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物語絵から読む『伊勢物語』 : 教材としての可能性

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Academic year: 2021

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(1)物語絵から読む『伊勢物語』. 物語絵から読む『伊勢物語』―教材としての可能性― . . 教育デザインコース 国語領域. 窪田 祐樹 国語総合、古典 A、古典 B である。それぞれの教科書に. はじめに 『伊勢物語』は平安時代からその物語が絵画化され、. おける『伊勢物語』の採録数を以下にまとめた。なお、. 親しまれていたことが言及されている。その最古の例が、. 今回は平成 24 年度~平成 26 年度の間に検定を受けた. 『源氏物語』である。絵合巻では藤壺の御前で絵合の会 を開いた場面にて『伊勢物語』の名が見える。また、総 (1). 全教科書(平成 27 年度使用教科書)を調査対象とした。 ・国語総合 全 23 種 ・古典 A 全 13 種中 7 種. 角巻では匂宮が女一の宮の傍らにある「在五が物語」. ・古典 B 全 19 種. の絵に注目する場面がある。以上の二例が確認できる。. このように、それぞれの科目の多くの教科書において. 現在、現存最古の伊勢絵は鎌倉時代のものであり、そ. 『伊勢物語』は採録されており、高等学校国語科におけ. れ以前に成立したとされるものは未発見である。だが、. る定番教材と言える。本稿ではこれらの科目の中で、国. 先の場面について、伊藤敏子氏は「おそらく作者自身が. 語科の必履修科目である国語総合に注目をしていく。. 実見した絵巻を、題材に取り上げた」とし、 「『源氏物語』 の成立(寛弘頃)当時に、伊勢物語絵巻が存在したこと (2). 国語総合の教科書において、一番多く取り上げられて いる章段は第二十三段(筒井筒)である。第二十三段は 8. と述べており、『伊勢物語』が古. 社 21 種の教科書が採録している。これらの教科書の採用. くから絵画化され、各時代の人々に親しまれてきた作品. 率を合計すると 95%(3)となる。本稿ではこの第二十三. であることが分かる。. 段を例として、挿絵を発端とした授業展開を考察する。. は確実と見られる」. 物語絵はそれを描いた絵師の物語解釈を如実に映すも のであり、その元となった作品がどのように理解・享受. まず、第二十三段の内容を確認する。この章段は以下 の三つの話に大きく分けることができる。. されていたのかを知ることができる資料であるといえ. (Ⅰ)幼馴染の男女が、念願叶って結婚した。. る。これを教材として授業で活用することで、古典文学. (Ⅱ)高安の新しい女の元へと通い出した夫を心配して. 作品がどのように読まれ、親しまれてきたのかという 享受史的な授業が展開できるのではなかろうか。これ は、従来の訓詁注釈型の授業では等閑視されてきた面で ある。古典文学作品を享受史的に見ることで、生徒の古 典への興味・関心を引き付けるとともに、一つの作品を 様々な視点から読み味わうことができるようになると考 える。. 詠んだ和歌によって、妻は夫の愛情を取り戻す。 (Ⅲ)夫は高安の女への魅力を感じなくなり、高安へ通 わなくなる。 ここでは(Ⅰ)の場面について詳しく見ていくことと する。この場面の本文を以下に挙げる(4)。 むかし、田舎わたらひしける人の子ども、井のも とに出でてあそびけるを、大人になりにければ、お. 本稿では、教科書に挿絵として採録されている物語絵. とこも女も、恥ぢかはしてありけれど、おとこはこ. とそれに関連する絵巻・絵本等を取り上げ、それらの図. の女をこそ得めと思ふ、女はこのおとこをと思ひ. 様がどのような影響下の中で成立したのかを明らかにす. つゝ、親のあはすれども、聞かでなんありける。さ. る。そして、物語絵を読み解くことで可能となる新たな. て、この隣のおとこのもとよりかくなん。. 古典文学の授業を提案する。. 筒井つの井筒にかけしまろがたけ 過ぎにけらしな妹見ざるまに. 1、高等学校国語科おける『伊勢物語』の採録状況 高等学校国語科において、古典を取り上げる科目は、. 70. 女、返し、 くらべこし振分髪も肩すぎぬ.

