Ⅰ
地
域
を
め
ぐ
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現
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題
︱
︱
﹁
伝
統
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創
造
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統
治
の
創
造
﹂
へ
国 民 国 家 ( Nation-State ) と い う 概 念 が、 近 年 さ ま ざ ま な方面から批判を浴びているのは周知のことである。経済 を中心としたグローバル化が進むなかで、国家は統治機構 としての有効性を大きく衰退させた。民族意識やローカル な ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 覚 醒 は、 「国 民 」 共 同 体 の ま と ま り に疑念を強めた。そして国民国家は、壮大な歴史的フィク ションとして、いまや役割を終えるにいたっているとさえ いわれる。 後景に退きつつある国民国家に代わって、現在おおいに 注目を浴びているのは、 「地域」の枠組みである。 地域は、 国民国家へのアンチ・テーゼとして、より正統な政治行政 的権威・アイデンティティの基盤であると自己を規定し、 実際多くの国々で分権化を経て政治行政的統治単位として の地位を高めてい る * 1 。 欧 州 連 合 (E U ) の 下 で 統 合 が 進 む ヨ ー ロ ッ パ は、 こ の ような「地域の浮上」とも呼ぶべき潮流の代表的事例であ る。 政 治 行 政 的 に は、 国 家 で は 対 応 で き な い、 よ り 市 民 に 近 い 単 位 へ の 権 限 の 再 配 分 が 必 要 と い う 考 え が (「補 完 性 原 理( subsidiarity )」 ) 、 E U の マ ー ス ト リ ヒ ト 条 約 に 書﹁
領
域
性
﹂
と
地
域
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タ
リ
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域
開
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公
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特集
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― ― 国民国家 の 内 と 外 で き込まれ、ヨーロッパ大の政治社会秩序構築の編成原理と 化したのみならず、国家よりも地域を配分対象とする「構 造 基 金 ( Structural Fund ) 」 を 通 じ て 実 際 の 政 策 的 成 果 の 裏付けを獲得してきた。各国レベルでも、憲法に補完性原 理 を 組 み 込 み、 州 な ど 広 域 自 治 体 ( Region ) や 基 礎 自 治 体 の強化が図られている。社会文化的にも、地域的アイデン ティティの覚醒が、従来のように、必ずしもマイノリティ に限らぬ形で拡がるなかで、言語・教育面で地域の多様性 を認めるような政策が拡充されている。さらには、これら 政治行政的・社会文化的側面が共鳴した結果、政党政治の 世界でも、従来中心であった全国政党に対抗して、イタリ ア北部やスコットランドなど多くの地域で、独自の地域政 党が顕著な伸びを示している例も珍しくない。 このような状況は、国民国家の統一的な傘の下で抑圧さ れてきた地域のアイデンティティが、近代以来の長年の闘 争を経て、 ついに敵に打ち勝ち、 社会文化的認知に加えて、 政治行政的な実体的枠組みを獲得した「成功の軌跡」と解 されている。 いまやヨーロッパでは、 文字通り 「地域のヨー ロッパ ( Europe of Region ) 」の構想が実現したかのようで ある。 しかしながら、地域は、このような成功の影で、重大な 問 題 を 突 き 付 け ら れ て い る こ と も 事 実 で あ る。 政 治 行 政 的・社会文化的に自立化した地域は、その制度的空間とア イデンティティに相応しい、適切な政治行政的統治の実態 (行 政 能 力、 政 治 的 代 表 な ど ) を 備 え な け れ ば な ら な い 責 務 を負っているということである。そして、地域がその責務 を果たすのは、グローバル化に伴う国際競争力維持の要請 やEUの安定成長協定に伴う財政的制約がある現代では、 至難の業である。 いま地域が抱えるこの課題は、決して新しいものではな い。 か つ て そ の 敵 で あ っ た 国 民 国 家 は、 「国 家 」 に 対 応 す る「国民」を作り上げる「伝統の創造」という桎梏を背負 い続けてきた。