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X-band MPレーダ雨量情報のGISヘの活用

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Academic year: 2021

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全文

(1)

生年月日

学位論文審査結果の報告書

本籍(国条割

学位の種類

学どイ立言己番・号・

学位授与の条件

(博士の学位)

論文題目

昭和 42年

西尾雅弘

福岡県

H

産第 46

学位規程第5条該当

8

士(

X・bandMPレーダ雨量情報のG鵄ヘの活用

審査委

学)

(主査)

(副主査)

(副主査)

(副査)

オホ

金光

藤尾光彦

教授

茲ス

教授 教授

"

(2)

大陸と海にはさまれた日本では、梅雨、台風などの激しい気象現象の発生等で国民の生命・財 産.社会生活に大きな影響をもたらす河川の氾濫、士砂災害などが毎年発生している。また、通 常、1力明で降るような雨が集中して1日で降るという現象(集中豪雨)が発生し、河川の氾濫 や、山崩れ、がけ崩れなどが発生し、人々の生活や生命を脅かすようになってきている。近年、

集一豪雨や局所的な大雨(ゲリラ豪雨)による水害や士砂災害等が増加しており、国土1支通省ヤ

は、適切な河川管理や防災活動等を行うため、局所的な雨量をほぼりアルタイムに観測可能なX・ b釦dMP (X、bandMUMP釘田τleter)レーダを設置し、豪雨時等の避難行動や防災活動等に役立て てもらうことを目的に、降雨観測情報の提供を行っている。また、国士交通省では、局所的な雨

量をほほりアノレタイム1こ雀見担4可育皀なXRAIN (X・band polarimetric multiP雛alneter Rヘdarlnformation Ne加ork)の整備を進めている。 X、b田ldMPレーダは8 12ギガヘノレツ帯域のマイクロ波で、従来の観測レーダ(C・bandレーダ 4 8GHZ)と比ベると、最小観測面積は4分の1(250mメッシュ)、 5倍の頻度惟舞則から配信に 要する時間1 2分)、16倍の分解能(雨を測定する能力)で観測が可能である。定量観測範囲は 半径60kmと小さいが、局地的な大雨を即時に詳細に観測することが可能である。従来のレーダ (C、b釦dレーダ)は、台風などの際の広域にわたる降雨の監視には適している一方、局所的な雨 量を測定する場合には、地上に設置した雨量計の測定結果による補正が必要であるため、酉酎言ま でに10 15分を要した。

X、b卸dMPレーダは雨粒の形状(雨滴の偏平度)や変化を把握して雨量の予測を瞬時に行い、1

2分間隔で詳細に降雨の状況を観測することが可能である。 X、bandMPレーダは2010年(平成22年) 7月から試験運用が始まり、 2015年時点で38基のステー ションが整備され、酉酎言を行っている。国士交通省のWebサイトXRAINでりアルタイムの雨量情 列車運行

報を劉信しており、 2012年からは一部の地域で、テレビによるXRAIN画像情報の配信、

や消関庁の警戒、水防判断などの材料として活用が始まったばかりである。

ト「気象 日本気象協会ではXRAINデータを活用した予測雨量情報を、スマートフォン向けサイ

協会晴曇雨 qネれくもりあめ)」で20B年3月から試験提供している。

国士交通省のWebサイトXRAⅨは、りアルタイムに雨量情報を表示できるが、分解能は低く、 市町村単位で、白地図程度である。また、 X、b飢dMP レーダ雨量情報ヘの対応はまだ始まったば かりと言って良く、実用システムはほとんど存在しない。 本論文では、 X、bandMPレーダ降雨量データの地理情報システム(GIS)による活用として、雨 量データを解析し、予測される災害の発生地点、被害の拡大範囲および被害程度、さらには避難 経路、避莫隹場所などの情報をGoogleMapSのAP1とAjaXの環境を使用してWebGIS (Google

Maps)システムを構築する。また、オープンソースソフトゥエアGIS等(GRヘ、SSGIS,Quantum

GIS)でも活用できるようにX、bandMPレーダ雨量データをオルソ画像化(Geotiffフォーマツト) し、 GISに統合することにより、詳細な防災情報を自治体などの関係部門で情報共有することが 可能となる。また、地方自治体が持っている防災情報、国士地理院が整備した数値基盤地図情報 や衛星写真をGISに統合することで、避難行動、防災活動及ぴ減災対策等に役立てるための更な る応用方法等を検討する。 論文の構成を以下に示す。 まず序章で、国士交通省が整備しているX、bandMPレーダネットワーク(XRAIN)の概要にっい て述ベる。このX、bandMP レーダ雨量情報ヘの対応はまだ始まったばかりと言って良く、実用シ ステムはほとんど存在しない。国土交通省のWebサイトによる雨量情報の酉引言サービスXRAIN は、りアルタイムに雨量情報を表示できるが、分解能は低く、市町村単位で、白地図程度であ る。X、bandMP レーダ雨量情報ヘのGISを使用した防災情報の応用例は存在しない。本研究の位置 づけと構成について述ベる。 言△

