カメ ー ト語 音 素 体 系 の記 述 と
比 較 言語 学 的考 察
谷
恭
之
ADescriptiveand Comparative Stlldy oftheKhametPI10nOlogy by
YasuyukiMITANI
1. 序 請 1・1 は じ め に 私 は,京都大学東 南 ア ジア研 究 セ ン ターの現地 調査 計 画 の ひ とつで あ る西 国助 教 授 担 当 の 「北 部 タ イにおけ る諸言語 の現地 調査 」 に参 加 して,1964年9月か ら1965年4月 にか けて北 部 し11 タ イで い くつ か の言語 を調査 した 。私 が調査 の対 象 と した言語 は, ラ ワ語 (Lawa) 3方 言, カメー ト語 (Khamet), カム語 (Khamu), ビス語 (Bisu) 2)7言 それ にモ ン語 (Mon)で あ って , ビス語 を 除 いて はすべて モ ン ・クメ-ル系 (Mom-Khmer)の言語 で あ る。 ラオ スや ビル マ に くらべて タ イには少数 民族 の言語 はあ ま り多 くな い。 LeBar博 士 らによ (2) る大 陸部東南 ア ジアの言語 民族 分布 図を みて もタ イ国 の領 域 内は ほ とん どが タ イ系 の色 で ぬ り っ ぷ され て い る。 しか し北 部 タ イに関す る限 りわれ われ の常識 か らいえ ば言語 の種 類 が少 ない とは決 して いえ な い。 い ま これ らの言語 につ いて よ り詳 しい分布地 図を 作製 しよ うと して もそ の試 み は十 分 には成 功 しな いで あ ろ う。それ はた とえ ば タ イ系 の言語 ・方 言 が互 に漸 次 的 な相 異 しか示 さない とい うよ うな事情 に もよ るけれ ど も, そ の存在 が 知 られ て いない場合 は もちろ ん,漠 然 と存在 が 知 られ て い る言語 につ いて も一 体 どの地 域 で どのよ うな方 言 が 話 され て い る のか とい う具 体 的 な点 にな る とよ くわ か って いないか らで あ る。 私 の当面 の関心事 は, いわゆ るモ ン ・クメ ール系 とよばれ るグル ープ の言語 が実 際 どの よ う (1)この調査にあた り,京大側の諸先生方に指導と援助をしていただいたことは申すまでもないが,現地
側では Saphawichaihaeng Chat,Phuwaratchakan ChangwatChiangmai,Na主laePalat AmphoeHot,Na主AmphoeWiangPapaoその他多 くの人人から御配慮と協力をいただいた。と
りまとめて謝意を表 しておきたい。また村の人人ことにインフォーマン トとなってくれた人たちは, 同じ発音を何度も練返すというとんでもない仕事をよく辛棒 してやって くれたので特に感謝する。な お,この調査の行程等についてはすでに拙稿 「ラワ語の現地調査」本誌第3巻第1号 pp.150-153に 述べたから省略する。
(2) cf.F.M.LeBar&C.EthnicGroupsof MainlandSoutheastAsia.HRAF Press,New Haven, 1964.の付録。
カ メ - T.語音 素 体 系 の 記 述 と比 較 言 語 学 的 考 察 な系統 的 な関 係を 相互 に も って い るのか とい うことで あ るが, この グル ープ の諸 言語 の分布 地 (3) 域 は畠峡 部 を 除 く東 南 ア ジアの全域 にわた って いて, そ の数 は大 変 な もので あ る。それ らは一 部 を 除 いて す べ て少数 民族 の言語 で あ って,言 語学 的 な調査 研究 は ほ とん ど行 なわ れ て い な い。 今 回私 が行 な った調 査 はそ の全体 か らみれ ば ま った くほん の一 部 分 に過 ぎない けれ ど も, 以 上 の よ うな事 情 を考 えれ ば, そ の結 果 を報 告 す る ことはい さ さか の役 に立 つ こと と思 う。本 稿 は いわ ばそ の予 備 的報告 の一 部 を なす もので あ る。
1
・2 「カ メ ー ト」語 とし、う名称 に つし、て 本 稿 で 扱 って い る 「カ メ- ト」語 とは, 北 部 タ イの ウ ィエ ン ・パ パ オ (W iang Papao) の (4) 町 か ら約 5km ほ ど北 方 のパ ンチ ョー ク (Pangchok)とい う小村 (約3
0
戸 ) で住 民 同士 が 話 す 言語 で あ って, この地 方 の タ イ人 た ち (Khon Muang)は これ を "Lua=す なわ ち 「ラワ」(5)
とよんで い る。 実 際 この
言
語 とボ -ル ワン (Bo Luang)や ウンパ イ (Umphai) な どの ラワ 譜 とは相 当に近 い闇 係 にあ るよ うで あ って,今 まで に もこれ を 「ラ ワ語 ウ ィエ ン ・パ パ オ方(6〕
言
」 と して言及 され た こ とが あ る。3IRIE
しか し話 し手 た ちの 自称 で は /R5meet/で あ って, これ は北 部 ラオ スの HKhamet日日(Kha) Lalllet"な ど とよ く一 致 す る. ラオ スの カ メー ト語 (ラメー ト語 ) の言 語学 的 な記 述 報 告 が な いので細 部にわ た る貝 休 的 な点 は わか らないが ,次の よ うな例 で 見 るか ぎ りこの言語 が ラワ語
・、t;丁
よ りもカメ- ト語 の方 言 で あ る こ とは明き らかで あ る.
(3) HIL.Shorto,J.M.JacobandE.H.S.Simmonds:BibliographiesofMom-Khme7-a7,d Tat Linguistics.Oxford Univ・ Press,London,1963・ にはモン ・クメール系として実に136の言語 /告があが っているOその多 くは同一言語の異名ではあるが,本 書に含まれていないものが実際には随 分あると予想されるから,いずれにせよ相当な数にのぼることは確かである。
(4) Ban Pangchok,SantonpatlMtlthi1,TambonSansali,AmphoeWiang Papao,Changwat Chiangrai.
(5) もっとも,一般には,かってこの地 方に`-Lua'ノ族が住んでいたが現在では "Khon MuangHにな って しまってその言言吾も話されていないと思われていて, ウィエン ・パパオの町でさえ今 で も こ の
"Lua"が話 されている小突はほとんど知られていないようである。
(6)
(
ゾ
・Sanidh Rangsit: "Beitrag zur Kenntnis der Lawasprachen Yon Nord-Siam (MitVokabularien)."A71thropos37-40,1942-45,pp.6881710.
(7) 別に /lha?7があるがこれはタイ系借用語である。 ラワ語の自称 /13vular),r∂Vua?/ に対応す る形
は /R5wa(a)?/でなければならない。
(8)WPP.はウ ィエン ・パパオ方言。NT.はカメー ト譜ナムタ (Nam Tha) 方言, P.Lefとvr e-Pontalis: "Notessur quelquespopulations dunord deHndochine,IlH.JA9esir.18, 1896・pp・129-54,291-303・による。 Kraisi・は, KraisiN.: "TheMrabriLanguage.=J5'g
vol.LIpt.2,1963,pp・179-184・AppendixI・ に見えるカメー ト語でインフォーマン トの出身 地が明らかにされていないがおそらく北部 ラオスと思われるo BL.,UP.はそれぞれラワ吉吾ボールワ
ン方1,ウンパ イ方 言。
-東 南 ア ジ 7 研 究 第3巻 第3号 W PP. ≪ ブ タ ≫ liik ≪ 手 ≫ tii? ≪ 石 ≫ RS?aag ≪ - ど≫ ph
u
ユ
品
≪ 頑 ≫ 由t5h NT 1-k tl Kraisi. BL. UP liik 13ic leic ti? tai? te? kha?aatl (saml⊃u?) (samO?) phig (sa?3u瑚) (sa?oia)d〇h (kain) (kaia) それ ゆえ 私 は この言語 を「カ メー ト(ラメー ト)語 の ウ ィエ ン ・パ パ オ方 言」とよび た い と思 う。 カメ ー ト語 と ラワ語 が かつ て は非 常 に似 て い た ことは疑 いが ない。 第 3章 で は カ メ ー ト語 ・ ラワ語 ・カム語 を 同 じレベ ル で考 察 した けれ ど も, それ は北 部 モ ン ・クメール 諸言語 の相互 関 係を 明 らか にす る手 が か りとな り うると思 った か らで あ って, 実 際 に は この3者 が完 全 に鼎 立 した関係 に あ るので はな く前 2者 の 問 の 関係が 最 も密 で あ る ことは まず 確 かで あ る。 この こと に と って , カ メ- トが ラワ と同 じ く "Lua" とよばれ て い る事 実 は極 めて示 唆 的で あ るか に見 え る。 しか しなが らこの 日Lua" とい う呼 び方 につ いて事 情 は も う少 し複 雑 な よ うで あ る。 今 回私 が調査 す る機 会 を も った もの だ けで も3種 類 の言語 が "Lua" とよばれ て い る。す な わ ち, (1)ボ ール ワン, ウンパ イ, メーサ リエ ン (MaeSariang)な どで 話 され る ラワ語 , (2) カ メ- 卜語 ウ ィエ ン ・パ パ オ方言 , (3)タ コ- (Tha Ko), ホ エ イサ ー ン (HuaiSan)な ど
(9) で 話 され , 話 し手 の 自称 に したが って われ われ が ビス譜 と名 づ けた言語 , の3つ で あ る。 この うち, ビス語 はモ ン ・クメール 系 の ラワ語 とは全 く異 って お り, ビル マ ・ロ ロ系 (Burmese -Lolo)に属 す る もので あ って ことに ビル マ語 に著 し く近 い形 式 を も って い るので あ る。 も っと (10) も ビル マ語 に対 応形 が 見 出せ な い形 式 も持 って い る。 と ころで ラオ スに は HKha" とよ ばれ る多 くの言 語 が あ る。一 般 には これ らはす べ て モ ン ・ クメール系 で あ る と信 じ られ て お りまた事 実 そ の多 くが そ の通 りな ので あ るが , そ の一 部 が チ (ll) ベッ ト ・ビル マ系 に属 す る もので あ る ことは実 は早 くか ら指 摘 され て い る。 しか もそ の あ る も の は ビス語 とま った く近 い関係 に あ るよ うで あ る。 た とえ ば, ボ ンサ リ (PhongSali)の プ ノ イ語 (Phu-Noi,KhaPhu-Noi), 同 じ くウ-河 (Nam U)上 流 の "KhaPaille", 遠 くラ イ
(12) チ ャウ (La主Chau)の HKhaKhong日 と ビス語 との 問 には次 の よ うな共 通 語 柔 が あ る。
(9) たとえばBunchuaiSisawat:`●Chao-Khao nat Thai",Bangkok1963・や,id."Samsip Chat -iChiangrai",Bangkok1950.などでもこれらをすべて "Lua"として述べている。 なお,私は 調査中にこのほか,LuaKhun,LuaYong,LuaLu,LuaDam といった名札をきいたことがあ るがこれが本当は何を指すのか確認していない。
(
1
0
)
ビス語については別に西田助教授がその詳細を発表される予定であるからそれを参照されたい。(ll)cf.P.Lefevre-Pontalis前掲論文 Ⅱ.(1,896)および Ⅰ.JA8esir.19,1892-pp.237-269・ (12) TK.,HS, Wr.Bur. はそれぞれ ビス語 タコ∼方言,ホエイサーン方言, ビルマ文語を表わす。プ
ノイ語は H.Roux "Quelquesminorit色sethniquesdu Nord-Indochine.HFrance-Asienos・ 92-93.pp.131-419.による。 また "KhaPaille" "KhaKhongHは Lefevre-Pontalis前掲論 文による。なお,"Phu-NoiHはまた "KhaPhai"ともよばれるが, タイのナーン県 (Nan)のカ パ イ語はモン ・クメール系である。 げ .Kraisi前掲論文。
