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「援助困難」のみかた-沖縄県地域福祉権利擁護事業の実態調査(2007)から-: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

「援助困難」のみかた−沖縄県地域福祉権利擁護事業の実

態調査(2007)から−

Author(s)

西尾, 敦史

Citation

沖縄大学人文学部紀要 = Journal of the Faculty of

Humanities and Social Sciences(10): 77-95

Issue Date

2007-12-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/6224

(2)

沖縄 大学 人文学 部紀 要 第10号 2007

援助困難」のみかた

一沖縄県地域福祉権利擁 護事業 の実態調査 (2007)か

ら-西

要 約 社会福祉の援助者はその援助場面で 「援助困難」 を抱 える ことが少な くないために、 「援助困 難」 を軽減する方法が必要 となる。そ こで 「援助困難」は、利用者 と援助者の 「計画 された変化 の過程」 に、 また人 と環境の相互作用の接点 に生 じるというソー シャル ワーク、 とりわけライ フ モデルのそれが培ってきた認識 を基本 に、個人の資源 と環境の資源 を評価す る分析枠組みを設定 した。 この枠組みを使用 し、沖縄県 における地域福祉権利擁護事業の実態調査 (2007)における「援 助困難」の要因を分析 した ところ、問題の要 因、 問題相互 の関連、 また制度 ・政策面での課題 を 明 らかにすることに一定の貢献があったo 「援助困難」 を客観的に、 また全体的 に見 ることのできるポジシ ョンを確保す る ことは、援助 実践面において も、政策決定 において も有効であ り、 ライフモデル ソーシャル ワークによるニー ズの分析枠組みの有効性 ・可能性 についてさらに検証 していくことが期待 され る。 キーワ- ド :援助困難、ライフモデルソーシャル ワーク、地域福祉権利擁護事業、専門員

、ICF

は じめに 社会福祉の実践場面につきまとう切実な課題がある。それは、 「援助困難事例」 とか、 「困難ケ ース」な どと呼ばれ、現場の援助職 を悩 まし続 けている。困難 という表現は共通 しているものの、 そ こには処遇、指導、援助、支援、対応、接近な ど多様な用語が使われている。表現 の違 いは、 それぞれの援助職のバ ックグラウン ドとなっている医療、保健、福祉、 司法、教育な どの領域 に よって異なるが、多 くはそれ らが、援助者がその援助の過程 に感 じる困難であ り、おおむね個別 事例 (ケース) として記述されている点で共通 してお り、援助職相互の事例研究や研修 において 常に持ち出されるテーマ となっている. 社会福祉の領域では、福祉事務所の生活保護ケース ワーク実践 において良 く取 り上げ られ、厚 生労働省の関係文書 にも頻繁 に登場 している。最近では、介護保険制度開始以来、介護支援専門 員 (ケアマネジャー)関連の記事や多様な実践研究が 目立つようになってきた印象があるQ福祉 事務所の現業員 (ケースワーカー) には戦後か らの長い伝統があ り、ケアマネジャーはその職務 が成立 してか ら日が浅 いという違いはあるものの、 いずれ もその援助職 としての専門性 という課 題が背景に見え隠れする、古 くて新 しいテーマ といえるO 「援助困難が増えている」 という言説には、社会の状況が複雑 になってきてお り、援助 の対象 となっている利用者 ・家族の抱える問題 も潜在化、複雑化、深刻化 している状況の表れ と見 るこ とができる。一方で、援助職、援助専門職の専門性や力量、 またその体制な ども援助困難 を生み 出していると見ることもできる。子 ども虐待 を例 に挙げれば、虐待 という行為 自体が増加 してい る面 と、虐待そのものは古 くか ら存在 していた ものの、虐待 という事実が新たに見出されてきた

(3)

-77-沖縄大学人文学部紀要 第10弓・ 2007 ことによ り顕在化 し、通報件数が急増 してきた という両面がある。 さらに、そ うした状況に伴っ て相談援助の機関である児童相談所や社会的養護の役割 を担っている児童福祉施設の役割が拡大 し、その実施体制が急増す るニーズに追いつかないという事態がさらに援助困難 を拡大 している 事情 も見逃す ことができない。 本稿では、援助困難が援助側 と被援助 (利用者)側双方に要因があ り,その相互作用の接点に 生 じるという認識 を基本的な前提 に している。 これは、人 と環境の接点 に生 じる生活問題の解決 をめざ してきたソー シャル ワー クの基本的な視点であ り、 とりわけライフモデルのそれを問題認 識の枠組み として現実の 「援助困難」 に接近 していきたいと考えている。 取 りあげる実態は、判断能力に不安のある利用者の生活面での支え となる地域福祉権利擁護事 業である。2007 (平成19)年7月に沖縄県社会福祉協議会が実施 した地域福祉権利擁護事業の 実態調査の中か ら、事業 にかかわる援助専門職である専門員が感 じる援助が 「困難な理由」の分 析 を行 い,困難性軽減の実践的な方法論の提示 を試みた。 援助職 につきまとう援助困難は、 当人にしてみれば、それが多 くのス トレスの源であ り、その 専門性 の評価や待遇 とともに日常の業務 に対する無力感 を増大させ、バー ンアウ トの原因にもな ってお り、す ぐれて実践的な課題でもあるか らである。 1 「援助困難」の分析枠組み 援助困難が援助職にとっての長年のテーマであるだけに、さまざまな実践研究が存在する。 こ こでは、先行研究 を概観 し、分析 ・整理 された要素を用いつつ、ソー シャル ワークの人間観、ニ ーズのアセスメン ト方法に基づき、援助困難の分析枠組みの設定 を行 いたい。 (1)先行研究 にみる 「援助困難」 和気純子は介護保険制度下 における 「困難ケース」 について分析 し、その対応 に必要な視点や 条件 を検討 している. 「困難ケースなるものが、支援す る側 の論理 によって形成 (構築) される という前提にたち、困難ケースを同定する客観的な基準は設けず、高齢者ケアマネ ジメン トに携 わる専門職が、利用者の 自立生活 を支援する過程 において主観的に困難 と感 じる利用者を困難ケ ース とす る」 と定義 した上で、先行研究 を整理 している日。 まず、欧米 においては援助困難 という概念が存在せず, 「多問題家族」あるいは 「援助 を求め ない利用者」が存在するが、その要点 を以下の4点 にまとめている。 1)多数の問題が重層的に存在 している

2)

関係機関による家族全体 を視野に入れた包括的なアプローチが重要である 3)多次元 にわたる多様な実践活動が展開されている 4)積極的に介入する予防的なアプローチが重視 されている 日本 においては、措置制度の下において も 「援助困美軌 が課題 となっていた。福祉事務所のワ ーカーによる単独支援 の限界、またサー ビスの専門分化 による弊害の認識のもとで、市町村 レベ ル にお ける保健、医療、福祉の連携や統合 によって解決 を図るため、1990 (平成2)年 に、市 町村 に 「高齢者サー ビス調整チーム」が設置 された ことを指摘 している。 このチーム 自体は、地 域の格差や形骸化な どの問題があ り、あま り実効はあが らなかったよ うであるが、連携や協働が 援助困難 を解決する手立て と考え られていた点では先行的な取 り組み といえる。 2000 (平成12)年以降は、介護保険制度 によって利用者の量的な拡大や社会福祉以外の領域 の保健医療専門職が介護支援専門員 として相談援助活動の第-線で業務 を担 うことになった こ と、 さ らに従来の措置制度か ら保険制度への移行 によ り、 これ まで措置権 者として困難ケースの 対応 に責任 を有 していた行政の責務や役割が不明瞭 とな り、関係機関の責任回避や連結不十分な

