• 検索結果がありません。

ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) : 他人の事務を処理する者の事後的情報提供義務の手がかりを求めて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) : 他人の事務を処理する者の事後的情報提供義務の手がかりを求めて"

Copied!
25
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ドイツ法における報告義務 と顛末報告義務 (2)

一一他人の事務 を処理する者の事後的情報提供義務の手がか りを求めて一一 岩 藤 美 智 子 [目次] I 序 言 I BGBの 規定状況 と基礎 にあ る考 え方 1.序 論 2.BGB成 立 までの議論状況 3.小 活 (以上327号) 回 ド イッ法 にお ける学説 と裁判例 の展 開 1.学 説 にお ける報告義務 と顛末報告義務 の内容 と機能の理解 (1)序論 (2)初期 の類型化論 とその後 の議論 の展 開 (3)近時の類型化論 律)小 活 (以上本号) 2.裁 判例 における報告義務 と顛末報告義務 の妥 当範囲の拡張 と要件 Ⅳ ド イツ法 の まとめ と日本法へ の手がか り 回 ド イツ法における学説 と裁判例の展開 1.学 説 における報告義務 と顛末報告義務の内容 と機能の理解 (1)序論 権利者が 自己の権利 に関す る情報 を十分 に有 していないために,そ れを行使 ・実現することが不可能 ・困難であ り,義 務者のみがそれに関 して正確な情報 を与 え得 ることを本質 とする法律関係 においては,義 務者による権利者に対す る情報の提供 を義務づ けるべ きである との考 え方は,BGBに おいて,報 告義 務 ・顛末報告義務 について定める多 くの個別規定が置かれるとい う方法で,そ の限 りで実現 された。

(2)

1 2 6 彦 根論叢 第 3 2 8 号 BGB成 立後,こ の ようなBGBの 規定状況 を手がか りとして,ま た,そ の基 礎 にある考 え方 を承継 し発展 させ る形で,報 告義務 ・顛末報告義務 についての 議論 は二つの方向に展 開された。第一の方向は,報 告義務 ・顛末報告義務の妥 当範囲の拡張であ り,そ の端緒 は,既 に,BGB施 行前の学説 によって示 され た化0。 これは,後 に,裁 判例 によって受け入れられ,と りわけ,デ ルンブルク の示 した三要件 は,BGBの 個別規定 に依拠せず報告義務 の存在 を認める裁判 例 の定式 として確立 した もの となった。議論の展 開の第二の方向は,報 告義務 ・顛末報告義務の類型的把握である。これは,主 として,報 告義務 ・顛末報告 義務 を包括 的 に扱 うモ ノグラフイーにおいて論 じられて きた ものであ り,そ こ での議論の成果は,他 の学説 において も広 く受け入れ られているとい う状況 に ある。 2.で みてい くように,報 告義務 ・顛末報告義務の妥当範囲の拡張 は,裁 判 例 主導で,当 初 は,BGBの 個別規定 に依拠 して,後 には,一 般条項 に依拠 し て行 われた。 これに対応 して,報 告義務 ・顛末報告義務の類型化 についての議 論 も,二 つの時期 の ものに区分す ることがで きる。す なわち,BGBの 個別規 定 を手がか りとす る初期 の類型化論 と,報 告義務 ・顛末報告義務の妥当範囲の 拡張 を行 う裁判例の展開をふ まえて,そ の位置づけをも示す近時の類型化論で ある。 以下では,こ れ ら二つの時期の類型化論 を中心 にみてい くことによって,報 告義務 ・顛末報告義務の類型化 をとお して示 される内容 と機能 とについて考察 を加 え,他 人の事務 を処理する法律関係 における報告義務 ・顛末報告義務の特 徴 を探 ることとする。 (2)初期の類型化論 とその後の議論の展開 ① クローメの見解 報告義務 ・顛末報告義務 の類型 的把握 は,BGBが 施行 された1900年に発行 されたクローメ (Crome)の 体系書にDにおいて,そ の端緒が示 された。 クロー メは,(広 義 の)報 告義務 を,一 定 の請求権 を確保す るための手段

(3)

ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) 127 (Sicherungsmittel)として位置づ け,BGBに おいて報告義務 に関す る規定が 置かれているのは,権 利者が,基 礎 にある法律 関係の性質上,自 己の権利の存 在 と範囲 とについて相手方 よ りも僅 かな情報 しか与 えられていない場合 につい てであると分析す る“の。 クローメによる と,そ の ような法律 関係 とは,第 一に,事 務処理者 と事務本 人 の関係 (委任契約 (BGB666条 ),有 償事務処理契約 (675条),事 務管理 (681条)),あ るいは,他 人の財産 。事務 を管理す るその他 の場合 (社団 (27 条),財 団 (86条),組 合 (713条)等 )で あ り,第 二 に,権 利 の譲渡がなされ る場合 (債権譲渡 (402条),売 買契約 (444条),交 換契約 (515条)等 )で あ るにD 。 前者 においては,処 理 される事務の現状 に関する報告が問題 とな り,提 供 さ れるべ き情報の態様 は,当 該法律関係の性質に応 じて確定 されるもの とされる。 また,後 者 においては,権 利の取得者が,首 尾良 く (erfolgreich)権利 を行使 で きる状態 に置かれるために,権 利譲渡の付随的義務 として報告が義務づけ ら れるとされる。つ ま り,譲 渡 された権利の証書が,権 利 に従属するもの として 交付 されなければならないの と同様 に,譲 渡 はその 目的物 (権利)に ついての 報告 によって,補 完 されなければな らないのであるにつ。 さらに,ク ローメは,こ れらの報告義務は,そ れ自体の履行 を訴求すること が可能であるが,そ こでは,主 たる訴え (Hauptklage)の準備 をするという 意味で,い わゆる準備的訴え (praparatonsche Klage)が問題 になると述べ るは0 。 以上 の ように,ク ローメにおいては,BGBの 規定 を手がか りとして,報 告 義務の基礎 にある法律 関係 に応 じた類型化が行 われている。義務者 による権利 者 に対す る情報の提供が要請 される根拠 を,両 者の間の法律 関係の性質 に求め る点 に,BGB成 立 までの学説 との共通性 をみて とることがで きる。 さらに, 提供 されるべ き情報の態様 ,す なわち,報 告義務の内容が,法 律 関係の性質に 応 じて確定 される との指摘 もなされているが,具 体的にその意図するところは 明 らかではな く,顛 末報告義務 の位置づ けや,(狭 義の)報 告義務 との内容的

(4)

128 彦 根論叢 第 328号 な差異 につ いて も論 じられてい ない“0。 また,報 告義務 は,い ず れ において も 主請求 を準備 す る とい う機 能 を有 す る との考 え方が示 されてい る。 ここで は, 報告 義務 の類 型 的把握 は,そ れぞれ に妥 当す る内容 ,及 び,機 能上 の差異 には 反 映 されてお らず ,類 型化 の意義 は明確 な もので はない。 クロー メの体系書 の発行後 ,順 次 ,四 ,五 年 の間隔で公刊 された三つの博士 学位 取得 論 文 (Dissertadon)に よって,事 務 処理 関係 にお け る報告義務 と権 利 譲渡 関係 にお け る報告義務 とい う類型化 の大枠 は受 け継 が れつつ ,議 論 の精 級化 が 図 られ た。 ② ヒューブナーの見解 1904年に発行 された博士学位取得論文しのにおいて,ヒ ューブナー (Httner) は,狭 義の報告義務 を対象 として論 じ,BGBに 規定 されている報告義務 は, その基礎 にある法律 関係 は多様であるが,類 型的把握 は可能であるとの考 え方 に基づいて,報 告義務の類型化 を行 ったにD。 第一の類型 は,譲 渡 についての報告 (Verautterungsauskun■)で あ り,売 主の報告義務や,債 権の譲渡人の報告義務が これに該当する。例 えば,売 買契 約 において,買 主が売買 目的物 についての情報 を得 られるのは売主か らのみで あることか ら,主 たる義務 と密接 に関連する重要な付随的義務 として,売 主 に よる買主 に対す る報告が義務づけ られる。 これは,契 約締結過程 における情報 提供義務 とは異 な り,契 約その ものに出来 し,売 主は,買 主の請求 を待 たず し て,必 要な場合 に報告 をすべ きであるとされるの。 第二 の類型 は,事 務処理 についての報告 (Geschattsbesorgungsauskun■) であ り,委 任契約等,他 人の事務 を処理する法律関係 における事務処理者の報 告義務が これに該当す る。 これは,必 要な情報 は通知義務の対象 にされるとい うこともあ り,権 利者 (事務の本人)の 請求 に基づいて履行 されるべ き義務で ある。従 って,客 観的に情報提供が必要であって も,権 利者の請求がなければ 報告 は問題 とな らない一方で,客 観的には情報提供が不要であって も,権 利者 の請求がある限 り報告 をすべ きである。これは,事 務 についていつで も自己の

