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酵母サプレッサーtRNA^Tyrとチロシル-tRNA合成酸素変異体を用いた大腸菌遺伝暗合の拡張

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Academic year: 2021

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Title

酵母サプレッサーtRNA^Tyrとチロシル-tRNA合成酸素変異

体を用いた大腸菌遺伝暗合の拡張( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

大野, 敏

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第157号

Issue Date

2001-09-12

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1878

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位記号番号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題 目 大 野 敏 (岐阜県)士(工学) 甲 第 157 号 平成13年 9月12日 物質工学専攻 酵母サブレツサーtR弘一-rとチロシルーtR肌合成酸素変異体を用いた 大腸菌遺伝暗合の拡張

(Expanding the 6enetic Code of E8Cherichia coliby the

use of tR仙丁一r and tyro$yl-tR仙 syntheta8e Enltant)

学位論文審査委貞 (主査) 教 授、西 川 一 八 (副査)教 授 長 澤 透 教 授 講 師 横 川 隆 志 田 敏

論文内容の要旨

生物の生命活動を維持するために不可欠なタンパク質は、その多様で柔軟性に富む 機能の面から医薬品や環境に優しい高分子ポリマーとしての利用が期待されている。 これらタンパク質は、生体内では遺伝暗号表(GeneticCode)に規定されたわずか20 種類のアミノ酸を材料に合成されているが、もしもこの20種類以外のアミノ酸(こ

れらを非天然型アミノ酸と呼ぶ)をタンパク質に導入することができれば、天然には

存在しない機能を持つタンパク質を得ることができ、■タンパク質の新しい利用法が開 けるものと考えられる。本論文では、非天然型アミノ酸をタンパク質に導入するため の方法論を開発するという立場から、1)大腸菌のタンパク質合成系において系全体

を破綻させることなく稼働し得る、新しい非天然型アミノ酸導入用のtRNAとそれに

アミノ酸を結合させるアミノアシルーtRNA合成酵素の組合せを検討し、2)既存のア ミノアシルーtRNA合成酵素に遺伝子工学的操作を加えることで非天然型アミノ酸を基 質として認識できるように改変する試みについて述べている。すなわち、本研究は視 点を変えるなら、タンパク質の生合成過程で生物が通常は使用できないアミノ酸を利 用できる様に改変する「遺伝暗号表の拡張」に関する研究をまとめたものである。 第1章では、生体におけるタンパク質生合成の分子機構と非天然型アミノ酸のタン パク質への組み込みに関するこれまでの研究について概観し、本研究の背景を明らか にすると共に、本研究を行うことの意義について述べている。 第2章では、非天然型アミノ酸を導入するためにまず必要となる専用のtRNAとそ れにアミノ酸を結合させるアミノアシルーtRNA合成酔素の最適の組合せを検討した結 果について述べている。このような場合に最も重要なことは、新たに加えたtRNAと

(3)

-7-酵素の組み合わせが既存のタンパク質合成系自体に干渉しないことであるが、本研究 では大腸菌と酵母のチロシン用tRNAはその構造の特徴が2箇所において大きく異 なることに注目し、酵母チロシン用のtRNAとアミノアシルーtRNA合成酵素の組合せ を大腸菌のタンパク質合成系に投入する系を選択している。大腸菌の各種突然変異株 を駆使した検定の結果、上記tRNAと酵素の組合せは大腸菌タンパク質合成系に悪影 響を与えることなく、実際にアンバーコドンを新たなアミノ酸を規定する遺伝暗号と して利用し得ることを明らかにしている。この結果は、もしも遺伝子工学的に酵母チ ロシルーtRNA合成酵素の基質特異性を改変できれば、アンバーコドンに非天然型アミ ノ酸を導入することが可能であることを示している。

第3章では、上記の結果を踏まえ、酵母チロシルーtRNA合成酵素に遺伝子工学的操

作を加えることでチロシン類縁体を基質として認識できるように改変する試みについ て述べている。まず、結晶構造が既知のβαC〟血∫∫ナビα和〟ばr〝‡叩揖加チロシルーtRNA合 成酵素の構造を参考にアミノ酸配列を比較検討し、酵母チロシルーtRNA合成酵素の基 質(アミノ酸)結合部位を推測している。その上でチロシンのベンゼン環や4位のOH 基の結合に関与していると思われるアミノ酸残基に変異を導入した酵素変異体を各種 調製し、そのアミノ酸認識能の変化を検討している。その結果、本来の基質である L-Tyrosineの識別能が悪くなると共に、野生型酵母チロシルーtRNA合成酵素では基質 になり得なかった3-Iodo-L一け和Sine等チロシンの3位に官能基を持つチロシン類縁 体を効率よくtRNAに結合させる酵素変異体を,取得することに成功している。 第4章では、以上の結果について総括すると共に、本研究で開発された反応系を利 用して新規機能性タンパク質を創成する上で克服すべき問題点の指摘や新しい方法論 についての提案を行っている。 従来、生体のタンパク質合成系は38億年に及ぶ生命進化の過程で20種類のアミ ノ酸だけを用いるように遺伝暗号表が進化してきており、新たに非天然型アミノ酸を 21番目として受け入れる余地はないと考えられてきた。しかし、本研究において大

