• 検索結果がありません。

Scholesの音楽鑑賞教育における教材

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Scholesの音楽鑑賞教育における教材"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. Scholesの音楽鑑賞教育における教材. Author(s). 小林, 美貴子. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 68(2): 445-454. Issue Date. 2018-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/9661. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第68巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 68. No.2. 平 成 30 年 2 月 February, 2018. Scholesの音楽鑑賞教育における教材 小 林 美貴子 北海道教育大学札幌校 音楽教育学研究室. A Study on Teaching Materials for Musical Appreciation of Scholes KOBAYASHI Mikiko Department of Music Education, Sapporo Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 本研究では,近代英国の音楽鑑賞教育において,どのような楽曲が鑑賞曲として設定されて いたのか,すなわち,どのような教材曲が選定されていたのか,Percy Alfred Scholesの著作 を通じて教材曲の調査を行った。調査対象は,学校音楽教育向けの著作であるLearning to Listenと,音楽史の解説書であるThe First Book of the Gramophone RecordおよびThe Second Book of the Gramophone Recordである。各書に掲載されている楽曲をリストアップし,比較 することで,Scholesがどのような楽曲(教材曲)を選定していたか,学校音楽教育向けの著 作と,音楽史の解説書との著作の位置づけの差異を把握することができると考えた。 調査を通して,どちらも英国に関連する作曲家の作品を多く選定しているが,各楽曲や各作 曲家をどのような内容で学ばせるか,その比重の置き方は,差異があると見受けられた。. 曲,すなわち教材曲として選定されていたのかを. 1.研究の動機. 調査することによって,当時の音楽鑑賞教育の特. 1919年,レコード会社であるグラモフォン社は. 徴を教材の視点から考察したいと考えた。. ロ ン ド ン に 教 育 部 門 を 設 け,1921年 に はPercy. 本研究では,近代英国における音楽鑑賞教育の. Alfred Scholes(1877-1958) に よ る 音 楽 鑑 賞 の. 中心的な人物であるScholesに着目する。Scholes. ための教科書Learning to Listenを発行した。こ. の音楽鑑賞教育において,どのような教材曲が取. のことが,英国における音楽鑑賞運動の成熟期の. り 上 げ ら れ て い た か, ま た, そ の 教 材 曲 を. 1). 始まりとなったという 。. Scholes自身はどのように見ていたかについて,. 当時の英国では,上述したScholesをはじめと. 浮き彫りにしたいと考えた。. して,さまざまな人物によって音楽鑑賞教育に関. まず,Scholesの著作群の中でも音楽鑑賞教育. 連する著作が出版された。本研究では,近代英国. 書を調査対象として,各書に掲載されている楽曲. の音楽鑑賞教育において,どのような楽曲が鑑賞. をリストアップし,一覧表に整理する。それによっ. 445.