TK. (i) ≪ 宏 ≫ jtlrn ≪ 火 ≫ bi ≪ 月 ≫ ?tlhla (ii)≪ 負 ≫
1
5
qti≪
水 牛 ≫ j5 ≪ 水 ≫ 1両 カメー ト語音素体系 の記述 と比較宮語学力考察HS. Phu Noi KhaPaille KhaKhongWr.BUT. jtlm youm (pan) 'im bith三i bi bi bi mi2 7tlhla tlla oulla pela hla3
1
5
Ⅰ再 n6te yongte longte (ga2) p5℃hlla yO yO panna (kywai2) 1両 1畠ng tang lang (rei) また カメ- トが ラオスで "Khamet日,HKhaLametHとよばれてい ることはすでに見 た とお り で あ る。 もちろん "Lua"と "Kha"が全 く同 じとい うわ けで はな い し, だいいちこれ らの語 その も のの由来は何の関係 もないで あろ う。 けれ ども "LuaHが HKhaH と同 じよ うに, さ らにいえ ば著 し く並行的 に,色色 な民族やその言語 を指 す ものな らば, カメー トが "Lua"とよばれて い る事実 も単純 に理解す ることに梼拷せ ざるをえないのであ る。 これ にはや は り,言語学 的に 指摘で きる事実 とは別に何 らかの歴史 的な説 明がな され なければな らない と思 う。1・
3
北 部 タイの カメー ト語 につし、て 北部 ラオスで は現在で も多 くの人 人によ って カメ- ト語 が 話 されてお り,近年 にな って もそ の話 し手た ちが カム族 とともに国境を越えて主 としてチ エンライ県 (Chiangrai)に移 って く るとい う。 しか し,その多 くは個人的な出稼 ぎで あ って村 ご と移住 して くることはない といわ (1r) れてい る。 しか し, それ とは別 に, ウ ィエン ・パパ オの カメー トのよ うに以 前か ら定着 してい るものが ほかにあ るか どうか とい うことにな ると十 分にはわか っていない。パ ンチ ョー ク村で きいた カ メー ト族の 「歴史」によ ると,彼 らは 「かつて チエン トン (Chiangtung,Kengtung)にあ っ て,そ こか らず っと南下 し,. まず チ ョム トン (Chomthong)の一帯 に村をつ くった。 その後 再 び北 上 して ド- イ ・サ ケ ッ ト(DoiSaket)近辺 に村をつ くり, さらに メ-カチ ャン (Mae Khachan)を通 って ウ ィエン ・パパ オ盆地 にた ど りついたのだ」 とい う。 この話のどの部分が 事実を伝 えてい るのかいないのか, またかつて チェンマ イ (Chiangmai)一帯 の平地を も支配 した といわれ る 「ラワ」族 との関係が どうであ るのか まだ私にはわか らないけれ ども,かつて カメ- ト語 が チ ョム トンや ド∼ イ ・サケ ットの一帯 で話 されて いた ことは十分 に考え られ るこ とであ る。 パ ンチ ョー ク村 の カメー ト語 も早晩忘れ られてい くで あろ うO 現在で もすで に年少者 は北 タ (13)(
f
・Bunchuai前掲差 し1963)pp.221-L228. - 25-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第3号 (14) イ語 (チエン ライ方言)の方をむ しろ第1言語 と してい るよ うであ る。実際,彼 らが チ ェンマ イや チエンラ イに出稼 ぎにで た場合 は もちろん, ウ ィエン ・パパ オの町を は じめ近 隣の村 で も カメー ト語を話す ことはないか ら,む しろ北 タ イ語を話す機会の方が多いので ある。 けれ ども, まった く構造 の異 った2つの言語 の一方が他方 に置 きかえ られ るとい う場合,言 語 自体の漸次的変化 によ って強力 な方 の言語 と同 じにな るとい うので はな くて話 し手 たちがつ いには どち らの言語だけを話す よ うにな るか とい うことで あるか ら,一方が他方 の影響を どの 程度 まで受 けねばな らないか とい うことは関係が ない と考え るのが常識であろ う。 この カメー し15) ト語 も確 かに北 タ イ語の影響を受 けてはい るがそれは想像 され るほど多 き くはないので あ る。 本 稿で は, この カメー ト語 ウ ィエン ・パパ オ方 言につ いて まずその音素体系を記述 し, さら にカム語 ・ラワ語 とい う北部 モン ・クメール系の言語 との問に どんな関係が見出せ るのかを比 較言語学 的に考察 したい. なお, カメ- ト語の メ イン ・ インフ ォーマン トは当地 出身の Tha Kaeopha氏 (56才)であ って,質 問は タイ語 と必要 に応 じて北 タイ語を用 いて行 な った。 2. カメー ト話 の音素体 系
2・
1
音素体系 の記述方法 あ る言語 の音素体系を記述 しよ うとす るとき,その方法 の一般 的なモデル として次のよ うな 様式が考え られ る。 まず,すべての音素 につ いてその音声学 的性格を記述 しそれ らの間の相互 関係を明 らか にす る (狭 義の音素論)。 次 いで,それ らの音素が どのよ うに結合 して どのよ うな音素結合形式を 構成 す るかを記述 す る (音素結合論 )わけで あ るが, それ らすべてを列挙 す ることは不可能 で もあ り無意 味で もあ るか ら, まず音素を い くっかの クラスに分類 して,その うえで どの クラス の音素 とどの クラスの音素 とが どのよ うな クラスの音素結合形式を構成 しうるか とい う形 で記 述 す る。 さらに結合形式 の クラスにつ いて同様 の手順を繰返す。 ここで, このよ うに クラス単 位で記述 した場合,実 際 にはその言語 にはあ りえ ないよ うな音素連続 を も含めて しまうことが あ るか ら,その よ うな時 には結合 の制約 としてそれを書 き加えてお く。 以上が音素体系の記述 の一般 的モデルであ って, と くに音素 の結合株式を文法体系のシンタ クス と並行 的に形式 的に整 った形 で書 け るとい う点で優れてい る。 しか し現実 にあ る言語 の音 素体系を記述 す るに際 しては,む しろ これを適宜 にバ ラした形で記述 す る方がその音素体系の (14) 生活自休ふつうのコンムアンと何ら変らない.昔は額帯で物を運んだ り水牛の供犠祭をやったという し,入母屋式の屋根に彫刻をした鎮木があるのは古い名残 りかもしれないが,このような例は素人目 にはほとんど気づかなかった。 a5)たとえばいわゆる基歴語柔100項目のうちタイ系借用語は7項目しかない0 - 26カ メ ー ト語音 素体 系 の記 述 と比 較 言 語 学 的 考 察 ヨi133E 特 徴を よ り理 解 しやす く表 現で きるよ うで あ る。次節 以下 で もカメー ト語 の音素体系を この よ うにバ ラした形で記 述 す るが,元 に もど して上述 のモデル に従 った形で書 けばおおよそ次の通 りで あ ることを あ らか じめ記 してお きたい。 (1) 音素 目録表 (2) 音素 の クラス '.子 音音素C,
f
l
・
音
音素 V, トネームT。おのおのい くつか のサ ブ クラス を もつ 。 (3) 音素結合 :た とえ ばCの2つ のサ ブ クラスが 初頭 子音結合 を構成 し, それ はCと共 に ク ラスC(C)す なわ ち音節 初頭 成分 に属 す る。同様 に音節 の再接構成成 分 として Ⅴ(Ⅴ)(C)が新 たな クラス として定 義 され る。結合 の制 約 によ って タ イプが分 かたれ る。 (4) 音節 :C(C)とV(Ⅴ)(C)が音節 の核を構成 し,それ と トネー ムとが音節 を構成 す るo すで に分 け られ た構成 タイプ に一致 して自立音
節 ,附属音節
な どサ ブ クラスに分 け られ る。 (5) 音節結合 :附属音節 と自立音節が結合 して,日
立音節 と共 に,新 た に定 義 された クラス に属 す る。等 等 。 212 音節 の構 成 タ イプ カメー ト語 の音節 の構成を考え るため には,他 の多 くのモ ン ・クメール諸語 の場 合 と 同 じ く,音節 のサ ブ クラスと して分 け られ る自立音節 (大型音節 majorsyllable) と附属音節 (小(17)
型 音節 minorsyllable)のおのおのにつ いて考え ることが適 当で あ る。 自立音節 は terminal juncture の置前 に立 ち うる音節 で あ って 強勢 を とることがで き その実際の メンバ ー も多い。 附属音節 は juncture の直前 には克 たず また強勢 を とることもな い。 その構成 において も両者 は異 って いてそれぞれ次の通 りで あ る。
「
仁立音
節 -・C(C)Ⅴ(Ⅴ)(C)/T 附属音節 -・CV(C)/T ここで,Cは召
II'・音素,Vは母 音音
素,Tは トネー ムをそれぞれ表 わ してい る。 ( ) は存欠 いずれで もよい ことを示 してい るが, 自立音節 の(Ⅴ)(C)で は共 に欠如 とい うことは今 の とこ ろ許 され ない と して お く。 とい うの は, 強勢 のない位置で はC(C)Ⅴ/Tの構成 を もつ日光音 節 が見 られ ることが あ るか らだが, これ につ いて は後 で述 べ る。 ヨ印BE 次 に 日立音節 の各構成成分 の位 置に立つ音素 の音声学 的性格を記述 す る。 (16) たとえば,Smalley氏によるカム語の記述は上述のモデルに従ったものと思われるが,形式的に整 っ ている割には全体がいたずらに繁雑なものとなっているo cf
・W・A・Smalley・.Outlineof KhmuP SLrLLl-tu?・e.New Haven,1961.xix+45p.(17) rf・E・J・A・Henderson: "ThemainfeaturesofCambodian pronunciation."BSOAS 14, 1952.pp.149-74,3plates・
(18) 以下,
〔
〕内の音声記rJ・はおおむね IPAに従う〔精密記号は当該個所の説明に必要なときにのみ用 い,その他は簡略記号を用いた〔
-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第3号 2・3 トネ ー ム
自立音節 の
T
の位置 に立つ音素 すなわ ち トネー ムは, カメー ト語 においては(
1
)
高型//,(
2)
低型/ソの2
つが あ る。 この系統 の言語 にはあま り トネー ムの対 立が な く,それ に代 って トネ∼(1g)
ムに類似 した母音 の性質 の対 立 (quasi-tonalregister)が見 られ るので あ るが, カ メー ト語 に お いては音 声学 的 には両者 が同時 に現 われ る。 すなわ ち, トネー ム/ソを もった音節 の母音 は 普通 の場合 気息母音 (breathy vowel)で あ る。e.g.≪魚 ≫kaa? 〔ka:755〕 ≪バ ナナ≫kaak
〔ka:k31〕 しか しこの母音 の性質 は付 随 的な特 徴で あ って
,別
弁的特徴 は明 らか に トネ- ムの 対 立で あ る。 ;、2Ol トネー ムの実 際の トネー ム型 はそれぞれ次の通 りで あ るo(
1
)
高型 トネー ム/ / 基 本型 は 〔55〕〔品〕で あ る。e.g.≪思い 出す≫ culut〔tqtu55:〕 ≪犬 ≫S〇?〔S〇9品〕連続 型 は 〔44〕 〔完〕 で あ るo e.g.≪ ミル ク≫ ?om-ptlu? 〔?om。。-〕 ≪山犬≫ S〇(?)-Ri? 〔Sつ(?)箭-〕 (2) 低型 トネー ム/、/ 基 本型 は 〔31〕〔㌫〕で あ る。e.g.≪名前≫ctuuI〔tqu :。1〕 ≪さがす≫S57〔Sつ?㌫〕 連続 型 は 〔21-11〕〔㌫〕 であ る。 e.g・≪炭 ≫ gal-p圭el〔g
3
1
21-,g3111-〕 ≪送 る≫ ti(?)-t古盲1 〔ti(?)符-〕2・
4
初頭子音音素 自立音節 の初頭成 分 C-,CC-すなわち (初頭 )子音音素 18個 とその結合 の実 際の メンバ -は 次 の表 の通 りで あ る。 p t c k ? b d Y m n n tl l R W J f s(
21) このほか稀 に三 重結合 khw が あ る。(
1
)
無 声 閉鎖音/
p
,t,C,
k
,
?
