平成
26年
度
学位論文
中立的出来事・活動 に対す る肯定的な意 味づ けが
主観的報酬知覚 に与 える影響
兵庫教育大学大学院
人 間発達教育専攻
臨床心理学 コース
M13061F
後藤
僚太
目 次
第1章
序 論 。・・・・ ・ 0・ ・・・・ 。・ ・ 。・・
0000000。
・・・・01
1.行
動活性化療法 と主観 的報酬知覚 について2.
強化感受性理論 について′
3.
リフ レー ミングについて4.
セル フケアについて 5。 本研究 にお ける 目的 と意義 について 第2章
方 法・ ・ 。・ ・・ ・・ ・ ・ ・ ・・ 。・・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 。・
8
第1節
予備 調査 。・・・・ ・・・・ ・・・00。
・ ・ 。・ ・ ・ ・ 0・ ・ ・ ・ ・ 81.目
的2.調
査 協力者3.調
査期 間4.調
査材 料 5。 手続 き6.結
果 第2節
本 実験・ ・・ ・ ・`。・ 。・・・・・ ・・・ ・・・・・・・・・ 0・ 0・ 10 1。 実験実施期 間お よび、実施場所2.実
験参加 者3.実
験材 料4.測
度 5。 手続 き 6。 統 計 処理7.倫
理 的配 慮 第3章
結果 0。 ・・・・・ ・・・・・・・・ 。・・・・・・・ 。・・ 0・ ・ ・・
22
1.各
変数 における記述統計量2
各変数 にお ける相 関3.介
入効果 の検討 第4章
考察お よび今後 の展望・・ 。・・・・・・・・・・・・・・ 。・・・・・ 。 31
1.各
変数 にお ける相 関について2.仮
説 1について3.仮
説2に
ついて4.仮
説3に
ついて 5。 ワー クシー トのセル フケア としての有用性6.最
後 に 第5章
引用文献・・・ ・・・・・・・ 。・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・
39
謝辞 付録資料第
1章
序 論
は じめ に,本
研 究 で は ポ ジ テ ィブ 。リフ レー ミン グ を用 い た ホ ー ム ワー ク を 行 い,生
活 の 中で 経 験 す る活 動 や 出 来 事 に対 す る認 知 を肯 定 的 に捉 え な お し, そ れ らの体 験 に随 伴 す る報 酬 へ の気 づ き を高 め る こ とで,主
観 的 報 酬 知 覚 を 向 上 させ る こ とを 目的 とす る。1行
動 活 性 化 療 法 と主 観 的 報 酬 知 覚 に つ い て 近 年,う
つ 病 に 対 す る 治 療 法 と して 注 目 され て い る も の の1つ
に 行 動 活 性 化 療 法(Behavloral Actlvatlon Therapy;以
下BA)が
あ り,そ
の 効 果 が 確 認 され て い る(DlmldJlan,Hollon,Dodson,Schmallng,Kohlenberg,Addis,Gallop,
LIcGllnche勇 Ⅳ
Iarkley, Gollan, Atklns, & Jacobson, 2006; Dodson, IIollon,
Dlnlidjlan, Schmahng, Kohlenberg, Ga110p, Rlzvl, Gollan, Dunner, &
Jacobson,2008;岡
島 ・ 国 里 。中 島 ・ 高 垣,20H)。
BAで
は,回
避 行 動 の 増 加 に よ り報 酬 を得 る機 会 が 減 少 し,抑 うつ 状 態 に 陥 る と仮 定 して い る。そ の た め,BAで
は 回 避 行 動 に 焦 点 を 当 て た 介 入 を行 い,回
避 行 動 の 代 わ りに 自 ら の 目標 に 沿 つ た 活 動 に 従 事 す る こ とで 報 酬 を得 る機 会 を増 や し,
さ ら に そ の 活 動 を促 進・ 拡 充 させ る こ とで ,う つ 状 態 か らの脱 却 を 目指 して い る(Martell,Addls,&
Jacobson,2001熊
野 他 訳 2011)。 そ して,報
酬 を 得 る機 会 が 増 え る こ とで, 活 動 性 だ け で な く,行
動 の レパ ー ト リー も増 加 し,さ
ら に 多 様 で 安 定 した 報 酬 が 得 られ る よ うに な る と され て い る(Martell,Addis,&DimldJlan,2004春
木 訳2005;山
本 ・ 首 藤 ・ 坂 井,2013)。 近 年 の 行 動 活 性 化 療 法 の 理 論 的 基 盤 と して,Ferster(1973)の
うつ 病 に 対 す る行 動 分 析 理 論 が あ る。 こ のFersterの
理 論 の 中 で も特 に 「反 応 随 伴 的 な 正 の 強 化(以
下RCPR)」
が 減 少 す る こ とに 注 目 した の がLewinsohn(Lewlnsohn,
Blglan,&Ze■
ss,1976;Lewlnsohn,LIunoz,Youngren,&Zelss,1978)で
あ つ た 。そ の 後JacObsonら
の 研 究 グル ー プ(Jacobson,Martell,&DimldJlan,2001;
Martell et al。
,2001)は
,行
動 理 論 に 基 づ く うつ 病 治 療 の 効 果 を 高 め る た め,Ferster(1973)や
Lewlnsohn et al。(1976,1978)の
理 論 に機 能 的 文 脈 主 義 の 観 点 を加 え た 「行 動 活 性 化 モ デ ル 」を 提 唱 した 。 こ の 「行 動 活 性 化 モ デ ル 」で は,RCPRの
低 下 が 回 避 行 動 の 増 加 と活 動 性 の 低 下 を も た ら し,正
の 強 化 を受 け る 機 会 が さ ら に 減 少 す る とい う悪 循 環 に よ つ て 抑 うつ が 維 持 。悪 化 す る と仮 定 し て い る。こ のRCPRの
低 下 と抑 うつ の 関 連 に 注 目 した 欧 米 に お け る これ ま で の 研 究 で は,快
活 動 と抑 うつ に 関 す る研 究 が 多 くお こ な わ れ て お り,主
に 快 出 来 事 質 問 票(Macphlllamy&Lewlnsohn,1976)が
用 い られ て き た 。 こ の 質 問 票 は320項
目で 構 成 され,網
羅 的 に 環 境 中 の 報 酬 を 検 討 し,行
動 に 随 伴 す る正 の 強 化 に つ い て 測 定 で き る 尺 度 で あ る。 しか し,実
施 に1時
間 近 く か か る た め,治
療 経 過 の 中 で 反 復 して 測 定 す る こ と が 困 難 で あ る と指 摘 され て い る(国
里 ・ 高 垣 ・ 岡 島 。中 島・ 石 川 。金 井・ 岡 本 ・ 坂 野 。山脇 ,2011)。 ま た,項
目 の 内 容 が す べ て の 人 に と っ て 快 事 象 と は 限 ら な い こ とや,正
の 強 化 を受 け る活 動 の す べ て が 快 活 動 で あ る と は 限 らな い とい う指 摘 も され て い る(Manos,Kanter,&
Busch,2010)。
これ ら を踏 ま え てArmento&Hopko(2007)は
,RCPRの
知 覚 に 関 して 主 観 的 に 評 価 す る 質 問 紙Envlronmental Reward Observatlon Scale(以
下EROS)
を 作 成 した 。EROSは
個 人 が 生 活 す る環 境 の 中 で 経 験 す る 報 酬 が 多 い の か 少 な い の か,
ど の く らい 自分 の 行 動 に対 して 報 酬 が 随 伴 して い る の か に つ い て 主 観 的 。全 体 的 に 評 価 す る こ とで,短
時 間 で 個 人 の 環 境 中 の 主 観 的 報 酬 知 覚 を測 定 す る こ とが 可 能 で あ る と され て い る(国
里 他 ,2011)。 ま た,EROSと
抑 うつ 症 状 や 不 安 症 状 と の 間 に は 有 意 な 負 の 相 関,行
動 賦 活 傾 向(後
述 )や 快 出 来 事 質 問 票 と は 有 意 な 正 の 相 関 が 認 め られ て い る(Armento&Hopko,2007)。
さ ら にEROSと
抑 うつ と の 関 連 は,快
出 来 事 質 問 票 と抑 うつ との 関 連 よ り も 強 く 活 動 に 従 事 した 数 よ り も個 々 の 活 動 に よ ら な い 主 観 的 報 酬 知 覚 の ア セ ス メ の 重 要 性 が 示 され て い る(Armento&Hopko,2007)。
2
強 化 感 受 性 理 論 に つ い て 近 年,
うつ 病 患 者 の 報 酬 に 対 す る感 受 性 の 低 下 に つ い て の 理 論 的 枠 組 み と し て 再 評 価 さ れ て い る も の に 強 化 感 受 性 理 論(Relnforcement Sensltlvlty
