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GLn(F) の放物型誘導表現

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(1)

GL

n

(F )

の放物型誘導表現

今野拓也

2014

9

12

導入

この原稿の内容はサマースクールでは佐藤信夫さん(京都大学)が講演されたものだが, 諸事情により報告集原稿は私が担当することになった. ここでは p 進簡約群の基本的な例である非アルキメデス局所体 F 上の一般線型群 GLn(F )の表現論を扱う.GLn(F )は完全不連結局所コンパクト位相群であり,その表現 論の基礎は[9]で準備されている.そこでは表現の構成法として2種の誘導表現が導入さ れたが,この原稿ではその特別な場合である放物型誘導表現を詳しく調べる.その際に重 要な道具となるのが[10]で導入された放物型部分群に沿ってのJacquet関手である.これ らの関手の基本的性質を[9], [10]から復習した後,放物型誘導表現で表現を構成する際の 出発点となる超尖点表現を導入する.与えられたレベル(ないしは導手)と中心指標を持 つ既約超尖点表現は有限個しかない.この性質により,許容表現から超尖点表現を切り出 せることを示し,それを用いて既約表現の超尖点台と呼ばれるデータを定義する.与えら れた超尖点台を持つGLn(F )の既約表現の分類はこの後の[5], [7]で解説されている.そ の構成(Gelfand-Kazhdan理論)はGLn(F )に特化したものだが,ここで扱う超尖点台ま では一般のp進簡約群でも類似の結果が成り立つ.各節の内容は以下の通りである. 最初の節ではGLn(F )の構造のうちで表現論に用いられるものを復習する.特に放物 型部分群とWeyl群はこの原稿で重要な役割を果たす.1.3節では完全不連結群としての GLn(F )の極大コンパクト部分群を分類し,それを用いた分解定理と関連する積分公式を 用意する.ここでは一般のp 進簡約群のBruhat-Tits ビルの理論への導入になっていて, 九州大学大学院数理学研究院.〒819-0395福岡市西区元岡744番地 電子メール: [email protected] ホームページ: http://knmac.math.kyushu-u.ac.jp/konno/

(2)

さらにGLn(F )の内部形式にも適用できる[4]の構成を紹介した. 2節では[9], [10]で用意された誘導表現とJacquet加群の性質を放物型部分群に限った 形で復習する.解説する性質のほとんどは既にそれらの原稿で証明されており,ここで新 たに示される内容は,放物型部分群に沿ってのJacquet関手が許容表現を許容表現に送る こと(Jacquetの補題)だけである. 続く3節では超尖点表現を導入し,その性質を調べる.まず中心がコンパクトである完 全不連結位相群の有限表現という概念を定義し,それらが任意の代数表現から直和因子 として取り出せることを示す.有限表現は中心がコンパクトでないと存在せず,それを GLn(F )のように非コンパクトな中心を持つ群に適応させた概念が準尖点表現である.既 約な準尖点表現は許容表現であり,従って超尖点表現である.ここでの主結果は既約超尖 点表現が許容表現の部分表現や商表現として取り出せることである.なお,サマースクー ルでは講演時間が限られていたことから,この節の内容の多くは割愛していたことをご了 承いただきたい. 最後の節では超尖点表現からの放物型誘導表現を考察する.具体的には GLn(F )の任 意の既約表現に対して,それを部分商に持つ超尖点表現からの放物型誘導表現が同値を除 いてただ一つあることを保証する.

記号

G の元 g が引き起こす内部自己同型を Ad(g)x := gxg−1 と書く.G の中心を Z(G) と書き,部分集合 S ⊂ GG での中心化群と正規化群をそれぞれ ZG(S) := {g ∈ G | Ad(g)s = s, s ∈ S}, NG(S) := {g ∈ G | Ad(g)S = S}で表す.より一般に群 Gが集合X に作用しているとき,S ⊂ X の安定化群をStab(S, G) :={g ∈ G | gS ⊂ S} と書く. 環 R に係数を持つ m× n 行列の集合を Mm,n(R) で表す.特に n× n 行列の環を Mn(R)と書き,単位行列を1n∈ Mn(R)と書く. この原稿では群 G の表現(π, V ) と言えば,C ベクトル空間V と群準同型π : G GLC(V )の対を指す.ここで V のC線型自己同型群をGLC(V ) と書いている.Gの単 位表現を(1G,C)と書く.Gの表現(πi, Vi), (i = 1, 2)に対して,それらの内部テンソル 積表現1⊗ π2, V1CV2)を 1⊗ π2) (g) (v1⊗ v2) = π1(g)v1⊗ π2(g)v2, g∈ G, vi ∈ Vi で定義する.一方,群 Gi の表現 (πi, Vi), (i = 1, 2) が与えられると,G1 × G2 の表現

(3)

1⊠ π2, V1CV2)が 1⊠ π2) (g1, g2) (v1⊗ v2) = π1(g1)v1⊗ π2(g2)v2, gi ∈ Gi, vi ∈ Vi で定まる.こちらは (πi, Vi) の外部テンソル積表現と呼ばれる.π1⊠ π2 : G1 × G2 GLC(V1 CV2)がG1× G2の商群H を経由するときには,それから得られるH の表現 も1⊠ π2, V1CV2)と書く.またGが部分群H, N の半直積H⋉ N のとき,H の表 現(π, V )N の1次元表現χ : N → C×H で正規化されるものに対し,Gの定義可 能な表現(π⊠ χ, V )(π⊠ χ)(h ⋉ n)v = π(h)χ(n)v, h ∈ H, n ∈ N, v ∈ V で定まる.

目次

1 GLn(F )の構造 4 1.1 放物型部分群 . . . 4 1.2 Weyl群とBruhat分解 . . . 6 1.3 位相群Gn(F ) . . . . 8 2 放物型誘導表現とJacquet加群 17 2.1 放物型誘導表現 . . . 17 2.2 Jacquet加群 . . . 19 2.3 Bruhatフィルトレーション. . . 21 3 超尖点表現 22 3.1 有限表現 . . . 22 3.2 超尖点表現の定義 . . . 27 3.3 R(G(F ))の直和分解 . . . 32 4 超尖点台 39

(4)

1

GL

n

(F )

の構造

F を(非アルキメデス)局所体とする.F に関する記号は[8]に従うものとする.特に F の正規化された絶対値を| |F と書く.整数環O ⊂ F は最大のコンパクト部分環である ことに注意しよう. 自然数の集合 N は0 も含むものとする.n ∈ N に対して F 上の n次一般線型群を G = Gn := GLn と書く.すなわち任意の可換F 代数Rに対して,n > 0ならばGn(R)n次行列環Mn(R)の単元群を,G0(R)は単位群{1}を表す.Gn(F )は横ベクトルの 空間Fn に右から自然に作用している.

1.1

放物型部分群

Fn の部分空間の減少列 V• =(V0 = Fn ⊋ V1 ⊋ · · · ⊋ Vr = 0)

Fn内の部分旗(partial flag)という.di := dimF Vi として(d1, d2, . . . , dr)をV•

符号数(signature)と呼ぶ.旗V• の安定化群PV•: PV•(R) := { g∈ Gn(R)| VRig = V i R, 0≤ i ≤ r } をGn の放物型部分群(parabolic subgroup)という.ただしF ベクトル空間V と可換F 代数Rに対してVR := R⊗F V と書いている.その部分群 UV•(R) := { g∈ PV•(R)| vg ∈ v + VRi+1, v∈ V i R, 0≤ i < r }

PV の冪単根基(unipotent radical)という.また各Vi でのVi+1 の補空間Wi を固定

すれば,直和分解Fn =⊕ri=1 WiおよびPV•Levi成分(Levi component)

MW(R) :={g ∈ PV(R)| Wi,Rg = Wi,R, 1≤ i < r} が定まり,Levi分解PV• = MW ⋉ UV• が成り立つ.部分旗V1•, V2 の符号数が同じな らば,g ∈ Gn(F )V1ig = V2i, (0 ≤ i ≤ r)を満たすものが取れる.従ってPV1PV2 は互いにGn(F )共役である: PV2 = Ad(g−1)PV1. 特に (完全)旗,すなわちdi = n− i, (0 ≤ i ≤ n)となる旗V• に付随する放物型部分 群をBorel 部分群という.そのLevi成分は Gm = GL1 の直積 Gnmに同型な Gn の極大 トーラスである.