(5)

日 騨 ︱ ︱ ︱ ︱ ト ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) 129 希望 を述べ ることがで きるのが,事 務の本人の当然の権利 であるか らであ り, この ような権利が与 えられていなければ,事 務の本人は,事 務処理者のなすが ままで どうすることもで きず (hilnOs ausgeliefert),場合 によっては,事 務処 理者 に責任があるにもかかわ らず顛補 されない損害 に晒 されることになるか ら であるとされる。報告がなされることによって,は じめて,事 務の本人は,い つで も自己の意向に沿 うように事務 を処理 させ得 る立場 に置かれ,ま さに,事 務 の本人 (事務 の主 :Herr des Geschtts)であ り,あ り続 け られる。す なわ ち,報 告 によって,事 務の本人は,事 務処理者 に対 して不断のコン トロールを 行 うことがで き,事 務処理者が どの程度事務処理義務 を果 た したのか を容易 に 知 ることがで きるのである60。 第三の類型は,そ の本質上,当 該情報がなければ請求権の実現が不可能であ るか,あ るいは,少 なくとも困難 となるような不知を伴 う法律関係における報 告義務である。例えば,表 見相続人 ・相続財産の占有者の報告義務 (BGB2027 条)や ,被 相続人の同居人の報告義務 (2028条)が これに該当し,こ こでは, 特別の補助手段 (autterOrdentliche Hilfsmittel)が問題になるとされるGD。 さらに, ヒューブナーにおいて,報 告義務は,以 下のような目的に資すると いう機能を有するものと理解 されている。まず,全 ての類型の報告義務に妥当 するものとして,情 報を与えるという目的 (infOrmatOrischer Zweck)が挙げ

られる。これに対 して,コ ントロールをするという目的 (Zweck der Kontrolle) は,同 一の法律関係に基づいて何度 も繰 り返 し報告請求が可能であるような場 合にのみ問題 となることから,第一,第 三の類型の報告義務には妥当せず,第 二の類型の報告義務にのみ妥当するものとされる。ヒューブナーは,こ のコン トロールをするという目的から,ク ローメのいう請求権を確保するという目的 (Sicherungszweck)が派生 し,こ れは全ての類型の報告義務に共通するもの であると述べるGtt。 以上のように,ヒ ユーブナーにおいては,(狭 義の)報 告義務に限つてでは あるが,基 礎にある法律関係に応 じた類型的把握が行われ,そ れぞれの法律関 係において報告義務が課せ られる実質的な根拠 とともに,類 型ごとに妥当する

(6)

1 3 0 彦 根論叢 第 328号 報告義務の 目的 (果たすべ き機能)も 示 されている。クローメにおける第一, 第二の類型 とは別 に,こ れ らとは異 な り,報 告が要請 される根拠 自体 によって 法律 関係が特徴づけ られる第三の類型 を設けた点,及 び,第 三の類型の報告義 務 とは異 な り,第 一,第 二の類型の報告義務が,権 利 を実現するための補助手 段 としての ものに とどまらない意義 を有することが意識 されている点に議論の 進展がみ られる。 もっとも,結 局 は, ヒューブナーにおいて も,全 ての類型の 報告義務 の請求権 を確保するための手段 としての位置づけが強調 される結果, 報告請求権 は,主 たる請求権 に付随する性質 を有する非独立的な請求権である とさだ5D,こ の点では,ク ローメを越 える議論の展開はみ られない。また,全 ての類型の報告義務 に妥当する請求権 を確保するという目的が,事 務処理関係 における報告義務 に固有のコン トロールをするとい う目的から派生するとの主 張の意図するところは明 らかではない。

③ クッツナーの見解

1909年に発行 された博士学位取得論文60において,ク ッッナー (Kutzner) は,広 義の報告義務 を対象 として類型的把握 を行 った。広義の報告義務は,ま ず,事 務処理 に関する法律関係 における顛末報告義務 (計算報告義務)と ,そ の他の種 々の法律関係 における報告義務 とに分類 され,後 者は,さ らに,基 礎 にある法律 関係 に応 じて,以 下の三つの類型 に分類 される6D。 第一の類型 は,事 務処理 についての報告義務である。その主要な例 は,委 任 契約の受任者の報告義務であ り,こ こでは,受 任者が契約の詳細 な内容 に沿っ て行動 しているか否か,そ して,委 任者の主観的意図に沿って,追 求 された結 果が達成 される見込みがあるのか否かを確かめる手段 を委任者 に与え,委 任 に 出来す る委任者の権利 の行使 。実現 を可能にするために,受 任者による委任者 に対する報告が義務づけ られるとされる60。 第二の類型 は,譲 渡 についての報告義務であ り,売 主の報告義務や,債 権の 譲渡人の報告義務等が,こ れに該当する。譲渡 についての報告義務が問題 とな るためには,譲 渡が既 に行 われている必要があ り,こ の点で,譲 渡 しようとす

(7)

ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) 131 る物 (権利 )に つ いて情報 を提供 す る場合 の契約締結過程 にお ける過失 の問題 とは区別 され るGの。 第三の類型 は,第 二,第 二の類型 に属 さないか,少 な くとも,こ れ らとは別 個 に扱 うのが よ り適切であるような報告義務である。例 えば,被 相続人の同居 人の報告義務や,遺 留分権利者 に対す る相続人の報告義務 (BGB2314条 )等 が これに該当す るもの とされるGD。 さらに,ク ッツナーにおいて,広 義の報告義務 は,以 下のような目的に資す るとい う機能 を有す るもの と理解 されている。 まず,最 も一般的なもの として,情 報 を与 えるとい う目的が挙 げ られる。 こ れは,全 ての類型の報告義務 ・顛末報告義務 (計算報告義務)に 妥当 し,情 報 を提供 される必要性があること自体か ら直接 に生 じる。例 えば,委 任契約関係 においては,委 任者は,事 務が どの ような状態 にあるのか,ど の程度進捗 して いるのか,結 果達成の見込みがあるのか否かについて知 ることを欲するが,受 任者が,こ れ らのことを全て知 っているはずであるのに対 して,委 任者 は,当 然,こ れを知 り得 ない とい う状況 にあることか ら,受 任者 による委任者 に対す る情報の提供が必要であるとされるGの。 これ と並 んで,(主 請求 を)準 備するとい う目的 (praparatOrischer Zweck) が問題 となる場合がある。例 えば,通 常,相 続人は,相 続財産の現状 を具体的 に述べ た り,引 き渡 されるべ き部分 を明確 に申 し立てることはで きないので, 相続財産の占有者や被相続人の同居人が,ま ず,そ れについて必要 な情報 を提 供 しなければな らない。同様 に,他 人の事務 を処理す る法律 関係 においては, 引 き渡 されるべ き目的物の部分,あ るいは,そ の総体の範囲の確定 を準備する ために,事 務処理者による事務の本人に対する顛末報告が要請されるのであるGO。 主請求 を準備するとい う目的が,第 二の類型の報告義務 と顛末報告義務 を中 心 としつつ も,一 般的に認め られるものであるのに対 して,第 二の類型の報告 義務 に特徴 的であるとされるのが,コ ン トロールをするという目的である。こ れは,報 告 に反復可能性 (Wiederh01ungsm6glたhkdt)の ある場合 に問題 にな り,事 務の本人が,事 務処理 を見張 り,必 要な場合 には事務処理 に介入するこ