(4)

西尾:「援助困難」 のみかた 状況が恒常的なものとなった ことに起因 して、困難ケースをめ ぐる問題が深刻化 していると分析 している。 こうした状況の変化の中で、体系的な調査研究が行われるよ うになってきたのであ り、その結 果を概観すると、高齢者ケアマネジメン トにおける困難ケースには、以下の特徴があるとす る。 1)痴呆をは じめ とする精神的な問題か らくる判断能力の低下 とキーパー ソン不在 による意 思決定機能の低下 2)介護力の脆弱化 を含む介護者側の諸問題

3)

サービス利用拒否な ど こうしたケースへの対応 に苦慮 している介護支援専門員が直面する課題 として、 4)利用者やその家族が意思決定できない状況における対応や責任範囲が不明確であること 5)行政や他の機関 との連携困難 な どを挙げている。 岡田朋子は、相談支援機関の相談支援者 を対象に支援国難事例調査 を行 っている(2)。 その中で、 自立 した市民は一般的に、① 自らの生活課題 を認識-②相談機関に相談 に行 く-(診 サー ビス情報 を得て 自らの判断でサー ビを選択す る-④サー ビス提供を受けるという基本的な プ ロセスにおいて福祉保健の生活課題 を解決 しなが ら生活 しているという。 しか し、何 らかのサー ビスへのニーズを持ちなが らも、 自ら声 を上げ られない人々や解決が特段難 しい課題 を持つ 「生 活困難層」が存在する。それ らの人々の生活課題は、家族構成員の減少や世帯の単身化がすすむ 現在、家族員や地域での支援がないまま、生活上の困難が即サー ビス提供上の課題 ・ニーズ とな って表面化 し、①∼④の相談援助 プロセスの各段階で次のような困難 を抱えることになるという。 ① 自らの生活課題の認識 に支障がある ② 相談機関に相談に行けない、行かない ③ サー ビスを判断、選択、契約することが難 しい ④-i サー ビスを受ける水際での,つなぎや準備 に手助けが必要 ④-ii サー ビス提供を受けつつ も、長期間にわたる相談支援が必要 ④-iii適切なサー ビスがないため、新たなサー ビス開発が必要 こうした 「生活困難層」の人々への生活相談機能は、昨今の福祉改革以降、各々の分野で、公 的機関を含めて相談 システムの専門化、多元化が進んでお り、公的機関の役割 もまた変化 して き ている中で、相談支援が適切 に機能 しているかの検証が必要であるとしている。 その上で、支援困難を次の

5

点 に分類 している0 1)利用者が もつ課題の困難性 (例 :虐待、 DV、認知症、アル コールな ど) 2)利用者 と支援者の間に生ずる困難 (例 :家族や地域にキーパーソンがいない) 3)制度 ・サー ビス上の困難 4)支援者側の困難 (例 :多忙で十分に取 り組めない) 5)支援の仕組み, システム上の困難性 (例 :関係者 とチームを組む ことが了解 されていな い) 以上の先行研究 における 「援助困難」は、調査対象が異なるものの、それが利用者側 と援助者 側双方にその要因が見出せ ること、 また、利用者本人の問題 と利用者 を取 り巻 く環境の問題、援 助者本人の問題 と、援助者の環境 (制度や援助 システム)の問題が含 まれてお り、 またその相互 関係の接点 (特に相談 システムのあ り方) に困難性が生起 していると見ることができる。 厚生労働省が設置 した 「社会的な援護 を要す る人々に対す る社会福祉のあ り方 に関する検討会」 の報告 もこの間題 について示唆的である。 「近年、社会福祉の制度が充実 してきたにもかかわ ら

(5)

-79-沖縄大学人文学部紀要 第10号 2007 ず、社会や社会福祉の手が社会的援護 を要する人々に届 いていない事例が散見」 されると指摘 し てお り、従来の主たる対象の 「貧困」にとどまらず、 「心身の障害 ・不安」 (社会的ス トレス問題、 アル コール依存、等)、 「社会的排除や摩擦」 (路上死、中国残留孤児、外国人の排除や摩擦、等)、 「社会的孤立や孤独」 (孤独死、 自殺、家庭内の虐待 ・暴力、等) といった問題の重複 ・複合化 を 見据えている(3)。 その うえで、問題が発生 しなが ら解決 に至 らない理 由を、本人、家庭、地域、職域の要因、行 政実施主体 の要因、福祉サー ビスを提供す る側の要因の各諸面 に分類 している。行政実施主体の 側 においては 「業務の専門性が高まる反面、その枠 に収ま らない対象者が制度の谷間に落ちるの を見過 ごす傾向が強 くなっている」 ことを指摘 してお り、必ず しも専門性が援助困難を解決する のではないことにもふれている。 さらに、 これ らの諸問題 に対応するための新 しい社会福祉の考え方 として、今 日的な 「つなが り」 の再構築 を図る ことな ど提言 してお り、その構築 にあたっては、(1)専門性の向上を図るた めの制度の分化 と、総合性 を確保するための制度の調和一 地域福祉の推進、(2)制度化 を必要 と す る課題 と、制度的でない手法 によって対応すべき課題 の整理 につ いての社会的合意形成、(3) 専門家の養成 ・確保 と幅広 い住民の参加、(4)主体性 と社会的支援 との調和、(5)個人のプライバ シ一 ・自由と社会福祉の連結のあ り方の整理な どの課題 を示 しているo (2) ソーシャル ワークの見方 クライエ ン トとソーシャル ワーカーの 「計画された変化の過程」 つぎに、 ソーシャル ワークの基本的なモデル を見ておきたい。 図1は、 クライエ ン ト (利用者) とソーシャル ワーカー (援助者)が共 に社会福祉の制度 ・サ ー ビス と社会的環境 によって影響 を受 ける変化のプロセスに参加 している状態を表 している。 こ の接点 を 「計画 された変化の過程」 (ThePlannedChangeProcess) という。援助による生活状況の 好転 も悪化 もこのプロセスの中に生起 していると見ることができる。 クライエ ン トの側 を見 ると、それぞれのクライエ ン トは、個人的な特徴 (目標、信念、認識、 ス トレングス、限界な ど) を持 っているOニーズや知識、能力、生活経験な ども大きな意味をち つ。 また、 クライエ ン トは孤立 して存在 しているのではな く、友人や家族、同僚、雇用者、近隣 の人び とな どの直接的環境だけでな く、近隣や コミュニテ ィのグループ、社会制度 ・政策、物理 的な環境な どの間接的環境 によって影響を受ける存在である(4'。 ソーシャル ワー クの定義 (IFSW 2000) には、 「人び とがその環境 と相互 に影響 し合 う接点 に 介入す る」 とある(5)。 ソー シャル ワー クは、個 人 と個人の環境 に同時 に焦点 をあて、その相互関 係 に関心 をもち、 クライエ ン トが、 「彼 らのもつ可能性 を十分 に発展 させ、その生活 を豊かな も のにし、かつ、機能不全 を防 ぐことができるよ うにす る」ために介入 し、援助 を行 うのである。

