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ポートフォリオ評価法における評価規準の設定主体に関する研究 : 「総合的な学習」の実践を手がかりとして

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(1)兵庫教育大学研究紀要第23巻2003年3月pp.91-99. ポートフォリオ評価法における評価規準の設定主体に関する研究 - 「総合的な学習」の実践を手がかりとしてA research paper regarding the setting up of portfolio assessment and the criteria of evaluation The. careful. application. of. integrated. study. is. the. basic. concept一. 佐藤真*勝見健史書* Shin SATO Kenji K〟rsuMi. This paper addresses the problems and goals of evaluating each individual student in integrated study. This study also addresses methods, criteria and who should set up the evaluation criteria. Two different criteria of evaluations are discussed, one criteria of evaluation is how well a student could reach a particular goal and the second criteria of evaluation illuminates the individual student and how that student performed overall without subject comparisons, or comparing the individual student to others. In integrated study it is necessary to recognize all aspects of a students performance. Then a student can utilize his/her portfolio assessment as a tool for self evaluation and awareness of learning. In integrated study, it is important to decide who will be doing the evaluations. A case study was done as to who sets and decides the evaluation criteria As a result, 3 methods of evaluating students were illuminated (l)the teacher decides the criteria of evaluation (2)Both the teacher and student decide the criteria (3)the teacher encourages the student to decide the criteria. In order to decide the standard of evaluation, two aspects became clear, (1)cooperation between the teacher and the student. ゥagreement and understanding between the teacher and the student are essential. In collaborating with the student, it is necessary and important for the teacher to show strong will and exert leadership.. ヰlワ-ド:ポートフォリオ評価法.評価規準,対話,総合的な学習 Key words : Portfolio Assessment, Criterion , Conference , Integrated Studies. はじめに 平成14年度より我が国においては,各学校において 「総合的な学習の時間」が本格実施されている。そこで. その時点で効果的な指導・支援を行っていくという積極 的な教師の働きが不可欠である。 したがって, 「総合的な学習」においても,各学校で 作成した「内容選択の基準」と「活動編成の基準」とを 設定し,それが各実践レベルの「単元目標」や「本時目 標」,さらには「本時の教師の働き」に反映されなけれ ばならないのである。 換言すれば,教師が児童を育てようとする意図が「目. は,移行期等において試行錯誤しながら構築してきた自 校なりのこの時間の学習の在り方と実践についての再定 義が求められている。 「総合的な学習の時間」で行われている学習(以下, 「総合的な学習」という。)は,当然のことながら教師 個々人による個人的な思いつきや構想ではなく,学校が 組織体として設定した「内容選択の基準」と「活動編成 の基準」とが必要である.つまり, 「総合的な学習」に. 標」として具体化され,それが「評価規準」として実際 に運用されなければ「内容選択の基準」と「活動編成の 基準」が画餅に終わってしまう危険性があるのである。 さらに,新学習指導要領においては, 「総合的な学習」 の評価は「教科のように試験の結果によって数値的に評 価することはせず,活動や学習の過程,報告書や討論な どに見られる学習の状況や成果などについて児童生徒の よい点,学習に対する意欲や態度,進歩の状況などを踏 まえて適切に評価することとし,例えば指導要録の記載 においては,評定は行わず所見等を記述することが適当 である2)」と述べられている。. おける「単元で育てたい力」と「児童に出会わせたい価 値ある内容」とを目標として明確に設定し,責任ある教 育活動を行うことが必要なのである。 一方,新学習指導要領では「目標に準拠した評価」の 重要性が述べられ,最低基準として厳選された教科等の 学習内容を確実に身につけさせていくという考え方が示 されているl)。このような考え方を実際に現在の学校教 育現場において具現化するには,学習過程における実際 の児童の育ちを,その児童の学びの文脈に寄り添いなが ら形成的に評価し,目標達成が不十分な児童に対しては,. これは,学習の結果だけではなく学習過程において児 童がどのような分かり方をしているのか,その児童なり. *兵庫教育大学第5部(総合学習系教育講座) **兵庫教育大学院学校教育研究科総合学習系コース平成14年10月18日受理 91.