Theory:Gray,1964,1981)が
あ る。 こ の 理 論 は,Pavlov(1927り
│1村訳1975)
の 覚 醒 モ デ ル やEysenck(1967梅
津 他 訳1973)の
理 論 を 再 解 釈 。批 判 して 発 展 させ,回
避 行 動 に 関 す る 人 間 の 気 質 に つ い て 説 明 した も の で あ り,上
記 のJacobsonら
(Jacobson et al.,2001;Martell et al。,2001)の
流 れ と は 別 に 発 展 して き た も の で あ る。強 化 感 受 性 理 論 で は
,回
避 行 動 に 関 す る脳 内 動 機 づ け シ ス テ ム と して 行 動 賦 活 シ ス テ ム(Behavloral Actlvation System:以
下BAS),行
動 抑 制 シ ス テ ム(Behavloral lnhlbltlon System:以
下BIS)を
仮 定 して い る。 中 で もBASは
報 酬 の 呈 示(も
し く は罰 の 除 去 )に よ り活 性 化 され る脳 内 シ ス テ ム で あ り,こ
の 活 性 化 に よ り 目標 達 成 の た め の 接 近 行 動 や ポ ジ テ ィ ブ 情 動 が 引 き 起 こ され る と して い る(Gray&McNaughton,2000)。
ま た,接
近 行 動 や ポ ジ テ ィ ブ 情 動 に か か わ るBASの
低 さ は 抑 うつ 症 状 と 関 連 す る こ と が 明 ら か に さ れ て い る (Campbell‐Sllls,Llverant,&Brown,2004;安
田 。佐 藤,2002)。
大 うつ 病 性 障 害 の 患 者 を 対 象 に 行 つ たMcFarland,Shankman,Tenke,Bruder,&Kleln
(2006)の
研 究 で は,6か
月 後 の フ ォ ロー ア ップ 時 に お け る 抑 うつ 症 状 の 予 測 力 に 関 して,BASの
方 がBISよ
り も 高 い こ とが 明 らか に され て い る。Carver&
Whlte(1994)は
,Gray(1964,1981)の
強 化 感 受 性 理 論 を 基 に,接
近 傾 向 と回 避 傾 向 の 個 人 差 を 測 定 す るThe BIS/BAS scalesを
作 成 して い る 。医 ト , ン
3.リ
フ レー ミン グ に つ い て リ フ レー ミ ン グ と は,個
人 が あ る 対 象 に つ い て お こ な う意 味 づ け,判
断,試
行 な どの 認 知 や,意
見,態
度,行
為 な ど,認
知 を基 に した 行 動 や 体 制 を 作 る 場 合 の 基 準(準
拠 枠 )を 作 り直 す こ と を 意 味 して い る 。 リフ レー ミ ン グ とい う′用 語 は も と も と家 族 療 法 の 領 域 で 使 わ れ 始 め た が,心
理 学 全 般 の 領 域 で 古 くか ら 用 い られ て き た 歴 史 が あ り(大
熊,2011),認
知 行 動 療 法 で は 「認 知 再 体 制 化 」 や 「認 知 変 容 」 とい う名 称 で リフ レー ミ ン グ が 行 わ れ て い る(福
井,2011)。
Watzlawlck,Weakland,&F■
sch(1974)は
,こ
の リフ レー ミ ン グ に よ っ て 状 況 は 負 けず 劣 らず,も
し くは よ り良 く な り,そ
の 経 験 の 全 体 の 意 味 を 変 化 させ る こ とが 出 来 る と して い る。 ま た リフ レー ミ ン グ の 中 で も特 に,物
事 に 対 す る 見 方 を 肯 定 的 な 方 向 に変 え る も の は ポ ジ テ ィ ブ・ リフ レー ミ ン グ(以
下PR)と
呼 ば れ(美
木 。大 塚,2011),ス
トレス マ ネ ジ メ ン トの 領 域 に お い て も認 知 的 技 法 の ひ とつ と して 扱 わ れ て い る(金
・ 津 田・ 松 田・ 堀 内,2011)。 サ ポ ー ト受 容 の た め のPRの
効 果 を 検 討 した 美 木 。大 塚(2011)の
研 究 で は, セ ミナ ー に加 え,ホ
ー ム ワー ク(以
下HW)を
導 入 した 介 入 実 験 に よ り,PRの
有 効 性 が 示 され て い る。 他 に も,大
学 生 の 否 定 的 感 情 に 対 す る カ ウ ン セ リ ン グ に お け るPRの
効 果 を 検 討 したKraft,Clalborn,&Dowd(1985)の
研 究 で は, 他 の 逆 説 的 な 技 法 を 用 い た 群 に 比 べ て,抑
うつ 度 や 自 己 報 告 に よ る否 定 的 な 気 分 に 大 き な 減 少 が み られ,PRの
有 効 性 が 示 され て い る。 山 崎(2009)は
,肯
定 的 な 意 味 を 見 出 す コー ビ ン グ が 肯 定 的 な 情 動 と抑 うつ 症 状 の 改 善 を も た らす こ と を 示 して い る。`
4.セ
ル フ ケ ア に つ い て セ ル フ ケ ア とは,自
分 の 健 康 を 増 進 し,疾
患 を 予 防 し,病
気 を 回 避 し,病
気 か ら回 復 し よ う とす る個 々 人 に よ つ て 日常 的 に お こ な わ れ る 自律 的 な 活 動 を 指し
(宗
像,2006),ス
トレス対 策 と して こ の1次
予 防 的 な視 点 が 重 要 視 され て い る(島
井,2002)。 前 述 した 美 木 。大 塚(2011)の
研 究 に お い て もHWと
い う 形 で セ ル フ ケ ア の 要 素 が 取 り入 れ られ て い る。 ま た,本
邦 にお け る予 防 的 ス ト レス マ ネ ジ メ ン ト研 究 の動 向 を調 査 した金 他(2011)の
研 究 で は,2006年
以 降, 予 防 の た め の ス トレス マ ネ ジ メ ン ト介 入 研 究 の数 が 増 加 して い る こ とが 明 らか に され て お り,1次
予 防 的 な介 入 の 重 要 性 が示 唆 され て い る。5
本 研 究 に お け る 目的 と意 義 に つ い て大 うつ 病 性 障 害
(MaJOr Depresslon Dlsorder)に
お け る基 本 症 状 の ひ とつ で あ る 「興 味 ま た は 喜 び の 喪 失 」 は,
うつ 病 の 予 後 を 悪 化 させ る リス ク フ ァ ク タ ー の1つ
で あ り (McFarland et al。,2006),病
前 に は 機 能 して い た 報 酬 が 機 能 しな く な っ た 状 態 で あ る と説 明 され て い る(Coste1lo,1972)。
そ して こ の よ うな 肯 定 的 な 情 動 の 低 さ は,抑
うつ 症 状 も し く は 社 交 不 安 症 状 に お い て 特 異 的 に 認 め られ る こ とが 指 摘 され て い る(Brown,Chorplta,&Barlow,1998)。
ま た 伊 藤 。村 田 。松 見(2012)は ,一
般 に 肯 定 的 と評 価 され る活 動 に 対 して 快 感 情 を感 じな く な る こ と が 抑 うつ 状 態 に 陥 る 先 行 要 因 で あ る と説 明 して お り,国
里 ・ 山 口・ 鈴 木(2007)も
報 酬 に 対 す る 感 受 性 が 低 下 す る こ とで,行
動 へ の 動 機 づ け が 低 下 し,精
神 運 動 制 止,意
欲 の 低 下 な ど を 引 き 起 こ し,抑
うつ の 悪 化 を招 く と して い る。 これ らの こ とか ら,主
観 的 報 酬 知 覚 の 低 下 が 精 神 的 健 康 に 及 ぼ す 影 響 は 大 き く,こ
の 問 題 に対 す る ア プ ロー チ の 必 要 性 が うか が え る。 しか し,こ
れ ま で 主 観 的 報 酬 知 覚 を 向 上 させ る こ と を 目的 と した 研 究 は お こ な わ れ て こ な か っ た 。 そ こ で 本 研 究 で は,PRを
用 い たHWに
よ る介 入 を お こ な い,生
活 の 中 で 経 験 す る 出 来 事 や 活 動 へ の 評 価 を 肯 定 的 な も の に 変 容 し,そ
れ らの 体 験 に 随 伴 す る 報 酬 へ の 気 づ き を 高 め る こ と で,主
観 的 報 酬 知 覚 の 向 上 させ る こ と を 目的 とする。 な お
,こ
れ ま でPRを
用 い た 研 究 で は,主
に 物 事 に 対 す る否 定 的 な 認 知 を 肯 定 的 に 変 容 させ る とい う手 続 き が お こ な わ れ て き た(Kraft et al。,1985;美