/
1 R p p l l 一 f 佃 l 一 ch 一 th ・,J h p p 1 R W j h k k k k k 一 J 一 蛸 f m (19) cf・E.J・A.Henderson.oク.cit.(
2
0
)
基本型は環境 /-#/(井は pauseまたは terminaljuncture)に立つときの トネ-ム型,連続期 ま 他の音節に連続するときの トネーム型をいう。カメー ト語音素体 系の記述 と比較言 語学的考察
この 系列 の音素 に該 当す る単音 は無 声 ・無気 の閉鎖音 お よび破擦 音 〔p,t,tQ,k,?) で あ る。 e.g.≪短か い≫p〇t〔p〇t三言〕 ≪布 ≫ t叩 〔toI〕55〕 ≪見 る≫ C5〇m 〔tQ〇:m。l〕 ≪ くび≫k〇〇?
〔k〇:755〕 ≪ 3≫ ?〇〇j〔?〇:i55〕
音素結合
/
p
l,pj,kl,kw,
kj
/
にお け る場 合 も同様 で あ るoe.g・≪果 物≫ pie?〔ple76;〕≪殺 す≫pjam 〔pj'1m55〕≪洗 う≫k1glaモロニk1a:恥 〕 ≪∼ よ りも≫kWaa 〔kwa:55〕 ≪目をつ ぶ る≫ kjap 〔kjapG〕 ただ し, 先行 す る附属音節
の末尾 が鼻音で あ る場合 は有声音 が 自由交替 的に観 察 され る。e.g.≪天,空≫t5mpliig 〔-pli:g55--bli:q55〕/
冗/
との結 合 にお いて は無 気 または弱 い 出気 の閉鎖 音で あ る。 この際,/
k/
は母 音/
i
/
の 前 を除 いて は11蓋垂 閉鎖 音 〔q(`'〕 で あ るoe.g. ≪雨≫ pRii? 〔p(`'Ri:?31〕 ≪刀 ≫ tRaaj〔t(`)Tta:i31〕 ≪ くま≫ kRiis〔1くく`)Ri:S55〕 ≪先
/
i-
_
≫kRdu 〔q(`)Ru:31〕山気 の無声閉鎖 音 お よび破
擦音
〔p`,t`,tq`,k`〕 はそれ ぞれ音素結 合 /pll,th,ch,kll/ と認め るoc.g.≪心≫pheem 〔p'e:m55〕≪油で揚 げ る≫th5〇t〔t`〇:t,l〕≪ず ぽ ん≫chul 〔tQ`u155〕≪本≫khe?〔k`e?完〕 (2) 有 声 閉鎖音 /b,d/
これ は単 な る有 声 閉鎖 音 〔b,d〕 で あ って, 前声門 化音や 内破 音で はな い。 e.g.≪雲≫bot
〔botG〕≪ ベ ル≫deq 〔deI〕55〕
(3) 鼻 音
/
m,
n
,員,T]/該 当す る単
音
は 〔m,n,np,q〕 で あ る。音素結合/
mR/
は 〔maR〕 で あ るが, 私 の ノー トに は ≪馬≫ 1倒 しか見 出せ ない。e.g.≪つ め≫miim 〔mi:m55〕≪血≫naam 〔na:m55〕 ≪衣≫ 舶 a?〔rba'・?3J〕≪高価な≫q5〇S 〔q〇:S31〕≪馬≫mRaT]〔maRaT]3I〕(4) L R
音
凡
R/
/
1
/に該 当す る単 音は結 合 の第2要素 の場 合 も合 めて側面 音 〔l〕 で あ る。 e.g.≪葉≫laa? 〔1a:755〕≪ ヒル≫pliiI〕〔pli:r]55〕/
R
/に該当す る単音 は一 般 に口蓋垂 音で あ るが種 種 の異音が あ る。 単 純 初頭 子音 と して は, 口蓋垂 有声摩擦音 〔t
i
〕, 弾 き音 〔R〕, 閉鎖音 の入 りわた り ( on-glide)を伴 ったふ るえ音 の 〔qR〕 または 〔GR〕 が おのおの 自由異音 と して観 察 され る。 ただ し直前 の音
節 の末尾が/
I
)
/の ときは弾 き音 〔R〕 のみで あ る。 e.g.≪つ くる≫ R胃石? 〔15苫:755 - qRY:755- -〕≪ ひ ざ≫p叫 RdoI】〔p明言Ro:q31〕結合 /
p
R
,tR,
kR/
において は有声 の 〔ti〕, lR〕 (ふ るえ音 )の ほか無 声 の 〔x〕 〔写〕 が自
由異 音 と して観 察 され る,e.g.≪ リス≫pR〇〇k 〔p(`)R〇:k55-p(i)x〇:k55- ・・・〕 ≪ 水牛 ≫ tRaak (22、) 〔t(`)Ra:k55- t(i)xa:k55- ・-〕 ≪いため る≫kRua 〔q(`)Ru:a55-q(`)xu:a55- -・〕のがある,e・g・≪値が安い≫ (k)Re?(?)なお,付属音節の初頭成分としては /氏/と /kR/とは中和 している。
r
f.
i.