こうした個 人 と環境の相互作用 を考 える思考方法 をP IE (PersonlnEnvironment)理論 という が、今 日のソーシャル ワークの最 も基本的な認識 といっていい。 しか し、 また、 当然ソーシャル ワーカー 自身 も個 人の性格や職業的なバ ックグラウン ドという 本人の要素 と同時 に所属する機関や トレーニ ングを受けた教育、資格制度な どに影響を受けてい る。それはソー シャル ワーカーは 自分 自身を資源 として活用す ることを求め られることを意味す る。 クライエ ン トを全人 として (Whole) とらえる 「環境の中の人」 という人間観は、 ソーシャ ル ワーカー 自身にも当てはまるのであ り、それがソーシャル ワ-クのユニークな点で もある。

(6)

西尾 : 「援助困難」 のみかた

図 1 ソーシャル ワーク実践の統合 された見方 AnlntegrativeViewofSocialWorkPractice

社会環境 (3)ライフモデル によるアセスメン ト枠組み ソーシャル ワークの P IE理論の基本 となってきたのは、 ライフモデルソーシャル ワークであ るが、 この実践は人間のニーズ と環境の資源 との間の適合 (fit)の レベル に関す るアセスメン ト 方法を持っている。それが図2である(6㌔ たとえば、クライエ ン トが障害をもつ場合、身体的な状態 と本人の内部の資源 (動機、人生へ の見通 し、対処スキル、病気の意味づけ)などを評価する必要がある[個人の資源 personalResources]。 また、同時に組織的な資源 (医療スタッフ、看護、 リハ ビリテーシ ョン等のサー ビス)や社会サ ポー トネ ッ トワークの活用性 (家族、親族、友人、隣人)、物理環境 (建物や アパー トの車 いす のアクセ シ ビ リテ ィ)、財 政 的な資源 な どを評価 す る必要 が あ る[環 境 の資源 Environmental Resources]。 図2は こうした相互に関連 した、 クライエン トの内部の資源 と限界、環境の資源 と限界の影響 を示唆 している。 もしクライエン トが強い内部的、外部的な協力資源 を持 っていた ら (D)、 ソー シャル ワーカーの活動は、簡単な質問、助言、感情的な支持 に限定 されるo逆 に、 クライエ ン ト の個人的な資源が限 られていた ら (認知障害、慢性的な抑 うつ、身体的な強 さの欠如)、そ して 限 られた環境的、財政的資源 (子 どもがいない、友人が少ないな ど)であれば (A)、 クライエ ン トは、方向を見失い、状況 を悪化 させ、深刻な危険に陥る可能性がある。 この場合、 ソーシャル ワーカーは一定限の時期 にソー シャル ワーカー 自身がクライエン トにとっての重要な資源 になる ことが求め られることになる。 また、 もしクライエン トが限 られた個人的資源 と強い外部的な資 源 を持っていた ら (B)、クライエ ン トの生物的心理的社会的欠点 を補 う組織的な、ネ ッ トワーク

(7)

-81-沖縄大学人文学部紀要 第10号 2007 資源 を見つ ける ことが重要 にな る。 また、強 い個 人的 な資源 を持 ちなが ら、限 られ た環境的資源 しか もたな い場合 は (C)、 ソー シ ャル ワー カー は、別 の資源 を見 つけ るか、新 しい資源 をつ く るよ うにク ライ エ ン トを支援す る ことにな る。個 人 と環境 の適合 レベル を統合的 にアセ ス メン ト す る ことによ って ソー シ ャル ワー カー とク ライエ ン トは、 焦点 と方 向付 けを認識 した上で、 「計 画 され た変化 す る過程」 にお ける決定 をなす ことがで きるので ある。 図2 ライ フモデル ソー シャル ワー クのアセスメ ン トの概 念 環境の資源(E)

匿ヨ己五

低い 高い ・= !-

I

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(4)「援助 困難」の アセ スメ ン ト枠組み さて、以上の ライ フモデル ソー シ ャル ワ- クのニー ズ アセ ス メ ン トの枠 組み を借用 しつつ、利 用者側 と援助者側 にある (あるいは見 える)援助 困難 に関す る先行研 究等 にお ける主要な要 因を 分類 し類型化 してみ る と、表 1の通 り整理す る ことが可能 と考 え られ る。 表1 : 「援助 困難」 の アセ スメ ン ト枠組み 分 類 枠 組 み 想定 され る 「援助困難」 の種類 利用 者 本人 の問題 C-P 利 用者が もつ課題 の困難性 (例 :虐 待、 D V、 (ク ライ エ ン ト) 言忍知症、 アル コ-ル な ど) 自 らの生き舌課題 の認識 に支障 相談機 関 に行かな い、行 けな い、サー ビス拒否 サー ビスの選択や判断が難 しい 環境 の間是喜 C-E 介護 力の脆 弱化 を含 む介護 者側 の諸 問題 介護者 .家族構成 員 .キーパー ソンに問題 制度 .サ ー ビス上 の困難 物理 的】菓境 の問題 (バ リア フリーな ど) 援助者 本人 の問題 S-P 支援 者側 の困難 (多忙 で十分 に取 り組めない) (ソ- シャル ワー カー) 援助者 の専 門性 .経験 .資質 .能 力な ど 環境 の間碩 S-E 援助者 が所属す る組織 の問題、財政的な問題 対応 や責任範 囲が不 明確 である こと 行政や他機 関 との連携困難 .システム上の困難 悼 (関係者 とのチーム支援 が 了解 されて いない) 利用者 と援助者 の間 に生 じる問題 Ⅰ-CS 家族 や地域 にキーパー ソ ンが いない 利用者 と援助者 の間 に信頼 関係がない プライバ シー意識 の高 ま り

(8)

西尾:「援 助困難」 のみ かた

(C-Client.S-Socialworker,P-Per,son.EIEnvironmentを表す)

このように して見 る と、本研究 にお いて取 り上 げる地域福祉権利擁護事業は、社会福祉 の措置 制度か ら利用制度 への移行 に伴 って創設 された事業であ り、 「痴呆性高齢者、知的障害者、精神 障害者等判断能 力が不十分な者であって、 日常生活 を営む上で必要 とな る事項 につ き、 自己の判 断で適切 に行 うことが困難」(7)である ことを要件 としている ことを考慮す る と、利用者個 人の問 題 (C-P)が 前提 とな ってお り、 同時 にそれ によって権利侵害 な どの環境 の問題 (C-E)が拡大 したために、利用者の困難 を解決す るためのサー ビス として制度化 された とみる ことがで きるo (5)地域福祉権利擁護事業 について

2000

(平成

1

2)

