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裸足によるラダートレーニングの有効性(その1) : 中学生の体力の向上に着目して

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(1)Title. 裸足によるラダートレーニングの有効性(その1) ― 中学生の体力の向 上に着目して―. Author(s). 杉山, 喜一; 横山, 規宏. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 71(1): 389-395. Issue Date. 2020-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11410. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第71巻 第1号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 71, No.1. 令 和 2 年 8 月 August, 2020. 裸足によるラダートレーニングの有効性(その1) ― 中学生の体力の向上に着目して ―. 杉山 喜一・横山 規宏* 北海道教育大学岩見沢校スポーツコーチング科学コース *. 士別市立多寄中学校. Effectiveness of Barefoot Ladder Training on the Spot(Part 1) ― Focus upon the Improvement of Physical Fitness of Junior High School Children ―. SUGIYAMA Kiichi and YOKOYAMA Norihiro* Department of Sport Coaching and Science, Iwamizawa Campus, Hokkaido University of Education *. Tayoro Junior High School. ABSTRACT According to an annual report on physical fitness of school children, it is documented that the level of physical fitness of school children in Hokkaido is lower than the national average. As a background that brings the decrease of physical fitness level, our previous studies indicated that various changes of lifestyle and consciousness including the aspects of health and physical conditions should be considered. Considering previous studies, it seems to be suggested that the strategy focused upon the bared ladder training on the spot is discussed to improve their physical fitness in physical education program. The purpose of this study was to investigate the effects of the bared ladder training program on the aspect of physical fitness of school children. Participants(n=18)were male and female students of local junior high school. They were divided into control and experimental groups. Instead of normal warm-up exercise of physical education class, ladder exercises on the spot were introduced under the shod condition in control group and the bared condition in experimental group. The ladder training program on the spot set 11 items consisting of sequential motions in 6 mins, and performed two to three times a week during 3 weeks in an experimental group. The both groups were asked to perform fundamental motor ability tests(20 meter dash, stepping, and standing jump)before and after the 3 week session. The statistical treatment indicated that the score of standing jump test in the experiment. 389.

(3) 杉山 喜一・横山 規宏. groups was significantly improved in the post test. Reversely this ladder training resulted in the decrease of 20 meter dash in experimental group despite no significant difference in control group. The present study shows that the difference between the bared and the shod was not clear, but the ladder training on the spot seems to have some benefits on improvement of physical fitness on physical fitness for school children. This finding can extract useful information for educational guideline to incorporate ladder drills into PE program.. 