7.(2)9-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第3号
前 に閉 鎖 音 の な い 〔
x
〕 また は 〔xR〕は音 素 結合 /hR/で あ る と認 め るo≪
山 の精≫ hRooj 〔x(R)o・.i55〕≪愛 す る≫hRak 〔x(R)a嬬 〕(5) 半 母 音
/
W,
j
/
無 摩 擦 の半 母 音 〔W,j〕 で あ る。e.g・≪帽 子≫W53m 〔W〇:m31〕≪耳≫jook 〔jo:k55〕(
6
)
摩 擦 音 丑 S,
h/
無 声 の摩 擦 音 〔f,S,h〕 が該 当す る。 音 素 結合 にお け る /h/につ いて はす で に述 べ た。 な お,
/
f
/ ほ タ イ系借 用語 以外 に は見 られ な い。e.g.≪ゾ ウ≫k5saaq 〔一Sa:q55〕 ≪歩 く≫htul (23) 〔htH
l55〕≪わ た≫faaj〔fa:i55〕<NT.faaj 以上 の 初頭 子 音 音 素 お よ びそ の結合 と トネー ム との分 配 関係 に は,/
b
,
d
/が 高 型 トネ- ム と しか結 合 しな い こと以外 に は, と くに体 系 上 の制 約 は認 め られ な い。 しか し,/
?,h;ph,th, ch,kh;hR/と低 型 トネ - ム /ソ との結 合 は稀 で あ り, しか も タ イ系借 用 語 に限 られ て い る. e.g.≪母≫袖 ujcf.NT.?dj≪祖父 母 ≫ ≪鎌≫khiaw<NT・khiaw・2・5 母 音 音素
次 に, 自立音 節 の
-
V(
Ⅴ)
- の位 置 に立 つ 母 音音 素 で あ るが , これ は極 め て整 然 と した9
母 音 シス テ ムを も って い る。 また, 9つ す べ て の母 音 が 重 複 結 合 (geminatecluster)を 構 成 する ことが で き る。異 な った母 音 の結 合 は /ia,ua
,
ua
/
の3つ で あ る。1
ul u ii uul uue
苫 O ee ¥首 00e
a 〇 ee aa 〇〇 ia tua ua (1) 狭 母音/
i
,M,
u/
それ ぞれ , 前 舌張 唇 狭 母 音 〔i〕,後 舌張 唇 狭 母音 〔Ⅶ〕, 後 舌 円唇 狭 母 音 〔u〕な い し 〔U〕 が該 当す る。 た だ L /TLI/ は末 尾 子音/
C,且/ の前 で は条 件異 音 と して や や 円唇 の 〔甲〕 とな る.e.g.≪小 さい≫pik 〔pik訂〕≪会 う≫pt
ilp 〔pulP
㌫〕≪∼ した い≫su?〔sU?品〕 ≪射 る≫ pulL 〔ptplnp55〕≪売 る≫ttnc〔ttui)tq'57〕幽 NT・は北 タイ語。しば しば タイ系借用語について言及するのはそれがHendersonのいう"secondary system"に属すると考えられる場合があるからである。Hendersonは ビルマ語 ・タイ語 ・クメール 語などの音素体系において,その言語本来の形式および見かけ上それと全 く異ならない外来語とを支 配する"primarysystem"と外来語のみを支配する "secondarysystem"とを区別 して記述する。
・
ゾ
・E・J・A・Henderson:"Thephonologyofloan-WordsinsomeSouthEastAsianlanguages." Trans.Philol.Sac.1951,pp.132158. この議論は話 し手の実際の意識 ともよく合致して外来語を も含めた場合の音素体系の記述にとって非常に有効であると思 うOしかしカメー ト語 とタイ語のよう にもともとその "primarysystemHに大差がない場合には,全体には "secondarysystem"を考 える必要はないようである。カ メ - I.語音 素 体 系 の 記 述 と比 較 言 語 学 的 考 察
蚕 複結 合 /ii,tH
uT
,
uu/
はそれ ぞ れ の長 母音 〔i:〕 〔tu:〕〔u:〕 が該 当す る。 ≪ブ タ≫1iik 〔li:k3.〕≪ コ ウ モ リ≫btuu叩 〔bttT:T]55〕≪消 す≫suul〔su:155〕(2) 半 狭 母音
/
e
,ち,
0
/
/
7
1
/
は後 舌脹唇
半狭付帯 〔71] で あ って 中舌 r7二昔 〔∂〕 ほ観 察 され 机 、o /cl,0/は と もにや や 広 い 目の半 狭母 音で それ ぞれ前 舌 脹 唇 音 〔♀〕後 舌 円唇 音 〔TO〕 で あ る。 e.g・ ≪上 る≫ Rth 〔REh67〕 ≪お し≫S苫?〔Sが 訂〕 ≪め くら≫p61〔p坤 〕 茸 複母音
/
e
e
,71首,
0
0
/はそjIJぞ れ の長母音
〔C:〕 〔b,:〕 〔O:〕 が該 当す るo c・g・≪ヤマ ビ ル≫pleem 〔pITe:m55〕≪遊 ぶ≫m"・1〔mY:
吊
≪夕 方≫lく51か)nll-p♀:
1
3
1
〕
(
3
)
広母 音 /E,a,
〇
/
広 さは必 らず Lも対 称 的で は な い。/
e
/
に は前 古張 唇 半 広 甘 音 〔e〕 が ,/
a
/
に は脹 層広 母 音 の 〔a〕 な い し 〔n〕 が , また/
〇
/に は広 い 目の後 舌 円 唇 半 広母 音 〔♀〕 な い し広母 音 〔D〕 が そ れ ぞ れ該当す る単
音で あ る. e.g.≪つ ばを は く≫ pユk 〔p三1くET〕≪広 い≫ wah 〔wa最7 -wqh盲T〕≪美 しい≫15k〔1♀k㌫-1Dk㌫〕重複 母音結合 /ee,aa
,
〇
。
/
ほそれ ぞ れ長母 音〔
e
:
〕 〔a‥∼G:〕,〔♀:∼D:〕 で あ るoe・g・≪ ノミ≫ teep 〔te:p55〕 ≪さ る≫ w LILl'〔、Ⅴ'l:'55〕 ≪6≫ t〇〇l〔t壬:155-tD:1LILq〕
(4)
胃
音 結 合/
i
i
(,ul'
1
,u'-I/-
VV
♯の苦節 で はそれ ぞれ 〔i:a〕 〔ur'・(?] 〔tl:L]〕,-
VVC
′の 音節 で は 〔iこl〕 〔tuLll 〔し1tl〕 でし24」
あ る。e・g・≪幼 い≫pi(l 〔pi-・na55〕 ≪見せ る≫pia?〔pj{17完〕 ≪の こぎ り≫1Lita〔1uJ:;13■1 ≪軟
か い≫mt主raj〔muait5J〕 ≪品物 ≫kRtla 〔qRu:a3J〕≪ ラ ワ族≫1bar)〔lua?31〕
2・
6
末 尾 子 音 音素 l′_ド;/-.音 節 の-
C
の位L7T.'Iに二立つ 未 TTE子音音 素 は 1・音音 素 のサ ブ ク ラスで あ って, 次 の14個 に限 られ て い る。 (1) 閉鎖 音 お よび鼻 音 p t c lく つ この 系列 の音素/
p
,t,C,k,
?
/お よび /m,n,量,I]/に m n n q は この位 閏で は,破 裂 を伴
わな い無 声 閉鎖 音お よび破 l 擦 音 〔p「,t
「
,itQ1,1了,?「〕 お よび lj千㌢鼻 音 〔m,ll, WJ
i
n
.,,T]〕 が それ ぞれ該\r'Iす る。/
C,ii/に は明瞭 なわ た り sh
(glide) 〔i〕 が観 察 され る。e.g.≪ごほん≫ ?utlP 〔フu:p「55〕 ≪寝 る≫ フiit〔?i:t-155〕 ≪な く な る≫ 1aac〔la:i
t
q
「。1〕 ≪行 く≫ Wムk 〔wakJr〕 ≪似 合 う≫ m〇? 〔m〇?「三言〕 ≪か み な り≫k51n品m l-nu_lm。l〕≪鉛≫ctiluTn 〔t叩 :n。.〕≪黄 蜂≫taa量〔ta:iI転〕≪舟≫C5153q ト1〇:恥 〕 C4) このほかただl例だけであるが≪胞≫ 〔ki:ak〕がある。これを /kji'lk/とすべきか,母昔結合/iia/
宣,諾,y),I)べきかri:お検討rJ)余地があJI)∩,-i. カバ 吾 /tわak/∩
1-束 而 ア ジ ア 研 究 第3巻 第3号
(2) /
1
/メ イン ・インフ ォーマ ン トの発 音 で は この音素 に該 当す る単音 は常 に側面音 〔1〕で あ った (25)
が,別 の インフ ォー マ ン トは これを すべて 弾 き音 〔p〕 に発 音 した。e.g.≪ 2≫?aal〔?a:155
-?a:p55〕
≪7
≫pul〔pu155-PuP55〕 (3) 半 母音/
W
,
j
/
これ は音節副音 的 母音 の
〔
繋,)、〕で あ るO/
W
/は広 くな って 〔只
〕
が観 察 され ることもあ る が/
i
/
ほ 〔買〕 とはな らな いoe・g・≪う らやむ≫-kh〇〇j〔k`〇:,i、55〕≪水 田≫k5naaw 〔-na:nu31〕 (4) 摩 擦 音/
S,h/無 声摩擦 音 〔S〕〔h〕で あ る.e.g.≪マ ッチ≫kap-tRbs〔-tRos27〕≪顔≫Rampbh 〔-poll㌫〕
末尾 子
音
音素 と母
音 音素 またはそ の結 合 との分配 関係 には い くっか の体 系上 の制約 が あ る。 (1)単一 母音 音素 は必 らず末尾 子音 音素 を伴 う。す なわ ち-
Ⅴ葬 は存在 しな い. (26)(
2
)
母 音 結合VV
と/
h/
とは結合 しな い。 しか し,/?
/
はV,
ⅤⅤ
のいずれ と も結合 して対 立 が あ る。e.g.≪ふ くろ≫p51jaa?:≪娘≫k〇(〇)n-p51ja? ≪ 男≫R5m主?:≪夫≫RS
m主
e
?