地域が目下直面しているのは、一見それと は逆の、地域というアイデンティティと空間に対応した、 政治行政的枠組みを実体化させる「統治の創造」という責 務である。ただし、両者の課題には共通点を見出すことが で き る。 そ れ は、 一 定 の「領 域 ( territory ) 」 と い う 枠 組 みについて、政治行政的な統合と社会文化的アイデンティ ティをすり合わせなければならないという問題、 つまり 「領 域性 ( territoriality ) 」の問題と理解できる。 本稿は、現代ヨーロッパにおける地域が抱える課題を、 国民国家と共通の文脈である領域性の問題として捉えるこ とが有効であるという問題意識に立った上で、探究の視角 として地域開発の歴史的変容を採り上げる。地域開発は、 近代国家の成立以来、国家への統合と国民の創出、その裏 面としての地域的相違の「隠蔽」に向けた重要な政策手段であり、国家に関する領域性の成否を占う支柱であった。 そして、近年、国家による地域開発という伝統的見方は、 EUによる独自の地域政策の展開と地方分権下での地域に よる自主的開発の展開を受けて、大きく変化している。こ のような歴史的変遷に目を向けるのは、領域性の問題の歴 史的な文脈の変容を理解し、地域の抱える現代的課題を相 対化することに役立つだろう。 具体的事例として、本稿では、イタリアにおける地域開 発の問題を採り上げ、とくに、その主要な手段として始動 し た 二 つ の 公 的 金 融 機 関、 預 託 貸 付 公 庫 ( Cassa Depositi e Prestiti: CDP ) と公共事業信用金庫 ( Consorzio di credito per le opere pubbliche: Crediop ) の役割に注目して検討し てゆくことにする。両機関は、一九世紀後半の近代国家成 立を受けて始動した地域開発の先兵として創設された起源 を有し、第二次世界大戦後には、地域問題への新たなアプ ローチが模索されるなかで大きく役割を変えたが、さらに 現 代 で は グ ロ ー バ ル 化 と ヨ ー ロ ッ パ 統 合 の 進 展 の な か で いっそう劇的な変化を経験している。地域開発という観点 から領域性の長期的変容を考えるのに、両機関の役割の変 遷は、格好の素材である。 以下では、まず領域性概念の意義と問題を概観した後、 一九世紀後半のイタリア統一以後現代までの地域開発のな か で、 C D P と Crediop 両 機 関 の 位 置 付 け が い か な る 形 で 変化してきたかを論じた上で、最後に地域と領域性の関係 についての示唆をまとめ る * 2 。
Ⅱ
領
域
性
概
念
の
意
義
と
地
域
開
発
1
領
域
性
概
念
に
お
け
る
﹁
三
位
一
体
﹂
ヨ ー ロ ッ パ で は 近 代 以 降、 各 地 で ま ず 主 権 国 家 を 確 立 し、国家に相当する国民を作り出す試みが進んだ結果、国 民国家が出現し た * 3 。主権国家形成の過程では、国家が境界 により画された領域単位であり、その領域に対応して公的 権威は及び、世界秩序の基本単位は明確な領域と独占的な 公的権威を帯びた国家であるという考えが確立した。さら に、国家が国民統合を進めるにしたがって、少なくとも理 念上、国家の領域は国民のアイデンティティに一致すると 受 容 さ れ た 結 果、 国 民 国 家 の 存 在 が 広 く 一 般 に 浸 透 し て いった ( Ansell 2004 ) 。 領 域 性 の 概 念 は、 こ の よ う な 歴 史 的 発 展 と 軌 を 一 に し て 成 立 し、 領 域 を 画 す「境 界 ( boundaries ) 」、 そ の 範 囲 に 及 ぶ「権 威 ( authority ) 」、 そ こ に 帰 属 す る 国 民 の「ア イ デ ン テ ィ テ ィ ( identity ) 」 の 束 と 理 解 で き る。 境 界 と は、 他 国 に 対 す る 政 治 軍 事 的・ 経 済 的 独 立 を 図 る「対 外 的 境 界 ( external boundaries ) 」 の 形 成 だ け で は な く、 国 家 が 国 内 の さ ま ざ ま な 地 域 や 公 的 私 的 主 体 (領 主・ 貴 族・ 職 業 団 体) などからの自律的権力を確立する 「対内的境界 ( internal boundaries ) 」 の 形 成 も 含 む こ と が 重 要 で あ る ( Bartolini 2005 ) 。 次 に、 権 威 は、 国 家 が 領 域 内 の さ ま ざ ま な 主 体 に 対して、法的・行政的権力を行使できることを意味する。 ア イ デ ン テ ィ テ ィ は、 多 様 な 民 族 的・ 地 域 的 背 景 を 持 つ 人々が、ひとつの国民として一体化することを意味する。 国 民 国 家 の 概 念 に と っ て、 境 界・ 権 威・ ア イ デ ン テ ィ ティの三要素は、いわば「三位一体」を成し、不可分であ る。しかし、 それは当然ながら、 厳密には歴史的フィクショ ンである。しかし、重要なのは、近代ヨーロッパでは、こ のフィクションが、民族や地域の相違を覆い隠しながら、 相当程度現実化しているか、あるいはそうであるはず、そ うなるべきであると考えられていたことである。すなわち 領域性概念の三位一体は、国民国家を肯定的に捉える者、 否定的に捉える者のいずれにも、政治社会秩序を捉える認 識の出発点としての意義を有していたのである。2
