Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
インプラントの長期安定を目指した上部構造について
Author(s)
飯島, 俊一
Journal
歯科学報, 111(5): 473-475
URL
http://hdl.handle.net/10130/2617
Right
カ ラ ー ア ト ラ ス の 解 説
インプラント治療の長期安定が獲得されるために
は,上部構造の安定が必要である。しかし,インプ
ラント上部構造のいろいろなトラブルは,天然歯の
修復物より多い現実がある。一方でインプラントを
支台とした補綴治療は,社会的にも受け入れられ,
その使用頻度が著しく増えてきた。そこでインプラ
ント治療をいままで以上に長期に安定させて,さら
に欠損補綴治療として,一般社会に受け入れてもら
うためには,上部構造を含めたインプラント治療の
長期安定をさらに一歩あげる必要がある。インプラ
ント治療をより長期に安定させるためには,1)イ
ンプラントヘッドと上部構造との関係 2)上部構
造を製作するための新しいマテリアルの使用法につ
いて述べてみたい。さらに述べると,インプラント
の選択では,歯槽骨の水平的吸収にも長期に対応で
きるヘッドの径が自由に選択できるインプラントの
選択が必要である。そこでインプラントヘッドの径
が自由に選択できることと,インプラント上部構造
の長期安定を目指すために,陶材や着付け鋳造冠に
変わる,新しいマテリアルとして,CAD/CAM で
使用できる半透明ジルコニアや,強度と高い審美性
を兼ね備えた二ケイ酸ガラスセラミックを使用する
必要がある。
そこでこれらの CAD/CAM を使用してインプラ
ント上部構造を製作するのは
1 審美性の確保
2 上部構造破折の防止
が主な理由である。
そこで今回は,上顎両側中切歯欠損症例(図1)に
2本のコニカルコネクションタイプのインプラント
を使用した症例について供覧したい。インプラント
埋入後,16週後に二次手術を行い印象採得をおこ
なった。上顎中切歯はより高い審美性が必要である
ため,上部構造製作にあたり,CAD/CAM による
ジルコニアカスタムヘッドを製作することにした。
ヘッドのワックスアップを行い,スキャンの準備を
した(図2)。ここで重要なことは,ジルコニアヘッ
ドとインプラントの適合性である。インプラントと
ジルコニアヘッドの適合性が悪いと,ヘッドの破折
や,マイクロギャップの炎症になり,長期の安定は
望めない。最近の傾向としてジルコニアヘッドとチ
タンインプラントの適合性の限界からチタンキャッ
プをヘッドに接着することにより解決するカスタム
ヘッドが増える傾向がある。しかし可能であれば,
ジルコニアヘッドとインプラントの適合性を向上さ
せることにより耐久性をあげることができれば一番
よい。今回の症例ではジルコニアヘッドはチタン
キャップを使用していない。上部構造はジルコニア
カスタムヘッド,ジルコニアフレーム,二ケイ酸ガ
ラスセラミッククラウンから構成される(図3)。
ジルコニアヘッドの利点は,上皮付着がおきやす
いこと,審美性に優れていることが上げられる。ク
ラウンを製作するためのジルコニアフレームと二ケ
イ酸ガラスセラミッククラウンは,専用のポーセレ
ンで焼成により接着する(図4)。(図5)は接着用の
ポーセレンパウダーを振動により適合させる専用の
バイブレーターである。模型上に装着した,ジルコ
ニアカスタムヘッドと,二ケイ酸ガラスセラミック
クラウン。クラウンマージン部の歯肉の退縮を防ぐ
ために,ヘッドはかなり細く仕上げてある(図6)。
このことにより,審美的に歯肉は安定することがで
きる。使用したクラウンマテリアルの二ケイ酸ガラ
スセラミックは,焼き付け鋳造冠の4倍の強度があ
り,チッピングなどのポーセレンのトラブルを防ぎ,
メインテナンスを楽にする(図7,8)。筆者の経
験では,2050個のクラウンを装着して22個のクラウ
ンが破折している。これは約1%であり,陶材焼付
冠の破折より少ない。破折をより少なくするために
は,半透明ジルコニアを使用することにより達成で
きる。
インプラントの長期安定を目指した上部構造について
飯 島 俊 一
東京歯科大学臨床教授
図1 暫間クラウンを装着した上顎左右側中切歯
図3 出来上がったカスタムジルコニアヘッドと
クラウン
図2 waxup をしたカスタムクラウンをスキャ
ンする
図4 ジルコニアフレームと二ケイ酸ガラスセラ
ミックをセラミックで接着する
図5 接着剤をコンデンスするバイブレーター 図6 ヘッドは細く歯肉のスペースを確保し、歯
肉の退縮を防ぐ
図7 クラウンを装着する
図8 ジルコニアヘッドは強度を保ち、歯肉のス
ペースを確保する