(3) 小 林 美貴子. て,Scholesがどのような楽曲(教材曲)を選定. ン,メンデルスゾーン,シューマン,ショパン,. していたかを見ることができ, 「学校音楽教育向. 古典派音楽とロマン派音楽,グリーグ,エルガー. けの著作」と「音楽史の解説書」との著作の位置. 2) となっている 。. づけの差異を鮮明にすることができる。また,あ. 大半の章は「生徒のメモ」および「教師のため. る楽曲をどのような教材として選定しているかを. のメモ」から成る。「生徒のメモ」は鑑賞する際. 見ることで,Scholesの教材観を探ることができ. に前もって生徒に与えておくべき内容であり,①. る。. 各章での教材曲を示した「プログラム」,②各章 で扱われる音楽や作曲家の説明,③各章で扱われ. 2.調査対象. る特に重要な作品,④作品の様式と形式,⑤楽器 といった5つの項目に分けられる。「教師のため. 本研究で対象としたScholesの著作は,次の3. のメモ」は,教師が授業の準備として勉強する内. 点である。. 容である。更に,参考教材曲を紹介する「追加の. ①Scholes, P. A. (1921) Learning to Listen by. レコード」という項目もある。. Means of the Gramophone, The Gramophone.. Learning to Listenは,学校における音楽鑑賞. ②Scholes, P. A. (1927) The First Book of the. の課程が示された著作であるが,対象とされてい. Gramophone Record, Oxford University. る学年や年齢は明記されていない。しかし,掲載. Press.. されている楽曲として,子どもにとってわかりや. ③Scholes, P. A. (1925) The Second Book of. すい標題の音楽や歌,小品が数多く取り上げられ. the Gramophone Record, Oxford University. ていることから,本書は小学生を対象として書か. Press.. れたと考えられる。. 上記①に示したLearning to Listen by Means of. 2−2.The First(Second)Bookの概要. the Gramophone(以下,Learning to Listen)は. これらは,数あるレコードの中からScholesが. 学校音楽教育向けの著作である。②に示したThe. 選出した,50あまりのレコードにもとづき,各音. First Book of the Gramophone Record(以下,. 楽の説明を記したものである。主に,The First. The First Book),および③に示したThe Second. Bookではバードの楽曲からシューベルトの楽曲. Book of the Gramophone Record(以下,The. まで,The Second Bookではシューベルトの楽曲. Second Book)は音楽史の解説書である。なお,. からストラヴィンスキーの楽曲まで挙げられてい. The First Bookは1924年に初版が出されたが,本. る。The First(Second)Bookは2冊に分かれて. 研究では,筆者が所蔵している第2版(1927年に. いるが,著作の性質から,本研究では1冊と見な. 出版)を使用することとした。第2版では,初版. して検討する。. の際には出版されていなかったポリドールおよび. The First(Second)Bookにおいて選定されて. パーロフォンレコードも含まれている。. いるレコードは,順に番号をつけられ,時代を追っ. 2−1.Learning to Listenの概要. て配列されている。更に,扱われる楽曲の楽譜の. グラモフォン社が出版したLearning to Listen. 一部分も,合わせて紹介されている。. は,蓄音機を使用した最適な音楽鑑賞の方法を明. また,The First(Second)Bookは,Scholesの. らかにすることが目的として書かれたものであ. 3) 著作であるThe Listener’s History of Music の手. る。15章で構成されており,その内訳は,フォー. 引書として用いることが意図されているため,そ. クミュージック,エリザベス1世時代のイギリス. れぞれを対応させて読むことをScholesは推奨し. の作曲家,パーセル,ヘンデル,バッハ,ハイド. ている。レコード鑑賞のための著作であるThe. ン,モーツァルト,オーケストラ,ベートーヴェ. First(Second)Bookは,一般音楽愛好家が音楽. 446.

(4) Scholesの音楽鑑賞教育における教材. 史を学ぶための著作であるThe Listener’s History. の作曲家は,両方の著作で多く選定されている。. of Musicに連動している書籍であることから,. 楽器に着目すると,Learning to Listenでは英国. The First(Second)Bookは,大人の教養として. で人気のあった小型の鍵盤楽器であるヴァージナ. 音楽史の知識を鑑賞とともに身につけるための手. ル が,The First(Second)Bookで は ハ ー プ シ. 引書であったと推察される。. コードの音楽が選定されている。 Learning to Listenお よ びThe First(Second) Bookの両方の著作において,イギリスの作曲家,. 3.調査結果および考察. イギリスに関係の深い作曲家の作品を多く選定す. Learning to ListenおよびThe First(Second). る傾向がある。ただし,両方の著作で重複する楽. Bookに掲載されていた楽曲の総数は216曲であ. 曲は2つしかなく,著作によって,教材として扱. り,そのうち Learning to ListenとThe First. う作曲者・楽曲に違いがあることがわかる。. (Second)Bookの両方に選定されたものは,29. 3−2.バロック時代の楽曲. 曲であった。. バロック時代の作曲家として,パーセル,クー. Scholes自身は音楽史の時代区分に分けている. プラン,ラモー,ヘンデル,バッハの5名が挙げ. わけではないが,ここでは便宜上,音楽史の一般. られている。中でも,パーセル,ヘンデル,バッ. 的な時代区分に従い,「ルネサンス」「バロック」. ハの楽曲を表2に示す6)。表2から,パーセル,. 「古典派」 「ロマン派」「近代」に区分し,調査結. ヘンデル,バッハの3名の楽曲は両方の著作にお. 果をまとめる。なお,以下の表1~7に示す「楽. いて取り上げられていること,共通して選定され. 曲名等」は,Scholesの著書に忠実に,原文また. た楽曲が数曲ずつあることがわかる。. は日本語直訳を示した。. また,The First (Second) Bookではハープシ コ ー ド や ピ ア ノ の 楽 曲 が 多 数 見 ら れ る が,. 3−1.ルネサンスの楽曲. Learning to Listenでは,加えてヴァイオリンや. ルネサンスの楽曲一覧を表1に示す。この時代. チェロの楽曲も見られることから,徐々に各種楽. 〈表1 ルネサンスの楽曲一覧〉 作曲者名等. 楽曲名等. Learning to Listen. モーリー. コラールバレエ Now is the Month of Maying. ○. ファーナビー. ヴァージナル独奏 Nobody’s Gigge. ○. マドリガル The Silver Swan. ○. ギボンズ. マドリガル What is Our Life ? 4). ウィルビー. ○. マドリガル Flora Gave Me Fairest Flowers. *. ○. マドリガル Stay, Corydon, thou Swain. フォード. マドリガル Since first I Saw Your Face. ウィールクス. マドリガル Sing We at Pleasure. The First Book / The Second Book. ○ ○* 5). ○*. ○. ○*. ○. バード. マドリガル Lullaby My Sweet Little Baby. ベネット. マドリガル All Creatures Now. ○. エドワーズ. マドリガル In Going to My Naked Bed. ○. ファーマー. マドリガル Fair Phyllis I Saw Sitting Alone. ○. トムキンズ. マドリガル When David Heard that Absalom Was Slain. ○. ベイトソン. マドリガル Cupid, in a Bed of Roses. ○. ブル. ハープシコード独奏 Galliard. ○. *. Learning to Listenの中で「追加のレコード」として挙げられた楽曲,すなわち参考教材曲を指す。. 447.

