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資本調達論 : その経営学的考察(経営学) 利用統計を見る

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資本調達論 : その経営学的考察(経営学)

著者

小椋 康宏

著者別名

Ogura Yasuhiro

雑誌名

経営論集

5

ページ

3-23

発行年

1976-12-05

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005889/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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I n Ⅲ IV V

そ の経 営 学 的 考 察

序 資本調達論の経営財務上の意義 企業金融論的財務論における資本調達論 意思決定論的財務論における資本調達論 結び I 序 最近に おけ る経営 財務 研究 は, その内 容 を一段 と充 実 しっ つ 展開 をとげ て い る とい える。 特に, こめ経営 財 務領 域 への近 代 経済学 で開発 され た分析概 念 の応用に は 目を見張 る もの があ り, また従来 の 財務論 から と りあ げら れて き た制度的 題 材に対 す る一 層 の理 論的 展 開に 対 して もあ ら た めて 注 目してお かなければ な らない。 このよ うな中 で, 経 営財 務 の本質 を 明ら かに する もの として, 具 体 的 に 「資 本調達論 」 が とりあげ ら れて きた こ とは周知 の通 りで ある。 また, 資本 調達論が経営 財 務の概 念規定 の中 で果 して き た役割 が重 要で あ った こと もい うを またない 。 加え て, 資 本 調達論 が経 営 財 務研究 の主 流 をな して き た事実 は, その 内容 の相違に かか わらず, 何人 も これ を否 定 す るこ とはで きない で あ ろ う○ ところ で, アフ リカに お ける経営 財務 研究 の流 れに 目 を向 け てみる と, そ こに はい くっ かの流 れが 存在 する と考 えて みるこ とがで きる。 この点 にっい て は,筆 者は, 三 つの もの として,(1) 企 業 金融 論的 財務 論,(3)管理論 的 財務 論,(4)意思決 定 論的 財務 論, を 考え て きた。 こ れら の三 つ の ものは, 財 務論 の 基本的 なタ イプ を示 し た ものに す ぎず, 具体的 かつ重 要 な問題 としてIt,

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4 それぞれのタイプに属すると思われる財務論の一つ一つが,資本調達 をどの ような形でとらえ, どのように分析しているかとい うことである。つ まり, 資本調達論 がどのような形で補足され,充実 七た展開を とげてい るかとい う こ とが重要である。換言すれば,資本調達論が経営財務 の中で どのように位 置づけられてい るかとい うことである。 すでに, 筆者は,資本調達に関する論説をい くっ か発 表して きた1)。 しか しながら, そこでとりあげて きた具体的課題にっい ては, 経営財務研究への 一つのアプローチを強 調しつつ展開したものであり, 経営財務研究への一つ のモチーフを提供したものにすぎなかったと思われる。 そこで, ここでは, 以上 の点 を発展させるために, そのモチ ーフをもう一歩, 具体的に掘り下げ ることを試 みてみるごとにしたい。 つまり, その展開方向としては,経営財 務の経営学的考察あるい は資本調達論の経営学的考察 を必要とするのである。 さて, 資本調達論は, 経営財務の基礎としてとりあげられてきたことはす でに指摘 したところであるが,本稿では, 現在的視点に立 ち, それぞれのタ イプの財務論が展開する資本調達論 の性格をそこな わない形で,その重要点 をとりあげ展開してみることにする。 とくに本稿では,(1)の「企業 金融論的 財務論」 と(3)の「 意思決定論的財務論」に焦点をしぼり, その問題 を考えて みることにす る。 なお,論旨の展開と七ては,最初に, 資本調達論り 経営財務上の意義に関 し,若干 の検討 を行な う。続いて,「企業金融論的財務論」 と「意思決定論 的 財務論」におけるそれぞ れの資本調達論の特徴を明らかに すると同時に, 経営学的見地 から資本調達論の意味づけを行な うことにしたい6 1) 筆者 の資本 調達 に関 する論説としては次のものを参照 されたい 。 小椋 康宏 ,「長期 資本調達論の一展 開」(大島国雄,野崎 幸雄編『 現代 企業 の理 念 と管理 』〈大石岩雄 教授還暦記念論文集〉,豊川 堂,昭和50 年),65 ∼ss ページ6 小椋康宏 ,「意思決 定論的財務 論におけ る資本調達論」(『経営 論集』第2 号, 東 洋大学経営研究所 ,1975年 ),33∼45 ペ ージ。 II 資本調達論の経営財務上の意義 経営財務における資本 調達論を問題 とする場合,その とりあげ方に関して

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は,い くっ かの方 法が あ る と考 えら れる。 各学 者が展 開 する資 本 調達論 に は, そ の立場 の相 違 は もと より, そ こで と りあげ られる具体 的 な題 材に も変 化 が あ ることに 注意 しなけ れば な ら ない 。 そ こで, こ こで は, 経営 財 務に おけ る 資 本調達 論 が どの ような もの と して と りあげ られ るのか, そして どの よ うな 形 で 考えら れて きてい る の かに関 して, 一 応 の整理 をし てお こ う。 経営財務 の領域 め中 で, 資本 調達 論 をと りあげる場合 , 従来 から行 な われ て きた方 法 の一 つに 次 の よ うな ものが あ る。 それ は, 経 営 財務 の概 念 を規定 す る方法 に みら れ, 「 た とえ ば, そ れは資本 調達 であ る」 として展 開す る こ と のうちに みる こと がで きる。 つ まり, 経営 財務 の概念 を明 ら かに す るこ と に よって, 経 営財務 の本質 を探 ろ うとい うので あ る。 こ め場合, 各 学者 は, 資 本調達 その もの の概 念規定 を行 な うとい う方向 をたど るの であ る。 た とえ ば, その資本 とは 何 をい うの か, どの よ うな範 囲 を考え る のか, 貨 幣資 本で あ るのか物 財 資本で あ るの か, あるい は貨 幣価値 として の資本 を考 え るの か とい った ような点 の分析 に, 各 学者 は 議論 を進 めるので あ る。 以上の よ うな形で 展開 す る場合, 資本 調達 論 はどの よ うに 規定 される ので あ ろうか 。た とえば, ガ ス。マ ンとド ゥゴ ール(H.G.Guthmann&H.E.Dougall ) に よれば次 の よ うで あ る。 「経営財務 (businessfinance) は, 概 してい えば, 経営 に おい て使 わ れる資 金 (funds) の 計画 (planning), 調 達 (raising), 統 制 (controlling), 管 理 (administering)に関 す る活動 と して定 義 される こ とがで きる。 …… 第一 義的 な 重要点 は, 企 業体 が経営 する のに 必要 な資 金(funds)や財 産(property)を, い かにして 獲得(acquires)す る かに あ る。・‥=‥一般 に, 資 金 の獲得 とは, 証 券 の販 売 (sellingofsecurities ) 保利益 こ れ は, す ぺ て の 経 営 の う ち少 数 に 関 係 だ け で な く, とが研究 さ す る もの で あ る が, 大 企 業 に は 大 多 数 に 関 係 す る もの で あ る 経 営内で使 わ れる現 金需 要(thecashneeds ) な らびに そ の他 の諸 資産(otherassets ) を調達 (financing) す るた め のす べて の手段 をも 含 む も の で あ る。 ……資本供給 (capitalsupply) の長 期的 型一 株式, 社 債, 長 期 の手 形, 留 と 一 時 的 ・ 短 期 的 資 金 源 一 銀 行, 取 引 業 者 な ど れ る2)。」 以上の叙 述 は, ガ ス マ ソ等 が, 資 本 調達 の問題 を財務 活動 の中心 と考 え,