(2) 勝見健史. 佐藤一美. く, 「個人内評価」の一つの有効な手段であり,児童の. のよさや可能性をどのように発揮し伸ばしているのかと いった,学習の質の高まりをも評価しようとするもので ある。. 評価活動への参入を可能にする評価法といえるのであ る。 ただし,ポートフォリオは単なる集積物ではなく,あ る目的や目標に照らして選択・精選・再構成されるもの である。したがって,学習物選択の指標となる評価規準. つまり, 「総合的な学習」における評価は「目標に準 拠した評価」と「個人内評価」という質の適った二つの 側面をもつということであり,かつその双方を両全する ということである。そこでは,教師によって評価規準と 基準とが隠蔽化され児童の評価への参入を許さない「絶 対評価」や,学習において十分な成果や育ちを得られて. が当然必要である。それは,教師側からの「ねらい」で あり,児童側からの「めあて」ともいえるものである。 この「ねらい」と「めあて」の確認と共有こそが,ポー トフォリオ評価法において「目標に準拠した評価」と. いない児童に対する救済措置的な温情的「個人内評価」 には陥ってはならないのである3)。 しかしながら,現時点における「総合的な学習」の評 価においては,児童に任せた独善的な「個人内評価」が 行われていたり,教師側で判断される評価と児童側で判 断される評価という「二重構造的な評価」が行われてい たりするのである。つまり, 「目標に準拠した評価」と 「個人内評価」とが互いに有効に機能し合うということ の内実が明らかにされていないのである。. 「個人内評価」を結合させる場といえるのである。 そのため,実際の学校教育現場の実践においては、ポ ートフォリオ評価法において教師と児童が「対話」を通 して評価規準を確認・修正し,照らし合わせながらこれ までの学びの様相を具体的な学習物を通してふりかえる 「ポートフォリオ検討会5リをフォーマルな「対話」の 場として図1のA, B, Cのように位置づけることが必要 である。 このことによって,単元当初・単元の節目・単元末に, 教師と児童とが評価規準を設定したり,評価規準に基づ. すなわち,それは児童自身が「評価」を自らの学習に 十分生かしているのではなく,教師と児童の評価活動が, 教師の「ねらい」への達成度の情報を蓄積するために利 用するだけの教師の助けになっているだけであり,児童 の学びに対して評価は閉じられたものになっているとい うことである。 したがって,小論においては, 「総合的な学習」での. いて学習物の選択を通して学びをふりかえったりする場 面が保障され,評価規準が児童自身の学習に生かされ機 能化するためのものになるのである。 2.評価主体の類型 小論では, 「総合的な学習」における教師と児童との. 「教師一児童」関係の中で評価主体をどのように位置づ けていくことが「総合的な学習」のもつ「目標に準拠し た評価」と「個人内評価」との両全を実現できるのかと いう点について,具体的な実践事例をもとに検討する。 そのことによって,現在,学校現場において最も重要 視されている「総合的な学習」における評価活動が,児 童自らが学習の向上のために主体的・自覚的に活用でき るものとして機能することの一助になると考えるからで I**. 関係性の中で評価主体をどのように位置づけていくこと が, 「総合的な学習」のもつ「目標に準拠した評価」と 「個人内評価」の両全を実現できるのかということを明 らかにするために,特にポートフォリオ評価法において 評価規準を誰が設定するのかという部分に焦点を当てて 検討する。つまり,評価規準設定の場面に焦点化すると いうことは, 「総合的な学習」の単元全体において評価 活動が教師と児童とのいずれに主体の重点が置かれるこ とになるのかということについて吟味するということで ある。そこで,まず評価規準の設定主体を,教師,教師 と児童,児童の3者に類型し、以下で考察したい。 第一に,教師主体によって評価規準を設定する場合は, 各学校で作成した「内容選択の基準」と「活動編成の基 準」とを根拠にして,本単元で育てたい力を教師から児 童へ通達する様式がとられるものであるといえよう。 第二に,教師と児童によって評価規準を創出し設定す る場合は,教師側は各学校で作成した「内容選択の基準」. 1.ポートフォリオ評価法における評価規準の必要性と 「対話」の位置 ポートフォリオ評価法とは,児童自身が具体的な活動 を通して生み出した学習物の蓄積の中から,ある目的や 目標に照らして取捨選択し再構成した,いわばその児童 固有の学びの集大成であり,その児童自身の成長や変容 をとらえるものである4)。また,児童自身の実際の学び のストーリーを蓄積し構成していくポートフォリオ評価 法は, 「総合的な学習」における児童一人ひとりの学び の固有性を認め,よりよい変容をとらえていく上でも有 効であるとされているものである。. と「活動編成の基準」を背景にもちつつ,目の前の児童 のこれまでの学習履歴から生まれる願いを尊重しなが ら,教師と児童との双方が話し合いを通して学習活動に 必要性のある評価規準を設定する様式がとられるもので あるといえよう。. つまり,ポートフォリオ評価法は,児童が自らの学び の状況や特徴をとらえ,自らの学びの改善に生かしてい. 92.

(3) ポートフォリオ評価法における評価規準の設定主体に関する研究. 対痢 ◎= ‥トド't 'Jオ故山よ:∴jB'.?J..!iL里も且虹とIil脚で'蝣Ji 'J IT ・:,也 A :野元全体の流れを見通した計画づくり,評触規準のr捜示」または「創出」 B :清動の節日ごとに学びを学習物でふりかえる,次の税準(こうなっていきたい)の共有 C :学習全体での自分の学びを学習物をつないでふりかえる,子ども側の評価鵜準にr委任」 図1ポートフォリオ評価法とポートフォリオ検討会の位置. 第三に,児童主体で評価規準を設定する場合は,児童 自身のそれまで取り組んできた学習履歴から生まれた願 いを,これからの学習をよりよくするための評価規準, あるいはこれまでの学習全体をふりかえる評価規準とし て設定する様式がとられるものであるといえよう。. 決定づける重要点なのである。このことについては,以 下で具体的実践に即して検討したい。 3.当該学校における「総合的な学習」の3タイプ ところで,検討対象である当該学校の「総合的な学習」 について見ておきたい。この学校では, 「総合的な学習」 を児童が経験する学びの価値によって「テーマ総合学習」 「フィールド総合学習」 「フリー総合学習」の3タイプに 分類し実践している7)0. 重要なことは,いずれの場合も教師と児童との双方に よる「納得」と「合意」とが必要であるということであ る。それは, 「総合的な学習」における評価が「児童の ための評価」であるためには,教師側にのみ隠蔽化され 児童の参入を許さない評価や,児童に委ねるだけの独善 的な評価であってはならないからである6)。すなわち、 評価規準の設定主体を検討することは, 「総合的な学習」 において児童の自覚的な評価活動を実現できるか否かを. すなわち,第一の「テーマ総合学習」とは,現実社会 の諸問題を身近な切り口の素材を適して追究していくこ とで,それらの問題を自分の問題として捉え,自分とし てどう取り組むことができるのかをジレンマ的な状況の. 93.