(5) 小 林 美貴子. 器の音色の聴取へと結びつけようとしていると考. 3−3.古典派の楽曲. えらえる。. 古典派の代表的な作曲家であるハイドン,モー. 一方で,バッハのいわゆる名曲(イギリス組曲,. ツァルト,ベートーヴェンの楽曲を,表3に示す。. ブランデンブルク協奏曲,平均律クラヴィーア曲. 両方の著作に共通して選定されたものとして,ハ. 集)は,Learning to Listenでは取り上げられて. イドンの交響曲「驚愕」,モーツァルトのオペラ. いない。. 「フィガロの結婚」より序曲,ベートーヴェンの 「クロイツェル・ソナタ」および交響曲第5番が 〈表2 バロック時代の楽曲一覧〉. 作曲者名. 楽曲名等. Learning to Listen. ハープシコード独奏 ガヴォット. ○. ○. . ヴァイオリン独奏 ソナタ 第1楽章,第2楽章. ○. . バスの歌 Arise, ye Subterranean Winds!(「テンペスト」). ○. ○. ヴァイオリン独奏 ソナタ 第3楽章,第4楽章. ○. . ピアノフォルテ独奏 プレリュード(「ハープシコードのための組曲」第5番より). . ○. ピアノフォルテ独奏 サラバンド(「ハープシコードのための組曲」第2番より). . ○. . ○. ゴールデン・ソナタ. . ○. アリア He shall Feed His Flock(「メサイア」). ○. . ピアノ独奏 組曲第5番よりエアと変奏曲(通称「調子の良い鍛冶屋」). ○. ○. レシタティーヴォとアリア O, ruddier than the cherry(「アチスとガラテア」). ○. . ヴァイオリンとピアノの二重奏 ソナタ第6番-アダージョとアレグロ. ○. *. . ヴァイオリン ラルゴ ト長調. ○*. . アリア Ombra mai fu(ヘンデルの「ラルゴ」の原型). ○*. ○. 「ディドとエネアス」より). ピアノフォルテ独奏 メヌエット(「ハープシコードのための組曲」第1番および 第8番より). ヘンデル. レチタティーヴォ Frondi tenere(「セルセ」より). バッハ. The Second Book. ○. ソプラノのレシタティーヴォとアリア When I am laid in the earth.(オペラ. パーセル. The First Book /. ○. 歌 Lascia ch’io pianga(「リナルド」). ○*. . ヴァイオリンとピアノ ソナタ第4番 ニ長調. . ○. 独唱 Where’er you walk(オペラ「セメレ」より). . ○. 独唱 Deeper, and deeper still(オラトリオ「イェフタ」より). . ○. ハープシコード独奏 前奏曲 変ホ長調. ○. ○. チェロ独奏 ジーグ ハ長調. ○. . ハープシコード独奏 フーガ ホ短調. ○**. ○. ヴァイオリン独奏 G線上のアリア. ○. . ハープシコード独奏 フーガ ニ短調. ○**. ○. 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調. ○*. ○. ヴァイオリンの曲 ソナタ ホ長調(第2,4楽章). ○. *. . ヴァイオリンの曲 ガヴォット ホ長調. ○*. . ハープシコード独奏 Allemande(パルティータ第1番より). . ○. ハープシコード独奏 前奏曲 (イギリス組曲第3番より). . ○. ブランデンブルク協奏曲第3番 ト長調. . ○. . ○. . ○. 歌 Lift up your heads 7). ピアノ独奏 前奏曲とフーガ ハ長調(48のNo.1) *. Learning to Listenの中で「追加のレコード」として挙げられた楽曲,すなわち参考教材曲を指す。. **. Learning to Listenの中で,第13章「古典派音楽とロマン派音楽」においても取り上げられている楽曲を指す。したがって,バロッ. ク時代の作曲家であるバッハは,当時は古典派の作曲家であると考えられていたことがうかがえる。. 448.

