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徳島県勝浦地域に分布する下部白亜系藤川層の堆積環境について

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(1)

徳島県勝浦地域に分布する下部白亜系藤川層の堆積環境について

        前田晴良*・宮田憲一**・川路芳弘***

SEDIMENTARY

ENVIRONMENTS

OF THE

LOWER

   CRETACEOUS

FUJIKAWA

FORMATION,

     KATSUURA

AREA,

TOKUSHIMA,

        SOUTHWEST

JAPAN

 Haruyoshi Maeda, Ken'ichiMiYATA and Yoshihiro Kawaji

  ABSTRACT:The Fujikawa Formation: the uppermost part of the Monobegawa Group, is well-exposed in the Katsuura area, Tokushima Prefecture, southwest Japan. The formation is characterized by off-shore, mudstone facies of Aptian-Albian time. It consists mainly of thick, dark-gray (N 3 ), well-laminated mudstone. The succession may be correspond with extensive transgression at that time.

 The mudstone of the Fujikawa Formation exhibits following characteristic features which offer striking contrast to those of off-shore, mudstone facies deposited in other ages of Cretaceous period・

(1)The mudstone generally preserves parallel laminations very well, and is scarcely bio-  turbated except basal and uppermost part of the formation.

(2) Benthic fossils, particularly autochthonous assemblages of off-shore mud-bottom, are   almost absent throughout the mudstone.

(3) Trace fossil assemblages seem also very poor. Only two types of small tube burrows,   resembling “ Chondrites” and “Planoli£es”respectively, are exclusively aggregated in   some horizons.

  Other off-shore mud facies, including examples of recent environments, usually contains abundant benthic organisms, and is much intensely bioturbated. Scarcity of benthic fauna and very 10w degree of bioturbation are not peculiar to the Fujikawa Formation but widespread in contemporaneous Aptian-Albian off-shore deposits throughout Japan. Characteristic

features of the mudstone suggest that the deposition under anaerobic or disarobic environ-merits, 0rin other words, the extraordinary development of “Oxygen Minimum Zone”in the bottom environments at that time. Such contemporaneous, and widespread marine stagnation observed in off-shore, mudstone facies is comparable to the “Oceanic Anoxic Events” in the Mid-Cretaceous time.

 *:高知大学理学部地質学教室  **:野市町役場

(2)

      はじめ∧に   ,  徳島県勝浦地域は,高知市の東北東約95kniのとこ右心ありべ図1),西南日本外帯の秩父帯に位 置している。ここには,下部白亜系物部川層群が広く分布しており,高知の物部地域とともに,そ の代表的な露出地のひとつとされている。物部川層群は西南日本外帯に沿ってよく連続しており, 層厚の地域的な膨縮はあるものの,関東山地から九州まで基本的舛は共通に)層序を示して分布する (田代, 1985, 1986など)。とりわけ物部川層群の最上部を占める平行葉理の発達しだ黒色泥岩" は,アプチアンーアルビアシ世の海進(“宮古海進")期1の堆積物=で,各地に似かよった泥岩相が 広く分布している。調査地域の藤川層もそのひとつである。 ダ  ところがこの“黒色泥岩"は,      ニ≒ "ト     ●       .       s・       ●●' 1  ①生物擾乱をほとんど受けでいないこと   ノ \^・  イ'  ② 底生動物化石(とりわけ沖合の泥底に棲む大型底生動物群集)をほとんど含んでいないこと  ③生痕化石群が非常に貧弱なこと     。。,………,………     ■       1.,` I ゛● 1 ノ ` などの点で,白亜紀の他の時代の泥質堆積物や,現在φ沖合・・泥底の堆積物と大きく異なった性質 を持っている。このような点を踏まえて,筆者らは藤川層め泥岩の堆積構造・生痕化石・大型化石

0     50km

13尭

13な

  図1 調査地域位置図

(3)