腸菌の通常のタンパク質合成を破綻させ畠ことなく新たなアミノ酸を導入するtRNA

とアミノアシルーtRNA合成酵素の組合せを見いだし、また非天然型アミノ酸を基質と して認識できるアミノアシル⊥tRNA合成酵素の作製に成功したことは、「遺伝暗号表 の拡張」が原理的には可能であることを示すと共に、この結果を応用・発展させれば

大腸菌の生体外・生体内タンパク質合成系を利用しキ非天然型アミノ酸部位特異的導

入システムの構築が十分に可能であると期待させる。

論文審査結果の要旨

この論文は、生物が通常のタンパク質生合成過程では使用できないアミノ酸(非天 然型アミノ酸)を用いたタンパク質合成を可能にするための方法論を開発するという 立場から、新しい非天然型アミノ酸導入用のtRNAとそれにアミノ酸を結合させるア ミノアシルーtRNA合成酵素の組合せを検討し、さらに既存のアミノアシルーtRNA合成

酵素に遺伝子工学的操作を加えることで非天然型アミノ酸を基質として認識できるよ

(4)

-8-うに改変する試みについて述べたものであり、新規機能性タンパク質を創成するため

の系を構築する上で有用性が認められる。この論文は以下に詳しく示すように重要な 研究結果を含んでいる。特に、酵母チロシルーtRNA合成酵素に遺伝子工学的変異を導 入することで通常は基質にならないチロシン類縁体を効率よくtRNAに結合させる酵 素変異体の作成に成功したことは高く評価される。したがって、審査の結果、この論 文を学位論文に値するものと判定した。 (1)酵母チロシルーtRNA合成酵素の遺伝子をクローニングして大腸菌菌体内で効率よ

く大量発現させる系を確立し、またその発現酵素は酵母より精製した天然型酵素

と同等のアミノアシル化活性を持つことを示した。 (2)クローニングした酵母チロシルーtRNA合成酵素遺伝子の塩基配列を決定し、既報 の配列(RajBhandaryら)と比較して1027番目のヌクレオチドがAからGに変 異したものであることを明らかにした。 (3)上記酵母チロシルーtRNA合成酵素の遺伝子と酵母アンバーサブレッサーtRNA遺 伝子を大腸菌菌体内で共発現させる系を開発し、両者が共発現した時にのみアン バーコドン特異的にチロシンの取り込みが起きること、すなわち酵母チロシルー tRNA合成酵素と酵母アンバーサプレッサーtRNAの組み合わせは大腸菌のタン パク質合成系全体を破綻させることなく稼働し得る 、新しい非天然型アミノ酸導 入用のtRNAと酵素の組合せになり得ることを示した。 (4)酵母チロシルーtRNAr合成酵素に遺伝子工学的操作を加えることでチロシン類縁体 を基質として認識できるように改変することに成功した。すなわち、まず結晶構 造が既知の助c肋∫ざ知和血r〝叩烏肋∫チロシルーtRNA合成酵素の構造を参考にア ミノ酸配列を比較検討し、酵母チロシルーtRNA合成酵素の基質(アミノ酸)結合 部位を推測した。その上でチロシンのベンゼン環や4位のOH基の結合に関与 していると推定されるアミノ酸残基の位置に変異を導入した一連の酵素変異体を 調製し、そのアミノ酸認識能の変化を検討した。その結果、本来の基質である L-Tyrosineの識別能が悪くなると共に、野生型の酵母チロシルーtRNA合成酵素で は基質になり得ない3-Iodo-L-tyrOSine等チロシンの3位に官能基を持つ一連の チロシン類縁体を効率よくtRNAに結合させる酵素変異体を取得することに成功 した。アミノアシルーt叩A合成酵素でこれほど顕著に基質特異性を改変すること ができたのは、これが初めての例である。

最終試験結果の要旨

(1)公表論文 この論文の主要部分は2編の審査付き論文として既に公表済みであり、その内1 編は1999年度の日本生化学会JB論文賞を受賞している。この論文が学位論文と して完成された内容を有することを確認した。 (2)修得単位

(5)

ー9-指定された単位を修得していることを確認した。 (3)審査

公聴会までに、指導教官ならびに審査委員の審問に対して十分な回答がなされた。 公聴会を開催し学位審査委員会で審議の結果、申請者は最終試験に合格と判定した。

参照

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