(6) Scholesの音楽鑑賞教育における教材. 挙げられる。. よびメンデルスゾーンの楽曲を表4に示す9)。表. 3−4.ロマン派の楽曲. 4から,学校音楽教育向けの教材曲として,メン. ⑴ 前期ロマン派の楽曲. デルスゾーンの楽曲が多数選定されているが,音. 8). シューベルト ,メンデルスゾーン,シューマ. 楽史の学びにはメンデルスゾーンの楽曲よりも. ン,ショパンの楽曲を見ると,シューベルトは. シューベルトの楽曲が多く選定されていることが. Learning to Listenには僅か1曲選定されている. わかる。. にすぎないが,The First(Second)Bookには複. ⑵ 後期ロマン派の楽曲. 数選定されている。一方,メンデルスゾーン,. ワーグナー,グリーグ,チャイコフスキー10)の. シューマン,ショパンについては,歌曲,ピアノ. 楽曲は,両方の著作に共通して選定されている。. の小品,弦楽四重奏曲といった小編成の楽曲や,. この時代の例として,グリーグおよびチャイコフ. 標題音楽がLearning to Listenに多く選定されて. スキーの楽曲を表5に示す11)。表5から,両方の. いるが,The First(Second)Bookにはあまり見. 著作に共通する楽曲は,グリーグの「ペール・ギュ. られない。この時代の例として,シューベルトお. ント」およびチャイコフスキーの組曲「くるみ割. 〈表3 古典派の楽曲一覧〉 作曲者名. 楽曲名等 交響曲「驚愕」. ハイドン. モーツァルト. ○(第2楽章のみ). The First Book / The Second Book ○. おもちゃのシンフォニー(第1楽章). ○. . 歌 Rolling in foaming billows(「天地創造」). ○*. . ヴァイオリン メヌエット ニ長調 第2番. ○*. . ヴァイオリン メヌエット. ○. *. . 弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.64, No.3. . ○. 独唱 With verdure clad(オラトリオ「天地創造」より). . ○. 弦楽四重奏曲 ニ長調. . ○. 序曲 フィガロ. ○**. ○. 独唱 Deh vieni non tardar, oh gioia bella(オペラ「フィガロの結婚」より). . ○. モテット Ave Verm. ○. . アリア Ah, my pretty brace of Fellows(「後宮からの誘拐」). ○. . オーケストラの曲 序曲「魔笛」Part1, Part2. ○. *. . 歌 Twilight(「フィガロ」より「Voi che sapete」). ○*. . 歌 Love, I pray on me take pity(「Porgi amor qualche ristoro」). ○*. . 歌 Gone for ever these days of pleasure(「フィガロ」). ○. *. . 二重唱 “Là ci darem la mano”(オペラ「ドン・ジョヴァンニ」より). . ○. 弦楽四重奏曲 変ロ長調. . ○. 独唱 In uomini, in soldati(オペラ「コシ・ファン・トゥッテ」より). . ○. 弦楽四重奏曲 ト長調 No.387よりフィナーレ. . ○. ヴァイオリンとピアノのソナタ クロイツェル・ソナタ(Op.47). ○. ○. 第1楽章. ○. 全楽章. ○*. ○. ピアノ三重奏 トリオ第4番よりアダージョ. ○. . ヴァイオリンとピアノの2重奏 “ディベルティメント”からメヌエット. ○. . ヴァイオリン独奏 Rondino. ○*. . 弦楽四重奏曲 ト長調 Op.18, No.2. . ○. 歌 In questa tomba oscura. . ○. 交響曲第5番 ベートーヴェン. Learning to Listen. *. Learning to Listenの中で「追加のレコード」として挙げられた楽曲,すなわち参考教材曲を指す。. **. Learning to Listenの中で,第13章「古典派音楽とロマン派音楽」においても取り上げられている楽曲を指す。. 449.