(4) 佐藤真贋見健史. 表1方法的諸能力の定義 直観 直感 感受 比較 判断 類推 分析. : 思考の働 きによらず. 直接 的に対象 をとらえる能力 ‥外界の刺激や印象 を受け入 れる能力 ‥比べる能力, 他の もの とど う違 うかをみる能力 : ある物 事について一 日分の考 え をこうだ と決め る能力 : 類似 点に基づ き, 他 の ことを推 し量る能力 : あ声物事 を分解 してJ それ を成立 させている成分, 要素. 側面 を明 らか にす る能力. 分 類 :複 数の対象 を共通の性 質 を持 つ幾 つかの軌 こ分ける能力 遺択 : 幾つかある ものの中か ら適当 な ものを選 び出す能力 想 像 ‥実際 に経験 していなー いこ と, また、今, 現実に実在 しない ことの心 象 を心 に浮かべ る能力 収集 : 必 要な資料 や情報 を集 める能力 .制作 ‥独創的 に物事 を割 りだす能力 批判 : 対 象について一定の評価 を与 えるため に, その対象の価値 ー能力. 正 当性 , 妥当性 などに ついて吟味 . 検村 を加 える能力 実践 何 かを行動 によって実行 す る能力 * * 人々に広 く知 らせ る能力 自己 価 : 自 らの人 とな りや学 習の状.憩 や態度 などを反省する能力 相互 「 tm v n B -m E a <& ▲ V mm vX A *tJ K ¥ X* *. 中で葛藤し8),その結果として自分のあり方,社会のあ り方について考えをもつことができる学習である。ここ. 自然的・社会的・文化的事象に働きかけ,自分との関わ りの中でその意味を問うていく学習の中で発揮・伸長さ. では,現実社会の諸問題に着目する視点として「人と人 (福祉・性など)」 「人と自然(環境など)」 「人と文化 (国際・情報など)」を設け, 3年生から6年生の4年間 で偏りなく内容を扱っていくことに配慮している。 第二の「フィールド総合学習」とは,共通の活動体験 の場を多く含んでいる宿泊的行事を,実際の生活におけ る行動実践として「ひと・もの・こと」に働きかけてい くことができる学習である。この学習は,その地域特有 の体験を重視し,思い出作りや特定の活動でパッケージ 化されたキャンプや修学旅行とは異なり,その地域を追 究しその地域で直接体験することを通して,その地域の. れていく能力であり,問題解決的な方法を構成するよう な要素としての諸能力である。 ただし,当該学校における「方法的諸能力」は,学校 の学びにおける学習課題だけではなく,児童が将来的に 出会うであろう諸問題を解決していく際にも必要になっ てくる能力と考えられている。したがって,今後の生涯 学習体系における学校の役割を考えるとき,学校教育に おいてこの「方法的諸能力」を育成することは重要な意 味をもつものであるといえるのである。そこで,当該学 校では一つ一つの「方法的諸能力」を定義すると共に, それらが発揮・伸長された時の児童の姿を, 「評価規準. もつ特徴や魅力を自分なりに捉えることを大切にしてい るのである9)0 第三の「プリ-総合学習」とは,児童自身で興味・関 心に沿った課題を見つけ,自分の解決方法でその課題の 解決に挑戦していく学習である。ここでは,これまで教 科等の学習や「テーマ総合学習」や「フィールド総合学 習」で身につけてきた,課題の見つけ方,追究の仕方,. の系統」として想定し,それを保障するための具体的活 動を単元の中に意図的に位置づけているのである。 このように,当該学校においては, 「テーマ総合学習」 「フイ-ルド総合学習」 「フリー総合学習」という3類型 で「総合的な学習」を構成しているのである。そして、 カリキュラムの中にこれら3つのタイプの「総合的な学 習」が共存しているということは,表1の「方法的諸能 力」を育成するという共通点を持ちながらも.児童が学 習に取り組む「追究対象」として(1)現実社会の諸問 題. (2)訪問地の特徴, (3)児童の興味・関心のある 自由な対象という多様性をもつことになり,適った質の 対象を学ぶことができるという特色を持っているのであ る。 小論において,以下で検討する児童主体の評価規準設 定の実践事例,および教師と児童の評価規準創出の実践 事例は,上記の「フィールド総合学習」におけるもので. まとめ方,発信の仕方などの学び方を存分に発揮して, 自分なりに課題の解決に迫っていくこと大切にしてお り, 6年生における卒業研究として位置づいている。 なお,評価規準の設定について重要な「育てていきた い力」は,当該学校のこれら3つのタイプの「総合的な 学習」を通して表1で示す機能的学力としての「方法的 諸能力」である。ここで言う「方法的諸能力」とは,実 体的学力を意味するのではなく,それら実体的学力を習 得する際の方法に関わって発揮・伸長される能力のこと である。すなわち,この能力は児童が教科学習や身近な. あり,教師主体の評価規準設定の実麟事例は,上記の 94.

