ロクロの成形技術習得に関する一考察
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(2) . ロクロの成形技術習得に関する一考察. 福. 田. 隆. 昌o小. 平. 征. 雄. 1, は じ め に. 1 } も ま ロクロの成形過程注 , 素材から成形までが一連 の作業工程であり, 分断できない特質を持っ て いる. 従って, そのような 一連の工程に対応する指導方法 が必要である. このことは既に一般社会 2 )その結果 人, 及び大学生を対象として実験を行っており, ある程度の指導内容を検討してきた.注 , 指導内容を確立するためには, ロクロの成形技術の習 得過程を類型化し, 対応する必要があると考 えられる. そこで, 本稿では更に被験者の対象を若年齢化し, 技術の習得過程を明らかにした, これは, 専 門教育だけでなく, 普通教育における陶芸教育の教材 開発としてロクロの導入の可能性を示唆する も の で あ る.. 2, 実 験 概 要 実験は, 高校生6人の被験者によって行われた, 6人の被験者はロクロを体験するの は初めてで あっ た. 成形する作品は, 筒状のものであり, 形状に関しては, 高度な完成度を見るの ではなく, 成形できたか否かを技術習得の判断基準とした. 実験の手順としては, まず最初に模範実技を示し,. そこではロクロの使用方法, 用具の説明, 成形の手順 についての指導を行っ た, その後, 4回のロ クロ成形を次のよう に行っ た,. 模範実技指導 (約1 0分) ↓ 10分) -指示を受けながら製作 1回め ( . - -- --- - .↓. - -. --. 2回め ( 1 0分) -指示なしの自由製作 ↓. 1 0分) -指示を受けながら製作 3回め ( ↓. 1 4回め ( 0分) -指示なしの自由製作 被験者は1回めと3回めに指示を受けながら製作し, 2回めと4回には, 指示を受けず製作する. 被験者への指示に関 しては, 既に作成した指導マニ ュ アルによって行った,.
(3) . 福田 隆員・小平 征雄. 3, 実 験 データ ・日時. 1 986年1 2月14日(日) 午前9時~午後4時. ・準備. 粘土 (1回につき700g ) , 刷毛, タオル, ボウル, 電動ロクロ, 切り糸. ・被験者 北海道立函館中部高校生徒6名 A( 16歳, 男) C( 17歳, 女). E( 16歳, 男). B( 16歳, 女) D( 17歳, 男) F( 17歳, 女). ・場 所 北海道教育大学函館分校工芸第1実習室 ・記. 録 VTR, 写真 ( 35mm). ・研究スタッ フ. 小平征雄, 福田隆昌--研究総括 谷口光伸, 井村卓 --実験進行 藤井敏朗, 笠松英治, 佐々木宰--記録整理 小笠原雅和, 角丸加奈子--実験準備 玉川佳寿美, 山本格昭, 三科幸子--記録. 4. 実 験 記 録 実験は電動ロクロ機2台を用 い, それぞれを VTR と写真に記録した, この記録と, 使用した指導. マニ ュアルの内容, 及び具体的な指導 法を照合, 分析し, 次のような表を作成 した, この分析に関 しては, 1人の被験者の1回めと3回めの試行を抽出し, 各指導事項に対して被験者が どのように 対応し, 各時点での製作に表れる かということを主眼とした. 表1~12は, 被験者AからFまでの1回めと3回めの記録である,. 5, 結 果と 考 察 3 )と合わせて ロク 図73から図96は被験者6人の4回のロクロの成形結果である. 前回の実験往 , ロの成形技術の習得過程は, いくつかの類型化が可能である. 図の97は, これらの実験をもとに習 得過程を類型化した図である. パターンAは, 技術 習得の 達成度が著しく速く, 以後も習得した技術を保持することができるタ. イ プである, パターンBは, 回数を重ねる度に徐々 に達成度が高くなるタイ プである , パターンCは, 習得度は遅いが, 回数を重ねることによって急激に達成度が高くなるタイ プであ る.. パター ンDは, 技術の習得が不安定なタイ プであり, 指導助言のある場合のみ, 達成度が高くな. る.. パター ンEは, これまでの実験だけでは, 達成度が低く, 類型化ができないタイ プであり, 今後,. 回数を重ねることによっ て, いずれかのタイ プに属すると考えられる. 2.
