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イメージの母子相互作用 : 心因性頭痛をもつ女児のロールシャッハ・テストに反映した母子相互作用

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(1)

イ メ ー ジ の 母 子 相 互 作 用 *

― 心 因 性 頭 痛 を も つ 女 児 の ロ ー ル シ ャ

ッハ・テストに反映した母子相互作用―

男**

は じめ に 人間 の心 的 世 界 の横 能 につ い て吉 本2)は以 下 の よ うにのべ て い る。 ・- はくなんか,人間の基層心理というものを含めて,人 間の観念の働きがもっている世界を大体三つに分けてかん がえるわけです。 そのひとつはどういうことかと云いますと, じぷんのじ ぷんに対する関係の世界,それはふつ うの言葉で云えは, 個人の,つまりじぷん自身の内面の世界の表現になってい る,そういう世界というもの。 もうひとつは,自分と他の ひとりとの関係の世界。これは広い意味で云えは,性の世 界だとかんがえます。(中略)要 するに,ひとりの人間がじぷん 子 どものイメージ世界 以外のひとりの人間と関係する 世界が,性の世界だというふ う にかんがえます。だからひとり の人間と他のひとりの人間のあ いだに,もしなんらかの意味で 交流があるとすれば.それも広 い意味で,性の世界に含まれる を3つ の次元 に分 け る考 え方 は,その ま ま、、イ メー ジ 'につ いて も応 用 し, 当 て はめ てみ る ことが可 能 であ るよ うに思 われ る。Fig.1に この3つ の次 元 を図式化 した。 ところで,子 どもの もつ イ メー ジを母親 が理 解 しよ うとす る場 合,母 親 はii)の対 的 世 界 のみ を理 解 す れ ば こ と足 りるわ けで は な い。勿 論, 母 と子 の共 生的世 界 にお い て は この世 界 が最 も自然 に理 解 し易 い もので は あ るが, それ だ けで は末 だ不十 分 であ る。 母 親 は子 どもの もっ i)の個 人的世 界 を も理 解 し共 感 す る こ とが で き な けれ ばな らない。 その結 果, 子 ど もの個 人的世 界 は,母親 との対 的世 界 を通 して無 限 にiii)の共 同 個人的 イメージの共同化 とい うことができるとおもいます。 Fig.1 イメージの3つの次元 と母親の反応 (中略)もうひとつの理解の基軸は,ひとりの人間が共同 の世界一社会 という言葉でも国家という言葉でもなんでも いいんですけれどもーでどういうふ うに振るまうか,ある いはどういうふ うな心の持ち方を持つか,そういうひとつ のべつの基軸です。・-・ ここで は,観 念 の働 きが(つl D個 人的世 界 の次元 ( -老関係の世界)② 対 的世 界 … の次元 (2老関係の世 罪)(参共 同的 世 界 の次 元 (3老関係の世界) とい う 3つ の次元 に分 けて考 え られて い る。 人間 の観 念 '本稿の一部 は第24回 日本教育心理学会で 口頭発表 し た。 り =早稲田大学文学部 (長野大学産業社会学部) - ・ 対隅 (-pair)の意味で使用したO 的世 界へ と社 会化 され て い く志 向性 を もつ よ うに な る と思わ れ る。 そ もそ も, 子 どもが 自 らの反応 (- p-ルシャツ - ・カー ドに何を見たか) を言語 化す る プ ロセ スの 中 には, イ メージの個 人的世 界 を, 検 査者 とい う 他 人 との対 的関係 を通 して共 同化 して い く方 向が 含 まれ てい る。 した が って, この言 語 化 され た子 どもの反応 (-イメージ)を母 親 が① 検 査者 の ヒン トな しに 自由に推 測 し,② 検 査者 の ヒン トに よ っ て判 断 し,③ 検査者 の説 明 に よって共 感 (受容)し て い くとい う一連 の プ ロセ ス は, そ の よ うな子 ど

(2)

もの イメージの社会化-の意志 を くみ と り,補助 してい くとい うプロセスで もあ る。子 どもの側 の 社会化へ の意志 をひ きだ し, サポー トしてい くの に,母親 は最 も有利 な位置 にい る。母親 は一人の 成人 として共 同世界 を十分 に経験 してお り, また 一方,子 どもとの 日常生活 によって,子 どもの個 人的世界をかな り詳 しく知 ってい るか らであ る。 母親 は したが って,子 どもの個人的世界 を共 同世 罪- と高めてい く媒介者た りうるのであ る。 しか し, もしこの媒介的役割 を とることに母親 が失敗 した り, その機能 をなん らかの理 由で発揮 で きなか った場合,母 の代理者 がいれば よいが, その よ うな代理者が得 られ なか った場合,子 ども のイメージは個 人的次元 に留 り, なかなか社会化 され な くなって しま うので は ないか と考 え られ る。 筆 者 の 先 の 報 告3)∼ 6)で は,① イ メ ー ジ が コ ミュニケーシ ョンにおいて感情的 な側面 を伝 える のに大 いに役立つ とい う指摘 はなされたが,②母 親が子 どもの反 応 (イメージ)をi)推測 しii)判断 しiii)共感 で きることが何故 に大切 なのか とい う 考察 はな され なか った。本稿 では,母親が子 ども の反応 (イメージ) を理解で きることによって, 子 どもの イメージの社会化が促進 され るとい う仮 説 に立 って,子 どもの ロールシ ャツ/、反応 に対す る母親の推測能 力について検討 を加 えてい きたい と思 う。 ここで もういち ど,子 どもの ロールシ ャツノ、反 応 を母親 に推測 して もら う際の3段階 について触 れてみ たい。まず, i)何 も ヒン トを与 えず に自由 に推測 して もら う段階(freeresponse),次 に, ii) 反応 内容 (何を見たか)のみ教 えてそれ を説 明 して もら う段階(suggestion),最後 に iii)反応内容の税 域. 内容の細かい説明を してそれが理解 で きるか どうかをみ る段階 (explanation) とい う3つの段 階 に分 かれ るわ けであ る。 ところで,先 の報告3) ∼ 6)の中で は筆者 は この i)∼iii)の段 階 は連続 し た同質 の ものであ り, 同 じ連続体上 にあ るもの と 思 っていた。 しか し, その後 の経験 によって, こ のi)∼iii)はそれぞれその質 を異 に してい るので はないか と考 え るよ うになった。 それ について以 下 のべ てみたい。

i)の freeresponseの段階 は,筆者が予想 して

いた 以上 にむず か しか った。それ が 自分 の子 ど もであ るとはいえ,他者 の イメージを推測 してい くことはむず か しいもの なのであろ う。母親 は自 分 自身の ロール シ ャツ-反応 に頼 って推測 してい るのだか ら,このi)段階 での推測の一致 は推測能 力や対人的理解能力, コ ミュニケーシ ョン能力の 良 し悪 しで はな く,、、両者 の資質 の類似性 (いいか えるならは個性の類似性)′'を測 ってい るのではな いか と思 う。つ ま り,母 子 が どれ ほ どイメージ能 刀, 内容 において似てい るか とい うことを測 って いるので はないか と思われ る。本稿 ではこの一致 度 を数量化 した。次にii)の suggestionについて は,、、他者 (子 ども)の反応 パ ターンの推測能力〟 が測 られてい るよ うに思 われ る。 つ ま り,母親 は 子 どもが何をみたか(what),さらにどこにみたか (where)を しる ことに よって,子 どもの反応 パ ターンを推測 し研究 してい るので はなかろ うか ? この段階で子 どもの反応 パ ターソに気づ くのが早 けれ ば早 いほ ど,母親のii)段 階 目での推測率 は高 くなると思われ る。最後 に,iii)explnationの段階 で測 っているものは,、、他 者 (子 ども)の反応 に対 す る母の共感 ・受容能力''であ ると考 えられ るQ この段 階 は 自分 の子 どもが何 を (what) ど こに (where)どの よ うに (how)みたかを しることに よって, その反応 の非言語 的意味(why)を共感 ・ 受容 してい く段階 なのであ る。 ここでは,子 ども のイメージを母親が受け入れ られ るか どうか とい う母 の側 の柔軟性が問われ ている。 この3段階におけるそれ ぞれの意味を, ここで は これ以上深め ることがで きないが,筆者が先 に 考 えていた よ うな単純 な ものではな く, それぞれ 質 の違 った ものであることは確か なよ うであ る。 Tablelにそれぞれの段階 で測 ってい るものを図 式化 した。 Tablel 推測の 3段階の測定 している内容 i) Ere(ef

K

re

A

W onse両者の資質 (JW の頴似性 鳥 十 sug&eat.igp川 他鮎 笥 巌 酢 パターソの

iii) eXp(kanapAt)ion 他者 (チビも)の反応への

(3)