木 。大 塚,2011;山
崎,2009)。 しか し,本
研 究 で はHWを
用 い る た め,否
定 的 な 体 験 を 肯 定 的 に リフ レー ム す る こ とが 出 来 な か っ た 場 合 の 対 応 が 困 難 で あ り, 参 加 者 に と つ て 侵 襲 的 な 手 続 き に な っ て しま う恐 れ が あ る 。 ま た,本
研 究 の 介 入 目標 は 日々 の 生 活 に 存 在 す る 報 酬 へ の 気 づ き を 高 め る こ とで あ る た め,中
立 的 な 体 験 を タ ー ゲ ッ トに した 場 合 で も,そ の 効 果 は 十 分 得 られ る と考 え られ る。 以 上 の こ と よ り,本
研 究 で はPRの
対 象 と して,中
立 的 出 来 事 。活 動 を採 用 す る。 抑 うつ 者 は 非 抑 うつ 者 よ り も,一
般 に 快 と評 価 され る活 動 に 対 して,快
感 情 を 感 じ に く く,一
般 に 不 快 と評 価 され る活 動 に 対 して は よ り強 い 不 快 感 情 を 感 じ る こ と が 知 ら れ て い る(Lewlnsohn&Amenson,1978)。
こ れ に つ い てLazarus&Folkman(1984本
明 他 訳1991)は
,出
来 事 に 対 す る 客 観 的 な 評 価 よ り も個 人 が そ の 出 来 事 の 重 大 性 を どの よ うに評 価 す る の か とい う認 知 的 評 価 に よ つ て ス トレス 反 応 が 決 定 され る と して い る。 彼 ら の 主 張 に 基 づ け ば,認
知 的 評 価 を お こ な う上 で の 準 拠 枠 をPRに
よ つ て 肯 定 的 な も の に 作 り直 す こ とで, ス ト レ ス 反 応 を 軽 減 す る こ と が で き る と考 え られ る 。 ま たKanner,Coyne,
Schafer,&Lazarus(1981)は
,日
常 生 活 に お け る些 細 で 肯 定 的 な 出 来 事 の 蓄 積 が 個 人 の 健 康 状 態 を 高 め る と 述 べ て お り,さ
ら にWagner,Compas,&
Howell(1988)は
,
日常 生 活 上 の 些 細 な 出 来 事 は,生
活 上 の 重 大 な 出 来 事 と比 べ,一
般 に 持 続 性 が 高 い と して い る 。 さ ら にBeck(1967)は
,人
間 が 健 康 で あ る た め に は,出
来 事 を よ り肯 定 的 に 捉 え る 訓 練 も ス トレス 反 応 を 軽 減 す る た め に は 重 要 で あ る と述 べ て い る。 これ らの こ とか ら,PRを
用 い たHWに
よ つ て 主 観 的 報 酬 知 覚 を 高 め る こ とは
,行
動 の 活 性 化 を 引 き 起 こ し,多
様 な 行 動 レパ ー ト リー を獲 得 す る 中 で,
日 常 的 で 些 細 な 肯 定 的 体 験 も蓄 積 され て い き,個
人 の 健 康 状 態 を 向 上 させ る と考 え られ る。 そ の た め本 研 究 を お こ な うこ とは,セ
ル フ ケ ア の観 点 か ら も有 益 で あ る とい え る 。 よ つ て 本 研 究 で は セ ル フ ケ ア の観 点 か ら,PRを
用 い たHW形
式 の 介 入 に よ り,主
観 的 報 酬 知 覚 を 高 め る こ と を 目的 と した 介 入 実 験 を お こ な う。 仮 説 と し て 以 下 の3つ
を設 定 す る。 1。 実 験 群 に お い て,報
酬 知 覚,肯
定 的 感 情,活
動 性 得 点 が Pre‐POst間
で 有 意 に 上 昇 し,フ
ォ ロ ー ア ッ プ に お い て も維 持 され て い る 。2.実
験 群 に お い て,活
動 性 得 点 の 上 昇 に 先 立 っ て 報 酬 知 覚 得 点 の 上 昇 が み ら れ る。3.実
験 群 に お い て,否
定 的 感 情 得 点 と抑 うつ 得 点 が Pre‐Post間
で 有 意 に低 下 し,フ
ォ ロー ア ップ に お い て も維 持 され て い る。第
2章
方 法 第1節
予 備 調 査 1。 目的 介 入 で 用 い る ワ ー ク シ ー トに 記 載 した 教 示 文 の 妥 当性 を確 認 す る こ と を 目的 に 実 施 した 。 ワ ー ク シ ー トの 教 示 文 に よ つ て 中 立 的 出 来 事 。活 動 が 記 述 され る か ど うか, 記 述 され た 中 立 的 出 来 事 。活 動 に お け る 肯 定 的 側 面 が 記 述 され る か ど うか に つ い て 検 討 した 。 ま た,中
立 的 出 来 事 。活 動 お よび,そ
の 肯 定 的 側 面 が 記 述 され る こ と を 目的 と した 教 示 文 お よび,構
成 と して 妥 当 で あ る か ど うか に つ い て の ア ン ケ ー トを 実 施 した 。2.調
査 協 力 者A教
育 大 学 に 所 属 す る 大 学 院 生10名 (男
性4名
,女
性6名
)を対 象 に 実 施 した 。3.調
査 期 間2014年
8月
25日
(月
)∼
2014年
8月 28日
(金
)に か け て 調 査 を 実 施 し た 。4.調
査 材 料 本 学 に 所 属 す る 臨 床 心 理 士 の 資 格 を持 つ 教 員1名
,筆
者 を含 む 臨 床 心 理 学 コ ー ス に所 属 す る大 学 院 生4名
の 協 議 の も と作 成 した ワー ク シ ー トを用 い た 。 ワ ー ク シ ー トに は,ア
ン ケ ー ト回 答 の た め の 自 由記 述 欄 を設 け た(付
録1参
照 )。 ワ ー ク シ ー トに お け る設 間 は 以 下 の 通 りで あ つ た 。 設 問1今
日,朝起 き て か ら現 在 に 至 る ま で に 体 験 した 出 来 事 や 活 動 の うち, 肯 定 的 や 否 定 的 な どの 特 別 な 感 情 を 伴 わ な か っ た も の を 思 い 出 し,記
述 して く だ さい 。設 問
2:1で
挙 げ られ た 出 来 事 。活 動 に 含 ま れ る 肯 定 的 な 側 面 を あ え て 考 え る と した ら ど ん な こ と が 考 え られ る で し ょ うか?3つ
記 述 して く だ さ い 。 調 査 協 力 者 が 中 立 的 出 来 事 。活 動 を 記 述 しや す い よ うに,設
問1の
下 に 補 足 1と して,「 当 時 の 気 分 が 下 の 図 の 丸 の位 置 に 当 て は ま る 出 来 事 。活 動 を選 ん で くだ さい 。」と記 載 し,中
立 の 位 置 に ○ の 記 号 で 印 を付 け た 感 情 の ス ケ ー ル を設 問1の
下 部 に 設 け た 。 さ ら に,補
足2と
して 「一 般 的 に 肯 定 的 や 否 定 的 に 思 わ れ る よ うな 出 来 事 。活 動 で も,当
時 あ な た が ど ち ら の 気 分 も感 じて い な けれ ば 記 述 して くだ さい 。」 とい う教 示 文 を 補 足1の
下 に 記 載 した 。5
手 続 き、 筆 者 よ り予 備 調 査 の 目的 を 説 明 した の ち
,調
査 協 力 者 に ワー ク とア ン ケ ー ト の 実 施 を 求 め た 。 回 答 済 み の ワー ク シ ー トは,筆
者 が そ の 場 で 回 収 した 。 6。 結 果 予 備 調 査 で 得 られ た ア ン ケ ー ト結 果 をTable l(10頁
参 照 )に示 す 。 予 備 調 査 の 結 果,い
ず れ の 調 査 協 力 者 に お い て も,ワ
ー ク シ ー トの 教 示 文 に よ っ て 中 立 出 来 事・ 活 動 の 記 述 が 可 能 で あ つ た 。 しか し,「 中 立 的 出 来 事 と して,自
分 が 書 い た 内 容 が 正 しい の か 不 安 に な っ た 」 とい う報 告 が ア ン ケ ー トで 得 られ て い る こ とか ら,本
実 験 で 介 入 を 始 め る 前 にHWの
手 続 き に つ い て の確 認 と練 習 を 設 け る 必 要 が あ る と考 え た 。 設 問2に
つ い て は,ア
ン ケ ー トで 「肯 定 的 な 側 面 は,一
般 的 に 考 え られ る も の な の か,そ
れ と も 実 際 に 生 じた も の を 書 く の か 分 か らな い 。」 とい う報 告 が 得 られ た こ とか ら,補
足 説 明 の 必 要 性 が 確 認 され た 。Table l
予 備 調 査 で 得 られ た ア ン ケ ー ト結 果・ 感 情 のスケール は、補足
1の
す ぐ下 に配置す る方 が分 か りやす いので