(
3
) /
C,
義,
j
/
と /i(i),e(e),
e
(
e
)
,
i
a/
は原則 と して結合 しな い。例外 的 に/
e
c
/が あ るが /e
k/
と I'l山交 替 しやす い。e.g.≪終 る≫hec∼hEko な お, この制約 は結合 /uc,u員/を排 斥 す る も ので はな いが,実 際 には/Il°:UT
C
/
,/un:tt清/が それ ぞれ 中和 音 〔t)uitq〕 〔tjlljnp〕 とな って お り一 応 それを/
t
t
l
C
/
,
/tu員/ と したか ら結 合 /uc,u員/ はな い こ とにな る。(
/
t
u
/の項 を参照 ) (4)/
W/
と/
t
tT,u,h・,0,〇/ お よびそ の結合 とは結 合 しな い。 上しとの ほか に も私 の ノー トには 見 出せ な い音素 連続 が あ るが, それ らは実 際 には カメ- ト語 の音素結合 形 式 と して存在 す るか あ るい はいわゆ る偶然 的 あ きま (accidentalgap)で あ るか の いず れ かで あ って,体 系上 の制約 か ら来 るあ きまで はな い ものの よ うで あ る。 一 方 , 初頭 子音 (結 合 ) と母 音 (結合 ) また は末尾子音 との間 の分配 関係 は 自由で あ って と くに制約 はな い。 この事実 は, カ メー ト語 の音節 の核 の直接 構成成 分が他 の多 くの諸 言語 の場 合 と同 じ くC(
C)
- と-
Ⅴ(
Ⅴ)
(
C)
で あ ると考 え ることが妥 当で あ る ことを示 して い る。 2・7 弱ま り型 自立音節 弱 ま り型 自立音節 につ いて述 べ る前 に, 肺序 が い ささか 逆 の き らいが あ るが2つ の音 節 の結 合 につ いて考え て お きた い。 この間題 を 考え るため に は強勢 (stress)や連 接 (juncture)の 記 述 が先行 すべ きで あ るが, これ らの音素 につ いて は まだ検 討 の余地 が あ るので余 り深 く立 ち cz5) この -1はもともと *-1と *-1の2つに由来するが, 〔1〕〔pつは互に自由異音であってこの対立が 保たれているわけではない。e.g.≪2≫?aal<*-r.≪銀≫k5m血ul<*-1. (26)(1)(2)から 〔-Vh〕 を/-V/に,あるいは逆に 〔-Ⅴ :〕 を/-VVh/とすることもできる。 〔-♯〕'・〔-h〕 は対立しないからである。カ メ ー †語 芹 素 体 系 の記 述 と比 較 言 語学的考 察 入 らな い こ とにす る。 2つ の音節 Slと S2とが結 合 す る場 合, (1)Sl,S2と も強勢 を もつ, (2)Slが半 強勢 を,S2 が強勢 を もつ ,(3)SJは強勢 ・半 強勢 を もたず S2ほ強勢 を もつ , とい う
3
つ の場合 が あ る。 その うえ に, そ の 3つ のそれ ぞれ につ いて 内部連接 (illternalopen jtlnCturC)が あ る場 合 と な い場 合 とが あ るo しか し大 ざ っば にいえ ば(3)の場合 には内部連 接 は通 常 存在 しない。 そ こ で,強
勢 と連 接 とを 合わせ て,(1)杏 /SIS2/, (2)杏 /SrS2/, (3)杏 /S.S2/ の よ うに簡 略 化 して表記 す る。 も っと も (1)(2)(3)の間 は実 際 に は連続 的で あ って, (1)と (2), (2)と (3)は しば しば連続 的 に 自由交替 す るoe.g.≪つ ん ばで あ る≫/jook luut/∼/jook-1uut/≪書 物≫/
na
q-sttlttt/∼/n'11〕SlⅢTl/し1
さて, 附属
音節
が(3)の S.に しか立 たな い とい うことはす で に明 らかで あ ろ う。 しか しrl
-
立
_
音 節 は (1)(2)の SIS2, (3)S2の ほか (3)SLの位 闘 こ立つ もの もあ る (上側 /n叩 /)O この場 合,用音は 甲- 何者に限 られ て い る (す な わ ち C(C)VC/T)が , やや ゆ っ くりした ス タ イルで は -_TTi:被
け
音 に交替 す る ものが あ る。e.ど.≪いっ≫f拍nl?een∼舶 am-?een.そ こで , この位置
Iの 日 立音 節 を と くに 「弱 ま り型 臼V.音
節
」 と呼 ぶ ことにす る。 弱 ま り型 n立音 鞘 に は この ほか C(C)Ⅴ/T の構 成 を も った音 印 が同 す ると考 え るo この里 の fll-・l'-机ま(3)S111外 の位 置7-.に 立たな い とい う古で 附属音節と同 じ クラ スに属 す るが,C(C)VV (C)/T の型の日日(交 替 形を も-,こと と/714戊 分の位闘 こlI/'r)音素o
)種類が他 の 日立
封市と 同 じ で あ るとい うことか ら, この型 ur)音fゝ・1日)弱 ま りIJでrJ.自 立音
節に属 す ると 考え るjJ'が有利だか らで あ る .㍗.ど.≪ くわ≫ I(11011(ll((-1く11.1つ11)ol() ≪中 年≫ lく〇lltlnl(-1て〇(〇)n-ntlnl) ≪ じん臓≫ I)ごl最ew (∼ t)hl-k去ew) ≪ タバ コ≫lて亘tlii(∼mtlt1-rli) 2・8 附 属 音節 附属苦節 CV(C)/Tは構
成 が自
立音
節 の それ よ りも里 純 で あ り, 各 成 分 とな る音
素 の種 類 も限 定 され て い る。(
1
)
トネー ム 大 部 分の附 属音節は低 利 トネー ム /、/ 〔TT〕 しか と らtj:い。す な わ ち, こ こで は /、/の機能 負 (27) 荷量 は極 めて小 さい。 しか し稀 に高利 トネー ム//〔
㌫〕
を と る ものが あ るので, 附属符節に ト ネー ムの対立が な い とす るこ とはで きな いo e.g.≪ひ も≫ p5lsi? 〔paln-
〕
≪何≫ S5nn15h〔san
T
ト〕
≪ど う して≫san?°en 〔san完-] (2) 初頭子音音素(gn F
位
音節における トネ-ムの対Il'/lEま基 本的にもともと初頭 子音の有声 ・無声の対立に由来するが,附 属音節ではその対Jr_が十分には保 存されていない〔C.g.≪たけのこ≫t5ptlag<*da-≪官 ≫ C59?aap<*ca(9十
-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第3号
自立 音節 の初頭 子 音 の うち次 の7個 しか附 属音 節 の 初頭 成 分 にな らな い。 す な わ ち
,/
p
,t,C
,k;1,
R,
S
/
。 該 当す る単 音 は 自立音 節 の場 合 と一 般 に同 じで あ るが,佃/
は 自由異音 と して (28)〔q`(R)〕も観察 され る。e.g.≪とか げ≫p51taaq 〔p31て1弓 ≪相談 す る≫ t51?uu 〔t51TT-〕 ≪緑 色≫C5qaal 〔tqaTT-〕 ≪金≫k5lc53?〔kalTト〕≪鐘≫15paaq 〔1aTT-〕 ≪のみ (撃)≫RSmtbon
〔RamTト∼qRamTト∼ -〕≪口≫
S
昌がi?〔saTT-〕 (3) 母 音音 素附属 音節 に は母音 の対 立 が な い。 しか し, ≪洞穴≫tham 〔t`am55〕 :≪右 側≫t5ham 〔taTT ham55〕の よ うな対 立 が あ るか ら音素 /a/を 認 め な い ことはで きな い./a/ほ形 式 的 に は 自立 音節 の母音 クラスに は属 さな い もので あ る。
/
a/
に該 当す る単 音 は中間母音 〔∂〕 また は非 常 に弱 ま った 〔〇〕 で あ るが,環 境 に よ って次 の異 音 が 自由交替 し うる。(
a
)
直後 の 自立音 節 の母 音 が/
a/
の とき 〔a〕,(
b
)
同 じ く/
0,
u/
の とき 〔U-o〕, (C)同 じ く/e/の とき後 よ りの 〔9_〕。 e.g.≪舌≫ p51taak 〔palTト∼palTト〕 ≪汀≫p51?ul〔palTr-∼ptJITf-〕 ≪気 分 が よい≫p51gee?〔palT1--pelTト〕(
4
)
末 尾子 音 音素/
1
;m,n,I)/の4個 に限 られ て い るo この うち鼻音
の系 列 の音素 は後 続 す る日立 音節 の 初頭 子 音 と調 音 位置 が 同 じで あ る こ とが 多 く, 鼻 音 同士 の対 胡 こよ る機 能 負 荷 量 は小 さい。 しか し 常 にそ うとは限 らな いので これを/
N/
の よ うに ひ とつ の 音 素 とす る ことは で きな い. e.g. ≪雨 が 降 る≫S51主e? 〔saTト〕 ≪豆≫S51paaj 〔salTト〕 ≪ 目覚 め る≫ 15mkik 〔13m-∩〕 ≪太薮≫S5ntug 〔sanT
T
-
〕
≪ひた い≫RS
gm5〇℃ 〔Ral3Tト〕 な お,末 尾 子音音 素 と初頭 のそれ との 分配 関係 に は制約 が あ って,両 者 が 同 じ調 音 位 置 の も ので あ って ほな らな い.す な わ ち,pam-,tan-,kal3-,1∂ト は存在 しな い。 (5)/
N/
(29) これ は単 独 で 附属 音節 の核C
V
C
を 構成 す る音 素 で あ る。該 当す る単音
は直後 の 自立音 節 の ヽ初頭 子 音 と調 音 位置 が 同 じの音 節 鼻音 (syllabicnasal)で あ る。e.g.≪咲 く≫Nkbh〔折 -〕 ≪こ とば≫Nlも〇?
[.
1
T
ト〕
≪∼ な い≫N-:≪
持 って いな い≫ /Nkooj/〔り77-
〕
≪そ うで はな い≫ /Nm5h/〔rTl宗一〕 2・9 音節 の結 合 こ こで も う一 度音 節 の結 合 につ いて簡 単 に述 べ て お く。 次 の3つ の音節 結 合 形 式 が 自立音 節 と同 じク ラスに属 し, 強勢 や juncttlreを と り うる。す (姻 したがって付属音節では実際には /氏/∼/kR/である。 eg) C,V いずれのクラスにも属さず,これ l'-l休で CVC と同じクラスに属する。カメ ー ト語音 素体 系 の記述 と比 較言 語学 的考察 なわ ち, (1)弱 ま り型 自立音 節 + 自立音 節,(2)附属音節+ 自立音節 ,(3)附属
音節
+附属音 節 + 自立音 節oe.g.≪ これ ≫tu?uh ≪鼻 ≫S
5
_]ktll≪昼 間≫k51S5q
ii?. ただ し, 附属音 節 と 自立音 節 の分配 関係 には次 の制約 が あ る。す なわ ち両者 の初頭子音が 同 じ調 音位 置 の閉鎖音 ・鼻音 で あ って はな らな い。 つ ま り,p5(C)p-,t5(C)t- な どは存在 しな Ilju・ い. また同様 に S5(C)S-,15(C)ト,RS(C)R- も存在 しな い。 最 後 に,単 語 は合成 語 の場 合を のぞ いて trljr/-.音節 1つ か また は上記 3つ Ujいずれかを その形 と して も って い る。 これ よ り人 きい結 合 形 式を もつ単 語 は合成 語 で あ る。 また複 合 語 は上記 3 つ の いずれか の形 式を と って い る。 しか し,そ の道 は成 正 しな い。のみな らず, (1)(2)(3)の音 節 結 合形 式 が常 に単 語 の形 で あ るとは限 らな い。 これ らの.渚 .,封 ま形 態音素 論 に属 す る もojで あ る か らこれ以上 は立入 らな い ことにす る。 3. 比較 言語 学 白勺考察3・
