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Que vlo-ve? にみられる異界構築の方法 : 二重の語り手からの考察

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Que vlo-ve? にみられる異界構築の方法 : 二重の

語り手からの考察

著者

伊勢 晃

雑誌名

年報・フランス研究

31

ページ

1-11

発行年

1997-12-25

URL

http://hdl.handle.net/10236/9371

(2)

C′

θソ

ι

θ―

θ′にみ られる異界構築の方法

一一二重の語 り手か らの考察――

伊勢

I Apollin」 rcの短篇作 品0“ιッわ―ツι′は、1903年11月 に 自 らが編 集長 をつ とめてい た雑 誌L`Fι ∫″jκ ご協 ηι誌 に発表 されたあ と、数 力所 の修正が ほ どこされ、短篇 集

L制

多ゐJαrg“ιι″び に加 え られた。 シュル レア リス ム運動 の 中心人物 である

Andr6 Bretonは 、その著書 の なかで「超 自然 主義(sumatunlisme)が その形式 を見 いだ した」 と、 この作 品 を賞賛 している。

Mais ia grande ma■risc est atteinte dans c“ιツわ―νι′o〕le sumaturalisme trouve sa

1loΠnule。(1) また、Apollm江E自身 もこの作品の続編 を完成 させ ようとい う意図 を持 ってい た らしく、その一部分 を自伝的な作品ιι Pθυ″ιαssα SSjκJこ使 っている°)。 2″ ソb―ッι′は詩人にとつて も特権的な位置 をしめる作品であった といえよう。 しか し、2“`ツ′θ―ソ `′は ApoHin激reの創作態度 を知 るうえで重要な作品であるに も関わ らず 、部分的 に取 り上 げ られるこ とはあつて も体系 的な研 究 はほとんど な されていなかったのが現状である(3)。 筆者の知 るか ぎり、

Claude Debonが

V」sovie大学でのシンポジウムで、この作品の持つ二重構造 と意味の あいまい さ に着 目しなが ら、作品解釈 を試みた14J程度ではなかろうか。そこで本稿 では、 特 に語 り手 の視 点が 変化 して い る とい う特 徴 に着 目 し、 そ の こ とが エ クリ チュールにいかなる影響 をあた えているかを分析す ることによつて、Apollin譴 re

(3)

0“`ゾθ―ツ `′ にみられる異界構築の方法 の初期 短篇作品の技法の ^端を明 らか に したい。 Ⅱ 0“ινわ―W′は内容 の面か ら前半部 と後半部 にはっ き りとわけることがで きる。 前半部 では登場 人物 や舞台 となる場所 に つ いて詳 細 な説 明 が な され るのみで、 物語 に動 きは 見 られノない。それ に対 して後半 部 では、居 酒屋 の娘Chancesseを め ぐって、主 人公のQuc v10-VC?と通称BabOの 殺 しあいが描 か れ、物語が展 開す る。 この ように前 半部 と後 半部 とはいわば「静 と動」 とい う対 照的な働 きを担わさ れている。 この異質 な両者 を連結する役 割 を果たすかの ように、ア ステ リスク 記号で区切 られた部分が前半部 と後半部 とのあい だに挿入 される。語 り手の変 化 に注意 しなが ら、この3つの場面をそれぞれ順 を追って検討 しよう。 前半部では、語 り手の役割は匿名の存在 で物語の背景 を説明することにある。 物語の舞台にはベルギーのアルデンヌ地方が選ばれている。Apolunareは 19才 の ころ短期間ではあるが実際に、伝説や神 話の多 く存在するこの地方 に滞在 して いたのこの作品の着想がその 頃すでにあ ったことは、詩人の残 した ノー トの内 容か ら想像で きよう6)。 当時その周辺はベルギー領ではな くプロシアの支配下 にあったた め、政治 的にはプロシアに属 しなが ら、言語、文化はワロン地方固 有の もの とい う複雑 な地域で あったとい う事情が ある。 さ まざまな要素が交錯 している土 地に、この新芸術 の促進者が創作の着 想 を得た ことは容易 に想像で きる。すでに指摘 した とお り16u、 Apollin“には特にワロン語 に興味を示 し、こ れを作品の 中で多彩 な使い方 をすることによって、舞台装 置 としてのはた らき 以上の文体的価値 を担わせるほどであった。 冒頭部分では、QuC V10-ve?が、アルデンヌの森 との関連か ら描写 されている。 ここではQue v10-ve?が 神話、伝説の存在する森の神であると紹介 され、また文 末の中断符の効果 も手伝って、読者に幻想的なイマージュを与える。