年の社会福祉法 の改正、介護保険法 の施行 によって 日本 の社会福祉制度 は捨 置か ら利用制度への転換が図 られた。それは福祉サー ビスを必要 とす る本人が福祉サー ビス を選 択 し、 またそのサー ビス を提供す る事業者 と契約 を行 うことを意味す るO しか し、 自身の判断能 力が不十分であるため、福祉サー ビスを十分活用す る ことが困難 な利用者層が想定 された。 身の 回 りの ことや金銭管理がで きないな ど日常生活 上の問題状況があ り、家庭や施設での虐待、金銭 的搾取な どの権利侵害 も多数報告 された こともあ り、本人の立場 に立 って、適切な福祉サー ビス 等の利用を援助す るとともに、必要 に応 じて 日常生活上の金銭管理等の直接的なサー ビスをあわ せて提供する支援 の システムが導入 され る こととな った。それが地域福祉権利擁護事業である(8)0 契約 における判断能 力が不十分な者 につ いて,その能力を補充す るために代理人等 を定め, その 者が取引社会の犠牲 にされ る ことを防 ぐための 「成年後見制度」 と並んで重要な事業 とな った。 法改正 に先立つ

1

999

(平成

11

)

1

0

月か ら地域福祉権利擁護事業は全国の都道府県社会福祉 協議会 を実施主体 として開始 されている。 沖縄県では、沖縄県社会福祉協議会が 「県福祉サー ビス利用支援セ ンター」 を設置 し、県 内

5

か所の市社会福祉協議会 を基幹的社協 と位置づけ、そ こに配属 された専門員 (常勤職 員) が相談 援助業務 に、 また生活支援 員 (非常勤)が週1回か ら月 1回程度利用者宅 を定期的 に訪問 し, 日 常的な金銭管理 (年金,生活費な どの管理)な どの業務 にあたって いる。 沖縄県 にお け る利用実績 は

、2007

(平 成

19)

8

月現在、 累計契約 件 数

552

件 、相談 件 数 73,534件 とな っているo (表2,表3) 全国の各都道府県 と比較す ると、沖縄県 は、 人 口10万人あた りの相談件数で第 5位

(

1

,

638

件)、実利用件数で第

14

(

27

.

2

件) と充実 した活動 を行 って いる. しか しなが ら、ニーズの 増大 に見合 う専門員、生活支援 員の配置な どの実施体制が伴わず

、2007

(平成

1

9)

8

月現在、 この事業への申込みを受 けて いる ものの、契約締結 を行 うことがで きな い待機者が

1

57

名 に上 っ てお り、大変深刻な状況 となって いる。 沖縄県社会福祉協議会が実態調査 を行 った背景 には、 この事業 の相談援助 の活動実態 と事業 の 効果を明 らかに し,体制の充実 につなげたいとのね らいがあ った。 表 2 地域福祉権利擁護事業相談件数 (沖縄県) 年 度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 相談件数 74 256 307 2,873 4,847 12,560 19,105 22,286

(9)

-83-沖縄大学人文学部紀要 第10号 2007 年次相談件数推移 25,000 20,115,5,0,0000000000000

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4847125609,108● 表3 地域福祉権利擁護事業契約件数 (沖縄県) 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 契約件数 2 23 35 79 87 88 108 103 600 500 400 300 2001000

ノ5 I-閉

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I

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一.

2 調査結果の分析 (1)沖縄県 における地域福祉権利擁護事業実態調査の概要 「沖縄県 における地域福祉権利擁護事業実態調査」 は、事業のニーズの全体像、事業の意義 ・ 効果、事業 に伴 う権利擁護 の困難性、連携 の状況な どを分析 し、課題および今後 の展開の方向性 を明 らか にす るため沖縄県社会福祉協議会が実施 した もので、以下の項 目の調査 を行 っている(9)。 (D利用者調査 基 準 日 (2007(平成19)年7月20日) 時点で、利用契約 を結んで いる利用者 (全数374件) の状況 につ いて、各担 当専門員が個 々の利用者 の状況 につ いて、書面 にて回答。 (

5

か所 の基幹 的社協 の専門員 :南部地 区3名、中部地区4名、北部地区2名、宮古地区1名、八重山地区1名)

(10)

西尾 : 「援助 困難」 のみか た ②専門員調査 調査基準 日時点で、基幹的社協で、専門員 として活動 して いる専門

負 (

1

1名全数) に書面 によ るアンケー トを行 った。 (彰生活支援員調査 調査基準 日時点で、各基幹的社協で、生活支援員 として登録 を して いる生活支援 員 (全数

1

47

名) に書面によるアンケー ト調査 を行 った。 ④ 関係機関 ・施設調査 地域福祉権利擁護事業 に関係 のある機 関 ・施設

(

809

か所)へ調査票 を郵送 し、 関係機 関 ・施 設 にて調査票 に記載後 、 返信用 封筒 にて調査 票 を回収 した。 有効 回答 は

406

か所 で 回収 率 は

50

.

2%

o 以上の調査結果の分析 につ いては、 「社協 にお ける権利擁護 システム に関す る調査研究委員会」 が行 った。なお,筆者は委員会の委員であ り、作業部会の一員 として分析 を担 当 した。 本研究 にお いては調査項 目の①利用者個別調査 と②専門員調査 の結果 を取 り上げ、専門員によ る自由意見欄 の記述 を中心 に、相談援助 を担 当す る専門員が感 じる援助 困難 に焦点 をあて分析 を 行 った ものである。 (2)利用者個別調査の概要 利用者の対象区分は、認知症高齢者が

1

60

(

42.

8%)

、知的障害者が

82

(

21

.

9%)

、精神障 害者が

11

3

(

30

.

2%)

、その他が

1

9

(

5

.

1

%) となっている。 ①利用者の判断能力 事業の利用者は契約締結能 力が前提 とな って いる。成年後見制度 の類型では、 「補助」 な い し 「保佐」程度 を想定 した制度 とな って いるのが、調査では 「後見」程度 と見 られ る利用者

(

22

名、

5

.

9%)

があったo また、 「成年後見制度 につな ぐ必要がある」 とされたケースが

33

(

9%)

あ り、契約当時か らの時間的な経過 の中で判断能力の低下がすすんで きた もの と見 られ るが、成年 後見制度への移行が早急 に求 め られ る。そ うした状況 の中で、専門員が成年後見制度 に向けて関 係者の調整な どの準備 を行 いなが ら、市町村長 申立が行われなか った り、後見人が見つか らない などの理 由で移行が進 まない実態が明 らか にな った。 (参利用者の課題の改善 事業利用前の利用者の状況 ・課題 ごとの改善状況 の調査 にお いては、 …かな り改善目 された項 目として 「必要な福祉サー ビスの利用

」(

64

件)、 「必要な医療サー ビスの利用

」(

35

件)、 「公共 料金な どの支払 い

」(

231

件)、 「親族 ・知人等 による金銭搾取のおそれ

」(

90

件)、 「日常 の金銭管 理」

(

1

96

件)、 「通帳 ・印鑑な どの保管

」(

1

05

件)な どがあ り、 こうした生活 困難面 にお いては 事業利用の有効性が大 きい ことが明 らか になった。 一方で、 「消費者被害」、 「多額 の借金」 の項 目につ いて、 山変化 な しM ぁるいは …状況は悪化" が一定数見 られ、 「家族 の支援」、 「地域で の孤立」 につ いては =変化 な しけ が多 く見 られ る こと は、 この事業だけでの課題解決 の限界 も示 されて いる。 「消費者被害」、 「多額 の借金」 につ いて は、法的な支援 ・介入、 「家族 の支援」、 「地域で の孤立」 につ いては、地域 にお ける見守 り体 制 づ くりが期待 され る結果 となった。 ⑨利用者支援の困難 さ 「利用 者の困難 さ」 につ いては、 …やや感 じて いる"

(

27

.