(7) 小 林 美貴子. 〈表4 シューベルトおよびメンデルスゾーンの楽曲一覧〉 作曲者名. 楽曲名等. Learning to Listen ○***. 未完成交響曲 シューベルト. メンデルスゾーン. The First Book / The Second Book ○. 歌 Wohin?. . ○. 弦楽四重奏曲 ニ短調 第14番よりアンダンテ. . ○. 歌 Erlkönig. . ○. 楽興の時(Op.94). . ○. 序曲 真夏の夜の夢. ○. 歌 I’m a Roamer. ○. ピアノ独奏 ロンド・カプリチオーソ. ○. 歌 O rest in the Lord(「エリヤ」より). ○. 結婚行進曲. ○***. 「リュイ・ブラース」序曲. ○***. オーケストラ ノクターン(「真夏の夜の夢」). ○*. オーケストラ スケルツォ(「真夏の夜の夢」). ○*. 歌 It is enough(「エリヤ」). ○*. 歌 Lord God of Abraham(「エリヤ」). ○*. ○. ○*. ヴァイオリン独奏 On wings of song *. 春の歌(ピアノ独奏のアレンジ). ○ (オーケストラ). オーケストラ Bee’s Wedding(ピアノ独奏のアレンジ). ○*(オーケストラ) ○(ピアノ独奏) ○*. 弦楽四重奏 カンツォネッタ 変ホ長調 春の歌 (3つ上と同じ楽曲). *. ○ (ピアノ独奏). *. Learning to Listenの中で「追加のレコード」として挙げられた楽曲,すなわち参考教材曲を指す。. ***. Learning to Listenの中で,第8章「オーケストラ」においても取り上げられている楽曲を指す。. 〈表5 グリーグおよびチャイコフスキーの楽曲一覧〉 作曲者名. グリーグ. 楽曲名等. Learning to Listen ○. . ピアノ独奏 ノルウェーの結婚行進曲. ○. . オーケストラ ドワーフの行進曲. ○. . 歌 ソルヴェイグの歌(「ペール・ギュント」より). ○. ○. 朝(「ペール・ギュント」第1組曲から). ○***. ○. オーセの死(「ペール・ギュント」第1組曲から). ○***. ○. オーケストラ アニトラの踊り(「ペール・ギュント」). ○*. ○. オーケストラ 山の魔王の宮殿にて(「ペール・ギュント」). ○*. ○. オーケストラ 羊飼いの少年(「抒情小曲集」). ○. *. . オーケストラ ノルウェーの農民行進曲(「抒情小曲集」). ○*. . 序曲(組曲「くるみ割り人形」より) 行進曲(組曲「くるみ割り人形」より) 金平糖の精の踊り(組曲「くるみ割り人形」より). . ○. ○***. ○. . ○. ○. ***. . ○. アラビアの踊り(組曲「くるみ割り人形」より). . ○. 中国の踊り(組曲「くるみ割り人形」より). ○***. ○. あし笛の踊り(組曲「くるみ割り人形」より). ○****. ○. 花のワルツ(組曲「くるみ割り人形」より). ○****. ○. Learning to Listenの中で「追加のレコード」として挙げられた楽曲,すなわち参考教材曲を指す。 Learning to Listenの中で,第8章「オーケストラ」においても取り上げられている楽曲を指す。. ****. 450. ○. ロシアの踊り-トレパーク(組曲「くるみ割り人形」より). *. ***. The Second Book. ピアノ独奏 春. 蝶々 (「叙情小曲集」). チャイコフスキー. The First Book /. Learning to Listenの第8章「オーケストラ」において「追加のレコード」として挙げられている楽曲を指す。.