95

の産状に特に焦点を当てて調査をおこなった。その結果,まだ数多くの問題点が残されている段階

だが,藤川層堆積当時は,酸素に非常に乏しい環境が底層付近に広がっており,現在からみるとか

なり特殊な環境下で“黒色泥岩”が堆積した可能性が強いことがわかってきた。それについて,

以下に簡単に述べる。

地質概要

 勝浦地域では;下部白亜系物部川層群が西南西―東北東に帯状にのびる摺曲構造をつくって分布 している(図2)。調査地域の下部白亜系は,全体で1,900 mほどの厚さがあり,下位から立川層, 羽ノ浦層,傍示層,藤川層の4層に分けられる。西南日本における下部白亜系層序の標準地域であ る物部地域と対比すれば,立川層は領石層に相当し,羽ノ浦層は物部層に相当する。また傍示層は, 日比原層下部に対比され,。藤川層は日比原層上部に相当する。これらの下部白亜系は,周囲をとり 囲むように分布する先白亜系と,多くは断層で接している。立川谷では,小川(1972)が述べてい るように最下部の立川層が軽微な層面スリップをはさんで先白亜系と接している。。一方,榜示谷 (Loc. 151)では,物部川層群最上部の藤川層が,先白亜系を不整合で覆っている。  調査地域内の下部白亜系は,複雑な摺曲構造をとっている。主要な摺曲軸として1本の背斜軸, 2本の向斜軸が走っているほか,多数の小摺曲がみられる。このため,傍示層は,藤川一日浦間では 波曲構造のため見かけ上ほとんど水平層となって分布している。さらに藤川層も,向斜軸をはさん で南北両翼にわたって分布している。これらの下部白亜系は,南北性の断層によって4ケ所で切ら れている。  本論に進む前に,調査地域の下部白亜系層序について簡単に述べる。調査地域の露頭位置図と柱 状図をそれぞれ図3,4に示す。  立川層(Tatsukawa Formation) 層厚:約6(X)m,模式地:立川谷(LocS. 1∼12)。  立川層は,物部地域の領石層に相当し,斜交層理を示す中粒砂岩・呻岩を主体とする非海成ない し汽水成の地層である。ただし立川層の模式地では,領石層に特徴的な赤紫色の堆積物はみられな い。先白亜系を不整合に覆い(現在,露頭では確認できない),上位の羽ノ浦層に整合で覆われる。  海生化石は含まれていない。立川層中部では,中粒砂岩にはさまれる砂質泥岩中に,離弁した Hayamina naumanni の殼を主体とする化石層(厚さ15∼20Cm)が特徴的に見られる。また,本層 最上部にはさまれる滞緑色の細粒泥岩からは,多量の植物化石を産出する。  羽ノ浦層(Hanoura Formation) 層厚:約340 m,模式地:中小屋∼立川谷(Locs. 13∼23)。  羽ノ浦層は,物部地域の物部層に相当する主に浅海成の地層で,一部に汽水成堆積物をはさむ。 呻岩・細粒砂岩・生物擾乱を受けた砂質泥岩および暗灰色泥岩からなり,ガラス質凝灰岩層をはさむ。 下位の立川層に整合で重なり(Loc. 13),上位の傍示層に軽微な侵食面をもって覆われる(Loc. 105)。  砂質泥岩からはj)terotrigoriia pocilliformis. Nanonauis yokoyamaiなどの浅海生二枚貝類を

産する。一方,泥岩中からはdesmoceratid, hamitidなどのアンモナイトや,ブンブク類のウニ が産出する。一般に,泥質岩は強い生物擾乱を受け,底生動物化石や生痕化石を豊富に含む(図版

(4)

﹃Jm

50

﹁心

、 ……感服…………。Trv,・・。11121 1E?│?1゛lll;・ , -0   laχ)m ……聡 彦彰………湾彰諭 。1.。・-・、、ヽ、、、、、?l゛' y '1?1‘11・'│?'J?iiJJ W 、    図2 勝浦地・域地質,図

(Text-fig. 2. Geologic map of the Katsuura area.)

 Legend

^^ Fujikawa Formation EコHoji Formation 【EコHanoura Formation

lE:3 Tatsukawa Formation ErΞΞ]Serpentinile

(5)