(5)

■標準放物型部分群 正整数 n ∈ R>0 を固定する.正整数の列 n = (n1, . . . , nr) で ∑r i=1 ni = nを満たすものをnの順序付き分割(composition)という.これは直和分解 {1, 2, . . . , n} = r ⨿ i=1 Ii(n), Ii(n) = { 1 + i−1j=1 nj, 2 + i−1j=1 nj, . . . , ij=1 nj } を与えるが,各Ii(n)を順序付き分割nの分節(segment)という.順序付き分割mn の細分(refinement)であるとは,nの任意の分節Ii(n)mのいくつかの分節の合併で あることとする.このことをm < nと書く. Fn の標準基底を{e1, . . . , en}, ei := (0, . . . , i 1, . . . , 0)と書く.順序付き分割nに対し てWn,i:= ⊕ j∈Ii(n) F ej ⊂ F nとおくとき, Vn := ( Vni := ⊕ i<j<r Wn,i ) 0≤i≤rnに付随する標準旗という.これに付随する放物型部分群は Pn(R) := PVn•(R) =      Ö A1,1 . . . A1,r . .. ...

0

Ar,r è ∈ Gn(R) Ai,j ∈ Mni,nj(R)     , Un(R) := UVn•(R) =            à 1n1 B1,2 . . . B1,r 1n2 . .. .. . . .. Br−1,r

0

1nr í Bi,j ∈ Mni,nj(R)           

で与えられる.直和分解Fn=⊕ri=1 Wn,iに付随するPn のLevi成分は

Mn(R) := MWn,•(R) =          á g1 g2

0

. ..

0

gr ë gi ∈ Gni(R)         

である.Pn の形の放物型部分群をGnの標準放物型部分群(standard parabolic subgroup)

といい,Mn をその標準 Levi成分という.また標準放物型部分群の標準Levi成分をGn

の標準 Levi部分群という.標準放物型部分群の集合は,Gn の放物型部分群の Gn(F )

共役類の完全代表系をなす.特に n = 1n = (1, . . . , 1) に付随する Borel 部分群を

(6)

注意1.1. 順序付き分割n = (n1, . . . , nr)とσ ∈ Srに対してσ(n) := (nσ−1(1), . . . , nσ−1(r)) とおけば,標準Levi 部分群MnMσ(n)Gn(F )共役である.しかし放物型部分群 PnPσ(n)は必ずしも共役ではない.このようにGn(F )共役なLevi部分群を持つ二つ の放物型部分群は互いに連携している(associated)と言われる. 2つの順序付き分割m, nに対して,Pm ⊂ Pn, あるいはMm ⊂ Mn であるためには m < nであることが必要十分である.このときnの分節はIi(n) = ⨿ ri−1<j≤ri Ij(m) と分解され,ni の順序付き分割 mi := (|Iri−1+1(m)|, . . . , |Iri(m)|) が得られる.この とき PMn m (R) := (Pm∩ Mn)(R) =      Ö p1

0

. ..

0

pr è pi ∈ Pmi(R)      はMmの標準放物型部分群である.

1.2

Weyl

群と

Bruhat

分解

対称群Sn を置換行列のなすGn(F )の部分群 ¶ n(σ) :=(δi,σ(j) ) i,j | σ ∈ Sn © と同一視する.容易にわかるように,Tn の中心化群ZGn(Tn)はTn 自身で,正規化群 はNGn(Tn) = Sn⋉ Tnである.商群 W = Wn= WGn(Tn) := NGn(Tn)/ZGn(Tn) = SnTnGnでのWeyl群という.これはTnσa1

0

. ..

0

an è ) := Ad(n(σ)) Ö a1

0

. ..

0

an è = á aσ−1(1) aσ−1(2)

0

. ..

0

aσ−1(n) ë と作用する.

(7)

同様に標準Levi部分群Mn, (n = (n1, . . . , nr))でのWeyl群 WMn = WMn(T n) =      Ö n(σ1)

0

. ..

0

n(σr) è σi ∈ Sni      が 考 え ら れ る .各 分 節 Ii(n) の 置 換 群 を SIi(n) ≃ Sni と 書 け ば ,こ れ は S n :=r i=1 SIi(n) と同一視される.置換 σ ∈ Snn の各分節 Ii(n) 上で単調増加であ るものをnからの切り混ぜ(shuffle)という.それらの集合 WMn = ß σ ∈ Sn σ(k) < σ(l), (k < l, ∈ Ii(n)) 1≤ i ≤ r ™ は 剰 余 類 集 合 Sn/Sn の 完 全 代 表 系 で あ る .さ ら に 二 つ の 順 序 付 き 分 割 m = (m1, . . . , ms), n = (n1, . . . , nr)に対して,σ ∈ Snσ(k) < σ(l), k < l, ∈ Ii(n), 1≤ i ≤ r; σ−1(k) < σ−1(l), k < l, ∈ Ii(m), 1≤ i ≤ s を 満 た す も の の 集 合 を MmWMn と 書 け ば ,こ れ は 両 側 剰 余 類 S m\S n/Sn = WMm\W n/WMn の完全代表系である. 補題1.2. (i)直和分解 Gn(F ) = ⨿ σ∈Wn Bn(F )n(σ)Bn(F )が成り立つ. (ii)標準放物型部分群P = M U , Q = LV に対して,直和分解 Gn(F ) = ⨿ σ∈MWL P (F )n(σ)Q(F ) が成り立つ. 証明. (i)直和になることは少し面倒なので,Gn(F ) =σ∈Sn Bn(F )n(σ)Bn(F )とな ることだけを n に関する帰納法で示す.n = 0 のときは自明である.n ≥ 1のとき, g∈ Gn(F )を取る.その1列目の成分gi,1 で0でないもののうち,iが最大のものをga,1 とする.(k, l)行列単位をEk,l:= (δi,kδj,l)i,j と書いて u := 1n− a−1i=1 gi,1 ga,1 Ei,a ∈ Un(F ) とおくと,ugの1列目はt(0, . . . , a ga,1, . . . , 0)となる.次に右から u′ := 1n− nj=2 ga,j ga,1 E1,j ∈ Un(F )

(8)

をかけると, ugu′ =         0 ∗ . . . ∗ .. . ... ... ga,1 0 . . . 0 .. . ... ... 0 ∗ . . . ∗         となり,さらにσ := (1, . . . , a)∈ Sn(巡回置換)として, n(σ)ugu′ = Å ga,1 g1 ã , g1 ∈ Gn−1(F ) と書ける.ここで帰納法の仮定からg1 = b1n(σ1)b′1, (b1, b′1 ∈ Bn−1(F ), σ1 ∈ Sn−1)と 一意に書ける.よって g = u−1Ad(n(σ))−1 Å 1 b1 ã · n(σ) Å 1 n(σ1) ã · Å 1 b′1 ã u′−1 ∈ Bn(F )n(σ(1× σ1))Bn(F ) である. (ii)は(i)とその帰結P (F ) =⨿σ∈WM Bn(F )n(σ)Bn(F )から直ちに従う. 標準Levi部分群M , L⊂ Gに対して WM(L) := { σ ∈ WM | Ad(n(σ))MLの標準Levi部分群 } とおく.特にMLG(F ) 共役なときはW (M, L) := WM(L) と書き,W (M ) := W (M, M )とおく.M が順序付き分割nに付随するならば,W (M )nの濃度が等し い分節たちの並べ替えからなるSn の部分群である.また WM(G) = ⨿ L W (M, L) (1.1) である.ここでLM に共役な標準放物型部分群の集合を走る.