(4)

0“`ツJθ―ツ

`′

にみ られ る異界構 築 の方法

dc Bclgiquc.…

Que V10-VC?6taitla divinit6 de cctte foret ot erra Geneviё vc de Brabant,depuis ies bords dc la Mcuse jusquhu Rhin,par l'EiたI volcaniquc aux mers mol‐lcs quc sont ics

mares de Daun,1:Eifel oふ jaiHit la source de Saint―Apollinaire,ct oふ le lac de Maria

Laach est un crachat de la Vierge。`

しか し、それに続 く場 面で、Que V10-Ve?の 容姿 の醜悪 さが語 られ、 さ らにQue

vlo―ve?が 人 間であ る とい う こ とが 明 か された 瞬 間に、わ れわれは 感覚 の転 換 を

迫 られ るこ とになる。Que v10-Ve?は 神 なのか、それ とも人 間なのか。語 り手 は 謎 を未解決 の まま残 す 。 ここ では もはや 中断符 は用 い られ ず 、 ビリ オ ドが それ に とつて変 わ ってい る。

Lcs yeux de Que V10-ve? clignotants et chassieux,a chair des pauplё res rouge de

jambon cru,lamloyaicnt sans cesse ctles iarmes lui br01aient les lё vrcs comme l'cau des

fonttlines acidcs qui abondent dans ies Ardennes.(¨ 。)

QuC V10-Ve?c'est― a―dire:ο

“ινθ“たて― ッθ

“∫′Wa1lon wa1lonnant dc Wanonic 6愴 it nё prussien a MOnt,lieu appelё Berg en aHemand et situ6 prё s de Malln6dy surle chenlin

qui lnёne dans ccs dangereuses tourbiё res appc16cs Hautes―Fangcs ou Hautes―Fagnes,ou plus justem6nt Hohe― venn,puisquion est en Prusse dah,comme liattestent des poteaux

noir et blanc,sable et argent,couleur de nuit,couleur dejour,sur toutes ies routes. Que V10-Ve?p“κraltson sobHquet a sOn nOm:Poppon Remacle Lchez.°

引用からわかるとお り、語 り手はQuc v10-Ve?が生まれた土地モンについて街 学的といえそうなほ ど詳細な注をつけている。物語の冒頭部で伝説や神話をと りこみなが らアルデ ンヌの森 を描写 していたことも考慮す るならば、前半部に おける語 り手の役割 は客観的に事物を記述することにある と言えよう。語 り手 がわれわれに提供す る詳細 な記述が事実であるだけに、なお一層読者は、Quc vlo―ve?と いう主人公に対する謎が深 まるとい うパラ ドックス的状況が生み出さ

(5)

0“ `ソ′θ―ツ`′ にみ られ る異界構築の方法 れているのである。 しか し、 このような語 り手のな1点はアステリス ク記号をさ かいにして大きく変化することになる “ )。 III 前 半 部 と 後 半 部 を つ な ぐ位 置 に挿 入 さ れ た場 面 で は語 りの形 式 が 突然 、三 人 称 か ら一 人称 に変 わ る。

II faut inaintenant prendre son courage a dcux mains,car voici llinstant difllcile.II

s'agit de dire la gloil・e etla beaut6 du gueux d6gueniI16 Que V10-ve?etdu p(発 te Guillaumc

Wirin,dont ics gucniHes couvraient aussi un bon gueux gucusant. A1lons d'ahan!.¨

ApoHon!Inon Patron,tu t'essouffles,va― t'cn!Fais、アenir cet autre: Herinё s ie voleur, digne plus que toi de chanteria mort du WaHon Que V10-Ve?sur iaqucHe se lamentent

tous ies eifes de l'Amblё ve.QuII Vienne,voleur subtil,aux pieds ai16s,

ルr爾″s,ごJ`“虎 ″Jy′ιανθた

“rル″θ″ρ`α

鷹,

qulljette sur Que V10-Ve?et suria Chancesse toutes ies mouches ganiques que l'on croit, au nord,toumlenter certaines宙 es comme une ramli“ .Qull amene avec sOi mon sccond Patron,en mitК etメ u宙J,ItVeque s西nt Ap011in譴К。(¨。)(下線 は 引 用 者