緒 言 2002年に中央教育審議会は「子どもの体力向上のための総合的な方策について」文部科学省に答申を行っ た。そのなかで,子どもの体力の現状について「子どもの体力・運動能力は,昭和60年ごろから現在まで低 下傾向が続いている。また,運動する子どもとしない子どもの二極化の傾向が指摘されている」と述べてい る。その後2008年度より,文部科学省による全国の小学校5年生と中学校2年生を対象とした「全国体力・ 運動能力,運動習慣等調査」が開始された。 杉山他(2008)は,北海道の子ども達の体力・運動能力が全国平均より低いことに注目して,小学校4年 生,6年生,中学校2年生を対象に,子ども達の体調や生活習慣,生活環境,生活意識等を含めたトータル な生活実態について報告している。そしてその中で子ども達の体力向上をはかっていく上で,スポーツ活動 や運動行動の参画に慣れ親しむための環境面の充実をはかることの必要性を,学校,家庭,地域,行政のレ ベルにわたって強調している。そして学校教育においは,体育授業がそのニーズに応えるべく主要な役目を 果たしていることから,授業の一部あるいは業間休み等の中で,何らかの工夫が求められている。とりわけ 学校教育においては,体育授業がそのニーズに応えるべく主要な役目を果たすべきだとした上で,杉山他 (2013)は,子ども達の体力向上を目的に小学4年生の授業の中にラダートレーニングを導入した結果,一 部の体力テスト種目においてその有効性を認めている。 このラダートレーニングは,梯子のような器具を用いて,素早く動く為には, 「どう動くべきか」を判断し, (脳からの指令により)実際に身体を動かすという2つのプロセスをうまく連動させることで,敏捷性や調 整能力といった運動神経系の改善が期待される。ラダートレーニングを含むさまざまなコーディネーション プログラムが小学生の素早い動きの向上に有効であり,神経系の機能と密接な関係する調整力を顕著に発達 する可能性があり,発達途上にある生徒達の体力向上をねらいとしたラダートレーニングの有効性について 検討する意義は大きい。これまでの報告においても,学校教育における子ども達の体力向上を目的に,学校 の体育授業でのラダートレーニングの導入によって,一部の体力テスト種目においてその有効性が指摘され ている。 例えば杉山他(2014a, b)は,小学校6年生を対象としてラダートレーニングを導入したことで,ストラ イドの向上に伴う最大疾走速度の向上ならびに反復横とびの記録の向上について報告している。このことは ラダートレーニングが,スピードや敏捷性を高める効果を示唆している。さらに小学6年生を対象に,体育 授業においてラダートレーニングを3週間実施し,体力向上に関する有効性について検討した。その結果, ラダートレーニングを通じてすべてのラダーエクササイズの上達が認められ,このような習熟に伴い20m ダッシュならびに反復横跳びおよびステッピングにおける記録の向上を認めている。 ところでこのようなラダートレーニングの練習効果をより一層促進させる工夫として,本研究では裸足に. 390.

(4) 裸足によるラダートレーニングの有効性(その1). よるラダートレーニングに注目した。これまで報告では,裸足によるランニングが,接地局面における衝撃 をより大きくすること(Dickson et al.; 1986)や,足の接地パターンもリアフットからミッドフットに移行 しやすいことなどが知られており,これらの影響に慣れることで,ランニング動作への改善が期待される。 金子他(2016)によると,日常的に「裸足」を取り入れることで足趾を含めた下肢の機能性が高まるとの指 摘もある。水島他(2016)は,小学生を被験者として,裸足条件とシューズ条件における,30m走,反動付 き垂直跳び,連続5回リバウンドジャンプの記録を比較し,裸足条件での疾走速度が高い児童は,跳躍運動 の遂行能力が高いことを報告している。また,Brigit et al.(2000)は,裸足時はシューズ着用時と比較して, 疾走時の脚の支持局面で,脚の動きに弾力がなくなると報告している。これらの先行研究では,裸足による 運動は下肢の機能改善や,ランニング動作の改善,運動能力の向上に効果があることなど様々な効果がある ことが示唆されるが,報告例が少なくさらなる検討が必要と思われる。 さまざまなステップを裸足の状態で重要視するラダートレーニングの有効性については,まだまだ不明な 点が多く,特に子ども達を対象にした新たな検証は,今後の普及を目指す上でも興味深い。そこで本研究で は,中学生を対象にした裸足によるスタンディングラダートレーニングの有効性について検討し,子どもの 体力向上を視座に,今後の体育授業における積極的活用に関する知見を得ることを目的とする。. 方 法 1.対 象 被験者は,士別市内のT中学校の第1学年~第3学年の男女生徒計18名とした。ラダートレーニングに関 して,被験者はシューズを履いて実施する群(SD群)と裸足で実施する群(BF群)の2つのグループにラ ンダムに分けられた。トレーニングの導入にあたっては,被験者及び学校長に予め研究の目的や趣旨につい て説明し,通常の保健体育授業の予備運動として実施することで了承を得た。 2.実験期間・場所 実験は2016年11月中旬から11月下旬の約3週間,計6回にわたって士別市内T中学校体育館にて実施した。 3.トレーニング内容 今回導入したラダートレーニングは,1つのマスを利用してその場での全力ステップを繰り返すような連 続ドリルとし,これを保健体育授業の冒頭に行った。内容は,1種目あたり8秒間の全力ステップで24秒間 のインターバル(休憩)をはさんで合計11種目を行うことで6分間のウォーミングアップとした。 実施にあたっては,十分な運動量を確保しつつ,効率的・効果的に実施できるよう2人一組で実施した。 実施場所は,日常の体育学習でも実施しやすいようにバドミントンコートのシングルスサイドラインとダブ ルスサイドラインを活用して,その間の距離である420㎜の正方形をラインテープにより作成して,大人数 が一度に実施できるようにした。種目の選定にあたっては,ウォーミングアップとして十分な運動量を確保 できることと,体力要素の一つである巧緻性,敏捷性をバランス良くトレーニングできること,被験者が運 動を学習しやすいことを考慮し,8種類11種目を設定することとした。運動種目は,神経系機能の改善やス ピード能力の育成をねらいとして,両足交互操作を行うケンパー,ボックス(4種目),左右シャッフル, ステッピングの7種目と,両足同時操作を行う十字ジャンプ,左右ジャンプ,前後ジャンプ,クロスカント リーの4種目とした。. 391.