(8) Scholesの音楽鑑賞教育における教材. 〈表6 エルガー,ドビュッシー,ホルストの楽曲一覧〉 作曲者名. エルガー. ドビュッシー. ホルスト. 楽曲名等. Learning to Listen. The First Book / The Second Book. オーケストラ 行進曲「威風堂々」 No.1(Op.29). ○. . 歌 To the Children. ○. . ヴァイオリン独奏(ピアノ伴奏) La Capricieuse. ○. . 2つのオーケストラの作品 1.飼い馴らした熊 2.野生の熊. ○. . オーケストラ バイエルン舞曲1,2. *. ○. . 歌 「My old tunes」,「The Starlight Express」,「Curfew Song」. ○*. . 歌 「The Laugher’s Song」. ○. *. . 歌 「Hearts must be soft shiny dressed」. ○*. . オーケストラ 序曲(「子どもの魔法の杖」第1組曲). ○*. . オーケストラ 太陽の踊り(「子どもの魔法の杖」第1組曲). ○. *. . オーケストラ セレナーデ(「子どもの魔法の杖」第1組曲). ○*. . オーケストラ 小さな鈴(「子どもの魔法の杖」第2組曲). ○*. . オーケストラ 妖精の笛吹き(「子どもの魔法の杖」第1組曲). ○. *. . オーケストラ 蛾と蝶々(「子どもの魔法の杖」第2組曲). ○*. . オーケストラ 行進曲(「子どもの魔法の杖」第2組曲). ○*. . オーケストラ 妖精たちと巨人たち(「子どもの魔法の杖」第1組曲). ○. *. . エニグマ. . ○. ****. ≪牧神の午後≫への前奏曲. ○. ○. 火星(「惑星」より). . ○. 金星(「惑星」より). . ○. 水星(「惑星」より). . ○. 木星(「惑星」より). . ○. 土星(「惑星」より). . ○. 天王星(「惑星」より). . ○. 海王星(「惑星」より). . ○. 無言歌 行進の歌. . ○. *. Learning to Listenの中で「追加のレコード」として挙げられた楽曲,すなわち参考教材曲を指す。. ****. Learning to Listenの第8章「オーケストラ」において「追加のレコード」として挙げられている楽曲を指す。. り人形」 の楽曲であることがわかる。また,グリー. あるが,「子どもの魔法の杖」に含まれる楽曲を. グの「抒情小曲集」の楽曲は,両方の著作に選定. 中心としてLearning to Listenに多くの楽曲が選. されている。. 定されているものの,The First(Second)Book. 3−5.近代の楽曲. には僅か1曲しかない。また,ディーリアス,ホ. 両方の著作を通して,近代の作曲家として,エ. ルスト,ラヴェル,ストラヴィンスキー他,当時. ルガー,ドビュッシー,ディーリアス,デュカス,. の「新しい音楽」は,The First(Second)Book. シベリウス,V. ウィリアムズ,ホルスト,ラヴェ. でのみ選定されている。. ル,クィルター,ブリッジ,スコット,ストラヴィ. 3−6.フォークミュージック. ンスキーの12名が挙げられている。この時代の例. 表7に示した通り,フォークミュージックは. として,エルガー,ドビュッシー,ホルストの楽. The First (Second) Bookに は 掲 載 さ れ て お ら. 曲を,表6に示す。. ず,Learning to Listenのみで選定されている。. 近代の作曲家の作品の中で,両方の著作に共通. つまり,The First (Second) Bookにおいて音楽. して選定されている楽曲は,ドビュッシーの「牧. 史を学ぶ上では,フォークミュージックが教材曲. 神の午後への前奏曲」のみである。また,エルガー. と見なされていないということがわかる。これは,. は両方の著作に名前が挙げられている作曲家では. 人々の日常にある大衆的な音楽は,音楽芸術の歴. 451.