領
域
性
の
変
容
︱ ︱﹁ 分 解 ﹂ か ら﹁ 再 編 ﹂へ しかし、現代ヨーロッパの国民国家は、超国家レベルの グローバル化やEU統合、および移民問題や地域自立化な ど国内の亀裂によって、内外に引き裂かれている。国民国 家と対応してきた領域性の概念についても、根本的な見直 しを求める議論が起きるのは当然であった。国際政治学者 ラ ギ ー は、 領 域 性 の「分 解 ( unbundling ) 」、 す な わ ち、 国 民国家以外のアクター、たとえば国際組織、州、地方自治 体、 企業、 NGOなどの力が増大していることを指摘した。 ヨーロッパでも、EUの拡大・深化をはじめ、各国で起き るイスラム系移民の統合問題、ベルギー、スペインなどに おける地域自立化、福祉政策でのNGOなど非公的主体の 活躍、 食品衛生や金融規制における独立規制機関 (エージェ ン シ ー) の 隆 盛 な ど 実 に 多 様 な 変 化 が、 国 家 に 独 占 さ れ た 領域性概念の有効性に、深刻な挑戦を突き付けた。 ただし、 ここで留意すべきは、 分解している領域性とは、 あくまで国民国家と直接結び付いたものを示すに止まるこ とである。領域性について、国民国家との結合という当然 の 前 提 を 一 度 解 き、 「境 界 に よ り 画 さ れ た 公 的 権 威 と ア イ デンティティの領域」を想定するならば、国民国家以外の レベルも領域性を担う可能性がある。したがって、領域性 自体の意義が単純に低落すると判断するのは、早計である といわねばならない。 近年、さまざまな国では、領域性の意義は低落するどこ ろ か、 む し ろ 復 活・ 再 活 性 化 と も 呼 ぶ べ き 現 象 が 顕 著 と な っ て い る。 た と え ば、 北 西 欧 諸 国 を 筆 頭 に、 ネ オ コ ーポ ラ テ ィ ズ ム 的 政 労 使 協 調 の 後 退 と そ れ に 対 応 し た 地 域 的 民 族 的 亀 裂 の 争 点 化 現 象 が み ら れ る。 た と え ば、 若 松 は、イギリスの地域政策を事例に、雇用や都市などさまざ ま な 関 連 政 策 に、 領 域 の 区 画 で 区 切 ら れ て い る「領 域 化 ( territorialization ) 」 の 現 象 が 進 展 し て い る と 指 摘 す る (若 松 2007 ) 。 こ の よ う な 現 象 は、 ヨ ー ロ ッ パ に お い て、 従 来 経済政策を典型に国家と結びつきながら政策形成を主導し て き た 労 使 な ど「職 能 的 ( functional ) 」 利 益 に 代 わ り、 領 域的利益の重要性が高まっていることを示している。した がって、このような変容をふまえるならば、現代の領域性 は、 分 解 で は な く「再 編 ( restructuring ) 」 と 捉 え る べ き であ る * 4 。 現 代 ヨ ー ロ ッ パ で は、 領 域 性 の 再 編 が、 さ ま ざ ま な 分 野 で 現 実 化 し て い る。 一 九 七 〇 年 代 以 降、 地 域 の 自 立 化 へ の 要 求 に 対 応 し、 福 祉 国 家 拡 充 な ど で 肥 大 化 し た 中 央 の 国 家 の 負 担 を 軽 減 す る た め、 地 方 分 権 が 進 め ら れ て き た。一九九〇年代のEU成立と相前後して地方分権は加速 し、たとえば福祉政策では、国家が提供する公的年金や社 会サービスの比重が低下し、広域自治体や基礎自治体への 権限移譲が進展した。さらに、NGOなど多様な主体を含 む、 新 た な「開 放 的 調 整 (O M C ) 」 と い う 政 策 形 成 手 法 の隆盛を受けて、福祉国家の統一性と権威は揺らぎ始めて い る * 5 。さらに、政治的代表制の領域でも、地方首長の役割 の増大など、政治的競合のアリーナとして、地域の意義は 飛 躍 的 に 向 上 し て い る。 こ の よ う に、 政 策 の 対 象 領 域 (境 界) 、権限 (権威) 、その効果 (アイデンティティ) の担い手・ 焦点は、現在相当程度移行しつつあり、まさに領域性の再 編現象が生じているといえよう。
3
領
域
性
の
再
編
と
地
域
開
発