1.3

位相群

G

n

(F )

F 上の有限次元ベクトル空間Fn, (n∈ Z>0)にはF の位相の直積位相が備わっており,

これに関してFn は完全不連結局所コンパクト空間(totally disconnected locally compact

(9)

間となる唯一の位相である.特に行列環Mn(F ), (n ∈ N)はTDLC位相F 代数であり, その開集合 Gn(F ) =Mn(F )∖ {A ∈ Mn(F )| det A = 0} もTDLC位相空間になる.乗法Gn(F )× Gn(F )∋ (g, h) 7→ gh ∈ Gn(F )は連続であり, Cramerの公式からGn(F )∋ g 7→ g−1 ∈ Gn(F )も連続なので,この位相に関してGn(F )TDLC群となる.実際,n∈ Z>0に付随する主合同部分群を K(pn) := 1n+ ϖnMn(O) ⊂ Mn(F ) と定めれば,これらはGn(F )の単位元の開コンパクト部分群からなる基本近傍系をなす. 放物型部分群P = M U ⊂ Gnに対して,P (F ) ⊃ M(F ), U(F )などは,Gn(F )の閉部 分集合としての相対位相を備え,それに関してTDLC群になる. 1.3.1 極大コンパクト部分群 関数∥ ∥ : Fn → R≥0 で次の条件を満たすものをFn 上の高さ関数(height)という. (i) ∥v∥ = 0となるためにはv = 0が必要十分.

(ii) ∥av∥ = |a|F∥v∥, (a ∈ F , v ∈ Fn).

(iii) 超距離不等式∥v + w∥ ≤ max(∥v∥, ∥w∥), (v, w ∈ Fn)が成り立つ. 例えば ∥(x1, . . . , xn)0 := max1≤i≤n |xi|FFn 上の高さ関数である.より一般に a = (a1, . . . , an)∈ Rnに対して ∥(x1, . . . , xn)a := max 1≤i≤n q ai|x i|F も高さ関数になる.この形の高さ関数の集合をTn(F )のアパート(appartment)と呼んで App(Tn(F ))で表す.これを全単射 An(R) ∋ a 7−→ ∥ ∥a ∈ App(Tn(F )) によりR上のアフィン空間と見なす.NGn(Tn)(F ) = Sn⋉ Tn(F )App(Tn(F ))に 右移動との合成 ( n(σ) Ö t1

0

. ..

0

tn è ) ∥(x1, . . . , xn)a :=∥(t1xσ(1), . . . , tnxσ(n))a,

(10)

あるいはAn(R)の方で見るとアフィン変換 ( n(σ) Ö t1

0

. ..

0

tn è ) (ai)1≤i≤n = (

aσ−1(i)− valF(tσ−1(i)) ) 1≤i≤n により作用している. 事実1.3([4] II章命題3). 高さ関数∥ ∥ : Fn → R≥0Fn 内の完全旗V• に対して,直 和分解W =ni=1 Wi で次の2条件を満たすものがある. (i) Vi =⊕nj=i Wj, (0≤ i ≤ n);

(ii) v = v1 +· · · + vn, (vi ∈ Wi)と書くとき,∥v∥ = max1≤i≤n ∥vi∥.

事実の状況で1次元空間Wiの基底wiを取れば∥awi∥ = |a|F∥wi∥であるから,∥ ∥

Fnの適当な基底{w1, . . . , wn}に関して∥ ∥aのような形に書けるわけである.Fn 上の

高さ関数の集合をGnBruhat-Titsビル (Bruhat-Tits building)と呼び,B(Gn(F ))と書

く.App(Tn(F ))は直和分解Fn = ⊕n i=1 F ei に対して事実 1.3の条件が成り立つよう な高さ関数からなるB(Gn(F ))の部分集合である.B(Gn(F ))全体にはGn(F )g∥v∥ := ∥vg∥, g ∈ G n(F ), ∥ ∥ ∈ B(Gn), v∈ Fn と作用している.これはApp(Tn(F ))へのNGn(Tn)(F )作用の拡張になっている. Fn 内のO 格子(O-lattice)とは,有限生成部分O加群L⊂ FnFn の基底を含むも ののことである.これはL ⊂ Fn が開コンパクト部分O 加群であることに同値である. 例えばL0 := On ⊂ FnO 格子である.一般にO 格子L ⊂ Fn に対して,高さ関数 ∥ ∥L : Fn → R≥0∥v∥L:= inf { |a|F | a ∈ F× s.t. v ∈ aL } により定まる.もとの O 格子は ∥ ∥L から L = {v ∈ Fn| ∥v∥L≤ 1} として回復で きることに注意しよう.こうして O 格子から得られる高さ関数を Bruhat-Tits ビル

B(Gn(F ))の格別点(special point)という.例えば App(Tn(F ))内の格別点は,適当な

a = (a1, . . . , an) ∈ Zn に対するO 格子La :=

n

i=1 ϖaiOei ⊂ Fn に付随する高さ

∥ ∥La =∥ ∥aである.格別点∥ ∥L の固定化群

(11)

Gn(F )の極大コンパクト部分群である.特にApp(Tn(F ))内の格別点∥ ∥a, (a∈ Zn)

の固定化群KaTnについて好位置にある極大コンパクト部分群という.特にa = 0

に付随するものをK = Kn := Stab(On, Gn(F ))と書く.

定理1.4. (i)任意の標準放物型部分群P = M U に対して,岩澤分解Gn(F ) = P (F )Kn

が成り立つ.

(ii) Domn := {(a1, . . . , an)∈ Zn| a1 ≥ · · · ≥ an} と書くとき,Cartan 分解 Gn(F ) =

⨿ a∈Domn K aK nが成り立つ.ここで ϖa = á ϖa1 ϖa2

0

. ..

0

ϖan ë と書いている. 証明. (i) P = Bnの場合を証明すればよい.Bnは標準旗V• = ( Vi :=n j=i F ei ) 0≤i≤n の安定化群であった.任意の g ∈ Gn(F ) に対して,g−1 の行ベクトルたちで生成さ れ る O 格 子 を L := L0g−1, (L0 = ⊕ni=1 Oei) と 書 く . 事 実 1.3 か ら ,直 和 分 解 Fn =⊕ni=1 WiVi = nj=i Wj, 0≤ i ≤ n; (1.2) ∥v1+· · · + vn∥L= max 1≤i≤n ∥vi∥L, vi ∈ Wi, (1≤ i ≤ n) (1.3) を満たすものが取れる.各Wi の生成元 wi を取れば,同相写像F ∋ a 7→ awi ∈ Wi に よる開コンパクト部分群L∩ Wi の逆像{a ∈ F | ∥awi∥L≤ 1}F の開コンパクト部分 群だからϖriOと書ける.そこでϖriw iwiとおき直せば,(1.3)からL =n i=1 Owi である.一方(1.2)から á w1 w2 .. . wn ë = à c1,1 c1,2 . . . c1,n c2,2 . .. ... . .. c n−1,n

0

cn,n í á e1 e2 .. . en ë となるb−1 := (ci,j)i,j ∈ Bn(F )がある.このとき L0g−1 = L = ni=1 Owi = L0b−1

(12)

からk := b−1g∈ Stab(L0, Gn(F )) = Kn,つまりg = bk∈ Bn(F )Knである. (ii)任意のg∈ Gn(F )に対して,m∈ Zであって ϖmg∈ Mn(O), max 1≤i,j≤n m gi,j|F = 1 となるものがただ一つある.単項イデアル整域Oに対する単因子論から,k1, k2 ∈ Kn = Mn(O)× と0≤ d2 ≤ · · · ≤ dn,∈ Zがあって, ϖmg = k1 á 1 ϖd2

0

. ..