(2) 君ならずして誰かあぐべき などいひ/\て、つゐに本意のごとくあひにけり。 教科書において(Ⅰ)の場面に関する挿絵(「筒井筒」図) を採録するものは全 21 種中 15 種に上る。それらを調 査したところ、計 7 種の絵を見ることができた。本稿 末尾の【表】のなかで、ゴシック体で示したものが教科 書で用いられている「筒井筒」図である。 これらのうち、近代以前に成立した絵巻・絵本が計 3 種、近代以降の絵画が 4 種であった。中には井筒を描 く絵として『伊勢物語』と直接的な関係のない扇面古写 経(模本)を用いる教科書もあった。第二十三段の(Ⅰ) の場面だけを見ても、多くの種類の絵画が挿絵として用 いられているのが分かる。 2、伊勢絵における謡曲の影響 (1)嵯峨本・奈良絵本間の関連と能の影響 ここでは、教科書において用いられている 7 種の挿 絵の中から、18 世紀に成立したとされる⑬伝光芳筆絵 本と⑭鉄心斎文庫絵本(【図版2】)に注目する。(以後、 絵巻等の作品名については本稿末尾の【表】に挙げた略 称並びに通し番号を使用する。) ⑬伝光芳筆絵本を採録する教科書は、東京書籍『国語 総合 古典編』『新編国語総合』『精選国語総合』の 3 種 である。これらの採用率は計 23%と高く、重要度の高 い教科書と言える。⑭鉄心斎文庫絵本を採録する教科書 は三省堂『明解国語総合』で、採用率は 4.3% である。 これらの挿絵は 17 世紀に出版された⑧嵯峨本(【図 版1】)の図柄の影響を受けていることが先行研究にお いて指摘されている。⑬伝光芳筆絵本は「「嵯峨本」の 画面を元にしており、図様はよく似る(5)」と、⑭鉄心 斎文庫絵本は「巻末に「嵯峨本伊勢物語」の奥書まで転 記していて(中略)実際にその絵を見てみると、図柄 や構図が嵯峨本に極似しているものがきわめて多い(6)」 とそれぞれ言及されている。 実際に挿絵を見てみると、右に挙げたように図柄・構 図が酷似していることが分かる。(なお、⑬伝光芳筆絵 本に関しては個人蔵のため、所蔵元を特定できず、本稿 に掲載することができなかった。実際の挿絵に関しては 『王朝の恋 描かれた伊勢物語』(7)を参照されたい。) これらの挿絵は、 『伊勢物語』第二十三段における「む かし、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとに出で てあそびける」の場面を絵画化したものである。だが、. 挿絵には二人が井戸をのぞき込むような仕草が描かれて いるようにも見える。とすると『伊勢物語』本文におい ては言及のない仕草で、本文にはない場面を絵画化して いることになる。 では、この図様は何を元として描かれているのであろ うか。これについて伊藤正義氏は「能に見る『平家物語』 の世界」(8)において、以下のように述べている。 能の《井筒》の最も印象的な場面として、井筒を のぞき込む形があるわけで、井筒のもとの子供も「互 いに影を水鏡」と表現されるのですが、その印象が、. 教育デザイン研究 第7号(2016年1月) 71.

(3) 物語絵から読む『伊勢物語』. 『伊勢物語』の挿絵にも反映している例であろうと 私は思うのです。それ以後江戸時代を通じて各種の. 成 資料篇』(14)よりそれぞれの図様を確認した。各絵の 参照先は巻末に記した。適宜参照されたい。. 『伊勢物語』の絵入本や独立の絵が出ますが、ずっ とこののぞき込んでいる構図が踏襲されます。『伊. 〈図様の分析〉. 勢物語』本文自体からはこのような構図が導きださ. 上記の絵画を比較・分析した結果、「水鏡」の構図を. れる理由はないわけで、こんな絵になるについては、. 持つ絵は⑧嵯峨本、⑫大英博物館本、⑬伝光芳筆絵本、. どうも謡曲の影響を考えないわけにはゆかないので. ⑭鉄心斎文庫絵本であると結論づける。⑫大英博物館本. す。. は『伊勢物語絵巻絵本大成 資料篇』(15)において、⑧嵯. 嵯峨本やその影響下に成立した挿絵に描かれる「井戸 をのぞきこむ」仕草に関しては、能〈井筒〉の影響があ るのではないかと指摘されているのである。本稿では、. 峨本の影響を受けている絵と紹介されている。これらに 描かれる人物は明らかに視線が水面へと向いている。 では「水鏡」の構図を持たないと結論づけた他の絵画. この井戸をのぞきこむ仕草を「水鏡」と呼び、物語絵を. はどうなのであろうか。まず、 「筒井筒」絵の中で現存最. 読み解く際の注目ポイントとする。. 古のものである①白描絵巻( 【図版 3】 )を見てみる。こ. なお「水鏡」という語について『日本国語大辞典』で. の絵は井筒の側に立つ幼い二人を背中側から描いている。. は「静かに澄んでいる水面に物の影がうつって見えるこ. こちらも二人の視線に注目してみると、 二人は顔を見合っ. と。また、水面に顔や姿などをうつして見ること。また、. ており、水面の方には向けていないように見える。これ. その水面。」とされている. (9). 。本稿では「筒井筒」図に. について、河田昌之氏は以下のように述べている(16)。. 描かれる人物が井戸の水面をのぞき込むような仕草をし. 左手の肘から上を立て、男に何かを示しているよう. ている絵図を「「水鏡」の構図を持つ絵」と定義する。. な動作を描くことで、二人の間に会話があるような 自然なつながりを印象付けている。. (2)「筒井筒」図の変遷. このような解説文がつけられていることからも、二人. 前節で見てきた「水鏡」の構図はいつ頃から「筒井筒」. はお互いを見合っていると判断することができるだろう。. 図に描かれていたのか。先に挙げた伊藤氏は別の著作に. このように、井戸のそばで見合っている二人を描く図. おいて、⑤スペンサー・コレクション本(【図版 5】)と. は、室町時代に入ると「筒井筒」図の定型として描かれる。. ⑦穂久邇文庫本を「井の中をのぞき込んでいるように見. ②異本絵巻(【図版 4】)では井戸に寄り添う二人が、③. える」絵図として挙げ、その後に成立した嵯峨本『伊勢. 大英図書館本や④小野家本では井戸で対面する二人がそ. 物語』の挿絵を「明らかに井の中をのぞき込むかたちで. れぞれ描かれている。これらの絵巻においても、画面中. 描かれ」ていると述べている。その上で、「「互ひに影を. の人物の視線が水面に向いているようには見えない。で. 水鏡」の絵画化の嚆矢を嵯峨本と特定し難いけれども、. は、伊藤氏が「水鏡」の例として挙げていた⑤スペンサー・. 