︱ ︱ 国 家 に よ る 開 発 か ら 多 層 的 秩 序 の 構 築 へ 地域開発の変容は、 領域性再編を示す象徴的政策である。 元来、地域開発は、国家による国内統合の有力な手段とし て、国家形成以来の長い伝統を有してきた。国家は、イン フラ整備や産業立地などの施策を行使しながら、とくに経 済 発 展 の 後 れ た 地 域 を 包 摂 す る こ と で、 「中 央 = 周 辺 」 の 亀裂を埋め、国民の一体性を保つと同時に、自らの正統性 を維持しようとした。つまり、地域開発は、経済的発展と いう直接の視野を超えて、領域性の形成・確立に大きな影 響を与える政策であった。 しかし、現在、地域開発の意義は大きく変容している。 一九七〇年代以降、社会支出の肥大化などによって国家財 政が逼迫し、九〇年代以降はグローバル化やEUの安定成 長協定の拘束によって財政的制約が一段と強まるなかで、 国家は地域開発に従来ほど寛大な資源を振り向けられなく なっ た * 6 。 国 家 開 発 の 意 義 後 退 と 入 れ 替 わ り に 存 在 感 を 強 め た の が、 EUである。 EUの地域政策は、 「構造基金 ( Structural Funds ) 」 を、 主 に 国 家 よ り 下 の レ ベ ル の 広 域 自 治 体 を 対 象に配分することで、経済的後進地域の発展や衰退産業地 域の構造転換を図る政策である。超国家レベルのEUと地 域が直接的関係を持ち、計画立案、執行に当たる仕組みを 通じて、基金の受け手として新たな領域主体として広域自 治 体 が 形 成 さ れ た り (英 な ど ) 、 従 来 は 自 律 性・ 重 要 性 に 乏 し い 領 域 主 体 が 能 力 を 向 上 さ せ た り す る 例 (仏 伊 な ど ) のように、各国の境界形成のあり方を変質させる効果を発 揮 し * 7 、「マ ル チ レ ベ ル・ ガ バ ナ ン ス (多 層 統 治: M L G ) 」 の成立を導いたといわれ る * 8 。EUの地域政策の実効性につ いては諸説あるものの、従来の国民国家中心の領域性概念 を大きく変える潜在力を有するのは確かである。 このように、近代以来の地域開発の歴史的変容は、国民 国家の形成、 発展、 そして「衰退」と密接に呼応している。 以下では、この変容の過程を具体的に検討するため、イタ リアの地域開発の変化を、その中核的手段となってきた二 つ の 公 的 金 融 機 関 C D P と Crediop の 役 割 に 焦 点 を 当 て な がら考察する。Ⅲ
国
民
国
家
統
合
と
し
て
の
地
域
開
発
︱
︱
近
代
イ
タ
リ
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国
民
国
家
の
形
成
と
発
展
の
な
か
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1
自
由
主
義
時
代
の地
域
開
発
︱ ︱ 公 的 金 融 の 離 陸 長らく分裂が続いたイタリアでは、一八六一年、北部の サルデーニャ王国が主導の軍事的行動を通じて、ようやく 統一国家が成立した。当時の政治家ダゼーリォの言葉と伝 え ら れ た、 「わ れ わ れ は イ タ リ ア を 作 っ た。 こ れ か ら は イ タリア人を作らねばならない」という有名な台詞は、自由 主義国家と呼ばれる新たな国家の政治指導者たちが、国家 の運営において直面した困難を象徴した。これまで統一国 家を持った経験がなく、地域の独立性・多様性にきわめて 富むイタリアの領域に対しては、新たな統一国家の権威は 容易に隅々まで及ばなかった。揺籃期の国家の一体性を確 保し、国民の支持を取り付けるには、中央・地方の政治行 政機構の確立と並んで、鉄道網などの全国を覆うインフラ 整備が急務であった。 しかし、そもそも産業革命の波及が遅く、一九世紀後半 のヨーロッパで本格化した重工業化の波にも乗り遅れたイ タリアでは、産業投資はもちろん基礎的インフラの整備を含めて、投資資本は極度に欠乏していた。中央国家も、政 治行政機構の整備に着手したばかりの状況では、徴税強化 も途上であり、公共投資の資本調達は困難であった。 慢性的投資資本不足の状況下で、国家が資本確保のため に 案 出 し た の は、 ① 広 く 民 間 に 散 ら ば る 国 民 の 少 額 貯 蓄 を、 ② 有 利 な 国 家 補 償 を 付 し て 惹 き つ け る、 ③ 全 国 に 拡 が る 郵 便 局 の ネ ッ ト ワ ー ク を 利 用 し て 中 央 に 結 集 し、 ④ 一 括 し て 運 用 す る 方 策 で あ っ た。 C D P は 一 八 七 五 年 以 来、 こ の よ う な 課 題 を 担 い、 郵 便 貯 金 の「毛 細 血 管 ( una raccolta capillare ) 」 の 頂 点 に 位 置 す る 公 的 金 融 機 関 と し て 活動を開始し た * 9 。その後まもなく一八九八年、CDPは国 庫省 ( Ministero del Tesoro ) 内部の総局のひとつとして改 組されて、国の財政運営の一翼としてより明確に位置づけ られた。CDPは、一九世紀後半から二〇世紀初頭にかけ て、 と く に 地 方 公 共 団 体 の 公 共 事 業 実 施 に 伴 う 融 資 な ど に、枢要な役割を果たした ( De Cecco e Toniolo 2000 ) 。 CDPを媒介とした国家による地域開発は、インフラ整 備を通じて地方を中央に結び付ける国家統合、さらに多様 な地方に国家の存在を意識させる国民統合の有力な手段と なった。国民国家揺籃期の統合にとって、数々の『クオー レ』を通じた有名な初等教育だけでなく、地域開発も、実 践的効果を企図してさかんに行われたのである。