97  傍 示 層(Hoji Formation) 層厚:475m,模式地:藤川∼日浦(Locs. 86∼104)。  傍示層は,物部地域の日比原層下部に相当する地層で,浅海成・非海成の両方の堆積物より構成 される。塊状ないし層状の中粒砂岩を主体とし,これに呻岩・凝灰岩・下盤粘土を伴う石炭層など をはさむ。本層は, Loc. 104では,下位の羽ノ浦層の砂岩泥岩互層を削り込むかたちで堆積してい る辣岩から始まる。ただし,この榛岩は流路埋積物(channel-fill deposits)と考えられ,羽ノ浦層 とは不整合関係ではない。本層は,上位の藤川層に整合で覆われる。  下部の塊状砂岩中からはj)£ero£rigonia pocillびormisの離弁した殼が,厚さ25 cm,幅30 cmほど のパッチ状の密集体をつくって産出する。上部の層状砂岩からは海生化石は産出しない。ここには, 灰白色の粘土層に伴われた石炭層がしばしばはさまれる。  藤川層・(Fujikawa Formation) 層厚:約500 m,模式地:傍示谷(Locs. 232∼151)。  中居(1968),小川(1972)は,藤川層の模式地を藤川谷沿いのルートに設定した。しかし,現 在このルートには露出がほとんどない。本論では,松川・江藤(1987)と同様,模式地を傍示谷沿 いのルートに移し記載する。  藤川層は平行葉理の発達しだ黒色泥岩”を主体とし,物部地域の日比原層上部に相当する地層 である。調査地域の北縁に沿って,ほぼ東西方向の走向で分布している。藤川層の分布域には前述 のように向斜軸が走っており,これにより北翼と南翼に分けられる。,向斜の南翼では,下位の傍示 層に整合で重なる。一方,向斜の北翼では,先白亜系を直接不整合で覆う。これは小川(1972)が 指摘しているように,藤川層堆積当時√大規模な海進によって堆積盆が北へも拡大したことを反映 していると考えられる。南北両翼とも上限は不明である。調査地域西方の梅木では,南翼しか露出 しておらず,その北縁は先白亜系と断層で接していると考えられる。藤川層の柱状図を図5に示す。 後述のように,主体を占める“黒色泥岩”と本層最下部および最上部に限ってみられる暗灰色の 砂質泥岩とは堆積の性質がかなり異なっている。  南  翼(Locs. 232∼140)  傍示層に整合で重なり,上限は不明だが,少なくとも400m以上の厚さがある。傍示谷沿いの模 式ルートでは,下位の傍示層との関係は見られないが,そこから約11km東北東にあるLoc. 85で観 察できる。ことには,傍示層最上部の細粒砂岩から漸移する暗灰色泥岩が露出しており,これを藤 川層の基底とみなすことができる。  藤川層下半には,極細粒砂岩(厚さ0.5cm∼3cra)および暗灰色泥岩(厚さ1cm∼5 cm)よりなる細 互層がはさまれる(図版1,第1,2図)。砂岩層は下底が鮮明で,級化層理部を欠き,全体に わたってカレントリップル葉理ないし平行葉理が発達し,泥岩に漸移する。このようにBouma Sequenceの上部を特徴づける堆積構造を示すことから,この互層部はタービダイト縁辺相(distal turbidite)を表していると考えられる。互層部を構成する泥岩には2種類ある。ひとつは後述の 平行葉理の発達しだ黒色泥岩”(N3)で,もうひとつはそれよりやや明るい色調(N4∼N5)で, まったく内部構造の見られない細粒泥岩である。後者は, Bouma Sequence を示す砂岩層を下底に ともなっているのが観察でき,ターピダイト性の泥岩と考えられる。  また藤川層下半には,局地的に厚さ約12mの灰白色中粒砂岩がはさまれている。この砂岩は,淘 汰が悪く, Loc. 84では直径5皿∼3cmの泥岩,石灰岩,チャートの亜角榛が乱雑に含まれており,

(6)

・ ● 1     -S S 1     ‘・ 1     1 9 I   ` 霜 ` な i -卜卜 ¶   ●   「   ゝ R 、 ア E J C ` Q ● ゜ ∼ ○ S 1 t ゝ ( ・ p a A a A j n s   B 8 j b   a i j ^   j o   d B u i   A ^ i [ B O o q   -g   -S i j -^ x a j 。 ]       0       g       $ ) ■ 唖 雑・ 2凶

(7)

99 ( ・ p a X a A j n s   B a J B   a q : )   u i   u i a ^ s X g   s n o a o B ^ a j Q   j a M o q   a q ^   j o こコ︸ DipiOD Φ︸’︶﹂ΦEo一acoU dUO︶SpUDS .aE  ∽η pUD.∽㎝↑O φ .Q DU I^DU﹂ejiD  ss   Appnuu s uu   p d︶ D q﹂コ`ol .のE つΦ︸ロc一Eロー ︵︶N 3 9   −   −   一− VWVAVVJVz

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(8)

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main part

      ……、………    四

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p。rt

  boso' Cg’ ・151

  T:large

tube-burrow

      図5 藤川層・柱状図

(Text-fig. 5. Columnar

sections of the Fujikawa Formation.)

debris flow の特徴を持つ。

 藤川層の主部は,厚い砂岩をほとんどはさまず,平行葉理のよく発達した単調な“黒色泥岩”

