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[講演要旨] 天保四年(1833年)山形沖地震津波の調査

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Academic year: 2021

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(1)歴史地震 第26号(2011) 95頁. [講演要旨]天保四年(1833 年)山形沖地震津波の調査 石井. 寿・中村亮一(東電設計)、植竹富一(東京電力)、宇佐美龍夫(東大名誉教授)、渡邊. 歴史地震の津波による震源モデル推定には波高分布を 説明する津波シミュレーションなどが行われる事が多い。 天保四年(1833 年)山形沖地震の津波については、相田 (1989)により断層モデルが検討されており、沖合で西傾斜 と陸寄りで東傾斜のモデルのうち後者が波高性状等をよ く説明するとしている。 本研究では、震源モデルの検証に資するため、津波の初 動の状況に着目し地震史料を整理・検討を行った。 対象とした史料は下記の通り。 1)増訂大日本地震史料 2)新収日本地震史料 3)補遺 4)続補遺 5)拾遺 6)続古地震 その一部を下記に記す。 ① 出羽国庄内及ヒ佐渡国地大ニ震フ、庄内ノ鶴岡・大 山・槇曾根・南吉田・奥井新田・廣野新田等ハ半潰 トナリ、狩川ハ破損甚ダシク、大町ニテハ四十戸全 潰セリ.加茂方面ニハ地震後津浪打寄セ、加茂、今 泉、金沢、宮沢、油戸、湯ノ浜ノ六ヶ村ニ潰家、破 損家七十戸、溺死十五人、流失家八戸、流失船九十 二艘アリ.(増訂大日本地震史料、pp403) ② 西田川郡ノ平濱海辺局部ハ浜中以北ニ於テ異様ニ モ損害ヲ蒙ルコト軽シト雖モ、加茂方面ニ大損アリ、 陸ノ地震ト殆ド同時ニ津浪打寄セ、其結果タル京田 組即チ加茂、今泉、金沢、宮沢、油戸及湯ノ浜ノ六 村落ノ被害(後略)(奥羽西部ノ地震帯、増訂大日本 地震史料、pp404) ③ 申上刻地震引続キ大汐高波打寄潰家破損所亡失船 等月番之老中へ達之(牧野長岡家譜、新収日本地震 史料 pp681) ④ 八ツ時大地震にて暮方に塩干大澗の處まで水引、水 増して夜四ツ時分まで大騒ぎなり。(念相寺過去帖、 新収日本地震史料 pp681) ⑤ 八ツ時大き成地震也、同七つ時殊之外汐引輪島崎澗 之内懸り澗迄砂浜ニ相成申候(輪島市重蔵神社文書、 補遺 pp787) ⑥ 夕七つ時、地震之跡津波打上げ、輪島兩町・輪嶋崎 村并同所海士、潰家・人損有之(御用儀品々帳、続 古地震 pp400) ⑦ 八ツ半過近年覚無之大地震、然ル処半時迄無之内汐 四尺程壱度ニ満(松前町史資料編、新収日本地震史 料 pp695) ⑧ 福山強震あり、約半時間の後海潮満つる事四尺(北 海道史、増訂大日本地震史料、pp408) ⑨ 頻ニ海辺ノ田地江満テ込、及暮ニ程満干音高ク、山 も崩るゝばかり、灘辺之人家満水ニ相成、別而入江 浦潮勢強ク(隠岐御役人御更代覚、補遺 pp819) 上記のとおり、この地震による津波は北海道から隠岐に 至る広範囲で観測されている。 津波の挙動に関しては、震源域に近いと思われる山形県 沿岸において「陸ノ地震ト殆ド同時ニ津浪打寄セ」、 「加茂. 健(渡邊探査). 方面ニハ地震後津浪打寄セ」等の記事から津波は押しであ ったと考えられ、また津波の波高・遡上高もこの地域が最 も高い。そのほかの地域も含めて、津波初動の記事の結果 を図-1に示す。 庄内平野周辺では津波が地震と同時あるいは直後に押 し寄せたという記事が数多く見られるが、加茂については、 例外的に、浜の人達が魚や貝を拾いに行ったという引汐を 示す記事(安部惟親「話の種瓢(たねふくべ)」)が見られ た。そこで,その元史料を再調査した結果、嘉性の「大雨 洪水天保飢饉録」を引用したものであることが判った。こ れを除くと庄内では津波が押しで押し寄せたことになる。 相田(1989)は,本地震の断層モデルとして沖合の西に 傾斜する断層と,より陸に近く東に傾斜する断層の二通り を検討しているが,庄内で押しから始まったとすると,後 者の断層を,より強く支持すると考えられる。また、津波 の初動に関しては、輪島、角田浜についてのみ津波シミュ レーション結果に言及、 「感知されないわずかな引き」と している。 しかし、松浦ほか(2010)は、震度分布図等から、それよ り沖合である可能性を指摘している。ただし、相田は沖合 で東傾斜の断層面は設定しておらず、今後の課題と考えら れる。. - 95 -. -函館 +松前 -鰺ヶ沢 -象潟塩越 断層モデルA3 +両津 -相川 (±?)輪島. +湯野浜 加茂 +五十川 +温海 +村上岩船 -角田浜 -出雲崎. +海士 +珠洲 -氷見 断層モデル A3 は相田による. 図1. 天保四年山形沖地震津波 +:押し、-:引き 断層モデルA3は相田による.

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