4-以 上,(》わ れわ れ の行動 は イ メ-ジに よ って規 定 され てお り,(参コ ミュニ ケ-シ ョソの うち感 情 過 程 をに な うもの と して イ メージは重要 な役割 を もってい る とい うこ と, さ らに③ 母親 が子 どもの イ メ ージを個 人的世 界 に まで深 め て理解 す る とい うこ とは, 子 どもの イ メージを社 会化 す るため に 必 要 な こ とで あ る とい う3つ の観点 を踏 まえて, 心 因性 の頭痛 を もつ女 児 の症 例 につ い て詳 し く報 告 した い。 ロール シ ャ ツ- ・テス ト (以下ロ・テス トと略す)につ いて は前報 告 と同 じ く,a)子 どもに ロ・テ ス トを施 行 し,つづ い て(参別場面 で母 に ロ・ テ ス トを施行 し, さ らに(卦母 に子 どもの ロ ・テ ス トを推 測 して もら うとい う3つ の手順 に したが っ た (筆者は先に報告したAnorexiaNeⅣosa3)4)の女児をイ メージのコミュニケーション能力からみて重度,さらに夜 尿の男児5)6)を中度,そして本稿の症例を軽度として,次に ノーマルな母子の反応をも含めて比較研究を行いたいと 思っているが,それは次の機会に譲 りたい)0

Ⅰ.症

症 例 :S・A,昭和45年7月4日生 れ。10才,小 5の女 児。 主 訴 :頭 が割 れ る よ うに痛 い。 診 断 :心 因 性頭痛 (PSD)0 家族構成 :父,母, 冗(14才),祖母 (天気予報よ りよくあたるといわれる頭痛の持ち主。頭痛の時必ず雨に なるという

。S・

A

の頭痛はこの祖母をモデルにしている可 能性がある)0 現症歴 :幼 稚 園時 (入院6年前),園 にい く時 吐気 を訴 えた こ とがあ る。今 回 は小学 校

4

年 に進級 し た頃 (入院1年前)よ り

,

「胸 が苦 しい

「頭 が痛 い」 等 の症状 を訴 え,近 医 を受診 した。脳 波異常 を指 摘 され,投 薬 を受 けた が改善 が なか ったので, 精 査 目的 のた め 筆 者 の勤 務 す る大 学 病 院 に入 院 と な った。現在 に致 るまで症 撃 の既往 はな く,家族 歴 で は父方 の お じが精 神分 裂病 であ った。 入院時 現 症 には特 記 すべ き もの は な く, 血液検査 で も異 常 を認 め なか った。脳 波検 査 で は, やや不規則 な 基 礎 律 動 に時 折,滴 漫 性 にirregular spike

&

wave complex,お よびsharp&wavecomplex,

高振 巾S波 の群 発 を認 め,HVでそれ らの増 強 を 認 め た。BrainCTscanで は異常 を認 め なか った。 入院 中 には症 状 の出現 は なか った (実際には痛いこ ともあったが我慢 していわなかったとい う)。 病 棟 の主 治 医 は以上 の結 果 か ら

,

「幼 稚 園時 代 の エ ピ ソー ド,patientprofile,近 医 よ りの投薬 で改善 の ない こ とか ら脳 波異常 と頭痛 の関連 性 は ない と考 え心 因性頭 痛 と診 断す る」 と総括 してい る。 生育歴 :生下 時体重3,400g,首 の座 り,- イ-イな どよ く憶 えてい ないが正常 であ った と思 う。 始歩 1才,姶語 (よく憶えていない。普通だったと思 う)0 言葉 の増 加 は順 調 で あ った

。 2

才頃 の質 問 はそれ 程 うる さ くはなか ったが多少 はあ った と思 う。 離 乳 は5- 7ケ月頃 か ら始 め,大 人 と同 じもの を食 べ られ るよ うに な った の は1才頃(10-12ケ月の頃, 柔らかいものだけ与えていたのを,家の商売が忙 しかった のでオニギ リにしてみたところ,す くや食べ られるように なった)。 オ ム ツが取 れた の は 1才過 ぎ (夜も同時に とれた)。夜 尿 は な く,夜泣 き もない子 だ った。 3 才 頃 の痛積 , 自己主張 もな く,大変 き きわ けの よ い,大 人 しい子 だ った。 幼稚 園 に3年 間通 った。

1

年 目は よか ったが,年 中組 の時 よ り, 父親 が迎 え に行 くと怖 が って泣 い ていた とい う。 父親 は二 度 と迎 えに行 か なか った。 家族 で 出掛 けた時 も決 して父 とは手 を繋 が なか った とい うO 小学 校3年 の頃 か ら,先 生 に注意 され た りす る と, いつ まで も憶 えていた。 特 に先生 に誤 解 され た事 はいつ ま で も心 に残 っていた よ うで あ る.勉 弓鋸こ関 して は それ程 頑張 り屋 で はないが,他 の子 が 自分 よ りで き る といつ まで も残 る万 であ る。 眠 ってい る問 に指 しゃぶ りがあ る (こういった口 唇的な欲求は次にのべる

CAT

の中によく反映されてい る)01年 に3日程 風邪 で休 む ぐらい で,学 校 は ほ とん ど休 まない。 時 間割 は前 の 日に きち ん と揃 え て い る。 出掛 け る前 は トイ レを気 にす る。 とて も 凡帳面 。友 人 の数 は普通。 人 の好 き嫌 い はは っ き りして い るが,嫌 い な子 とも遊 んで あ げ られ る と い う柔 軟性 もかね そ な えてい る。 心理 テ ス トの結 果 につ いて 知能 テ ス トは特 に行わ なか ったが, 学 校 の成績 が 中 の上 で あ る こ とか ら判 断 して ノーマルの範 囲 にあ る と思わ れ る

。PF

ス タデ ィの結 果 か らみ る と,外 罰7% (-43%), 無罰63% (+37%), 自己 防衛74% (+21%).要求固執170/.(-11%)と非常

(4)

に極端 な形 でで てい る。総括 してい うと,外罰 の 少 ない分, 無罰 が極端 に多い (筆者の印象では, ヒス テ・)-傾向の弓飢 ・人に無罰の憤向が弓臥 、ように思う)。 ま た, 自己防衛傾 向が極端 に強 い。要求固執 が少 な いのは諦 めの よさを反映 してい るのであ ろ うか ? ところで先程,生育歴 の欄 で

S・

A

に指 しゃぶ り があ る ことにつ いて触れた。この他 に も

,S・

A

は ① 非常 にお喋 りであ る,② それ に も拘 らず, いつ も自分 は何か喋 り足 りない よ うに思 う,③ 家業 の 忙 しさに よる離 乳 の急速 さに も速 か に適応 してい るな ど口唇欲求 に まつわ る性格行動 や エ ピソー ド を多 くもってい る。 この傾 向がCATに よ く表れ てい るので, 以下,CATの反応 をその まま紹介 してお く。 CAT (Bellack版)のプロ トコル ガー ドI:子 ど もが 食事 を した くて一 生 懸 命 待 ってい る。 小鳥 (子ども)はスプーンを ダンとた た いてい る。 これ (母鳥)は早 く食 べ な さい とい っ てい るが, お椀 には何 もの っていないので食べ よ うとして も食べ られ ない。最後 は食べ る事 がで き る。 カー ドⅠⅠ:熊 が綱 引 きをや ってい る。 こっちは 力持 ちだか ら一 匹。 こっちは強 そ うな顔 を してい るけ ど弱 々 しいので,小 さいのが手助 け してい る。 こっちが勝 つ (Fig.2)0 Fig.2CAT・Ilカ- ド(I3ellack版 ) カー ドⅠⅠⅠ:本 当は象が こ うい う凪 な違 そ うな玖 してい る (はず)。 ライオ ンが象 を放 して足組 んで 座 ってい る。考 えてい る。 お金 もらお うか, そん で なか った らケーキ食べ よ うか ?最後 は ケーキ も らって食べ ち ゃ う。 カー ド

Ⅴ:

カンガル ーが ピクニ ックに行 く。 こ れ,大 きいか ん じだけ ど,足 が折 れ て跳 ね られ な いか ら自転車 に乗 ってい る。 これか ら森 -行 き, 食べ た り,踊 った りして楽 し く過 ごす。 カー ド

Ⅴ:

まだ,熊 が寝 るベ ッ ドで この小 さい の は寝 てない。 これか ら寝た くてベ ッ ドに入 る。 子 どもは寝 てい るけ ど,大人 は起 きて る。 大 きい か ら。 これ か らベ ッドに入 ってお菓子 を食 べ てい る夢 をみ る。 カー ド

Ⅰ:

洞穴 の中 に熊 が寝 てい る。この熊 (千 どもの熊)は病気 で ヨレヨレにな ってい る。この(大 人の)熊 は死 んで しま う。こっち・のがお墓 をつ くっ て埋 め る。 カー ド

V

Il:虎 が お猿 さん を食 べ よ うと して い る。 お猿 は逃 げ よ うとしてい るが最後 は食べ られ る。 カー ドVIII:ゴ リラがお茶 の会 に呼 ばれ,子 ども 連 れ で きたので,お利 口にす るの よ とい っている。 こっち は, あの人た ちは子連 れで きて ./と話 して い るo 怒 って, この人たちをな ぐっち ゃった の。 カー ド

I

X:

兎 さんが病気 でベ ッ トに寝 てい る。 母 さんが食べ物持 って くるか ら待 って な さい とい う。 いいつ け通 り待 って ドアの万 をみてい る。最 後 には母 さんが食べ物 持 って くる。 カー ド

Ⅹ:

この小 さいのが トイ レに行 きたい と 思 ってい るが一人で はで きない。 この犬 (母) が ち ょっ と待 ってな さい とい う。最後 にはち ゃん と で き る。母 親 が テ レ ビを見 て い るの で一 人 で頑 張 ってや った らで きた。 CATの結果 か ら分 か ることは, まず(D10枚 の カー ドの うち6枚 の カー ドに 、、食べ る''テ ーマが 表われ てい る ことであ る。 またその中 に,食べ る のを 、、待 た されてい る (カードⅠ,IX)〟とい う形 に なってい るカー ドのあ ることが注 目され る

。S・

A

の家 は商 売 を営 んで お り,食 べ る事 に限 らず 待 た され る場面 が多か ったので はないか と想 像 され るか らであ る。後 日,CATの反応 をその まま母 親 に見せ た ところ 、、食 い しん坊 だ し,待 たせ る事 が多か った ものね〟 と述懐 して くれた。但 し, こ の6枚 の カー ドは全 て,、、最後 は食 べ る事 が で き る〟とい う形 にな ってい ることか らみ て

,S・

A

の 人生 観 はか な り陽 性 の もの で は な い か と思 わ れ る。願 望 は終 には叶 うのだか ら。 カー ドVの錆 は 夢 の中 で ケ-キを食べ る とい うことにな ってい る のは, まさに夢 の中での願 望の実現 であ ろ う。 ま

(5)

た,(卦残 りの カー ドについては, カー ドIIが競争 事態のテーマ, カー ド

VI

が死のテーマ, カー ド

が朕のテーマであるが,いずれ も 、'子 ども′′が勝 つ,埋め ろ (処理する),一人でや るなど 、、子 ども〟 の 自立が強調 されていることが特徴的であ る。 こ こでは子 どもの側の過度 の自立が要求 され, また 子 どもの側で はそれをこなす能力を備 えているこ とが注 目され よ うO③ このことを裏づけ るかのよ うに残 るカー ドⅧでは,母が 自分の用事 に子 ども を供 ってい き,お利 口にす ることを要求 してい る。 以上 の解釈 はS・Aが語 った事 をその まま母親 に見せ る過程 の中か ら自然に浮んできた ものであ る。S・Aの母親は,この後 にも触れ ることになる と思 うが,治療者が多 くを語 らな くて も,場合に よっては治療 者以上にS・Aの事 を解釈す るのが うまか った。S・AのCATを見せ ることで,S・A - の母親 の理 解 は, さ らに具体的 な内容 を もっ て確実 なものになった と思われ る。 面接 につ いて S・Aは退院後2,3日頭痛があ ったのみで,そ の後 はまさに信 じられない ぐらい 、、ヶロ リ〟 と消 失 した。退院後3回面接 したが,症状の再発 は全 く見 られなか ったので終了にした。 1年後の フォ ロー7 ップで もまった く正常であるO以後

1

年 に 1回 の フォローア ップを外来 に て受 け る こ とに なっている。 入院中,あ るいは退院後の母親 と

S・

A

に対す る 面接 か ら明 らか になったの は次 の よ うな こ とで あった。 まず,筆者 が

S・

A

と面接 して最 も印象深か った のは

,S・

A

が とて も、、ぉ喋 り〟だ とい う事である。 時 には速 く喋 ろ うとして吃 ることす らあった。 こ の ことは入院中,看護婦か らも指摘 され 、、もっと ゆ っ くり喋 った ら上手 に喋れ るよ〟 と注意 されて い る。何故そんなにお喋 りなのか聴いてみ ると, まわ りか ら見 る印象 とは裏腹 に,、、自分はいつ も何 か喋 っていない とい う気がす る〟 とい う答が返 っ て きた (実際には扱関銃のように喋っている)。 自分の 喋 っていることが うま く伝 っていない と思 うと不 安 になるので身振 り手振 りを使 って大袈裟 に表現 して しま うとい うことだ った。 これに関連 して

,

S

A

は友人か ら注 目されてい ない と不安だ と語 って くれた。例 えば絵を措 くと きも,工夫 して面 白 く,みんなが笑 って くれそ う なものを措 くとい う

S・

A

に ロ・テス トを施行 し た時に も,筆者が記録をとるのに合わせて喋 って いた。ベ ラベ ラ喋 っているよ うに見 えて,実 はこ ちらの動 きに自然に合わせてい くとい う努力を し てい るのであった

。S・

A

の心の中には表面上の快 活 さと裏腹の微妙な放細 さがあ るのだが,少 し立 ち入 って聞いてみなければ この側面 は見 えて こな い,そんな性質の ものではないか と思われ る。筆 者 はS・Aと話 した後,何か興奮 して疲れて しまっ た。 その実,何を話 してもらったか は憶 えていな か った

。S・

A

のお喋 りは,彼女特有 の防衛機制 だ ったのであろ う。

S・

A

は幼稚園の時,先生が怖かった こと,小

1

, 小

2

の頃,産休の代理で男の先生が来たので職員 室 に見 にいった ら自分だけ叱 られた こと,男の人 で不良みたいな顔 を してい る人 は怖 い ことな ど 語 って くれた

。S・

A

の生育歴の中に丁度幼稚園の 頃か ら父親をひどく怖が り始めた とい うことがの べ られている。 この父については現在 も怖が って い るが,父が酔 って帰 って くると同情 して構 って あ

た りしているとい う。 この父は 自分に学歴が なか ったために苦労 してお り,中2の兄に勉強 し ろと叱 る

。S・

A

は兄が父親か ら叱 られているのを 聞いて, 自分 まで胸が苦 しくなって くることがあ るとい う。他人の事 もまるで 自分の事 の ように感 じて しま う過度の共感性 をS・Aは所有 してい る よ うである。この ような

S・

A

に してみれば,怖い 父親は同時 にまた分かってあげなければならぬ弱 い面 も持ち合わせているが故 に,余計 に 、、怖い〝 存在 なのではなか ろ うか ,父親に対 す る怒 りは父 に対す る家族的な同情心の故 に余計 に意識化 され に くくな り,父に投影 されてい く結果,父の怖 さ を増大 させていると思われ る。 しか し,それは決 して病的な怖 さではない。 ロ ・テス トの

I

V

カー ド を

S・

A

は父親 カー ドに選 び,その理 由 として,、、怖 いけ ど,案外強 くて頼 りがいがある′′と現在では 父親のポジテ ィブな面を認め始めていると思われ るか らである。

S・

A

の恐怖心 は このよ うに,他人-の思い遣 り を内に含んだ ものである可能性が弓鋸 、。生育歴の 中で,離乳の時,母が忙 しかったので,大人 と同

(6)

じ堅いオニギ .)を食べ させた らす く小に食べ られ る よ うになった と語 られ ているが,象徴的 な出来事 であ る。S・Aは この よ うに,相手 の意 に沿お うと す る気持 ちが幼少時か ら非常 に強か ったのではな いか と推測 され る。加 えて, その よ うにで きる能 力を持 ち合わせ ていたために,余計, この形 はそ の後 の

S・

A

の適応 のノミタ-ソに なっていった も の と思われ る。またそれ は,S・Aの評価 を高め る もので もあった

。CAT

の中に,① 、、食べ る〟 の をお預 け く うが,最 終 的 には食 べ られ る とい う テーマ と② 自力で物事 を処理 で きるとい うテーマ が特徴的 に表 れてい るが, この ことか らも,以上 の推測 は, よ り確 かになると思われ る。 ところで,筆者が

S・

A

に 、、心因性頭痛"の説明 してい る最中, S・Aは '、あ っ,わか った〟といわ んはか りに,、、心 の中にた まっているのが頭 にいっ ちゃったんで し ょ.′〟 とのべたのであ った。 この 物分か りの よさには筆者 も驚 いて しまったが

,S・

Aは確 かにそんな気がす るのだ とい う。 してみれ ば,S・Aの中 には,何 か 自分 の中に彰積 してい る ものが主観的 に実感 され始めていた といえるのか もしれ ない。 母親 への資料の呈示 S・Aの母親へ の面接 では,筆者 は得 られた資料 をで きるだけ生 のまま由 に返す とい うや り方 を試 みた。上述 した よ うに

,CAT

な どの資料

(

S

A

の反応)か ら,母 親 は治療者が言葉 で説 明す る以上 の ものを汲み とってい った。(後述するロ・テストの推 測状況でもこれと同じことがおこった。筆者自身がよく分 からなかったS・Aの反応を母が明細化してくれるという カードもあった)

。S・

A

の母親 も

S・

A

に負けず劣 ら ずのお喋 りであ り, しか も決 して不快 な ものでは なか った。話 が とん とん拍子で発展 してい き, と て も面 白いのであ る。筆者 はその事実 も指摘 し, あま り掛 け合い漫才の ように話す と本当に言 いた い ことが伝わ らないので, もっとゆ っ くり聴いて あげては どうか と提案 してみた。筆者の言わ ん と す ることを母親 はまた持 ち前 のス ピー ド理解で吸 収 して くれた。 退院 してか ら約2ケ月後 の面接 での母親 の報 告 に よれ ば, S・Aが 「非常 に よ く食べ るよ うに なった」 こと,症状 はまった く見 られず,元気で 通学 してい るとの ことであ ったo退院か ら約

1

年 後 の面接時点で も症状 は全 く認め られ ない とい う ことであ った。母 はS・Aとよく話 し合 うよ うにな ったので、本人の気持 ちも満た されているのでは ないか とい う。 筆者 は この時点で母 に ロ ・テス トを施行 し,そ のあ と

,S・

A

の反応 を推 測 して もらった。 した が って先 の報告3)∼6)と違 い,今回 の ロ ・テス トは 直接治療的 には使用 されていない。 ただ, この症 例 のよ うに回復が速 く,かつ子 どもの反応 に対す る母親 の理解が よか った症例で, ロ ・テス トの推 測能力 に も同様の理解の よさが見 られ るか香 かを 検討 したい と思 ったのであ る。

.

