Bird Research
Vol. 17, pp. R1-R3, 2021 © Japan Bird Research Association Research data「鳥獣関係統計」で収集された全国の傷病鳥の保護数のデータ
植田睦之 バードリサーチ.〒 183-0034 東京都府中市住吉町 1-29-9 [email protected]デ ータの 概 要
全国で各都道府県により保護された傷病鳥の情報を環境省が「鳥獣関係統計」として,と りまとめている.この情報は日本の鳥の動向を見るための資料として使えるものと考えられ るが,年ごとに個別のエクセルファイルになっており,またファイルも印刷物のためのペー ジ単位のレイアウトになっているファイルであり,データ一として扱いにくいものである. そこで,電子データとして公開されている1998年度以降の情報(環境省 online)をとりま とめた.このデータのうち猛禽類の傷病保護数の推移をみてみると,減少傾向にあるサシバButastur indicus
(野中ほか 2012)は傷病保護数も減少傾向にあることが示され,増加傾向に あるミサゴPandion haliaetus
(バードリサーチ 2020)は増加傾向が示されている.また2000 年代まで増加し,その後減少傾向にあると考えられているオオタカAccipiter gentilis
(環境省 野生生物課 2014)もそうしたパターンが示されている(図1). それ以外にも,さまざまな鳥種の増減を知る上でも有用な情報と考えられるため,ここに 公開する.調 査 方 法
鳥獣関係統計は、鳥獣の保護及び管理等に資する基礎資料として、毎年度の狩猟や鳥獣の 捕獲許可の状況等の情報をまとめた資料である.都道府県が情報収集をし,その情報を環境 省がとりまとめて公開している(環境省 online).その1項目として「都道府県知事の捕獲 許可による捕獲鳥獣数傷病鳥獣の保護」があり,その1998年度以降の情報をとりまとめた ものである. キーワード:オオタカ,サシバ,ミサゴ,個体数変動,傷病鳥 図 1. 傷病保護されたサシバ, ミサゴ, オオタカの個体数の経年変化.Fig. 1. Changes in the number of rescued Grey-faced buzzards, Ospreys, and Goshawks.
0 50 0 50 100 150 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 0 50 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 サシバ Butastur indicus ミサゴ Pandion haliaetus オオタカ Accipiter gentilis 傷病保護数 Number of rescued
Bird Research Vol. 17, R1-R3 (2021) R2 データをとりまとめるにあたり,「不明」と「種不明」や「シラサギ」と「シラサギ類」 のように同じ内容のものが違う表記で登録されているものについては,同じ表記に統一した. また,「ゼグロカモメ」のように明らかに誤記と思われる種名については「セグロカモメ」 と正しい種名に変更し,変更理由とともに元の種名も残した.亜種で記載されている物につ いても,原則,同様に種名に変更したが,コウライキジについては移入種であるため,別に 残した方が良いと考え,変更しなかった.また,誤記の中には「シロハラツグミ」「オジロ キビタキ」のように,シロハラの誤りなのかツグミの誤りなのか,オジロビタキの誤りなの かキビタキの誤りなのかわからない記載があった.そのようなものについては,変更せずに そのまま残した.
デ ータの 説 明
データはhttp://www.bird-research.jp/appendix/br17/17r01.html よりダウンロード することができる. データには都道府県コード,都道府県,年度,個体数,変更の有無,変更理由,元種名が 含まれている.説明の必要な項目については,以下に詳細を示す. 年度:2021年2月時点で公開されていた1998年から2016年までの情報が含まれている. 変更の有無:方法で述べたような変更をした情報については1が記入されている.シラサ ギとシラサギ類のような修正については記入されていない. 元種名:変更を行なう前の元データの種名. この情報を使用するにあたり,都道府県間で値の比較はするべきでない,特に普通種にお いては経年変化について問題がある可能性があるなどの点に注意する必要がある. 元データについては,各県が独自に実施しているものである.そのため県によっては情報 収集の体制が異なっており,周囲の都道府県とくらべて明らかに情報量の少ない都道府県が 存在する.そのため,都道府県間での値の比較は不適切な比較となってしまう可能性が高い. また,保護された鳥の数が報告としてあがってくるものなので,保護されることが少ない 山間部などいる種は把握しにくいとともに,「保護の対象」が変ると報告数が変化してしま う可能性がある.つまり「有害駆除されている種は対象にしない」「人為的な原因の傷病の みを対象にする」など「保護対象」が変ると報告数が変化する可能性がある.こうした影響 は特に普通種で大きいと考えられ,そうした種の変化を評価する上では注意が必要である. なお,こうした変化は各県で定める「鳥獣保護管理事業計画」に定められて実行されること が多いので,それを精査することである程度把握することは可能である.引 用 文 献
バードリサーチ(編) (2020) 全国鳥類繁殖分布調査 2016-2020.全国鳥類繁殖分布調査会,府中市. 環境省 (online) 鳥獣関係統計.https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs2.html参照 2021-02-07. 環境省野生生物課 (2014) 平成26年度オオタカに関する情報整理等委託業務報告書.環境省野生生物課, 東京. 野中純・植田睦之・東淳樹・大畑孝二 (2012) アンケート調査によるサシバの生息状況(2005–2007). Strix 28: 25–36.R3 植田睦之:「鳥獣関係統計」で収集された全国の傷病鳥の保護数のデータ
Statistics for birds rescued from sickness and injury in each prefecture of
Japan
Mutsuyuki U
ETAJapan Bird Research Association, 1-29-9 Sumiyoshi, Fuchu, Tokyo 183-0034, Japan