(5) 杉山 喜一・横山 規宏. 4.体力測定および撮影方法 トレーニングを行う前後に,3種目の体力測定を実施した。体力測定はCasio社製のデジタルカメラ EXILIM EX-FC500sおよびEX-ZR800を用いて高速度撮影(毎秒120コマ)を行った。時間の測定については, ビデオからカウントされたフレーム数より算出した。距離の測定については,二次元動作解析ソフト Kinoveaを用いて算出した。 1)20m走 T中学校体育館において,ビデオカメラ2台を使用して測定を実施した。 1台目は,ゴールの延長線上12.5m地点に設置して,スタートからゴールまでの全景が撮影できるように した。撮影したビデオを解析して,フレーム数から20m走の記録時間を算出した。2台目は,15m地点の延 長線上に設置し,スケールとしてテープを貼った14m ~16mの区間のスケールと1/2サイクルのランニン グ動作からピッチとストライドを算出した。いずれの群の被験者も,靴を履いた状態でスタート地点からス ターターの旗と声の合図によりスタンディングスタートでスタートし,全力疾走で20mのゴール地点を駆け 抜けた。なお,記録の測定は1回とした。 2)立ち幅とび マット上において,ビデオカメラ1台を使用して実施した。マットには,スケールとして2mのテープを 貼った。その1m地点の延長線上6.5m地点にビデオカメラを設置した。撮影したビデオを解析して,跳躍距 離は,踏切線とより踏切線に近い方の接地点との距離を算出した。被験者は,助走せずに踏切線に触れない ようにして各自が反動をつけて全力で跳躍を行った。なお,記録の測定は2回実施して,跳躍距離の長い方 の記録を分析の対象として用いた。 3)ステッピング ビデオカメラ1台を使用して,ラダートレーニングで用いられるラインテープで囲んだ一辺が420㎜の正 方形の内側でステッピングを8秒間実施させた。ビデオカメラは10m離れた地点に設置した。撮影したビデ オを解析して,開始直後と終了直前の約1秒間を除いた中間部分の6秒間の回数を測定した。被験者は,ス ターターの旗と声の合図でその場での足踏みを全力で実施するよう指示した。記録の測定は1回として2~ 3人同時に実施した。 4)データ処理 これらデータについてはスタンディングラダートレーニング実施前の群間の比較は対応のないt検定を, 同一群におけるスタンディングラダートレーニング実施前後の比較は対応のあるt検定を用いて統計処理を 行った。統計処理については,エクセル統計2012(エスミ社製)を用いた。なお,有意水準は5%とした。. 結 果 表1は,スタンディングラダートレーニング前後における,BF群およびSF群の20m走の記録および15m 付近のピッチとストライド,立ち幅跳び,ステッピングについての体力測定結果を示している。 まず20m走については,BF群においてスタンディングラダートレーニング後に0.1秒の低下が認められ有 意差が認められたが,SD群においては有意差が認められなかった。なお疾走速度にかかわるピッチやスト. 392.