(8)

132 彦 根論叢 第 328号 とを可能 にするとい うものであるとされるGl)。さらに,請 求権 を確保するとい う目的が問題 となるが,ク ッッナーは,こ れを,ヒ ューブナーの ように,コ ン トロールをするとい う目的か ら派生すると考 えるのは妥当ではない と主張する。 そ して,無 記名債権証書の発行者の従来の所持人 に対す る報告義務 (BGB799 条2項)の ように,コ ン トロールをす る とい う目的のメルクマールである繰 り 返 し報告 をするとい うことが問題 とならないにもかかわ らず,請 求権 を確保す る とい う目的が妥当する場合があることは,そ の証左であるとするにの。 以上 に加 えて,ク ッッナーは,報 告義務 と顛末報告義務の内容的な差異 にも 言及 し,顛 末報告義務 は,そ れに内在す る批評的性 向 (der kttjsche Zug) の点で,報 告義務 を内容的に凌篤 し,こ れによって,事 務の本人は,伝 えられ た事実が, どの ような印象 を与 えるかをみて とることがで きるのであると述ベ るGD。 以上のように,ク ッツナーは,報 告義務の類型化,及 び,報 告義務の目的 (呆たすべ き機能)に ついて,ヒ ューブナーと共通の枠組みを前提 としつつ, 広義の報告義務 を対象 として,基 礎にある法律関係に応 じた類型的把握を行っ ている。それぞれの法律関係において情報の提供が要請される実質的な根拠を 手がか りとして,報 告義務 ・顛末報告義務の資するべ き目的,及 び,提 供され るべ き情報の内容を探 り,顛 末報告義務は事務処理関係においてのみ問題 とな り,報 告義務 とは内容的に異なることを指摘 した点,及 び,コ ン トロールをす るという目的が,事 務処理関係における報告義務に固有のものであるとの考え を明確に示 した点に,議 論の展開がみられる。 ④ ブルッフの見解 1914年に発行 された博士学位取得論ズ6つにおいて,ブ ルッフ (Bruch)は, 広義の報告義務 を対象 として論 じ,こ れは,権 利者が義務者に対 して,事 実的 もしくは法的性質を有する状況について説明を求め得るような法律関係におい て問題になると分析する。より具体的には,権 利追求のために必要な事実が, 通常,報 告 されなければ確定できない場合,あ るいは,自 己の権利領域への介

(9)

ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) 133 入 に対 す る恒常 的 な コン トロール を必 要 とす る ような場合 に, 報 告 が要請 され る と述べ るG D 。 広 義 の報告 義務 は, 狭 義 の報告義務 と, 他 人の事務 を処理す る法律 関係 にお け る顛 末報告 義務 とに分類 され, 前 者 は, さ らに, 譲 渡 に関す る報告義務 , 事 務処 理 に関す る報告 義務 , そ の他 の報告義務 に分類 され るG O 。 さ らに,ブ ル ッフにおいて,広 義 の報告義務 は,以 下 の ような 目的 に資す る とい う機能 を有す るもの と理解 されている。 まず,情 報 を与 えるとい う目的は,全 ての類型の (広義の)報 告義務 に共通 す る ものであるが,一 般的であるがゆえに無内容である。問題 は,情 報 を与 え ることによって何が達成 されるべ きであるかであ り,全 ての広義の報告義務は, 法律 関係 の保護,す なわち,請 求権 を確保するとい う目的に資するものである とされるにの。 これに対 して,他 人の事務 を処理す る法律 関係 における報告 (事務処理の完 全 な終了の後 に行 われる顛末報告 は除 く)は ,事 務の本人が,事 務処理者の行 為 をコン トロエル した り,事 務処理者の行 った措置の当否 を検討 して,場 合 に よっては新 たな指図をすることを可能 にするとい う目的を有す る。この ような 目的 に資す る機能,す なわちコン トロール機能 (Kontrollfunktion)は,反 復 可能性 のある報告 についてのみ問題 となることか ら,例 えば,譲 渡 に関する報 告 には妥当せず,事 務処理者や財産管理人の報告義務 にのみ妥当するもの とさ れるGD。 以上 に加 えて,ブ ル ッフは,報 告義務 と願末報告義務の内容的な差異 にも言 及 し,前 者が,「何 (Was)」 とい うことについての情報の提供 を内容 とするの に対 して,後 者 は,「 どの ように (Wie)」,「なぜ (Warum)」 とい うことにつ いての情報の提供 を内容 とするものであるとの指摘 を行 う。これは,狭 義の報 告義務 の内容 と同様 に,顛 末報告義務の内容 は,そ の資するべ き目的の影響 を 受 けるか らであ り,顛 末報告 は,そ の 目指すべ き成果 (例えば,(主 請求 を)

準備するという目的に資するということ)を 達成するように履行されなければ

ならないからであるとされるに

の。

(10)

1 3 4 彦 根論叢 第 3 2 8 号 以上 の ように,ブ ル ッフにおいては,(広 義の)報 告義務の類型化,及 び, 目的 (果たすべ き機能)に ついて,ヒ ューブナーやクッツナー と共通の枠組み が前提 とされている。 また,請 求権 を確保するという目的が,一 般的に妥当す る ものであるのに対 して,コ ン トロールをするとい う目的が,事 務処理関係 に おける報告義務 に固有の ものであることが明示 されている点,及 び,顛 末報告 義務が,事 務処理関係 においてのみ問題 となるとの考 え方が示 されている点に もクッツナー との共通性 をみて とることがで きる。これに対 して,ブ ル ッフは, 報告義務 と顛末報告義務 の内容的な差異は,そ れぞれの資するべ き目的に基づ くものである との理解 を示 してお り,こ の点 に議論の進展がみ られる。 ⑤ 初期 の類型化論 の理解 とその後の議論の展 開 以上 でみ て きた ように,初 期 の類型化論 においては,BGBの 個別規定 を手 がか りとして,報 告義務 ・顛末報告義務の類型的把握が行われている。第一の 類型 は,他 人の事務 を処理する法律関係 における報告義務 と顛末報告義務,第 二の類型 は,権 利 を譲渡する法律関係 における報告義務,第 三の類型は,そ の 他 の法律 関係 における報告義務である。 第一,第 二の類型 においては,法 律 関係の本来的な性質 自体が,第 三の類型 においては,報 告が要請 される根拠 によって特徴づけ られる法律関係の性質が 手がか りとされてお り,類 型化の視点は異なるが,こ れ らは,い ずれ も,法 律 関係 の性質上,一 方当事者が,情 報 を必要 としているにもかかわ らず,そ れを 有 してお らず,こ れに対 して,他 方当事者 は,情 報 を有 しているとい う状況 に ある場合であ り,こ のような法律 関係 の性質によって,報 告義務 ・顛末報告義 務が根拠づけ られている。 他人の事務 を処理する法律 関係 においては,事 務の現状 を知 って,希 望 を述 べ た り,事 務処理 を見張って,必 要な場合 には介入 した りすること,す なわち, 事務処理 をコン トロールす ることが,事 務の本人の本質的な権利である。 この ような権利 を行使 ・実現するために,事 務の本人は,自 己の事務 についての情 報 を必要 としているに もかかわ らず,そ れを有 してお らず,こ れに対 して,他

(11)

│ ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) 135 人の事務 を処理する者は,事 務 についての情報 を有 しているとい う状況にある。 従 って,他 人の事務 を処理する法律 関係 においては,他 人の事務 を処理する者 による事務の本人 に対す る情報の提供が要請 され,他 人の事務 を処理す る者の 報告義務 は,事 務処理 をコン トロールするという目的に資するという固有の機 能 を有す る もの と理解 されている。 この ような理解 は,現 在では,類 型化論 に限 らず,広 く一般的に共有 されて お り,他 人の事務 を処理す る者の報告義務 は,事 務の本人の本質的な権利 を保 障す る もの として,そ の意義が強調 されているけ0。 これに対 して,権 利者が義務者か ら情報 を得 ることによって,義 務者 に対す る請求権 を確保 した り,主 請求 を準備 した りす るとい う機能は,あ らゆる類型 の報告義務 ・顛末報告義務 について問題 とな り得 るものであると理解 されてい る。そのなかで,顛 末報告義務 は,他 人の事務 を処理する法律関係 に固有の も のであ り,報 告義務 とは内容的に異なる点で特徴的であるとの指摘がなされて いる。 初期の類型化論 におけるこのような指摘 は,そ の後の学説 によって敷術 され, よ り実質的に基礎づけ られている。議論の状況は以下の とお りである。すなわ ち,BGBは ,報 告義務 について,例 えば,事 務や財産の 「状況」,あ るいは, 目的財産の 「所在」 について報告すべ きであるとの文言 を用いている●1)のに対 して,顛 末報告義務 については,例 えば,管 理 について 「顛末」 を報告すべ き であるとの文言 を用いてお りの ,用 語の上で両者 を区別 している。 このことに 鑑みる と,報 告義務 は,「現状 (Istzustand)」についての情報 を提供す る義務 であるの に対 して,顛 末報告義務 は,「顛末」,す なわち,「現状 に至 る経過 (Entwicklung zum lstzustand)」についての情報 を提供す る義務であ り。D, 後者 は前者 と比較 して,内 容的によ り多 くを含 む もの と考 えられる?つ。そ して, 報告義務が,現 状 についての単 なる情報 (einfache Auskun■),つ ま り,事 実 を知 らせ ることを内容 とす るのに対 して,顛 末報告義務 は,他 人の事務 を処理 す る法律 関係 において,事 務処理 自体,あ るいは,事 務処理の結果 として事務 の本人が他人の事務 を処理する者 に対 して有する可能性のある引渡請求権や損

(12)

136 彦 根論叢 第 328号 害賠償請求権 についての判断可能性 を,事 務の本人に与 えることを目的 とする ことか ら,自 己の行為 を正当化す るような情報 (rechtfertigende Auskunft) を与 えることを内容 とす るものであると理解 されている仔D。 これは,事 務処理の当否が,引 き渡 しの範囲や,他 人の事務 を処理する者の 責任 の存否 に直結することか ら,事 務の本人が,引 渡請求権や損害賠償請求権 を確保 した り準備 した りするためには,事 務処理の当否 についての情報 を提供 されることが必要であるとい う,他 人の事務 を処理する法律関係の特性 に基づ くものである と考 えられる。初期の類型化論 において,抽 象的にではあるが示 された,報 告義務 と顛末報告義務の内容的な差異 についての指摘 も,同 様の趣 旨の もの と理解す ることがで きる。 また, 2.(2)で みてい くように,初 期の類 型化論 と時期 を同 じくして展開 した裁判例 においては,顛 末報告義務の妥当範 囲が,広 義の 「他人の事務 を処理する者」 に拡張 されたが,そ こで も,単 なる 報告義務 ではな く,よ り高度 な内容 を有する顛末報告義務 は,他 人の事務 を処 理する者 にのみ限定的に課せ られるとの考 え方が前提 とされている。 もっ とも, 2.(3)で みてい くように,そ の後,裁 判例 においては,個 別規定 に依拠せず報告義務の妥当範囲の拡張が行 われるとともに,そ のための要件が 示 された。それ に伴 って,学 説 における関心 も,BGBの 個別規定 に基礎 を置 く報告義務 ・顛末報告義務の類型的把握,及 び,そ れに基づ く内容 ・機能の理 解 か らは離れて,報 告義務 ・顛末報告義務の妥当範囲,及 び,要 件の問題へ と 向け られていった。 この ような状況のなかで,近 時,報 告義務 ・顛末報告義務の類型化について 論 じる ものが,再 び,現 れるに至 った。それは,報 告義務 ・顛末報告義務の妥 当範囲を拡張する裁判例の展 開をふ まえて,そ の位置づけをも示 しつつ,報 告 義務 ・顛末報告義務の類型的把握 を行 う二つの教授資格取得論文 (Habiliation針 schrift)である。 以下,こ れ らを,順 次,み てい くこととする。

(13)

ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) 137 ( 3 ) 近時 の類 型化論 ① シュテュルナーの見解 1976年に発行 された教授資格取得論文竹0において,シ ュテュルナと(Sturner) は,民 事訴訟 における当事者の事案解明義務 について論 じる前提 として,実 体 法上の情報提供義務 (matettellrechtliche lnformationspnichten)に言及 し, その類型的把握 を行 ったの 。そこでは,報 告義務 ・顛末報告義務 に限 らず,他 人の占有す る物の検査請求権 (BGB809条(7ゆ),証 書 の閲覧請求権 (810条い ) も含めて,さ らに,商 法典等の他の法律 によつて走め られているものをも含め てGO,法 律 に定めのある情報提供義務 ・情報請求権 を広 く対象 として類型化が 行 われてい る。 これ を,BGBに 規定 されている報告義務 ・顛末報告義務 に関 す る部分 についてみてみると,以 下の とお りである。 第一の類型 は,一 方当事者が他方当事者の利益 を擁護 した り顧慮 した りする ことを本質的な義務内容 とする法律関係 における情報提供義務である。これは, 最 も本来的で重要 な情報提供義務の類型であ り,委 任契約 における受任者 に, 委任者 に対す る広範囲 にわたる情報 の提供 を義務づ けているBGB666条 は,そ の典型規定 (MustervOrschrift)として位置づけ られる。同条 を準用する場合 や,同 条 を範 とする委任類似の法律関係 における情報提供義務 (子の財産管理 終了時の両親の顛末報告義務 (1698条),後 見人の職務終了後の顛末報告義務 (1890条)等 )が ,こ れに属す る ものである とされるGl)。 第二の類型 は,他 人の権利領域への違法 な侵害がなされた場合の情報提供義 務である。その ような侵害がなされることによって,権 利者 は,事 態の進展 を 見通す ことがで きず,そ の結果,損 害賠償請求権や引渡請求権の範囲を査定す ることができないということが起こり得る。このような情報困窮 (Infomationsnot) を顧慮する規定の代表例が,事 務の本人に準事務管理者 に対する情報請求権 を 与 えてい るBGB687条 2項 であ る。同様 に,表 見相続人 ・相続財産の占有者 の 報告義務 (2027条),不 真正 な相続証書 占有者の報告義務 (2362条2項)等 が, これに属す るものであるとされるGの。 第三の類型 は,主 たる請求権 を根拠づけるメルクマールが確定 している場合

(14)