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6 そこに経営財務の本質 を見つけ ようとしてい るものであると考えられる。ガ スマ ソ等の展開は, その第2 版 までにおける経営 財務領域の図示 から十分理 解できるところである。 図1 −1 会社財務の主要領域 人4.l_ □↓ むv 「 ⊇ 一 一 一 一 一 株式 ・ 社債 を通 じ て の 投 資 の 流 れ 一 一 一 一 一 一 一 一 利 子 や 配 当 の 支払 い に よる 所 得 の 流 れ 留保 所 得 一 一 一 一 企 業 体 の領 域 経 営 者 一 一 統 制 購 買 生産 販 売 (Guthmann,H.G.andH.E.Dougall,CorporateFinancial Policy,1sted.,1948,p.4より引用) 一 方 ド ナル ド ソン とプフ ォール(E.F.Donaldson&J.K.Pfahl) に よれ ば次 の よう であ る. 「各 企業 体 に おけ る財 務職能 の十 分な管 理(management) に対 して 第一 義的 な 活動 は,(1) 財務 計画(financialplanning), す な わち未 来 の現 金 の受 け取 り と支払い の流 れに 対 する評 価 と計画で あ り,(2)財 務組 織 伍皿ncialorganizing), す な わ ち業 務 活動 を執 行 する のに 必要 な資 金の 調達, お よ び(3) 財 務 統 制(financialcontrolling). すな わち, キ ャッシ ュ・ フa ーが計 画に 従っ て生ず る もので あ り, そ の差異 が企 業 体の 継続的 な財 務上 の健 全性 お よび長 期利潤 の極 大化 と矛盾 しない 方 法で操 作 さ れる とい うこ とを保 証 す る財務活 動 をチ ェ ッ クする こ と,..で あ る3).」 ド ナル ド ソ ン等 の説 明で は, 財 務活 動 を もう一 歩, 幅 広く と りあげ, そ こ

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で は 管 理 の 観 点 を 打 ち 出 し てい る の が 理 解 で きる。

さて, 新 しい タ イ プ に 属 す る財 務 論 を展 開 す る ウ ェ ス ト ン(J.F.Weston ) は ,『企 業 財 務 論 の 方 法4 』』 の 中 で, 財 務 職 能 論 を 展 問 す る。 彼 は, 次 に 示 す 四 つ め財 務 職 能 の 主 要 な 間 題 す な わ ち,(1) 資 金 の流 れ(fundsflows ),(2)資 本 価 値 の極 大 化 (maximizingcapita トvalue ),(3)情 報 の流 れ (informationflows ), お よ び(4)計 画 と統 制 (planningandcontrol ) を と りあ げ る( 表1 参照)。 そ れ は 次 の よ うに 説 明 さ れ る。 表1 財務 職能の内容 A. 特定の財務領域1. 資金の流れの管理 づa. 資金の効果的調達b. 資金の効率的運用c. 資金の流れの分析d. 流動性目標ないし制約の列挙と監督2. 資本の管理a. ファイナソシング ,ミックスの管理b. 資本予算の概念の利用c. 資本価値に影響 する意思決定や行動の分析d. 資本価値の極大化B. 全般的管理機能3.ft 報の流れの管理a 資源配分を導く勘定システムの定式化b. ポートフ ォリオ決定の分析4. 計画設定と統制過程の管理a 標準を設定するための分析b. 代替案,計画および方針の定式化c 業績 を計画と比較することによる定期的な検討d. 是正活動および計画の修正e. 企業体の全体の潜在能力を実現するために,業績に対し賞 罰を与 えるための刺激給制度 「財務職能に含まれる活動は, 一つの連続したものを表 わしてい る。表 のA 項の最初の二つの範躊は,特定 の財務職能に関連するものであり,一方, 第2 のB 項の二つの範躊は,一般的な管理機能に関連する ものである。 しかし ながら, 財務管理者の活動の聞では相互関連が存在 してい る。 とい うのは, 企業体の活動は, ト ータル・ システムの行動であるから である。他の経営機

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S 能 と同 じ ように, 財務 を とり まく企 業 体 の活 動に 関 して, ト ータル・ システ ムの接近 方法 が次 第に とら れる よ 引 こな る。 財 務管理 の主 要 目標 は, 最 も低 い コス トで, 最 も,よい 条 件 で, 資 金 を調達(theacquisitionoffunds ) するこ とで あ る。 また, それ はそ れらの 資 金 を効 果的 に 運用 す る こと と関 連 してい る。 資 金の 調達 と運用 に対 する職 務 の一 部 として, 資 金 の流 れ(fundflows ) を 分析 す る シス テ ムが必 要 であ る。 資金 の流 れ を強 調す るの は, 経 営方 針の 一 部 であ る流動 性(liquidity) の 目標 あ るい は制約に 関 連 してい るので ある。 そ の次 に示 す一 連の財務 職 能 は, 資本 価値 の極 大化 に関 連 した もので ある。 投 資 の限 界効率 関数 は,十適切 に定 義 された資 本 コス ト関数 に関 連 してい る。 資 本予 算 お よび ファイ ナ ンシ ン グ・ ミッ クスの決 定基 準 は, 資 本化 された価 値 に影 響 す る企 業体 の全活 動 の分析 を含 んでい る の であ る。 この 意味に おい て, 財務 職 能は い企業 体 の 価値に 影 響 するす べての 決定 や行動 と関連 かおる とい う論 述が しば しば な される とい うので ある。 したが って, 財 務は, 企業 体 のす べて の代 替 案の決定 や活 動 の分析に 職 務 を もち, 企 業体 の所 有者 の価 値 の極大 化に導 くと ころ の これ らの 決定 や活 動 を選択 す る 目的 を もってい る の で あ る。 情 報 の流 れは, 資 金, 人, 物 財 の流 れに つい て の情報 を与 え る。 情 報の流 れ の分析 は, 最初に, 効果的 な資 源 の 配分に 導 く勘定 シ ス テ ムの定 式化 とそ の 活 動に 焦点 があ わ される。 情 報 の流 れの第2 の面 は, ポ ート フ ォリ オ分析 に 関連 した もので ある。 こ れ は, 個 々 のプ ロジ ェ クトに対 する 極大 価値 にっい ての 情報 ば かりで なく, 他 のプ ロジ ェ クトとの関 係に つい て の情 報 を含 むの であ る。 これは, 期待収 益 , 原価 差異 や投 資機会 の間 の関 連 にっ い ての 情報 を与 える。 それ は, 投資 の 組 み合 わせに 関 する代替 案 の評 価 すな わち ポ ート フ ォリ/オ分析 の評価 に与 え ら れる ので ある5)。」 結 局, ウェスト ンに よれば, 財 務職 能 の中心的 役割 は, 資 金の流 れ (fund 丑ows) とフ ァイ ナ ンシ ン グ・ ミッ クス (financingmix ) に関 連す る のであ る。 これ ら の職能 を遂 行 する うえで, 財務管 理 者 は, 企 業 体 の 価値に 影響 を与 え る す べて の決定 と行動 を評 価 する こ とに関 連 して重 要 な 職務 を果 してい るの で あ る。 この よ うな ウェスト ンに よ る展 開で は, 資本 調 達 の問 題 は, フ ァイ