0

ϖdn ë k2 と書ける.ここで単因子型(0, d2, . . . , dn)はϖmgから一意に定まる.よってa1 :=−m, ai := di− m, (2 ≤ i ≤ n)に対してg = k1ϖak2 である. 1.3.2 不変測度 まず一般のTDLC群やその等質空間上の不変超関数について簡単に復習しておこう[2, 1.18–21], [9, 1節]. TDLC空間 X 上の(複素数値)局所定数関数からなるCベクトル空間をC∞(X) で表 し,その台がコンパクトな元からなる部分空間をCc∞(X)と書く.Cc∞(X)上の線型形式 をX 上の超関数(distribution)と呼んで,その空間をD(X)で表す.X 上のRadon測度 µD(X)の元 Cc∞(X)∋ f 7−→ µ(f) = ˆ X f (x) dµ(x)∈ C で正定値,すなわち任意の開コンパクト集合V ⊂ X の特性関数1V に対してµ(1V) > 0 となるものと同一視される.次の事実はHaar測度の存在定理の特別な場合である. 事実1.5([2] 1.18). GをTDLC群とする.G上の Radon測度 µG であってGの左移動 作用で不変である,すなわち ˆ G f (gx) dµG(x) = ˆ G f (x) dµG(x), f ∈ Cc∞(G), g ∈ G を満たすものが正実数倍を除いてただ一つ存在する.さらにGの左移動作用で不変なG 上の超関数はすべてµG の定数倍である.

(13)

この事実のようなµGを単にG上の左不変測度(left invariant measure)と呼ぶ.ここで G(x) := dµG(x−1)とおくことにより,G上の右不変測度,つまりRadon測度νG で ˆ G f (xg) dνG(x) = ˆ G f (x) dνG(x), f ∈ Cc∞(G), g ∈ G を満たすものも正実数倍を除いて一意に存在することがわかる.特に関数δG : G→ R>0δGµG(f ) = ˆ G f (g)δG(g) dµG(g)G上の右不変測度になるものがただ一つ存在する.この δG は局所定数準同型である ことが容易に確かめられ,Gのモジュラス指標(modular character)と呼ばれる.Gが両 側不変測度,つまり左不変かつ右不変な測度を持つとき,言い換えればδG = 1であると き,Gはユニモジュラー(unimodular)であるという. 閉部分群H ⊂ Gによる右剰余類空間H\Gは商位相,すなわち自然な全射p : G H\Gが連続開写像になるような位相に関してTDLC空間になる[2, 6.5].簡単のために δG/H : H ∋ h 7−→ δG(h)/δH(h) ∈ R>0 と書く.局所定数関数f ∈ C∞(G)• f(hg) = δG/H(h)−1f (g), (h ∈ H, g ∈ G); 適当なコンパクト集合Cf ⊂ Gに対してf の台はHCf に含まれる. を満たすものの空間をCc(H\G, δ−1G/H)で表す.この空間にはGが右移動で作用して いる.またf ∈ Cc(G)H上の左不変測度µH に対して g7−→ ˆ H f (hg) dµH(h)Cc(H\G, δG/H−1 )の元である. 事実1.6([2] 1.21). Cc(H\G, δ−1G/H)上の線型形式νH\Gで右G不変: ˆ H\G f (xg) dνH\G(x) = ˆ H\G f (x) dνH\G(x), f ∈ Cc∞(H\G, δG/H−1 ), g ∈ G を満たすものが定数倍を除いて一意に存在する.さらにこれを,G上の右不変測度νGH上の左不変測度µH に対して, ˆ G f (g) dνG(g) = ˆ H\G ˆ H f (hg) dµH(h)dνH\G(g), f ∈ Cc∞(G) が成り立つように取れる.

(14)

Gn(F ) の部分群上の不変測度 局所コンパクト加法群 F 上の Haar測度 dx を任意 に固定し,n ∈ Z>0 とする.Fn 上の Haar 測度としては直積測度 dx = dx1. . . dxn, (x = (x1, . . . , xn))が取れる.特に加法群Mn(F )上の Haar測度dx = ∏ 1≤i,j≤n dxi,j が定まり,そのGn(F )への制限はRadon測度である.しかもg∈ Gn(F )に対して d(gx) dx =| det g| n F

であるから,dg :=| det g|−nF1≤i,j≤n dgi,jGn(F )上の左不変測度である.これは同

時に右不変測度でもあり,従ってGn(F )はユニモジュラー群である. 次にnの順序付き分割n = (n1, . . . , nr)に付随する標準放物型部分群Pn = MnUn を 考える.Mn(F )上には両側不変測度 dm = ri=1 dgi, m = Ö g1

0

. ..

0

gr è , gi ∈ Gni(F ) がある.一方,Un(F )上の乗法は à 1n1 x1,2 . . . x1,r 1n2 . .. ... . .. x r−1,r

0

1nr í à 1n1 y1,2 . . . y1,r 1n2 . .. ... . .. y r−1,r

0

1nr í = à 1n1 z1,2 . . . z1,r 1n2 . .. ... . .. z r−1,r

0

1nr í , zi,j =      1ni i = j のとき xi,j + yi,j + ∑ i<k<j xi,kyk,j i < j のとき 0ni,nj i > j のとき で与えられる.これから du = ∏ 1≤i<j≤r dxi,j, u = à 1n1 x1,2 . . . x1,r 1n2 . .. ... . .. x r−1,r

0

1nr í , xi,j ∈ Mni,nj(F )

(15)

Un(F ) 上の両側不変測度であることが確かめられる.これらを用いて Pn(F )

の測度 dp := dmdu, (p = mu, m ∈ Mn(F ), u ∈ Un(F )) を定めれば,p1 = m1u1, (m1 ∈ Mn(F ), u1 ∈ Un(F ))に対して

d(p1p) = d(m1u1mu) = d(m1m)d(Ad(m−1)u1u) = dmdu = dp

であるから,これはPn(F )上の左不変測度である.同様に drp = du′dm′, (p = u′m′, u′ ∈ Un(F ), m′ ∈ Mn(F ))とおくと,これはPn(F )上の右不変測度である.このとき u′m′ = p = mu = Ad(m)u· mからu′ = Ad(m)u, m′ = mであり, Ad ( á g1 g2

0

. ..

0

gr ë ) à 1n1 x1,2 . . . x1,r 1n2 . .. ... . .. x r−1,r

0

1nr í = à 1n1 g1x1,2g2−1 . . . g1x1,rgr−1 1n2 . .. ... . .. g r−1xr−1,rgr−1

0

1nr í から dAd(m)u du = ri=1 | det gi|j>i nj−j<i nj F であるので,Pn(F )のモジュラス指標は δPn(mu) := drp dp = ri=1 | det gi|j>i nj−j<i nj F , m = Ö g1

0

. ..

0

gr è で与えられる. 命題1.7. 上の状況でf ∈ Cc∞(G(F ))に対して積分公式 ˆ Gn(F ) f (g) dg = vol(Pn(F )∩ Kn)−1 ˆ Kn ˆ Un(F ) ˆ Mn(F ) f (muk) dmdudk が成り立つ.右辺のdkGn(F )上の不変測度dg の開コンパクト部分群Kn への制限 である.

(16)

証明. 簡単のためにG = Gn, P = Pn などと書く.f ∈ Cc∞(G(F ))に対して φf(g) := ˆ U (F ) ˆ M (F ) f (mug) dmduCc∞(P (F )\G(F ), δ−1G/P)に属し,事実1.6から,Cc∞(P (F )\G(F ), δ−1G/P)上の右G(F ) 不変超関数νH\Gで ˆ G(F ) f (g) dg = ˆ P (F )\G(F ) φf(g) dνP\G(g), f ∈ Cc∞(G(F )) を満たすものがある.岩澤分解(定理1.4 (i))から制限写像 resK : Cc∞(P (F )\G(F ), δ−1G/P)∋ φ 7−→ φ|K ∈ C (P (F )∩ K\K) は線型同型なので, νP,K : C∞(P (F )∩ K\K) ∋ f|K 7−→ νP\G(f )∈ C は定義可能な右K 不変線型形式である.ここで事実1.6をP (F )∩ K\Kに適用すれば, 正実数c1 > 0があって ˆ P (F )∩K\K ˆ P (F )∩K f (pk) dpdνP,K(k) = c1 ˆ K f (g) dg, f ∈ C∞(K) が成り立つ.(P (F )∩ K ⊂ P (F ), K ⊂ G(F )はともに開コンパクト部分群だから,dp, dgをそれぞれこれらの部分群への制限したものも不変測度であることに注意せよ.)よっ てc := c1/vol(P (F )∩ K)とすれば, ˆ G(F ) f (g) dg = νP\G(φf) = νP,K(φf|K) = 1 vol(P (F )∩ K) ˆ P (F )∩K\K ˆ P (F )∩K φf(pk) dpdνP,K(k) = c1 vol(P (F )∩ K) ˆ K φf(k) dk = c ˆ K ˆ U (F ) ˆ M (F ) f (muk) dmdudk を得る.最後にf = 1K (K の特性関数)とすると,vol(K) = cvol(K)vol(P (F )∩ K) となってc = vol(P (F )∩ K)−1がわかる.