(N3)よりなる。この泥岩中の平行葉理は,きわめて薄い砂岩の葉層によって作られていること

も多く,この場合は非常に観察しやすい(図版1,第3図)。これらの砂岩葉層や平行葉理は水平

的によく連続し,強い生物擾乱は受けていない。平行葉理の発達した泥岩のところどころに,弱い

生物擾乱を受けた泥岩(厚さ50cm∼5m)がはさまれている(図版2,第1,2図)。この泥岩中

には,層理面に対し水平に掘った直径2∼70,長さ1∼7cmほどの7)lanolitesに似た管状の生

痕(Lタイプ:Maeda,

1987),およびCho几dritesに似た直径0,5∼1㎜,長さ2∼5㎜のより小さ

い管状の生痕(Sタイプ:Maeda,前出)が含まれている(図版1,・第3図;図版2,第2図)。こ

れらは,小型の堆積物食者の掘った生痕(burrow)で,周囲の泥岩より暗い色を示す細粒堆積物

によって充填されており,“管の裏打ぢ(internal

lir!ings)等の内部構造は持っていない。いず

れのタイプも,泥岩のところどころに斑状に集まっており,その部分の平行葉理がいくらか乱され

ているのが観察できる(図版2,第2図)。しかし,葉理が完全に破壊されることはなく,全般的

(9)

藤川層の堆積環境について(前田・ 101

に生物擾乱の程度は非常に弱い。

 藤川層最上部の砂岩・泥岩互層は,砂岩がやや厚くなることを除けば,藤川層下半の互層とよく

似ている。

 北  翼(Locs. 141∼151)  北翼の藤川層は,秩父帯北帯の“先白亜系”を直接不整合で覆う。下位から上位へ,       基底篠岩       ↓       生物擾乱を受けた暗灰色砂質泥岩       ↓       タービダイト縁辺相を示す砂泥互層       ↓       平行葉理の発達しだ黒色泥岩”       ↓       タービダイト縁辺相を示す砂泥互層       ↓       生物擾乱を受けた暗灰色砂質泥岩 の順序で重なっている。下半は,海進を反映した層序を示し,その主体は南翼と同様,平行葉理の 発達しだ黒色泥岩”(N3)により占められる。最上部に再び砂質泥岩が重なり,いくらか海退的 な様相を示す。  先白亜系との不整合はLoc. 151でよく観察できる。ここでは最下部に厚さ約50mの基底陳岩が ある。榛は直径5皿∼15cmの亜角陳で。陳種は石灰岩,チャート,千枚岩などが多く,基質は中粒 砂岩である。  基底陳岩の上には厚さ約30mの暗灰色砂質泥岩が重なっている。この砂質泥岩は,藤川層の主体 を占める“黒色泥岩”とは性質が異なっている。例外的にかなり生物擾乱を受けており,淘汰が 悪く,砂と泥とが斑状に入り混じった外観を示す(図版3,第3図)。これは,北翼の基底部直 上と最上部だけに見られる特徴的な岩質である。また生痕化石が多く,“Chondrites”タイプ・ ‘?lanolites”タイプだけでなく,直径1.5cmほどの大型の管状生痕が含まれている。砂質泥岩中に は,平行葉理はほとんど認められていないが,砂岩の葉層が約数cmの長さでかろうじて保存されて いることがある。もともと砂泥互層として堆積したものが,生物擾乱を受けてかき混ぜられてしまっ たものと考えられる。   ¨  砂質泥岩の上には,タービダイト縁辺層を示す砂岩・泥岩細互層が薄く重なる。また,局地的に スランプ呻岩がはさまれていることもある(図版3,第1図)。これらは上位へゆくと,すぐに主 体を占める平行葉理の発達しだ黒色泥岩”に変わる。南翼と同様,平行葉理のま・つたく乱されて いない泥岩の中に,“Chondrites”タイプ・?la几〇Z泗s”タイプの生痕を含む泥岩層がはさまれて いる(図版2,第1図)。それ以外の生痕化石はほとんど見られず,生物擾乱の度合は低い。  最上部には,再び生物擾乱を受けた暗灰色砂質泥岩(厚さ約12m)が見られる。岩質は基底呻岩 直上のものと大変よく似ている(図版3,第4図)。生痕も比較的多い。 “Chondrites”タイプ・ ?lanolites”タイプの他に,層理面に対し20∼30°の角度で斜交する直径1cmほどの管状生痕も見 られる。

(10)

      藤川層の産出化石群

 藤川層主部の平行葉理の発達しだ黒色泥岩”と,最下部・最上部の暗灰色砂質泥岩との間で,

産出する化石群の内容が異なっている(表1)。平行葉理が極めてよく発達しだ黒色泥岩”には,

   表1 藤川層産出化石リス ト

〈FOSSIL

ASSEMBLAGE

OF THE

FUJIKAWA

FORMATION〉

    ..s':ej巴leΞi∃E⊇Sヨ 〈AMMONITES〉

・Oesmoceras (Pseudouh日ge日割)       dawsoni shikokuense

・Desmoceratidae gen. indet.