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ナ ソシン グ・ ミッ クス と関 連 して研 究 される こ とに なる。 … … … また, ソ ロモ ン(E.Soloman )で は, 資 本調達 論 を どの よ うに とりあげる の であろ うか。 ソロモ ンは, 新 しい 研究 方法 の 内容 から 次 のよ うに 考 える。 「財務管 理 の 領域 が, 資 金の運 用 と調達 の両 者に 関 する 意 思決定 を含 むよう に 再定義 され る ならば, こ の主題 の主 要 な内 容 は, 企業 体 が会社 の資 金を必 要 とする あら ゆる形 態 の資産 への投 資 を維持 す べ きか, あ るい は増大 す べき かど うかにっ い て, 財務管 理者 が どの よ うに 判 断 を下 す べ 首か とい うこ とに 関 連する もの であ る, とい うこ とは明 ら かで ある。 続い て, これは, 次に示 す三つの質 問 に答 える た めの説得 で き うる基 礎 を必 要 と するの であ る。1. 企業 体 は, どの よ うな特定 の資 産 を獲得 す べ きか。 /2. 企業 体 は どの ぐらい の資金 総量 を投下 す べきか。3. 必 要 な資 金は どのよ 引こして調達 すべ きか。 これら の質 問 は密接に 相互 関連 七てい るの であ る6)。」 以上の点 は, ソロモ ンが 考え よ うとす る経 営 財 務の よ り広い 枠 組 みの中で, 資 本調達 が と りあげ られてい く のであ る。 ユ これらに 加 えて, ラーナ ー(E.M.Lerner ) で は, 財 務 職能 をい わゆる シ ス テ ムズ・ アプ ロ ーチに よって 考え る見 方 をと ってい く。 そ して, ラ ーナ ー に よれば, 「現 代企業 に おける 財務管 理 者の職 務 は, シ ステ ムの設 計 と統制 (thedesignandcontrolofsystems ) に中 心 をお く ことで あ る列 こ とを明ら かにずるの で ある。 ラーナ ーに おい で は, シス テ ムの概 念 を使 う ことに よっ て, 資本 調達 の 問題に 関 して も, 新 しい その枠 組 みの中 に展 開 す る の で あ る8)。 \ < 以上 その主 要 な点 につ き,各学 者に よる財 務論(企業金融論的財務論および意 思決定論的財務論両者を含む)の中か ら,資本 調達 論の性 格 を, 財務職 能 の概 念 お よびそ れに対 す る接近 方法 を考慮 し なが ら, その問 題 を考 えて きた。 資本 調 達論の経営 財 務上 の意義 にっい ては, い か かる財務 論 として も, 資 本調達 を経営財 務 の枠 組 みの中 で考え てい る ので あ って, その 問題 をぬ きに して は 論 じられてい ない こ とは事実 であ り, 注 意 し てお く必要 がある。 そ しX, 次 に その問 題 に一 歩 深 く立 ち入 る ためにこ こで資 本 調達 論 の具体的 展開 を行 な うことに よっ て, そ こに 内在 する資 本 調達論 の問題 を明 らかに して み たい 。

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こ の点に 関 して は, 次節以 下 で展 開 される。

2 )Guthmann ,H.G.andH.E.Dougall ・CorporateFinancialPolicy,4thed. ,NewJersey,Prentice-Hall,1962,pp.1 ∼2.3

)Donaldson,E.F.andJ.K.Pfah χ,CorporateFinance,2nded ・,NewYork,TheRonaldPress,1963,p.8 ・4 )J.F.Weston ,TheScopeandMethodologyofFinance,NewJersey,Prentice-Hall ,1966.( 古川栄一監訳 ,永 島敬識,村松司 叙 訳,『企業財務論 の方 法』,東洋 経済新 報社,犬昭和44 年)5 )J.F.Weston ,op.cit.,pp.87 ∼89. ( 前掲訳書,135 ∼139 ペ ージ)6 )E.Solomon,TheTheory ・ofFinancialManagement,NewYork,ColumbiaUniversityPress バ1963,p.8. ( 古川 栄一監 修,別 府祐弘 訳,『財務 管理論』,同 文舘,昭和46 年 ,12∼13 ペ ージ)7

)E.M ,Lerner ,ManagerialFinancelasystemsapproach,HarcourtBraceJovanovich,1971,p.5.8

) ラ ーナ ーのシステ ム的 と りあげ方にっい ては次の拙稿 をみら れたい。 小椋康宏 ,「シ ステムズ・ アプp ーチによる経営財務論 の特 質 にっい て」(『経 済経営研 究所研究報告』,No.8, 東洋大学経済経営研究所 ,1975 年),187 ∼204 ペ ージ。 Ill 企業金融論的財務論における資本調達論 前 節で簡 単に 指 摘 して きた よ うな財務に 関 する概 念 を 明ら かに す る ような 接 近 方法 では, 資 本 調達 論 そ のも のの具体的 内 容 を理 解 する こ とはで き ない し, 資本 調達論 その もの の もっ 内容 に対 す る経 営学的 位 置づ け も不十 分 とな ろ う。 し たが って, 本 節で は, 企業 金融 論的 財 務論 が と くに主 題 として きた 資本 調達に 関 す る諸 研究 の中 から, 一, 二 の問題 を とり あげ, その展 開 を通 じ て, この タイ プに属 する財務 論 の経営学的 意味 を論及 す るこ とに する。 企 業 金融論的 財務 論 は, そ の主 題 を 長 期資 本調達 (Long-termfinancing ) に おい て きた とい われる。 とくに 株式 会社形 態 の急 速 な 発展 過 程に おい ては, 長 期資 本の多 額的 調達 は必 要欠 く べがらざ る もので あり, そ れが企 業体 に と っ ては, 決定的 に 重 要 な課題 で あっ たこ とはい う まで も ない 。 そ して, 一 方 で は, こ のよ う な企 業 金融論的 財務論 は, コ ーポ レ ーシ ョ ン・ フ ァイ ナンス の 形で 現 われて きた事実 と一 致 する9)。 しか もこの企業 金融 論的 財 務論 は, 制度論的 なもの として 考え ら れるの であ って, 資本 調達 ( この場合,とくに長