はないか。
・補足
1に
お ける 「下の図」 とい う表記 を、 「次の図」 に変更 した方が
分か りやすいのではないか。
・ 肯定的 な側 面 は、一般 的 に考 え られ るものなのか、それ とも実際 に生
じた もの を書 くのか分 か らない。
・ 中立的出来事 として、 自分 が書 いた 内容 が正 しいのか不安 になった。
第2節
本 実 験1.実
験 実 施 期 間 お よ び,実
施 場 所 本 実 験 は,2014年
9月
27日
(土
)∼
2014年
11月 19日
(水
)に
か け て お こ な わ れ た 。 実 験 実 施 期 間 に お け る 計4回
の 面 接 は,本
学 の 発 達 心 理 臨 床 研 究 セ ン タ ー ま た は,学
内 の 教 室 を用 い て 実 施 した 。2
実 験 参 加 者(1)募
集 方 法 一 般 大 学 生 お よ び 大 学 院 生 を 対 象 に,大
学 の 構 内 に お け る募 集 用 紙(付
録 2 参 照 )の 配 布 も し く は,筆
者 の 知 人 を 介 して 行 つ た 。(2)実
験 参 加 対 象 者 の 選 抜 実 験 参 加 対 象 者 を選 抜 す る た め に,募
集 時 に 参 加 の 意 思 を 示 した93名
に 対 して ス ク リー ニ ン グ調 査 を実 施 した 。 実 験 参 加 対 象 者 の選 抜 は,介
入 に お け る 天 丼 効 果 の 発 生 防 止 を 目的 に行 つ た 。 ス ク リー ニ ン グ調 査 で 用 い た 質 問 紙 は,日本 語 版
BIS/BAS尺
度 に お け るBAS下
位 尺 度 と 日本 語 版EROSで
構 成 し た 。 日本 語 版BIS/BAS尺
度 に お け るBAS下
位 尺 度 も し く は,
日本 語 版EROS
め
,ス
ク リー ニ ン グ の 条 件 と して 「 日本 語 版BIS/BAS尺
度 に お け るBAS下
位 尺 度 と 日本 語 版EROSの
両 尺 度 の 合 計 得 点 が 全 体 平 均 よ リー.5SD以
下 で あ る こ と」 を採 用 した 。 そ の 結 果,37名
が 実 験 参 加 対 象 者 と して 抽 出 され た 。(3)実
験 参 加 者 ス ク リー ニ ン グ に よ り抽 出 さ れ た 実 験 参 加 対 象 者37名
に,後
日筆 者 が E‐mallで
実 験 参 加 を依 頼 し,承
諾 が 得 られ た30名 (男
性9名
,女
性21名 ,平
均 年 齢=2165,SD=2。
93)を
実 験 参 加 者 と した 。実 験 参 加 者 は 研 究 者 に よ つ て 無 作 為 に15名
ず つ 「実 験 群 」 と 「統 制 群 」 に 分 け られ 、 そ の 後 ス ク リー ニ ン グ 時 の 得 点 に つ い て 群 間 に 差 が 生 じな い よ う,各
群 の 構 成 員 に つ い て の 調 整 が 行 わ れ た 。 実 験 参 加 者 と非 実 験 参 加 者 の 記 述 統 計 量 をTable 2に
示 す 。Table 2
実験参加者 と非参加者 の記述統計量
M
SD mini―
max
BAS
実験参加者
(30
非実験参加者
(50
32.40
39.68
4.49
4.57
24‐42
28¨48
EROS
()の
値 はサンプル数
実験参加者
(30
非実験参加者
(50
25。26
28.93
4.37
3.54
19‐35
20-36
3.実
験 材 料 ワ ー ク シ ー ト 予 備 調 査 に よ っ て 得 られ た 結 果 を も とに,内
容 に つ い て 一 部 修 正 を行 つ た 。予 備 調 査 時 の 自 由記 述 欄 は 排 除 され た 。1頁
目 を 記 入 例 と し,2
頁 日以 降 に 7日 分 の ワ ー ク シ ー トを 添 付 し,全8頁
で 構 成 した(付
録3参
照 )。 各 頁 の 上 部 に は 「∼ 日 目」 と ワ ー ク を 実 施 す る 日に ち を記 した 。 ま た,設
間 2 で 記 述 され た3つ
の 肯 定 的 側 面 そ れ ぞ れ に 対 す る納 得 度 に つ い て 評 定 す る た め, 「ま た,挙
げ られ た 肯 定 的 な 側 面 に つ い て,あ
な た が 今 どれ ほ ど納 得 して い る か を枠 内 の4段
階 で 評 価 して く だ さ い 。」 とい う教 示 文,4段
階 評 価 の 内 容(1
ま っ た く納 得 して い な い ∼4.非
常 に 納 得 して い る)が
記 載 され た 図 を シ ー ト内 に 設 置 した 。 さ ら に,設
問2で
肯 定 的 側 面 を 記 述 し,そ
の 納 得 度 の 評 定 を した 結 果,設
問1で
記 述 され た 中 立 的 出 来 事 ・ 活 動 に 対 す る気 分 や 感 情 が ど の よ うに 変 化 した か を検 討 す る た め,「 ま た,1で
記 述 した 出 来 事 や 活 動 に 対 す る 今 の 気 分 を 評 定 して く だ さい 。」 とい う教 示 文 に加 え,感
情 の ス ケ ー ル を 設 置 し た 。 追 加 用 ワ ー ク シ ー ト:ワー ク を 実 施 し忘 れ た 場 合,忘
れ た 日数 分 を こ の 追 加 用 ワ ー ク シ ー トを 用 い て 実 施 す る こ とで,参
加 者 が 後 日思 い 出 して 上 記 ワー ク シ ー トの 該 当 頁 に 記 入 す る とい う行 為 を 抑 止 す る こ と を 目的 に 作 成 した(付
録5参
照 )。 上 記 ワー ク シ ー トか ら記 入 例 を排 除 した 全7頁
で 構 成 し,各
頁 の 上 部 に は 「追 加 用 」 と記 した 。 記 載 され て い る 内 容 に つ い て は 上 記 ワ ー ク シ ー ト と同 様 で あ つ た 。 ア ン ケ ー ト用 紙 本 実 験 で 用 い た ワ ー ク シ ー トの セ ル フ ケ ア と して の 有 用 性 を 検 討 す る こ と を 目的 と して 作 成 した(付
録7参
照 )。 用 紙 の 上 部 に は,「今 回 実 施 して 頂 い た ホ ー ム ワ ー ク に つ い て お 尋 ね しま す 。 質 問 を よ く読 み,お
答 え く だ さい 。」 とい う教 示 文 を記 載 した 。4項
目(1.ワ
ー ク シ ー トは使 い や す か つ た 。2.ワ
ー ク を す る こ とは 負 担 に感 じた 。3.ワ
ー ク シ ー トが あ れ ば,今
後 も続 け た い と思 う。
4.ワ
ー ク を した こ とで 生 活 に よい 変 化 が 起 き た 実 感 が あ る。)を設 定 し
,4件
法(1.全
くそ うは 思 わ な い ∼4。 とて も そ う思 う)で回 答 を 求 め た 。4.測
度① 行 動 賦 活 の 得 点 化 に つ い て
行 動 賦 活 の 測 定 に は
Carver&Whlte(1994)が
作 成 し たThe BIS/BAS
scalesを 上 出 。大 坊
(2005)が
翻 訳 した 日本 語BIS/BAS尺
度 を 用 い た 。 本 尺・ 度 は20項
目で 構 成 され て お り,4件
法 (1.あ て は ま らな い ∼4.当
て は ま る ) が 設 定 され て い る。 本 尺 度 は,個
人 に お け るBAS傾
向 とBIS傾
向 を そ れ ぞ れ 測 定 す る も の で あ り,十
分 な 信 頼 性 と妥 当性 を 有 して い る こ とが 先 行 研 究 に よ り確 認 され て い る。 本 実 験 で は,BASに
関 す る13項
目の み を 用 い た 。 本 尺 度 は,ス
ク リー ニ ン グ 時 の み 使 用 した 。 本 研 究 で は,ス
ク リー ニ ン グ 実 施 時 か ら本 実 験 開 始 ま で,約
2∼3週
間 の 期 間 が 空 く こ とが 予 想 され た た め,ス
ク リー ニ ン グ と して 用 い る 尺 度 に は 比 較 的 安 定 した 個 人 内 特 性 を 測 定 す る も の が 適 して い る と考 え た 。 本 尺 度 は 個 人 の 気 質 的 な 側 面 を測 定 す る も の で あ り, 本 研 究 の ス ク リー ニ ン グ で 用 い る 尺 度 と して 妥 当 で あ る とい え た 。 ② 主 観 的 報 酬 知 覚 の 得 点 化 に つ い て 主 観 的 報 酬 知 覚 の 測 定 に は,Armento&Hopko(2007)が
作 成 し たEnvlronmental Reward Observation Scale;EROSを
回 里 他(2011)が
翻 訳 し た 日本 語 版EROSを
用 い た 。 本 尺 度 は10項
目で 構 成 され て お り,4件
法(1.