・Ost目ngoceras sp.

・Hami t i d gen. indet.

・Ammono idea gen. indet.

〈BENTHIC ANIMALS〉

ヽHesosacce! la i ns i g削S

°/`ダ'yrte∂Sp・

・Parvaroussiurn tosaense

・Strombidae gen. indet

・Spatango id gen. indet

SANDY MS “45 150 152 150 150 39 LAMINATED MS  37 137,144 137 37 植物片を除き化石はほとんど含まれていないが,その間にぱさまれている弱い生物擾乱を受けた泥 岩から動物化石が産出する。産出する化石群のほとんどは, desmoceratidなどのアンモナイトで ある。中居(1968), Nakai and Matsumoto (1968)によって報告・記載された,上部アルビアン 階を特徴づけるDes7noceras(Psei↓douHligella)必ω必nishikok£lenseは,北翼の最上部直下め平 行葉理の残されだ黒色泥岩”から産出する(Loc. 37 : 図版2,第1図)。アンモナイトは破片で 産出することが多く,多くの場合植物片を伴って泥岩中に散在的に含まれる(Maeda, 1987 a; Maeda, 1987 b : in press を参照)。殼□が完全に保存されているもの,あるいは顎器を伴っているも のはまだ見つかっておらず,多少なりとも運搬された産状を示している。さらに,殻が圧密や溶解 を受けており,保存はあまりよくない。  藤川層主部の平行葉理の発達しだ黒色泥岩”には,二枚貝・巻貝・ウニなどの底生動物化石 はほとんど含まれていない。それらが希に産出した場合も,ほとんどすべて異地性の産状を示す。  これに対し,最下部の生物擾乱を受けた暗灰色砂質泥岩からは, Mesosaccella 1几signisなど小 型の内生・堆積物食の二枚貝・Strombidae科の巻貝・hamitid類の異常巻きアンモナイトなど底 生あるいは底生に近い動物の化石が産出する。一般に,二枚貝は離弁した産状で産する。また,最

(11)

  . ゜ 「 ‘ . . i r j . l j 103 上部の生物擾乱を受けた砂質泥岩からほ,上部アルビアン階のTurrilitidae科の異常巻きアンモ ナイト:OstlingocerasSp.を見いだした。  主部の’“黒色泥岩”と最下部・最上部の砂質泥岩とで,含まれている生痕化石にも違いIがみら れる。基底呻岩直上および最上部の砂質泥岩は,前述めように比較的強い生物擾乱を受け,・生痕化 石も多く,しかもこれには直径1.5cmを超える大型の管状生痕も含まれる。これに対しに藤川層主 部の平行葉理の発達しだ黒色泥岩”は,生物擾乱をあまり受けておらず,生痕化石も多くない。 含まれている生痕化石群は,ほとんど“Chondrites”タイプおよび‘?lanolites”タイプの`水平方 向に掘る小型泥食者の生痕のみからなる。これらは,かなり密集していることもあるが,生痕が生 痕によって切られていたり,葉理を完全に破壊していることはない。  F      ・÷  羽ノ浦層の暗灰色泥岩(図版2,第3図)に較べれば,生物擾乱の度合ははるかに低く,‘全般的 に種類・産出量とも少なく,非常に貧弱な生痕相を示している。       <       藤川層の堆積環境  藤川層は,アプチアンーアルビアン世の大きな海進(“宮古海進”)期の堆積物であり; その主 体は沖合いで堆積したと考えられる泥岩層が占めている。この泥岩は,前述のように平行葉理が極 めでよく発達しており,生物擾乱をほとんど受けていない。  また,最下部・最上部の砂質泥岩を除き,二枚貝・巻貝・ウニなどの底生動物化石に極めて乏し いことも大きな特徴である。藤川層から産出する大型化石のほとんどは,運搬された産状を示すア ンモナイトである。泥岩および産出化石にみられるこのような傾向は,調査地域内だけでなく,藤 川層全般をとおして認められる。例えば,勝浦町か,ら約11km東の羽ノ浦町に露出している藤川層下 部(アプチアン階上部)の“黒色泥岩”の一層準からは,40個体近いアンモナイトが産出した。 しかし,共存する底生動物化石はきわめて少ない。わずかに離弁したPropeamussium tosaerise が3個体含まれていたにすぎない(表2)。  主部の“黒色泥岩”に含まれる生痕化石群も貧弱で,一般に“Cfiondrites”タイプおよび‘7)lanolites”

 表2 羽ノ浦町地域の藤川層産出化石リスト

〈FOSSIL ASSEMBLAGE OF THE FUJIKAWA FM.