(5) ポートフォリオ評価法における評価規準の設定主体に関する研究. 表2教師提示型「評価規準」表. 「フリー総合学習」におけるものである。 それでは,これら3者の設定主体について,以下 で個別に検討してみよう。. -d甲-")一総帥* rォ.を括うう-イロ7.A-・v.1i-ト-'サリナIl上IlzIBPiWBBim - -A*」Jgg昭BZSS ∵問い¥AWlthdA昭ト四mam 6年(. 4.教師主体による「評価規準」設定方法 第一の教師主体で評価規準を設定する場合は,実 践者である教師が単元の活動を通して児童にどのよ うな力を育てようとするのかということについて, 明確にしておくことが必要である。当該学校では, 6年・フリー総合学習「私を語ろう一プロフィー ル・ポートフォリオ-」において,学校として設定 している系統表をもとにして,本単元で育てたい方 法的諸能力である「直観」 「判断」 「収集」 「発表」を 選定し,明確に単元内の活動に位置づけた評価計画 を単元計画に内包させているのである。 次に,教師は児童との「対話」の場であるポート フォリオ検討会を単元当初に設定し,単元全体の概 観の確認と,そこで予想される活動を児童と共に話 し合いながら列挙するのである。ここでは,少なく とも,これから展開される「総合的な学習」の文脈 に添った形の評価規準として,児童に「めあて」を 意識化させることが最低限必要である。. ひ ろ げ る. み と お す. も と め る. )組(. ). み つ け る 学 習 の 明 面. r 私 ら し さ ) に か か わ 且 ん だ r 私 ら し さ j を ( 払 ら し さ ) に つ い て 卒 去 を サ I Z し た 1 2 歳 { 私 j に つ い て 、 仲 繊 q l つ て い く た d ) の 計 い ろ い ろ な イ メ ● ジ け 々 v m u 古 事 S ) ポ 郎 緒 . = 自 信 を 持 っ て 。 ト フ ォ リ オ に l 噂 し 両 を 立 て る つ て い く ◆ 場 面 い く L A t A. さらに.教師は単元の節目ごとのポートフォリオ 検討会において.これから展開される活動を児童と 確認し合いながら,そこで願う姿を具体的な文言で 評価規準として児童に示す働きかけを行うのである。 そこでは,表2に示すような,特に重点化したい方 法的諸能力を特化することによって児童の目指して. き 広 げ て い く. C). こ の 事 晋 で. 壌 面. 先 陣 し た い 力. ㊨. ア イ デ ア を . 決 d ) た r 払 ら し さ 」 . イ メ ジ マ ツ 1 に 私 ら し さ j の イ メ 壬 表 す 具 那 加 こ つ いr 広 げ て い く 力 て 、 ど ん な 欄 を * n ー ジ を f き 、 広 げ て て い く か 計 画 す る い く C〕. ◎ 必 要 な こ と を. t l め t m m僻 や . r F L ら し さ j * ォ < * 表 現 力 法 を 工 夫 し し て い く 具 体 t h を 一. 決 め て い く 力. て プ ロ フ ィ ー ル フ 7 つ i : 3 U > る イ ル の 相 成 を 決 め る < s> t 吉 報 を 集 め る 力 . 具 榊 に ま つ わ る 捕 殺 を ォ * て い く. 発 表 す る 力. . 「 私 ら し さ 、 て プ ロ フ イ. イ. I I * J > * 軸 の 人 に 説. 他. C). C 〕 見 つ め 直 す 力. . 人 に は な し さ 」 . 中 r . l 交 議 会 を 遺 し l サ ポ ー タ 一 や ク ラ ス を 肋 、 め l 白 借 、 プ 臼 フ イ ル フ の 仲 A i w m を 生 か つて ナ ! ★ 吋 糾 J " i " ! し て 、 自 分 の 考 え を 見 直 す I を 見 直 す C〕 -. C〕. C). C 〕. t i > t fI t f l t t j T と ら え て い ' ・ i t 王 T A i * i < > i : l R t に h t J 組 t : I .. や る 気 . が ん ば り そ の 他 、 自 分 が チ ャ レ ン ジ し た い こ と. ;:ごwr.'.;・It :y)上こう:'iZ<S*.1」atj)**PIt=五・千・Lつ,と勘姉勺こiu:ft文的間ハて1え. 」さ込んでいった.. いく姿を焦点化し,それをワークシートとして各児 童に配布し,評価規準として意識化させているのである。. い,交流し,教師と共に整理していく中で, 「めあて」 として類別化するのである。これにより,各児童が評価 規準を設定する際の枠組みとなる観点が,図4に示され るように明確な形で意識化されるのであるC さらに,ここで教師は事前に立案した評価計画をもと に,児童の願いから抽出された「めあて」群に含まれて いない教師側として育てたい方法的諸能力を.大切にし たい学習活動として児童に提示し,児童との「対話」に よる合意形成を行うのである。 以上の「対話」の場を適すことにより,図5のように. 5.教師と児童とによる「評価規準」創出方法 第二の教師と児童とが共同で評価規準を創出し共有化 する場合は,単元当初に教師側の意図する「ねらい」と 児童側の願いとしての「めあて」とを明確にしておく必 要がある。 そのために,教師側は6年・フィールド総合学習「長 崎の私の味わい方-I 『長崎おすすめガイドブック』をつ くろう-」において育てたい方法的諸能力を明確にし, 図2のような評価計画を構想し,その上で単元当初に児 童側の「願い」を捉えるための「対話」場面を設定して いるのである。. 児童個々人がそれぞれ観点別の評価規準を「めあて」と して主体的に設定することが可能となったのである。. そこでは,児童個々人のこれまでの「総合的な学習」 の学習経験を紐解きながら,図3に示すようなワークシ ートを活用しながら児童が自分自身の学びの姿をふりか えり,末だ達成不十分と感じている学習活動を短冊に書 き込み蓄積する作業を行うのである。. 6.児童主体による「評価規準」設定方法 第三の児童主体で評価規準を設定する場合は,単元末 に児童と教師とがこれまでの学びのあり様をふりかえる 「対話」場面としてのポートフォリオ検討会を設定する こ_とが必要である。. そして,児童個々人が挙げた学習活動を全体で出し合. ここでは,教師から評価規準や観点を提示することは 95.