)0

下線部か らわか る とお り、 語 り手がギ リシア神 話 の神 ア ポ ロンを 自分 の 主人

であ る と感 嘆符 を用 いて強調 し、 また聖 職者 アポ リナ リス を第2の主人 と呼 ん

でい る。二

`F`s′J“ ご'島ο′ι 誌 に初 めて発表 された時 には、それぞれの箇所力ヽ

¨.ApoHon!Inon patron,mon cousin,tu t'cssouffles,va―t'en!>,<.¨mOn Second Patron

avec soi,mon onde en mitre>と なっていた(10)こ とも考 えあわせ れば、 この場面

は物語の作者Apollinaireが突如現 れた ところであ る と考 えるこ ともで きる(11)。

ここで語られていることは、Que v10-ve?の死の暗示である。注 目しなければ

ならないのは、その死を歌 うのにふ さわ しい神 としてオリンポス12神の一人ヘ

(6)

0“ `ソ′θ―ツ`′ にみられる異界構築の方法

5

いるとお り盗人の神 であ り竪琴の神で もあるが、 同時に死者の魂 を冥界に送 り 届 ける神で もあった。光の神 アポ ロンか ら霊塊 を冥界 に導 く神ヘル メスヘの交 代は、Que V10-Ve?の 死 を読者 により深 く印象づける役割 を果た している。われ われは物語の前半部で、Que V10-Ve?が 神かそれとも人間か という疑間を抱いた が、ヘルメスの登場 によって死すべ き存在 としてのQue v10-Ve?の 像のほうが現 実F/tを帯 び ることになる。 しか し、 この挿入 され た場面の あ と直ち にはつきり

とその死が明 らかにされるのはQue v10-Ve?で はな く、その恋敵のBaboの ほうで あることを考 えれば、ヘ ルメスの登場 は逆 に読者 を混乱 させ る要素 として働 く ことになろ う。では、語 り手 が一人称で登場す ることによつて、物 語の展開に どの ような影響があ るのであ ろうか。物 語の後半 部にみ られるエク リチュール の変化か らその問いにひとつの解答 を見いだ したい。

IV

前半部 と後半部 とでみ られ る、 もっと も顕著 な違いはアステリス ク記号で区 切 られるひとつひとつの場面が短 くなっていることである。Andだ Fonttyneは、 短 く分割 された場面 は、物語 の展開が速 ま り緊張 感が生 じるため ドラマチ ック な効果 を もた らす 、 と述べ ている(12)が、それ と同時にその場の雰囲気や環境 の コン トラス トが明確 になる ともいえる。この短 く分割 された場面 を注意深 く 読めば、そ れぞれに時間の経 過 を示す指標が現 れているこ とに気づ く。前半部 では、最終 部分で日暮れ時で あることが示 される以外 に時 間を読者 に知 らせる ものはまった くなか った。後 半部は時間の経過 を重要視す るかの ように、まず 最初 に時間の設定がなされる。

La nuit 6tait venuc.L Chancesse disait tottours ie chapeleto Sur la table,prёs des

bouteilles vides ou pleines de rket,unelampe a〆 tЮle bradllait et fumait。(3)

(7)

0“

`ソ′θ―ソ`′ にみ られ る異界構 築の方法

が 沸騰 して ゆ く様 子 が そ れ ぞ れ の分 割 され た場 面 に配 置 され て い る。

1.II mangcait icntcment cn 6coutantjasel‐ scs COmpagnons,ct aussi bouiHi「 1'cau

pourlc caf6 de la Chancesse.

2。(..。)la bOuiHOirc chanttit plus ibrt。

3。Surle feu,1:eau 6tait en colё re,cHe nasillait, ()nllait,ronchonnait.

4.L'cau bouillait.

5_ Surle fbu, licau lnunnuraitla pHё re des lno由_(14)

1から5へ の変化 はそれ ぞれ、1.二人 の1宣嘩 が始 ま る前 、2と3.喧嘩 の最 中 、4.