AT HANOURA〉

      1固1悪玉毬回ミミ'$■ 〈AMMONITES〉 ・ Uh目gel la sp、 ・ Pseudohaoloceras so ・Hulenftes Sp・ ・KyDacanthoD目tes so ・Hamites sp、 ・〈BENTHIC ANIMALS〉  ・ Parvamussium・tosaense 18+ L D C O 10十  3 3 I!I`

(12)

タイプの小型泥食者の生痕が見られるにすぎない。この2者は,他の生痕や底生動物化石がほとん ど見られない平行葉理の発達した泥岩中に,排他的な産状でみられる。この状況は,貧酸素環境に

特徴的といわれるChondritesを主体とする生痕相に比較できるI (Bromley and Ekdale, 1984ほか)。  このような藤川層主部の“黒色泥岩”の持つ堆積の特徴ば,日本各地4こみられる白亜紀の他の 時期の泥岩相の示す特徴と大きく異なっている。例えば,コニ。アシアンーサントニアン世の海進 (“浦河海進”)期に堆積した姫浦層群(九州)や上部蝦夷層群(北海道)は,藤川層主部と同様に 沖合で堆積した泥岩相を主体としている。しかし,一般に姫浦層群や上部蝦夷層群の泥岩は著し く生物擾乱を受けており,アンモナイト・イノセラムスに加え。二枚貝・巻貝・ウニなどの底生動 物化石を豊富に含んでいるのが特徴である(田代ほか, 1986; Maeda, in preparation)。

 とりわけ,姫浦層群や上部蝦夷層群の泥岩相には,二枚貝のNanonauis sachalinensis, Acila (Tru几CQcikt)hohhaidoensis,巻貝のTessarolax,ブンブク類のウニなどよりなる沖合・泥底の自

生化石群集が豊富に含まれている(田代ほか, 1986; Maeda, 1987 b ; Maeda, in preparation)が, 藤川層の“黒色泥岩”ではそれらがまったく見られない・。さらに,例えば上部蝦夷層群には “Zoophvcos”をはじめ大型の堆積物食者の生痕も数多く見られる(前田,1986)。  藤川層主部の“黒色泥岩”の特徴は,底生生物が豊富に棲んでいる現在の沖合・泥底の堆積物 の特徴と比較することによってさらに明確になる。図版4は,藤川層主部の“黒色泥岩”(第1図) と,ボックスコアラーによって採集した駿河湾の現在の泥質堆積物の垂直断面を比較したものであ る。第2図は, KT-86- 1 , St. C- 4.水深317mの砂混じりの泥底の垂直断面である。ここには多数 のクモヒトデが,ディスクを埋没させ,腕を2∼3本海底に出した姿勢で生ほしている。ここの堆 積物を観察すると,砂粒は完全に泥とかき混ぜられていて,葉理(葉層)はまったく保存されて いない。第4図は,二枚貝の£imopsis tajimaeが密集して生息している泥底の垂直断面である (KT-86- 1 , St. A- 2:水深276m)。ここの堆積物は生物擾乱を強く受けており,大型の堆積物食者 の生痕が観察できる。第3図は水深986 mの細粒泥底の垂直断面である(KT-86- 1 , St. C- 6 )。こ こでは管状の生痕がみられるが,葉理等の堆積構造は生物擾乱によっ。で完全に破壊されてしまって いる。一般に,底生生物が豊富な沖合・泥底の環境では,堆積物は強く生物擾乱を受け,平行葉理 等の堆積構造はほとんど残されていない。    5  ① 堆積物が生物擾乱を受けておらず,平行葉理がよく保存されている点  ②底生動物化石がほとんど見られない点       ・  ③ 生痕相が非常に貧弱で,貧酸素環境に耐え得る特殊なものしか見られない点  以上の3点から考えると,藤川層主部の“黒色泥岩”は,海底付近の酸素に非常に乏しい環境 で堆積したものと考えられる。藤川層堆積当時の海は,おそらく底層付近に酸素極少層(Oxygen Minimum Zone)が広く発達し,“Chondrites”タイプの貧酸素環境4こ強い生物を除き,底生生物 がほとんど棲めないような環境が広がっていたのではなかろうか。  このことは,北翼の藤川層を観察した結果からも裏付けられる。ここでは,表層水の影響下で堆 積したと考えられる不整合直上の浅海成の砂質泥岩中には,浅海生の底生動物化石が含まれている。 これに対し,海進が進み,より深い環境で堆積したと考えられる藤川層主部の葉理の発達した “黒色泥岩”には沖合・泥底の底生動物群集が見られない。藤川層の堆積環境の概念図を図6に 示す。  今まで述べてきたような泥岩の堆積の特徴は,藤川層だけではなく,西南日本各地に分布するア プチアンーアルビアン世に堆積した同時代の沖合の泥岩相に共通してみられ,るものである(例えば, 物部地域の日比原層上部など:Maeda, 1987a)。さらに,北海道の下部蝦夷層群あ゛るいは中部蝦夷