1
比較 の 方法 ふつ うモ ン ・クメ-ル諸B
l
l1_lI-・とよばれ る一 群 o)言語が果 して本 当に ひ とつ Uj言H
7
L
I
-
・;・系統 に属
す る のか ど うか とい う問
題 につ いて これ まで の諸研究 は, い ささか極 論に過 ぎ るけれ ど も, いわ ば 印象 に もとづ いた もujで あ った。印象 とい う点 で は この カメ-ト語 が ラワ語や カム..Lli-・と共 に北 部モ ン ・クメ-ル系 に属 す ることはすで に明 らかで あ る。 しか レ それを 1-分に信柏 のお け る形 で 明 らか に しよ うと思 え ば比 較 言語学 的方 法 にた よ る しか ないOそれ は, これ らU)諸言語 の ひ とつ ひ とつ の単 語 を克 明 に比 較検 討す ることに よ って 首素 の規則
的 な対 応規則を発見 し, かつ I:11、 その対 応 か らそれ らの 言語 o)過 去を再 構 してい くとい う手 順 をふ む もので あ る。 近 年 , と くに東 南 ア ジアの諸言語 の よ うにい くっ もの系統 の 言語 が相互 に複 雑 に接触 して い る場 合 には, まず言語構造 の型 を比較 す ることか ら始 め るのが有利 だ とい う議論 が行 なわれ て しJコ1 い る。確 か に人 間 の 言語行 動 の様 式を よ りよ く理 解 す るため に発 生 的な系統 とは無 闇係 に言語 構造 を類型学 的 に考察 す ることは必要 で あ って,実 際 にそれ は言語 学の初期
か ら試 み られ て き た。 また, いわゆ る言語地 域 (linguisticarea)の考え方 が, と くに東 南 ア ジアの諸言 語 の場
合,単に系統論 だ けで は処理 しえ ない よ うな問題 につ いて確 か に有効 で あ ることは現在 で もい くつ かの事 例 につ いてい い うるで あ ろ う。 けれ ど も,そ れ は逆 にいえ ば,地 域 的現象 と して言
(30) ただし,文法体系に支配されて≪吸おう≫/S5suup/(- is5-+suupi)といった結合は生じうる。
(31)過去を再構し系譜づける仕事という点では言語は他の文化諸部門とくらべて著しく有利であるO音素 体系や形態音韻 論的諸規則は話し手たちの評価や意志とほとんどかかわ りがないので,機械的なテク ニックで作業を進めることができるからである。しかし言語においても意味や表現の分野はそうはい かない。
(
:
3
カ Li,lguitwicCompa7・lLWninSozEthEastAsictandthePacific.SOAS,L。1ュdon,1963.所 収 の諸論文0-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第3号 語 構造 の型 に並行 性 が見 られ た と して もそれが 言語 の系統 的 な親属 関係 と直接 に結 びつ くもの で はな い とい う ことで あ って,言語 の系譜を論 ず る限 りで は構 造 の型 の並 行性 を指摘 す るだ け で は正 しい結 論 は期 待 で きない ので あ る。 た とえ ば, カ メー ト語 の音 素 体 系を ラワ語 とカム語 の それ と比較 してみ ると, そ の型 におい て は カメー ト譜 は カム語 に著 し く類 似 して い る一方 ラワ譜 とは相 当に開 きが あ る。 そ の例 を あ げれ ば, (1)ラワ語 には前 声門 化音 素 (?m,?l],?dな ど)や 前鼻音 化有声 閉鎖音 (mb,I]gな ど)が あ るが , カメ- ト譜や カム語 に はそれ が ない ;(2)カメ- ト語 とカム語 に は 母音 の長短 の対 立が あ るが ラワ譜 にはない ;(3)逆 に ラワ譜 に は
-
VS
C(
S
は半 母音 ) とい う結合 形 式 が (331
) あ るが カメー ト語 ・カム譜 にその よ うな形 式 はない ;(5)末尾子音 と して カム譜 に は/
r,1/, カ メー ト譜 には /1
/が あ るが ラワ語 にはいずれ もない ;(
6
)
カメ- ト語 ・カム譜 の 附属音 節 に は C(Ⅴ)C型 が あ るが ラワ語 はCV
型 のみで あ る ;等 等 .それ に もか かわ らず, い わゆ る基礎 語 柔100項 目の車で, カメ- ト語 が ラワ語 と共 通 で あ る ものが46項目あ るの に対 しカム語 との 間 に は29項 目 しかな い。 (カム譜 とラワ語 の共 通 語柔 は20項 目)O少 な くともカメー ト語 が ラワ譜 よ りもカム語 の方 に著 し く近 い親 属 関係を も って い る とはいえ ない わ けで あ る. それで は次 に, カメー ト語 ・ラワ語 ・カム語 の3
つ の言語 の問 に具 体 的 にい って どの よ うな 対 応 関 係が発見 で き るか, どの よ うな共 通 音 素 が 推定 で き るか また はで きないかを検 討 して み よ う。 ただ し,本来 これ に先 行 すべ き ところの, ラワ語 ・カム譜 自体 の方 言 問で の同様 の作業 が まだ十 分 にな され ていないので ,本 稿で は 自立 音節 の初 頭 成 分のみを主 に と りあげて議 論 し し341 たい 。 3・2 閉鎖 音 の系 列 自立音 節 の初頭 子音音 素 と して の閉鎖音 の系列 につ い て は, カ メー ト語 ・カ ム語 ・ラワ語 o)皿
の対 応 が比較 的 は っき りと して いて, 共 通 音素 と して*
p*
b*
t*
d*
C
(
?
)
当
*
k*
g
*?の 9つ が推定 で き る.一 般 に カ メ- ト語 の トネー ムが高型 で あ る音 節 につ いて は無 声音 が,低 型 の場 合 には有声音 が,それぞれ 初頭子音 の共 通 の米 独 と して推 定 で き る。 幽 /-aus,-aim,-au
l
h
/などのことoこの/
i
,叫,
u
/は主核母 音とは別のクラスであるから /j,7.
,
W
/と表 記した方がよいかも知れない。 (34)以下, Kmt.はカメー ト語,MS.はカム語ムアンサイ(MuangSai)方 言, Th.は 「テン」語 (Theng),BL.はラワ語ボールワン方言, UP・はラワ語ウンパイ方言を表わす。このうち, 「テ ン」語は Maspとroの資料によるものであって, 実際にはカム語ゲアン (Nghe-an)方言とい っ てよいocf.H.Maspero."Materieux pourl'etudedelalangueT`eng.''BEFEO47,1955. pp.457-507.これは著者の遺稿をまとめたものであり,表記法に統一がなくまた誤植 と思われるもの が多いから適当に判断して表記しなおしてから引用したOなおその他の言語 ・方言は私のノー トによカ メ- T・語音素体系の記述 と比較 言 語学 的考 察 (1) *p -カ メー ト語 の 高型 トネー ムの 音節 にお け る p- は, カム語 MS.p-Th.p-(<*p-), ラワ譜 BL・p-UPIp-(<*p-) に対 応 す る.稀 に BL.p-UP.mb一 に対 応 す る もの が あ るが , これ に つ いて は次 の よ うに考 え る。 ラワ語 に お け る前 鼻音 化 有 声 閉鎖 音 の 系列 は も と も とそ の よ うな 性 質 の音 素 に 由来 す る もので はな くて, む しろ末尾子 音 が 鼻音 の 附属音 節 また は 音節 鼻 音 の附 属 音 節 (*ram-,*r∂n-;*N- な ど) プ ラス閉鎖 音 とい う結 合 か ら生 じた もので あ る と思 う。 そ して そ の閉 鎖 昔 に は有声 ・無声いず れ の場 合 もあ り うるので あ る。 す な わ ち, こC)jUP.Illb -が *Np-,*Nb- a)いず れ に 山来 す るか これ 自体 か らは明 らかで はな いが , カ メ- ト..,'T,L-.カム 語 との対 応 か ら
逆
に *Nl)-と断定 す るU
jで あ るO したが って こU
)対 応 系 列 全体 に共
通 汀素 *1) -を推 定 す る。 Kmt. MS. Th.B
L. UP. ≪射
つ ≫ pLufi pifi ≪ぬ ぐ≫ puuc ≪鳴 きシ カ≫ poos puag ≪折 る≫ Nptnk (pak) ≪は し ご≫ t5mp〇〇り pln,PII〕 P3LuI] pO清 Puuc patuk p〇icpaull pauS (pak) p3up mbちk p〇7] mboI〕 etC. ただ し次 の例 は ラワ語 が *b- の対 応 様式 を と って いて例外 的 で あ る。 ≪洗 濯 す る≫ pu11 1)LL11 1)し111 1)011 1)11011 (2) *b-13rl、 カ メー ト譜 の 低型 トネ ー ムU)音節にお け る 1)\-は, カム語 MS.p、-rl'll.b-(<*b-), ラワ語 BL.ド-UP.plト(<*b-) に対 応 す る。 この対 応 系 列 に は *b- を共 通 音素 と して推 定 す るO Kmt. MS. TIT. BL. UP. ≪
晩
≫ 1く51pbol puar ≪で き る≫ pcell PLuall ljtuLLll ≪た けの こ≫ t5pEIT] Lbailt] ≪乗 る≫ phk pak bak ≪明 る い ≫ pah L)all Il一i)pu llltUa-phtl ヽ11上 「⊥ 叩 州 p 。k p phLu ll pllOI〕 Phok 1)h mall CtC・ (3) *ト (1)*p- に並 行 して,Kmt.t一一.MS.t-Th.ト(<*t-):BL.t-UP・t-,nd-(<*(-)t-) の対 応 系 列 に は共 通 音素 *t- を推 定 す る。 この場 合 Up.nd-<*Nt- で あ る。 (3lJ) MS.//
は第 2レジスターを長け㌻C第 2レジスターの音節ではIli=昔が人も息I:):昔である。 - こ'.7-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第3号 KlllL MS. Th. ≪ 手 ≫ tii? tiフ tii ≪土 地 ≫ k5te? pte? pteeh ≪ き の こ≫ tiis t
i
i
g
≪か に ≫ kもtaam ktaam 乱 射 が ta P 7 7 U te te tas tanl tarn≪ 舌 ≫ paltaak nt首盲k hntaak tak ndak etc.
(
4
)
* d-(2)*b- に並 行 r郁 こ,Kmt.tl :MS.tLTh.d-(<*d-) :BL.卜,(-)Il°-UP.th-,(-)li d-(<*(-)d-)の対 応 系 列 に は共 通 音素 *d- を推 定 す る。 ラ ワ語 (-)Ild- は こ の場 合 *Nd-, *Calld一 に 由来 す る。 KIllt. MS. Th. BL. UP. ≪熟 し た ≫ 由ttlnl hllduu lll t u lll thulll (36) ≪貧 し い ≫ 江Ik Ltlk tu k thuk ≪取 る≫ ti? te? CLee? ≪低 い ≫ t主elll lldial11 thialn ≪近 い ≫由t
さ
?