0%)

、 山感 じて いる

M(

9.

6%)

"強 く 感 じている

=(

4.

0%)

とい う回答 を合わせ る と約

4

割 の利用者 について専 門員が困難である と感 じている。利用者の判断能 力、対象区分、生活保護受給な どについて大 きな違 いは見 られて いな い。判断能 力につ いて 「かな り不十分 (後見程度)」 で困難 の感 じ方がやや高 い ものの、他 の状 - 8 5

(11)

-沖縄大学人文学部紀要 第1()号 2007 祝 にお いて も困難 さが 同程度感 じられてお り、必ず しも援助 の困難 さは,利用者本人の判断能力 だけではな く「困難な理 由」について環境 を含 めた複合的な視点 による分析が必要 といえる。

(3

)支援 「困難な理 由」 専門員が支援 の過程で感 じている困難 につ いて、その原 因を含めて分析す るため 「困難な理 由」 につ いての 自由記述 について、 「支援 にあた って課題 とな ること

「関係機 関 に要望 したい こと」 に関す る 自由記述 とも重 さね合わせつつ, 同様 の枠組みで整理 を行 った。 整理 にあたっては、既述 した人 と環境の相互作用 に注 目するライ フモデル ソー シャル ワークの アセス メン トの分析枠組み をベース に、利用者本人 の判断能 力な どの資源 (P-Person)、本人を 取 り巻 く環境が もつ資源 (E-Environment) に分類 を試みた。た とえば 「対 人関係が うまくとれ ず、外 出ができな い」 はP (個 人) の問題、 「離島なので定期訪 問がで きず、状況の確認が難 し い」 はE (環境) の問題 とな るが、 「注意 して もなかなか聞いて くれな い」 とい う記述が果た し て、利用者本人の問題 であるのか、支援 にかかわ る専 門員 の信頼関係 の構築 の問題であるのか、 あるいは利用者 と援助者の接点 に生 じている関係性 の問題なのか、 見方が難 しい面はあるが、ひ とまとま りの記述が いずれか に含 まれ るよ うに した。 (表4) 表4 専門員が感 じる支援 「困難な理 由」の分類 個人 と環境 による 分類 問題類型 (-) P P-1利用者本人 ① 問題 自体 (アル コール、肥満、浪費な ど) 問題が本人の障害 に起 因す るもの @ 判断能力の低下 (保佐、後見程度 の方) ③ 病識 (問題認識)、訪問拒否、受診拒否 ㊨ 病気、ADLの低下、健康管理 ⑤ つなが り、関係 の不足 ⑥ 多額 の借金、多数の滞納、消費者被害 ⑦ 財産 の所有、処分、遺産相続 E E-1家族 .親族 @ 多問題、問題 の複合 .複雑化 ② 家族 .親族 による権利侵害 ③ 家族 .親族 との連絡 .対応 (遠足巨離等) ④ 友人 との関係、権利侵害 E-2権利擁護事業 ① サー ビスの量 (回数な ど) の不足 ② サー ビスの質 の不十分 ③ 利用 の適格性 の線 引き ④ 信頼関係の構築 @ 利用者の 日常の状況把握 E-3支援機関 (丑 サー ビス との (間の)連携 .ネ ッ トワー ク ② 地域 における見守 り、協 力体制 ③ 生活保護制度 との役割分担 ④ 利用者 の抱 え込み (連携が図れないな ど) 認知 知的 精神 他その 症高 障害 障害 齢者 育 者 9 1 1 3 6 2 3 2 3 4 7 4 1 1 1 1 1 3 1 2 7 2 6 2 2 5 2 2 2 1 1 1 1 3 2 4 1 1 4 1 1 1 4 1 1 1 1 1

(12)

丙尾:「援助困難」のみかた 環境の資源 については、 さ らに 「家族 ・親族」 (E- 1), 「権利擁護事業」 自体 (E- 2)、関 係機関 との連携 (E1 3) に分類 を行 ったOまた、記述の数の統計的な分析がね らいではないが、 参考 までに利用者属性 ごとの記述の数 を表の右 の欄 に掲載 した。 ここでは、事業の性格か ら当然、利用者本人抱 える問題 に関す る困難が多 いことが確認できる。 同時 に家族 ・親族 といった直接環境の影響が非常 に大 きい ことが改めて確認 された。そ こには多 問題家族が存在 し、家族 ・親族か らの経済的な権利侵害が 目立 って いる。 権利侵害 につ いては、 「法的支援」 の対応 が不 可欠であるが、成年後見制度 につなげる必要悼 の高いケース,あるいは虐待防止セ ンター (支援専門家チーム)等への引継 ぎ、連携体 制づ くり が期待 されるケースが多数ある ことがわか った。 そ うした利用者の生活困難状況 の支 え となる地域福祉権利擁護事業であるが、 「利用者 の 日常 の状況把握」 につ いては、専 門員の配置 とい う実施体 制 の限界か ら問題 が生 じてお り、援助者 (専門員)側の調査結果 とも整合す る結果 となった。 (4)援助困難 に対するス トレングスの活用 ライ フモデル を活用 した見方 の利点は、利用者本人の病気や障害 といった問題点だけに焦点 を あてるのではな く、本人を取 り巻 く多様な レベル の環境 とそ の相互 に影響 を与 えている関係性 を 含めて視野に入れる ことによって、本人の生 きる意欲やねが い、支 えや助 け とな って いる環境 の 資源のよさにも着 目する ことによって、介入 に多様な アプロ-チを可能 にす る ことである。 た とえば、環境 との相互作用の評価 (アセスメン ト)モデル図 (図

2)

を基 に,本 人の判断能 力が低下 してお り (p-)、家族か らの権利侵害がある (E-)場合 (A象限) の困難 に介入す る場 合 に、 「日中活動が盛ん」 という本人の資源 (P+)を活か してデイサー ビスや社会参加活動な ど を増やす よ うすす め (E+)、 また、法的な専門機 関 と連携 し成年後見制度 につなげる (P+)支 表5 支援 におけるス トレングスの活用 (専門員 による 自由記述か ら) P P-1利用者本人 保佐人が選定され、年金担保貸付により困窮することがなくなったoお金への執着(-)-生きる動機 .エネルギーにも (+お金を貯める喜び)o 昔の話が大好き.本人に病識があり、日中活動も盛ん○ E E-1家族 .親族 友人を資源として上手に付き合いながら生活を支えていくo 友だちも増え,仕事にも慣れ、充実した生活をしている○ E-2権利擁護事業 (専門 事業者との連携により、日常の生活状態把握が可能になったQ 自分の意思で行動していけるように支援する○ 変化する気持ちに上手に付き合い生活を支えるO 外出の機会を増やし、趣味を増やし、社会関係づくりを行うo 負 .支援員の関係性) 2週間の生活リズムをつくるように心がける○ 本人の生活意欲、自立をさまたげない支援.本人ができること引き出すo 本人といっしょに目標を立てて、達成に向けて励ます○ 段階的な支援内容で、金銭管理の自信をつけてもらい、自立度アップへ○ 同居している家族との関係を大事にしながら、支援○ E-3関係機 関 との連携 介護保険事業者,ケアマネジャー、グループホ-ムとの連携 (多数) サ-ビス機関、保護課ワーカーなどの役割分担ができている. 生活保護担当ワーカーが中心になり、ケース会議が開催されている○ 生活支援ワーカー、障害ケアマネが軸となって連携が図られている○