(13)

105

asal

C9・

  図6 藤川層の・堆積環境復元図

(Text-fig. 6. Schematic reconstruction of the sedimentary environments of the Fujikawa Formation.)

ioturbated

sandy ms.

層群下半のアルピアン階の泥岩も,藤川層主部の“黒色泥岩”とまったく共通の特徴を持ってい

ることがわかってきた(前田,

1986; Maeda,

in preparation)。

 さらに,この“黒色泥岩相”は,藤川層相当層の直下(例えば羽ノ浦層最上部,態本・八竜山

層最上部など)や,各地のセノマニアン階最下部(例えば高知・吹越層主部,北海道・中部蝦夷層

群下部など)にも及んでいる。

 現在の海洋は,表層水と底層水の循環がきわめてよく,底層にも十分な酸素が供給されている。

ところが特にアプチアンーアルビアン世を中心とした白亜紀中期には,海底付近に無酸素ないし酸

素にきわめて乏しい環境が汎世界的なスケールで広がっていたことが1970年代以降,

DSDPによる

海洋堆積物のボーリング調査によって明らかにされてきた(Schlanger

and Jenkins, 1976; Arthur,

1979; Arthur and Schlanger, 1979; Thiede et al.,1982など)。この現象は, Schlanger and Jenkins

(1976)により“Oceanic

Anoxic Events” と名付けられている。また最近では,白亜紀後期のセノ

マニアンーチューロニアン階境界付近およびコニアシアンーサントニアン階付近にも,“anoxia”

とよばれる貧酸素環境が,特に大西洋を中心に広がっていたらしいこともわかってきた(Graciansky

et al., 1986など)。

 “Oceanic Anoxic Events” については,・日本では今までほとんど注目されていなかった。しかし,

前述のように白亜紀中期の“黒色泥岩相”が,地理的に離れ,地質学的立地条件が異なる各地に

共通して見られるのは注目に値する現象である。このことからみても,藤川層堆積当時の酸素に乏

(14)

Anoxic Events" を反映している可能性が高い。   ノ

 日本の白亜系堆積物は,一般に複雑な構造変動を被っているため,層序や古地理の復元に困難を

伴うことが多い。しかしその一方で,例えば西欧の標準地域の白亜系が特殊な浅海相のみからなる

のに対し,日本の白亜系中には,陸水成・極浅海成の堆積物から深い海洋底で堆積した放散虫チャー

トにいたるまで,非常に多様な環境が保存されている。このことは,白亜紀の地質・古生物学的研

究にとって,前述の不利を相殺してもなお余りある利点であろうと思われる。その中でも,日本に

広く分布している沖合で堆積した泥岩相は,当時の浅海相と海洋底堆積物との接点に位置している。

したがって,これについて十分な観察を積み重ねれば,古くからデータの蓄積がある浅海相と,

DSDPなどによってわかってきた深海相を有機的に結び付け,白亜紀当時のグローバルな問題を

掘り起こすことも可能である。

 白亜紀中期に特徴的にみられるこのような“黒色泥岩相”が示ず貧酸素環境”の実態を確か

め,それが地質・古生物学的にどのような意味を持っているかについて,今後,さらに探求してゆ

く必要がある。

 この研究をまとめるにあたり,高知大学理学部・田代正之教授には,西南日本の白亜系について

数々の御助言をいただき,また本論についても細部まで検討・していただいた。同大学・岡村 佩講

師には,野外・室内作業を通して有益なアドバイスをいただいた。また,京都大学理学部・鎮西清

高教授,東京大学海洋研究所・太田 秀助教授をはじめとするKT-86-

1 の共同研究者ならびに淡

青丸乗組員の方々には,

KT-86-1航海中,大変お世話になった。さらに,勝浦町横瀬のかえで旅館

ならびに上勝町福原荘の皆様には,野外調査の際,大変にお世話になった。以上の方々に厚く感謝

申し上げる。

Arthur, M. A., 1979. North Atlantic Cretaceous black shales: The record at Site 398 and a brief   comparizon with other occurrences. D. S. D. P. InitialReports,vol.47, pt. 2 , p. 719-738.