2
大
戦
間
期
近代国民国家の確立に向けた公的金融活用は、決して順 調な歩みを示したわけではなかった。一九世紀末から二〇 世紀初頭にかけて、地域開発、社会政策、教育などさまざ まな政策が展開され、第一次世界大戦の総力戦の経験を経 てもなお、根深い地域的亀裂という問題は克服されていな かった。とくに、経済的発展が後れた南部の状況、いわゆ る「南 部 問 題 ( Questione meridionale ) 」 に は、 解 決 の 糸 口すら見出せなかった。 イタリア国家の一部エリートのなかでは、このような課 題を解決するには、より積極的な公的介入と地域開発を通 じた経済発展が必要であること、その鍵は、産業投資や地 方公共投資を担う公的金融制度の抜本的拡充にあるという 認 識 が 拡 が っ て き た。 政 治 家・ 経 済 学 者 で あ る F・ ニ ッ テ ィ の 薫 陶 を 受 け た「ニ ッ テ ィ 主 義 者 ( nittiani ) 」 と 呼 ば れ る テ ク ノ ク ラ ー ト ( tecnici ) は、 通 常 の 行 政 機 関 と は 異 なる中央銀行、金融や公企業など各種の半公的機関を拠点 に、南部問題の解決を含めた地域開発と公的金融の政策的 刷新に乗り出した。 一 九 一 九 年、 Crediop が 創 設 さ れ た の は、 イ タ リ ア 銀 行 の 改 革、 産 業 復 興 公 社 (I R I ) 創 設 な ど 一 連 の 公 的 金 融 枠 組 み の 刷 新 の 過 程 で あ る。 そ の 核 と な っ た A・ ベ ネ ド ゥ ー チ ェ、 D・ メ ニ ケ ッ ラ ら の テ ク ノ ク ラ ー ト は、 Crediop に 公 共 事 業 へ の 資 金 融 通 に 関 す る 高 い 独 立 性 を 付 与 す る こ と で、 財 政 均 衡 を 重 視 す る 国 庫 省 な ど 伝 統 的 官 僚 制 の ラ イ ン と は 別 の、 よ り 強 力 な 開 発 を 実 現 す る 道 を 志 向 し た ( Asso e De Cecco 19 94) 。 C D P に つ い て も、 一九三〇年代には地方行政の経常収支に対する資金融通の 義 務 か ら 解 放 さ れ て、 Crediop や イ タ リ ア 動 産 公 庫 (I M I ) な ど の 持 ち 分 を 引 き 受 け て、 開 発 投 資 に 向 け た 公 的 金 融手段の拡大に大きな役割を担うにいたった。 地 域 開 発 の 積 極 化 の 潮 流 は、 一 九 二 〇 年 代 に 成 立 し た ファシズム独裁による、地方に対する中央統制・統合の強 化策と密接に関係していた。ただし、メニケッラらのテク ノクラートは、ファシズム政権の中核とは別個に、より強 力で効果的な発展を実現するため明確な優先順位を付け、 政治家への便宜配分に終始しない開発を志向する「新重商 主 義 者 ( neomercantilisti ) 」 と 位 置 づ け ら れ る。 い ず れ に せ よ、 C D P の 機 能 強 化 と Crediop の 創 設 は、 と き に 強 権的アプローチも交えながら行われた中央地方関係再編の なかで、重要な意義を有していた。そして、このような枠 組みは、ファシズム体制が崩壊する第二次世界大戦後の民 主制にも、制度的遺産として継続することで、新たな役割 を期待されてゆくのである。Ⅳ
戦
後
国
家
の
成
立
と
開
発
ア
プ
ロ
ー
チ
の
変
化
︱
︱
地
域
開
発
の
政
党
支
配
1
戦
後
民
主
制
の
成
立
と
地
域
開
発
の
変
化
第 二 次 世 界 大 戦 終 結 後 の イ タ リ ア 第 一 共 和 制 で は 、 フ ァ シ ズ ム 独 裁 の 過 度 の 中 央 集 権 へ の 反 省 か ら 、「 保 障 主 義 ( garantismo ) 」 と 呼 ば れ る 権 力 分 散 的 な 統 治 制 度 設 計 が 採 用 さ れ た 。 そ の よ う な 多 元 的 な 政 治 体 制 の 統 合 役 と な っ た の は 、 復 活 し た 議 会 制 民 主 主 義 の 軸 た る 政 党 勢 力 で あ る 。 政 党 は 、 戦 後 間 も な く 行 政 機 構 や 膨 大 な 半 公 共 機 関 に 影 響 力 を 拡 げ 、 そ の 資 源 を 通 じ て 社 会 に 支 持 を 植 え 付 け る こ と に 成 功 し 、他 国 と 比 べ て き わ め て 大 き な 権 力 を 行 使 し た た め 、 そ の 政 治 体 制 は 「 政 党 支 配 体 制 ( partitocrazia ) 」と 呼 ば れ た 。 