全 くそ うは 思 わ な い ∼4.非
常 に そ う思 う )が設 定 され て い る(逆
転 項 目:2,5,6,7,9)。
本 尺 度 は 項 目反 応 性 理 論 を 用 い て 作 成 され て お り,少
な い 項 目 数 で も,報
酬 に 対 す る 知 覚 の 程 度 を 精 緻 に 測 定 す る こ とが 可 能 で あ る。 先 行 研 究 に よ つ て,十
分 な 信 頼 性 ・ 妥 当 性 だ け で は な く,広
範 囲 な 特 性 値 に お い て 測 定 精 度 が 高 い こ とが 確 認 され て い る 。 本 研 究 で は10項
目 の 合 計 点 を 「EROS」
と して 算 出 した 。 本 尺 度 は
,ス
ク リー ニ ン グ と本 実 験 に お け る 介 入 の 効 果 指 標 と して 用 い た 。効 果 指 標 と して は,HW開
始 時(以
下Pre),HW7日
分 実 施 後(以
下Int.),HW終
了 後 (以 下Post),HW終
了 よ り14日
後(以
下Follow)で
用 い た 。③ 活 動 性 の 得 点 化 に つ い て
活 動 性 を 測 定 す る た め に
,Kanter,Mullck,Busch,Berlln,&Martell
(2007)が
作 成 したThe Behavioral Actlvatlon for Depresslon Scale;BADSを
高 垣 ・ 岡 島 。国 里 。中 島・ 金 井 。石 川 。坂 野(2013)が
翻 訳 した 日本 語 版BADS
を用 い た 。25項
目で 構 成 され て お り,7件
法(0。 ま つ た く 当 て は ま らな い ∼ 6。 完 全 に 当 て は ま る )設定 され て い る 。 本 尺 度 は 個 人 の 回 避 行 動 と行 動 の 活 性 化 の 程 度 を測 定 で き る尺 度 で あ り,信
頼 性 と妥 当性 に つ い て も十 分 な 値 が 確 認 さ れ て い る。「行 動 の 活 性 化(AC)」
,「回 避 と反 す う」,「仕 事 や 学 校 で の 機 能 障 害 」, 「社 会 場 面 で の機 能 障 害 」 の4因
子 構 造 が 確 認 され て い る。 本 研 究 で は,こ
の 中 か ら個 人 の 活 動 性 の 程 度 と関 連 す るACに
属 す る 項 目の み を 用 い た 。ACに
属 す る項 目 と して は 計7項
目が 確 認 され て い る が,う
ち1項
目 「 日頃 の 活 動 を ス ケ ジ ュ ー ル 化 した 」 は 因 子 負 荷 量 の 低 さが 指 摘 され て お り,概
念 的 に 異 な る も の を 測 定 して い る 可 能 性 が 示 され た た め(高
垣 他,2013),本
研 究 で は 該 当 す る1項
目 を 排 除 した6項
目 の み を 用 い た 。6項
目の 合 計 得 点 を 「BADS‐
AC」 と して 算 出 した 。 本 尺 度 は 介 入 の 効 果 指 標 と して,Pre,Int.,Post,Followで
用 い た 。 日本 語 版EROSで
は ,主 観 的 報 酬 知 覚 の 程 度 の 変 化 に つ い て は 検 討 で き る が, そ の 変 化 に伴 う行 動 面 の 変 化 ま で は 検 討 す る こ とが 出 来 な い 。 本 尺 度 を用 い る こ とで,本
研 究 の 認 知 的 な 介 入 が 個 人 の 行 動 面 に ま で 影 響 を 与 え 得 る か ど うか の 一 考 察 が 可 能 とな る と考 え られ る。③ 抑 うつ の 得 点 化 に つ い て
抑 う つ の 程 度 を 測 定 す る た め に
,Zung(1965)の
作 成 し た Self‐ratlngDepresslon Scale;SDSを
福 田 。小 林(1983)が
翻 訳 した 日本 語 版SDSを
用 い た 。20項
目で 構 成 され て お り,4件
法(1.な
い か た ま に ∼4
ほ と ん どい つ も )が設 定 され て い る。20項
目の 合 計 得 点 を 「SDS」 と して 算 出 した 。 本 尺 度 は 介 入 の 効 果 指 標 と して,Pre,Post,Followで
用 い た 。 本 尺 度 は 世 界 で 広 く使 わ れ て い る,個
人 の 抑 うつ の 程 度 を 測 定 す る 尺 度 の 1 つ で あ り,高
い 信 頼 性 ・ 妥 当性 を 有 す る こ とが 国 内 外 の 多 くの 先 行 研 究 に よ つ て 明 らか に され て い る。 ま た,本
邦 に お い て 広 く使 用 され て い る3つ
の 抑 うつ 尺 度(BDI‐
Ⅱ,CES‐
D,SDS)の
,ア
ナ ロ グ研 究 に お け る利 用 可 能 性 を検 討 した 先 行 研 究(奥
村 。坂 本,2004)で
は,非
臨 床 群 の 抑 うつ の 程 度 を 測 定 す る こ と を 目的 と した 場 合,本
尺 度 が も つ と も有 効 で あ る こ とが 示 され て い る。 ④ 精 神 的 健 康 の 得 点 化 に つ い て 精 神 的 健 康 を 測 定 す る た め に,Watson,Clark,&Tellegen(1988)が
作 成 し たPosltlve and Negative Affect Scale;PANASを
りII人。大 塚・甲斐 。中 田(2011)
が 翻 訳 した 日本 語 版
PANASを
用 い た 。本 尺 度 は20項
目で 構 成 され て お り,現
在 の 気 分 に つ い て6件
法(1.全
く 当 て は ま らな い ∼6.非
常 に よ く 当 て は ま る )で 回 答 が 求 め られ る。 本 邦 に お い て は,こ
れ ま で16項
目で 構 成 され た 日本 語PANAS(佐
藤 。安 田,2007)が
多 く用 い られ て き た 。 しか し川 人 他(2011)は
,佐
藤 。安 田(2001)が
原 版PANAS(Watson et al。 ,1988)よ
り4項
目 を 削 除 した 理 由 に つ い て,ネ
ガ テ ィ ブ 感 情(以
下NA)の
2項
目 は 探 索 的 因 子 分 析 の 共 通 性 の 数 値 が 低 か つ た た め で あ る が,ポ
ジ テ ィ ブ 感 情(以
下PA)の
2項
目 に つ い て は 理 論 的0統
計 学 的 根 拠 が 明 確 に 示 され ず に 削 除 され て い る こ と を 指 摘 し て い る 。 さ ら に,原
版PANASの
20項
目 に つ い て 翻 訳 し,信 頼 性・妥 当性 の 再 検 討 を した 結 果,PA(10
項 目),NA(10項
目 )の2因
子 構 造 が 妥 当 で あ る こ と を確 認 して い る。 よ つ て 本 研 究 で は,川
人 他(2011)の
作 成 した 日本 語 版PANASを
用 い た 。 ま た,現
在 の 気 分 で は な く過 去2週
間 の 気 分 に つ い て 回 答 を 求 め た 。 多 く の 先 行 研 究 に よ つ て 精 神 的 健 康 と関 連 が あ る こ とが 確 認 され て い る 「気 分 」 に つ い て 検 討 す る こ とで,本
研 究 に お け る 介 入 が 精 神 的 健 康 に 与 え る影 響 の 一 側 面 を検 討 す る こ とが 可 能 で あ る と考 え られ る。 さ ら に,本
尺 度 は 先 述 の 通 り 「PA」
と 「NA」
の2因
子 構 造 を 有 して お り,PAと NAの
両 側 面 か ら 個 人 の 気 分 を 評 定 す る こ とが 出 来 る とい う特 徴 が あ る 。本 尺 度 を 用 い る こ とで,本 研 究 に お け る介 入 が 個 人 の 気 分 に 与 え る影 響 に つ い て 検 討 で き る だ け で な く,
PA・
NAど
ち ら の 側 面,も
し く は 両 側 面 に影 響 を与 え得 る も の な の か に つ い て 詳 細 に 検 討 で き る と考 え られ る。PAに
属 す る10項
目の 合 計 得 点 を「PA」,NAに
属 す る10項
目の 合 計 得 点 を,「NA」 と して 算 出 した 。 本 尺 度 は 介 入 の 効 果 指 標 と して
,Pre,POst,Follow
で 用 い られ た 。 本 研 究 で 使 用 し た そ れ ぞ れ の 尺 度 に つ い て は,付
録 と して 巻 末 に 添 付 し た(付
録8参
照 )。 ま た ,各 使 用 時 期 に お け る質 問 紙 の 構 成 内 容 に つ い て はTable3
に 示 す 。 Table 3 各使 用 時期 にお ける質 問紙 の構成ス ク リー ニ ング 日本語版EROS日本 語版BIS/BASにお け るBAS下位 尺度