(17)

2

放物型誘導表現と

Jacquet

加群

Gn(F )の任意の閉部分群H は誘導位相に関してTDLC群になるので,その滑らかな 表現や許容表現,およびそれらに関する基本的な操作が考えられる[9, 2節].Hの滑らか な表現の圏をR(H)と書く.これはC線型アーベル圏である.許容表現からなるその充 満部分圏をRadm(H)で表す.一般に(π, V ) ∈ R(H)に対してその同型類をπで表し, Hの滑らかな既約表現の同型類の集合をIrr(H)で表す.

2.1

放物型誘導表現

標準放物型部分群P = M U ⊂ G = GnM (F )の滑らかな表現(π, V ) ∈ R(M(F )) を取る.P (F )の滑らかな表現 ⊠ 1U (F ))(mu)v := π(m)v, m∈ M(F ), u ∈ U(F ) からの(正規化された)誘導表現を (IPG(π), IPG(V )) := IndG(F )P (F )(π⊠ 1U (F ) )

と書いて,(π, V )からのP に沿っての放物型誘導表現(parabolically induced

representa-tion)という.すなわちIPG(V )は関数ϕ : G(F )→ V であって ある開コンパクト部分群 ⊂ Gn(F ) で右不変: ϕ(gk) = ϕ(g), (g ∈ G(F ), k∈ Kϕ); • ϕ(umg) = δP(m)1/2π(m)ϕ(g), (u∈ U(F ), m ∈ M(F ), g ∈ G(F )) を満たすものの空間であり,IG P(π)は ( IPG(π, g)ϕ)(x) := ϕ(xg), g ∈ G(F ), ϕ ∈ IPG(V ) で定まるG(F )の滑らかな表現である[9, 2.5].記号が示す通り,IPG(π)∈ R(G(F ))およ びその同型類はM をLevi成分に持つ放物型部分群P によっている.しかしこの原稿で はP は標準放物型部分群としているので,M から一意に定まる.よって以下ではしばし ばIPG(π)などを単にIMG(π)と書くことにする. より一般に標準放物型部分群 P = M U ⊂ Q = LV ⊂ G に対して,放物型部分群 PL := P ∩ L = M(U ∩ L)に沿っての放物型誘導表現(IML(π), IML(V ))が考えられる.

(18)

命題2.1. (i)放物型誘導IPGR(M(F ))からR(G(F ))への完全関手である. (ii)標準放物型部分群P = M U ⊂ Q = LV ⊂ G に対して,自然な同型IG L ◦ IML → IG M がある.

(iii) IPG は部分圏Radm(M (F ))Radm(G(F ))に送る.

(iv) (π, V )の反傾表現[9, 2.4]を(π∨, V∨)と書くとき,自然な同型(IG P(π)∨, IPG(V )∨) (IPG(π∨), IPG(V∨))がある. 証明. (i) (πi, Vi) ∈ R(M(F )), (i = 1, 2) の間のM (F )準同型 φ∈ HomM (F )(V1, V2)に 対して IPG(φ) : IPG(V1)∋ ϕ 7−→ (g 7→ φ(ϕ(g))) ∈ IPG(V2) とおけば,これは明らかにG(F )準同型で,IG P(idV1) = idIG P(V1), I G P(φ◦ ψ) = IPG(φ)◦ IPG(ψ) を 満 た す .す な わ ち IPG : R(M(F )) ⇝ R(G(F )) は 関 手 で あ る .誘 導 関 手 IndG(F )P (F ) : R(P (F )) ⇝ R(M(F )) は完全関手だから [2, 2.25 (a)],それと外部テンソ ル積(π, V ) → (π ⊠ 1U (F ), V )との合成関手IPGも完全関手である.

(ii)逐次誘導同型[2, 2.25 (b)] IndG(F )Q(F )◦ IndQ(F )P (F ) → Ind∼ G(F )P (F ) を使えば,関手的同型

ILG◦ IML(π) = IndG(F )Q(F )ÄIndL(F )(P∩L)(F )⊠ 1(U∩L)(F ))⊠ 1V (F ) ä = IndG(F )Q(F )◦ IndQ(F )P (F )⊠ 1U (F )) → IndG(F ) P (F )(π⊠ 1U (F )) = I G P(π) を得る. (iii) 岩澤分解 G(F ) = P (F )K から,P (F )\G(F ) はコンパクト部分群K ⊂ G(F ) の連続像なのでコンパクトである.よって [9, 2.5] から IndG(F )P (F )Radm(P (F ))Radm(G(F ))に送り,従ってIPG も許容表現を許容表現に移す.これからまたIPG(π)が コンパクト誘導表現indG(F )P (F )⊠ 1U (F ))に一致することもわかる. (iv) VV∨ の間の M (F ) 不変双対性を ⟨ , ⟩M として,事実 1.6 の記号で双対性 ⟨ , ⟩ : IG P(V )⊗CI G P(V∨)→ C⟨ϕ, ϕ∨⟩ :=ˆ P (F )\G(F ) ⟨ϕ(g), ϕ∨(g)⟩ dν P\G(g) と定める.これが望むG(F )双対性を与えることは[9,命題2.6.1]で示されている. 命題の主張が G をその標準 Levi 部分群で置き換えても成り立つことはいうまでも ない.

(19)

2.2

Jacquet

加群

引き続き標準放物型部分群 P = M U ⊂ G を取る.G(F ) の滑らかな表現 (π, V )

R(G(F ))に対して

VP := V /V (P ), V (P ) := spanC{π(u)v − v | u ∈ U(F ), v ∈ V }

とおき,自然な射影V ↠ VPjP で表す.(π, V )P に沿ってのJacquet加群(Jacquet module) (πP, VP)とは,VP 上に πP(m)jP(v) = δP(m)−1/2jP(π(m)v), m∈ M(F ), v ∈ V で定まるM (F )の滑らかな表現のことであった[10,定義1.1]. 命題2.2. (i) rGP = rMG :R(G(F )) ∋ (π, V ) 7→ (πP, VP)∈ R(M(F ))は完全関手である. (ii)標準放物型部分群P = M U ⊂ Q = LV ⊂ Gに対して,関手の同型rLM ◦ rLG → r∼ MG がある. (iii) (π, V )∈ R(G(F ))が有限生成ならば,(πP, VP)∈ R(M(F ))も有限生成である. (iv) (Frobenius相互律).関手rPGIPG の左随伴である.すなわちR(G(F )) × R(M(F )) からCベクトル空間の圏への関手の同型 HomG(F )(π, IPG(τ )) →HomM (F )(πP, τ ), (π, V )∈ R(G(F )), (τ, W ) ∈ R(M(F )) がある.

(v) (Jacquetの補題).rPGは部分圏Radm(G(F ))Radm(M (F ))に送る.

証明.(i), (ii), (iv)はそれぞれ[10]の命題1.4, 1.2, 1.6の特別な場合である.

(iii) (π, V ) の有限生成系 {v1, . . . , vm} に対して,開コンパクト部分群 K ⊂ G(F )

vi ∈ VK, (1 ≤ i ≤ m) となるものを取る.K = ⨿li=1 klK とすれば,岩澤分解

G(F ) = P (F )K から (π|P (F ), V ){π(ki)vj}1≤i≤l,1≤j≤m で生成され,(πP, VP)はそ

れらの像で生成される.