(13)

-87-沖縄大学人文学部紀要 第10号 2007 接 を行 うな ど、環境の資源 を動員す る ことによって (B象限)、支援 にあたっての困難 を解決ま たは軽減す ることが可能になるという見方を提供するのである。 この中で本人のもつ力を発揮するための 「エ ンパ ワメン ト支援」 については、本人あるいは環 境 ・資源のつよみ (ス トレングス) を認め、活かす発想や、本来的に備わった力がいきいきと発 揮 されるような支援が必要 となるだろう。 自由記述の中か らも、表5のよ うに 「外出の機会を増 や し、趣味 を増や し、社会関係づ くりを行 う

「本人の生活意欲、 自立をさまたげない支援。本 人ができること引き出す」な ど、訪問時のコミュニケー シ ョンを通 じて利用者本人 との信頼関係 を作 りなが ら、本人の意欲、生きがいを引き出す支援が実際に行われてお り、本人の力をつけ、 自己尊重感 を高め、 自信 をつける実践か ら学び、事業内容 を発展 させることが必要であろう。 (5)専門員個別調査 専門員は、 5か所の基幹型社会福祉協議会 に専任職員 として11名配置されている。業務の経験 年数 については、社会福祉関係の経験は3か月∼14年 8か月、平均 5年 3か月、本事業の専門員 としての経験は3か月∼ 8年 2か月、平均 4年 2か月となっている。所持資格 については、社会 福祉士6名、精神保健福祉士 1名、介護支援専門員 1名、社会福祉主事 5名な どとなっている。 専門員が担 当す る地域エ リアの面積 は,平均350.2平方kmで、大変広範なエ リアを担 当し、訪 問活動、市町村 との連携構築が困難な状況が明 らかになった。 (丑求め られる専門的知識 制度な どに関する知識、理解度 に関する自己評価 については、全体的に ``よく理解できている'' 割合が低 い結果 となった。調査では, 「介護保険

「障害者 自立支援法

「精神保健

「年金制度」 「医療保険制度

「公的扶助

「成年後見制度

「苦情解決

「消費生活制度」の9項 目についてた ずねているが、 …あま り理解できていない=割合が全体 の項 目を通 して高 く、不安 を感 じている 領域は、 「障害者 自立支援法

「医療保険制度

「苦情解決

「消費生活制度」な どとなっている。 (参市町村行政への要望 市町村行政 に対 して望む ことについては、 「財政面の支援」、 「事業への理解」、 「成年後見制度 市町村 申立て」、 「困難ケース」、 「死亡時の対応」 についてたずねている。 すべての項 目で 「不十分

「どち らか といえば不十分」 という回答が多いが、特 に 「財政面で の支援」 については、その割合が非常 に高 くなっている。 ③担当件数の基準 専門員の利用者担 当件数 については、40件が 目安 となっている。その適正 レベルについては、 全般的に 「多い」 との認識である。その理 由については、非常に広域のエ リアを担 当することに よる移動な どにかかる時間の問題、担 当す る市町村が多 く、 また多分野の専門機関 との連絡調整 の問題が指摘 されている。業務 に関 しては、 「多忙であった 日」が56%と多 く、 日常の業務 につ いて多忙 さを感 じている実態が明 らかになったO ④ 自由記述の分析 地域福祉権利擁護事業の根幹は、専門員の相談援助業務が担 っている部分が非常に大きいもの があ り、現状の専門員の配置では事業の発展が難 しい状況が明 らかになった。そ うした問題状況 を背景 として、 …市町村行政 に対す る要望"や "事業 を担 当 しての感想や思 い" についての自由 記述 にある問題点、提案な どを分析 し, 1)対応困難事例

、2)

専門性の向上

、3

)関係機関 ・ 市町村 との連携 ・調整体制

、4)

専門員の配置な どの実施体制 という課題 に整理することができ た。 特 に2)の専門性の向上については、多分野の専門知識に精通する必要がある専門性に対する 研修体制、事業のサー ビス範 囲を超 える支援 を求め られ る対応困難事例な どに対するサポー ト、

(14)

西尾:「援助困難」 のみかた 表6 専門員調査 自由記述の分類 1ニーズ 対応困難事例 生活保護受給者死亡の場合の遺留品の扱 い、葬祭家族 .親族か らの権利侵害 (金銭搾取) 消費被害 .浪費 .多重債務 .財産 問題 相談内容が幅広 い (権利擁護 のイ メー ジ)

2

連 携 1)市町村 との連 市町村行政の理解 (温度差) 市町村行政 の財政負担 漢 .調整 市町村長 申立制度 .成年後見制度利用支援事業の活用 市 における事業実施 (単独事業化) 市町村 における 「権利擁護 システム」 の構築

2)

関係機関 との 地域包括支援セ ンター との連携 生活保護 ケース ワーカー との連携 (まかせ き りの状態) 介護保険事業者、施設 との連携 はスムーズ 社会福祉協議会 のネ ッ トワー クをいかす 連携 .調整 地域 との連携 を とりやす い (支援体制) 関係機関 との調整 に時間がかか る 連絡会議 .ケース検討会議の開催 家庭裁判所、法律専門家 (弁護士、 司法書士等)連携 成年後見制度 の第三者後見 人の受 け皿不足 3啓 発 啓発 .教育の役割 市民の消費者教育 地域向け研修 .啓発の必要性 4事 業 制度の問題 生活保護世帯の利用料免除 5実施体刺 1)専門員配置 業務量の増加 心理的負担 .モチベー シ ョンの維持 広域での活動で移動時間がかか る (実施体制) 専門員の身分保障 (雇用形態) 事務処理の時間 .事務補佐 (負) の配置 専門員不在 の場合の対応 (金庫、支援員連絡等)

2)

専門性 の向上 専門員研修 .スキル ア ップ 専門知識 (制度、成年後見制度、法律な ど) 生活支援員研修 .交流会 日常の援助体制 (スーパー ビジ ョン) スーパー ビジ ョン体制の構築が急がれ、 4)の実施体制 については、期待 され る業務 ・専門性 の 高 さに比 して待遇の不安定 さな どの問題点が浮 き彫 りになった。 この分類 にお いては、援助 者本 人 (S-P)に該 当す る項 目は、 「専 門員研 修 ・スキル ア ップ」 「専門知識 (制度、成年後見制度、法律な ど)」 に限 られ、残 りの項 目は援助者 の環境 (S-E)の 問題であることが分か る。 (6)地域福祉権利擁護事業 における 「援助 困難」 以上、利用者調査及び専門員調査 の 自由記述か ら、専門員が利用者の援助 にあた って感 じて い る 「援助困難」 の実態 につ いて見て きた。 ここで確認 しておかなければな らない ことは、 いずれ の調査 も利用者側の感想 ・意見ではな く、 あ くまで専門員の感想 ・意見であ り、専 門員 によって