Que V10-Ve?がBaboを 殺害 し、その腕 を切 り取 った ところ、5。殺害 された男 に女

が祈 りを棒 げ る場 面 、 に一致 している。 水が沸騰 す るあい だに、喧 嘩の きっか けか ら、決 着 がつ くまでの時 間が収 まっ てい るこ とか ら、 この争 いが短時間で あ った ことは明 らか であ る。 アス テ リス ク記号の 間隔の変 化が場 面 の動 きの速 さを補 強 してい るこ とが理解 で きる。前 半部 と後 半部 との この時 間 に対す る感 覚 の違 いは 、語 り手 の役割が 変化 した こ とに呼応 している とわれわ れは考 えた い。つ ま り、一 人称 の語 り手 は、物語の 現場 に入 り込み、 そ こで起 こっている 切迫 した緊 張感の あ る場 面 を読者 に直接 伝 える役 割 を果 た してい るのである。 この仮説 を裏付 ける証拠 は二 つある。 ひ とつは前 半部 では ワロン語 に対 して詳 細 な注 をつ けていた 三人称 の 語 り手が、 一 人称 の 語 り手 に変 わって か らは一切 注 をつ けず 、 フラ ンス語 か らは意味 を類 推 す るこ とが困難 なまま記 述 されてい るこ とが あげ られ る(15)。 ここで は雰 囲気 や環境 を示す ため の ワロン語 、異 質 な言語 と しての ワロ ン語の働 きは解消 され、読者 は眼前 で行 われて いることを その ままの 形 で受 け 取 るこ とが要求 され る。そ こ には ワロ ン語 に注釈 は必要 な いわけである。もうひとつの証拠は、語 り手の日から、感嘆符をともなった< M激s voici llinsttnt superbe!>(り のような一文が発せ られていることである。緊張 感ある場面 を伝える語 り手の息づかいが感 じられるところであろう。われわれ

(8)

0“ `ツ′θ―ツ`2にみ られる異界構築の方法 は二人称 の 語 り手が 一 人称 に転 じた こ とで引 き起 こされた文体 の変 化 を明確 に 観 察 で きるので あ る。

V

物語の最 終場面は、再 び語 りの形式が 三 人称 に戻 る。舞 台は冒頭 部 と同 じア ルデンヌの森に移 り、神話的なイマージュで物語が閉 じられる。

(.¨)1'Arnblё ve 6tait proche et coulait froide,cntre les aunes qui lleΠ linanteHcnt.Les

ellじs faisaient craquer leurs petits souliers de verre,ur les perics qui couvrent le lit de la Hviё re.Le vent perp6tuait inaintenant ics sons tristes de la guitare.Les voix des elfes

tmvcrsaientitau,ct QuC V10-ve?du bord les entendaitjtter ―Mnlcu,mnleu,mnleu.

Puis il descendit dans ia Hviё re,et,corrlrrle eHe 6tait froide,il eut Pcur dc mourir.

Hcureusementles voix des elfes se rapprochaient: ―Mni6,mni6,mni6.

Puis,κθ″3ごJ DJθノdans ia riviё re il oublia brusquement tout ce qulil savait,et connut que l'AInblёve communiquc souterrainement avec le Lだ th6,puisque scs caux font perdre

connaissanteo Aた刀η tt D′θノMais ies elfes jasaient si jollment maintenant,de plus en

Plus prёs:

―Mnlё,mnlё ,mnlё.¨

Et partout,a la rOndc,lcs elfes desノリ “

乃θ∬,ou fontaines qui bouillonnent dans ia

foret,leur r6Pondaient.¨(lη

殺 人 を犯 したQue V10-Ve?は 、 ア ン ブ レー プ河 に身 を委 ね る。 こ こで は北 欧 の 民 間信 仰 で 祖 先 の 霊 と され る 妖 精 エ ル フ が登 場 して い る。 エ ル フは しば しば人 助 け を し、 また 意 地 悪 もす る 。 そ して一 般 的 に光 や 空気 の 中 に住 む もの は美 し

(9)