日本 語版EROS日 本語版BADSにお け るAC下位 尺度 日本 語 版SDS日本 語 版PANAS
日本 語版EROS日本 語版BADSにお け るAC下位 尺度
日本 語版EROS日本 語版BADSにお け るAC下位 尺度 日本 語版SDS日本語版PANAS Fonow 日本語版EROS日本 語版BADSにお け るAC下位 尺度 日本語版SDS日本語版PANAS
5。 手 続 き 本 実 験 で は,セ ル フ ケ ア の 観 点 か ら
,PRを
用 い たHW形
式 の 介 入 を行 つ た 。 実 験 の 流 れ は,美
木 。大 塚(2011)に
倣 い 設 定 した(Flg。1,20頁
参 照 )。 介 入 終 了(14日
分 のHW実
施 )か ら14日
後 に フ ォ ロ ー ア ップ を 実 施 した 。ま たHW
と並 行 して,効
果 測 定 を 主 な 目的 と した 計4回
の 面 接 を お こ な つ た(Followを
含 む )。 ワ ー ク を し忘 れ た 場 合 は,追
加 用 ワ ー ク シ ー トを 用 い て 忘 れ た 日数 分 のHWを
お こ な っ た 。 そ れ に 伴 い,も
と も と予 定 して い た 面 接 を延 期 す る必 要 が あ っ た た め,ワ
ー ク を し忘 れ た 場 合 は,研
究 者 ま で E‐mallに
よ る連 絡 を 求 め,面
接 日時 の 再 調 整 を 行 つ た 。 面 接 の 手 続 き1回
目の 面 接 で は,研
究 の 概 要 と倫 理 的 配 慮 に つ い て 説 明 し,同
意 書(付
録 9 参 照 )への 署 名 を 求 め た 。 次 に, HWの
手 続 き に つ い て 説 明 した うえ で,研
究 者 の 指 示 の も と前 日に 経 験 した 出 来 事・ 活 動 に つ い てHWの
練 習 を 行 つ た 。 ま た こ の 際,ワ
ー ク を し忘 れ た 場 合 の 対 処 と して 「ワー ク を し忘 れ た 場 合 は,次
の 日に 思 い 出 して 記 入 す る とい う こ とは しな い で くだ さい 。 忘 れ た 日の 頁 は そ の ま ま に して お き,次
の 頁 か ら元 の 予 定 通 リ ワー ク を進 め て くだ さい 。7日
目 ま で ワ ー ク を 完 了 した ら,次
の 日か らは 追 加 用 ワー ク シ ー トを使 つ て,忘
れ た 日数 分 の ワー ク を続 け て お こ な っ て くだ さい 。 そ の 場 合,も
と も と7日
後 に 予 定 して い た 面 接 が ワー ク を し忘 れ た 日数 に 応 じて 延 期 され る の で,ワ
ー ク を し 忘 れ た 場 合 は 研 究 者 ま で ご連 絡 くだ さい 。E‐mallで
面 接 日時 の 再 調 整 を お こ な い ま す 。」 とい う説 明 を行 つ た 。 そ の 後,質
問 紙 へ の 回 答 を 求 め た (Pre)。 最 後 に7日
分 の ワー ク シ ー トと7日
分 の 追 加 用 ワ ー ク シ ー トを 配 布 して 面 接 を 終 了 した 。 所 要 時 間 は30分
程 度 で あ っ た 。2回
目の 面 接 は,実
験 参 加 者 が7日
分 のHWを
完 了 した 翌 日に 実 施 した 。 記 入 済 み の ワ ー ク シ ー トを 回 収 した の ち,実
験 参 加 者 に7日
分 の ワ ー ク 実 施 に 対す る 謝 礼
(図
書 カ ー ド500円
分 )を 手 渡 した 。 次 に,質
問 紙 へ の 回 答 を 求 め た (Int。 )。 最 後 に,7日
分 の ワ ー ク シ ー トを 配 布 して 面 接 を 終 了 した 。 追 加 用 ワ ー ク シ ー トに つ い て は,使
用 した 枚 数 分 の 補 充 を お こ な つ た 。 所 要 時 間 は 10 分 程 度 で あ つ た 。3回
目の 面 接 は ,実 験 参 加 者 が 計14日
分 のHWを
完 了 した 翌 日 に 実 施 した 。 記 入 済 み の ワー ク シ ー トを 回 収 した の ち,実
験 参 加 者 に 計14日
分 の ワ ー ク 実 施 に 対 す る謝 礼(図
書 カ ー ド500円
分 )を手 渡 した 。 次 に,質
問 紙 へ の 回 答 を 求 め た(Post)。 実 験 群 の 参 加 者 に は 最 後 に,ア
ン ケ ー ト用 紙 へ の 回 答 を求 め, 研 究 者 に よ る 口頭 で の 補 足 情 報(ワー ク シ ー トの 使 い や す か つ た 点 。ワー ク で 負 担 に 感 じた 点 。ワ ー ク を した こ とで よ か つ た 点 。ワー ク を した こ とで 悪 か つ た 点)の 収 集 を行 っ た 。統 制 群 の 参 加 者 に つ い て は 「ワー ク を した こ とで よ か つ た 点 」 に つ い て の み 口頭 で の 情 報 収 集 を お こ な つ た 。 所 要 時 間 は20分
程 度 で あ っ た 。4回
目の 面 接 は,3回
日の 面 接 よ り14日
後 に 実 施 した 。 質 問 紙 へ の 回 答 の み を 求 め た(Fo1low)。 所 要 時 間 は5分
程 度 で あ つ た 。 プ ラ イ バ シ ー 保 護 の た め,ワ
ー ク シ ー トの 受 け渡 しは 封 筒 に入 れ て お こ な っ た 。 セ ル フ モ ニ タ リン グ に お け る行 動 や 気 分 を記 録 す る タ イ ミ ン グ に 関 して, リア ル タ イ ム に 記 録 を 取 る 「 リア ル タ イ ム 群 」 と指 定 され た 定 刻 に 記 録 を 取 る 「想 起 群 」に お け る効 果 の違 い を検 討 した研 究(小
河・鈴 木・吉 内・ 熊 野,2007)
に お い て,「記 録 を 取 る べ き タ イ ミ ン グ に は 何 か し ら の 活 動 に 従 事 して い る こ と が 多 く,十
分 に 振 り返 つ た 上 で 記 録 を 取 る こ とが 出 来 な か つ た 」 とい う内 省 報 告 が 両 群 の 参 加 者 か ら得 られ て い る 。 こ の こ とか ら本 研 究 で は,実
験 参 加 者 に1日
の 中 で 経 験 した 出 来 事 や 活 動 を 十 分 に振 り返 つ て も ら うた め に,HWを
実 施 す る タ イ ミ ン グ と して 「就 寝 前 」 を採 用 した 。 謝 礼 は 筆 者 の 私 費 に よ つ て 賄 わ れ た 。HWの
手 続 き 実 験 群 と統 制 群 そ れ ぞ れ に お け るHWの
手 続 き に つ い て Flg。2(21頁
参 照 ) に 示 した 。 ま ず 初 め に,起
床 し〔て か ら ワ ー ク を 実 施 す る ま で の 間 に 経 験 した 出 来 事 や 活 動 の 中 か ら,当
時 肯 定 的,否
定 的 ど ち らの 感 情 も伴 わ な か っ た も の を 中 立 的 出 来 事 。活 動 と して1つ
ワ ー ク シ ー トに 記 入 した 。 統 制 群 で は,毎
日 こ の 手 続 き の み を お こ な っ た 。 これ に加 え て 実 験 群 で は,記
入 した 中 立 的 出 来 事 ・ 活 動 に お け る 肯 定 的 な 側 面 を3つ
ワ ー ク シ ー トに記 入 した 。 肯 定 的 な 側 面 は 一 般 的 に 考 え られ る も の で は な く,中
立 的 出 来 事 。活 動 を経 験 した こ とで 実 際 に 生 じた も の と した 。 そ の 後,記
入 した3つ
の 肯 定 的 側 面 そ れ ぞ れ に 対 す る納 得 度 に つ い て,4段
階 で の 評 定 を お こ な っ た 。 最 後 に,元
々 は 肯 定 的,否
定 的 ど ち ら で も な か つ た も の と して 記 入 して い た 中 立 的 出 来 事 。活 動 に 対 す る現 在 の 気 分 に つ い て,感
情 の ス ケ ー ル に ○ の 記 号 で 印 を つ け て 再 評 価 を お こ な っ た 。 6。 統 計 処 理 本 実 験 に よ り得 られ た デ ー タ の 解 析 は,2要
因 分 散 分 析 混 合 計 画 を 用 い て 実 施 した 。7.倫
理 的 配 慮 本 研 究 は 兵 庫 教 育 大 学 研 究 倫 理 審 査 委 員 会 の 承 認 を得 た 。①
研究の概要についての説明
②
同意書の署名
②
ホームワークの手続きの説明・練習
③
質問紙への回答
(Pre)
④
ワークシー ト(7日 分
)の配布
ワー ク シ ー トの 回 収②
謝礼の配布
③
質問紙への回答
(Int.)④
ワークシー ト(7日 分
)の配布
①
ワークシー トの回収
②
謝礼の配布
③