地域開発の路線も、中央集権の抑制と政党の影響力拡大 という傾向と無縁ではいられなかった。一九二〇年代から 四〇年代前半にかけて、テクノクラートの自律的運営によ る強力な集権的発展のアプローチは、戦後の民主主義の下 で は 忌 避 さ れ て い っ た。 ま ず、 C D P に つ い て は、 地 域 開 発 向 け 資 金 提 供 の 役 割 は 大 き く 低 下 し た。 C D P の 性 格 は、 も っ ぱ ら 国 庫 省 下 の 機 関 と し て、 そ の 財 政 的 必 要性 に 応 じ た 資 金 融 通 (国 債 引 き 受 け な ど ) や 地 方 財 政 の 赤 字 穴 埋 め 役 へ と 傾 斜 し て い っ た。 他 方 Crediop は、 フ ァ シ ズ ム 独 裁 と テ ク ノ ク ラ ー ト 主 導 の 経 済 発 展 へ の 関 与 が よ り 強 か っ た た め に、 戦 後 の 位 置 づ け は い っ そ う 不 安 視 さ れ た。 戦 後 復 興 の マ ー シ ャ ル・ プ ラ ン 資 金 の 運 営 参 加 は 拒 否 さ れ、 積 極 的 な 公 共 投 資 計 画 の 主 導 も 政 府 や 中 央 銀 行 の 反 対 で 実 現 で き な か っ た。 さ ら に、 総 裁 も 与 党 系 の 政 権 に 忠 実 な 人 物 へ と 交 代 さ せ ら れ、 機 関 と し て の 独 自 性 の 発 揮 の 余 地 は 消 し 去 ら れ て し ま っ た ( De Cecco e Toniolo 2000 ; Asso e De Cecco 1994 ) 。 代 わ っ て、 地 域 開 発 の 手 段 は、 南 部 開 発 公 庫 な ど 各 種 の 公 庫、 地 方 銀 行、 貯 蓄 金 庫 な ど へ と 多 元 化 し た。 こ れ ら の 金 融 機 関 は、 地 域 ご と に 独 立 性 の 高 い 運 営 が 特 徴 で あ り、 地 方 の 利 害 に 浸 透 さ れ や す か っ た。 そ し て、 地 方 に お け る 利 害 調 整 と 中 央 と の パ イ プ 役 を 担 っ た の は、 そ の地域で影響力を持つ政党政治家であった。 つ ま り、 C D P と Crediop の 地 位 衰 退 に 示 さ れ た よ う に イ タ リ ア 近 代 統 一 国 家 成 立 以 来 の 伝 統 的 な 手 段 で あ る 中 央 主 導 の 地 域 開 発 と い う ア プ ロ ー チ が 挫 折 し た 一 方、 戦 後 の 地 域 開 発 は 政 党 に よ る 利 益 誘 導 (政 治 的 ク ラ イ エ ン テ リ ズ ム ) の 道 具 と な り な が ら、 よ り 地 域 の 利 害 を 反 映 す る こ と で 包 摂 を 進 め る 方 向 へ と 変 質 し た の で あ る。 寛 大 な 地 域 開 発 へ の 資 金 供 給 は、 南 部 問 題 な ど 地 域 的 亀 裂 の顕在化を一定程度抑制する効果を有し た。
2
戦
後
国
家
の
危
機
と
地
域
開
発
一九六〇年代以降、 イタリアでは、 経済が停滞し、 中央・ 地方ともに財政悪化が進んだ。さらに一九七〇年には、普 通州制度の導入を機に、分権化への転換が始まったが、十 分な財源委譲を伴わなかったため、地方財政はいっそう悪 化した。このような状況において、地域開発のあり方は、 大きな修正を求められていった。 地方財政悪化の一因は、 州・県・コムーネ (基礎自治体) が、地域開発や公共事業を行う際、十分な財政的裏づけを 欠 く ま ま 支 出 を 拡 大 し た こ と に あ る。 当 時 中 央 の 国 庫 省 が、国家財政再建のために地方への財政移転を削減してい た事情も関係して、地方財政の赤字は急拡大した。 機 関 設 立 の 趣 旨 か ら す れ ば、 C D P と Crediop は、 危 機に陥った地方開発を救う役割を果たすはずであった。し かし、両機関は、むしろ中央・地方も含めた赤字の穴埋め をますます期待される一方、地域開発への資金提供の役割 は一段と制限されていっ た ** * 。 しかし、それは、非合理的な地域開発の軌道修正を意味 したわけではない。各種の公庫や地方金融機関などから成 る高度に多元的で、地域や政治の圧力に弱い地域金融の制 度下では、需要歯止めは期待できなかった。現実に、公共 事業への資金提供は、経済的合理性をはるかに超えて拡大 した。その背景には、政党勢力が経済危機のなかでの支持 調達のために、公共事業などを通じた利益誘導への依存を いっそう深めていた政治状況があった。一九八〇年代にな ると、徐々に改革の構想も浮上したものの、いずれも決定 打とはならず、問題は九〇年代まで持ち越された。Ⅴ
地
域
開
発
の
グ
ロ
ー
バ
ル
化
・
ヨ
ー
ロ
ッ
パ
化
︱
︱
戦
後
国