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期の資本調達)のた めの諸 制度 を記 述 するに とど まる もの で あっ た とい うこと が できる。 △ さて, この よ うな企 業 金融論的 財 務論 は, 制 度論的 分 析 を展開 してい くの で あるが, そ こには どの ような経営 学的 意 味 を示 してい る と考え ら れるのヤ あ ろうか。 この問題 も あわせ, 企 業 金融 論的 財 務論 にお け る資本 調達 論 をみ てい くことに する。 ・。 このタイプ の財務論 で, 一番, 強 く論 じら れた のは, 長 期 資本 調達手 段 と し ての株式 (Stocks) と社 債(Bonds )の 研 究で ある。 前 節 に おけ る図1 のよ うに, 株式 や社債 を通 じ て, 企 業 体の外 部 から長 期 の資 本 を調達 す るこ とか ら理解 で 首る。 では, 株式 あるい は社 債にっ い ては どの よ うな記述 が なされ る のであろ うか。(i ) 株 式 企業金融 論的 財務論 に おい ては, 株式 は次 の よ うに説 明 される。 す なわち, 株式 は, 所 有 権 を表 わした もの で あり, あら ゆ る企 業体 に おい て みら れる も の である。 した がって, 株式 に よ る資 本 調達 は, 企 業体 に とって もっ とも基 本的 なもの と して考 え られ るこ とに なる。 さて, 株式 をとりあ げる場合, まず その 種別化 を通 じ て行 な われる。 この 場 合,株式 は 普通株(Commonstock )と優先 株(Preferredstock)とに分け ら れる。 とこ ろで, この両 者 を説 明す る前 に, こ こで まず ガ スマ ンとド ゥゴ ー ル が指摘 す る ように10), 株式所 有 権 の基 本的 権利 の特徴 を五 つ あげて み よう。1 ) 利潤分 配 権- そ れは配当 と して分 配 される。2 ) 取 締役 に対 す る投 票 権一 企業 体 を管 理 す る うえ で の所有者 を代表 す るものに 対 して。 3) 新 株 引受 権 現在 の株主 に比 例し て。 4) 会社帳簿の検査権。5 ) 残余財産の分配権一 解散の場合における債権者 への弁済後。 また, ド ナルドソンとプフ ォールによれば, 次のような点 を中心 として考 える11)。(1) 株式 の移転。 十(2 ) 配当 を受ける権利。

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12 (3) 投 票 権 。(4 ) 株 主 に 対 す る 有 限 責 任 。 普 通 株 に っ い て , 額 面 株 (parvaluestock ) と 無 額 面 株 (stockwithoutparvalue,no-parstock ) に 分 け る 見 方 を す る12)。 こ こ で ま ず , 額 面 価 格 に っ い て 考 え て み る と ,1 株 当 り の 額 面 価 格 は け 証 書 に 記 載 さ れ て い る 金 額 で あ り , そ の 重 要 性 は , 株 式 を 額 面 よ り も 低 い 価 格 で 発 行 し て は な ら な い と い う 規 則 に あ る に す ぎ な い 。 し た が っ て , 実 践 の 経 営 財 務 の 場 で は , 株 式 の 場 合 , ほ と ん ど そ の 意 味 を も た な い こ と に な る 。 そ こ で は , む し ろ 額 面 価 格 の も つ 意 味 の 不 都 合 な 点 が あ ら わ れ て く る の で あ る 。 ガ ス マ ソ と ド ゥ ゴ ー ル は 次 の よ う な も の を あ げ る 。1 ) 株 式 は , 任 意 の 価 格 で 財 産 と し て 発 行 さ れ る の で あ る 。2 ) 額 面 価 格 は , 株 主 の 総 支 払 額 の 一 部 分 の み を 表 わ し て い る に す ぎ な い こ と で あ る 。3 ) 留 保 利 益 は , 最 初 の 株 式 価 値 を 増 加 さ せ た り す る し , 損 失 は そ れ を 減 少 さ せ た り す る と い う こ と で あ る 。4 ) 投 資 と し て の 企 業 の 市 場 価 値 は , 表 面 的 な 額 面 数 字 よ り も む し ろ , 常 に , も っ と も 重 要 な 価 値 の 手 段 で な け れ ば な ら な い 。 次 に , 無 額 面 株 に つ い て 考 え て み る と , 無 額 面 株 の 最 初 は , 無 額 面 と い う こ と を 意 識 し , 普 通 株 か ら の 額 面 価 格 の 移 動 と か 所 有 者 の 持 分 に お け る 残 余 分 配 の 変 動 と し て , そ の 本 質 的 特 質 を 強 調 す る こ と が 望 ま し い と 信 じ る 人 々 か ら 生 じ て き た と い う1呪 無 額 面 に お け る 主 な 財 務 的 利 点 は , 新 株 を 売 り 出 す 価 格 設 定 に っ い て , 取 締 役 に 自 由 が 与 え ら れ て い る と い う こ と で あ る 。 無 額 面 株 は, 額 面 株 そ れ 自 体 が も つ 意 味 が 薄 ら ぐ に つ れ て, 制 度 的 に と り あ げ ら れ , 普 及 し て い く こ と に な る'' ) ハ ズ バ ン ド と ド ッ ケ レ ー (W.H.HusbandandJ.C.Dockeray ) に よ れ ば , 次 の よ う に 無 額 面 株 の 支 持 者 の 利 点 を 述 べ てV ヽる15 )。 (1) 偶 発 的 な 債 務 の 忌 避oI (2) 株 式 発 行 の 市 場 性 の 増 大 。(3 ) 名 目 的 価 値 の 忌 避 。 (4) 株 式 の 資 本 勘 定 へ の 融 通 性 。