v10-0′ `ソ Jθ―ツ `′ にみられる異界構築の方法 ve?の死が ギ リシヤ神ヘ ル メスの 出現 に よって暗示 されていたが、 この場 面では エ ルフはQue V10-Ve?を 救 ったのか、それ ともア ンブ レーブ河 に流 されてい く姿 を見 て楽 しんでい るのかが曖味 な ままであ る。読者 と しては、 冒頭部 でQue v10-ve?がアルデ ンヌの森 の神 であ る と訴われていた こ とを思 い出す 限 り、 ます ます 主人公 の死 を断定 で きな くな る。ギ リシ ャ神話 の 神 と北 欧 神話の妖 精 とい う異 質な ものの 組 み合 わ せ に よっ て、驚異の 置界が創 生 された のであ る の物語 の最 後が 中断符 で終 え られてい る こ とも、冒 頭部分 と同様 、わ れわれ に森 の神話 的 幻想 的なイ マ ー ジュ を抱 かせ る とともに謎 めいた余韻 を残 す機 能 を果 た してい る。語 り手 は物語 か ら距離 をおいて、客 観 的 な記 述 をす る こ とに終 始す る。読 者 は現実 と非現実 の 間 に宙づ りに された ような状 態で放 り出 され しま うのであ る。 VI 以上の ように短篇作品2“ιν′θ―νι′では、異質なものの組み合わせにより、読 者 に驚異に満 ちた世 界 を提示 している。つ まり物 語の舞台 は国境の複雑な地域 を選び、伝 説上の人物や古代 ギ リシヤの神、北欧 の妖精な どを同 じ空間に共存 させ、また ワロン語 、 フランス語、ドイ ツ語 とい った言語 を会話に組み込むな どの技法で ある。そ して、語 り手の視点が変化す ることで 、物語の もつ幻想的 な面 と現実 的な面 とが違和感 な く融合 し、いっそ う驚異的空間がひろがってい る。また2“ινJθ―ソ `′ とい う、疑問符 をともなったタイ トルと主人公の名前がす でに暗示 していたか の ように、アステリスク記号 や中断符 、感嘆符 などの記号 が物語の進行 に効果的に機能 していることも明 らか となった。 Apollh譴κの創造する驚異的世界は、以後 の作品では科学技術の結果生み 出さ れた装置を物語に登場 させ ることで、さらに巧妙 な形で提示 されることになる。 また詩の分 野におい て も句読 点の廃止や カリグラム詩の創 作 などを とお して常 に「新 しさ」 を求めてい く。この ような詩人の姿勢は、科学技術の発展 により、 現実 と虚構 の境界線 が微妙 に なってゆ く現実世界 の変化 を とらえなが ら、さら

(10)

0“ `ツわ―ツ`′ にみ られる異界構築の方法

にそれ以上に新 しいものを発見し、創造 しようとする詩人の態度「エスプリ・

ヌーヴォ」であると言えよう。

2“

ι ソ

θ―

ι

は、彼の革新的な作品と比較すれば

現代性という面は強 くないものの、彼の考える芸術観つまり人間を時間的空間

的東縛から解放 し、新 しい世界を創造する詩人の役害

Jと

いう面は十分に表現さ

れていることに注目したい。

このあ とは、レ Rttι α∫∫α∫∫J′だ の第

2章<PЮ

cr6ation>と ιιソわ―ソι′とをエ ク リチ ュールの面 か ら比較対 照す るこ とに より、Apollinaireが考 えていたc“ι ソ′ο― w′の続編 の意図 を探 る作業が必要であ るの現在 まで、レ 乃 υ′ια∫∫α∫∫J“びに登場

す る人物Vたrs61in Ti30bOthの名前が草稿 で はQue V10-Ve?と な っていた こ とに注 目

した精神分析 的 アプ ローチか らの研 究 はな されて きた(1め が、の `ソJθ―ツι′を発展 させ ようと した詩 人の意 図 を抽 出す る作業 は残 された ままであ る。 また、こ″ιttεんα′2たこιr′θJ`rrttα″ との関係 を明 らかにする作業 も必要である。こ の作品には、2“ιツわ―ツι7と共通するイマージュが存在 し、さらに草稿の一部がル ′θど″ αSSαSSJκど に転 用 され て い る。② `ι νJθ―ソι′との ちの シ ュ ル レア リス トた ち に影響 をあ た え た0ガ “ crj″ lig“ιを含 むL′ιttελα″た “ r′ο “ rrおsα″ とを比 較 す る こ と により、Andr6 Bretonが 言つた<sumaturJisme>の 本質が一層明確 にで き、さらに

Apollindreと シュル レアリスムとの技法上 の距離を知る手がか りとなるの ではな かろ うか。この点について も今後の言果題 としたい。 注 (1)Andだ Breton,ルs′αs′ι″グ “ S,Gallimard,1949,p.31 (2)0。P。,p.1153

