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:職業興味動揺理由の研究
塩
見
淳
A Studay
on
Unsettled lnterest for Occupations Junichi shiomi Continuous investigation of interest for occupations carried out by making secondary school pupils its object showed me that their interests for occupa− tions are in much suspending conditions. In such investigation, reliability is so important that continous investiga− tions have been carried out in order to search for the reasons why their in− terests for occupations should be unsettied. In this third investigation, 1 tried to make sure of the reasons by means of the followlng process ; (1) about 10 pupils who seemed to be in mqch suspending condition were chosen in each secondary school, (2) individual dignosis of them was made by interview, (3) observations and opinions of their home room teachers were consulted, (4) furthermore, quality−test, character−test and others were practised, (5) from these angles of investigation, comparing these pupils with such as in less unsettled conditions, 1 investigated this study.1.問題の所在
中学校生徒を対象にこれまで職業興味の継続
@
調査を実施してきたが,それによるとその興味
方向が相当動揺していることがわかってきた。このことは調査結果に対する信頼度Reliabi−
lityの問題になるので,この動揺理由をさぐる
ために,同じ興味検査用紙で3年間,同一生徒
に学年をおって継続実施したのである。@
本学紀要第6集で,“むすび”の中に次のよ
うにかいてある。「更にもっと少い人数を対象に継続調査をす
ると共に,各生徒個々の実態調査なり,また観
察,面接による個人診断をなし,累加記録調
査,知能検査,職業適性検査,向性検査等を実
施してこれらの角度から色々と検討することは
他日を期したい」と。この線にそって,前回の職業興味検:査用紙
(東京都職業適性相談所編B式)で実施したと
きは,3年間同じ調査を同一生徒に学年をおっ
て実施して,その集計結果特に「すき」の動揺
のはげしいものを各校で10名内外抽出,そして
面接による個人診断により,その動揺のはげし
い理由をつきとめようとしたのであった。以上2回の職業興味検査の継続実施結果から
これまでにえた動揺の理由と考えられる諸点を
まとめてみると,職業興味調査票(日本職指協会)使用の場合
①家庭および学校にて学習し,経験したことの
少い場合,(2)牲格(情緒の安定度), ③成績よ142 滋 大 紀 要 第 8 号 1 9 5 8 くない,④知能程度低くて問題の意味がわから ない,(5)家庭生活に原因があるもの(家庭のふ ん囲気,経済条件,両親の態度等), ⑥生徒自
身に原因があるもの(知能,体質,成長的発達
との関係), (7)性別による差一男子より女子の 安定が比較的早い。職業興味検査用紙(東京都職業適性相談所編
B式)の場合,(1)学習経験の拡大一教師の熱意 および対教師観,(2)生徒の自主的な選択態度が できてくる,(3)人間関係のうち友人教師等の示 唆感化,(4)教科の「すき」 「きらい」によるも の,(5)学業成績がよくて動揺する生徒と,よく なくて動揺する生徒とあり。以上2回の調査から,その動揺の原因を求め
たのであるが,少人数であり,学校差,立地条
件のちがいもあるから,この診断結果をそのま
ま信頼することは早計である反省とともに,興
味検査は個人の内的精神活動に働きかけて,こ
れから興味傾向をひきだそうというものである
から,これらの諸条件がからみあっていること
も注意せなければならないと思う。更に今次第3回目の継続調査(昭和31−33)
では,第1回に使用した職業興味調査票(日本
職業指導協会第5改訂版)によったが面接およ
び各種調査行の便宜から近くの中学校を選定し
て協力ねがったこと,第1−2回に比べて面接
診断に加うるに,担任教師(H.R. T.)の観察所見を参考にし,更に適性,性格,向性等の各
検:査を実施して,比較的動揺の少い生徒と対象し,検討することがこれまでとはかわったこと
である。 :わかった。これは調査結果の信頼度の問題にもなるので