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とこ ろで, こ の普通 株に 対 し て優先株 が考え ら れるよ うに なる。 優先株は, 契 約条項 の 配当 金に 対 す る優先 権 が与 えら れ, 一般 に 財 産 に関 して優 先がな されて お り, す なわ ち清 算時 に おけ る他 の株式 をこ えて, あ る特定 の額( 一 般には額面に累積配当金を加え たもの)まで 優先権 が与 えら れる ので ある。 優先 株 が長期 資 本 調達 として と りあげ られてい く事実 と, そ れが 次 の項 で展開す る 社債に, そ の性格 上, 類 似 する諸点 が見受 け ら れるこ とに注 意 し なければ ならない 。 このよ うに して, 優 先株 は, 株式 の一 変質 した ものと して みら れる のであ る が, これ らに は, い くっ か の ものに 種別 化で きる ので あ る。 そ の主 なもの を 指摘 すれば 次 の よ うで ある。(1) 参 加的 優 先株(Participatingpreferredstock) (2) 非 累 積的 優先 株(Non・cumulativepreferredstock)(3 ) 転換 優 先 株(Convertiblepreferredstock) し(ii) 社 債 企 業金融 論的 財務論 に おい て は, 社 債は, 株式 と対 比 し た形 で説 明 される。 す なわち, 社 債 は, 長 期 の 債務 の契約 を含 んだ証 書であ り, 株式 の よ うな所 有権 をもっ もの では ない 。 社 債権 者は 会社の 債権 者であ り, あ る場合 に は,ニ 所 有者 より も多 くの長 期 資金 を提 供する こ とに なる。 そ して, ガ スマ ンとド ゥゴ ール は, 社 債が 株式 と区 別 される一 般的 特徴 と して 次 のよ うな ものをあ げ てい るlR 。 十(1) 社 債権者 の請 求権 は, 株主 よ りも先 である こ と。(2 ) 社 債権 者に お け る利子 は不 変の 請求権 で ある こと。 一 方, 利 益 が保証 され る と きの み, 株主 への 配当は 可能 である とい う こ と。(3 ) 社 債利 子 は, 固 定 金額 に対 する 請求権 であ る こと。(4) 社 債 は償 還 日が あ るが株式 に は ない こ と。 ㈲ 社 債権者 は, 経 営 者の 任務 がな されてい る限 り, 経 営 者に 対 し, 投票 権 も意 見 も もた ない こ と。 ハズバ ンド と ド ッ ケレ ーは, 社 債の主 な特徴 として次 の よ うな もの をあげ てい る17)。 (1) 元 金 に関 して, 明 確 な支 払い の約 束。 \

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14 (2) 利子に 関 して, 明確 な支 払い の約 束。 (3) 満 期 日。 緬) 支払 条件 の説 明。 ㈲ そ の他 の権 利に 対 する 社 債の契 約 書 の参照。 ガ スマ ソと ド ゥゴ ール は社 債証 書に は 次 の よう なもの が示 され る とい う18)。(1) 社 債の名称。 (z) 券面 額。(3) 支払 貨 幣。 収) 利子 率。(5) クーポ ンあるい は記 名 様式。 ㈲ 連 続番 号。(T ) 証 券 の性 質。(8) 特定 の要件。(9 ) 署 名。 以 上 のよ うに七 て, 社 債 は, 株式 とと もに長 期資 本調 達手段 として 幅広 く 利 用 される こ とに なる。 そ して, この よ うな社 債 の記 述 として は, 社 債 の担 保 の問題 が取 り扱 われ る。 この点 にっい て, ガ スマ ンと ド ゥゴ ールの説 明か ら みて み よ う19)。 一 般に, 社 債に は, 担保 が設 定 さ れてい る の が普通で ある。 す なわ ち担 保 附 社 債(mortgagebonds ) で ある。 社 債 は, 会 社 のあ る一定 の財産 にお ける 請 求権, 質権 に よって 保証 されてい る か, 単に, 無担 保 社債(debenture) と し て知 ら れてい る一 般 の信用義 務に よ るか であ る。 また, 担 保附 社債に は, 開放 担保(openmortgage ) と閉 鎖 担保(closedmortgage ) が あり, とくに, 無 制限開 放担 保(open-endmortgage ) は, 単一 の質 権に よって 保証 さ れた 継 続 的 発行 を許 してい る ので ある。つ さて, 社 債は, その変 形 し た形 態 として, 転 換社 債(coavertiblebonds)を とりあげ る ことが で きる。 転 換 社 債は, そ の特 徴 と して, 一 般に, 社 債保 有 者 が普 通株に 転換 す るこ とが有 利 で ある と考 える と きはい っ でも, 契 約 条件 り も とで, 社債 を普通 株に 転 換す る権 利 を与 えてい る とい うこと であ る。 転 換 社 債は,い っ で も株式 に 転 換で きる とい う意味 で, 株式 に近い 意味 をもっ

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てい るのであ る。 した が って, 新 しい 資 本 を調達 する手段 として の転 換社 債 の 利用 に は, 発 行会社 の 財務的 態 度 や資 本市場 に おける状 態に, 大 部分, 依 存 してくる ので あり, とくに 株式 に 近い 社 債 とい うことから, ぞの 転換 とい う優先権に つい て は魅 力的 な もの とす る ことが必 要 となるで あ ろ う。 前項で みた優 先株に 加え, こ うい っ た転 換社 債とい っ たよ うな もの が出現 す ることに より, 長 期 資本 の 新 しい 変 化 を知 る必 要があ る。 株 式 と社 債の接 近 化を通 じて, それが新 しい 企 業 観 を考 える立場 もあら われてく る20)。 つ ま り, 新 しい企 業 体 制 の展開 を知 ら なけ れば なら ない ので ある。 換 言 す れば, 企 業体制の発 展過 程 の中 から, 新 しい 経 営体 を考 え, そ の立 場 から経 営財 務 論 を考えレ 資本 調達論 を考 え るの であ る。 最近に おけ る わが国 の中 で, 転換 社 債 の普及, あ るい は転換 優 先株 の 出現 を みるに及 んで, 一 層, そ の よ うな見 方 の妥当 性が ある よ うに 思 わ れる。 そ し て, その よ うな変 化 する 環境 の中で, 企 業 金融論的 財 務論に お ける資 本 調 達 論 の制度的 側面 に おい て の新 しい 展 開 がな され なけ れば なら ない。 なお, 企 業 金融論 的 財 務論 で は, そ の他に, 支 配(control卜 に 関 する 問題, 危 険(risk) と所 得(income )に 関す る問題 が とりあげ ら れる のであ る が,⊃そ れ らについ て は, 別 の機 会に 論 ずる こ とに する。 9) この点 につい ては次の論文 を参照 されたい。p.Hunt, “FinancialPolicyofCorporations,"QuarterlyJournalofEcono-mics,LVII (February,1943 ),pp.303 ∼313・10 )Guthmann,H.G.andH.E.Dougall ,op.cit.,p.130.11 )Donaldson,E.F.andJ.K.Pfahl ,op.cit.,pp.84 ∼88.12 ) 主 として,次 のものを参考 にして展開 してい る。Guthrtiann