能謡の流行・流布をふまえて、嵯峨本に代表されるその. コレクション本、⑦穂久邇文庫本はどうか。. 時代のよみのあり様を示している。」と論じている. (10). 。. まず、⑤スペンサー・コレクション本を見てみる。こ. この論考は先に引用した「能に見る『平家物語』の世. ちらは、井戸に寄り添う二人が描かれているが、①白描. 界」での言及を補足する形で述べられている。本節では. 絵巻や③大英図書館本と比較すると、こちらの絵巻はや. この説を念頭に置きながら、「筒井筒」図の構図の変遷. や下を向いているようにも見える。だが、泉紀子氏は以. を見ていく。なお、「筒井筒」図の調査範囲は『伊勢物. 下のような解説文をつけている(17)。. 語絵巻絵本大成 資料篇』(11)に絵の掲載があるものを基. 井戸枠に両手をかけ、顔を寄せあう二人の子供。白. 本とし、伊藤氏が先行研究で挙げた⑦穂久邇文庫本と現. 描本以来の図様であるが、この絵の場合、男の子が. 行の教科書に掲載のある⑬伝光芳筆絵本、⑭鉄心斎文庫. 覗こうとしているのは井戸ではなく、女の子の顔で. 絵本を対象に加えた。. ある。. また、本稿では紙幅の関係上全ての絵を掲載すること (12). ができなかった。それらについては『伊勢物語絵』. 『王朝の恋 描かれた伊勢物語』(13) 『伊勢物語絵巻絵本大. 72. つまり、男の子は「水鏡」をしていなのである。それ を踏まえると、女の子は水面を見ているのではなく、男 の子から顔を背けていると解釈するのが妥当なのではな.

(4) かろうか。よって、本絵巻に関しても「水鏡」の構図は. として見えており、伊勢一七段の文意から見ても作. 持たない図様なのである。⑥中尾家本、⑨ CBL 本に関. 者の「あるじ」はむしろ男であろうが、伊勢物語知. しても同様に、一方が相手に視線を合わせようとし、も. 顕集には「いゑあるじは有常がむすめ」と明言して. う一方が顔を背ける構図を取っている。. いる。続群書類従本には「人待つ女」の詞は見えな. 次に⑦穂久邇文庫本を見てみる。こちらは③大英図書. いが、知顕集の影響の著しい古曲「葛の袴」(古注. 館本と同じく、井戸で対面する二人が描かれている。こ. 八六参照)に、「(業平と馴れにし人十二人の)第一. の二人の視線は明らかに前を向いており、お互いの顔を. 番ハタレヤラン。アダナリト名ニコソ立テレサク . 見合っている図である。「水鏡」の構図には該当しない。. ラ花、トシニマレナル人モマチケリ。此歌ノ主ヲ. ⑩國學院大學図書館本(【図版 6】)に関しても「水鏡」. バ、人マツ女トカキタリシヲ、キノアルツネガムス. の構図には当てはまらない。こちらは井戸の側で遊ぶ二. メトアラスハゼウガヒガコト ・・・」とあり、知顕集. 人の姿を描いている。つまり、「井のもとに出でてあそ. 系統の古注で、 「人待つ女」と異名を附した本があっ. びける」という本文を忠実に絵画化しているといえる。. たことが想像される。そうした説を背景に、「人待. また、⑪甲子園学院美術資料館本は、⑧嵯峨本以後に成. つ女とも言はれしなり」の文が綴られたのであろう。. 立したものだが、図様を見ると視線は水面に向いておら ず、影響は受けていないことが分かる。. その後、香西精氏は『群書類従』に収められている『伊 勢源氏十二番女合』を引用し、その本文において、第. このように、嵯峨本成立前~成立頃の「筒井筒」図に. 二十三段における元の女を紀有常の息女としていること. は、お互いを見合っている図が多く描かれる。一方で「水. を指摘した(20)。さらに、片桐洋一氏による『伊勢物語』. 鏡」の構図は嵯峨本成立以前には見られない。本稿では. 古注に関する研究成果(21)が発表されて以降、『知顕集』. 伊藤氏の説には則らず、「水鏡」の構図は嵯峨本がその. とは別系統の古注の理解を通じて〈井筒〉を解釈する試. 始まりであると考える。この嵯峨本の構図は⑬伝光芳筆. みがなされた。例えば、先にも出した伊藤氏はその古注. 絵本や⑭鉄心斎文庫絵本の図様にも見えるように、その. の一つとして『冷泉家流伊勢物語抄』を指摘している(22)。. 後の「筒井筒」図に大きな影響を与えるのである。. その本文を以下に示す(23)。 ゐ中わたらひしける人の事とは、阿保親王と有常と 大和国に住ける時、春日の里についぢをなして住け. 3、『伊勢物語』第二十三段と〈井筒〉の関連 これまで、嵯峨本『伊勢物語』における「筒井筒」図は、. る時の事なり。○ 子どもとは、有常が娘と業平と、. それまでの伊勢絵には描かれていなかった「水鏡」の構. おさなかりし事也。○井のもとに出てあそびけると. 図を持っており、そこに〈井筒〉の影響があるのではな. いふは、二人の子互に五歳にして井筒の指出たるに. いかということを見てきた。本章では、その〈井筒〉と. 長をくらべて、これよりたかく成たらん時は、夫婦. (18). 『伊勢物語』第二十三段の関係性について見ていく. 。. にならぬと契りけり。(中略) ○ ほいのごとくにあ ひぬとは、本意のごとく夫婦となるをいふなり。. (1)〈井筒〉について. 『冷泉家流伊勢物語抄』においても、第二十三段を在. 〈 井 筒 〉 は 世 阿 弥 晩 年 期 の 作 品 で、『 伊 勢 物 語』第. 原業平と紀有常の息女の恋物語であるという解釈がなさ. 二十三段を基に、第十七段や第二十四段の和歌を用いて. れていることが見える。このように〈井筒〉は『伊勢物. 作られた能である。現在の能楽研究において、この〈井. 語』自体ではなく、中世期の『伊勢物語』解釈を素材と. 筒〉は中世期の『伊勢物語』解釈によって成り立ってい. して制作されたと考えられているのである。. ると考えられている。本節では、中世期における解釈を 見て取れる『伊勢物語』古注と〈井筒〉がどのような関. (2)詞章の確認. 連性を有しているのか、先行研究を追いながら見ていく。. 〈井筒〉の詞章において『伊勢物語』第二十三段はど. 〈井筒〉が古注の影響下の中で成立したことを想定し. のように反映されているのか。その例として第四段の[ク. たのは、表章氏である。『謡曲集 上』(岩波日本古典文学大. セ](24)の詞章を挙げる(25)。ここは、前シテ(里の女・前. (19). 系)の補注には、以下のように述べられている. 。. 「徒なりと」の歌は、古今、春上に「詠み人知らず」. 半の主役)が、業平との恋物語をワキ(旅の僧・シテの相手役). に語る場面である。. 教育デザイン研究 第7号(2016年1月) 73.