母 子 の ロ ー ル シ ャ ツノ、反 応 母子 の ロールシ ャツ′、反応 につ いて考察す るた め の原資料 として プ ロ トコルを その まま記 載 し た。 それぞれの カー ドについて,本 人の反応,母親 の反応 の順 に示 した。母 の反応 については

≪M≫

で示 した。 自由反応段階 について は(Per.),質疑 段階については(Inq.)と略記 した。領域 はクロツ

パ ーら(Klopfer&Davidson)7)に従 い口 内に記 して

あ る。 ロ・テス トの施行 日時 はS・A (昭和55年 10月 31日),母 (昭和56年12月11日)であ る。 〔カー ド

Ⅰ〕

(

p

e

r.)

< 1

5

エー ツ, ウ-ソ・--チ ョウ チ ョo(Inq.)羽みたい(DZ)。花 に とまってい るチ ョ ウチ ョ。 目 (dS), これ はシ ッポ (d6)ってい うか, あ とはない

。3

0

W

FM± A P

≪M

(母親の反応)≫ ①

(

p

e

r

.

)

1

0

′<

喋 々ってい えは可愛 いけ ど -4

(7)

8-蛾。 昆虫み た いなか ん じね。 カブ ト虫 は見 えない ね。 あ とは見 えない。(Inq.)くるみ の木 につ く害 虫 に似 てい るO ここあた り(d。,dS)可愛 くない. 全 体 的 に蛾 が 羽 を拡 げ てい る よ うに見 え る

。 1′

5′′ W FM± A P 〔カー ドⅠⅠ〕 ①(per.) 30′′ < コウモ リ

(

W-D

2)0(lnq・) ゲジ ゲジ コウモ リ。ここが ギザ ギザ してい る(D.). (記録しているのを見ている。) ここが平 らってい う か,べチ ャソ コ。 羽 みたい(D3)0(どんな?)や っ は 暗 い とこ洞窟,そ うい うところに留 ってい る。 D FM 手,K A Na ② (per.)< ナ メクジ。(Inq・)くね ってい るナ メクジ(D2)。 くね って遊 んでい る (踊 ってい る)0

D

FM±

A

≪M≫

① (per.) 15〟 の

<

象 さんが鼻 で もって合 わせ てい る。 象 さん とも熊 さん とも (とれる)。 象 さんに似 てい る。(Inq.)ここ(d.)鼻で, ここ目ら しい ものがあ るO ここ耳,足(d2.d。)O立 ってい る よ うo 縫 い ぐるみ を立 たせた よ うに見 えるo

D

FMj

= (

A

) P

② (per.)< 白い ところ(S)/くヅと見 ると電気み たい に も見 え る。(Inq.) ラソプ,上 か ら下 ってい る。 これ コー ド, ここ傘。 1′5′′ S Fm± Obj 〔カー ドⅠⅠⅠ〕 (丑 (per

.

)

2

0

"∧

鳥(WIDZ)O(Inq.)こことこ こ(D8)鳥。 向 き合 ってい る鳥。 この (D.)チ ョ ウチ ョを食べ よ うとしてい る。話 してい る。

D

M ±

A ●

p

② (per.)

<

ダチ ョウ。(Inq.)ダチ ョウが背伸 び してい る(D2) (頭 の中で逆 さに して見 てい る)0 (どんな?)細 い ダチ ョウ。50′′ D FM+ A

≪M≫

(丑(per.)15

'<

家鴨 さんみたいな恰好.(Inq.) お話 して るって ことないけ ど,い くらか人間的 に ア レンジ された,顔 (d2)とこっち(D7)み て, ア ニ メ的 な家鴨 をみ た

。4

0

W

F

千 仏) 〔カー ドIV〕 ① (per.)10"

<

ヵイジ ュウ。(Inq.)足 (D,) が大 き くて カ イ ブ ュウみ た いo こ こ顔 (d2),辛 (dl),足(D3).身体。(どんな?)タヌキの カウジ ュ ウ。顔 が タ ヌキみ たいな形。

W

F± 仏) ② (per.)

<

タ ヌキのつぶ された の。(Inq.)こ れ(d2)が顔 で, もっ と身体小 さい んだ け ど, 自動 車 につぶ され た。 生 きた タ ヌキだ とこんなに下 が 広 くない

。4

5

W F± A

≪M≫

①(per.)15

〝<

動物 の敷皮みた い (皮の敷物)0 (Inq.)なんてい う動物 か は分 か らないが,動物 の

(8)

皮 の よ う。頭(D.),足。伸 は したかん じ。尻 尾(d2)0 表 の方 を上 か ら見 てい る

。5

5

'

W

F

,

FK,

Fm

Ao

b

j P

〔カー ド

Ⅴ〕

E3

(

P

e

r

.

)

3

0

′<

チ ョウチ ョ。

(

I

n

q

.

)

(

D

l), 目, シ ツポ(dl)0 (どんな?)飛 んで るチ ョウチ ョ, ここ(d.)が とぎれ て, こ う羽 が な ってい るか ら, や っぱ りチ ョウチ ョ

。4

5

W

FM±

A P

≪M≫

(

p

e

r.)3′′ < 編 蟻 みたい,ナ メクジみたい で はない し。

(

I

n

q

.

)

羽 の形 が。後 か ら見 て。前か ら見 ると編幅 で ない よ うだが,編 幅 が足(dl)を伸 ば して飛 んでい くの を後 か ら見 た

。2

5

W

FM

±

,

FK

A P 〔カー ド

(

p

e

r

.

)

1

5

′′∧ ドジ ョウのつぶれ た もの(D2)0

(

I

n

q

.

)

ヒゲがで てて。 や っぱ り トラ ックみ たいの につぶ され て グシ ャ ツとな ってい る

。3

0

D

c

F

7: A

≪M≫

(

p

e

r

.

)

2

5

> これ も同 じよ う,敷 皮 み た い。

(

t

n

q

.

)

上 か ら見 た ところ,戻,足,表 っ側。

4

0

'

w

Fc±,

FK

Ao

b

j P

〔カー ド

(

p

e

r

.

)

5′

< 人 と人 との会 話。

(

I

n

q

.

)顔 (

d

3), 目,鼻, 口,身体

(

D

2),足

(

D

.)

0

(どんな 人?)や さ しい人。 (どんな会話?)友だ ちの こと話 してい る。 (この2人友だち?) そ う

.

/1

5

W M± H

≪M≫

(

》(

p

e

r

.

)1

0

〝 < 子 どもみたいね。

(

I

n

q

.

)

全体 か ら見 た ら,子 どもの胴体みたい。 これ顔

(

d

。)0 (漫画が好きだからかな?:母) W

H ②

(

P

e

r

.

)

< 動物 の顔

(

D

2)0

(

I

n

q

.

)

目があ って 歯が あ って,下 を見 て呪 んでい る。 キ ー ツとして い るかん じ

。4

0

D

FM±

Ad 〔カー ド

V

I

J

]

]

@

(

9 (

p

e

r.)

1

5

′<

カイ ジ ュウ (ヒラメカイジュ ウ)0

(

I

n

q

.

)

ここの ところがぺチ ャンコになってい る。全体 で。 べ タン と地面 に平 らにな って寝 っ こ ろんでい る

。3

0

'

W

FM

s

A

≪M≫

(

丑 (

p

e

r

.

)1

5

'

< 虎 み た い なか ん じに も見 え る し。

(

I

n

q

.

)

赤 い とこ (Dl)虎 がの っ Lとしてい る よ う。 あ とは分 か らない。 なんに もか ん じない。 1′ D

FM±

P

(9)

〔カー ドIX〕 (》 (per.)25′′< 犬 (D.)。(Inq.)顔, シ ツポ。 一 匹 しかい な くて,水 を見 た ら影 に映 った の。 こ この黒 い とこ 目, 口さけて る。歩 いてい る。足 は こっち しか見 えな い。 こ こが足 だ とす る と水 に 映 ってない とおか しい

。4

5

D

FK±,FM A,Water

≪M≫

(》 (per.)40′′< バ イオ リン(D,S)みた い に も 見 え るし。あ となんだ ろ う。何 に見 えるのか し ら。 バ イオ リソが 隠れ てい る.(Inq.)軸 (D8). なん と な くバ イオ リン。 こっちか らみ て (テスタ-の方か ら見てと指さす)0 1′10′' D,S F±,FKObj 〔カー ド

Ⅹ〕

① (per.)5′′< カニ (D。)0(Inq.)これ は (D4) なんか,棒

(

D

l.) に

2

人 くっついてい る. D FM± A,Obj P ②(per.)< ざ りが に (D

.