,H.G.andH.E.Dougall ,op.cit.,pp.141 ∼145.Donaldson,E.F.andJ.K.Pfahl ,op.cit.,pp.92 ∼95.13

)Guthmann ,H.G.andH.E.Dougall ,op. 友らp.143.14 ) この点にっいては 次をみら れたい 。

小椋康宏 ,前掲論文 「長 期資本調達 論の一展開」74 ページ。15

)Husband,W.H レandJ.C.Dockeray ,ModernCorporationFinance,7thed.Illinois,IRWIN ,1972,p.62.16

)Guthmann,H.G.andH.E.Dougall,op.cit.,pp.163 ∼:164.17 )Husband /W.H.andJ.C.Dockeray ,op.cit.,p.87.18

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le 犬19 )Ibid.,pp.177 ∼182.20 ) こ の点 につい ては,次の論文 を参照 されたい。 山城章 ,「資 本 の自・他性」(『会計』第61 巻第3 号,森 山書店 ,昭和27年)ノ43 ∼59 ペ ージ。 山城 教授 の「企業体制論」にっい ては,次の文 献 を参照 されたい。 山城章『現代 の企業』,森山書店 ,昭和36年。 IV 意思決定論的財務論における資本調達論 本 節 では, 前 節に ならい, 意思 決定 論的 財 務論 に おけ る 資本 調達 論の理論 的 展 開 を通 して, こ のタイプ の財 務論 の位 置づ け を経営 学的 観点 から論じて み る ことに する。 意 思 決定 論的 財 務論に おけ る資本 調達 論 は, 投 資 決定 論 とともに 重要 な領 域 を構成 し て きた。 こ こにお ける資 本 調達論 は, 企 業 金 融 論的 財 務論にお け る 制 度的 なと りあげ 方 とは違い , 分析的 視角 か らの アプ= −チ が とられる こ とに なるJ そし て, 具体的 に は, 経営 の財務的 意思 決定 の立場 か ら資本調達 の問 題 を考 え る ことに なる。 この点に つい て は, 次 の よ う な説 明 からおお よ その理 解が で きるで あ ろ う。 す なわ 乱 新 しい 投 資 計画 を なす場 合に, そ れ に 必 要 な資 金 を, どの よう な形 で 調達 したら よい の か6 また, そ の資金調達 の タイ ミン グはいっ に したら よい のか とい った よ うな も のであ る。 加えて, 資 金 調達 にっ い て は, 自己 資 本に よるの か, あるい は負 債に よる のか とい っ た よ うな資 本構 成が問 題 となる ので ある。 以上 の よう な点にっい て, 意思決 定 論的 財務論 は, その分析的 視 角 からの 理論化 が 行 な わ れるの であ る。 な 紅 ここで は, 意思 決定 論的 財 務論 にお ける 資 本調 達論 として, とくに 深 く 関 係の あ るも のの中 から,− , 二 の点 をと りあげ, その理論的 展開方法 を みる こ とに とど めて お くこ とに す る。 田 資本 調達 と資 本 コスト 意 思 決定 論的 財務 論に おけ る資本 調達論 は, 企業 価値 極 大化 の も とで, そ の問 題 が とりあ げら れる こ とに なる。 そ して, 資 本 調達 に 関す る諸問 題につ い て の 研究 は, 企 業 金融論的 財 務論に お ける制 度的 記 述 を中 心 と したもの か らに 資 本 コスト (thecostofcapital ) の新 しい 概 念 と を関 連 させ ながら分析 的 に 展 開す る方向 へと変 化 を とげ てい く のであ る。 この場 合, そ れらの理論

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化 には, 近代 経済 学 で 開発 されて きた分 析概 念が使 われ るの で あ る。 十たとえば, ウェス ト ンとブ リガ ム(J.F.WestonandE.F.Brigham )に よ れ ば, 資本 コ スト にっ い て, 次 の よ うなプ コセスで展開 を試 みてい る。 す な わち, 最 初に, 資 本 構成 にお け る各 構成 要素一 債務, 優 先 株 汀 よび自己 資 本 のコストの分 析 が な される。 次 に, 各 構成 要 素の コス ト が 加重 資 本 コスト を求 める た めに 結合 され る。 また, 資 本 コスト と投資機 会 との間 の 関帳 が展 開 され, 限 界資 本 コスト と限 界投 資利益 との同時的 決定 が 議論 され るので あ る21)。 こ の点 の一 部 に つい て は, 本 項 の後半 で展 開して みよ う。 し たがって, ここでは まずビ ヤ ーマ ンとス ミ ット(H.Jr.Biermanands.Smidt ) に よる ものを簡 単に示 し て みよ う22)。 ビ ヤーマ ソと ス ミ ット に よ れば, 企 業 の資本 コスト は, 各 々 の タイ プ の資 本 の加重 平均 資本 コスト とし て定 義 され る。 各 々の タイプ の資 本 の 加重 は, そ の会社 によ って発 行 される す べての 証券 の市場 価値に 対 す る, 資本 の源泉 を表 わす証 券 の市場 価 値 の比 率 で ある。 証 券とい う用 語 は, 普 通株, 優先株 お よび支払手 形 を含 める ところ の すべ ての禾U払い に 関係 のあ る 債務 を含 んで い る。 ( 普通株資本 の コス ト) 普通株資本 の コス ト は, 普通株主 に よって 必要 とされる 利益 率 に等 しい 。 この利益 は, 未 来 配当 を普通 株 の現在 市場 価値 と比 較 する こ とに よ って測定 される。 永久 に 続 く未 来 配当 を普 通 株の コス トに 等 しく する 割 引率 は, 普通 株 資本に対 す る資 本 コス トであ る。 普 通株資 本 の コスト は 次 の よ うな公式に よっ て接近 させ ら れる。/v 会 +Q た だし,1 こ士 普 通株 の 資本 コスト 八)=現在 の現 金配 当率 几 =1 株当 りの 現在 の市 場 価格g =配 当 の期待 成長 率 現在の配当 が 工株当 り6 ドンレで あ り, 現在 の市場 価格 は1 株に つ き150 ド ルであり,1 株 当 りの配当 は年 率2% で増 加す るこ とが期 待 さ れてい る と仮 定し てみよ う。 この場合, 普 通 株資本 の コスト は,( 第一次的接近として)次