138 彦 根論叢 第 328号 に,請 求権の内容,あ るいは,存 在する抗弁権 を明確 にするのに資する情報提 供義務 である。例 えば,遺 留分権利者 に対す る相続人の報告義務 (BGB2314 条),共 同相続人の報告義務 (2057条)等 が,こ れに属す る ものであるとされ るG D 。 第四の類型 は,取 得 した権利 の目的に適 った使用や,完 全 な享受 を保障する 情報提供義務 であ る。債権 の譲渡人の報告義務 (BGB402条 ),売 主の報告義 務 (444条)等 が,こ れに属するものであるとされるGつ。 第五の類型 は,当 事者間に特別の社会的接触関係がある場合の情報提供義務 であ る。例 えば,被 相続人の同居人の報告義務 (BGB2028条 )が ,こ れに属 す る ものであるとされるGD。 さらに,裁 判例 においては,以 上のように法律 に個別規定のある場合 を越 え て,情 報提供義務 ・情報請求権の妥当範囲の拡張が行われている。シュテュル ナーは,そ こでは,(将 来の主請求 についての)訴 訟 を準備す る とい う機能 を 有する情報請求権 (訴訟準備的情報請求権 i prOzttvorbereitender lnformadons anspruch)が 問題 になっていると述べ るGO。 以上のような法律の規定,及 び,裁 判例の状況を前提 として,シ ュテュルナー は,実 体法上の情報請求権 を,そ の資するべ き目的に応 じて分析する。そ して, 両当事者間に存在する主請求 を明確化することを目的 とする準備的情報請求権 (vorbereitender lnformationsanspruch)と,副 次的には準備的性質 を有す る 場合がある ものの,そ れに尽 きない 目的 を有す る,(潜 在 的な主請求 に依存 し ない)独 立的情報請求権 (selbstandiger lnformatiOnsanspruch)とを区別す るべ きであると主張す る。 この ような独立的情報請求権 に対応する独立的情報提供義務の典型例 は,受 任者の報告義務 (及び,通 知義務)で あ り,こ れは,契 約当事者間の恒常的な 協働 を確保するとい う機能 を有する ものであるとされるGの。シュテュルナーに よる と,確 かに,受 任者の報告義務が,後 の引渡請求権 についてのや りとりに 資す ることもあ り得 るが,委 任履行後の計算報告義務 (顛末報告義務)と は対 照的に,そ れは,報 告義務の唯一の,あ るいは,主 たる目的ではない。報告義

(15)

F I I I I I I I I I I ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) 139 務 は,委 任者が,作 出 された状況 に対する態度決定 を した り,新 たな指図を与 えた り,一 定の措置 をとった りすることを可能 にするとい う機能 を有するもの だか らである。同様の ことは,引 渡請求権や清算請求権の存否 には依存せず, 権利者 ( 事務 の本 人) に 最新 の情報 を提供すべ き場合 にお ける情報提供義務 ( 事務管理人の報告義務, 遺 言執行者の報告義務等) に 妥当す る もの とされる ( 8 8 ) 。 同様 に,債 権の譲渡人の報告義務,売 主の報告義務等 は,取 得 した権利の完 全 な享受 を確保す るとい う機能 を有 し,い わば付随的に,情 報義務者 に対する 訴求可能 な請求権 を準備す ることに資す る場合があるのみであることか ら,こ こで も,独 立的情報請求権が問題 になるとされるGの。 これに対 して,準 備的情報請求権 は,情 報義務者 に対す る権利の追求や防御 に資す る ものであ り,訴 訟準備 的情報請求権 を一般化するための類推の基礎 (Analogiebasis)とな り得 る ものである とされる。主請求の準備 ・確保 に資 す る もの としては,ま ず,受 任者の顛末報告義務 (BGB666条)力S,さ らに, 同条 を範 とす る場合 (子の財産管理終了時の両親の顛末報告義務,後 見人の職 務終了後 の顛末報告義務等)や ,同 条 を準用する場合 (事務管理人の顛末報告 義務等)が 挙 げ られる。 また,共 同相続人の報告義務や,遺 留分権利者 に対す る相続人の報告義務等 も,請 求権や抗弁権 を明確 にす ることを目的 とし,そ れ を越える機能 を有 しないことか ら,準 備的性質を有するものであるとされる00。 以上 の ように,シ ュテユルナーは,情 報提供義務 を網羅的に扱い,そ の類型 化 を行 うが,第 一,第 二,第 五の類型 においては,当 事者間の (法律)関 係の 性質 自体が,第 三,第 四の類型 においては,情 報提供義務の果たすべ き機能が 手がか りとされてお り,二 つの異 なった視点で類型化 を行 う点 に,初 期の類型 化論 との共通性 をみて とることがで きる。 また,他 人の事務 を処理す る者の報 告義務,及 び,権 利の譲渡人の報告義務が,権 利の行使 ・実現 を補助するため の準備的な手段 としての ものにとどまらない意義 を有す ることは,初 期の類型 化論 において既 に指摘 されていた ところであるが,シ ュテェルナーは,こ れら を準備的情報提供義務 とは明確 に区別 し,独 立の もの として特徴づけてお り,

(16)

r r 140 彦 根論叢 第 328号 この点 に,議 論の進展がみ られる。 さらに,報 告義務 ・顛末報告義務の妥当範 囲 を拡張する裁判例 をも視野 に入れて論 じ,そ こでは,準 備的情報請求権 を基 礎 とす る訴訟準備的情報請求権が問題 となっているとの分析 を行 う点で も議論 の展開がみ られる。 これに対 して,報 告義務 と顛末報告義務の内容的な差異 に ついては,明 確 には論 じられていなVぎ鋭)。 シュテュルナーの示 した情報提供義務の五つの類型は,多 くの学説によって 受 け入れ られ,用 い られるに至 った。D。 しか しなが ら,裁 判例 における報告義 務 ・顛末報告義務の妥当範囲の拡張の流れを受けて,そ れ らの準備的機能が注 目され,強 調 された結果,情 報提供義務の果たすべ きその他の機能については, 十分 な議論が行 われているとはいえない状況 にあった。 その ようななかで,情 報提供義務 を,そ の果たすべ き機能 に着 目して類型化 し,シ ュテュルナーの議論 を再構成するものが現れた。 ② ヴインクラー ・フォン ・モー レンフェルスの見解 1986年発行の教授資格取得論ズ9めにおいて,ヴ インクラー ・フォン ・モー レ ンフェルス (Winkler von Mohrenfels)は,法 律 に規定 されている情報提供 義務 を網羅的 に取 り上 げ,そ の類型化 を行 った。 これについて も,BGBに 規 定 されている報告義務 ・顛末報告義務 に関する部分 についてみてみると,以 下 の とお りである。つ。 第一の類型 は,情 報権利者の情報義務者 に対する請求権の準備 ・確定 に資す る よ うな情 報 提 供 義 務 で あ り,準 備 的情 報 提 供 義 務 (praparatOrische lnformationsp■ichten)と呼ばれる。その典型例 は,事 務の本人が,事 務の結 果や受任者の行為 について判断を下す ことを可能に し,そ れによって,事 務の 本人 を,引 渡請求権の履行 を検査 した り,場 合 によっては,さ らなる引渡や損 害賠償請求権 の存否 ・範囲を確定 した りで きる立場 に置 くことを目的 とする受 任者 の顛末報告義務 (BGB666条)で あるとされる。同条 を準用す る場合 (事 務管理 人の顛末報告義務等)の 他 ,BGBに 規定 されているその他 の顛末報告 義務 (子の財産管理終了時の両親の顛末報告義務,後 見人の職務終了後の顛末

(17)

ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) 141 報告義務等),及 び,引 渡請求権 や損害賠償請求権 の確定 に資す る報告義務 (表見相続人 ・相続財産の占有者の報告義務等)が ,こ の類型 に属す る もので あるとされる00。 ヴインクラー ・フオン ・モー レンフェルスは,一 連の裁判例 において,BGBの 個別規定 を手がか りとした り,一 般条項 に依拠 した りして, その妥当範囲が拡張 されているのは,こ の準備的情報提供義務 についてである と分析す る00。 第二の類型 は,情 報権利者が,情 報義務者の行為 をコン トロール した り,見 張 った りす ることを可能 にす ることに資す るような情報提供義務であ り,報 告 的情報提供義務 (relatorische lnformadonspnichten)と呼 ばれる。 ヴインク ラー ・フオン ・モー レンフェルスは,報 告的情報提供義務が問題 となるのは, 情報権利者の権利が危険 に晒 される場合であると述べ る。 この ことは,と りわ け,他 人の事務 を処理する法律 関係 に妥当することか ら,受 任者の報告義務が, その典型例 として位置づけられる。受任者の報告義務 は,委 任者 を,委 任継続 中いつで も,自 己の判断で,事 務の展開に介入 し得 るような立場 に置 くことに 資す る ものであ り,委 任者の事務の本人 (事務の主)と しての立場 を保障する ものであるとされる。の。事務処理のコントロール (Geschaistthrungskontrolle) が問題 となる場合,す なわち,事 務処理が,他 人の利益 のために (も)行 われ る法律 関係 における報告義務 (社団 ・財回の理事の報告義務,事 務管理者の報 告義務等)が ,こ の類型 に属するものであるとされる。D。 第三の類型 は,給 付の受領者 に,主 たる給付の目的物の目的に適 った使用や, 完全 な享受 を保障 し,主 たる給付 を補完することに資するような情報提供義務 であ り,補 完的情報提供義務 (kompletOrische lnformadonsp■ichten)と 呼ば れる。売主や債権の譲渡人の報告義務が,こ れに属するものであるとされパ の。 さらに,ヴ インクラー ・フォン ・モー レンフェルスは,顛 末報告義務の内容 的な特徴 に も言及 し,原 則 として,事 務処理 とその結果 についての情報は,計 算報告 とい う形態 による場合 も,そ れ以外 の形態 による場合 も,事 実 について の 情 報 に加 え て ,事 務 処 理 者 の 自己 の 行 為 を正 当 化 す る よ う な 説 明 ( R e c h t f e r t i g u n g s e r k l a r u n g ) をも意味すると述べ る(ЮO 。

(18)

1 4 2 彦 根論叢 第 3 2 8 号 以上のように,ヴ インクラー ・フォン 。モーレンフェルスは,シ ュテュルナー と同様 に,情 報提供義務 を網羅的に扱い,そ の類型化 を行 うとともに,裁 判例 において妥当範囲の拡張が行 われているのは,準 備的情報提供義務 についてで ある との考 え方 を明確 に示 している。シュテュルナーが,基 礎 にある法律 関係 の性質 と情報提供義務の果たすべ き機能 とい う二つの視点で類型化 を行 った上 で,準 備的情報請求権 と独立的情報請求権 とを区分するのに対 して,ヴ インク ラー ・フォン ・モー レンフェルスは,情 報提供義務の呆たすべ き機能に着 目し て類型化 を行い,シ ュテユルナーの二段階にわたる類型化 を一つの視点で再構 成 している。その結果,法 律 関係の性質に応 じて報告義務 ・顛末報告義務 を類 型化す るとい う視点 は表面 には現れていないが,第 一類型は,事 務処理関係 に おける顛末報告義務,及 び,第 二,第 三類型以外の報告義務 に,第 二類型は, 事務処理関係 における報告義務 に,第 三類型は,権 利譲渡関係 における報告義 務 に概 ね対応 してお り,こ こで も,報 告義務 ・顛末報告義務の果たすべ き機能 を介 して,そ の ような機能 を有する情報の提供が要請 されるとい う法律 関係の 性質が,類 型化 を基礎づけているとい うことがで きる。 さらに,報 告義務 と顛 末報告義務の内容的な差異 について も言及 されてお り,初 期の類型化論の指摘 を具体化する学説の流れに沿 う考 え方が示 されている。 (4)小括 以上か ら明 らかになったのは以下の点である。 第一 に,BGB成 立後 の早い時期 か ら,学 説 においては,基 礎 にある法律 関 係 の性質 自体,あ るいは,報 告義務 ・顛末報告義務の果たすべ き機能 によって 特徴づけ られる法律関係 の性質 を手がか りとして,報 告義務 ・顛末報告義務の 類型的把握が行われている。類型化の視点は様々であるが,い ずれにおいて も, 法律 関係 の性質上,一 方当事者が,情 報 を必要 としているにもかかわ らず,そ れ を有 してお らず,こ れに対 して,他 方当事者 は,情 報 を有 しているとい う状 況 にある場合 について,こ の ような法律 関係 の性質によって,報 告義務 ・顛末 報告義務が基礎づ け られている。

(19)

ドイツ法における報告義務と顛末報告義務 (2) 143 ここでは,報 告義務 ・顛末報告義務の根拠 を,当 事者間の法律 関係の性質に 求める点で,権 利者が 自己の権利 に関する情報 を十分 に有 してお らず,義 務者 のみがそれに関 して正確 な情報 を与 え得 ることを本質 とする法律関係 において は,義 務者 による権利者 に対す る情報の提供が要請 される とす るBGB成 立 ま での学説 と共通する考 え方が示 されているとい うことがで きる。 第二 に,他 人の事務 を処理する法律関係 においては,事 務処理 をコン トロー ルすることが事務の本人の本質的な権利であ り,こ れを保障するために,他 人 の事務 を処理す る者 による事務の本人に対する情報の提供が要請 されるとい う 状況 にある。そのために,他 人の事務 を処理する者 は,事 務処理 をコン トロー ルするという固有の機能 を有する報告義務 を負 うもの と理解 されている。また, とりわけ,事 務処理の終了後 には,引 渡義務の範囲を確定 した り,損 害賠償の 請求 を準備す るため に,他 人の事務 を処理する者 による事務の本人に対する情 報の提供が要請 される とい う状況 にある。事務処理の当否が,引 き渡 しの範囲 や,他 人の事務 を処理す る者の責任の存否 に直結することか ら,他 人の事務 を 処理す る者 は,自 己の行為 を正当化するような情報 をも内容 とする,顛 末報告 義務 を負 うもの と理解 されている。 この ような,報 告義務 と顛末報告義務の特徴 は,他 人の事務 を処理す る法律 関係 に固有の ものであ り,い ずれ も,他 人の事務 を処理する法律関係の本来的 な性質に由来す るものであると考 えられる。 第三 に,報 告義務 ・顛末報告義務の主請求 を準備するとい う機能は,あ らゆ る類型の報告義務 ・顛末報告義務 について問題 とな り,主 請求 を準備するため に義務者 による権利者 に対する情報の提供が要請 されること自体 によって,法 律関係が特徴づけ られ,報 告義務 ・顛末報告義務の存在が基礎づけられている。 近時の類型化論 においては,裁 判例 によって妥当範囲の拡張が行 われているの は,主 請求 を準備するとい う機能 を有する報告義務 ・顛末報告義務 についてで ある との認識が示 されている。 このような認識が正当なものであるならば,義 務者による権利者に対する情 報の提供が要請される法律関係においては,法 律 に規定が置かれている場合に

(20)

144 彦 根論叢 第 328号 限 らず ,報 告 義務 ・顛 末 報告 義務 の存 在 を広 く認 め るべ きであ る とのBGB成 立 までの学説 の考 え方が,主 請求 を準備 す るため に報告 ・顛末報告が要請 され る場合 につい て,裁 判例 に よって具体化 されてい る とい うことがで きる。 以上の理解 をふまえて, 2.で は,裁 判例 における報告義務 ・顛末報告義務 の妥当範囲の拡張 と要件 とについてみてい くこととする。 は0) ( 4 1 ) (42) (43) (44) (45) (46)

Treitel,a.a.0.lAnm。25),S.33;Heinrich Dernburg,Das burgerliche Recht des Deutschen Reichs und PreuRens 2.Bd. 1,Abt., 1. u。 2.Aun., 1899, S.87.