質問紙への回答(Post)
④
アンケー トの実施
面 接 4 ① 質 問紙 へ の回答(Follow)
Fig。1
本 実 験 の流 れその 日の体験 した中立的出来事・活動 を1つ記述す る。 実験群 統制群
O O
0
0
O
中立的 出来事・ 活動 に対す る気 分 の再評 定 を行 う。Fig.2
両群 にお け るHWの
手続 き 記述 した中立的出来事 。活動 の肯定的な側面 を3つ 記述す る。 記述 した肯定的な側面に対す る納得度 について4段 階評定 を行 う。第
3章
結 果1.各
変 数 に お け る 記 述 統 計 量本 実 験 で 用 い た 各 変 数 に つ い て
,全
体 と群 ご との 記 述 統 計 量 をTable 4に
示 す 。 介 入 前 に お い て 群 間 で 各 変 数 の 得 点 に 差 が 生 じて い な い か ど うか を 検 討 す る た め に,対
応 の な い ι検 定 を 実 施 した 。 そ の 結 果,い
ず れ の 変 数 に お い て も 有 意 な 差 は み られ な か つ た(EROS;′
=0.51,出
宅28,コ.s。,BADS‐
AC;`=1.53,
ご
F=28,コ
。s.,SDS;`=‐
0.43,こf=28,コ
。s。,PA;`=1.15,ご
F=28,コ
。s.,NA,`=0.04,
ごF=28,コ
.s。 )。Table 4介
入前 における各群の記述統計量
M
SD min… max
EROS
全体
(30
実験群
(15)
統制群
(15)
25.80
26.20
25。40
4。23
4.78
3.72
19…37
19‥37
19…31
BADS‐
AC
全 体
:(30
実験群
(15)
統制群
(15)
17.40
18.87
15。93
5.36
5.04
5。43
4‐26
8‐26
4‐24
SDS
全体
(30
実験群
(15)
統制群
(10
44.00
43.53
44.47
5.87
4.53
7.10
33‥59
36‐54
33‐59
PA
全体
(30
実験群
(15)
統制群
(15)
32.07
33.53
30.60
7.03
7.50
6.45
20‐50
24‐
50
20‐43
M
全体
(30
実験群
(15)
統制群
(15)
30。93
30.87
31.00
8.88
8.39
9.64
15‐46
18‐45
15‐46
()の値 はサンプル数
2
各 変 数 に お け る相 関´
各 変 数 に お け る
Pearsonの
積 率 相 関 係 数 を 算 出 した(Table 5参
照 )。EROS
と各 変 数 の 相 関 を み る と
,BADS‐
AC(r=。
458,P<.05),PA(r=352,′
く。10)
と正 の 相 関 が み られ
,SDS(r=‐
775,′<.01),NA(r=‐
。635,′ <.01)と 負 の 相 関 が み られ た 。 ま た 他 の 関 連 を み る と,BADS‐
ACに
つ い て はPA(r=.334,′
<.10)と 正 の 相 関
,NA(F=‐
.342,′ <。10)と 負 の 相 関 が み られ た 。SDSに
つ い て はPA(F=‐
.507,′<01)と
負 の 相 関,NA(r=。
572,′<.01)と
正 の 相 関 が み られ た 。Table 5各
変数 における相 関係数
1.EROS
一2.BADS‐
AC
3rSDS
4.PA
5。NA
。458士
‐.775士士 ‐。282
。352+
。334+
‐.507**
‐.635*帝
‐.342+
.572士音 ‐.054
3
介 入 効 果 の 検 討 /PRを
用 い たHWを
行 つ た こ と に よ るEROS, BADS‐
AC, SDS, PA, NAヘ
の 影 響 に つ い て,群
(実
験 群 ・ 統 制 群 )× 時 期(Pre・Int.(EROSと
BADS‐
AC
の み )・ Post・
Follow)の 2要
因 分 散 分 析 混 合 計 画 を 用 い て 検 討 した(Flg.3∼
7参 照 )。 そ の 結 果
,EROS,BADS‐ AC,NAに
つ い て は 時 期 に お い て 有 意 な 主効 果 が 確 認 され た
(EROS;F(2.60,26)=7.51,′
く。001,BADS‐
AC;F(3,26)=
10。54,′
<.001,NA;F(2,56)=4.97,′
<。05)。SDSに
つ い て は, 10%水
準 に おい て 有 意 傾 向 を示 した
(F(2,56)=2.85,Pく
。10)。 しか し,す
べ て の 変 数 に お い て 群 と 時 期 の 交 互 作 用 は み られ な か っ た(EROS;F(2.60,26)=0。
68,′
.s。,BADS‐
AC;F(3,26)=1.04,コ
。s。,SDS;F(3,26)=2.32,コ
.s.,PA;F(3,26)=0。
18,コ。
s.,NA;F(3,26)=0.31,コ
.s。 )。EROS,BADS‐
AC,NA,SDSに
関 して,多
重 比 較 を用 い て 時 期 の 効 果 を検 討 した 。 そ の 結 果,EROSで
は Pre‐Post(′
く。01),Pre‐
Follow(′
<05),
Int。‐
Post(P<.01)に
お い て 有 意 で あ つ た 。BADS‐
ACに
つ い て は,Pre‐Int。(p
<.05),Pre‐
Post(′<.05),Pre‐
Follow(′<.001)に
お い て 有 意 で あ つ た 。NA
に つ い て は ,Pre‐ Int.(′<05)で
の み 有 意 で あ つ た 。SDSで
は,有
意 な 結 果 は 示 され な か っ た 。 32 31 30 29 28 27 26 25 24 …●―実験群 ‐0‐‐統制群 ‐´‐‐´°トーー‐‐-0
Pre lnto Post Fo■
ow
丼
′
<.05,**′
<。01
27 25 23 21 19 17 15
│ * :
Post Follow *′<.05,黎 黎贅′<・001
Flg。4 BADS‐
ACの
群圭堆多(Pre‐Int.‐Post‐Follow)
Int. 45 44 43 42 41 40 39 38 37 36 35
-0-実
験群 -0‐‐統制群 Pre PostFlg.5 SDSの
招:1多(Pre‐Post‐Follow)
34 33 32 31 30 29 28 27 26 25 34 33 32 31 30 29 28 27 26 25
Pre Post
Flg.6 PAの
群圭ラ移 (Pre‐Post‐Fo1low)
Flg。
7 NAの
推 移(Pre‐Post‐Follow)
-0-実
験群-0¨
統制群-0-実
験群 -OD‐統制群次 に
,よ
り短 期 間 に お け る介 入 効 果 を検 討 す る た め に,Preか
らPostま
で に つ い て,再
度2要
因 分 散 分 析 を 実 施 した 。 そ の 結 果,PAを
除 い た す べ て の 変 数 で 時 期 の 主 効 果 が み られ た(EROS;F(2,56)=22.68,p<.001,BADS‐
AC;F
(2,56)=7.13,′
<.01,SDS;F(1,28)=5.01,′ <.05,NA;F(1,28)=8。
93,′ <.01)。 さ ら に,SDSで
は 時 期 と群 の 交 互 作 用 に つ い て 有 意 な 結 果 が 得 られ た(F(1,28)
=4.69,P<.05)。
SDSの
結 果 に つ い て はFlg.8に
示 す 。 次 に,交
互 作 用 が み られ たSDSに
つ い て,単
純 主 効 果 の 検 定 を 実 施 した 。そ の 結 果,実
験 群 に お け る 時 期 の 単 純 主 効 果 が 有 意 で あ つ た(F(1,28)=970,′
<.01)。 群 の 単 純 主 効 果 に つ い て はPostで
有 意 な 結 果 が 得 られ た(F(1,28)=
5。31,′ <.05)。Postに
お い て 実 施 した ア ン ケ ー トで 得 られ た 報 告 内 容 に つ い て は,筆者 が 分 類 し,そ れ ぞ れ に該 当 す る回 答 者 数 を記 した も の を群 ご と にTable
6(28頁
参 照 )とTable 7(29頁
参 照 )に示 した 。 実 験 群 に つ い て は,複
数 回 答 が 得 られ た も の の み を 回 答 例 と して 挙 げ た 。 ま た,各
項 目 の 得 点 に つ い て はTable 8(30頁
参 照 )に示 した 。 45 44 43 42 41 40 39 38 37 36 35 PreFig.8 SDSの
推 移 (Pre‐Post)
-0-実
験群 ‐0¨