(3)Andだ FonteyncとMaddeine Bdssonは それぞれ比喩 と神話的イマージュを中心

に分析 しているが、体系的にo“ιソわ―ツι′を論 じた ものではない。

(4)テ キス トにあ らわれた二重性 とい う観点か ら登場人物 を論 じてお り示唆に富 む研究である。 しか しDebon自 身が語 つているとお り、物語の細部にわたる分 析 に至 っていない点力や階 しまれる。

(11)

0“ `ソ′θ―ツ`′ にみられる異界構築の方法 (5)ノ ー トには ワロン語の注釈 や アルデ ンヌ地方で良 く知 られている詩 な どが書 き留 め られてい る。

(6)伊

勢 晃,「驚異創造の技法からみたアポリネールの文体」,日本文体論学会 第72回大会 (1997年

H月

15日 於:関西大学

)に

おける口頭発表。 (7)O.P。,p.148 (8)い くつ か の 版 を参 照 したが 、 プ レイア ッ ド版 の み 前 半 部 と後 半部 をつ な ぐア ステ リス ク記 号が省 略 され て いた。本 論 で も触 れ て い る とお り、c“ιν′θ―ソ `′ にお い て 、 ア ス テ リス ク記 号 は物 語 の 展 開上 重 要 な機 能 を呆 た してお り、 こ れが 省 略 され る こ とは大 い に問題 で あ る と考 え る。 (9)OoP。 ,p.151 (10)OoP。,p.1133 (11)Apollin激 reは、 聖 職 者 ア ポ リナ リス を 自分 の守 護 神 だ と考 え て い た。

(12)Andr6 Fonteyne,ス ψθllim″ι′rθ∫α″

“r,p.124 (13)O.P。,p。152 (14)1.¨.0.P。,p.152, 2.… OoP。,p.155,3,4,5。 .¨O.P.,P。 156 (15)注(6)参照 (16)O.P。,p.155 (17)0。P.,p.157 (18)レん ど′ια∫∫ “

Sfだ にお い てViersdin Tigobothは 主 人公CrOmaman搬1の父 親 で あ る。 た とえ ば 、Fran9oiSe Diminmanは 、草稿 で Viers61in Ti30bOthが Quc v10-Ve? とな って い た こ とに着 眼 し、Quc V10-Ve?=父親 、BabO=子と考 え、Quev10_ve?

力ヽaboのア ナ ル に ナ イ フ を突 き刺 す行 為 が 負 の オ イ デ イプス コ ン プ レ ックス の 表 れ だ と して い る。 この考 え に対 して はclaude Debonが異 論 を唱 え て い る。 ε√.Claude Debon,Lccture de 2〃

(12)

0“

`ツわ―ソ`′ にみ られる異界構築の方法

使用 テキス ト

Guillaumc Ap()Hinairc:L′r妥分ιJJαr9“ι tt σJι,P.―VoStock Editeur,1910

GuiHaume Apollinaire:αttνrι∫ικ′″θ∫ιムBibliOthёque de la P16iade(GaHilYlard),1977 (o.Pと田各言己)

主 要 参 考 文 献

AndだFontcyne:Apθ 〃滋αlirιrθ∫α″

“ r,Nizet,1964 ChHstian Fettweis:/7)θ ′JJ“J″ι “ /レαθ “

″ι,Libiniric Renё HenHquez,1934 Claude Debon:Lecture de O“ ιl′わ―ソι′,dansレ∫θαんただ ごιИzパθl′Jι iゃθ〃Jκα″ια

“ ″θttrr協

“″グ“

∫J′ε″ り,Editions de l'universi“ de Va厖ovic,1980

Claude Debon:Aρ θ〃J″αfrι Gたド∫αJrιご `∫

α “ソ

rι∫εθ″ρ診たS,Publications de la Sorbonne

nouvcnc PaHs III,1988 Jean Rcmiche:A“ ′αガ 虎Srr2ッθゎ″a′′″

“ rι θヵ所 励ι″ 虎 胸s″θ″J″ガ″滋νικαノ″ G“JJ滋 “ ″

`々

θJJJ“αJ″,Editions JoChauveheid,1986

Madeleine Boisson:ノ卸フθ筋″αJrι θ″″∫″yttθわgJιs α″万9“ιs,SChena―Nizet,1989

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““ ια

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“θd`Jlittご ra″“

rιθθη ι

″Jθじ″ι

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`ノンθJJli“αJ″ ι′″Ardικ″ι,Jacques Antoine,1975

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`′

J′″ι

∫″たNθ2f,janvier― mars,1996

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