(6) 佐藤真麟見健史. 焦 点 評 缶 選 定 塘 面 と 詳 細 規 準. 何 を 通 し て. 1/ 3時 間 目 ∼. 子 ど も を み と る 基 準. 次 の 学 び へ の 支 援 例. ◇イ メ ー ジ マ ッ プ に 書 か 【 ス テ ッ プ ll長 崎 に か か わ る .長 崎 に か か わ. 3/ 3時 間 目 の 変 容. れ た 内 容 の 把 握. み ○ 長 崎に つ い て 知つ ノ 〕 描 て い る こ と か ら 、 現 時 点 で の自 分 の イ 一 ミ メ 、 一 ジ を 言 集 と し 直 単 て こ 表 そ う と す る. 事 柄 に つ い て 、 感 じ た ま ま の 気る 事 柄 の イ メ -. ◇イ メ 一 .ジ マ ッ プ の 追 加 持 ち を 首 兼 に 表 そ う と し て い る ジ の 広 がり を 促 や 修 正 の 状 況 の 観 察.. い テ '2]. 把 握. サ 郎ー ㍉す 声 か け. つ な が る 事 柄 や イ メ ー ジ を つ な .広 が っ た イ メ い で 、 と ら え 方 を 広 げ て い こ う- ; " ' . . 蝣 プ か A L J と し て い る. 自 分 なり の「 こ. (ス テ ッ プ 3ー 広 げ た イ メ ー ジ だ わ り 」 を 見 つ の 中 か ら 1日 分 の 典 味 .関 心 の け る こ と の 示 唆. I. づ 鳩 軌の 力 に 恥つ て. 掛、 t ) の を 選 ん で こ れ か ら の 追 l. 究 へ つ な げ て い こ う と し て い る i. : i7時 印 日 、. ◇ 「 今 回 め ざ す こ う なり 【 ス テ ッ プ l】 前 回 の フ ィ ー ル .昨 年 の フ イ -.. 3/ 3 7時 間 目 の 変 容. た い 自 分 カ ード l(子 ど ド 総 合 学 習 で の 自 分 の 学 び の あルド 総 合で の 自 も が 設 定し た 評 価 規 り 様 を 考 え よ う と し て い る. ' 蝣 >' "*蝣 *. 蝣 Mi l :* ,. C)こ れま で の自 分 の F i. 準 ) に 書 か れ た 内 容 の 【 ス テ ッ プ 2】 今 回 自 分 の が ん え る こ と の 示 唆 総 合 学 習 で の 姿 か 把 握.記 録 は っ て い き た い こ と を 、 焦 点 を .観 点 に > 7. ち 返 て 自 分 を み つら 、 ! 沖 4が ん ば り た ◇昨 年 の フ ィ ー ルド 総 合ふ ま え た め あ て と し て 決 め て いつ. I. い 方 向 を 決 め よ う と す る. み L i. i す. I,r 判 断 Iの 桝 . こ 関 わ っ て i -. 学 習 で の 自 分 を ふ り かこ う と し て い る. め る こ と の p サ か え る 発 雷 の 観 察 や 、 そ 【 ス テ ツ 73 日 分 の 決 め た 詳 三 芸 L }璃 = ]. 枚 挙 を 蝉 元 の 凍 れ を 意 識 し て れ を 記 入 し た ワ ー ク シ葡 ート の 把 握. 位 置 づ け よ う と し て い る. I. i t. 一 、 . 判 関 目 ∼ く > 全 体 で の 話 し 合 い の 塘 断 8/ 3 7時 》 11′ 3 7時 間 目 の 変 容 に お け る 発 言 の あ り 様 l琵 の 観 察 ;○ 友 だち の 現 地 活 動 堅 ◇グ ル ー プ 内 で 分 担 を 話. (ス テ ッ プ 1】 自 , / )の 知 り た い J長 崎 に 同じ 印2 こ と を 大 切 に し て 一 日 の 活 動 計象 を も っ た 作 成 軒 と し て 構 成 で き る (ス テ ッ プ 2J友 だ ち と 自 分 の. 計 画 と 比 べ て 、 自 分. し 合う 場 面 で の メ ン バ活 動 計 画 を 比 べ て 、 目 的 と 行 き. のn的と 関 連 付 け. 】 と の か か わ り の あ り先 を 閑 漸 寸 け な が ら. 口 の 計 画. な がらd日 の 活 動. 様 の 観 察. と し て 東 理 な く 構 成 で き る. 計 画 を 構 成 で き る. [ス テ ツ /3 活 動 ゲ ル Iプ の. → r比 較 」 0) 力 に 腰 わ つ て i. メ ン バ ー 全 体 の 思 い や 僚 向 を 大 切 に し な が ら 、 目 的 や 行 き 先 を. i. 墨 完 ∴十 .: *. "・. i. 2/ 7時 間 日 ∼. i i 】 I i . 〇ポ 】ト フ ォ リ オ フ ア イ E ス テ ッ プ 日長 峰 に か か わ る .ど ん な 繭 から. 5/ 7時 間 日 の 変 容. I. ル に 蓄 積 さ れ た 姿 料 の資 料 を 蕉 意 鮒に た く さ ん 集 め 】 「 お す す め j と i. 把 握. よ う と し て い る. し てPR Lよ う. ∵ 蝣 │ -蝣 蝣 ! ;パ. … め Fる i《 収 . ' ' . 蝣 '》. テ ッ プ 2】 長 崎 を 発 く 印 象 と す る の か の 悶 ど ) 「 お す す め ガ イド プ ツ [ス い く「 お す す め 」 に ク 」 作 成 に 向 け た 企 画 づ け た 事 射 こ 着 目 し て 無 料 を 食 i し 、 ふ さ わし い 情 報 を. 