S∂ndai? sandi? 次 の例 は ラ ワ譜が *卜 の対 応 様 式 を と って い て例 外 的 で あ る。 ≪走 る≫ tg
l
tar dar いつ t〇(
5
)
*C-(?) カ メー ト譜 の高 型 トネー ムの C一につ い て は対 応 が は っき り しな い 。例 (i) で は カ ム譜 C
-(37) (<*C-), ラワ譜 S-(<*S-)に対 応 す る よ うに見 え るが , 逆 に例 (ii) で は カ ム譜 の C一 に対 して カ メー ト譜 ・ラ ワ譜 S- が 対 応 して い る。 これ か ら考 え られ る よ うに,共 通 音 素 が *S-と して推 定 され た もの の一 部 に さ らに *C一 に さか の ぼ る もの が あ る可能 性 は あ るが *C->*S-の 条 件 を 明 らか にす る こ とはで きな い 。 (3・6. *S-参蝿 ) (i) Knlt. MS. Tll. BL. UP. ≪ 苦 い ≫ cal〕 CaI〕 CaI〕 Sl叫 Sこ)l] (36) タイ系借用語かocf.NT.tGk<*duk (37) 例 (i)のカメー ト語がカム語からの倍用語である可能性 もある。 そうすれば, Kmt.S-・.MS・ C-Th.C- :BL.S-の対応系列ひとつだけを考 えればよいことにな って, むしろこの方が蓋然性は高い と思 う。一般にカム語に極端に類似したカメー ト語形の一部はカム喜吾の借用語である可能性がある。 しかしその識別√よ現段階では困難 であるし,たいていの場合いま行な っているこれ ら3言語の共通態 を再構する作業には障害 とならないから本稿ではそれらをすべて本来の対応形 として扱 った。カ メ - ト語 音素体 系の記 述 と比 較 言語学 的考 察 冨闇 g ≪痛 い, ∼ した い ≫ su? cu? cu7,cuu sT)u? so? ≪ 象 ≫ k5saaI] SCaaq SkjaaI] Saq Sag
(
6
)
*j -Kmt,C
二:
MS.C二Th.YJ-,j(<*上 ) :BL.C-UP.cl卜(<*-5)
の対 応 系 よ りに は *b-,*d -と並 行 して *上 を共 通 音 素 に推 定 す る。 Kmt. MS. Tll. BL. ≪足
≫ ceeI〕 C止IaI〕 jtuaT] CuaI〕 ≪ 通 い ≫ k5C享n clan ≪縫 う≫ clI〕 Lu I〕 ≪降 り る≫ ctlul cuur ju(u)r UP. chuaI〕 chian,chulan chill (7) *lt -*p-,*t- と並 行 的 に,Kmt.k- :MS.k-rill.k-(<*k-):BL.k-,r]g-UP.k-(<*(-)k-) 0)対 応 系 列 に *k- を た て る こ とに 問題 は な い O こ こで BL.I]g-<*Nk-0 Klllt. MS. Th. BL. ≪ 也Jlヽヽ ≪ こ ど 煤 ≫ ≫ ≫ ≫ ≫ も い ご baa? ka? n ∽ iS m aa。 k lK k k k〇〇n kat clllku_lil kaap kaa ka? kDDn kuan koat (clll)kuln k3uI〕 kaap r]gap ヽ.ノ s 諾 ap k k k(
8
)
* g-*b-,*d-,*ト と同 じ く,Kmt.k-t-:MS.k-Th.g-(<*g-) :BL.k-UP.kh-(<*g)の対 応 系 列 に は *g- を 推 定 す る。 しか し実 際 に は, カ ム譜 はそ の方 言 問で *g-を 推 定 で き る形 式 が 多 い の に か か わ らず , カ メ- ト語 klに対 応 す る例 は きわめ て少 な い 。 Knlt. MS. Tll. BL. UP. ヨBEE ≪考 え る≫ kLh t trket trgot(?) ltLut Chit(<kh) ≪ね ず み ≫ 長kaaI] kLuaI】 khulaq ≪与 え る≫ k畠h kuJah khuah≪ と さ か ≫ t51kboj フ∂kui rakhui etc.
幽 カム語の意味は≪女≫。なお,≪女≫Kmt・R5punBL.?ap3ugUP.rapちnとは同じ単語族であろ
う。≪めす≫ UP.pちn∼kちn.
(39) ラ ワ語 ウ ンパ イ万 言では, 前古母 音の前では k-kh19g-9-とC-ch-nj一五一の対立がな くすべて後者 の形にな っているOなお,Th.trg〇tは trgetの誤植か。
-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第 3号
(
1
0
)
*?-カメ- ト語 ・カ ム語 ・ラワ語 のす べ てが 7-で あ る対 応 系 列 に *7-を た て る ことに問題 はな い 。 Kmt. ≪ 水 ≫ ?oom ≪にわ と り≫ ?e
e
l
≪ 骨 ≫ C5q?aaI】 ≪め し≫ ?uup ≪ 私 ≫ ?〇〇? r P MS f. 純 血 I Th. ?olTl h?iar (C)?aaI〕 ?ooB
LUP.
la?aum raフaum?e ?e sa?aI〕 S∂?aI〕 ?aup ?aup ?ai? ?au? etc. 3・3 鼻 音 の系 列 鼻 音 の系 列 につ いて も対 応 が割 合 に明 瞭で あ って,共 通 音素 と して *m,*n
,
*
且,*q を たて る こ とは容 易 で あ る. また この ほか に種 種 の条 件 の も とで *hm *hn *hI〕;*7m *?q を も推定 す る ことが で きる。 (1) *m-*n- *a- *q-カ メ- ト語 の低 型 トネ- ムの音 節 にお け る m- はおおむ ね MS.miTh.m-(<*m-):BL.,UP.
m-(<*m-)に対 応す るoni,1Vl上,ql につ いて も同様 で あ る。 これ らの対 応 系列 に は共 通 音 素 *m-*n- *邑- *q- を それ ぞれ推 定す る. *In- Klllt. ≪ 銀 ≫ k511山ul ≪あ な た ≫ nlii? ≪ 1 ≫ mbo ≪ 男 ≫ R5m主? * n-≪ 尿 ≫ ntllll ≪ 年 ≫ nltilm --I ≪ね ら う≫ pan∈e *且-≪笑 う≫ k誠 aas ≪ろ うそ く≫ 品601 * q-MS. Th. BL.UP.
klndul kllluul lllaLu mau
l11台e(?) 111ee lllai? 111i? nl()oj lllOOj
?∂rnai? ralni?
lluulll lluulll Ilaulll llau111 ヽ nut111 11uJnl >ヽ moor ≪緑 色 ≫ C5qaal
c
qaa r ≪ EI ≫ S5qii? slnqi? sI]ii etc. n3u111 lleulll ne ne etc. aulah 品ulaS etc. Saga Saqa saqai? S∂ai?(<-qi?)≪ 火 ≫ 殖 1 ≪遠 い ≫ S5qaaJ カ メ ー ト語音 素体 系 の記 述 と比較 言 語学 的考 察
r
]
O
l]〇 saqla Saqaie
t
c
.
(2) *hlll-*hn-*hI〕 -カ メー ト語 の高型 トネー ムの音 節 にお け る 11十 は,MS.1T卜 Th.hm-(<*hm-),B L.hm-UP.hm-(<*hm-)に対 応 す る もの が 多 い。n-,り一 につ いて も同様 で あ るO これ らの系 列 に は 共 通 形 式 と して *hm-*hn-*hIト を推 定 す るO た だ し *ha- を推 定 で き るよ うな対 応 は見 当 た らな い 。 *hm - Kmt
.
MS. Th.B
L. UP.≪FHj う≫ maall IllElall lllaaa(?) hmaif1 hmaia ≪つ め ≫ llliilll *hll一 ≪ 血 ≫ 11aalll (?)≪人 き い≫ llalll≪多 い≫nall1 1111a lll *hT] -≪あ くび す る≫ qaap hI]aap ≪ 米 ≫ q〇〇? q〇? hT〕〇〇 hlllaih hmailll llllalll llllalll llqap llI〕ap hqT) ? hq〇? (,10) (3) *?m- *?
q-カ メ- ト譜U) 1111,T]二 は(i)とは別に ラ ワ
語
BL.?11卜 UP.?Ilト(<*7m-),BL.?I-UP.? q-(<*-)q-) に対 応 す る こ とが あ るO一 応 こ0
)対 応 糸yLljに は *?11卜 *r)l]- を推 定 して お く。 カム 語 は *(-)
1
1
卜,*q- が対 応 す るO *7111- Kll
l
L
MS. Th.B
L. ≪あ り≫ R5111hLIC llluu。 hllluLIC 7111aulk ≪ 斧 ≫ nluJ ≪焼 畑 ≫ 111aal *I) q-≪か ゆ い≫ T]iaフ ≪ 目 ≫ l]baj t]LII) (k
rlniil) ?111au 7111こl C■l 'l 〇 〇 a up 7111 加 地 JI]a') 一旬a,) ?qea -)qai 上例≪あ り≫ の カム語形 は *h?111-<*S(r)711卜 (I.))が 仮定 され るで あ ろ うO (cf. クメール語 sr〇nlaOC) カメ- ト語 の環 境 /-m-/ にお け るb-
(高型 トネー ム) に対 して も ラワ語 *7m-が対 応 し て い る。 この系 列 に も同 じ *7m-を共 通音 素 と して推 定 して お く。す なわ ち, カ メー ト語 で は (40)カム語 MS.m三Iam Th.maam<*maamはI亜原であろうか0 - 4L-東 南 ア ジ ア 研 究 弟 3巻 第3号 *一m?m->-mb-, その他 で は *(-)?m>*(-)m- の過 程 を 考え るので あ るo Kmt. MS. Th. BL. UP. ≪唾 液 ≫ (?om-)be1 -≪ クシ ャ ミす る≫ t5mbes ≪せ き す る≫ R5mbook
≪新 し い ≫ t5mbah me? hmee
?me ?me ?m〇ih ?m〇S ?moak ?mauk この場 合 もカム語 ≪新 しい≫ほ *h?m-<*t(h)7m-が推 定 され る。(cf.クメ-ル語t(h)m苫j.) なお鼻音 の系列 で は次 の よ うな不 規則対 応 が あ る。 KITlt. MS. Th. BL. UP.
≪ 屋 ≫ R5mtna srmen slmeI】 Sa?b3ulq Sa?moia <*7m(?)
≪ Ll ≫ mbom ?ambt)m rambom <(?)
≪在 る≫ qbot (jat) (jat) ?atLIk ?aut <*?q(?) 3・4 半母 音の系 列 半 母 音 の系列 に は あ ま り対 応 例 が見 出せ ない ので詳 細 は明 らかで ないが ,上述 の鼻音 の場合 と並行 的 に考 えれ ば次 の よ うに対 応を ま とめ る ことが で き る。 (1) *j-
,
*W-Kmt.j二 ..MS.j二Th.j-(<*j-) :BL.j-UP.j-(<*j-)0)対 応 には *j- を , また,Kmt
.
W-ゝ:MS,wiTh.Ⅴ-,W-(<*W-) :BL.Ⅴ-UP.Ⅴ-(<*Ⅴ-)に は *W- を共 通音素 と して推 定 す る.た だ し, カメ- ト語 ≪ 目をつ ぶ る≫ kjapの高型 トネ- ムにつ い て は(4)参照 。 *上 Kmt
.