文内容

^ 2

(3)

第2章では、研究環境、システム環境、使用データについて述ベる。また、研究手1恒についても 木す。 第3章では、 X、b如dMPレーダ降雨量データのデータ配信方式、レーダ雨量観測、降雨量データ の転送手1慎、合成雨量データの構造(データフォーマット)について述ベる。 X・bandMP レーダ 雨量データは、レーダ基地局で観測されたデータから合成処理局で合成地域ごとのレーダ雨量を 生成し、1分周期でデータ酉酎言を行っている。 X・b飢d帯の電波は非常に強い降雨域の後方におい て電波が減衰してしまい、観測不能となる場合がある。このため観測地域を複数のレーダで囲む ように配置することで、より安定した観測が可能となる。合成雨量データの構造(レーダデータ ヘッダ、レーダデータ、メッシュ構造)について詳細に示す。 第4章では、 X、b狐dMPレーダ降雨量データをフリーで使用できるWebGISシステムのGoogle MapSに降雨量情報を統合するために、 webGISのシステム構築を試みた。X・b即dMPレーダ雨量情 報の酉酎言には、 GeoseNer (WMS: webM叩Service)を使用した。構築したWebGISシステムのシ ステム構成を示す。 第5章では、 X、bandMPレーダ雨量情報のWebGIS上での可視化について述ベる。 webブラウザを 使用すれば、誰でもコンピュータからこの無料サービスを利用することができる。 X・b勧dMP レーダ雨量情報のGoogleMapSヘの統合には、 GoogleMapsAP1の機能をスクリプト言語 (J飢ascript)とGeoseNerのWMSを使用して処理を試みた。また、 X・bandMPレーダ雨量情報の Image、61e (Geoimge、釧e)のデータ変換処理について示す。さらに、 GoogleEarsh を使用した可視

化を試みた。 第6章では、オープンソースソフトウェアGIS (GRASSGIS,Quant山nGIS)の概要とシステム構 築について述ベる。 第7章では、 X、bandMPレーダ雨量情報を防災情報の活用として自治体の防災担当者等がより詳 細な情報を取扱うために、国士地理院が整備した数値基盤地図情報や衛星画像等を使用して降雨 強度(単位時間当りの降雨量)または任意の時間の降雨量の等しい地点を結んだ線(等降水量 線)を電子地図・地形図上にオープンソースGISを使用して可視化処理を示した。これにより降 雨量の多い詳細な場所の特定ができ、災害時等に自治体の防災情報(注意報・警幸勵の発信や避 難場所等を判断するのに有効である。 らに、自治体のさまざまな防災情報等(広域避難場所等)とX・b釦dMPレーダ降雨量情報との 統合を試みた。 最後に、第8章は、結論であり、本研究の結果と有効性について総括している。

(4)