案 に 沓 か れ た 内 容 の 把 め よ う と し て い る. 集 め て い こ う と す ら. 堤. .食 料 から の 構. [ス テ . ツ プ 3】 削 1Lた 事 象 に軸 4-f i 蝣 K '∴ つ い て さ ま ざ 主 な と ら え 方 .切 に tmi r i十 f 七 二 り Hの 資 料 を 求 め て い こ う と しと の 必 要 作 の 提. → ㌻ 収 集 Iの 力 に 関 わ っ てI. 示. ー て い る. i. 図2単元評価計画(-部). 。よ;ノ-ル鵬草那旦。.昨年の74-11ドば合をォJサIlかえろうl. 芸等. Jr r¥'三:㌦諒ふ・.こ...・.・. 「. Tニトト主監. 転長のa*懸ヒ満;:'>5r│74k ・*iT-r-.蝣:T.主、二号声: 耳目MtaS.Mki包m. せt.11吉する-邑フ,T l-:i-ri-! rL、てyJ i. 怒㌦∴ :芸.. 亨加給モ酔(-一郎h. fcfijst如しTも后の人.pこ・f Tv C:エー一打Z一芸五琵7ミt と旦曳;To-ラJl∴・ミ. イIサーネ蝣r< rT覆雲しこフ;.T的 ムネ独居笥lこ‥,'1.7' _・--㌔,一子:';y-S.'1 fLIcHi.'、エウ;tアM. S3蛋. 鵬。し,軌を私ら紹. 立野-?妄語めるぎ壬らう. Ofil均EHI醜Lll こウー」ォて∴′・it-. 図3児童用「評価規準」創出過程カード 96. 1 3 鰯 B M B - サ B. 貫亘三担し轄vrj. It冒tg裏書,.ォォ'S-h′. r毘_:eて"T uーT-:事件.

(7) ポートフォリオ評価法における評価規準の設定主体に関する研究. maW㌍ nss. mHnma闇CっMt'ras. ォaaHl㌣KB 。h. 一一日JP蝣s.-::蝣IL. .,才トIB*細かく. ,..#IH FかC,Oiアドバイスを′I=即せた. _='きる,-";サ、コ1.イ1g. ltL問!>・・、LR、L- ▲Ta.ニ1* " t '、. [・丘を号-.と.蝣)%行.斗サ蝣・!'>-か.∴計軌. ▲ゲル役#liサ裏.. ;>!いさ決ift^ri ',蝣い. ▲耐蝕-fm :一時間令- I-. ▲し"sa. :、.I l・._. rl B迅anEm&mKOM. ▲-iIL-"・†二ヽヽ ▲J4.. I,メ.I. ▲MB.'fォi(・・'ヽ. rwM I pr βkvamam昭Fhlしけ汁bagtfaig ▲*!サ・蝣-,ニI Q対・?. ▲ゴV'サ>-・蝣(Iご'蝣サ・'..-蝣蝣ォ<・:・・蝣古. 萌fi t t一事.Y 思、!-二Yをi-'fff,脊り. 3E9匹だHcsEiL i昭胃m誘BEi. 、ゾ、ん蝣y r..%一敗ノもLl=り;ニJl?i''¥. ノダでご紳1一、-:比-こ{ 、*:-dサt・"C叫*lr,tlこ`;、リこ メ.)淵きT:v>">を、,Iかり!ン9if-'-llu木l 世L'、与,抑き敗il,*:.▲(.,ウt/ユ,-・対'Sを」41: rwm己mui'. '後肖twxasmmBBmn▲JT_を忘i・.こいた▲牌きた.、ここ・1-をLLで ▲tl.l蝣蝣蝣''MII"、1af、▲mォ、Tat-、rこし. ▲ !ンンビ_7.なか′Cか声がTJ、H,1lノIt. :自分,tCr-、′,s.、をLここ.ゾ->;;4I.. A `・ ヽ;,ォ-i t.ffサ蝣. l` ̄ し、.i・:蝣蝣一蝣.蝣・こ′.. '. ▲Lィ,7ウト与'蝣T*巧ズ'I.・な′′.=C'JT変に *!"*"、′j:. ︽教師からのがい︾Ir先生からめざしてほしいことlとして提案∼. A. Jtヨ■しの78ち方, t十一■の立て方lこカヽカヽわつ. ▲サ-蝣<*>蝣l'. ▲H・たし者.1た. ▲蝣蝣>ォを.AIくさハ!撫lりLぎこと-サ>ォ! ・'ノ、イスうり没iTて1rLこ′I-. IS呂リFiB. セ′L-I ′7か-I,-A.Uこ. ▲,清-I:きこ. -抜.+.'・. EI、や蛭間を ̄1!ビ'7 Iノ7、-算-tfT.. ▲・A-.'3蝣蝣! " ▲.,..蝣サHiT.Iサ:一日T メ 、. '・!.・!蝣ォ、‥. rl周・wmi. ▲ ・一一マ挟めで蝣3=1'-- I. ▲ 'jSf;しわる・!,Ji獅+),失敗_I. 一一一一一一一. 図4教師用「評価規準」創出過程カード r-i S/l1 1空艾[S・3dVtt. 今回助ますrこうなりたい自息1 *<tさんは今月の7ィーILドd怠学*'Miで. <a#attueiMqIlnt.ホすすAftイド11ウe して事CM. B事兼行Off*まACSえてU< j O亡にもL ■^でいe事t. と=で. iAだ*サォていくOで.こAV*SQUでu'ttrこう亡ヽ亡^Ertと,'ォ蝣サ:うv->t l埠頭? ura H九三EJH2荊wgu.Tyi j程tsaa烈FxmtJX仇H3円KTHリ&ira;rT.Tsg g日 7」uh3w3両Ha盟EHトrca*i*ォTTJRE指attain i茄寺山HHaaこ H. Ill氏も(. 今書 で(前 古}こ う だ1亡B サ サ. I. 今 白こ う ォ ->て い e たい. - '郎 lJ7 気 のゆ 7x 軸 l豆 *-! '・ つ埠 も∩ゆふみ 硯 H i C i v め .、 ふ: Tフ 柵 = J′ t ' jv は i=( の堵 @ lL I J. I. l 一 -上. 叶. 蝣 i>A 恒. 回書 相 . 1 て ; t-X -'<-アL P茄v <1 票. 漂. 子 い 吾需. 調. 壬. ・- 1 i . リl T ′ 弼. A ン lr.