(9) 小 林 美貴子. 〈表7 フォークミュージックの楽曲一覧〉 作曲者名等. 楽曲名等. Learning to Listen. イングランドの歌 . John Peel. ○. スコットランドの歌. John Anderson, My Jo. ○. フォークダンス. Kirkby Malzeard Sword Dance. ○. アイルランドの音楽. Londonderry Air (“Danny Boy”). ○. フォークダンス. Flamborough Sword Dance. ○. ウェールズの歌 . All through the Night. ○. フォークソング . The Lowland Sea. ○*. フォークソング . Father O’Flynn. ○*. フォークソング . Mentra Gwen. ○*. フォークダンス . Rufty Tufty and Parson’s Farewell. ○*. フォークダンス . If All the World Were Paper; Mage on a Cree. ○*. フォークダンス . Gathering Peascods. ○*. フォークダンス . Sellenger’s Round. ○*. フォークダンス . The Old Mole. ○*. フォークダンス . Jenny Pluck Pears. ○*. フォークダンス . Three Meet (“The Pleasures of the Town”). ○*. フォークダンス . The Butterfly. ○*. フォークダンス . Goddesses. ○*. フォークダンス . Hunsdon House. ○*. The First Book / The Second Book. *. Learning to Listenの中で「追加のレコード」として挙げられた楽曲,すなわち参考教材曲を指す。. 史の上では価値のあるものと見なされないことに. うに見える。それ故に,英国関連の音楽でも選定. 起因しているといえる。. されない場合も散見される。. 一方,Learning to Listenに選定されたフォー. この理由として,両方の著作の性格が挙げられ. クミュージックは,イングランド,スコットラン. よう。子どもたちにとって親しみやすい音楽であ. ド,アイルランド,ウェールズの歌および音楽,. るフォークミュージックを採り入れている. フォークダンスの音楽であり,更にこれらの楽曲. Learning to Listenに 対 し,The First(Second). は,Learning to Listenの第1章に配列されてい. Bookにおいて教養として音楽史を学ぶ際には,. る。このことから,子どもたちがわかりやすく親. フォークミュージックのような大衆音楽は採用さ. しみやすい音楽から鑑賞,すなわち聴き方の練習. れていなかった。. を始める意図が感じられる。. また,Learning to Listenにおいてエルガーは 重視されており,特にオーケストレーションにつ. 4.教材曲とScholesの教材観. いてはベートーヴェンと比較しても引けを取らな い作曲家であると説いている12)ことからも,英国. 本研究で調査対象とした,学校音楽教育向けの. 音楽を特に重視する姿勢は,ナショナリズムの傾. 著作であるLearning to Listenと,西洋芸術音楽. 向が色濃く出ているといえる。. の 音 楽 史 の 啓 蒙 書 で あ るThe First(Second). The First(Second)Bookでは,西洋芸術音楽. Bookでは,どちらも英国に関連する作曲家の作. の音楽史の教養をバランスよく啓蒙しようとする. 品を多く選定している。前者では,音楽史におけ. 姿勢が見られる。自国の作曲家贔屓があるものの,. る英国音楽の特徴や,英国の作曲家を取り上げる. ディーリアス,ホルストなど,当時の「新しい音. 傾向が特に強い。後者では,西洋芸術音楽の歴史. 楽」を積極的に選定している様子がうかがえた。. 全体の中で重要な音楽を優先して選定しているよ. 前述したように,両方の著作に選定されている. 452.