家
の崩
壊
と地
域
開
発
ガ バ ナ ンス
一九九〇年代初頭のイタリアでは、EU統合の強化とグ ローバル化の進展への適応という二つの課題が差し迫って いた。しかし、 戦後成立した第一共和制は、 財政赤字膨張、 政党批判、汚職摘発の荒波のなかで失格の烙印を押され、 崩壊を余儀なくされた。 政党支配体制を崩壊に追いやった重要な要因として、そ の基盤を支えてきた、寛大な地域開発という戦後国家のア プローチが、存亡の危機に立たされた点を見逃してはなら ない。財政破綻、政党支持の衰退、汚職拡大のいずれも、 戦後イタリアの地域開発における歪みの帰結であり、それ は戦後国家の正統性自体を危機にさらす事態であった。 したがって、第一共和制からの体制移行と新たに成立し た第二共和制でも、EU統合とグローバル化の両課題に対 応すべく、地域開発の抜本的見直しが争点となったのは当 然である。まず、EU統合、とくにその地域政策は、イタ リアの地域開発のあり方に直接変化を及ぼした。一九八〇 年代末の制度改革を通じて大きく発展したEUの地域政策 は、イタリアにおいて経済的発展が後れた南部などの地域 の開発を相当程度代替し、州など配分対象となった地域の 政策的イニシアチブを大きく向上させた。このような潮流 は、九〇年代後半以降の地方分権の加速化と相俟って、地 域開発における自律性拡大を導い た ** * 。 グローバル化もまた、地域開発のあり方に大きな影響を 与 え て い る。 C D P と Crediop と い う 伝 統 的 な 公 的 金 融 機関の激変は、その象徴である。CDPは、一九九〇年代 に、 国 庫 省 か ら の 自 律 性 を 高 め、 E U の 規 制 に 適 合 す る よ う に 大 幅 な 制 度 変 更 が 行 わ れ た 後、 二 〇 〇 三 年 に は 株 式 会 社 化 さ れ る に い た っ た。 Crediop は 一 九 九 二 年 に 株 式 会 社 化 さ れ た 後、 一 九 九 九 年 に は フ ラ ン ス の 地 方 公 共 事 業・ イ ン フ ラ 整 備 向 け の 金 融 機 関 Dexia の 傘 下 に 入 っ た ( Salvemini 2002 ) 。 い ま や イ タ リ ア の 地 域 開 発 は、 C D P や Crediop の よ うに中央からの公的金融にもっぱら依存するのでもなく、 政 党 政 治 家 の 利 益 誘 導 と 一 体 と な っ た 各 種 の 公 的・ 半 公的・ 民 間 機 関 の 金 融 ネ ッ ト ワ ー ク に 依 存 す る の で も な く なっている。EUの構造基金、起債や金融機関の融資など 国外も含む市場からの調達も増大して、その経路は従来よ りはるかに多様化している。このような変化は、ヨーロッ パ化、グローバル化の拡がりと深化を示すと同時に、国民 国家の伝統的統合手段としての地域開発の意義を、根底か ら問い直している。
ま
と
め
︱ ︱ 地 域 開 発 の 歴 史 的 変 容 と 領 域 性 以上本稿では、現代ヨーロッパにおける地域の問題を考 えるために、近代国民国家の基本的概念であった領域性の 概念に注目し、その変化を考察する視角として、イタリア における地域開発の歴史的変容を検討してきた。それは、 地 域 開 発 の 変 化 の 事 例 は、 ヨ ー ロ ッ パ に お い て、 「地 域 の ヨーロッパ」という新しい秩序が成立していることを支持 するだろうか。地域は、そのアイデンティティに相応しい 政治行政能力を生み出し、国民国家が挫折した課題を克服 することができたであろうか。 イタリアの地域開発の事例は、これらの問いに対して、 両 義 的 な 答 え を 提 起 し て い る。 確 か に、 C D P や Crediop の後退を見れば、国民国家の領域性を強化する核としての 地域開発は、もはや役割を終えたといっても過言ではない であろう。他方、 地域については、 中央との比較でみれば、 地域開発における役割は向上しているといえる。ただし、 同時に、地域自身による開発は、ヨーロッパ・レベルの地 域政策や金融規制、グローバル化に伴う国際市場への適応 などによって、さまざまな枷をはめられていることも明ら かになった。 したがって、 イタリアの地域が、 多様な地域アイデンティ ティに基づく政治行政的自立化を達成するほど強い能力を 獲得できるかどうかは、なお不透明であるといわねばなら ない。地域開発が、国民国家の呪縛から再浮上しつつある 地域のアイデンティティを強化する効果を持つかどうかも 不確かである。このような状況は、イタリアに限られたも のではなく、他のヨーロッパ諸国の地域開発にも大筋で妥 当する。地域が、それ独自の領域性を確立し、国民国家に 匹敵するアクターとなるまでには、長い道程が待ち受けて いるであろう。 しかしながら、イタリアの事例は、二〇世紀末以来、地 域の自立化に向かう変化の速度が、いかに速いものである か も ま た 示 し て い る。 