(20)

¯ P = M ¯U を ¯ U (R) =          á 1n1 B2,1 1n2

0

.. . . .. . .. Br,1 . . . Br,r−1 1nr ë Bi,j ∈ Mni,nj(R)          で定める.これはP ∩ ¯P = M となる唯一の放物型部分群である.正整数n∈ Z>0 を止 め,K = K(pn)1.3節の通りとして, KU := K ∩ U(F ), KM := K ∩ M(F ), KU¯ := K ∩ ¯U (F ) などと書く.このとき岩堀分解K = KU¯KMKU が成り立つ.一般にコンパクト部分群 L ⊂ G(F )に対して,L 上の確率測度をG(F )全体に0拡大したものを εL ∈ D(G(F )) と書く.滑らかな表現(π, V )∈ R(G(F ))に対して,π(εL) : V ↠ VLL不変ベクトル の空間への射影である. 主張2.3. (π, V ) ∈ Radm(G(F ))に対して,jP : VK → VK M P は全射である. 証明. 任意の有限次元部分空間 W¯ ⊂ VPKM を取る.その基底 {¯v1, . . . , ¯vm} の各元の jP : V ↠ VP による逆像 vi ∈ V を取れば,W := span{v1, . . . , vm}jP(W ) = ¯W を 満たす.このときまず jP(π(εKM)vi) = πPKMvi= ¯vi だから,viπ(εKM)vi で取り替えてW ⊂ VK M であるとしてよい.次に (π|U (F )¯ , V ) は滑らかだから,開コンパクト部分群N¯ ⊂ ¯U (F )W ⊂ VN¯ となるものがある.各 |ai/ai+1|F が十分大きい a = Ö a11n1

0

. ..

0

ar1nr è ∈ Z(M)(F ) を取れば,Ad(a)KU¯ ⊂ ¯N とできる.このとき

π(¯u)π(a−1)v = π(a−1)π(Ad(a)¯u)v = π(a−1)v, u¯∈ KU¯, v∈ W, すなわちπ(a−1)W ⊂ VKM ∩ VKU¯ = VKP¯ である.最後にK = KUKP¯ から

π(εK)v = π(εKU ∗ εKP¯)v = π(εKU)π(εKP¯)v = π(εKU)v, v∈ VK

¯

(21)

であり,v− π(εKU)v∈ V (P )と併せて

jP(π(εK)v) = jP(π(εKU)v) = jP(v), v∈ π(a−1)W ⊂ VK

¯

P

が得られる.結局

πP(a−1) ¯W = δP(a)1/2jP(π(a−1)W ) = δP(a)1/2jP(π(εK)π(a−1)W )

⊂ jP(VK) であるから,dimCW¯ ≤ dimCVK で,この右辺はπ の許容性から有限である.よって VKM P は有限次元で,特にW = V¯ K M P とすれば,aKM ⊂ M(F )は可換だから jP(VK)⊂ VK M P = πP(a−1)VK M P ⊂ jP(VK) となって主張が従う. 主張から許容表現(π, V )∈ Radm(G(F ))と任意のK = K(pn)に対して,πK M P は有限 次元であるから,(πP, VP)もM (F )の許容表現である. □

2.3

Bruhat

フィルトレーション

誘導表現は表現を構成する方法としてとても有効であるが,一方で得られた表現を調べ る際には,それを部分群に制限することが有効である.こうして誘導表現の部分群への制 限を調べることが問題となる.一時的にGを有限群,H, K ⊂ Gを部分群とし,H の表 現(π, V )を取る.このとき誘導表現indGH(π)K への制限は indGH(π)|K γ∈K\G/H

indKK∩Ad(γ)H(Ad(γ)(π|Ad(γ)−1K∩H )) で与えられる. TDLC群におけるこの式の類似(拡張)が幾何的補題[10,定理2.3]である.Bruhatフィ ルトレーションはそれを放物型誘導表現に特化したものである.Gn(F )の長さ有限表現 (π, V )∈ R(Gn(F ))に付随する Grothendieck群の元を[π]と書く.標準Levi 部分群M , L⊂ Gσ∈ W (L, M)および(π, V )∈ R(L(F ))に対して, (σ(π) := π◦ Ad(n(σ)−1), V ) ∈ R(M(F )) とおく.

(22)

命題2.4. Gn(F )の標準放物型部分群 P = M U , Q = LV を取り,LWM (1.2節)の全順 序σ < τdim Qn(σ)P ≤ dim Qn(τ)P となるものを固定する*1 (i) (π, V ) ∈ R(M(F ))に対して,IPG(π)Qに沿っての Jacquet加群の減少フィルト レーション{FσIPG(π)Q } σ∈LWM であって, GrσF•IPG(π)Q :=FσIPG(π)Q /(∑ τ >σ IPG(π)Q ) ≃ IL σ(P )L ( σ(πσ−1(Q)M) ) となるものがある.ここでσ(P )L := Ad(n(σ))P ∩ Lなどと書いている.LWM の定義 からσ(P )L, σ−1(Q)M はそれぞれL, M の標準放物型部分群であることに注意せよ. (ii)特に (π, V )∈ R(M(F ))が長さ有限ならば,L(F )の長さ有限で滑らかな表現の圏の Grothendieck群での等式 [IPG(π)Q] = ∑ σ∈LWM [Iσ(P )L L ( σ(πσ−1(Q)M) ) ] が成り立つ. 証明. Bruhat分解(補題1.2 (ii))に幾何的補題[10,定理2.3]を適用すればよい.

3

超尖点表現

3.1

有限表現

この小節では G を TDLC 群とする.滑らかな表現 (π, V ) ∈ R(G) の反傾表現を (π∨, V∨)で表し,v∈ V , v∨ ∈ V∨に対する(π, V )の行列成分(matrix coefficient)fv,v∨(g) :=⟨π(g)v, v∨⟩ , g ∈ G と 書 く .定 義 か ら fv,v∨ は 適 当 な 開 コ ン パ ク ト 部 分 群 K ⊂ G で 両 側 不 変 で あ る: f (kgk′) = f (g), k, k′ ∈ K. 補題3.1. (π, V ) ∈ R(G)について次の2条件は同値である. (i) 任意のv∈ V , v∨∈ V∨に対してfv,v∨ ∈ Cc∞(G)である. (ii) 任意のv ∈ V と開コンパクト部分群K ⊂ Gに対して{g ∈ G | π(εK)π(g)v̸= 0} はコンパクトである. *1QgP はアフィンF多様体Gnの既約可設集合だから,代数多様体としての次元が定まる.

(23)

証明. (i) Z⇒ (ii). まず spanC{π(εK)π(g)v| g ∈ G} ⊂ VK は有限次元である.実際そ うでなかったとすると{gn}n∈N ⊂ G{π(εK)π(gn)v}n∈N が線型独立なものがある. spanC{π(εK)π(gn)v}n∈NV K での補空間W を固定して,v∨ ∈ (VK) = (V∨)K V∨⟨v∨, π(ε K)π(gn)v⟩ = n, (n ∈ N), ⟨v∨, w⟩ = 0, (w ∈ W ) により定める.すると fv,v∨(gn) =⟨π(gn)v, v∨⟩ = ⟨π(gn)v, π(εK)v∨⟩ = ⟨π(εK)π(gn)v, v∨⟩ = n となって,コンパクト台付き局所定数関数 fv,v∨ が有限個の値しか取れないことに 矛盾する.よって spanC{π(εK)π(g)v| g ∈ G} ⊂ VK は有限次元なので,その基底 {v1, . . . , vm}と ⟨ vi, vj∨= δi,j, 1≤ i, j ≤ m を満たす{v1∨, . . . , vm∨} ⊂ (V∨)K が取れる.このときπ(εK)π(g)v ̸= 0ならば,適当な 1≤ i ≤ mに対してfv,v∨i(g) =⟨π(εK)π(g)v, vi∨⟩ ̸= 0が成り立つ.よって {g ∈ G | π(εK)π(g)v̸= 0} ⊂ mi=1 supp fv,vi はコンパクトである. (ii)Z⇒ (i).開コンパクト部分群K ⊂ Gv∈ VK, v∨∈ (V∨)K となるものを取れば, fv,v∨(g) =⟨π(εK)π(g)v, v∨⟩ の台は{g ∈ G | π(εK)π(g)v̸= 0}に含まれるのでコンパクトである. 補題の同値な条件を満たす(π, V )∈ R(G)を有限表現と呼ぶ.有限表現からなるR(G) の充満部分圏をR(G)fin と書き,既約有限表現の同型類の集合をIrr(G)fin ⊂ Irr(G)

表す. 3.2. 有限生成な有限表現は許容表現である. 証明. 有限生成な(π, V )∈ R(G) の生成系{v1, . . . , vr}を取れば,上の(i)Z⇒ (ii)の証明 から VK = ri=1 spanC{π(εK)π(g)vi | g ∈ G} は有限次元である.