己 b-ー rJ 叫 4 .. 妄 J 度11 ->:. 鼠混. 7 IL-7 甘 露 音 声 亨7三 号上声 空 票 惚. 崇 盈. 鵠. ㌘謹. I'll ユ壊. tl l. 悪 し 誓碧禦 iそ lL J 'm 桂 I ih 軸⊥l 4、 l1.′ `ー '<サ *> ′ 7 ,い7 '-K 耶 Y ザろ tr = 机 i¥-l ft-1 n ;んil′ .i」サr-か .//. し て L i .¥M .緩 し て rJ誹 周 て -,し <7)3'小 '-'.!> 釘直L t -r.い J7 し tt † り 寸.'' )蝣 蝣 '蝣 をl - ¥ ノ し て i .K 了 *H 1ii' 純 が )ち Lf e u. LIつ !! "*f . c " .0 ,I ql,." .L o:t f の SM. =乳 地 り こ 1-7)F 、 と 1、 .ニ ー t-- =z キ. 刺 /-. A;.t・・. :爬蝣 i t-A-h-it. Kl_-. ′ e i-J.y のT 紳 jLy 化 へf:り す i> x : ケ ル 机 1/叫 .. i.'ォ- a i? 触 .一 f t, h v V t YA " 有頭 桝 の7 卜 ll Eイ て'.*,/.< 蝣 : 汁 i d)ら k は 一 .l ▼. tH -tih ろ )/ ろ Lニ 右 w 亘lV ,7 帥 J)だtJ-を ナ し >'t ム L< J Llt一 -u 一 一 eJE 舶 ▼ 針 t o n をn ,ガ 榊 1 -!1ー lt !1i 郎. .>. : ・ 」 ノ. -. ・ 蝣. '. ′ tまり- ^ 蝣 "H. EL対ォsIさし⊂いくeaけ**蝣>亡う. tGIBStiKこ^tLてM」い.丘BOIMV事ォ*サォ;語れ anaLn-ドjG坤J=記入しTatこう!. 図5児童用「評価規準」創出カード. 図6児童委任型「評価規準」創出カード. なく,児童個々人が学びの意味を感じる具体的な学習物 が蓄積されたポートフォリオの中から選択することを重 視している。それは、図6に示すような学習物の選択と いう行為を通して,児童自身が主体となって自分自身に とって意味ある評価規準を宣言することを必要視してい るからである10)。 また,ここで教師はその具体的な学習物にまつわるエ ピソードについて「対話」を通して紐解いていくことで,. 児童自身が自らの学びの文脈を内省し,その価値を自覚 化することをねらっているのである11)。 つまり,児童は内省し自覚化した自らの学びの特長や そこでの達成感を,児童同士あるいは保護者を交えて互 いに交流し合うことで,児童個々人が自らの進歩や成長 を肯定的に捉えることができるからである12)。 なお.この交流会に招かれる保護者に対しては,単元 当初から,ポートフォリオ評価法のねらいを説明し,具 97.

(8) 佐藤. 真勝見健史. 体的な学習物に対する付等を活用した励ましのコ メントを依頼し,単元末だけでなく単元の過程に おいても継続的に関わってもらうことも実施して いるのである。. 《理解度》 Q: r今回の振り返りの方法はよくわかりましたか?」. A: 「よくわかったor難しかった」. 7.評価規準設定の主体と評価横能との関連 実践事例をもとにして「総合的な学習」におけ るポートフォリオ評価法の評価規準の設定主体を. (%). 3類型から具体的な方法について検討してきた。 その結果,第一に,児童側からすれば,評価規 準設定への参入の自由度が高くなればなるほど, 自らの学習の文脈に評価規準を引き寄せて必要感 のあるものとして自覚化することができるため, 自由度が高くなる「創出型」や「委任型」に向か うほど,評価方法の理解が深まっていくといえる。 (図7) つまり,評価規準の設定主体が児童自身に近づ くほど,ポ-トフォリオ評価法が実践場面におい て児童自身のためにより機能化するということで ある。 第二に,それまでの学習活動における児童自身 の経験を踏まえて課題を学習活動に連続させてい く方法を採用した「創出型」においては,児童自 身の評価方法への有用感が高いものとして意識さ れているといえる。ここで注目したいのは,児童. 教師主体チビも主体 図7児童の評価方法への理解度. の評価への参入の自由度が高い「委任型」よりも, 教師側の意図性が顛い「提示型」の方が,児童自 身の有用感が高いということである(図8)0 つまり,教師の持つ教育性や指導性の価値に児 童自身が一定程度依存した状態で学習活動が行わ れている方が,自由度を高めて児童側に学習の評 価機能を委任する状態よりも,そこでの評価がよ り実際的に児童の学習の中で機能化するというこ とである。. 《有用感か Q: 「今回の振り返りの方法は,あなたの学習 に生かせるものでしたか?J A: 「生かせたoTあまり生かせなかったj. (%). 換言すれば,ポートフォリオ評価法が児童自身 の学習に活用できる評価として機能化するために は,教師側からの教育的意義を含んだ一定の「関 与13)」が不可欠であるということであるOそして、 この「関与」の存在によって,ポートフォリオ評 価法が,教師が児童を値踏みし格付けするといっ た「エバリュエイション(evaluation)」の評価観 から,児童の個性を十分に発揮・伸長させるため の「アセスメント(assessment) 」の評価観に転 換することを可能にすると考えられるのである。. 教師主体子ども主体. m TDK声. 以上により,ポートフォリオ評価法における評 価規準の設定主体に関わる教師と児童との「対話」. 図8児童の評価方法への有用度 98.