(5) 物語絵から読む『伊勢物語』. 地. むかしこの國に、住む人のありけるが、宿を並べて. 筒の傍に出て、すすきをかき分けながら水面を見る。そ. 門の前、井筒に寄りてうなゐ子の、友だち語らひて、. して、水面に映る自分の顔に業平の姿を重ねながら「見. 互に影を水鏡、面を並べ袖を掛け。心の水もそこひ. ればなつかしや」と謡う。業平思慕が最高潮に達する場. なく、移る月日も重なりて、大人しく恥ぢがはしく、. 面である。ここは第四段における、幼き頃の二人の「互. 互に今はなりにけり、その後かのまめ男、言葉の露. いに影を水鏡」が念頭に置かれているのである。. の玉章の、心の花も色添ひて。. シテ. 筒井筒、井筒に. 地. 嵯峨本やそれ以後の「筒井筒」図に見られる「水鏡」. かけしまろが丈、 生ひにけらしな、妹見ざる間に. の構図は、先に見た「能に見る『平家物語』の世界」に. と、詠みて贈りけるほどに、その時女も比べ来し、. おける伊藤氏の指摘の通り、謡曲の影響下で成立したも. 振り分け髪も肩過ぎぬ、君ならずして、たれか上ぐ. のである。つまり、〈井筒〉の第四段における「互いに. べきと、互に詠みしゆゑなれや、筒井筒の女とも、. 影を水鏡」の場面が幼いころの男女二人の様子として伊. 聞こえしは有常が、娘の古き名なるべし。. 勢絵の中に組み込まれているのである。. 先に挙げた『伊勢物語』第二十三段の本文と比較する と〈井筒〉が『伊勢物語』の内容を忠実に取り入れてい ることが分かる。だが、『伊勢物語』には言及のない要. 4、授業における挿絵の利用 (1)挿絵を用いた授業展開. 素がこの場面にはある。それが下線部を引いた「互に影. ここで、⑬伝光芳筆絵本や⑭鉄心斎文庫絵本の挿絵が. を水鏡」である。ここは『伊勢物語』の「井のもとに出. 使われている東京書籍『国語総合 古典編』『新編国語総. でてあそびける」に対応する場面であるが、『伊勢物語』. 合』 『精選国語総合』三省堂『明解国語総合』に注目する。. 本文や先に挙げた『冷泉家流伊勢物語抄』に代表される. これらの教科書において、挿絵は(Ⅰ)幼馴染の男女が、. 室町期以前成立の古注において水面に自分たちの姿を映. 念願叶って結婚した場面に配置されている。. して遊ぶといったような描写は見られない。. つまり、平安時代に成立した『伊勢物語』の本文と、. 〈井筒〉の作者である世阿弥は『伊勢物語』第二十三. 中世の『伊勢物語』理解から生まれた〈井筒〉の影響を. 段を当時の解釈に基づき忠実に取り入れつつこの「水鏡」. 受けた挿絵が同一ページ内に併存していることとなる。. という要素を付け加えた可能性が高いのである. (26). 。. これらの間には、先述したように「むかし、田舎わたら ひしける人の子ども、井のもとに出でてあそびける」の. (3)〈井筒〉と絵の関連性. 場面に関して、解釈の相違が見られる。挿絵に注目こと. 〈井筒〉の第十段において、後シテ(紀有常の息女の霊・. で、古典文学作品が成立してから私たちの生きる現代へ. 後半の主役)が水鏡をする場面がある。その場面の詞章. と至る間に人々がその作品をどのように受け止めていた. を以下に引用する. (27). 。. かということを一つのページの中で捉えることのできる. シテ. 地. ここに来て、昔ぞ帰す在原の。 寺井に澄める、. 月ぞさやけき、月ぞさやけき。. だが、教科書の各指導書においてその点に関する言及. シテ. 月やあらぬ、春や昔と詠めしも、いつの頃ぞや。. シテ 地. 地. 教材となっていることが判明するのである。. シテ. 筒井筒、 筒井筒、井筒にかけし、. まろが丈、. はない。東京書籍の指導書では「「筒井筒」図に関して 「嵯峨本」の図をもとに描く」と解説が付されている(28)。. 生ひにけらしな、シテ 老いにけるぞや 地 さなが. だが、活用例への言及はなく、後世への影響の一例とし. ら見みえし、昔男の、冠直衣は、女とも見えず、男. て紹介されるにとどまる。三省堂『明解国語総合』指導. なりけり、業平の面影. 書も授業における挿絵の活用例への言及はない。更に『伊. シテ. 勢物語』第二十三段における挿絵を利用した授業実践の. 地. 見れば懐かしや、 われながら懐かしや、亡夫魄. 霊の姿は、萎める花の、 色無うて匂ひ、残りて在原の、 寺の鐘もほのぼのと、明くれば古寺の、松風や芭蕉 葉の、夢も破れて覺めにけり、夢は破れ明けにけり。 ここは、〈井筒〉のクライマックスの場面で、後シテ. 報告については、管見した限り見当たらなかった。 このように、挿絵に注目することで、普段『伊勢物語』 の本文を読むだけでは味わうことのできない、物語解釈 の多様性を生徒に感じ取らせることができる。そして、. は業平の冠直衣を身にまとっている。後シテは「女とも. 普段の訓詁注釈型の授業ではできない、物語解釈の変遷. 見えず、男なりけり、業平の面影」という謡の際に、井. をたどる、いわば物語の享受史をたどるような授業の展. 74.