(4) . ロクロの成形技術習得に関する一考察 だE. 1) ロクロの成形過程は, 本稿では水挽きの過程を示している, 2) 小平征雄 福田隆昌 谷口光伸 佐々木宰 藤井敏朗 笠松英治 小笠原雅和 角丸加奈子 三科幸子 山本格 『人文論究第47号』収録) 函館人文学会 1987 昭 坂本雅稔 「陶芸教育におけるロクロの成形技術習得の分析」(. 年. 3) 同上. 付. 記. 本研究は昭和61年度教育方法等改善 プロジェクト 「エキスパ ートoシステムによる専門基礎実習 の知識工学化」 の一部として行われた.. なお本研究 の実験にあたり, VTR 機器に関して, 本学附属函館幼稚園, 及び, 函館分校特殊教育. 教室木村健一郎助教授に御助力いただきました. また, 被験者の選定にあたり, 北海道立函館中部 高校教諭輪島進一氏にお世話になりました, ここに感謝の意を表します,. (いずれも本学助教授 函館分校).
(5) . . 福田. 表ー 時間. 段. 階. 隆昌・小平 征雄. 実験記録. 被験者A-①. 助言内容. 土 一 ど 全翻さ せ り粘 る. 写. 亘. 水つけ. 1. . . 5. 骸. . . . . 下の中心をとる. . 4. . . そえている手の下部に力を入 れひき上 げる. 8 M 9. 麟. を持ち上げる時の手のぬ. - を 隔 楚謝る 醐 間. .. 璽轟勝 揺 盤 饗腰. 轟. 圃. ..
(6) . . . ロクロの成形技術習得に関する一考察. 表2 実験記録 被験者A‐③ 時間. 一. 1‐2. 段. 階. 助言内容. とり 斜め 4 5に下方を集中的にた. 宣. 写. たく. 纏. 表面の凸凹をとる 粘土の形. 手のぬき方. 謡. 駐 蟻 轡. をおり込む. 一 ,. 二. ; ;. 三. ゆっくりひく. そ る ス. . 轟瞳 ′ 轟. 9…10. . . . . . 5.
(7) . . 福田 隆昌・小平 征雄. 表3 時間 0一1. 1-2. 段. 被験者B-①. 助言内容. 階. 中 心 どり. 実験記録. 真. 写. 粘土を叩いて, 手で回す ロク ロはゆ っ くり 回す. はけで水をつ ける 手に水をつ ける. る 1 i il ; 表面の凹凸 をとる気持ち. 一 3 2. 轟鱗. 粘土の 下方 に力を入 れる. 脇 を締める ひ じを固定する 水 をつ ける. 3-4. . 上方の 中心 をとる. . . . 両手 で中心をとるように. . 《 U. . . .
(8) . ロクロの成形技術習得に関する一考察. 表4 時間 0-I. 段 階 中心とり. 実験記録. 被験者B-③. 助言内容. 写. 真. ロクロ板 に粘土 を置く, 斜め. 45度の角度 で叩きな がらロク ロ を回す もう 少 しロクロ を早く 回す ロクロの回転を上 げる. 手と粘土に水をつけ, 回転を. 1-2. 上げる. 中心をとる. 指を揃え, 脇を締める 下 方の中心がとれた ら, 上方. 2→3. の 中心をとる 3‐4. 穴. あ. げ. 親指のはらで上 をおさえる 第2関節まで指を入れる. 親指を入れた穴が中心にきて. 4‐5. いる かた しかめる. 穴を広げる, 右手が入るくら. 5‐6. し). 6-7. 胴. 作. り. 右手を手前に持っ て きて 形を ととの える. 下から上に しぼ り こむような感じで, しぼっ て下さ い. 7-8. 下から上 に しぼりこむよう な 感 じでほそく する. 8-9. 繭 鵬 鵬 瞳 1. ‐橿需軽 M M 灘醒 簾 \ 瞬 i ぎ. 口元のへこんでいる 所から,. 墓 瞳霧. 水をとる. 長轟;. 5mm の ところを切る. 圃睡● 総 鰹蕊 灘 棚. .& ~. ・ 臓鱒. ワ f.