(6) 裸足によるラダートレーニングの有効性(その1). ライドにおいては,BF群およびSD群いずれも有意差は認められなかった。一方立ち幅とびでは,BF群に おいてスタンディングラダートレーニング後の記録の伸び率が大きく有意差が認められたが,SD群につい ては有意差が認められなかった。さらにステッピングに関しては,両群ともスタンディングラダートレーニ ング前後の記録に有意差はみられなかった。 表1 ラダートレーニング前後の20m走,立ち幅跳び,ステッピングの結果 Pre. Post. 平均. 標準偏差. 平均. 標準偏差. T=. 有意水準. 記録(秒) ピッチ(歩/秒) ストライド(cm). BF. 4.2 3.8 166. 0.46 0.23 15.4. 4.3 3.7 163. 0.45 0.25 17.7. 2.123 0.823 1.011. * n.s. n.s.. 記録(秒) ピッチ(歩/秒) ストライド(cm). SD. 4.2 3.8 168. 0.38 0.34 22.1. 4.2 3.7 169. 0.37 0.32 20.0. 1.247 1.010 0.181. n.s. n.s. n.s.. 立ち幅跳び(㎝ ). BF SD. 163 166. 31.0 33.1. 174 169. 33.7 34.9. 6.155 1.191. * n.s.. ステッピング(回/6秒). BF SD. 66 64. 6.6 6.2. 65 65. 10.7 9.5. 0.603 0.832. n.s. n.s.. 20m走. n.s.:有意差なし, *:5%で有意. 考 察 本研究では,従来のラダートレーニングの効果を踏まえつつ,さらにその有効性を促すために裸足による ラダートレーニングに注目した。その結果,SD群においては,いずれの種目においても有意差が認められ なかった。またBF群ではステッピングにおいては有意な変化はみられなかったものの,20m走の結果では 記録の有意な低下が,その一方で立ち幅跳びの有意な向上が認められた。従来の報告(串間他;2000)のよ うに,20mのような短距離種目と立ち幅跳びのような跳躍種目では,本来体力要素において相関性が高いこ とが知られているが,BF群にみられるトレーニング効果において相反する傾向がみられた点については非 常に興味深い。 シューズ着用と違って,裸足では足部の皮膚感覚が研ぎ澄まされ,また接地局面における足部の衝撃への 対応から,さまざまな影響について報告されている。例えばLieberman et al.(2010)によれば,習慣的に 裸足で走っている者の観察から,接地パターンの多くがミッドフットやフォアフットの場合が多い点を指摘 している。またDe Wit et al.(2000)によれば,裸足による走行時の接地の際の衝撃はシューズ着用より大 きくなる。このことから裸足のラダートレーニングは跳躍動作に必要とされる足の底屈動作を強化した可能 性がある。図子他(1995)によれば,リバウンドジャンプの遂行能力が滞空時間は筋力や瞬発力と関連し, 接地時間は神経-筋システムのコーディネーション機能により制御されるという。したがってリバウンド ジャンプに近い要素を持つラダートレーニングを裸足で行うことは,シューズと比較して接地時に変形する 粘性要素が少なく,接地時間がシューズよりも短縮される(尾上他;2017)ことから,立ち幅とびの記録向 上につながった可能性が考えられる。 その一方でBF群では,立ち幅跳びの改善がみられたにも関わらず,20m走の記録の有意な低下がみられ た。一般的に,実験開始時期が冬期間に入っている段階であり,冬の寒冷条件に伴って中学生の体力が低下 していく時期にある(神林他;2013)ことが考えられる。被験者の多くは降雪期までは自転車で通学してい. 393.