.

+

D6)0(Inq.)上 の カ ニを襲 お うと してい る。 ここん とこが, -サ ミと い うか,そ うい うか ん じ。 D FM± A ③(per.)< 葉 っぱ(D.3)0 (Inq.)葉 っぱ って全 体的 に丸 いの もあ る し, ち ぎれ て全部 ない の もあ る。 それ に緑 だか ら。 D FC± Pl ①(per.)< こ うも り。(Inq.)ここが(D8)。 や っ は羽 で飛 んで る。40′′ D FM± A

≪M≫

(》 (per.)15′′< ア ニ メに 出て くる よ うな動 物 に見 えるわね。何 か しら,動物 が角つ き合わせ てる。 あ とは分 か らない。(Inq.)ここ(D。)テ レ ビ でみ たバ イキ ンの よ う。角つ き合わ してい る

。1′

3′

D F

M± (勾

P

S・AはmostlikedcardにⅩ カー ド (色んな動 物がいてカラフル,奇麗),selfcardに も同様 にⅩ カー ド(自分はカニみたい)を選 んでい る。 さらに母 親 は

S・

A

カー ドとしてⅩ カー ド(色々な色がでて不 安定だから)を選 んでい る。 この よ うに,本症 例 で は

,S・

A

が 自分 自身 を ど うイ メージ してい るか と,母が

SI

A

を ど うイメージ してい るかが見事 に 一致 してい るのが特徴的 であ る。 この ことは,母 のS・Aに対 す る理解 が か な り正確 な ので は ない か とい うことを予 想 させ る。 また, これ がmost likedcardとも一 致 してい る ことか ら

,

S・Aは 自 分 自身 を肯定的 にみ てい るので はないか と思わ れ る (CATのところでも触れたようにS・Aの人生観はか なりポジティブなものなのだろう)0 父親 カー ド,母親 カー ドにつ いては,普通両 カ-ドと して選 ばれ 易 い8)IVカー ド

,V

IIカー ドが そ れ ぞれ選 ばれてい る。 父親 カー ドにつ いて は 「怖 そ うだ け ど,強 くて頼 りが いがあ る(ⅠⅤカード)」, 母 親 カー ドは 「女 の子 らしい0 人問 ってい うか ん じ (Ⅵ1カード)」 とその理 由がのべ られ て い る。 した が って

,

S

A

の両 親像 は極 めて ノーマル な もので あ る と考 え ら れ る。 と こ ろ で

,S・

A

はmost dislikedcardにⅠⅤカー ド(ちょっと真黒で何がなんだ か分からない。怖そう。足が大きくて,かっこ悪い)を選 び, その理 由 と して 「わ けが分 か らず,怖い」 と のべ てい る。これ はS・Aの父 親 に対す るイメージ の一側面 を表 わ してい る と思われ る。 生育歴 の中 で も,S・Aが父 を怖 が ってい る とのべ られていた こ とが思 い出 され る (ちなみに,S・Aは兄について 「犬って強いけど噛むしか能がない(カードIX)」とのべて, 男性に対する否定的なイメージをもっていることを示唆し ている)。しか しこの面 について も

,

「こわ そ うだ け ど,強 くて頼 りがいが あ る」 と肯定面 が増 えつつ あ るよ うに思わ れ る。 さらにつ け加 え る と,母 は 兄について,「や さ しそ う,身体大 き くて象みたい」 とい うイメージを もってい るが,推測す るに

,S・

A

(10)

の家族 内 の男 性 はS・Aか らみ る と分 か りに く い面 を多 く持 っているにせ よ,基本的 には優 しい 人 々なのではなかろ うか ? 一万,母親 は 自己 カー ド (selfcard)に 「や さし そ う (カードlII)」とい うイメージを持 ってい るが, S・Aに対す る母親 の態度 には, (た とえ現在忙 し く,十分 に構 ってあげ られ ないに して も)基本的 には 「優 しさ」 が支配的であ るとみ て よい と考 え られ る。 また Ⅹ カー ド(S・Aカ-ド)に対す る判定 (イメージ)か ら判断す るに

,S・

A

の不安定 さも, 正 しく見 ぬいてい るよ うに思われ る。

.

母子それぞれの ロ・テス ト反応か らみ

た母子差 とイメージの母子相互作用

A.

サイ コグラムか らみた母子差

Fi

g.

3

に母 子 の サ イ コグ ラムを示 したo また Table2に母子 の量的比率 を しめ してあ る。日 内 が

S・

A

の ものであ る

.Fi

g.

4

か らみて とれ るのは まず,①母子 ともに内向的 であ り, FMが圧倒的 に多い とい うことである (母 :

FM

-6,

千:FM-9)。この傾 向は特S・Aにおいて著 るしい。S・A の

A%

8

8

%

であ るが, これ は同年 代 の平均

(

1

0

才-49-58.8%)9)に比較 して著 るしく高 い ことが分 か る。この

2

つの事実か らみて

,S・

A

はそのパ ー ソナ リテ ィの中に 「よ り未成熟で, よ り無意識的 12 10 8 6 4 2

0

で,基本的衝動 の より受 容 Lがたい部分」7)を もっ ている と考 え られ る。 この傾向は母親 において も 同様 にみ られ るが

,S・

A

の方 に よ り顕著であ る。 この よ うな母子関係にあ っては,両者の コ ミュニ ケーシ ョンは衝動的で, コン トロ-ルを欠いた, 深みのない ものになって しま う恐 れがあるのでは なか ろ うか ?事実,S・Aは機関銃 の よ うに早 口で お喋 りであ る割 にはいつ も何か しゃべ り足 りない よ うな不安 を もっているのであ る。次 に,②C反 応

(

F

c

, c

F, C

)

につ い てみ る と

,S・A

1

価,母 は

2

個 あ る

。S・

A

は適当数のC反応 を もっ てい る(10才の平均で0

.

74-3.00個)9)と思われ るが, その内容 を詳 し く検討 してみ ると,その言語化 に おいて今 ひ とつ 明瞭 さを欠 いてい る。例 えはカー ド

Ⅴの反応① は単 につぶれた と表現 されてい るの みであ るが, も う少 し濃 淡 のかん じが言語化 され て いれ ば

F

cとな る もの で あ る。 Cを 「他 人 お よ び自身 の,愛情欲求の受 容 と認知 を示す」7)とみ る な らは

,S・

A

にはその母 親 との問の感受性 の表現 において,今一歩明瞭に言語化 されていない部分 が多いのではないか と思われ る。潜在的には両者 共 に愛情 に対す る質が よいに も拘 らず, それが言 語化 されていないために,S・Aのい うよ うに,「何 かいつ も,喋 ってない (伝ってない)よ うな気が し て」しま うのではなかろ うか ?ちなみ に

,S・

A

の C反応 は 「つぶ されてグシ ャ ツとなっている (カー

M F

M

m

Fi

g.3

母子のサイコグラム C F C C F ど C

C

F

F

K

F

K

k

(11)

Table 2 母 子 の ス コ ア ー の ま と め

SummaryScoringTable R (total response) (1126)

*

W :D ¢:16:

5

0

)

FC+CF+C:Fc+C+C 0 2 (1 1) Rej(Rej/Fail) (

0

o) W % (50

37

) FM:M (10.5'6:0.2) TT (total time) (86′2′403′′′′) Dd% √

0

0) F%/ ∑F% ((2512/1/10000) RT (AV.) (5250〝") S % (8o) F+餐/∑F+%/R+%

(

11恥/(氾/8

/

100/8/8180) RIT (AV.) (117′6〝′) W :M (6 062) A % (5888) RIT (Av.N.C) (1152〝′′)E.B EC:M (0.05 02) At%

0

RIT (Av.CC) (2109′'′') Fc+C+

:

F

M十mC′ (12::9.65)

P

(

冗)

(

7(4(58255易穆 )

MostDelayedCard&Time (ⅨⅠⅠ&V34 0 ′0′′′) ⅦH-1X+X/R (325%8%) ContentRange (44)

Most VlⅠ FC:CF+C _ 0:0 Detem inant 4 Disliked Card (ⅠⅤ) (1:0) Range (6)

V

I

)

」とい うものであ るが, その イメージはいか に もネ ガテ ィブな ものであ るよ うに思われ る。 全体 としてみ ると,本症例 の母子関係 はR(反応 敬)も母子 それ ぞれ に

1

2

,1

6

と似 か よってい るばか りで な く, サ イ コグラムか らおお よその傾 向をみ る限 りで は非 常 に共通性 の高 い ものであ る と結論 で きそ うであ る。

B.

