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IRUCAA@TDC : 歯の問題を伴う不正咬合の矯正治療4.移転した上顎犬歯を伴う不正咬合の矯正治療

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

歯の問題を伴う不正咬合の矯正治療4.移転した上顎犬

歯を伴う不正咬合の矯正治療

Author(s)

野嶋, 邦彦; 西井, 康; 末石, 研二

Journal

歯科学報, 113(4): 371-373

URL

http://hdl.handle.net/10130/3167

Right

(2)

―――― カラーアトラス ――――

歯の問題を伴う不正咬合の矯正治療

4.移転した上顎犬歯を伴う不正咬合の矯正治療

にし い やすし の じま くに ひこ

野 嶋 邦 彦,西 井

康,

すえ いし けん じ

末 石 研 二

東京歯科大学歯科矯正学講座

(3)

カ ラ ー ア ト ラ ス の 解 説

はじめに 上顎犬歯は第三大臼歯を除くと埋伏頻度の高い歯 種である。その理由として,歯胚の位置が顎骨中で 最も込み合った部位にあり,萌出経路が長く,複雑 であり,また歯胚の形成から萌出まで最も長い時間 を要するなど,多くの面で萌出異常を起こす機会が 他の永久歯より多い。そして,それに起因して萌出 障害,歯列不正,隣在歯の歯根吸収,嚢胞の形成な どの原因となることがある。診断では通常の X 線 写真だけでなく,埋伏歯の位置,隣在歯との位置関 係,歯根吸収の有無を評価するためには歯科用コー ンビーム CT(CBCT)の三次元的な情報は欠かせな い。上顎犬歯が中・側切歯間に移転している時は, 移動コントロールの難易度,固定源の確保,治療期 間,外科的侵襲の程度,歯および歯周組織の予後等 も含めて,総合的に治療方針を決定しなければなら ない。 今回は中・側切歯間に移転している埋伏上顎犬歯 に対して異なった対応をした矯正治療例を提示し, 解説する。 症例1 前歯を抜歯して犬歯を中切歯として排 列した症例(図1,2,3) 14歳の女子。上顎前歯の前突感を主訴として来院 した。大臼歯関係はⅠ級,オーバーバイト5mm, オーバージェット5mm。下顎前歯が3incisor で, 犬歯は未萌出であった。CBCT 所見では犬歯は中・ 側切歯間に埋伏しており,中切歯歯頚部まで及ぶ歯 根吸収が認められた。以上より,上顎犬歯の埋伏を 伴う歯槽性上顎前突と診断した。治療方針は下顎前 歯の位置,Arch Length Discrepancy 量,大臼歯関 係から上顎歯牙を1本抜歯して本格的矯正治療を行 うこととした。抜歯部位は歯根吸収した中切歯は予 後不良と判断して,抜歯して,右側上顎犬歯を開窓 牽引して中切歯部に排列することとした。治療開始 5ヵ月,上顎歯列の固定源を確保した後に中切歯を 抜歯して,開窓牽引を行った。治療期間は2年8ヵ 月を要した。審美的にも機能的にも大きな改善がみ られた。 上顎犬歯を前歯部に排列するには歯科矯正学的な 配慮が必要である。すなわち,切歯と犬歯では唇面 軸が異なっており,歯根を歯槽突起内に生物学的に 妥当な位置に置くためにはアンギュレーション,ト ルクを調整する必要がある。さらに,歯冠形態の違 いから舌面の削合,尖頭の削合,隅角部のビルト アップなどの処置が必要なことが多い。本症例でも 上述の処置を行った。 症例2 犬歯を移転したまま中・側切歯間に排 列した症例(図4,5) 8歳の女子。上顎前歯部の叢生を主訴として来院 した。上顎右側中切歯の遠心傾斜と側切歯の舌側転 位,傾斜がみられた。臼歯関係は Vertical type, オーバーバイト2mm,オーバージェット2mm, 上顎歯列の狭窄がみられた。CBCT 所見では歯根 未完成の犬歯は中・側切歯間に歯冠を唇側に向けて ほぼ水平に埋伏していた。また,明かな隣接歯の歯 根吸収はみられなかった。以上より,上顎犬歯の埋 伏を伴う叢生と診断した。治療方針は側切歯と犬歯 の位置を入れ替えることは治療上困難と考えて,早 期治療では中・側切歯間のスペース獲得を行い,側 切歯部に犬歯を牽引することとした。治療はクワッ ドヘリックスにより上顎歯列を側方拡大し,2×4 にオープンコイルスプリングを組み込んで犬歯の萌 出スペースの獲得を行った。そして,犬歯を牽引し, 排列した。1年6ヵ月後に早期治療を終了した。現 在は永久歯交換まで定期観察中である。 症例3 犬歯を牽引して本来の位置に排列した 症例(図6,7,8) 13歳の男子。上顎犬歯の萌出遅延を主訴として来 院した。大臼歯関係はⅠ級,オーバーバイト2mm, オーバージェット2mm,上顎左側乳犬歯が残存し ている。パントモ X 線写真,CBT 所見では上顎右 側犬歯の歯冠は中・側切歯間に存在するが,根尖は 本来の位置に近かった。上顎犬歯の埋伏を伴う叢生 と診断した。治療方針は上顎骨の菲薄な唇側歯槽突 起内に根尖部をコントロールしながら犬歯と側切歯 の位置を入れ替えることは歯科矯正学的にきわめて 困難な処置の一つであるが,症例2と異なり,傾斜 移動で本来の萌出位置に牽引し,排列可能と判断し た。Nance のホールディングアーチを固定源とし て開窓牽引し,最終的にはマルチブラケット装置か ら牽引し,排列した。1年6ヵ月後に早期治療を終 了した。 移転した上顎犬歯の埋伏は多様であり,三次元的 な情報をもとに個々の症例に対してリスクアンドベ ネフィットを考慮して,治療計画を立案することが 肝要であると考える。

(4)

歯の問題を伴う不正咬合の矯正治療

4.移転した上顎犬歯を伴う不正咬合の矯正治療

野 嶋 邦 彦,西 井

康,末 石 研 二

東京歯科大学歯科矯正学講座 図1 症例1の初診時(左)と治療8ヵ月後(右)の口 腔内写真。上顎右側中切歯を抜歯後,犬歯を 開窓牽引している 図2 症例1の3次元 CBCT(左)と抜去した著しく歯根 吸収した上顎右側中切歯(右) 図3 症例1の治療終了時(左)と保定2年後(右)の 口腔内写真。犬歯尖頭の削合と隅角部のビル トアップにより審美的回復を行った。咬合は 安定している 図4 症例2の初診時(左)の口腔内写 真 と CBCT (右)。上顎犬歯は中・側切歯間に位置し,歯 冠は唇側に向けて,ほぼ水平に埋伏している 図5 症例2の治療6ヵ月後(左)と早期治療終了時 (右)の口腔内写真。クワッドヘリックスによ る側方拡大とオープンコイルスプリングで犬 歯の萌出スペースを獲得したところ,犬歯が 自然萌出してきた 図6 症例3の初診時(左)と牽引開始時(右)の口腔 内写真。Nance のホールディングアーチを 固定源として,開窓後犬歯の牽引を開始した 図7 症例3の治療7ヵ月後(左)の早期治療終了時 (右)の口腔内写真。最終的にはマルチブラ ケット装置により牽引し,排列を行った 図8 症例3の治療前後のパノラマ X 線写真。上顎犬歯 は整直されて排列した。しかし,左側中切歯の歯根 吸収が発現された

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