Cari Crome, System des Deutschen Burgerlichen Rechts I.Bd., 1900, S.595ff. Crome,a.a.0.lAnm.41),S.595f. Crome,a.a.0.lAnm.41),S.596. Ebenda. Ebenda.段 階訴訟 において,主 請求 に対す る準備的請求 として,ま ず,報 告義 務 ・顛末報告義務 の履行 を求め得 ることについては,前 掲注 (20)を参照。 Crome,a.a.0.lAnm.41),S.600は,収 入,及 び,支 出 を伴 う管理 を行 い,そ れ について顛末 を報告す る義務 を負 う者は,最 も詳細 な報告義務である計算報告義務 を負 うとしてお り,計 算報告義務の内容的な特殊性 は指摘 されているものの,基 礎 にある顛末報告義務の位置づけ,及 び,内 容 については論 じられていない。 (47) HugO Hubner,Die Auskunftspflichten des BGB,Diss.,1904.

(48)H乱 )ner,a.a.0.lAnm.47),S.12孟 (49) Hubner,a.a.0.lAnm,4の ,S.13ff.,S。16i (50)Hmner,a.a.0.lAnm.47),S,15f.,S.241。ここでは,事 務の本人のために処理 さ れた事務 について,事 務の本人に完全 に認識 させ るとい うことは,そ れによって, 事務 の本人が事務処理者 に対 して債権 を有す る可能性があるか らとい うよ りも,む しろ,そ れが事務の本人の事務であ り,事 務の本人は,事 務が どの ように展開 した か とい うことを知 る必要性があることか ら,公 平かつ正当であるとするRocholl,a. a.0.(Anm.32),S.238が参照 されている。 (51)Hubner,a.a.0。 lAnm.471,S.60丘,S.71i (52)Hubner,a.a.0.lAnm。 47),S.88ff.

(21)

F I I I I I I I I ドイツ法 における報告義務 と顛末報告義務 (2) 145 (53)H改 〕ner,a.a.0.lAnm。 47),S.90ff.

(54) Georg Kutzner,Auskunft, Rechenschaftsablage und Rechnungslegung nach Burgerlichenl Recht, E)iss., 1909.

(55) Kutzner,a.a.0.lAnm.54),S.9ff.,S。 16ff.,S.81ff. (56)Kutzner,a.a,0.lAnm.54),S,82■ . (57)Kutzner,a.a,0.lAnm.54),S,100ff. (58)Kutzner,a.a.0.lAnm.54),S.82,S.96=. (59)Kutzner,a.a.0.lAnm.54),S.441. (60)Kutzner,a.a.0。 lAnm.弘),S。46f.,S。491. (61)Kutzner,a.a.0.lAnm.54),S.47f,こ こで は,事 務処理 についての報告義務 は, 顛 末報 告 義務 とは異 な り,事 務 の本 人 (Dominus)が ,事 務 処 理者 (Gestor)に対 して有 す る可 能性 の あ る請求権 の存在・範 囲 について,事 務 の本人 に知 らせ るこ と を 目的 とはせ ず ,む しろ,指 図や 人 的 な介 入 とい つた事 実 的 な行 為 を行 う可 能性を

確 保 す る もの で あ る とす るHermann lsay,Die Geschaftsfuhrung nach dem

Burgerlichen Gesetzbuche ttr das Deutsche Reich,1900,S.127が参 照 されて い

る。

(62)Kutzner,a.a.0.lAnm.54),S.48f.

(63)Kutzner,a,a.O.lAnm.54),S.81車 。,S.107.

(64) A/1ax Bruch, Die Auskunfts, Rechenschafts― und Voriegungsanspruche im

Burgerlichen Gesetzbuche, Diss., 1914.

(65)Bruch,a.a.0。 lAnm.64),S.7ff.,bes,S.13. (66)Bruch,a.a,0.lAnm.64),S,15ff. (67)Bruch,a.a.0.lAnm.64),S.70f. (68)Bruch,a.a.0.lAnm.64),S,71ff. (69)Bruch,a.a.0.lAnm.64),S.15ff.,bes,S.33f. (70)委 任 者 は,受 任 者 が履行 方法 につ い て一定の独立性 を有 しているにもかかわ らず, 事 務 の本 人 (事務 の主)で あ るが ,こ の こ とは,委 任 者 が ,常 時 ,事 務の状 況 につ い て知 らされ,そ れ につ いて全 ての必 要 な説 明 を受 け られ る場合 にのみ可能 となる

(22)

146 彦 根論叢 第 328号

416,及 び,報 告義務 は,受 任者 によって不適切 な事務処理が行 われた場合 に,委 任者が 自己の権利 を守 ることを可能 にするのに資するとした上で,そ れに加 えて委 任者 は,事 務の現状 に対 して,自 分 自身で処置 を講 じることに利益 を有 し得 ると述 べ る」.von Staudingers Kommentar zum Burgerlichen Gesetzbuch mit

Eintthrungsgesetz und Nebengesetzen(以 下では,Staudinger/執 筆者名で引用) 2.Buch,13.Bearb.,1995,§ 666 Rn。1[Roland Wittmann]を 参照。

(71)例 えば,BGB666条 (委任契約 の受任者 の報告義務)は ,「事務の状況」 につい て,1379条 (法定夫婦財産制終了時の配偶者の報告義務)は ,「最終財産の状況」 について,2027条 (表見相続人 ・相続財産の占有者の報告義務)は ,防 目続財産の 状況,及 び,相 続財産の目的の所在」 について,報 告すべ きであると規定 している。 (72)例 えば,BGB666条 (委任契約 の受任者 の顛末報告義務)は ,「委任 の履行後 に 顛末 を報告す る義務 を負 う」 と規定 し,1698条 (子の財産管理終了時の両親の顛末 報告義務)は ,「管理 について顛末 を報告する義務 を負 う」 と規定 している。 (73)Soergel Kommentar zum Burgerlichen Gesetzbuch(以 下では,Soerge1/執 筆

者名で引用)Bd.2.,12.Aun.,199o,§ 259 Rn。3[Manfred w01』 。なお,我 が国の民 法の起草過程 において も同様 の考 え方が示 されていたが (法務大臣官房司法法制調 査部監修 F日本近代立法資料叢書 4法 典調査会民法議事速記録四』 (商事法務研究 会 ・1984)618頁 上段 [富井政章発言]),そ の後の議論の展開はみ られない。 (74) Munchener/Rolf Keller,Bd。 2.,3.Aufl., 1994, §259 Rn.4;Othmar Jauernig

(Hrsg.), Bdrgerliches Gesetzbuch mit Gesetz zur Regelung des Rechts der Allgemeinen Geschaftsbedingungen,9.Aufl.,1999, § §259-261 Anm。 1.a[Max Vollkommer].裁判例 において同様 の理解 を示す もの として,権 利者が,損 害賠償 請求 を具体化す るために報告 を受 けることで足 りる場合 には,計 算報告 を求めるこ とはで きない とするRG Urt.v.11.3。1927(WarnR1927,Nr.90),及び,顛 末報告 義務 (計算報告義務)が 履行 された後 には,さ らに,報 告義務の履行 を求めること はで きなVヽとす るBGH Urt.v.29.1.1985(BGHZ93,327,329f.=N」 W1985,1693, 1694)を 参照。

(75) Horst Locher,Die Auskunfts― und Rechenschaftspflicht des Architekten und Baubetreuers,NJヽV1968,2324;」 oachiIII Gernhuber,Das Schuldverhaltnis, 1989,

(23)

ドイツ法における報告義務 と顛末報告義務 ( 2 ) 1 4 7 S.568,S.576ff.,583ff.;Soerge1/Wolt a.a.0。 (Anm.73), §259 Rn。3;Munchener/ Kdler,a.a.0。lAnm.74),§260 Rn。1.