統制群Table 6実験 群 で の ア ンケー ト結 果 質 問項 目 回答 例 回答者数 ワー ク シー トの 使 いや す か つた 点 ・ ス ケール を用 い た こ とで 、 中立的 出来 事 。活 動 に対 す る評 価 が どれ だ け変 化 した か が視 覚 的 に理 解 で きた 。すべ き こ とが ワー クシー トに明確 に示 され ていた 。書 く量 も少 な く、短 時間 で出来 た 。ポ ジテ ィブ な側 面 につ い て、納得 してい ない場合 の選択肢 も用 意 され ていたた め、 無 理 な く実 施 出来 た 。納得度 の評 定 が あ る こ とで、 中立的 な経験 の再評価 が しやす か つた 。スケール は 目盛 が あ つた方 が分 か りや す つた と思 う 4 2 2 2 N ∞ ワー クで負担 に感 じた点 ・負担 はあま りなかつた 。中立的な経験 を思い出す のが大変だつた 。眠い時にす るこ とが負担だつた 。ポジテ ィブな側面を
3つ
考 え るのが大変 だ った 4 4 4 3 ワー クを した こ とで よか った点 。その時々の 自分 の感情 に対す る内省 が高まつた 。ワー クを意識す るよ うになつた ことで、出来事のポジテ`ィブ な側 面 を考 え るよ うになつた 。1日 を振 り返 る機会 を得 ることができた 。気持 ちが前向きになった 。ワー クを してい る時は明 るい気持 ちになれた 。ワー クを した ことで、その 日1日 がいい評価 になつた 。ワー クをす ることが 日課 とな り、達成感 を味わ うことができた。 ・ 毎 日似 た よ うな生活 を送 つてい るこ とに気付 いて、 「変 えたい」 と思 うよ うになった 6 6 6 3 3 2 2 2 ワー クを した こ とで 悪 か つた点 ポ ジテ ィブな側 面 を思い出す ときに、ネ ガテ ィブな部分 を思い出 して しま うこ とがあつた 寝 たい時 に寝れ ない 特 にな し′ そ の 日の活動 内容 に よつて は、 中立 が本 当に思 いつ か ない こ ともあ り、大変 だ つた 7 4 3 2
Table 7実
験群 でのア ンケー ト結果
質 問項 目
回答例
回答者数
ワー クを した こ とで
よか った点
振 り返 る機 会 が得 られ た
特 にな し
振 り返 る ことで 、活 動 内容 を改善 しよ うと思 えた
振 り返 る中で、 ポ ジテ ィブや ネ ガテ ィブ な こ とも同時 に思 い 出 され た
意外 と生活 が充実 してい る こ とに気付 い た
そ の時 々 の 自分 の感 情 に対す る内省 が高 ま った
普段神 経 質 なた め、何 も考 えてい ない時 間 もあ る とい うこ とに気 付 けた
い ろん な活 動 に対 して何 も感 じてい ない とい うこ とに気付 い た
5
4
4
4
4
1 1 1 N OTable 8ア
ンケ ー トの各 項 目の点 数
mlll ¨ max項 目
1
項 目
2
項 目3
項 目
4
3.20
2.80
2。27
2。73
。
41
。
68
.59
。
70
3¨
4
1‐
3
1‐
3
2‐
4
第
4章
考 察 お よ び 今 後 の 展 望 本 研 究 で は,PRを
用 い たHWを
行 い,
日々 の 生 活 の 中 で 経 験 す る 出 来 事 や 活 動 に つ い て の 認 知 を 肯 定 的 に 捉 え な お し,そ
れ ら の 体 験 に 随 伴 す る報 酬 へ の 気 づ き を 高 め る こ とで,主
観 的 報 酬 知 覚 を 高 め る こ とが 出 来 る か ど うか に つ い て 検 討 した 。 ま た そ れ に伴 い,活
動 性,抑
うつ 度,肯
定 的 感 情,さ
ら に 否 定 的 感 情 へ の影 響 に つ い て も検 討 した 。 実 験 群 で はPRの
要 素 を 取 り入 れ,1日
の 中 で 経 験 した 出 来 事 や 活 動 の 中 か ら 中 立 的 な も の を1つ
記 述 し,そ
の 肯 定 的 な 側 面 を3つ
記 述 す る とい う手 続 き を お こ な つ た 。 統 制 群 で は,1日
の 中 で 経 験 した 出 来 事 や 活 動 の 中 か ら 中 立 的 な も の を1つ
記 述 す る とい う手 続 き の み を お こ な っ た 。1
各 変 数 に お け る 相 関 に つ い て本 研 究 で は
(Table 5参
照),EROS,BADS‐
ACと PAに
正 の 相 関,NAに
負 の 相 関 が 確 認 され て お り,主
観 的 報 酬 知 覚 や 活 動 性 が 高 い も の ほ ど肯 定 的 な 情 動 状 態 に あ り,主
観 的 報 酬 知 覚 や 活 動 性 が 低 い も の ほ ど否 定 的 な 情 動 状 態 に あ つ た こ とが 示 され た 。 これ に つ い て 山本 他(2013)の
研 究 で は,個
人 が 生 活 す る 中 で 経 験 す る報 酬 や 活 動 性 の 程 度 が 「興 味 や 好 奇 心 」 とい っ た 肯 定 的 な 情 動 に 影 響 を 与 え る こ と を 明 ら か に して い る 。 こ の こ とか ら,本
研 究 で 得 られ たEROSと PA, NAの
関 連, BADS‐
ACと PA, NAの
関 連 は 山本 他(2013)の
結 果 を 支 持 した とい え る 。EROSと
BADS‐
ACに
は 正 の 相 関,SDSに
は 負 の 相 関 が み ら れ た が,BADS‐
ACと SDSに
は 関 連 が み られ な か つ た 。これ に つ い て Jacobson et al。(2001),Martell et al。
(2001)は
,RCPRの
低 下 が 回 避 行 動 の 増 加 と活 動 性 の 低 下 を も た ら し,正
の 強 化 を 受 け る機 会 を さ ら に減 少 させ,抑
うつ が 維 持 ・ 悪化 す る と仮 定 して い る 。 さ ら に 山 本 他
(2013)は ,主
観 的 報 酬 知 覚 と活 動 性 は 互 い に 関連 しあ うが,抑
うつ 症 状 に 直 接 影 響 を 与 え る の は 活 動 性 で は な く主 観 的 報 酬 知 覚 で あ る こ と を 明 らか に して お り、 本 研 究 の 相 関 が 説 明 され て い る。SDSに
つ い て はPAと
負 の 相 関,NAと
正 の 相 関 が み られ,抑
うつ 度 が 低 い も の ほ ど肯 定 的 な 感 情 を 強 く抱 き,抑
うつ 度 が 高 い も の ほ ど否 定 的 な 感 情 を 強 く抱 い て い た こ とが 示 され た 。Lewlnsohn&Amenson(1978)は ,抑
うつ 者 は 非 抑 うつ 者 よ り も,一
般 的 に 快 と評 価 され る活 動 に 対 して 快 感 情 を 得 に く く, 一 般 的 に不 快 と評 価 され る活 動 に対 して は よ り強 い 不 快 感 情 を得 る と して お り, 本 研 究 の 結 果 は 彼 らの 主 張 と一 致 す る結 果 で あ る とい え る 。2
仮 説1に
つ い て 本 研 究 で は 「実 験 群 に お い て,介
入 の 前 後 でEROS,BADS‐
AC,PAの
上 昇 が み られ,フ
ォ ロー ア ップ に お い て も維 持 され て い る 」 こ と を仮 説 1と して 設 定 した 。 こ の 仮 説1を
検 証 す る た め,各
変 数 に つ い て2要
因 分 散 分 析 を 実 施 し た と こ ろ,EROSと
BADS‐
ACに
お い て 時 期 の 主 効 果 が 得 られ た が,時
期 と群 の 交 互 作 用 は 得 られ な か っ た 。 こ の 結 果 は,実
験 群 と統 制 群 の ど ち ら に お い て も介 入 後 に お い て 主 観 的 報 酬 知 覚 と活 動 性 の 上 昇 が み られ,群
間 で 差 が 生 じな か っ た こ と を 示 して い る。 ま たPAに
つ い て は 時 期 の 主 効 果 が 得 られ な か っ た こ とか ら,本
研 究 で 実 施 した 手 続 き が 肯 定 的 感 情 に は 影 響 を 与 え な い こ とが 示 され た 。 よ つ て,本
研 究 の 仮 説1は
支 持 され な か つ た 。 主 観 的 報 酬 知 覚 と活 動 性 の 上 昇 に群 間 で 差 が み られ な か つ た 要 因 に つ い て, 本 研 究 で は 待 機 群 を設 け て お らず,実
験 実 施 期 間 中 の 大 学 生 活 に お い て 両 群 の 参 加 者 が 共 通 して 経 験 した ラ イ フ イ ベ ン トに よ る効 果 な の か,そ
れ と も 両 群 で 実 施 したHWの
手 続 き に よ る効 果 な の か に つ い て 断 定 す る こ と は 出 来 な い 。 し か し,本
研 究 で は 実 験 参 加 者 と して 学 部1回
生 か ら修 士 課 程2年
の も の ま で 幅広 く採 用 して お り