(24)

有限表現は直和因子として取り出せるという特性を持つ: 命題3.3. Gをユニモジュラーかつ可算コンパクトなTDLC群として,τ ∈ Irr(G)finを固 定する.このとき任意の(π, V )∈ R(G)の直和分解V = Vτ ⊕ Vτ であって,τ に 同型な部分表現の直和であり,τ に同型な部分商を持たないようなものが存在する. 証明. Cc(G)にはGが右および左移動 R(g)f (x) = f (xg), L(g)f (x) = f (g−1x), g∈ G, f ∈ Cc(G) で作用し,(R× L, Cc(G))Gの滑らかな表現である.τ の実現(τ, W )を取れば,有 限表現の定義から Φ : W CW∨∋ w ⊗ w∨7−→ fw,w∨ ∈ Cc∞(G) は定義可能なG× G準同型である: Φ(τ (g)w⊗ τ∨(h)w∨)(x) =⟨τ(xg)w, τ∨(h)w∨⟩ =τ (h−1xg)w, w∨= R(g)L(h)Φ(w⊗ w∨)(x). 一方,G上の (両側)不変測度 µG を固定して,f ∈ Cc∞(G)に対して f∨(g) := f (g−1) と書けば, Ψ : Cc(G)∋ f 7−→ τ(f∨) = ˆ G f∨(x)τ (x) dµG(x)∈ EndC(W ) = W CW∗ が定まる.f ∈ Cc(G) に対して,f が両側 K 不変となるような開コンパクト部分群 K ⊂ Gを取れば,τ (f∨) = τ (εK ∗ f∨∗ εK) = τ (εK)τ (f∨)τ (εK)は EndC(WK) = WK C(WK) = WK C(W∨)K に含まれる.これからΨは定義可能なG× G準同型Ψ : Cc(G)→ W ⊗CW∨を与え ている: Ψ(R(g)L(h)f ) = ˆ G f (h−1x−1g)τ (x) dµG(x) = ˆ G f (x−1)τ (gxh−1) dµG(x) = τ (g)◦ τ(f∨)◦ τ(h−1) = (τ (g)⊗ τ∨(h)) Ψ(f ). 可算コンパクト性の仮定からR(G)ではSchurの補題[9, 2.8.1]が成り立ち,従って上で 得られたG準同型の合成Ψ◦Φ ∈ EndG×G(τ⊠τ∨)は定数倍である: Ψ◦Φ = c·idW⊗CW∨.

(25)

このcは0ではないことを確かめよう.実際,fw,w∨ ̸= 0となるw∈ W , w∨ ∈ W∨を取 れば,[9, 2.8.2]からπ((fw,w∨))̸= 0となる(π, V )∈ R(G)がある.ところがv ∈ V に 対して,(R, Cc(G))∋ f 7→ π(f∨)v∈ (π, V )G準同型だから,(π, V )の取り方から (τ, W )⊗CW∨ Φ−→ (R, Cc(G))f7→π(f )v −→ (π, V ) (3.1) は非自明なG準同型である.左辺はτ の直和に同型だから,その像も同様であり,従っ てτ (fw,w∨)̸= 0である.すなわちΨ◦ Φ(w ⊗ w∨)̸= 0だからc̸= 0が示された. そこで開コンパクト部分群K ⊂ Gに対して,G上のコンパクト台付き超関数ε(τ )K := c−1Φ(τ (εK))∨µG を導入する. (i) 既約表現(π, V ) ∈ R(G)π(ε(τ )K)v ̸= 0となるv ∈ V を持つならば,(3.1) に より非自明なG準同型(τ, W )⊗CW∨ → (π, V )ができるから,π ≃ τ でなくては ならない.すなわち π(ε(τ )K) = ® c−1Ψ◦ Φ(τ(εK)) = τ (εK) π ≃ τ のとき 0 それ以外のとき である.

(ii) コンパクト台付き超関数ε′(τ )K がやはり(i)を満たすならば,任意のπ ∈ Irr(G)

に対してπ(ε′(τ )K− ε(τ)K) = 0であるから,[9, 2.8.2]によりε′(τ )K = ε(τ )K で ある.すなわちε(τ )K は(i)から一意に定まる.この特徴付けにより次の等式が示 せる. (a)K ⊃ K′のとき,ε(τ )K′∗ ε(τ)K = ε(τ )K′ ∗ εK = ε(τ )K. (b)g∈ GでのDirac超関数をδg と書くとき,δg ∗ ε(τ)K ∗ δg−1 = ε(τ )gKg−1. さて,任意の(π, V )∈ R(G)を取る.各v∈ V に対してv ∈ VK となる開コンパクト部 分群K ⊂ Gを取って,π(ε(τ ))v := π(ε(τ )K)vと定義する.v ∈ VK ∩ VK のとき(a) から π(ε(τ )K)v = π(ε(τ )K∩K′ ∗ εK)v = π(ε(τ )K∩K′)π(εK)v = π(ε(τ )K∩K′)v = π(ε(τ )K′)v であるのでπ(ε(τ ))vK によらず定義可能である.こうして定まるπ(ε(τ ))∈ EndC(V )

を用いて := Im π(ε(τ )), Vτ := Ker π(ε(τ ))とおく.π(ε(τ )) ∈ EndC(V )は(a)から

(26)

π(g)π(ε(τ ))π(g−1)v = π(g)π(ε(τ )g−1Kg)π(g−1)v = π(δg∗ ε(τ)g−1Kg∗ δg−1)v = π(ε(τ )K)v = π(ε(τ ))v ゆえπ(ε(τ ))∈ EndG(V )であり,上はR(G)での直和分解である.定義からG準 同型 (τ, W )⊗CW∨ Φ−→ (R, Cc(G))f7→π(f )v −→ (π, V ) の像に含まれるのでτ の直和に同型である.一方,部分表現V1 ⊂ V2 ⊂ VτV2/V1 ≃ τ となるものがあったとする.勝手なv ∈ V2 ∖ V1 とv ∈ V2K となる開コンパクト部分群 K ⊂ Gを取れば,自然な射影をp : V2 ↠ V2/V1として,(i)から p(π(ε(τ ))v) = p(π(ε(τ )K)v) = τ (ε(τ )K)p(v) = τ (εK)p(v) = p(v)̸= 0 となって の定義に矛盾する.よってVτ τ に同型な部分商表現を持たない. この結果はさらに次のように拡張できる.Π ⊂ Irr(G)fin に対して,Π の元に同型 な部分商を一つも持たない表現からなるR(G) の充満部分圏を R(G)Π と書く.また τ ∈ Irr(G)fin のとき,τ の直和に同型な表現からなるR(G)の充満部分圏をR(G)τ で 表す.

3.4. (i) Π ⊂ Irr(G)fin が有限性条件「任意の開コンパクト部分群 K ⊂ G に対

して {τ ∈ Π | τK ̸= 0} は有限集合.」を満たせば,アーベル圏の直和分解 R(G) =

τ∈Π R(G)τ ⊕ R(G)Πが成り立つ.