(9) . . 福田. 表5 時間 0-1. 段. 階. 隆昌・小平 征雄. 実験記録. 被験者C‐③. 助 言内容. ゴ取 る ロ ク ロ i i i 喜ー 冒. 中 心 とり. 真. 写. 両手で斜め4庁にたたきつける ス ピー ド ・中心 とり. 瞳. のくわ. しい説 明. ,一. 「手の 抜き 方が速い」 「必ず両手 を使う こと」. . . . 最後 は抜くよう な感 じで行な . 穴. あ. げ. 両 ひ じを固定させる. 左親指を粘土の中し る こおく右 手をそ えて, 左親指 でゆ っ く り 穴 をあ げる. 臓. ひじの固定 胴. 5M6. 6. 作. り. 右手 …親指外側, 他内側. 迄擢. 土をつまみあげるよう. -暑 -. 伸ばす蹴上方を駆り下 か ら し ぼり こ む. 垂直に引き上 げる. 7-8. 手前 で口を切る. 8‐9. 切り口 をロクロ でゆっ く り回 しなが らなめ らか に する. n K ). 際 鰐. 惑. 瞳. か 壕縄馨圏 圏 罵 璽 里豪琢窯震醗際だ 踊 躍 禦 窯 . .
(10) . . ロクロの成形技術習得に関する一考察. 表6 時間 0-1. 段. 階. 中心 と り. 実験記録. 被験者C-③. 助言内容. 写. 真. 両手で斜め4 にたたきつける 下方をく っ つ けるよう につ け る. 粘土 は天板のまん中におく ロクロ を回 し全体に水 をつ け る. 表面のでこ ぼこを取る 1-2. 下方の中心とり. . 必ず両手 を使う. をつつ みこ むよ う にする. 上方 の中心とリ. . 下方の中心 をとっ た ままの手 でゆ っ くりと手 を上 げていく. . . . .
(11) . 福田. 表7 時間. 段 階. 隆昌・小平 征雄. 実験記録. 被験者D‐①. 助言内容 筒を作る →土をロクロ板にた. 0ーI. たき つ ける (回 しながら) 土に水, ロク ロ→速く 手 に水, 表面の凹凸をとる. 1‐2. 土と手に水. 滑らかにな っ た ら知らせる 2-3. 中心とり. 写. 真. 縫 ‐. 鴻輔. 灘馨 圃 瞳艶. ロクロ→ 速く 下の方の指に力 を入れる 中心をとる. 下部の中心がとれた. 3-4. →上部の中心をとる. 4-5. 穴. あ. げ. バイ を作る. 左手親指の第二関節まで穴 穴 が中心 にきている か確認 5-6. 穴を左手親指で広げる 両手の親指で更に広げる. 6-7. 箇形を作る, 右手を手前にし 親指を外 他を内側に添える. 7-8. 8-9. 9‐10. 7分合破損. 轟 轟 ● ・ 豪遊馨姿 さ 嘉 き i燕醗議飴・ 鍬ミ ,聴灘灘 --. 醗灘 磁警滋. 10.
(12) . . ロクロの成形技術習得に関する一考察. 表8 実験記録 被験者D-③ 時間. 段. 階. 助言内容. 宣. 写. 土 の根 元をたた く. 0-1. 土 に水. 1-2. 中 心 とり. 中心をとる 下部 の中心をとる. 2 一 3. 霊澱 も . . 輔鵬. 力 を入 れて (一気 に) 土に水. . 両手 を添 える 穴を広 げる (右手が入る位). 5-6. 月 同 作 り. 土に水 胴 を作る. 8-9. 口. 作. り. . . . ′ も 灘 鰯 綴霧 窯 雛 ぎ1. 土と 手に水. 口を作る. 謡. . 幣 圃璽 諺 欄. 灘憂欝園 . . . . 11.