(7) 杉山 喜一・横山 規宏. るが,降雪以降は保護者の自家用車またはスクールバスによる送迎となる。したがって単発的な跳躍運動と は異なり,短距離走のような移動性の伴う運動の活動量が少なくなるこの時期においては,疾走記録の低下 といった影響が考えられる。その意味で言えば,床面をしっかり踏み込めるといった利点を生かしたシュー ズ着用によるラダートレーニングは,体力低下の防止にある程度貢献したかもしれない。 裸足によるラダートレーニングは,接地時間の短縮で接地箇所への衝撃力も高い(Divert et al.; 2005)こ とから,シューズ着用によってそれら衝撃がじゅうぶん緩衝される。これによりシューズ着用によって,ラ ダートレーニング特有の踏みつけ動作に対して生徒たちがしっかり集中できたかもしれない。実際に,床の 温度の低さと硬さが相まって,裸足群の一部の被験者から接地衝撃による軽い痛みが報告されている。この 時期の裸足によるラダートレーニングは,やはり接地衝撃への緩和のため床面への踏み込み動作がじゅうぶ んではなく,結果的にその効果が現れにくかった可能性がある。ラダートレーニングはすでにSAQトレー ニングの一部として普及しつつある(犬塚・原;2009)。しかしながら中学女子を対象に行った報告(原田他; 2007)では,複雑な動作や切り返しを行うラダートレーニングを実施した場合でも,50m走のような全力で 直線的な動作を行う運動能力にはほとんど影響を及ぼしていない。また鉄口他(2010)は,大学生男子サッ カー部および剣道部の学生を被験者とした実験において,シューズ着用時は裸足時より体力テストにおいて 優れた結果が出る傾向があるという。したがってこのような寒冷状況では,むしろシューズを履くことの方 が,記録の向上につながったかもしれない。 さて運動量が減少し体力低下しやすい積雪期間において,むしろ裸足によるトレーニングによって立幅跳 びにおける改善が認められた点について,大いに注目したい。杉山他(2013)の報告では,通常のラダート レーニングにおいて,20m走やステッピングでは特に効果が認められなかったものの,跳躍種目の立ち三段 跳びにおいてそのトレーニング効果を認めている。立ち三段跳びも今回の立幅跳びも瞬発力を測定するため の跳躍種目である。一般的にラダートレーニングは,様々な種類の下肢の運動を積極的に繰り返すことで, 瞬発力というよりはむしろ神経系の改善による全身の動きの調整能力を高める運動である。したがって安光 他(2010)が指摘するように,ラダートレーニングのようなコーディネーションプログラムが素早い動きの 向上に有効であることを考えると,瞬発力よりはむしろ神経系の機能と密接な関係がある調整力が顕著に発 達させる可能性がある。その意味で,裸足によるラダートレーニングによって,瞬発力が有意に向上した点 に注目しながら,今後は動作解析等を含めて運動学的に分析していく意義は大きい。 以上のことから,裸足やシューズによる場合の違いについてまだまだ不明な部分が多く,今後は被験者の 特性や実施時期さらには動作分析も含めてより詳細な分析が必要とされる。. まとめ ラダートレーニングは,調整力(巧緻性・敏捷性・平衡性・協応性)の向上といった側面から,生徒の体 力向上が期待される。また足部の皮膚感覚を高め接地衝撃や接地パターンへの影響を考えると,裸足による トレーニング効果について検討することの意味は大きい。そこで本研究ではSD群とBF群に分かれて,ラダー トレーニングを週2~3回,計3週間にわたって体育授業の中で実施した。そして20m走,立ち幅跳び,ス テッピングの3つの体力測定によって,特に裸足によるラダートレーニングの有効性について検討した。そ の結果,SD群においては,いずれの種目においても有意な変化は認められなかったものの,BF群において は,立ち幅跳びにおいて有意な改善が,一方で20m走において記録の有意な低下が認められた。裸足のラダー トレーニングによる影響として,しかしながら,走能力や敏捷性の改善につながる効果は認められなかった。 本研究では,子ども達の体力向上を目指したラダートレーニングに注目し,一部の種目において,その有効. 394.