(ii)任意のΠ ⊂ Irr(G)fin に対して,許容表現の圏の直和分解

Radm(G) =

τ∈Π

Radm(G)τ ⊕ Radm(G)Π

が成り立つ.

(iii)R(G)fin =⊕τ∈Irr(G)fin R(G)τ.

証明. (i)開コンパクト部分群K ⊂ Gに対して{τ ∈ Π | τK ̸= 0}を含む有限集合Ξを取 れば,命題3.3を繰り返し使って,任意の(π, V )∈ R(G)の分解 V =τ∈Ξ ⊕ VΞ, VΞ ∈ R(G)Ξ を得る.そのK 不変部分を取った分解 VK =⊕ τ∈Ξ VτK ⊕ (VΞ)K = ⊕ τ∈Π VτK⊕ (VΞ)K

(27)

はΞによらない.そこで(VΠ)K := (VΞ)Kとおき,すべての開コンパクト部分群K ⊂ G についてのその合併をVΠ:=K⊂G(VΠ)K と書けば,直和分解 V =τ∈Π ⊕ VΠ, ∈ R(G)τ, VΠ∈ R(G)Π が得られる. (ii)任意の(π, V )∈ Radm(G)に対して,その既約部分商に現れるτ ∈ Πの集合をΠ(π) とする.任意の開コンパクト部分群に対して{τ ∈ Π(π) | τK ̸= 0}の濃度はdim VK で 抑えられるから,(i)により分解 V =τ∈Π(π) ⊕ VΠ(π) = ⊕ τ∈Π ⊕ VΠ がある.

(iii) 有 限 生 成 な 有 限 表 現 (π, V ) ∈ R(G)fin は 許 容 表 現 だ か ら ,(ii) の 分 解 V =τ∈Irr(G)fin を持つ.一般の (π, V ) ∈ R(G)fin は有限生成部分表現の帰納極限だ から主張が従う.

3.2

超尖点表現の定義

再び非アルキメデス局所体上の一般線型群G(F ) = Gn(F ), (n∈ Z>0)の状況に戻って, その中心をZ(F ) = Zn(F ) = F×1nと書く.既約表現(π, V ) ∈ R(G(F ))を取る.任意

z ∈ Z(F )に対して,π(z)∈ EndG(π)に対するSchurの補題からπ(z) = ωπ(z)idV

なるωπ(z) ∈ C× がある.明らかにωπ : Z(F ) → C× は局所定数準同型であるが,これ をπの中心指標(central character)と呼ぶ.このときv ∈ V , v∨∈ V∨に付随する行列成 分は fv,v∨(zg) = ⟨π(zg)v, v∨⟩ = ωπ(z)fv,v∨(g), z ∈ Z(F ), g ∈ G(F ) を満たし,Z(F )はコンパクトでないから,G(F )は既約有限表現を持ち得ない.そこで 次のように変形した概念を用意する. 局所定数準同型 HG : G(F )∋ g 7−→ logq| det g|F ∈ Z の核をG(F )1 と書く.G(F )/Z(F )G(F )1 ≃ Z/H G(Z(F )) = Z/nZ であり,Z(F )∩ G(F )1 =1nはコンパクトである.

(28)

定理3.5(Harish-Chandra). (π, V ) ∈ R(G(F ))について次の3条件は同値である. (i) 制限(π|G(F )1, V )は有限表現. (ii) 任意のv ∈ V , v∨ ∈ V∨に対してsupp fv,v∨G(F )/Z(F )での像はコンパクト. (iii) 任意の真の標準放物型部分群P ⊊ G に沿ってのJacquet加群(πP, VP)は消えて いる. 証明. まず補題3.1の証明にならって,(i), (ii)が次の条件に同値であることを示そう. (†) 任意のv∈ V および開コンパクト部分群K ⊂ G(F )に対して, {g ∈ G(F ) | π(εK)π(g)v̸= 0}G(F )/Z(F )での像はコンパクトである.

(†) Z⇒ (ii). 補題3.1の(ii)Z⇒ (i)と同様にして示せる.

(ii) Z⇒ (i). G(F )1 の 開 コ ン パ ク ト 部 分 群 は G(F ) の 開 コ ン パ ク ト 部 分 群 だ か ら , (π|G(F )1, V ) の反傾表現は (π∨|G(F )1, V∨) である.よって π|G(F )1 の行列成分は π の 適当な行列成分 fG(F )1 への制限である.仮定からコンパクト集合 C ⊂ G(F )supp f ⊂ Z(F )C となるものがあるので,supp(f|G(F )1) ( Z(F )∩ G(F )1)C はコンパ クトである. (i)Z⇒ (†). G(F )/Z(F )G(F )1 の完全代表系{g1, . . . , gn}を止める.任意のv ∈ V と開 コンパクト部分群K ⊂ G(F )1に対して,Ci= { g∈ G(F )1 | π(εK)π(ggi)v̸= 0 } はコン パクトだから, {g ∈ G(F ) | π(εK)π(g)v̸= 0} ⊂ ni=1 ß zggi z ∈ Z(F ), g ∈ G(F )1 π(εK)π(zggi)v̸= 0⊂ Z(F )( ni=1 Cigi ) のG(F )/Z(F )での像もコンパクトである. 次に条件 (†) と(iii) が同値であることを示そう.必要なら K をその部分群で置き換 えて K は主合同部分群であるとしてよい.また v ∈ VK′ となる開コンパクト部分群 K′ ⊂ G(F )を止め,剰余類分解K =⨿mi=1 kiK′ を用意する.Cartan分解(定理1.4 (ii))

を使ってg = kϖak′, (a∈ Domn, k, k′ ∈ K)と書けば,k′ ∈ kiK′ となる1≤ i ≤ m

使って

(29)

となる.(主合同部分群はK の正規部分群であることを使った.)よって (†)は,任意の v∈ V と合同部分群K ⊂ K に対して {a ∈ Domn | π(εK)π(ϖa)π(ki)v̸= 0, 1 ≤ i ≤ m} (3.2) のZn/Z(1, 1, . . . , 1)での像が有限集合であることに同値である. 一方,命題2.2 (ii) により,(iii)は任意の極大放物型部分群 P = P(p,q) = M U ⊊ G, (1≤ p < n, q = n − p)に対してVP = 0であることに同値である.ここでv ∈ V を取る. v∈ V (P )であるためには,ある開コンパクト部分群N ⊂ U(F )に対してπ(εN)v = 0rと なることが必要十分だった[10,補題1.3].勝手な合同部分群K の分解K = KU¯KMKU を取る(命題2.2の証明参照).正実数cp(K) > 0を十分大きく取れば, ai− aj > cp(K), 1≤ i ≤ p < j ≤ n (3.3) を満たす任意のa ∈ Znに対してAd(ϖ−a)KU ⊃ N が成り立ち,[2,命題1.26 (b)]を使 えば π(εK)π(ϖa)v = π(εK)π(εKU)π(ϖa)v = π(εK)π(ϖa)π(εAd(ϖ−a)KU)v = π(εK)π(ϖa)π(εAd(ϖ−a)KU)π(εN)v = 0 が従う.逆に任意の合同部分群K に対してcp(K) > 0があって,(3.3)を満たすa∈ Zn に対して π(εK)π(ϖa)v = 0 が成り立つとする.v ∈ VK となる合同部分群 K = KUKMKU¯ を取り, a = ( p z }| { a1, . . . , a1, q z }| { a2, . . . , a2)∈ Zn

で(3.3)を満たすものを取る.このときAd(ϖ−a)KM = KM, Ad(ϖ−a)KU¯ ⊂ KU¯ に注 意すれば,

0 = π(εK)π(ϖa)v = π(εKU)π(εKM)π(εKU¯)π(ϖa)v

= π(ϖa)π(εAd(ϖ−a)KU)π(εKM)π(εAd(ϖ−a)KU¯)v

= π(ϖa)π(εAd(ϖ−a)KU)v

であるから,[10,補題1.3]によりv ∈ V (P )である.結局(iii)は,任意の合同部分群K と1≤ p < nに対して,cp(K) > 0があって,集合(3.2)の元が

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