(6) 開ができるのではなかろうか。本文とともに挿絵に注目. 教科書において〈井筒〉を「『伊勢物語』の筒井筒(24. することで、生徒には物語文学をより多角的に捉えさせ. ページ)から生み出された能」(31)と紹介し、学習の手. ることが可能になるのである。. 引きでは「『伊勢物語』の「筒井筒」との共通点や相違 点をまとめてみよう」(32)としている。また、本文は前. (2)国語総合における能の教材化の可能性. 場の第三段[問答] 「シテ昔男の」から第四段[クセ]まで、. 嵯峨本以降の「筒井筒」図に見られる「水鏡」の構図. 後場の第八段[サシ]以降を取り上げている。これらよ. が〈井筒〉と深い関わりを持っていることはこれまで述. り、本教科書が第二十三段との関連性の中で〈井筒〉を. べてきた。この挿絵を用いて授業を展開することによっ. 学習させようという意図が見える。. て、必然的に〈井筒〉について触れることとなる。本節. また、本文の採録は無いものの、第二十三段と〈井筒〉. では、このような挿絵を用いることによって生ずる、能. の関連性を人物という切り口から注目させる教科書もあ. を教材として用いることについて考える。. る。数研出版『国語総合 古典編』 (採用率:3.3%)では『伊. まず学習指導要領での記述を確認する。『高等学校学. 勢物語』の発展学習として、在原業平に注目をする内容. 習指導要領解説 国語編』第2章第1節国語総合の「3. を組んでいる。その中で、「謡曲『井筒』を調べて、そ. 内容」[伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項]. の登場人物や内容についてまとめ、業平がどのような人. (29). では以下のように述べられている. 。. 物として描かれているかを発表してみよう」(33)という. (1)事項. 学習課題を設定し、〈井筒〉における「水鏡」のシーン. (ア)伝統的な言語文化への興味・関心を広げるこ. の写真を載せている。. とについての事項. このように、これらの教科書では平安時代の『伊勢物. 「伝統的な言語文化への興味・関心を広げる」ため. 語』と室町時代の〈井筒〉を対比させながら学習するこ. には、古文と漢文だけでなく、古典に関連する近代. とのできる構成になっているのである。ここで、本稿で. 以降の文章や、伝統芸能、年中行事など、多様な方. 取り上げた嵯峨本系統の「水鏡」を持つ構図の挿絵を取. 面からアプローチすることが大切である。. り入れると、江戸時代の『伊勢物語』享受までを取り上. このように、国語総合において「伝統芸能」を取り上. げることも可能となる。. げることを学習指導要領では求めている。ではこの「伝. 能を教材として取り入れる際に、それを単独で用いる. 統芸能」とは具体的に何を想定しているのだろうか。そ. ことは、能にあまりなじみのない高校生には難しいこと. こで、「4 内容の取り扱い」「(6)教材に関する事項」. かもしれない。だが、先に挙げた教科書のように、能と. における記述を見てみる. (30). 。. ともに元になった物語をセットで採録することで、生徒. ア 教材の選定. に多方面から古典文学作品を見つめる機会を与えるきっ. 例えば,読むことに関する教材の場合でいえば,古. かけになるのではなかろうか。その点で、能は国語総合. 典と近代以降の文章の両方にわたって選定する必要. の教材としてもっと取り上げられても良いと考える。. がある。その際,古典としての古文には,和歌,俳諧, 物語,随筆,日記,説話,浮世草子,能,狂言など, (中 略)多種多様なものがあることに留意する必要があ る。 この記述によって、「能,狂言」が先に見た「伝統芸 能」に相当することが分かる。つまり、学習指導要領で は、能を教材として想定しており、授業で扱うことに対 しては妥当性があると考えられるのである。 だが、現行版の教科書において能を取り上げるものは 少ない。国語総合において能の本文を採録する唯一の 教科書が三省堂『高等学校国語総合 古典編』(採用率: 2.6%)である。本教科書では〈井筒〉を取り扱っている。. (3)物語絵を用いた授業の実践 本節では、これまで述べてきたことを踏まえた二例の 授業実践を簡単にではあるが、紹介する。 (a)高校一年生への授業実践 一例目は、高等学校一年生を対象とした授業実践 である。以下に実践の概要を示す。 〈授業実践の概要〉 日時:平成 27 年 1 月 26 日(月)、28 日(水) 対象:神奈川県の県立高等学校一年生 2 クラス (ともに 39 名) ※同じ内容の授業を 1 クラス 1 回ずつ行った。なお、. 教育デザイン研究 第7号(2016年1月) 75.