(76) Rolf Sturner, Die Aun(larungSpflicht der Parteien des Zivilprozesses, Habil., 1 9 7 6 。これについては, 佐 上善和 「紹介」民訴雑誌2 4 号 ( 1 9 7 8 ) 2 3 8 頁以下がある。 (77)Sturner,a.a.0.lAnm.76),S.287比 (78)809条 「物 の占有者 に対 して,そ の物 に関 して請求権 を有す る者,又 は,自 己が その ような請求権 を有す るか否かについて確信 を得 ようとす る者 は,こ の ような根 拠 か ら物 の検査 が 自己に とつて利益 となる ときは,占 有者が 自己に対 して,検 査 の ため に物 を呈示すること,又 は,検 査 を詐可す ることを請求することがで きる」。 (79)810条 「他 人が 占有す る証書 を閲覧す るこ とについて法 的利益 を有す る者 は,証 書が 自己の利益 のため に作成 された とき, もしくは,証 書 中に自己 と他人 との間に 存在す る法律 関係が記載 されている とき,又 は,証 書が,自 己 と他人 との問, もし くは,そ の一方 と共通の伸立人 との間でなされた法律行為に関する交渉内容 を含ん でいる ときは,証 書の占有者 に対 して,岡 覧 を許可することを請求す ることがで き るJ。 な お,BGBに おける閲覧請求権 についての個別規定 としては,716条 (組合 員 の組合 の帳簿 ・書類 の閲覧請求権),1799条2項 (後見監督人の後見人 に対す る書 類 閲覧請求権),1953条 3項2文 (放棄 によって相続財産が帰属す る者の意思表示 の 閲覧請求権),1957条2項2文 (1953条3項2文の放棄の取消の場合への準用),2010条 (遺産裁判所 による財産 目録の閲覧の許可),2081条2項 (遺産裁判所 による終意処 分 の取消 の意思表示の閲覧の許可),2146条 (遺産裁判所 による後順位相続 の開始 に関す る通知書の閲覧の許可),2228条 (遺産裁判所 による第二者のす る遺言執行 者の指定等 の意思表示の閲覧の許可),2264条 (遺言書の岡覧請求権),2384条 (遺 産裁判所 による相続財産の売買 に関す る通知書の閲覧の許可)が ある。 (80)シ ュテュルナー によって挙 げ られている もの として,商 法典 (以下HGBと す る) 74c条2項 (商業使用人の報告義務),HGB86条 2項 (代理商の情報提供義務)が あ る。その他 に,特 許法,実 用新案法の規定 も挙げ られているが,こ れ らに関 しては, その後,1990年3月7日 「知的財産権の保護強化 と海賊版撲減法」 (BGBl.TellI,1990, 422」.)に よつて,法 改正が行 われ,特 許権侵害者の報告義務 について定める特許 法140b条,実 用新案権侵害者 の報告義務 について定め る実用新案法24b条を含 む,

(24)

148 彦 根論叢 第 328号 他 人の無体財産権 を侵害す る者の報告義務 について定める規定 (商標法25b条 ,著 作権法101a条 ,意 匠法14a条3項等)が 新設 された。 (81)Sturner,a.a.0,lAnm.76),S,287i (82)Sturner,a.a.O.lAnm.76),S.289f. (83)Sturner,a.a.0.lAnm.76),S.290二 (84)Sturner,a.a.0.lAnm.76),S。 291. (85)Stumer,a.a.0.lAnm.76),S.291二 ( 8 6 ) S t u r n e r , a . a , 0 . l A n m . 7 6 ) , S . 3 0 0 f f . , S . 3 0 8 i もっ とも,シ ュテュルナーによる と,裁 判例 において,「独立的情報請求権」 と,(将 来の主請求 についての)訴 訟 を 準備す る とい う機能 を有す る 「補助的請求権」 とは, 常 に厳密 に区別 されているわ けではな く, しば しば, 無 意識 に区別 されているのみである (S.310)。 ( 8 7 ) S t u r n e r , a c a . 0 . l A n m . 7 6 ) , S . 3 1 0 。当該部分 は」os e f E s s e r , S c h u l d r e c h t B d . Ⅱ. , 4 . A u n . , 1 9 7 1 , S . 1 8 6 からの引用 である。同様 の趣 旨の主張 をす るもの として,Karl Larenz, Lehrbuch des Schuldrechts Bd.工., 10.Aufl., 1972, S.260f。(ders., ac a. 0.lAnm.701,S.416と同一の記述内容),及 び,666条 は,事 務本人が,自 己の財産領 域 に関す る利益擁護 を監視 し,調 査 す ることを可能 にす る情報提供義務 を行為者 (事務処理者)に 課 しているとするSiegbert La―el,Vertrtte auf lnteressenwahm昭, in:Wolfgang Gitter u.a.,Vertragsschuldverhaltnisse(ohne Kaufrecht),1974,S. 259比,S.264が参照 されている。 (88)Sturner,a.a.0.lAnm.76),S.310i (89)Sturner,a.a.0。 lAnm.76),S。291,S.311. (90)Sturner,a.a.O.lAnm.76),S.315. (91)Sturner,a.a,0.lAnm.76),S,340は ,報 告 は,最 も単純 な情報の態様 であ り,そ れゆえ,情 報請求権の当然の内容であるとするが,こ こでの報告は,顛 末報告 をも 含 んだ広義 の ものであ る と思 われる。 また,BGB666条 の計算報告請求権 (顛末報 告請求権)の 特徴が指摘 されてはいる ものの,そ の内容 については言及 されていな い (S。339)。 ( 9 2 ) 例 えば, R e i n h a r d B o r k , A u s k u n f t u b e r D r i t t e 一N o t i z z u m v o r p r o z e s s u a l e n lnformationsrecht,JA1983,174f.;Gerhard Luke,Der lnformationsanspruch im

(25)

ドイツ法における報告義務 と顛末報告義務 (2) 149 Zivilrecht,JuS1986,2,4丘;Munchener/Keller,a.a,0.lAm.74),§ 260 Rn.8;Stephan Lorenz,Auskunftsanspruche im Burgerlichen Recht,」 uS1995, 569ff.

(93) Peter Winkler von Mohrenfels,Abgeleitete lnformationsleistungspaichten im deutschen Zivilrecht, Habil., 1986.

(94)以 下で紹介 す る ものの他 に,第 四類型 :証 明書的情報提供義務 (testatoAsche lnformationspaichten)と して,証 書 の岡覧請求権 (BGB810条 )等 が,第 五類型 :補 償 的情 報提 供 義務 (kompensatorische lnformationspnichten)と して, BGB249条 (損害賠償請求権),及 び,1004条 (所有者 の侵害除去 ・停止請求権 ) か ら派生す る情報提供義務が挙 げ られている。

(95)Winkler vOn Mohrenfels,a.a.0.lAnm.93),S.19,S.30宜 . (96)Winkler vOn Mohrenfels,a.a,0。 lAnm.93),S.331.,S.226.

(97)Winkler vOn Mohrenfels,a.a.0.lAnm.93),S.61.こ こで は,Karl Larenz,Lehr― buch des Schuldrechts Bd.Il.,12.Aufl.,1981,S。337(ders.,ac a.0.lAnm。70),S. 416と 同一の記述内容),及 び,報 告義務 は,事 務の本人の利益 に対応 し,受 任者の 責任 を限定す るような協働 を確保す る機能 を有す る と述べ る」osef Esser/Hans Leo Weyers,Schuldrecht Bd.Ⅱ .,6.Aun.,1984,S.281が 参照 されている。

(98)Winkler vOn Mohrenfels,a.a,0.lAnm。 93),S.19,S.611.

(99)Winkler von Mohrenfels,a.a.0.lAnm.93),S,19,S.67f。 これ は, シ ュテ ュル ナーの第四類型 に相当す るものであるとされる (S.67)。

参照

関連したドキュメント

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に

  

その他、2019

         --- 性状及び取り扱いに関する情報の義務付け   354 物質中  物質中  PRTR PRTR

○水環境課長

1.制度の導入背景について・2ページ 2.報告対象貨物について・・3ページ

公立学校教員初任者研修小・中学校教員30H25.8.7森林環境教育の進め方林業試験場

6 他者の自動車を利用する場合における自動車環境負荷を低減するための取組に関する報告事項 報  告  事  項 内