そ れ ゆ え、 今 は、 「地 域 の ヨ ー ロ ッ パ」という秩序が、揺籃期から成長期に入るか、新たな領 域性の担い手が確立するか、きわめて興味深い時代に入っ ているのである。 ◉注 * 1 以 下 で 言 及 す る 地 域 と は、 基 本 的 に は、 国 家 内 に あ る 広 域 自 治 体、 県、 基 礎 自 治 体 な ど の 行 政 単 位 を 表 す が、 イ タ リ アの南部など一定の地理的範囲を指す場合もある。 * 2 本 稿 の 考 察 は、 伊 藤( 2007 ) を 発 展 さ せ た も の で あ る。 本 稿 を 含 む 研 究 は、 科 学 研 究 費 補 助 金・ 若 手 研 究(B )「仏 伊 西 に お け る『連 邦 主 義 』 改 革 ―― グ ロ ー バ ル 化・ ヨ ー ロ ッ パ 化 と『領 域 性 』 再 編 の 政 治 」(課 題 番 号 一 八 七 三 〇 〇 九 一 ) お よ び、 基 盤 研 究(C )「公 的 金 融 機 関 の 政 治 的 役 割 と 中 央 地 方 関 係 の 変 容 ―― 日 仏 伊 に お け る 史 的 展 開 の 比 較 分 析 」(主 査: 中 山 洋 平 東 京 大 学 准 教 授 ) の 成 果 に 基 づ い て い る。 中 山 氏 お よび拙稿について詳細なコメントを寄せられた川嶋周一氏 (明 治大学)にはとくに謝意を表する。 * 3 国 家 形 成・ 国 民 国 家 形 成 の 理 論 的 歴 史 的 側 面 に つ い て は、 Tilly ( 1975 )、 Rokkan ( 1999 )を参照。 *4 領域性概念の問題全般に関しては、伊藤( 2007 )を参照。 * 5 こ の 変 化 は、 い わ ば「主 権 福 祉 国 家( sovreign welfare state )」 か ら「半 主 権 的 福 祉 国 家( semi-sovreign welfare state )」 へ の 転 換 と も 呼 ぶ べ き 現 象 と し て、 地 域 の 役 割 へ の 注目を高めている。 * 6 今 日 政 策 と し て、 物 的 資 源 配 分 の 政 治 へ の 関 与 よ り も、 さ ま ざ ま な「ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 政 治 」 へ の 影 響 力 行 使 に 焦 点が移行しているとの指摘もある。 * 7 地域政策の概要については、伊藤( 2006 )を参照。 * 8 マ ル チ レ ベ ル ・ ガ バ ナ ン ス の 概 念 に つ い て は 、 Marks and Hooghe ( 2003 ) を 参 照 。 * 9 こ の よ う な 少 額 の 民 間 貯 蓄 の 活 用 に よ る イ ン フ ラ 整 備、 産 業 化 の 資 本 調 達 と い う 手 法 は、 イ タ リ ア だ け で な く、 比 較 的 重 工 業 化 が 遅 く、 そ の た め の 金 融 シ ス テ ム の 整 備 も 不 十 分 だ っ た 国(フ ラ ン ス の C D C、 日 本 の 財 政 投 融 資 制 度 な ど ) に共通してみられた。 Nakayama ( 2007 )、Nakayama and Ito
( 2008 )を参照。 * 10 一 九 六 〇 年 代 に は、 C D P の 地 方 公 共 事 業 向 け 融 資 は、 全体支出の三分の一をすでに割り込んだ。 * 11 政策立案能力の乏しい地域の場合はとくに、 国の関与(国 庫 省 開 発 政 策 局 D P S の 支 援 な ど ) が 依 然 と し て 重 要 な 事 例 もある。伊藤( 2006 )参照。 ◉参考文献 伊 藤 武( 2006 )「ヨ ー ロ ッ パ 地 域 政 策 と『ヨ ー ロ ッ パ 化 』 ―― イ タ リ ア に お け る 構 造 基 金 の 執 行 と 政 策 ガ バ ナ ン ス の 変 容 」 廣 田 功 編『現 代 ヨ ー ロ ッ パ の 社 会 経 済 政 策 』 日 本 経 済 評 論 社、 二四三―二七三頁。 ――( 2007 )「 『領 域 性( territoriality )』 概 念 の 再 検 討 ―― 近 代 国 民 国 家 の 変 容 と 連 邦 主 義 的 改 革 の な か で 」 宮 島 喬・ 若 松 邦 弘・小森宏美編 『地域のヨーロッパ――多層化・再編・再生』 人文書院、四四―六七頁。 若 松 邦 弘( 2007 )「ロ ー カ ル ガ バ ナ ン ス の 台 頭 と 調 整 ―― イ ギ リ ス に お け る 都 市 部 の 再 生 戦 略 」 宮 島 喬・ 若 松 邦 弘・ 小 森 宏 美 編『地 域 の ヨ ー ロ ッ パ ―― 多 層 化・ 再 編・ 再 生 』 人 文 書 院、 二九八―三一八頁。 Ansell, Christopher K. (2 00 4) "Restructuring Authority and
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