(7) 物語絵から読む『伊勢物語』. 本実践の対象となった生徒は平成 26 年 10 月に『伊. ・能と『伊勢物語』のつながりがよく分かった。. 勢物語』第二十三段に関する学習をすでに終えている。. ・『伊勢物語』のその後の話みたいな感じの能。作った. 科目:国語総合(必修科目). 人がこんなだったらって思って作ったのかなと思い、. 配当:45 分 1 コマ. 面白いなと思いました。. 使用教材 東京書籍『国語総合 古典編』(平成 24 年度検定版) 『能楽名演集「井筒」』(NHK エンタープライズ 2006 年) ※シテ:観世寿夫 ワキ:宝生閑 1977 年放送の映像 『謡曲集①』(小学館新編日本古典文学全集 1997 年) 本時の目標 ① 能によって『伊勢物語』の楽しみ方がどう広がった のかを理解する。 ② 能を鑑賞することでわが国の伝統的な言語文化への 興味・関心を広げる。 授業計画 ① 授業冒頭で本時の目標「能によって『伊勢物語』の 楽しみ方がどう広がったのかを理解する。」を伝える。 ② 第二十三段の内容を復習した上で挿絵の「筒井筒」 図(伝光芳筆絵本)に注目させる。 ③〈井筒〉の本文や映像を見ながら『伊勢物語』と〈井筒〉 の共通点、相違点をつかむ。また「筒井筒」図は〈井 筒〉のどの部分の影響を受けたものかを考える。 ※映像に関しては、全体を早送りしながら見せる。また、. ・『伊勢物語』から四・五百年たってからも能として語 り継がれているのがすごいと思った。 ・もし自分が能をやるとしたらあのような微妙な動きは、 なかなか難しいだろうと感じた。 このように、『伊勢物語』と能の関連に興味を持った 生徒や、能自体に関心を抱いた生徒が見られた。中には、 後シテの能面や冠直衣の絵をプリントに描いていた生徒 も見られた。一方で、能より『伊勢物語』の内容の方が 面白いと感じた生徒もいた。以下に感想を挙げる。 ・若い私にはまだ能の面白みが伝わらなかった。古文を 読んで自分で想像したほうが面白いと思う。 ・『伊勢物語』を読んだときはキュンキュンしたけど、 能はしなかった。 また、能の内容を難解に感じた生徒も見られた。 ・能で言っていることがすごく難しかった。 ・能はセリフが遅すぎて内容が全く入ってこなかった。 特に、高校一年生は本格的に古典の学習を始めた学年 でもあるため、生徒によっては理解が難しかったのかも しれない。今回は映像に詞章の字幕を出し、現代語訳を. 前場の[クセ]や後場のクライマックスに関しては. 付したプリントを配布した上で映像を見せたが、多くの. 適宜じっくりと見せる。. 生徒が能をより理解することのできる提示の方法を今後. ④ 授業のまとめとして、「能によって『伊勢物語』の楽. の課題として考えていきたい。. しみ方がどう広がったのかを理解する。」という本時 の目標に対して、教科書の本文、挿絵に再度注目を させながら、生徒同士で意見交流を行う。. (b)大学生への授業実践 一回目の反省点を踏まえて、二回目の授業実践を平成 27 年 5 月に行った。今回は、横浜国立大学教育人間科. 実際の授業実践では、45 分という短い授業時間であっ. 学部の学生を対象とし、前回と同じ内容の授業を 90 分. たため、④において計画をしていた本時の目標に対する. で行った。実践の対象になった大学生は国語の教員免許. 生徒間の討議を十分に行うことができなかった。本実践. 取得を目指した学生で、受講者の多くは 2 年生であった。. の内容では、1 時間ではなく、2 時間で行うことが適当. 受講者(33 名)の内、第二十三段を読んだことのあ. であったと考える。そのため、目標①で挙げたような、 『伊. る学生は半数ほどであった。そこで、一回目の実践より. 勢物語』解釈の多様性を感じることできたことを授業の. やや念入りに物語の内容確認を行った。能の映像を鑑賞. 感想で挙げた生徒は少なかった。だが、その中でも、以. する時間は前回に比べて 2 倍の約 30 分間の時間を設け. 下のような感想を得ることができた。. た。. ・文を読んだだけでは分からないことが映像を観てどの ような光景なのかよく分かった。 ・(「筒井筒」の授業で)習った歌がそのまま〈井筒〉に も出てきて面白いなと思った。. 76. 以下に受講者の感想を紹介する。今回は教員を目指す 学生が受講者であったため、学習者としての視点から書 かれたものとともに、教員の視点から書かれた感想も多 く見られた。まずは、学習者の視点として書かれたもの.

