用,

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引 当 金,前受 収 益 な どを 包含す る繰延 損益を表示 す る機 能を 果 す か らであ る。 し かし, 財政 (資 金) 状 態を表 示 す る機能を 消失 す るに 至 っ てい る。  体 系的に 組織 化 され た 金融 機 関 に よって金融支 配 が細 大 漏 らす こ となく貫 徹 され てい る現 在 の経 済機 構 の もとにあ っ て, 企業 は単 に 利益 を獲 得するこ との みに 専念す るだけ で は存 続し 発 展す るこ とが 許容 さ れな い。  現在 の経 済機 構 の下 に おけ る企業 の運転資 金は,一 般 に 金融 機 関 から の融 資 に 依存し てお り, また, 日 々の手形 ,小 切手な どの資 金 の決 済 も金融機 関 に委お られ てい る。  か かる環境 に 存す る企業 は, 小切 手,手形 な どの決済 を 期 日に 履 行し ない 場 合 は不渡 とな り, 金融 機関 か ら取 引 の停止が 通告 され 金融 機 関か ら追放 さ れ, 企業 は資 金 源を 断 ち切 ら れ倒 産す るに至 る。  企業 が絶 体絶 命 と な る金融 倒産 か ら自己防衛を す るた め に は, 企業 の資 金 収支を 常に バ ラン ス させ る こ とが不 可避的 に重要 とな る。  ここに資 金状 態変 動表 が胚 胎す べ き歴 史的 意義が 存在 し てい る。  こ の場 合 この表 におけ る資 金 とは何 かが,そ の 本質を 規 定す る重要 な課 題 と なるが, こ の問 題につ い て は別途 考 察す るこ と とし 摘 筆す る。      (1979年1 月18日)

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