(9) ポートフォリオ評価法における評価規準の設定主体に関する研究. 9)山口は,遠足宿泊的行事を含む特別活動と総合的学 習の相互還流の重要性について指摘している。詳し くは,山口満「特別活動から見た総合的学習のよい 面は何か」高階怜治絹『総合的な学習の展開と技術』. 活動において,教師がいかに意図性・指導性をもって臨 むかということが, 「個人内評価」と「目標に準拠した 評価」とを両全することを可能にするためには不可欠で あるということが一定程度明らかになったといえよう。 しかしながら, 「対話」場面における教師の意図性・ 指導性とはどのような観点をもつものであるのか,また 意図性・指導性をもった教師の意図的な「関与」とは, 実際の授業場面において児童個々人の学びの文脈の中で どのように発揮されるのかということなどに関する検討 については,筆者らの今後の課題としたい。. 教育開発研究所, 1998年pp.26-27を参照のこと。 10)安藤は,児童がどれだけ学んだのかということを披 露するために児童自身が再構成した「立証のための ポートフォリオ」の重要性について指摘している。 詳しくは,安藤輝次「国語ポートフォリオの基礎理 論」 『国語教育・7月号』明治図書, 2001年pp.16 -19を参照のこと。 ll)加藤は, 「総合的な学習」においては児童自身が自 らの学びのあり様を内省する「メタ認知(Meta-. 〔註〕 1) 「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)」につい ては,教育課程審議会答申『児童生徒の教育課程の 実施状況の評価の在り方について』 2000年12月を参 照のこと。. recognition)」の育成を目指すべきであるとしてい る。詳しくは,加藤幸次「新しい評価活動の創造一 総合学習のためのポートフォリオ評価」 『上智大学 教育学論集・第34集』上智大学教育学科, 1999年,. 2)文部省『小学校学習指導要領・総則編』東洋館出版 社, 1999年p.54。 3)このことについては,田中が「個人内評価」と「目. pp.1-20を参照のこと0 12)アメリカ・シカゴのクロー・アイランド小学校では,. 標に準拠した評価」の内的結合の必要性について指 摘している。詳しくは,田中耕泊『学力評価論の新. 児童・教師・保護者の参加によるポートフォリオ・ イブニングと呼ばれるポートフォリオ検討会が行わ れている。詳しくは,田中耕治・西岡加名恵『総合. たな地平』三学出版, 1999年pp.61-75を参照の. 学習とポートフォリオ評価法・入門編』日本標準, 1999年, pp.74-75を参照のこと。 13) 「関与」については,上掲論文6主pp.82-83を参 照のこと, 14)アセスメントについての詳細は,石田恒好「日本の 教育評価史-この25年-」 『指導と評価・ 8月号』 図書文化, 1999年pp.25-28,及び渋谷憲一- 「新 しい評価のあり方について考える-測定・評価・ア セスメントー」 『指導と評価・11月号』図書文化,. こと。. 4)詳細は,村川雅弘編著『生きる力を育むポートフォ リオ評価』ぎょうせい, 2001年, pp. 20-21を参照 のこと。 5)西岡加名恵「ポートフォリオを用いた指導と評価ポートフォリオ検討会に焦点をあてて-」日本教育 大学協会第二常置委員会縮『教科教育学研究・第19 集』, 2001年, pp.213-232を参照のこと0 6)評価の実施に際して,教師のポリティクスを排し, 評価が本来担うべき児童個々人の側に立った学習参 加の必要性という点については佐藤が指摘してい る。詳しくは,佐藤真「ポ-トフォリオ評価法丁実 践的方法の開発とその実際-」 『日本教育方法学会. 1998年, pp.42-45を参照のことO 〔付記〕 小論における実践材料を提供していただいた,平成13 年度神戸大学発達科学部附属住吉小学校第6学年部の教. 誌・第23巻j日本教育方法学会, 1997年pp.7987を参照のこと。. 職員の方々に末尾ながら感謝申し上げたい。. 7)当該学校における「総合的な学習」の類型の詳細に ついては. 『研究紀要,これからの学校像を求め て・生活をきりひらいていく子どもにⅡ-教育課程 《すみよしプラン〉の開発--』神戸大学発達科学部 附属住吉小学校, 1998年等を参照のこと。 8)当該学校の主張する「ジレンマ的状況」は,ドイツ の総合的学習における「鍵的問題群」の考え方と類 似したものである。詳しくは.高橋英児「ドイツに おける総合的学習の現状」柴田義松編著『海外の総 合的学習の実践に学ぶ』明治図書, 1999年, pp.111-141を参照のこと。 99.

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参照

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