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18 の よ うに評 価 される。 ゐ=。04十。02=.06(6 %)( 長 期の 債務 コス ト) 長 期の 債務 資本 の コストは, 対 象 と な る特定 の企 業 の長 期 の証 券に対す る 現在 の実 効利 子率で あ る。( 短 期の 債務 士zス ド) ニ 短 期の 債 務 コストは, そ れが 明示的 な利 子 の こコスト で ある点 に おい て, 長 期 の 債務 コスト と類 似 した もので ある。( 債 務 と所 得税) 配 当が株 主 に支払 われる と き, 自己 資 金 の実 効 コスト は, 配当 額, 株 価お よ び配当 に おけ る期待 する変 化率 を 考慮 する ことに よ って決定 され る。 債務 の実 効 コスト を計算 する ために, 利子 の 支払い は, 利 子 が 税金 目的 とし て控 除 で きる とい う事 実 を償 うように 修 正 され なけ れば なら ない。( 加 重平 均 資 本 コストの計 算) 会社 の 普通 株の市場 価値 が4,500 万 ド ルで ある と評 価 されてい ると仮定し て み る。 利 払い に 関係 のある社 債 の市場 価 値 は3,000 万 ド ル と評 価 され, そ して, これ らの債務 の 税引前 の平均 利廻 りは, 年 に6 % であ り, 税引後で は 年 に2.88 %( 税率52%であると仮定すると6 %に0.48倍したものに等しい) に等 し く な る。 あ る会 社が 現在, 年 に8 ド ルの 配当 を支払 って お り, 株 式 が100 ドル の価 格 で 売 ら れる と仮定 して み よう。 配当 の成 長 率 は, 年 に2% で あ ると 計画 さ れ る。 す る と普通株 資 本の平均 コスト は次ダ)よ うに なる。 ゐこ $8 $100 十.02 =.08 十.02 =.10or10 % この会 社 に対 する平均 資 本 コスト は, 全 体 とし て 次の よ うに評 価 される。 資 本 コスト の評 価 資 本の源 泉 自 己 資 社 平均資 本 コス 本 債 ト 総資本 におけ る割合 00 戸 り4 コ ス ト .10 .0288 加 重 コ ス ト .06 .012 .072or7.2%

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前述の例 は, 現在 の社 債お よび 現在 の普通 株に 必要 な利 益 率に よって説明 さ れる。 もし, われ われ が追 加投 資 の資金 調達 の た めに, 新 たな資 本 の調達 を考慮する とす るなら ば, 追加 の社 債 と株式 の組 合 せで 発 行 される なら必要 となるで あろ う利 益率 に よ って説 明する こ とが もっ と正 確 となる であ ろう。 平均 資本 コス ト として 使 われる平均 とい う用 語 は, 社債 と株式に 対 する加重 平 均限界 コス ト とし て 論及 される。 社 債お よび 普通 株の 発 行 が企 業 の資本構 成 を変化 させ ない とい う状 況 の もとで は, 限界 コストは 平均 コストに 等しく なるので ある。 一方, ウェ スト ンと ブ リガ ムは, 配当政 策 の残余 理論 を とり あげ てい る の で それを みて お こ う23)。 この理論 の 出発 点 は, 投 資家 は, もし再投 資 から生 ま れる利 益 率 が投資家 白身の他の 同じ ぐらい の危険 をもっ 投 資から 得 られ る利 益率 より まさる もの で あるなら ば, 配当 に支 払 われるよ り もむしろ企 業 に留 保し, 再投 資 させる こ とを好 む とい う もので ある。 もし会社 が留 保利益 を再 投 資 し,20 % の利 益 率 を得, 他方 で は, 利益 が 配当 の形 態 で株主 に移 る ならレ 株主 が得 る ことの で きる最高 の利 率 が10 % で ある限 り, 株主 は企業 に 利益 を留 保 させ る ことを 好 むであろ う。 多 くの会社 は 最適 負債比 率(anoptimumdebtratio )を もって お り, 新 たな 資 金調達 は, あ る部分 は債 務, 他 の部分 は自己 資 本に よ って な される。 内部 に 入った 自己 資本 は, ある新 たな投 資額 を資 金調達 する のに利 用 さ れる。 す なわち, この 額 をこえ る場 合, 会 社は もっ と コス ト のか か る新 た な普通株に 目を向け なけ れば なら ない。 新 株 が売 られ なけ れば なら ない 点に おい て, 自 己 資 本コスト お よび結果 として限 界資 本 コスト は上 昇す る。 この概 念は, 図4-1 に示 される。 この 会社 は留 保利益 が利用 で きる限 り,10 %の限 界資 本 コス ト をも ってい る。 し かし ながら, 限 界 資本 コスト は, 新 株 が売られ なけ れば なら ない とき上 昇 し始 める。 この仮 説め会 社 は,50 万 ド ル の留保利益 と50 % の最 適負 債比 率(optimumdebtratio ) をもっ てい る。 そ れ ゆえ, 新 投 資1 億 ド ル まで は, 留 保利 益50 万 ドル と新 た な社 債に よっ て調 達 される。 そ のた め, その限 界 資本 コスト は,1 億 ドル の資 本 まで10 %で一 定 してお り,1 億 ド ルを こえ ると, 限界 資本 コストは上 昇 し始 める・。

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加 図4 −1 限界資本コスト 資本コスト(%) 10 050100 調達 さ れ る資 本(100万 ド ル) 図4 −2 投 資 機 会 内部 利益 率 IRRa 投資額(100万ドル)i 図4-2 は,投資機会を示したものであり, 工RRi は良 好であり,IRR2 は 普通であり,IRRs は不良であることを示している。 さて, ここで,投資機会スケジ ュールと資本コストと を結びっ ける。 これ は, 図4 −3 でなされる。 投 資機会の線が資本 コストの線を切る点は, 新規 投資の適正水準をあら わしでいる。IRRi が適切 な計画である状態を考えて みる。会社は,5,000 万ドルの利益 と50%の目標負債比 率をもっ。 その結果, 会社は, 留保利益5,000万ドルと新たな社債5,000万ドルを加えて,1 億ドル を調達することができる。 もし会社が配当に利益の一部を支払うならば, そ のとき, 会社は,一 層のコストのかかる新規の普通株を利用 しなければなら ない。 その結果, 資本 コストの線は一層上昇する。IRRi の状態のもとでは, 会社はすべての利益を留保し,投 資機会の利益を得るた めに,いくらかの新