この動揺理由をさぐるためにこの継続調査が実
施されてきた。こん度の第3回調査では,動揺のはげしいも
のを各校で10名位抽出して,面接による個人診
断をなし,担任教師の観察所見を参考にし,更
に一歩をすすめて適性,性格,向性等の各検査
を実施して,これらの角度から,動揺の少い生
徒と比較し,検討しながら,その理由をつきと
めようとするものである。3.方 法
第1回の調査に使用した,日本職業指導協会
o
発行職業興味調査票(第5改訂版)で,昭和31
−33年までの3年間,滋賀郡,大津市,栗太郡
の各一中学校をえらんで同一生徒に学年の順に
実施した。調査入員当
年 度 男 女 計 備 考 昭和31 97 s4 1 isi i t! 32 1 g7 84 181 xi 33 1 94 83 177 男転校3女1 註① 昭和28−30 中学生の職業興味の調査研究 職業興味調査票(日本門戸協会)使用 滋賀大学学芸部紀要,第6集(1957) 昭和30−32 職業興味動態の事例研究 職業興味検査用紙(東京都職業適性相談所B式) 使用 文部省職業教育佳編:産業教育,(第8巻一6号, 1958) ②塩見:申学生の職業興味の調査研究 滋賀大学芸紀要第6集(1957)60ページ 2. 目 的中学校生徒を対象に職業興味の継続調査をす
ると,その興味方向が相当動揺していることが
註① 第一職業群第二職業群
第三 〃 第四 〃 第五 〃 第六 〃 第七 〃 第八 〃 第九 〃 各群に35問あり, ば(十)じるしをつける。各群のその数が得点数で その合計が20以上は「大いに興味をもつている」 と考える。4.調査結果
事務商業関係 機械関係 芸能関係 体力手技関係 農業関係 自由専門的職業関係 科学技術関係 奉仕関係 家事関係 したい仕事やすきな仕事であれ3年間を通じて興味傾向の動揺のはげしいも
のを各校から抽出して観察面接による個人診断
をなし,H. R. T.の所見を参考にし,更に労適知能検査の結果からえたものは次のようであ
る。Oは1Ωで100が基準以上はすぐれて
いる。職業興味動揺理由の研究 (塩見) 143
S M.K
35 R0 25 o 層\ 唱 「 ’ @’ く一’ _ ,’ ! ’’’’ 、、、 、 、 、 \\\ 20I105
ノ ! ’ @’ f 、、、 、 、 、\ 、 A、、 、 ’^♂ ,’ @ ノ \ 、 A、 、 @、 @ 、 @ 、 31 R2 ’ @,’ I’’ 、、、 、 、 ’ @’f’’ 詔 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 進学,労適3−7−9∼13−15−16−18(9−10−11 一一P2−13の意味)この生徒は教師の教授法を問題に した。あまり本人が勉強しなかったのは,教師の教 え方が「こせこせしてまわりくどいためである」(本 人の言)。それでいや気を起したり(数学),また教 師の転任で教え方がちがってきたので(国語)勉強 しにくくなってぎたことによる。児童,生徒の教科 の「すき1 「きらい」のできるのはこんなところに も原因するのではないか。 ・ 9 E. T 35 R0 Q5 Q0 P5 P0 T 、 @\ 、\、\ 、 / ’ ^ 、 @ ’ @ ’ @ ’ @’’ f 、\ 軽 ’^﹁
31h32
、、 、 、 ’ @’ @’mノ ミ、_・、 、 ,’ @,’ C’P.
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z/’ 0 1 2 3 4 5 6 ク θ 9 就職,労適13,成績よくない。問題の意味はわか る。実験や計算することはこのまぬ。手芸はすき だ。興味傾向の少いものは(得点10以下)成績もよ くないし,したがって労適職群も少いという関係が ほぼ成立するのではないか。 「すき」「きらい」も またうけ答えもはっきりできないようである。こと に女生徒にはこの傾向がある。どちらかといえば, 労適職群の多い生徒を会社が求める意味もこんなと ころにあるのではないかQ’ 6 T.M
35 30 25 20 10 5 「 ’ ’ @ ’ . ’ u 騒\ 、\ 、 ! ’ レノ’’ 、、 @腎 @ 、 @ 、 @ 、 @ 、 魅 ’ @ ’ @ ’ @ ’ @’Pノ 、、 ﹂ 、 亀 、 、 、 、 33 R1 R2 、 、 、 @ 、 @ 、 、 、、 @鴨 鴨,,魑 ’ @ ’ @ ’ @’f’ 、、 @、 @ 、 @ 、 @ 、 、 35 一 冒 一 一 一 /’ , 、 30 , 、\ /’/
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進学,労適9−11−13−15−16−18,成績下位(88) あきやすい,小心無気力で落つぎがない。精神的発 達もおくれている。1年のときは経験はほとんどな かったのでわからなかった。3年になると学習経験 も豊富になって,わかってきたので「すき」「きらい」 がはっきりわかれてくる。 ♂ 且.K 31 噛2﹂ 3 32 就職,労適4−7−9−11∼20,成績中位(105) 1年のときは問題の意味をとりちがえたかもわから ない。2−3年で家の方でモーターーボートを取扱う ようになって第2群がすぎになった。そればかりに ここるぐようになって,他を考える暇がなくなって144
滋大紀 要
箆 8 号