量的比 率 か らみた母子差 Table2か らい くつか の特徴 を ひろ ってみ る。 まず,① 母親 において,無色彩 カー ドと色彩 カー ドの初発時間 に8秒 の差 があ る。 これ はrXカー ド の初 発反応 に40秒 もかか ってい る ことに特徴的 に あ らわれてい るが,(1)母 に

F

C反応 が 1個 もみ ら れ ない こと,(ロ)ⅧI+IX+Ⅹ/Rが25%であ る ことな どか ら推測す るに,色彩 の ま とめ方 が特 に母親 に おいて は苦手 な ことの表 れであ る と思われ る。 し か し,40秒 か か って しまった とはい え,色彩 の中 に潜 んでい る 、、バ イオ リソ〟 を イ メージで きた こ とはなお,母 親 の潜在的 な統合 力 を期待 させ る。 次 に,② 母親 にS%が 8%認 め られ る。これ はカー ドⅠⅠの空 白部 分 を 、、電気 の傘〟とみ た ものであ る。 これ は形態水 準 もよ く,「環童 に対 す る豊 かな反応 性」 7)を示 唆 してい る と思わ れ る。 これ に関連 し て

,

S

A

の母 親 の反 応 に は

∼ に もみ え る し

*上段 母 下段 ( ) 内 子

∼ にはみ えないね

「∼ とみ ると可愛 いけ ど」と い った額 の反 応 の仕 方 の多 い こ とが 特 徴 的 であ る。 この こ とは,S・Aの イ メージを推 測 し,判 断 し,共感す る場合 の,母親 の側 の レパ ー トリーの 広 さ として有利 な点 で あ る。 S・Aの母 親 は この よ うに,相手 の イ メ-ジ世界 に対す る共有能 力が 高 いのでは ないか と考 え られ る. さらに,(診P% についてみ る と, 母親 のP% -58% はか な り高 い が, これ も子 どもの反応 の推測能 力 とい う点 か ら み るな らは,推測 の よさや共有 し うるイメージ世 界 が よ り多 くな る ことを予想 させ る (この場合,千 どものイメージがあまりに独創的であった場合,母親の平 凡なイメージではついていけなくなる恐れがあるが,S・A の場合P%が25%とやはり平均的であるので,母親のP% の高さは利点になると思われる。すなわち両者ともに公共 性の高いイメージ世界を持っている)0 以上

,A,B

においてい くつかの特 徴 をあ

た が,その結果次 の ことが明 らかにな った。つ ま り, (むS・Aと母 の ロール シ ャ ツ-反 応 に は共 通 性 が 高 い こと,② 母親 の側 の潜在能 力,反 応 レパ ー ト リーの広 さ, イ メージ世界 の共有能 力 の高 さな ど い くつ か の 点 か ら判 断 して,子 ど も の ロール シ ャ ツ/、反 応 のi)推測, ii用 」断, iii)共有 ・受容 能 力がS・Aの母 において良好 であ ろ うと予 想 さ れ るのであ る。

(12)

Ⅴ.

ロ・テ ス ト反 応 の 推 測 能 力 ,判 断 能 力 ,

共有能力について

これ まで母子 の反応 その もの と,その差,共通 性 についてみ て きた。 しか し,母子の P ・テス ト の差 をみ るだけでは,確かに母子 をそれぞれ別個 の存在 として独立 させた上で,個 人 としての ロ ・ テス ト反応 をみた場合 よ りは幾分進歩 してい ると はい え, イメージの母子相互作用の側面 にまで立 ち入 る視点を得 てはいない。 イメージの母子相互 作用について考察す るためにはい ま一歩,歩 を進 め,子 どもの (または母の) イメージ世界を母 (ま たは子ども)が ど う見 ているか とい うところまでい かなければならない。 その よ うな視点 を得て初め て イメージの側面か らみた母子の相互作用が見 え て くると思われ る。 筆者 は母親が本人を どれ くらい理解 してい るか をみ るために,子 どもの ロ ・テス ト反応 を推測 し て も らった。推 測 にい くつ か の段 階 を も うけた (TableI)。① 何 もヒン トを与 えず に 自由に推測 して もら う段階(freeresponseの段階),②反応内容 Table3 母一子の推測 Fig.4 推測能力の 6段階評価 (何をみたか)のみ教 えてそれを説 明で きるか どう かみ る段階(suggestionの段階),③反応 内容の領域, 内容の細 かい説 明を してそれが理解で きるか どう かをみ る段階(explanationの段階)。① -③ に進むに つれて,母 の推測能力が低 い こ とを意味す る。結 果 を分か る州 と分か らないH に大別 し, それぞれ を また

3

段階 に分 けて評定 した。全体で

6

段階の 評価 になる (Fig・4)。結果 は+ (I,+,±)に評 価 された ものが,①段階 目0個 (o/16),②段階 目 12個(12/16),③段階 目2個 (2/16),- (-+,-,= ) に分類 され るものが2個残 った (Table3)。 この

2

個 について も母 は「そ うか もしれ な

「あんま り見 えない」 と幾分 はその よ うに も見 えるとのべ てい ることか ら,③段階 目まで にはほ とん ど全 て

Card

N

o

.

freeresponse suggestion explanation

Ⅰ (ら 十 ⅠⅠ Q) ± (そ ういわれれば)* ②

+

(ナメクジ !) = 臼) (向い合っている人間)

±

(鳥を見た点では同じ) + ②

-

±

ⅠⅤ Q) 辛 (私はひっくり返 したので) + ② 十 Ⅴ (D (コウモ リ)

Vl 臼)

-

-+ (そうかもしれない 'れたとい うのが分からない).どじょうが潰 ⅤⅠ1 ① (女の子) 十 l‖ ①

+

(テレビの見すぎだわ !) lX 止)

十 (母が方向を示す :テ リア) X ① ± (宿借 りみたいなものかしら) @ - +- (あんまり見えない :ざりがにに) ③ + (よく分かる) ④

+

(よく分かる)

*(

)内は母の反応あるいは反応の説明

(13)

の反応 を子 ど もと共有 で きると結論 できる。 この手続の中で 目に留 った ことを以下 のべ る。 (》カー ドⅠⅠの 、サ メクジ〟 について,母親は ゲ ラゲ ラ笑いなが ら

,

「あの娘みた ことあ るか しら, ナメクジにシマシマなんかあるか しら」と

,S・

A

のプ ロ トコルでは言語化 されなか った 「シマシマ」 と い う濃淡反応 をみせた。 この点,母親 はいかに も 楽 しそ うに

S・

A

の反応 を受 け入れ,さらにそれ を 明細化 で きてい ることが特徴的であ る。 カー ド

の 、、タ ヌキ′′とい う反応 に対 して も,母親 はカー ドⅠⅠに引 き続 き,再 びいかに も可笑 しそ うにゲラ ゲラ笑 いなが ら受 け入れた。次 に,② ⅠⅠⅠカー ドの 、、背伸 びしてい るダチ ョウ〟 を,初め よ く了解 で きない ようで あ った。この点,母親 には

S・

A

が多 少背伸 びして いる部分が よく理解で きていないの か も知 れない。 〔このカードに対して,母親は①段階目 (freeresponse)で,向 い 合 っ て い る人 間 とい う 人間運動反応

(

M)

S・

A

がみたのではないかと推測 して い るが,この よ うに

M

(共 感 能 力 を示 す

M)

-の可能性を も学んでいるカー ドにおいて,S・Aの 対人関係での 「背伸び」を理解 しに くい とい うこと はとりわけ重要なことであるように思われる。〕ところで, カー ドⅦ はS・Aに とって数少 ない人間運動反応

(

M)

のでているカー ドであ る。このカー ドは

S・

A

に とって,や さ しい友 人

2

人 が会 話 してい る と い う快適 なカー ドで もあ る。 この カー ドに対 して 母親 も唯一 の人間反応Hを示 してい るが, ひるが えってS・A の反応 推測 にお い て も,suggestion 段階で非常 に よ く見 えるとの事 であ った。以上 の ことか ら,母親 はS・Aの 、、背 のび′′してい るとい う側面 にまで は気づいていないに して も,や さ し く話 し合 ってい るとい う現実的 な対人関係の側面 につ いては十 分 に了解 してい る と考 えられ る。 さ らに,③

I

X

カー ドの "犬〟 とい う反応 を,筆者 は よ く理 解 (共感)で きていなか った。 しか し, この 反応 に対 して母親は正 しく方 向を示 し,筆者 に「そ れ はテ リアだ と思 う」と明細化 して くれた

。S・

A

は犬 が嫌いなのだ とい う事実 もこの とき母親に教 えて もらった

。S・

A

はカー ド

I

X

を兄 カー ドとして 選 び

,

「噛みつ くしか能がない」と否定的 に評価 し てい るが, この よ うな

S・

A

の 、、恐れ〟に対す る共 感能 力

, この母親 にあ ってはかな り高いので は ないか と思わ れ る (ちなみに, この

I

X

カードを40秒

(mostdelayedcard)という長い熟考の後,母は1、,I

イオ .)ソ′′とみているが,バイオ .)ソがまさに共鳴 (共 感)により調和 した音を発 し,上手に弾 くことがかな り難かしい楽器であることを考え合わせ ると, この2 人のある種の母子関係が示唆 されているようで大変 興味深い)。最後 に,①母子 ともに平凡反応

