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レセプターと宿主域の関連から予測するロタウイルス感染症の流行

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Academic year: 2021

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Title

レセプターと宿主域の関連から予測するロタウイルス感染

症の流行( はしがき )

Author(s)

杉山, 誠

Report No.

平成12年度-平成14年度年度科学研究費補助金 (基盤研究

(C)(2) 課題番号12660284) 研究成果報告書

Issue Date

2002

Type

研究報告書

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/588

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

平成12年度∼平成14年産科学研究費補助金(基盤研究(C)(2)) 研究成果報告書 レセプターと宿主域の関連から予測する ロタウイルス感染症の流行 はしがき 現在、大きな社会問題となっている新興・再興感染症の多くは動物由来の病原体による 人獣共通感染症であり、その制御が社会的要請となうている。インフルエンザウイルスを 代表に多くの人獣共通感染症を引き起こすウイルスにおいて、レセプターと宿主域の関連 性について報告がなされている。しかし、ロタウイルスに関してこの観点からの報告は全 くない。 ロタウイルスの細胞への吸着には、本ウイルスの表面にスパイクとして存在している VP8蛋白質が利用されている。そこで、本研究では、まずこのVP8蛋白質のアミノ酸配列 と感染との関連性を解析することにより、各種口タウイルスの宿主特異性の解明を試み た。さらに、発現VP8蛋白質をリガンドとして用いることにより、宿主細胞表面上のレセ プターを染色し、さまざまなロタウイルスの各種動物への感染性の可能性を推測しようと 考えた。これまでロタウイルスの利用するレセプターに関して細胞レベルで解析された報 告ははみられず∴得られる結果は極めて独創的であることが予想された。これらの結果か ら、現在は流行していないものの将来流行する可能性のあるロタウイルス感染症を推定 し、予防あるいは迅速な対応のための情報にしたいと考えた。 当初、異なるレセプターを利用するシチメンチョウ由来'Iサー3株とハト由来PO-13株の キメラVP8の解析からレセプターとの結合部位を同定し、各ウイルスの宿主に対する感染

性を予測する計画であった。しかし、研究の途中でⅥhovaらO.Mol.Biol.314,985-992,2001)によって、VP8上の188番目のアミノ酸周辺βバレル構造が宿主のシァル酸レ セプターと結合することが明らかにされたため、この情報をもとに各種口タウイルスのア ミノ酸配列の解析を行った。その結果、188番目のアミノ酸はチロシンと完全に保存され ているものの、周辺簡域には多くの変異が見られ、これらの変異と各口タウイルスの宿主 との間に法則性は認められなかった。 次に、PO-13株の発現精製VP8蛋白質をリガンドとして用いることにより、サル由来 培養細胞MAlO4細胞およびVero細胞そしてハムスター由来培養細胞CER細胞上に存在す

(3)

るレセプターの染色を試みた。その結果、サル由来細胞にはいずれも表面上に多くレセプ

ターを発現している細胞とはとんど尭現していない細胞の2種類の存在が明らかとなっ

た。一方、ハムスター由来細胞では細胞間にのみにレセプターが発現している染色像が認

められた。これらはロタウイルスが利用する細胞表面上に存在するレセプターを世界で初 めて捉えた像である。また、これらの細胞のPO-13株に対する感受性を調べるために、 それぞれの細胞で同株のウイルスカ価を測定したところ、MAlO4細胞、Vero細胞、CER 細胞の順に感染性が低下した。レセブタ「の発現量が少ないCER細胞は、本ウイルスに 対する感受性が明らかに低いという結果となった。以上の実験結果は、ロタウイルスの感 染性が細胞上のレセプターの発現に依存している可能性を示すものである。続いて、マウ スおよびハトを用いて、本法による腸管上のレセプターの染色を試みた。しかし、非特異 的な染色像が観察され、成功には至っていない。 一方、これまでに私たちはPO-13株は哺乳マウスに下痢を起こすが、Tヤー3株は下痢を 起こさないことを見いだしている。そこで、この差が両ウイルスのレセプターの違いによ るものかどうかを検討するために、両者の交雑ウイルスを作出した。その結果、この′Ⅰサー 3株の非病原性は、VP7を介した胃内容物によるウイルスの不括化とVP8の前駆体VP4を 介した腸内での感染阻止によることが明らかとなった。これは、哺乳マウス腸内でのVP8 に対するレセプターの発現が感染性すなわち宿主を決定する因子の一つである可能性を示 している。 これまでにロタウイルスは異種動物においても下痢を起こす可能性があり、■感染の成立 が下痢原性に関係していることを明らかにしている。今回の研究により、この感染の成立 には、ウイルスと細胞上のレセプター分子との親和性が重要であることが示された。従っ て、ロタウイルスの流行を予想するにあたり、流行ウイルスと利用するレセプターとの親

和性に関する情報は極めて重要であると考えられる。一方、非特異的反応のためロタウイ

ルスのレセプターの腸管内の分布を最後まで調べることができなかった。そのため、最終 目擦であった流行ウイルスの予測までの結論を見いだせすことはできなかった。 以上、本研究に関連した投稿中の論文とともにこれまでの報告も合わせて本報告書にま とめた。本研究を遂行するにあたり、講座の学生諸君にご協力いただいた。心から謝意を 表したい。最後に、科学研究費の補助を得て本研究を遂行できたことに対し、文部科学 省、日本学術振興会はじめ関係各位に深く感謝申し上げたい。

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