MS. Th.B
L.≪泣 く≫ jaam Jaam Jaam Jtuam ≪ 目をつ ぶ る≫ kjap (kn)jap jiap ≪死 ぬ ≫ Jam * W-≪広 い≫ wah lwah ≪ 左 ≫ (t5-)Wと? -Wと? vee ≪帽 子 ≫ W 5〇m JulTl m Up . Jua 面 .Jum 「⊥ 血 涙v v 一 へノ.e V ll ) ua b V ( vom vom etc. (2) *h上 *hw- ;?上 きわめて例 が少 ない に もかかわ らず, 次 の対 応 の 由来 と して共 通 音素 *hj-,*hw-,*?j- を 推 定 す る こ とが で きる。
* * 一 サ 叶 ≪ W ≪ 隼 ≪ h mt ok K jO ≫ 耳 (ノ.a a 汁 ≫ レノ n 一 e ︰Je ≫ 村 カ メ - I.語音 素体 系 の記 述 と比 較言 語学 的考 察 MS. Th. BL UP. suak suak
wa? hwaa ftua? ftua?
?jtlaI〕 ?jual〕 3・5 R-L音の系列 (1) *r-,*1 -Kmt.R\-:MS.rユTh.r-(<*r-) :BL.r-UP.r-(<*r-)の対 応 系列 に *r- を推定 す るこ とは問題 が ない。Kmt.卜 <*ト につ いて も同様 で あ る。 *r- Kmt. ≪ 梶 ≫ R壬es ≪ - エ ≫ -R5〇j ≪ カ エ ル ≫
Rdk
*1 -≪ こ と ば ≫ふ
15〇? MS. Th. riag hria(?) r5〇j r〇〇j rbk rok r157 ≪ ブ タ ≫ liik ≪ 黒 い ≫ 1両 ?rl〇〇 BL. UP. reh res rot rua roak ratlk etc. 13ic leic lt)q hq etC.(
2
)
*hr-,*hl -Kmt.ト '. MS.1-Th.hト(<*h1-) :BL.hl-UP.h1-(<*hト) の対 応 系列 には共 通 音素 *hト が たて られ る。 Kmt
.
MS. Th.B
L. UP. ≪ 葉 ≫ 1aa? 1a? hlaa hla? hla? ≪恐 れ る≫ la'lt lllat hlat≪
高 い ≫ leeI〕 lllo叩 111auI〕 etC. これ に対 して, カメ- 卜語 に高 利 トネ- ム の R-が あ るに もかか わ らず共 通音素 *hr一 に 由 来 す る もの は hR- で あ るよ うだ 。 カム語 MS.r- Th.hr-(<*hr-), ラワ語 BL.hト UP・hr -(<*hr-)に対 応 す る。 Kmt
.
MS. Tll. ≪薄 い≫ hRiilB
L. UP. 1113i hre (41) cf.
ラ ワ語 ラ ウ t・,プ (LaUp)方言 hjuak.(D・Schlatter氏による) - .I二1--≪山 の 精≫ hRooj 東 南 7 ジ ア 研 究 第3巻 第3号 し421 hrooj hrooj (3) *?r-,*71-(?) Kmt.RIL :MS.(-)r・ゝTh.(-)r-(<*(-)r-) '.BL.?d-UP.?r-(<*?r-)の対 応 系列 に は *?r- を , また,Kmt.ト,1i :MS.(-)卜 Th.(-)ト(<*(-)1-) :BL.?d-UP.?1(<*?ト) の 対 応 系 列 に は *?ト を それ ぞ れ共 通音 素 と して推 定 して お く。 た だ しカ メー ト語 の トネ- ムに つ いて も十 分説 明が つ か な い か らなお疑 問 の余 地 が あ る。 *?r- Kmt. MS. Th. BL, UP. ≪つ の ≫ Rthq n(t)rtiII] CndruJq ?d3t叩 ?r苫n *?1 -≪ 舟 ≫ C515〇q clゝ〇q clooq ?lop ≪長 い ≫ 1eeI〕 ?dal1,?duJq ?1aI〕 (4) *(C)r-,*(C)ト 共 通 形 式 と して *pr-,*k1- が た て られ る場 合 につ い て は後 で 述 べ るが , それ とは別 に,r-, ト を第 2要素 とす る結 合 で第 1要 素 の対 応 が よ くわ か らない場 合 が あ る。 これ につ いて は と りあえ ず r,1だ け に注 目 して *(C)r-,*(C)ト と して ま とめ て お く。 トネー ム とレ ジス ター も それ ぞ れ の言 語 にお い て の第 1要素 の もと も との性 格 (有 声 ・無 声 の対 立) に よ るか らか な ら ず Lも互 に一 致 して い ない 。 辛(C)r- Kmt. ≪ 砂 ≫ 師直 1 ≪ 森 ≫ -Ri? *(C)ト ≪ 速 い ≫ kles ≪ 脚 ≫ C51tl? ≪ 運 ぶ ≫ t51am 帆 sreh
蝉
? m ・B ^ JB a 紬 Th.B
L UP. Sree bri leeh (klaic) (klaic) (LP.blu?) -klam klDm kl〇m 3・6 摩 擦 音 の系 列(
1
)
*S -,*h-Kmt.S- :MS.S-Th.S-(<*S-) :BL.S-UP.S-(<*S-)の対 応 系 列 に は 当然 *S-が共 通 (43) 音 素 と考 え られ る。 Kmt.h- :BL.h-UP.h-(<*h-)に対 応 す る カ ム語 形 は見 出せ な いが(
4
分
MS.hrooJは "inter-dialectalborrowing"かo一般に共通カム語 *hr- に由来するムアンサイ方 言形は第1レジスターの r-である。e.g.≪焼畑≫ MS.re?Th.hreeLP・hre?<*hre?・(LP・はル アンプラバ ン方言,Smalley上掲書による)0カ メ ー ト語 芹素体 系 の記 述 と比 較言 語学 的考 察 *S- と並行 して共 通音素 *h- を たて る。 *S- Kmt. MS. Th. ≪ し ら み≫ si? se? see ≪い ぬ ≫ S〇? Sっ? S〇〇(?) ≪ 鳥 ≫ siim sllm Sllm ≪ 柁 ≫ -seem psulam pStuam * h-≪歩 く≫ htd ≪水浴 す る≫ huum (?)≪- チ≫ t51haaj 什 y IF, '⋮ UP. se? S〇フ Salm Saum -Saum llaum lle etc. 3・7 初頭 子 音結 合 以 上述 べて きた もの の ほか に, は っき りと共 通 形式を再構 で きるものに,*r*1*h を第 2要 素 とす る初頭 子音結 合が あ る。第 1要素 は閉鎖 音 *p*t*d*k と摩擦 音 *S-で あ って, これ ら が 単純 初頭 子音 とな って い る場 合 と同 じ く無声音で は カメー ト語 が高型 トネー ム,有声音で は 低 型 とな って い る。 た だ し, この場合 も単純上音 *h- と同 じ くカム語 に は *-1ト の対 応形が 見 出 され ない 。
(
1
)
*pr-,*pト,*pt卜 KT
n
t・PR- :MS.pr-Th.pr-(<*pr-) '・BL.phr- UP.pr-(<*pr-)の対 応には *pr-杏 , Kmt
.pト :MS.pト Th.pト(<*pト):BL.pト UP.pト(<*pト)の対 応 には *pト を , また, Kmt.ph- :BL.ph-UP.ph-(<*ph-)に は *ph- を それ ぞれ共 通 形式 として推定 す る。 *pr- Kmt. MS. Tll. BL. UP. ≪ 古 い≫ PRiim prllm ≪ひ ょう(電)≫ pReel *pト ≪果 物 ≫ pleL plc-? plee? ≪ヤ マ ビ ル ≫ pleem pltTTC1 一一 一 *p11 -≪ 心 ≫ pheem ≪ 5 ≫ phan 次 の例 で は第 2要素 の対 応 が不 規則で あ る。 ≪屋 根 ≫ plaI〕 (2) *tr-,*dr -Praロ - 45-phra清 praim phre pre p13iL pleL pILltllll phulTl フapllatlm r;)phaum phoan ph〇n phraI〕 pral〕東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第3号 例が少 ないけれ ども,次 の2例 に対 して共 通形式 *tr-,*dr-を推定す るo ラワ語 には thr -tr-ndr- とい った結合が全 くないが, もともとの *tr-,*dr- は khr-kr-qgr- に含 まれて (44) い ると考え るので あ る。なお, ここで qgr-<*(N)gr-<*(N)dr- で あ る。 Kmt. MS. Th.
BL.
tTP. ≪水 牛 ≫ tRaak traak trak khrak krak ≪床 の 下 ≫ tRtlum ntrdum I〕graum -1]gratlm (3)*kr-,* kh-Kmt.kR- :B
L.khr-UP.kr-(<*kr-)には*kr-を, また,Kmt.kh- :B
L.kh-UP. kh一(<*kh-)には *kh-を共 通形式 とす る。 カム語 に も*kr-,*k1-に由来す るものはあるが カメー ト語 ・ラワ語 と対応す る例 は見 出 され ない。 *kr- Kmt
.
MS. ≪ く ま ≫ kriis * kh-≪ 月 ≫ khe? (?)≪ 木 ≫ -khe? Th.B
L. UP. khr3ih kres kh3i? khe? khT)u? kho? (4) *Sト やや特殊 であ るが次の例 に *S1-をたて る。 この例 か ら前 にあげた *hト の一 部が さらに*S1 -に 由来 す ることが考え られ る。 Kmt. MS. Th.B
L. UP.≪つ ん ぼ≫ luut sluut sluut hlatuk hlaut 3・8 母 音音素 卒直 にい って, カメー ト語 ・ラワ語 ・カム語 の3つ の言語 がその共 通段階 において どの よ う な母音音素やその結 合を もっていたのかを全体 にわた って推定す ることはまだ十分 にで きてい ない。 ラワ語 の方言間の母音の対応を私 の ノー トに よって整理す る作業 が完 了 していない か ら で あ る。 したが って,以下 にはいちお う対 応の説 明がつ け られ る2- 3の例だけを とり出 して 論 じたい。断片 的で はあるけれ ども, これ らの言語 の親属 関係を説 明す る うえで ある意 味で は 上述 の初頭 子音 の対 応以上 に説得力を もってい るし,逆 に ラワ語の方言間の対応を整押す るた めの手 がか りともな るか らで ある。 まず,対応が最 もは っきりしてい るの はカメー ト語 aaで あ って,次 の対 応を しめす。 (i) Kmt.aa :MS.aaTh.aa(<*aa):BL.aUP.a(<*a)