(15)

-89-沖縄大学人文学部紀要 第10号 2007 「語 られた」援助困難であるということは再確認 しておきたい。 利用者調査か らは、利用者個人の抱 える問題 (C-P)が、援助困難の理 由として多 くを占めて いるものの、利用者 を取 り巻 く環境の要因 (C-E)が非常 に大きいこともわかる。 これは家族 ・ 親族 ・友人の直接的環境 と、権利擁護事業 (サー ビス) とその他の援助環境に区分 してみたとき に、本来は社会資源 となるべき家族 ・親族 に多問題が存在 し、権利侵害やクライエ ン トの生活困 難 をつ くりだ していることも明 らかになった。 また、そ うした本人の生きる権利 を守るための公 的なサー ビスの不十分 さ、 また トータルな支援 システムの不在、機能不全が利用者支援の困難な 要因になっていることがわかった。 専門員調査の結果は、利用者の立場か ら見れば環境要因 (C-E)にも包含 され うるのであろう が、援助者個人の問題 (S-P)として専門的な知識、スキル アップの課題があ り、援助者の援助 環境 についての問題 (S-E)は非常 に多岐にわた り、 しか も解決の難 しい構造的な問題が見えて きている。そ うした援助環境の不十分 さは専門員の人的配置の限界か ら援助者個人には、その力 量 を超える能力を求める ことになるが、それを支援するためのスーパーバイズ体制の不十分な点 も浮き彫 りになったo専門的な知識、スキルアップについて も、研修や 自己研錆の機会が保障さ れねばな らないのであ り、個人の問題 と環境の問題はやは り相互 に関連 している。 また、両調査 を重ね合わせた ところか らは、成年後見制度や虐待防止の仕組みなど法的な支援 システムが十分機能 していないことが この事業に過大な役割を課 している状況があ り、本来的な 社会福祉協議会の機能 を活か した地域ネ ッ トワーク、見守 り体制づ くりについても市町村社会福 祉協議会 との連携がはか りにくい構造が明 らかになっている。 調査研究委員会では、 こうした調査分析結果 をもとに

、2007

(平成

1

9)

1

0

月に、権利擁護 の トータルなシステムの構築および事業の市町村への計画的 ・段階的展開を提言 している。 3 援助困難の分類枠組みの効用 ここでは ライ フモデルによる複眼的な 「援助困難」の分析枠組みが、地域福祉権利擁護事業に 限 らず、 ミクロか らマクロ、個別支援か ら制度 ・政策形成 にいたる領域で、 どのように活用 しう るかについて検討を行 いたい。 (1)ふたつの客観的なまな ざし 「『援助困難』ケースはつ くられ る」 というタイ トルの文章があるa 「援助困難ケース といわれ ているが、実際は困難なケースではな く、ケアマネジャーが援助困難 という状況をつ くり出 して いる場合 もある」〔上o)という。そ うな らないために、信頼関係の樹立、サー ビスの連絡調整な ど 対人援助の原則 をしっか り理解せよと叱畦 している。 また、 「援助者側 の対応や認識が十分でないためにかかわ り方が難 しくなっているにもかかわ らず、 『困った人』 とか 『大変な人』 という意味合いで 『支援困難事例』 という範暗 に入れてい る傾向が少なか らず ある」(川 という見方 もある。 「援助者が一方的にそれを 『問題行動』 という レッテル を貼 ることで済 ませて いる」 ともしてお り、 こうした援助者の価値観や援助の力量を問 い直す視点は確かに重要ではある。 しか し、 こうした見方だけでは、実際に問題解決の糸 口が見 出せなか った り、対応の効果が得 られず 自分 自身の力の無 さを痛感するという援助者が直面する 経験 に対 しては、 さ らに無力感 を増大 させ、援助者を追い込む ことにな りかねない。 そ ういう意味では ライ フモデルの枠組みは、援助者側 と利用者側の置かれた位置 を客観的に、 バ ランスをとってみることを可能にする。 奥川幸子は、対人援助 の構 図 という図式 において、 (1) クライ アン トが置かれている状況 を 的確 に把握 し、分析することと

、(

2

)援助者 としての自分が置かれている状況を明確 に洞察 し、

(16)

西尾: 「援助困難」のみかた 分析 してお くことが重要 としている(■コ)。 (1) においては、 (いま、 目の前の人は どこにいるか∼過去 ・現在 ・未来 の座標軸 (4次元) でみる)なかで、人 とその人固有の問題状況を理解すること、 どのような問題状況 にいるかを明 らかにして対処課題 (ニーズ) を引き出 し、共通認識すること、 (2) については、 (場のポジシ ョニ ング) として、 「私は、だれ に対 して、 どこで、何 をす る人か

「どこまで責任 をもてるか」 を自分に向けて問いかけ、 「システムの中の私、社会資源の一つ としての私、 システムを活用す る私、システムを行き来する私」 という認識の獲得が重要だ として、相談援助面接のための確か な知識 と技術 を磨 くことと同時 に、 「私へのバ ックア ップシステムが いる」 こと, コンサルテー ションのネッ トワークをもっ ことの重要性 を指摘 している。 こうした利用者の状況 と援助者の置かれた状況 を客観的に、 しか もバ ランスよ く見るポジシ ョ ンを確保することで、 「私だけが抱え込 まないですむバ ックア ップシステムがある」 と安心 して 活動できる状況 をつ くる ことが援助者や援助体制 に求 め られてお り、 「援助困難」 を客観視 し、 協働で取 り組む ことを促す という意味で、 ライ フモデルの枠組み と視点 を共有 している。 (2)近似モデル としてのIC F 今回の調査分析 には用 いなかったが、本人の問題が 「障害」 である場合は、国際生活機能分 類・ICFの分類が役立つと思われる(1`-)。

1980年 に作成 された国際障害分類・IC IDHでは、障害 を 「機能障害」(impajm ent)、 「能力障害」 (disability)、 「社会的不利」 (handicap)という 3つの レベルに分類 した点 に前進があ ったが、 ICFの特徴は、 IC IDHが 「障害」 をマイナス面か らの分類であったのに対 し、そ れ をさらに肯定的にみる視点 に転換 した ことである。従来の分類は、人間の 「心身機能 ・構造」