これまで、日本においては水災害としては梅雨期末期の集中豪雨、台風シーズンにおける集中 豪雨が定期的に多大な被害を与えてきた。これらの水被害に対する監視システムとしては、アメ ダス(気象庁)、 C・bandレーダ(国士交通省)、気象衛星(気象庁)等が使用されてきた。しか しながら、近年の水災害の特徴は、ゲリラ豪雨に代表される様に、極めて局地的、短時間の現象 として観湊はれており、これまでの各種センサーでは不十分なものとなっていた。このような状 況の中で、国士交通省が開発した次世代型レーダ、 X・bandMPレーダは空間分解能250mとアメ ダスやC・bandレーダの 16倍、時間間隔もV5と改善されている。しかしながら、 X・bandMP レーダのデータ構造はかなり複雑であり、これまでの利用としては、レーダから送られてくる1 分間の瞬間画像の利用がほとんどであった。今般、国士交通省が主催する、 rx・bandMPレーダ の利用に関する社会実験」に近畿大学が採択され、 X・bandMPレーダデータの提供を受けること が可能となった。 本論文は、 X・bandMPレーダ情報を徹底的に解析し、 1時間、 3時間、 6時間などの蓄積型降 水量を計算して、オルソ化し、 web画像上に表示できるようにしたものであり、 X'bandMPレー ダの利用としては、我が国として初めてのものとなっている。特に1時間降雨量は、気象庁によ リ、 0 100脚と危険度が20血間隔で段階的に場合分けされており、危険状況判断の貴重な情報 源となっている。 具体的な成果のーつとしては、蓄積型降水量を携帯端末やタブレット端末などで表示すること により、災害現場において危険性の状況が把握できるということである。住民を対象とした防災 システムとしては、ハザードマップ、防災無線、各種ホームページによる防災情報が改善され、 提供されてきたが、いずれも効果的に地域住民に伝わっているとは言えない状況が続いていた。 技林珀勺には、地理情報システム(GIS : Geographiclnformationsystem)を使い、洪水解析に 必要となる3次元モデルの作成のために、数値標高情報を使用している。 第一章においては、我が国における水災害の歴史を解説し、各種防災対策が講じられたにもか かわらず、依然として今日まで被害が減少していない状況を説明している。特に最近において は、温暖化の影響と思われるゲリラ豪雨や集中豪雨が多発しており、従来型の防災対策では限界 があるのではないかとの考察を行っている。さらに、 X・bandMPレーダの諸元についても説明し ている。 第二章においては、システム環境、オルソ画像の特徴を述ベている。さらに数値標高情報を基 本とした、基盤地図情報についても解説している。 第三章においては、 X・bandMPレーダ情報について詳細に説明している。現在日本全士で、 3 7基のレーダが設置されおり、今後も順次拡張される計画となっている。 X・bandMPレーダ情報 は、経緯度、雨量など全てバイナリで記述されており、これが利用の拡大が遅れている原因と言 われている。例えば、雨量データはーケ所ににつき 2バイトが御1り当てられており、この16 ビットの内、下位12 ビットで表されているが、最大12 ビットでは雨量約卯00血を表してお リ、現実的でないので、 8 ビットに圧縮し、通常の8 ビットT廿価像で表示できるように変更し ている。 第四章においては、 W'ebGISについて述ベている。サーバーとしてのGeoserveτは地理情報の 共有や編集を行うものである。具体的には、 GO0曾leMapSを使用してシステム構築を行ってい る。 第五章においては、 X・bandMPレーダ降雨量情報のWebGIS上ヘの可視化について述ベてい る。最終的には、加工された雨量情報は、蓄積型降水量として携帯端末やタブレット端末などで 表示することを目的としているため、第四章のサーバーに蓄積され、ユーザーが各自でダウン ロードすることになる。具体的にはKML (KeyholeMarkupLan宮Ua宮e)ファイルという特殊 ファイルに変換し、 GO0宮leMapSやGO0曾leEarth上ヘ表示することになる。 号ム、

イ 、 の

^ 4 註 ﹁!1ι、島11ι{ーー﹁﹂上1

(5)

第六章、第七章においては、オープンソースソフトウェア(opensource) GISについて述ベ ている。まずオープンソースソフトウェアであるQuantumGISについて解説している。オープ ンソースソフトウェアは、コストがかからないため、予算が限られる自治体などの利用などに効 果を期待できる。また、本格的に参入する前に、試験導入としてコストをかけずに試行解析など が可能となっている。 第八章においては、まとめとして今後のX・bandMPレーダの利用の拡大について述ベている。 高性能であるものの、データ構造が複雑であるため、現在利用が広がっていないが、学会などで 情報を提供することでより広い利用者が関心を持つことを期待して文を閉じている。 自治体で、今回のようなG鵄システムを構築する場合、最も問題となるのはコスト上の問題で あるといわれているが、今回使用した商用ソフトArcGISなどが入手・維持が困難な場合は、フ リーG鵄ソフトであるGTassGIS、またはQuantumGISなどがあり、一部機能は限定されるもの の、本研究とほぽ同様のシステムを構築することができる。 平成26年夏に広島市で発生した大規模集中豪雨災害について、研究者、自治体、国の研究機 関がその原因や背景について、現在研究・解析を行っているが、今回のX・bandMPレーダによる 降雨データは、極めて貴重な情報源となるものと期待されている。特に、被害地域が狭い地域に 限定され、そこに豪雨が集中したため、被害が大規模となっている。従って従来のアメダス観測 精度より、向上したX・bandMPレーダに期待がかかっている次第である。 以上のように、本論文は、洪水・士砂災害等に対して今後重要なシステムとなることが判断さ れ、その寄与が期待されるものである。これらの成果は、査読付き学術論文、国際会議プロシー ディングス、国内学会で公表されており、研究業績としても十分と言える。従って、本論文は博 士(工学)の学位論文に値すると判断されるところである。

参照

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