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Graciansky, P. C, Deroo, G., Herbin, J. P., Jacquin, T., Magniez, F., Montadert, L., Muller,   CPonsot, C, Schaaf, A. and Sigal, J., 1986. Ocean-wide stagnation episodes in the Late   Cretaceous. GeologischeRundschau,vol. 75, noレ1 , p. 17-41.

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107

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(昭和62年9月30日受理) (昭和62年12月28日発行)

(16)
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Explanation of Plate l

Figs. 1-3. Vertical profiles of muddy deposits of lower part of the Fujikawa Formation.      Allfigures of natural size.

    1: Fine alternating beds of mudstone and sandstone at Loc. 130. Parallel lamina-     tionsare scarcely disturbed.

    2:  Fine alternating beds of mudstone and sandstone, showing distal turbidite      features,at Loc. 133. Convolution is observable.

    3: Well-laminated mudstone at Loc. 44.“Chondrites”type burrows are present,      however, parallel laminations are well preserved.

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       Eχplanationof Plate 2.

Figs. 1-3. Vertical profiles of mudstone of the Fujikawa (Figs. 1, 2) and Hanoura (Fig, 3)      Formations. All figures of natural・size.       .

    1: Laminated mudstone of the main part of the Fujikawa Formation at Loc. 37.      “Chondrites”type burrows and thin, sandstone-lamina are well preserved. This      isthe most intensely bioturbated part in the main・ part of the formation.

    2: Laminated mudstone of the main part of the Fujikawa Formation at Loc. 159.      Many “Cんondri£es” type burrows are aggregated in the mudstone. Degree of      biotubation, however, is very low for thin sandstone-larr!ina are well preserved.     3: Mottled mudstone of the Hanoura Formation at Loc. 27. In contrast with Figs.      1and 2,the mudstone is intensely bioturbated, and laminations are completely      destroyed.       1

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Explanation of Plate 3.

Figs. 1-4. Vertical profiles of several kinds of deposits of the Fujikawa Formation (Figs.      3,4shows those of basal and uppe・rmost sandy mustone). All figures of natural      size.

    1: Slump deposits intercalated in the lower part of the formation at Loc. 39.     2: Well-laminated mustone at Loc. 130.

    3: Mottled sandy mudstone intercalated in the basal part of the formation at Loc.      150.Thin, sand lamina are destroyed, and sand grains are irregularly miχed      withmud by bioturbation.

    4: Mottled sandy mudstone intercalated in the uppermost part of the formation at      Loc.45. In contrast with the main part of the formation, mudstone is much      bioturbated, and contain many trace fossils in the uppermost part.

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(23)

Explanation of Plate 4.

Figs. 1-4. Vertical profiles of muddy deposits of !he main part of Fujikawa Formation      (Fig.1 ) in comparison with those of l‘ecentmuddy sediments of off-shore      environments in the Suruga Bay (Figs. 2-4 ). White bars show l cm long      respectivelyin the figures, and white arrows indicate sediment-water interface in      Figs.2-4.

    1: Well-laminated mudstone of the main part of Fujikawa Formation at Loc. 140.     2: Dark bluish-gray, massive sandy mud at St. C-4 (depth: 317 m; Leg. KT-86-1)      where many ophiuroids inhabit. Sediments are intensely bioturbated, and      sedimentary structures are completely destroyed.

    3: Dark-gray, massive fine mud at St. C-6(depth: 986m; Leg. KT-86-1). Sediments      are also intensely bioturbated by dep・osit feeders such as spatangoids, and      laminations are hardly preserved. Small tube-burrows filled with darker colored      sediments are observable.

    4:  Darkgreenish-gray, mottled mud at St. A-2 (depth: 276 m; Leg. KT-86-1) where      numerous individuals of Limopsis£ajimae inhabit (indicated by figure“L”).Sed      iments are also intensely bioturbated, and・smallshell-fragments are scattered in      it.Large burrows are observable.      ヽ

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参照

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