P

を示 した カー ドについてはいずれ も共有 し易い よ うで あ る〔e.g.カー ドⅠ(S

A:

チ ョウチ ョ,母 :蛾)カー ドⅤ(S・A :チ ョウチ ョ,母 :煽垣),カー ドⅩ(S・

A:

カニ,母 .'/;イキン)〕。 母子反応 同質性指標

(

SMC)

の提起 先 の報告3)∼ 6)で は,母の側 か ら行 う推測の3段 階を連続体 とみていたが, これ はい く分質 の違 う ものであ るとい うことについて,筆者 は 、、は じめ に〟でふれた。 ところで この3段階, と りわ け① 段階 (freeresponseの段階)での推測能力の根底 に は,もう一つの大 きな要因 として,もともとの母子 の反応がどれ くらい似ているのかとい うことがある。 母子のロールシャツ-反応の同質性がどれ程なのかを 考察す るための手掛 りとして,母子反応 の同質性 指標 (similarity ofRor∝hach Responsesbetween MotherandChild:SMCと略記1を提起 したい。Table 4に SMCの採点法 を示 した。Table5にはS・A の症例 について,Table4の採点法 に したが って ス コア リソグした例が しめ してあ る。母子の反応 が完全 に一致 した場合5ポイン ト,完全 に一致 し ない場合 はポイン ト

1

が与 えられ る。 その間にい くつ か の 段 階 が あ る (Table4)0 S・A の 例 (Table5)の各反応 についてのポイン トを合計 す ると

3

2

ポイン トにな る

。S・

A

の反応数

R-1

6

で あ るのでSM Cは以下の様 になる。 SMC-子誓 言言 霊 還 完 ,o合計点-莞-2・00 具体的 な手順 としては,子 どもの反 応を中心 に す る。 また,当刻 カー ドの子 と母の反応数が等 し くない場合 は,母 の反応の区別 は無祝 して,母の 反応 の中に子 どもの反応 と一致 した ものがあるか ないかでス コ リア リング してい くことにす る。 し たが って,母 の反応 は

2

度以上重複 して使用 され る可能性 がでて くる。 そ うす ると,母親の反応数 が多 けれ は多い程, SM Cの得点 は上 昇す る可能

(14)

性 が 高 くな る。 そ れ 故 この点 を考 慮 して,修 正 SM C (dsMC)を採 用す る こ とに した。

AS

MC

-子主務 慧 諾 i/Rt,合計×謡 墓誌 欝h'l歪,' Table4 母子同質性指標(SMC)の得点 スケール ポイン ト ス.ケ 一一 ′レ 5 完全 に同 じ反応であ

o

e

母,千 :蝶 々が飛 んで

.

g.

いるo(カ- ドI)

4 一致 していないが似(例 え凡反応であるo)ているoは2つ とも平 母 :蝶 々,千 :蛾(カー母 :蝿の顔,チ :カマe忠 :バイオ リン,千 :.g.-三味線 (カー ドⅤⅠキ リの政(カ-ドIドⅠID Ⅰt))

3 部分的に一致 してお C.g.

母 :女 の子がしているo2人で話 り,一致 している チ :ポニーテールの女

部分が大 きいo (カー ドⅤⅠ乗 っているoの 子 が 岩 の上 にl)

2 部分的に一大るが, いしていなきいo致いま部分がだ一致してい e千母.(gカ-:鳥が話 し合 ってい:.を叩いていの間 を蝶 々で し、が飛 んでいるo その間 を昧 々2人 の人間

r

iるOll) がるがるO○ そ太 鼓飛 ん

Table5 症例S・Aの母子同質性指標得点 Card No. Point I (》 4(P)

ⅠⅠ (》 1 ② 1 111 (》 3 ② 1 ⅠⅤ G) 1 ② 2 Ⅴ ① 4(P) ⅤⅠ Q) 2 Ⅵー ① 3 Ⅷ (♪ 1 ⅠX ① 1 X (丑 4(P) ② 2 ③ 1 @ 1 Total 32‥ *平凡反応 + + dSM C-子どもの各反応のポイント合計 子 どもの全反応数(R) × 子 どもの全反応数(R) 母親の全反応数(MR) (1)の公 式 に した が ってS

A

のASM C

-莞×

-2・66と指標化 され る. 本稿 で はS・AのAS M Cのみ求 め たが,後 日, 先 の報 告 の症例 を も合 わせ てASM Cの比較 検討 を行 いた い と思 う. S・AのASM C- 2.66はか な り高 い一 致 度で は ないか と思わ れ る。 この よ うな同質 性 の高低 に も とづ いて さ らに今後考 察 を深 め てい きた い。

Ⅴ.

ロ・テス トの反応 内容か らみた イメー

ジの母子相互作用

ここで は, イ メ-ジの形式面 で はな く, 内容か らみ た相 互作 用 につ いてふれ る。 い くつ か は

l

V

で も示 唆 され た もの で あ る

。S・

A

の イ メージ を

A

潰 れ た ・ち ぎれ た ・背 の び した ・くね った とい う イ メージ

,B

食 べ る ・喋 る とい うイ メ-ジ

,C

口が さけてい る (噛みつく)・襲 うとい うイ メージ に分 けて考 察す る。 さ らに母 親 の

,D

ア レンジ す る ・上 か ら見 る ・後 か ら見 る ・隠 れ て い る とい うイ メージにつ いて も考 察 した いO

(15)

A 潰 れ た ・ち ぎれた ・背のぴ した ・くね った とい うイメー ジ

S・

A

の イ メ-ジほいわ ゆ る潰 れ てベ チ ャソ コ にな った とい うものが多 い。 これ は多少,保続 の 傾 向す ら思わ せ るほ どに続 いてい る。 テ ス ト状 況 での印象で は

,S・

A

がみつ けた ひ とつの適応形式 が多少 とも固執 され てい るので はないか と思われ た。べチ ャン コの こ うも り(カードⅠⅠ),つ ぶ された タ ヌキ(カードlV),トラ ックにつぶ された ドジ ョウ (カードVI). ペ チ ャン コの ヒラメカイブ ュウ(カ-ドⅥI))な ど16個 の うち4個 み られ る。また カー ドⅤ に 「とぎれ て い る蝶

, カー ドXに 「ち ぎれた葉」 とい うイメー ジが言語化 されてい る。 これ らの イ メージは

S・

A

の生育歴 や現在 の状 態 な どか らみ て

,S・

A

の深 層 に横 たわ ってい る被 圧倒 感,不 全 感 を象徴 して い るので はないか と思われ る。特 に 「潰れ た」 とい うイメージは, いわ ば 「ふわふ わ した」とい うイ メージの対極 にあ ると思われ るが, 世界 に対す る

S・

A

の 「ふわふわ した」イ メージを 否定 す る もの と して重要 で あ る。 また

,S・

A

は カー ドⅠⅠに 「背 のび した ダチ ョウ」 とい うイメー ジをみ てい るが, これ は頭 の中でひ っ くり返 して 見 た のだ とい う

。S・

A

が,実 際 に カー ドを手 に とって回転 させ たので はな く,頭 の中で回転 させ た とい う事実 は大変興味 深い。 つ ま り,環 境 に過 度 に適応 しよ うとす る 「背 のび した

」S・

A

の姿勢 は, それだ け よ り意識的 な もので はないか と思わ れ る。S・Aは カー ドⅠⅠに「くね って遊 んでい るナ ノクジ」 とい うイ メージを見 てい るが, いかに も 部 屋 の片隅 み で ひ っそ り遊 んで い る

S・

A

の姿 を 努質 とさせ て面 白い。 この反 応をみ て母親 はゲ ラ ゲ ラ笑 いだ して しま った。 どの よ うな理 由で笑 っ たか ほ定 かで ないが,片隅で必死 に くね って遊 ん でい るナ メクジの姿 はほほえま しい。 以上 の反 応 はS・Aの 内面 的 な 自己像 をい くつ かわれわれ に暗示す る。 B 食 べ る ・喋 るとい うイメージ

CAT

の反 応 で

,S・

A

に 口唇的 な,食べ る・喋 る とい う反応 が非常 に多か った ことを思 い出 して いただ きたい. この ことは ロ ・テ ス トの イ メージ に も共通 して いた。例 えは

,

「チ ョウチ ョを食べ よ うとしてい る

「鳥が向 き合 って話 してい る」(カー ドIll)

,

「人 と人 との会話,友 だちの こ と話 してい る」(カードⅥl)な どであ る。 カー ドIII,VtIともに人 間運動反応 がでやす い カー ドであ るが, それだ け なお さら,この イ メージは