1 9 5 8 ぎたと思う。この青年前期のある仕事に熱申(こ る)することはひとつの特長である。指導の必要も ここにある。6 N.Y
35 30 , 、、 ∫ 25 ’’ 、㍉ ’ 、 1 し 20 ’、
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5 6 7 8 9 進学,労適2∼20.成績良(118) むら気あり,工作趣味,友人問の人気あり。機械・ 鉄道関係が一ばん「すき」であったが,この方面の 読書や関東旅行で第2群がますます「すき」になっ てきた。見学,旅行等で見聞をひろめ,学習経験を 豊富にすることは大じなことである。9 H.Y
3 30 ﹁ % ノ’, ’ 20 ’ ︸ 1 ノ5 、 ’’ 、、、、 ﹁ 1 ノ 、 、\し ’’’ノ,’ 、、、、 「悔馬、、 「 、 ’/7 .、 1ノ﹁ 、、 ’り 、 ’ \ 9 ’ 10 、、、 、 !’ 、 、、、 9 ,’ P/ 、 , 「 \ \、 ●、 ’/ 、 べ・ /’ ρ ρ 蔦 5 ρ 噛、
/ 7 、 0 1 2 3 4 5 6 ク 8 9 ,32 3ノ 3ヨ 就職,労適16,成績下位(86) 無気力,あきやすい平凡な生徒。 「あまり勉強できないし,こせこせした,しんぎ くさい仕事よりも,かんたんな仕事をする会社に 入りたい」とは面接のひとこま。各職業群の問題 も,よくよんであれこれ考えてからの答えではな いとも思われる。 9 M. Y35
R0 25 20 32 75 ﹁ ! 33 亀 1 , 10 、 ﹁ \ ●、 ’ @’ @’f’’’ 、、、 、 、 、 、 、 ,ろ/9’ ト、い、 !F,,1 , 31 5 、 ﹂ ’ 、 、、 噂 @、 @、 ’ρρ ,ρ , “ “ z’ 。’ こ、 、 、 7 、、 L ’ 、、 A/
、、 フ 0 1 2 3 4 5 6 ク 8 9 自営(農業),労適13,成績下位(75) あきやすくて精神発達おくれる。 あまりきゅうくつなこと,こまかいことはこのまな い。あみもの,手芸を少しする程度。問題の意味が 十分了解できないのがあるのではないか。 35 30 25 20 15 ノ0 5 9 N. Y 33 R1 R2 ’!/.ケ ﹂、\、、竜、\、、、\、 一脚一 ’/”//,” ’ 、一、、、 、 0 1 2 3 4 5 6 ク θ 9 高校,大学まで進学希望,労適4∼20,成績最上 位(110) 普通程度,経験せぬこと1# 一,自分で経験し,特に 興味をもつている問題にのみ十をつける。第3−6− 9群でその中でも,自分でやれると思うことはきわ めて少い。rしるし」をつける考え方が他の生徒とは ことなっているので+が少いと思われる。自主研究職業興昧動揺理由の研究 (塩見) 145 心も強く,家庭も教育には熱心。 9 E. K 35 3 30 ’, 3 25 !/ σ 20 ﹁ 1 一 、 ノ亀㌦ !m’’ \㍉ \ ∼!’ 3 15 、 ノ 、、、 \ !
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ノ0 \、 曳\、 、 亀 ノ1’ /’ \亀 \ 、1■
5 F C! ’ ﹁ 、 」、 \ ’ 、 / ’ 0 1 2 3 4 5 6 ク 8 ク 33 32 就職希望,労適4∼20,(9,13,15,18は除く)。 成績 上(1G6) 1年のときは職業についてもわからず,関心もなか ったQ 3年になって職業の恥じなことがわかり,問題の内 容もよくわかb,自分でもできるようになって「す き」が多くなる。こんな仕事(問題)の必要も自覚 し,それをやることがたのしくなってきた。次に,動揺の比較的少くて安定していると思
われるものを抽出して,三寸,知能検査の結果
および観察所見を示すと, 35 30 25 20 10 S 6 N. K ’ @’f’ 、、 ’ /’ I/” \\、//
、、 」 E\ \ 、 、 ル‘ 、32│1
、、 / 、、 、 、\一 層 , 帽 、 、y V﹁’ 、、 、 @ 、 、 、、 @ 、 、 70ア23456クB9
進学,労適4−7−9−11∼20,成績中位(105) 安定した落つぎぶりで作業早く習熟する。自主研究 心にとみ,自分をめぼしてゆく。6 EK
35 30 25 20 ノ〃 5 33ッ 町
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、 、 ’’! ’’’’ /ρ 、0/23456789
自営(農業)労適13∼20,成績下位(78) むら気多くすぐあぎる。気ままな子供で興奮変調を おこすがすぐなおる。 各職業群の得点は大差なく安定しているようである が,問題の意味がはっきり理解できないのではない かと思う。 9 K.Y ’ 、、、1’
32’33 R1 ,1’ノ 、、、、 、\、 、、 @、 @、 @、 ∼1/〃 35 R0 Q5 Q0セ105
、7
、 、、_ 亀、 r @\ @\ 、 ’ ’ ’ ’ノ’ 、\、\ @、、、 ”〆﹁ 、 a@曽 一 顧 , 胃 グ﹁ 、 ’ 0 1 2 3 5 6 7 8 9 就職,労適4∼20,成績上位(116) 落つきなく不安定で注意さんまんなところがある。 労適職群を比較すると,あまり動揺のない(得点差 少い)安定した生徒ほど,適職群(第1∼第20群)は 多い。また,成績のよい生徒が比較的多い。146 滋 大 紀 要 第 8 号 1 9 5 8