(10) Scholesの音楽鑑賞教育における教材. 総楽曲数は216曲であるけれども,両方の著作に 共通する楽曲は,僅か29曲である。このことから, Scholesは教材を選択するにあたって,子ども向 けの楽曲と,教養のための音楽史に必要な楽曲と. 取り上げられているのは,第8章「オーケストラ」の みである。 9)同時代の作品として,他に,Learning to Listenには ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲およびベルリ オーズの 「ハンガリー行進曲」 が選定されている。また,. を明確に区別していたと考えられる。. 表4にあるシューベルトの「歌 Erlkönig」までの楽. Learning to Listenでは,フォークミュージッ. 曲はThe First Bookに, 「楽興の時(Op. 94) 」以降の楽. ク,歌,独奏曲や二重奏曲,小品,標題音楽が多 数採用されている。つまり,比較的小さな作品や 楽器編成が小編成の作品,音楽を聴いて情景を想 像しやすい楽曲が中心に選定されている。子ども が親しみやすく,比較的聴取しやすい楽曲を用い て,Scholesは,音楽鑑賞の練習,すなわち聴き 方の練習を計画したといえよう。 一方,The First (Second) Bookでは,音楽史 を学ぶことが意図されているため,その視点で教. 曲はThe Second Bookに掲載されている。 10)Learning to Listenにおいて,チャイコフスキーの楽 曲が取り上げられているのは,第8章「オーケストラ」 のみである。 11) 他に,ヴェルディ,R.シュトラウス,グノー,フ ランク,ブラームス,ムソルグスキー,ドヴォルザーク, リムスキー=コルサコフも挙げられている。ただし, グノーはLearning to Listenに選定されており,グノー 以外はすべてThe Second Bookに選定されている。 12)Scholes, P. A. (1921) Learning to Listen by Means of the Gramophone, The Gramophone, p.150.. 材曲が選定されている。音楽史を学ぶ上で重要と. 附 記. される作品や芸術的な価値が高いとみなされる作 品を優先するため,Learning to Listenに見られ た親しみやすさ,聴き取りやすさの条件は不要と なる。したがって,大衆の音楽や,「おもちゃの シンフォニー」のような子どもにとって分かりや すい標題音楽は,結果的に省かれていたといえよ. 本研究は,JSPS科研費(16K17434)の助成を 受けている。また,本研究は,日本音楽教育学会 平成29年度北海道地区例会(於:北海道教育大学 釧路校)の発表内容を再構成したものである。. う。. 参考文献 注. Cox, G. (1993) A History of Music Education in England. 1)山本文茂(1994)「音楽教育」『ニューグローヴ世界. Cox, G. (2002) Living Music in Schools 1923-1999:. 音楽大事典』第4巻,講談社,p.146. 2)内訳の表記は,原文に忠実に日本語直訳した。 3)The Listener’s History of Musicは3巻構成であり, 第1巻が1923年に出版された。16世紀以降の代表的な 作曲家が時代順に配列され,各作曲家およびその作曲 家の代表的な作品に関する解説が記されている。 4)Learning to Listenでは「Willye」と表記されている が,The First Bookに記載の「Wilbye」と同一作曲家 であると判断した。 5)Learning to Listenでは「Little」の表記はない。 6)表2から省略したクープランおよびラモーの楽曲に ついては,ハープシコードのための楽曲がそれぞれ1 曲ずつ,The First Bookに選定されている。 7)これは,バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻第 1番(BWV846)である。 8)Learning to Listenにおいて,シューベルトの楽曲が. 1872-1928, Ashgate. Studies in The History of Music Education in England, Ashgate. MacPherson, S. (1910) Music and its Appreciation, or the Foundations of True Listening, Joseph Williams. Moutrie, J. (1981) “The Appreciation Movement in Britain: MacPherson, Read and Scholes”, Simpson, K. (Ed.), Some Great Educators, Novello, pp. 60-69. Scholes, P. A. (1921) The Book of the Great Musicians: A Course in Appreciation for Young Readers, Oxford University Press, second edition. Scholes, P. A. (1923) The Listener’s History of Music, vol. 1, Oxford University Press. Scholes, P. A. (1929) The Listener’s History of Music, vol. 2, Oxford University Press. Scholes, P. A. (1929) The Listener’s History of Music, vol. 3, Oxford University Press.. 453.

(11) 小 林 美貴子. ショールズ,パーシー A. /藤本良造訳(1960)『聴く 人のための音楽史 上』筑摩書房. ショールズ,パーシー A. /藤本良造訳(1960)『聴く 人のための音楽史 下』筑摩書房. Symes, C. (2004) “A sound education: the gramophone and the classroom in the United Kingdom and the United States, 1920-1940”, British Journal of Music Education, Vol. 21 No. 2, Cambridge University Press, pp. 163-178.. (札幌校准教授). 454.

(12)

参照

関連したドキュメント

The method employed to prove indecomposability of the elements of the Martin boundary of the Young lattice can not be applied to Young-Fibonacci lattice, since the K 0 -functor ring

At Geneva, he protested that those who had criticized the theory of collectives for excluding some sequences were now criticizing it because it did not exclude enough sequences

The torsion free generalized connection is determined and its coefficients are obtained under condition that the metric structure is parallel or recurrent.. The Einstein-Yang

It is suggested by our method that most of the quadratic algebras for all St¨ ackel equivalence classes of 3D second order quantum superintegrable systems on conformally flat

Next, we prove bounds for the dimensions of p-adic MLV-spaces in Section 3, assuming results in Section 4, and make a conjecture about a special element in the motivic Galois group

Transirico, “Second order elliptic equations in weighted Sobolev spaces on unbounded domains,” Rendiconti della Accademia Nazionale delle Scienze detta dei XL.. Memorie di

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

S., Oxford Advanced Learner's Dictionary of Current English, Oxford University Press, Oxford