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図4 −3 資本コスト,投資機会および新投資との間の相互関係 % 02575100125 新投資額(100万 。ドル) 規 の普通 株 を売 ら なけ れば なら ない こ とを意 味 し てい る。 この よ うに し て, そ の配当支 払い 率 はQ> % となる。 同様のプ ロセ スを とり,1RR2 の状態 の も とで は, 会 社は7,500 万 ド ルだ け を投資 する こ とに なる。 目標 負債比 率 の50 % を考慮にい れ れば, 必 要 な7,500 万ド ルは, 留 保利益3,750 万 ド ルと社 債3,750 万 ド ルとで 調達 さ れなけ れば なら ない。 し たがっ て, もし こ の会社 が 総利益5,000 万 ド ルを もち, し か も3,750 万 ドノレを留保 し, 再 投 資 を決定 す る ならば, 会 社 は配当に1,250 万 ドル支払 わなけ れば なら ない し, この場 合の 配当 支払い 率 は25 % と なる。IRRg の状 態 の もとで は, 会 社は2,500 万 ド ルを投 資 しなけ れば な らない 。 目標 負債比 率 を考 慮 すれば, 会 社は,1,250 万 ドルを留 保し,1,250 万 ド ルの 社 債 を売 り だし, そ の結果, 配当 に支 払 われ なけ れば ならない3,750 万 ドル の残余額 を放 出す る ことに な る。 こ の場合, 配当支 払い 率はi % とな る。 以 上, 意思決定 論的 財 務論 にお け る資 本 調達 論 と関 連 のあ る理論的 展 開を 一, 二, みて きた のであ るが, そ こに はそ れ自体 の理論 が もっ てい る 意味を 十 分 に検討 し た後, 経 営 の財 務的 意思 決定 との関 連で 再 度, 吟 味 する必 要が あ るように思 われ る。 とくに, 意 思決定 論的 財 務論 の中 で は, その アプ ロ ― チ として 経済理 論 で検 討 されてい る もの が大多 数で あ り, そ れを評価 す る場 合 その理 論が 経営に おける ゼ ネ ラル・ ス タ ッフの機 能 の役 割を 演じてい る も

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22 のであると解し, それらに対する経営学的考察がなされる必要があるように 思われるのである。 21) ウ:n ストソとブ リガ ムの資本 コスト論は 次のもので展 開し た。 小椋康宏 「資本 コスト概念につい て」(( 経済経営研究 所研究報 告JNo.4 ,東 洋大学経 済経営研 究所 ,1971年),181∼204 ペ ージ。22

)Bierman,H.Jr.andS.Smidt ,TheCapitalBudgetingDecision,3rded. ,NeyYork,TheMacmillan ,1971,pp.144 ∼148.23

)Weston よF.andE.f.iSrigham,Ivlanager ・talfinance,4thed.,NewYork,Holt,RinehartandWinston,1972,pp.352 ∼355. V 結 び 以上にわたり,資本調達論に関し, 経営学的見地より考察して きた。資本 調達 が経営財務の活動において最 も重要であるとい うことには,異論はない と思われる。 そして,「企業金融論的財務論」お よび「意思決定論的財務論」 におけるそれぞれの資本調達論は, そのとりあげ方に大 きな差異を示しなが らも, それ自体を重要な領域 として取り扱ってきたのである。この事実は, 資本調達論が経営財務上,必要欠くべがらざるものであ り, 経営財務の本質 を明らかにする手掛りを与えたものであるといってよい。 経営財務の本質を この資本調達論をもって検討を加えることに対しては, 今,一 層の分析化を 必要とするであろう。つ まり, それには。, あらゆるタイプの財務論における 資本調達論の統一的把握 を要求されるであろうとい うことである。 本稿では,経営学的 アプロ ーチを強調することによって,資本調達論を考 えてきた。 第2 節でみたように,数多くの財務論 が資本調達論 をとりあげて い こうとしていることにっいては注意しなければならない。 しかしながら, そのとりあげ方にっいては, かなりの差異を見い 出す ことがで きるであろ う。 したがって, ここでは,経営学的 アプロ ―チを明確にすることによって,経 営財務における資本調達論が一層,明確にされうるものであると考えて みた い のであ る。 さて,資本調達論は,「企業 金融論的財務論」におい ては, その制度的題 材の記述的 分析に主眼点がおかれた。資本調達に関連する制度的 諸問題の記 述は, それが今日の社会における経営体におい ても,新 しい 意味をもってい

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る。 つま り, 経営 体 の新 た な発 展過 程 の中 で, 資 本 調達 に関 す る新 し く充実 した説明 が必要 となるの であ る。 株 式, 社 債, 転 換 社債, 優 先株 な どに おけ る 基 本的 な性格 が変 らない とい えど も, 新 し く変化 す る環 境 の中 で の経営体 に とって は, 自 ら, それ らの新 しい 理 論づ け が必 要で あ り, 新 しい 原理が要 求 されてい るの で ある。 企業 金融 論的 財 務論 で展 開 されて き た資本 調達論は, 単に 古い 過去 の産物 としての 意味 しか もってい ない ので はな くて, 新 しい問 題 を常に考 え, 環境 の変化 に対 応 して展 開 を試 みて きてい る ところに 大 きな 意 味 を有 してい る とい え よう。 最 近に おけ る経営 体 の国 際化 の過程 に おける 資 本 調達論 は, ま さに そ のよ うな点 を ふまえ た もので あ る とい わなけ ればな らない。 一 方, 「 意思 決定論的 財 務論」 に おけ る資 本調達 論 は, その展 開 方法 とし て は,分 析的 視 角に もとづ く もので あ り, 資 本 調達 の理論 的 側面 を強 調し展 開 し たもの で あっ た。 意 思決定 論的 財務 論 は,一 般 に は, 「企業 の現在 価値 め極 大化(themaximizationofthepresentvalueofthefirm )」 とい う目標の 中 で,資 本調達 論 の分 析理論 を構 築 しよ うと して きたの で あ る。 資 本 調進に 関 す る諸問 題 は, 最近 の経営 体に おい て は, 階 層的 に みて, 管 理者 の レベル か ら経営者 の レベル へ移 行してい るもの も多 い。 づ まり, 資 本 調達論 は, 経 営 者 の財 務的 意 思決定 過程 と密接 な関 連を もって きてい るの であ る。 つ まり, そ うい っ た意 味で, 意 思 決定 の観点 か ら資本 調達 を分 析的 に 取 り扱 うと ころ の意 思決定 論的 財務論 は, 有 用 な もの として取 り入 れてい く必 要が ある と思 われ る。 こ うい った 資本 調達論 の展 開 は, 経営 者 の 意思 決定 に大 きな武器 を 与 え るこ とに なろ う。 経 営環 境 の変 化 は, 経営 財務 の領 域 に対 し新 しい 理論 化 を余儀 な く させてい るの で あ る。 最後に,資本 調達論 は,それ 自体 の中に おけ る展 開に 対 し,そ れを経営学的 観 点 から, 整 理 をし て みる こ とが必要 で ある と思 われる。 経 営財 務に おける 資 本 調達論 として は, 単に経 済学 的理 論 あるい は社会学 的 理 論 の発展 として 考 えるので は不十 分 であ り, 経 営学的 観点 からの 積 極的 な展開に よって はじ めて充実 した実 践原理 が生 まれて くる もので あ る と考 え たい。 経営学 と異質 な領 域の発 見 から, その展開 に, 経営 財務 にお け る資 本 調 達論 の展 開か おるの で は なくて, 経 営学的 研究の発 展 の中 に, 資 本 調達論 の 展開 があ るので ある。

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