(8) をいくつか挙げる。. 心斎文庫絵本の「筒井筒」図が 1608 年に初めて出版さ. ・この絵が能に関係していたことを知って驚いた。また、. れた⑧嵯峨本『伊勢物語』の影響を受けていることを確. そこから作品の広がりを読み取ることができて面白. 認し、それが、それまでの伊勢絵には描かれていない「水. かった。. 鏡」を描いた特異性のある挿絵であることを指摘した。. ・挿絵から問題提起し、伊勢物語から能へ、そしてまた 伊勢物語の挿絵へと歴史をたどっていくのはとても面 白かった。. また、この「水鏡」は〈井筒〉の影響を受けているとい うことを、先行研究等を見ながら確認してきた。 そして、挿絵に注目することで、時代の移り変わりの. ・時代の流れを一枚の絵にみるというのは楽しかった。. 中で、古典文学作品が人々の間でどのように解釈されて. ・何でもないような教科書の挿絵から文章の読み方が変. きたのかという享受史的な視点を導入できるのではない. 化していく様子が分かるのは面白いと思った。 ・世阿弥の能から江戸につながってという歴史の流れを. かということを述べてきた。文学作品同士の影響関係を 取り上げる教科書は数例であるがすでに存在する。だが、. 垣間見ることができた。. 他の多くの教科書においてもそのような影響関係を学習. このように、古典をある程度学んだ学生にとっても、. することができる。それを可能にするのが挿絵における. 挿絵から古典の世界を紐解いていくという授業内容を興 味深く感じたようである。 次に、受講者が教員の視点から本授業の感想を書いた. 本文と絵の間にある解釈の差異なのである。 文学作品間における影響関係を学ぶことによって、普 段の授業では単体として扱われてきた作品同士がそれぞ. ものを紹介する。. れに影響関係を及ぼすものとして有機的に繋がってい. ・授業の中でこのような時間があれば、印象に残りやす. く。この繋がりを生徒に捉えさせることで、各時代の人々. いと思った。. のなかで作品をどのように捉えていたのかということを. ・「筒井筒」をきっかけとして能を取り入れることで文. 感じさせることができる。これによって、各時代におけ. 化史や伝統的文化の学習へと発展させることも可能な. る作品の享受者がどの部分に興味・関心を持ったかとい. のだなと思った。. うことが浮かび上がってくるのである。. また、一回目と同様に能自体に興味・関心をもった学. 古典文学作品は現代まで受け継がれてくるその過程の. 生も数名みられた。こちらも紹介する。. 中でその作品を享受してきた多くの人々が存在する。だ. ・『伊勢物語』のエピソードからあんなに美しく深みの. が、これまでの高等学校の授業ではその点があまりにも. ある能に描き直した世阿弥は天才だと思って、能に興. 軽視されてきたのではなかろうか。生徒は物語絵を読む. 味がわいた。能面は特にすごいなと思った。. ことを発端として、作品を享受してきた人々がどう作品. ・地謡の部分が圧倒的に多い中、シテの声が響く様が重 みを伝えて本当にいい演出だと思った。 これらのように一枚の挿絵を読み解いていくことで、 『伊勢物語』の世界をより多くの角度から見つめ、時 代によって解釈の相違が存在することを感じ取ること. に触れ、解釈し、親しんできたかを学習する。これによっ て、これまでとは違う作品の見方を発見できる。物語絵 から作品を読むことによって、より広い視野での古典観 の涵養を生徒に促すことができるのではなかろうか。 【図版 3】①白描絵巻. のできた受講者が多かった。だが、以下のような声も あった。 ・能のビデオを見たがやはり単調なので退屈してしまう。 ・字幕がなかったら何を言っているのか分からなかった。 また、生徒が集中して能を見られるようするために、 注目点を絞って見せても良いのではという受講者の意見 もあった。 おわりに 本稿では、教科書に採録された⑬伝光芳筆絵本や⑭鉄. (三井田久子氏による模写。大和文華館蔵). 教育デザイン研究 第7号(2016年1月) 77.

(9) 物語絵から読む『伊勢物語』. 【図版 4】②異本絵巻 . 【表】本稿で扱う絵巻等の一覧 ※カッコ内では本稿における略称を示した。 ① 梵字経刷白描伊勢物語絵巻(白描絵巻・1 社 3 種) 鎌倉時代 大和文華館蔵 ② 異本伊勢物語絵巻(模本)(異本絵巻) 1838 年(原画は鎌倉時代か)東京国立博物館蔵 ③ 大英図書館本伊勢物語図会(大英図書館本) 16 世紀前半 大英図書館蔵 ④ 小野家本伊勢物語絵巻(小野家本) 16 世紀 個人蔵. (東京国立博物館蔵). ⑤ スペンサー・コレクション本伊勢物語絵巻 (スペンサー・コレクション本). 【図版 5】⑤スペンサー・コレクション本. 16 世紀 ニューヨーク公共図書館蔵 ⑥ 中尾家本伊勢物語絵本(中尾家本) 16 世紀 個人蔵 ⑦ 穂久邇文庫本伊勢物語小絵巻(穂久邇文庫本) 室町時代後期 穂久邇文庫蔵 ⑧ 嵯峨本『伊勢物語』(嵯峨本) 1608 年 国会図書館蔵 ⑨ チェスター・ビーティー図書館本伊勢物語絵本 (CBL 本) 1615 年頃か チェスター・ビーティー図書館蔵 ⑩ 國學院大學図書館本伊勢物語絵巻. (ニューヨーク公立図書館蔵) 【図版 6】⑩國學院大學図書館本. (國學院大學図書館本) 1592 年~ 1615 年頃か 國學院大學図書館蔵 ⑪ 甲子園学院美術資料館本伊勢物語絵巻 (甲子園学院美術資料館本) 17 世紀(嵯峨本成立以後)甲子園学院美術資料館蔵 ⑫ 大英博物館本伊勢物語絵巻(大英博物館本) 17 世紀後半 大英博物館蔵 ⑬ 奈良絵本『伊勢物語』(伝光芳筆絵本・1 社 3 種) 18 世紀 個人蔵 ⑭ 奈良絵本『伊勢物語』(鉄心斎文庫絵本・1 社 1 種) 18 世紀 鉄心斎文庫蔵 ※以下は現行の教科書に掲載されている近代以降の「筒 井筒」図である。これらについては、詳細がはっきりし ないものが多かったため、分析対象からは除外した。 ・ 小林古径筆「筒井筒」(1 社 1 種) 1915 年 伊豆市蔵 ・ 扇面古写経(模本)(1 社 2 種) 大正時代 東京国立博物館蔵. ( 國學院大學図書館蔵 ). 78. ・小林古径筆「筒井筒」(2 社 4 種).