(8) 裸足によるラダートレーニングの有効性(その1). 性を認めた点では注目していきたい。ただ実施時期や運動種目といった条件によっては,裸足よりもシュー ズ着用の方が良い場合も想定されることから,今後はこれらについても詳細に分析が必要とされるであろう。. 参考文献 ・Dickinson JA, Cook SD, Leinhardt TM(1985). The measurement of shock waves following heel strike while running. Journal of Biomechanics, 18⑹, 415-422. ・Divert C, Mornieux G, Baur H, Mayer F, Belli A(2005). Mechanical Comparison of Barefoot and Shod Running. International Journal of Sports Medicine, 26⑺,593-598. ・De Wit B, De Clercq D, Aerts P(2000). Biomechanical analysis of the stance phase during barefoot and shod running. Journal of Biomechanics, 33, 269-278. ・原田剛,鳥賀陽信央,金高宏文,山本正嘉(2007) .中学生女子バスケットボール選手を対象としたラダートレーニングの 効果.スポーツトレーニング科学,8,5-12. ・金子潤,長尾邦彦(2016).「裸足」経験者の歩行における下肢キネマティクスの特徴.調査研究ジャーナル,5⑴,13-18. ・神林勲,森田憲輝,奥田智靖,中道莉央,石澤伸弘,小野寺有香,高橋正年,山形昇平,朝倉潤,溝口仁志,楢山聡,中島寿宏, 志手典之,新開谷央(2013) .北海道の中学生における積雪寒冷期間前後の体力・運動能力.北海道大学紀要,63⑵,31-39. ・串間敦郎,稲田夏希,松迫睦美(2000).疾走速度に関係する体力要素の検討.宮崎県立看護大学研究紀要,1⑴,26-32. ・Lieberman DE, Venkadesan M, Werbel WA, Daoud AI, D’Andrea S, Davis IS, Mang’Eni RO, Pitsiladis Y(2010). Foot strike patterns and collision forces in habitually barefoot versus shod runners. Nature, 463, 531-535. ・水島淳,小山宏之,大山下圭悟(2016).「裸足」が児童の疾走動作に及ぼす影響:接地様式に着目して.発育発達研究, 73,13-19. ・尾上和輝,村上雅俊,仲田秀臣(2017).連続跳躍ジャンプにおけるシューズ着用がリバウンドジャンプパラメータに及ぼ す影響.大阪産業大学間環境論集,16,181-188. ・杉山喜一(1986).長距離走の疾走フォームに関する運動学的研究.北海道体育学研究,21,47-54. ・杉山喜一,神林勲,村田芳久,菅原克英(2006).女子長距離ランナーの疾走フォームに及ぼす運動学的要因.陸上競技研究, 25,2-8. ・杉山喜一,岡嶋恒,神林勲,岡安多香子,佐々木貴子,須田康之,横田正義,及川勝也,行徳義朗(2008) . 「北海道の子ど もの体力・運動能力と生活実態」,公開シンポジウム「北海道教育大学は学校・地域・家庭の教育力向上に貢献できるか」. 45-52. ・杉山喜一,神林勲,岡嶋恒,横田正義,前上里直,須田康之,及川勝也,岡安多香子,佐々木貴子,野寺克美,行徳義朗(2013). 子供の体力向上のためのラダートレーニングの有効性(その1) .北海道教育大学紀要(教育科学編) ,63⑵,85-93. ・杉山喜一a,神林勲,岡嶋恒,横田正義,前上里直,須田康之,及川勝也,岡安多香子,佐々木貴子,野寺克美,行徳義朗, 佐藤和(2014) .子供の体力向上のためのラダートレーニングの有効性(その2).北海道教育大学紀要(教育科学編) , 64-1,111-118. ・杉山喜一b,神林勲,岡島恒,橫田正義,前上里直,須田康之,及川勝也,岡安多香子,佐々木貴子,野寺克美,行徳義朗, 佐藤和(2014) .子どもの体力向上のためのラダートレーニングの有効性(その3).北海道教育大学紀要(教育科学編) , 64,111-118. ・杉山喜一c,山口恵美,佐藤和,山内武(2014) .子どもの疾走能力向上のためのラダートレーニングの有効性.陸上競技 研究,99,21-28. ・鉄口宗弘,澤田崇明,太田順康,三村寛一,野中耕次,福井哲史(2010) .大学生の裸足時と運動靴着用時の運動能力の相 違について.大阪教育大学紀要,第Ⅳ部門,58, 2, 109-118. ・図子浩二,高松薫(1995).バリスティックな伸張―短縮サイクル運動の遂行能力を決定する要因―筋力および瞬発力に着 目して.体力科学,44,147-154. ・安光達雄,野川春夫(2010).小学校における業間中休みを使ったコーディネーションプログラムの効果,―すばやい動き に着目して―.スポーツパフォーマンス研究,2, 233-245.. (杉山 喜一 岩見沢校教授) (横山 規宏 多寄中学校教諭). 395.

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