S・

A

の対人関係 におけ る 口唇的 な欲求 を感 じさせ るものであ る。特 に鳥 はチ ョウチ ョまで食 べ て しまお うとしてい るが, 喋 を振れ動 く「人間 の心」10)と考 えるな らば ま さに 心 まで怠 り食 って しまお うとい うす さま じさであ る。 ただ し,VIIカー ドの人 は 「や さしそ うな人」 なのだ とい う。したが って,お しゃべ りな

S・

A

は この 「話す」とい う行為 を通 して代理 的で はあれ, 口唇的欲求 を満 た してい るのではなか ろ うか ?一 万母親の側 か らみ る と

,S・

A

が「鳥が話 してい る」

とみたIIIカ- ドを母 親 はmostlikedcardに選 ん でい る。かつ,母親 は この カー ドをselfcardとし て も選 んでお り, 自己評価 として 「や さ しい」 と い うイメージを 自 らに与 えてい る。 鳥 は くちば し で (せかして)つつ くとい う意味で母 の象徴 ともと れ るが,母 自身 は 「や さしそ う」 と思 ってい る こ の カー ドを

,S・

A

は多少否定的 にみ てい るのか も 知 れ ない。 C 口が裂 けて い る (噛みつ く)・襲 うとい うイ メージ カー ド

X

は, この

2

人の母子関係 をみ てい く上 で と りわ け重要 な 力- ドであ るo小此木 ら11)は「ロ交 む,裂 く」 とい うイ メージを 「口愛期的攻 撃」 と み な してい るが, カー ド

I

X

の犬 イメージ もま さに その よ うな もので あ る。 この犬 は母 の説 明に よれ ばテ リアなのだ とい う。同時 に

,S・

A

は この カー ドに兄の イ メージを見

,

「噛む しか能 が ない」と否 定 的 なイ メージを もってい る。 カー ドXの カニは 下 の ざ りがにに 「襲 われ よ う」 としてい るのだ と い う。 カー ドXの カニはS・Aに よって 自己像 (自 分はカニみたい) と して選 ばれてい る ことを思 い出 していただ きた い。 カニは 「意外 に臆病 で,硬 い 殻 はそ の奥 に傷 つ きや す いや さ し さを秘 め て い る

」1

0

)

とす るな らば, これ らの イメージは

,S・

A

のあ る種 の被害感 , あ るい は対人的恐怖心 を表 し てい るので はないか と考 え られ る。 (ところで,カードlXの 、、犬〟は自らの影12)を水の上に 映している。この影をS・A自らの影の部分であると考える ことも可能である。とするならは,この攻撃的な犬はもし

(16)

かしたら

,

S・

A

自らの抑圧された攻撃性を表しているのか もしれない)0 これを母親 の側か らみ ると,母親 は こ うい った

S・

A

のイメージを よ く理解 してい るよ うであ る。 カー ド

I

X

の犬 の イメージに対 しては,それが

S・

A

の怖 が ってい るテ リアであると熟知 していた。 ま た, この カー ドは母親 に とって最 も統覚の遅れた カー ド(mostdelayedcard初発時間40秒)であ りなが ら,その奥 に 、、バイオ リt/" が隠れている とい う 良好 な形態 を兄 い出す ことがで きた。 バ イオ リン が演湊 の難 か し く, かつ,共鳴 (共感)す ることに よって初めて妙 なる音 を出す楽器であ ることを思 い起 こす な らは, この反応 (イメージ)は と りわ け 印象深 い と筆者 には思われ る。 さらに,母親 は

S・

A

が 「襲われ る」とイメージ して い る Ⅹ カー ドをS・Aカー ドと して選 び, 「色 々な色がで て不安定」 と評定 してい る。母親 は

S・

A

の不安定 さが何 に由来す る ものか まで は 分か らないに して も, そ こに何か問題があ ること には気づいてい ると考 えられ る。 I) ア レンジ された ・上 か ら見 る・後 か ら見 る・ 隠れているとい う母親のみたイメージ 母親の反応 (イメージ)については上のA∼Cの 中で もふれたが, ここでは,母親 の,対象 をやや 客観的 に対象化 してみ ていると思われ るイメージ につい-てふれ る。例 えは

,

「人間的 にア レンジされ た家鴨」(カ-ドIll)

,

「上 か ら見た敷皮」(カ-ドIV), 「後か ら見た編幅」(カードⅤ),「検査者 の万 か らみ た,隠れてい るバ イオ リン」(カードIX)な どがそれ にあた る。この よ うな反応 は,母親の側 に

,S・

A

よ りも対象を距 離をおいて客観的 にみ る冷静 さが 偏 っていることを示 しているよ うに思わせ る。特 に, カー ド

X

の 、、バ イオ リン〟 について説 明す る 際,母 は明 らか に筆者 が理解 しやすい よ うに とい う思 いや りか ら,方 向を示 して くれた

。S・

A

,母 親 ともに

FM

が多いに して も

(

S・

A-9

,母

-6)

, 母の方がい くぷ ん少 ない

。FM

が,「よ り未成熟で, よ り不安定で, よ り衝動的 な」7)パ ー ソナ リテ ィの 指標であ るとす るな らは,母の万 によ りこの傾 向 が少 ない ことか ら判 断 して, この点に関 して も母 の方 に一 日の長 があ ると思われ る。 以上,本症例 の母子関係においては さまざまの 差異点を内蔵 しつつ も, 同質性 が高 く,母親の子 どもに対す る共感能力 も優 れてい ることが見 て と れ よ う。

と め

心因性頭痛 と診断 され た

1

0

才女児 について報告 した。患児は退院後,症 状 がすみやかに消失 し, 一年後 の今 日で も再発をみ ていない。本報告では, この よ うに症状がすみや か に消失 した理 由につい て,母親 の患 児 に対す る理 解力が良好であ るとい う仮説 をたてた。 イメー ジの側面か らこの二人の 相互作用を検討すべ く, ロ ・テス トを利用 した。 手続 は,① 患児に ロ ・テ ス トを施行す る,②母親 に ロ ・テス トを施行す る,③患児の ロ ・テス ト反 応 を母親 に推 測 して も ら うとい う順 序 で行 なっ た。③ をさらに,i)何 も ヒン トを与 えず に 自由に 推測 して もら う,ii)反応 内容のみ教 えてそれを説 明 して もら う,iii)反応内容 の領域,内容の細かい 説 明を してそれが分か るか どうかをみ るとい う

3

段階 に分 けた。 この3段 階 は正確 にい うと,母親 が子 どもの反応 (イメージ)杏, i)推測 し, ii)判 断 し,iii)受容 ・共感す る とい うプ ロセスに対応 し ているもので, それぞれ質 の異 った ものであ ると 思われ る。今回 は新 しい試 み として母子反応同質 性指標 (SMC)を導入 した。 これ によって,母子 の反応が どれ くらい似て い るのか否 かが数量化 さ れた。本症例 についてい うと

SMC

は非常 に高い とい うことが分か った。 この同質性 の高 さを基礎 に して,患児に対す る母 親 の反応 をみ ると,① サ イコグラムが似 てお り, また②母 の推測能 力,刺 断能力,共感能力 ともにす ぐれてお り,③ イメー ジの母子相互作用 は共有性 の高い ものであ ること が明 らかになった。 今後,先 の報告 も含め て, この方法 を精密 な も のに改良 してい きたい。 謝辞 最後に,症例の公表を許可して下さった東京慈恵会医科 大学小児科教授前川喜平先生に感謝いたします。また,日 頃の御指導に記して感謝申し上げます。

(17)

引 用 文 献

1)井原成男 :イメージの母子相互作用(1)

-ExchangeRorschachMethodの試み- . 日本教育 心理学会第24回総会発表論文集,1982. 2)吉本隆 明 :フロイ トお よびユングの人間把握 の問 題点 につい て (知 の岸辺へ),弓立社,1976. 3) 井原成男 :7ノレクシア・ネルポーザ症例における ロールシ ャ ッハ ・テス トの母子差 と治療-の適用. 日 本心理学会第43回大会発表論文集,652,1979. 4) 井原成男 :ロールシャツ-・テス トの母子差 と治療 へ の適用,ロールシャツ′、研究,Vo1.XXIIl:14 5-158,1981. 5) 井原成男 :p-ルシャツ-・テス トか らみた母子相 互作風 1). 日本心理学会第45回大会発表論文集,)633, 1981. 6)井原成男 :ロールシ ャツノ、・テス トか らみた母子相 互作用- ある夜尿児の症例研究一 .長野大学紀要,Vol. 3,Nn3・4:19-33,1982.

7) Klopfer,ち.&Davidson,H.H.(河合隼雄訳):ロー ルシ ャッハ・テ クニ ック入門, ダイヤモン ド社,1964. 8)片 口安史 :新 ・心理診断法,金子書房,1974. 9)小沢牧子 :子 どもの ロールシ ャツ-反応.日本文化 科学社,1970. 10) 秋山 さと子 :夢解 きのマニュアル(別冊宝島 夢 の 木).

J

ICC出版局,1979. ll) 小此木啓吾 ・馬場礼子 :精神 力動論.医学 書院, 1972. 12) 河合隼雄 :影の現象学,思索社,1976.

Tabl e 2 母 子 の ス コ ア ー の ま と め

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