(10) 1950 年 東京藝術大学大学美術館蔵. (22)『謡曲集 上』新潮日本古典集成 1983 年. ・ 佐多芳郎筆「筒井筒」(1 社 1 種)詳細不明. (23)片桐洋一『伊勢物語の研究[資料篇]』 (明治書院、. 【注】 (1)「在五が物語」について、『源氏物語 四』(岩波新日 本古典文学大系、 1996 年)の脚注では「在五中将(在 原業平)の物語。伊勢物語を指す。」と述べている。 (2)『伊勢物語絵』角川書店 1984 年 (3) 「15 年度高校教科書採択状況―文科省まとめ(上)」 (時事通信社『内外教育』第 6389 号 2015 年 1 月 23 日)より算出。以下、教科書の採用率の記述に ついては全てこれに拠る。 (4)新日本古典文学大系(岩波書店、1997 年)所収本 文に拠った。 (5)五島美術館『伊勢物語の世界』1994 年 (6) 『鉄心斎文庫所蔵伊勢物語図録【第二十集】奈良絵本』 鉄心斎文庫伊勢物語文華館 2001 年 (7)出光美術館編 2008 年 (8)山下宏明編『平家物語の世界』大阪書籍 1985 年 (9)「みず - かがみ【水鏡】」『日本国語大辞典』第二版 第十二巻 小学館 2001 年 ※なお、「すい - きょ う【水鏡】」の項にも「水面に物の影が映って見 えること。みずかがみ」とある。(第二版 第七巻、 2001 年) (10)「伊勢物語絵―《井筒》の場合―」『伊藤正義中 世文華論集 第一巻 謡と能の世界(上) 』和泉書院 2012 年 ※初出は国立能楽堂特別展示図録『伊勢 物語と能』2001 年 (11)羽衣国際大学日本文化研究所編 角川学芸出版 2007 年 (12)注(2)に同じ (13)注(7)に同じ (14)注(11)に同じ (15)注(11)に同じ (16)羽衣国際大学日本文化研究所編『伊勢物語絵巻絵 本大成 研究篇』角川学芸出版 2007 年 (17)注(16)に同じ (18)〈井筒〉の先行研究に関しては大谷節子氏が「作 品研究〈井筒〉上」 (『観世』68-10 檜書店 2001 年) の中でまとめられている。本稿はその論考に拠りな がら先行研究を追った。 (19)横道万里雄 表章校注『謡曲集 上』岩波日本古典. 1968 年)所収本文に拠った。 (24)能の小段の一つ。小段とは、能の音楽的なまとま りとしての最小単位のことである。 (25)注(19)『謡曲集 上』岩波日本古典文学大系 所収 本文に拠った。 (26)三宅晶子『対訳で楽しむ能 井筒』檜書店 2015 年 (27)注(25)に同じ (28)東京書籍『国語総合 古典編』教師用指導書 他の 2 種の指導書に関しても同一の記載があった。 (29)文部科学省『高等学校学習指導要領解説 国語編』 教育出版 2010 年 (30)注(29)に同じ (31)三省堂『国語総合 古典編』(平成 24 年度検定版) (32)注(31)に同じ (33)数研出版『高等学校国語総合』 (平成 24 年度検定版) 図版の出典 【図版 1】 国会図書館デジタルライブラリ『伊勢物語』 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1288457 【図版 2】 注(5)に同じ 【図版 3】 大和文華館より画像提供 【図版 4】 東京国立博物館 画像検索 http://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0075905 【図版 5】 Spencer Collection, The New York Public Library. "Scroll I." The New York Public Library Digital Collections. 1501 - 1599. http://digitalcollections.nypl.org/items/8e1ec306-763f-facbe040-e00a180678ae 【図版 6】 國學院大學図書館デジタルライブラリ h t t p : / / k a i s e r. k o k u g a k u i n . a c . j p / d i g i t a l / d i g l i b / iseemaki-1874/iseemaki-1874_031.html ※本稿で未掲載の図版については、以下の著作にて紹介 されている。 ⑦穂久邇文庫本―注(2)⑪伝光芳筆絵本―注(7) その他―注(11). 文学大系 1960 年 (20) 「作者と本説 井筒」 『能謡新考―世阿弥に照らす―』 檜書店 1972 年 ※初出は『観世』30-9 檜書店 1963 年 (21)「伊勢物語古註考」『国語国文』33-4 1964 年. 本稿では図版を掲載するにあたり、関係者各位に快諾 を賜りました。この場をお借りして厚く御礼申し上げま す。. 教育デザイン研究 第7号(2016年1月) 79.

(11)

参照

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