(13) . . 福田 隆昌・小平 征雄. 表9 実験記録 被験者E-① 時間 0-1. 段. 助言内容. 階. 中心 と り. 写. 真. 粘土 をろくるにつけ, 回 しな がらたたく. 水. 1- 2. 中心とり. 下方. 脇を締め, 手 をそろ える, 手を固定 し,. 力 を加える 2-3. 上の方に行くに従 っ て 手のカ. . . . . . . . ず 二二 12. . 総 轍.
(14) . . ロクロの成形技術習得に関する一考察. 表l o 実験記録 被験者E-③ 時間 0-1. 段. 助言内容. 階. 中 心 と り. 真. 写. 粘土 をろく るにつ け, 回 しな がらたたく, 水. 表面の凹凸をとる. 軽く 粘土 に手をそ える. 1-2. 回転をあ げる。 手を下か ら上. 2-3. へ. 4 一 5 胴つくり. 竜靴. 闘 濯. 水 曜 元 に 7一 口っく ず 口 . . -. 為. . 鵡. . 綴. . 灘 . . 鞭 .. . 1. 13.
(15) . 福田. 隆員・小平 征雄. 表= 実験記録 被験者F-① 助言内容. 時間. 段 階. 0 →I. 中 心 と り. 粘 土 をロク ロ を回 しながら叩. く ロク ロ をゆ っ くり回 し, 粘土 に水をつける 1. 手に水をつ ける, 表面の凹凸. 2. をとる. ロクロの回転をあ げる. 2-3. 下方中心とり, 手の全体を使 つ. 自分の力 でおさ えつ ける. 3--4. 上 方の中心 とり. 4 -5. 穴. あ. げ. ノぐイ をひく ロ ク ロ の ス ピー ド 半 分 に す. る. 左手親指の第2関節まで 穴をあげる. 形をもう 少 しととの える, 穴. 5--6. が中心にきているかた しかめ. る. 6…-7. 7--8. 胴. 作. り. 外・内に水をつ ける. 形 をととのえる, 下か ら筒形 に していく. 破損. 14. 写. 真. 灘.
(16) . . ロクロの成形技術習得に関する一考察. 表- 2 実験記録 被験者F-③ 時間 0-1. 段. 階. 中 心 と り. 助言内容. 写. 直. 筒を作る 粘土を叩く 上 方から粘土 を叩いて お とす. 1-2. ロク ロをゆ っくり 回 し粘土に 水 を つ ける. 表面の 凹凸をとるつもりで手 全体を使う. 2-3. 下方の中猛り 水の補給. 屍 轟. 上 方の 中心とり, 下方を少 し. 3-4. ととのえる. . . . 7胴8. 考. 破損. . . . . さ電 鰍 機 曝 露 聾 、. . 15.
(17) . 福田 隆員・小平 征雄. く ノ y キ r ーニミf ー. ニ 二ミ. 導…;凝議熱 謙輔 磯 -. . 図73 A-①. 図74 A-②. 図75 A-③. 図76 A-④. 図77 B-①. 図78 B-②. 図79 B-③. 図80 B-④. 図81 C-①. も. 16.
(18) . ロクロの成形技術習得に関する一考察. 図83 C-③. 図82 C-② -. 膳. -. ~. 寛ご ≦. 図 84 C- ④. . . 遠製. . . 図85 D-①. 図86 D- ②. 図87 D- ③. 図88 D -④. 図89 E-①. 図9O E- ② 17.
(19) . 福田 隆員・小平 征雄 . . \ ; 饗 》務静電 峯斜 ぎ ) 夢 辛 ←”} 憂 欝 輔肺 肝 } 紳嶋 球 瀞 キ 編 役 濃 も 』 $ 拶ぬ ぞ 納 職 継ぉ. . . . . . 図9ー E-③. 一図. E. . 図93 F-①. 養 響 き. 母. . . . 図94 F-②. 図 95 F-③. 図9 7 習得過程の類型化 18. 図96 F-④.
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