(bodyfunctions良 structure)、「活動」 (activity)、 「参加」 (participation)という用語 に置き換え ら れ、それ らの次元のすべてを包括す る用語 として 「生活機能」 (血nctioning)という全 く新 しい概 念 を登場 させた。 マイナス面 の評価 につ いて、 「活動」次元 にお いては 「活動制 限」 (activity llmitation)、 「参加」 の次元 にお いては 「参加制約」 (participationrestriction)という表現 とな り、 よ り中立的な表現に している。 ICFの第2の特徴は、生活機能 に対 しては、個人の もつ特徴 とともに、環境の影響が大 きい との認識に立って、新たに背景因子 (contextualfactors)を加えた点であるO この背景因子は、環 境因子 (environmentalfactors)と個人因子 (personalfactors)か ら構成 されてお り、環境因子 には、 支援機器、家族な どの人的環境、社会の意識や態度、法制度や医療 ・福祉 ・教育な どのサー ビス な どが含まれている。 この第2の特徴はライ フモデルの基本的認識 と共通 している。 第3には、 ICIDHで批判が多かった機能障害-能力障害-社会的不利 という一方向的 (原 因と結果の直線的)関係 について再検討が加え られ、人間の生活機能 と障害が、健康状態 と背景 因子に影響される各構成要素 (components)間において、図 3のように、すべての要素が他のすべ てと関係 しあう相互作用のモデル として説明されている点である。 さらに、背景因子の評価 においては、 「促進因子」 (facilitators)と 「阻害因子」 (bamers)とい う、 プラス とマイナスの両面か ら評価 し、それが 「生活機能」 と相互に関係 しあ う作用 として理 解 される。 また、 iC Fは人間 の生活領 域 を 3つ の側 面 に分類 して いるO 「心 身機 能 ・構 造」 (body f

unctions&stucrture)、 「活動」 (activity)、 「参加」 (participation)の領域は、それぞれ人間の 「生 物 レベル」(bio】ogica

l

)

「個人 レベル」(individua

l

)

「社会 レベル」(social) の 3つの次元 に対応 して いる。人間の生活領域 を分割 してみるのではな く、 3つの次元 を統合 して評価す る視点であ り、 従来、対立のあった 「医学モデル」 と 「社会モデル」 との統合を目指 したためで もある(14)0

(17)

一91-沖縄大学人文学部紀要 第10号 2007

図3 1C Fの構成要素間の相互作用 (lCF 2001:17)

健康1犬態

HealthCondition (変 調 ま た は 病 気 ) (diso「derordisease)

J J

J

心身機能 .身体構造 ■→ 活動 十 ・.一・.

.

.

.

奉加

BodyFunctions ActiVity Participation

&

strictu「e T T

l

l l

環境因子 個^EE]子

EnVi「omentalfacto「s Pe「SonalfaCto「S

背景団子 援助 に関 して 「障害」 に焦点 をあてて検討す る場合 には、 ICFのもつ生物、個人、社会の 3 つの分類次元が問題 の分析 に有効 である と考 え られ る。 また、環境 因子の 「促進因子」 と 「阻害 因子」 については、今 回は主 として問題点 を整理 した うえで、助 けになる社会資源や本人のつよ み (ス トレングス) に注 目したが、援助 困難 の評価 ・アセス メン トに活用すべ き視点である。 ス トレングス とい う見方 もICFの概念 としての相互性 (表裏一体性) としてみるな らば、利 用者本人に困難の認識がある ことで、援助 を外部 に積極的 に求めよ うとす る動機 になるが、 この 場合 の困難はス トレングス とな る。援助者の側 の弱 さがス トレングス となる こともある。 自身の 力量の限界 を知 っている ことで、 自分で何か ら何 までや ろ うとせず、 さまざまな社会資源 の助け を借 りつつ、 ネ ッ トワー クの一員 として機能す る という姿勢 を獲得す ることにもなるO 援助 困難の分析枠組み として、ライ フモデル とともにICFの活用 も試みてい く価値があろう。 (3)環境の問題か ら政策への プロセス 岡田は、支援 困難 に関す る調査結果 を、 ひ とつは 「解決のための ワー クシ ョップ」 に、ひ とつ は公民の協働研究体制 による生活支援 システムの検 討あるいは提案 という 「政策提起」 に活用 し よ うと試みて いるO 「解決 のための ワー クシ ョップ」 には、従来 のタイ プの事例検 討会 あるいは ケースカ ンファレンス に とどま らな い環境や システムへの視点が提供 され るであろ うO政策検討 にお いては、困難 を分類す るだけでは政策 は導かれて こな いのであ り、分析 の結果 を政策 にいか し、発展 させ る道筋、 プロセスが検討 されなければな らない。 当然、環境 に存在す る問題 の分析の視点は多様である。 まず、社会資源 としての社会福祉サー ビス 自体 の問題 を見 る必要があるOニーズや利用者の困 難への適合、 あるいはサー ビスの利用要件や条件な どの問題、使 い勝手が悪 いことも困難 を助長 す るO利用者個 人の困難性 と関連づけてアセスメン トす る ことは、事業 自体や施設サー ビスが抱 えがちな硬直性 を排除 して い くことに役立つはずであるO また、その際に、社 会福祉施設サー ビ

(18)

西尾:「援助困難」 のみかた スを中心 に行われている福祉サー ビスの第三者評価や介護サー ビスの外部評価 の成果 を活用す る ことも可能である。 地域福祉権利擁護事業で明 らかになったように、サー ビスな どの社会資源は相互 に関連 してい る。他の資源が充実することで権利擁護事業 自体が担 う領域が相対的に小さくな り、そのために 援助困難性が軽減することがあ りうる。サー ビスを体系 (システム)として考察する必要がある。 当然、その時点でサー ビス資源が決定的に不足 している、存在 しないという状況がある場合は、 資源開発が期待 されるo地域福祉 においてイ ンフォーマルの資源 の醸成が言われ るのは こうした 資源の不足 と同時に、専門分化 による弊害の除去、包括的な支援への期待があるためであろう。 援助者側の環境 について も、本人の問題、援助者の専門性、援助機関の問題、援助者の連携体 制づ くりなどのシステムの問題 として理解することができる。 そ こでは、まず援助者 としてのスキル ・専門性が問われることになる。一般的には、援助職の 専門性をクォ リファイするのが資格 (ライセ ンス)制度であ り, 日本 においては、 「社会福祉士」 がソーシャル ワーカーの国家資格 となっている.その取得度 によ り一定の専門性の評価基準 とす る場合、福祉事務所の生活保護の現業員 (ケースワーカー) のうちわずか2.8%しか社会福祉士 を取得 していない現状は、やは り援助者側の環境の問題の典型である(1㌔ 厚生労働省は、 「処遇困難ケース等 については、ケース診断会議 を積極的 に活用す る等、所長 等幹部職員、査察指導員、現業員等全職員が一体 となって、問題解決 に取 り組む体制 を確保す る よう指導すること。」 (】6'な どとしているが、 これ まで検討 してきたよ うに、所内の体制確保だけ で解決が図れるわけではないo また今 日の問題は和気 によれば 「介護支援専門員に対 して適切な助言やスーパー ビジ ョンを行 う者 も限 られてお り、介護支援員が孤立感 を深めている ことが指摘 されている。何よ りも危倶 さ れるのは、 これ まで相談の要 となってきた行政の 『ケアマネへの丸投 げ的』 な態度 に対す る困惑 が相当数認め られ る」 〔17実 態であるO この指摘 の前者部分 については、2006年の介護保険法改 正の際に、地域包括支援セ ンターの機能 として実態はともか く制度上位置づけ られてはいるO後 者の問題 については、福祉サー ビス全般が利用制度 とな り、行政の役割および責任領域が不明瞭 にな り、行政改革の流れ とあいまって縮小 し、霧消 しつつある可能性 を否定できないO 制度変化の流れの中で、社会福祉の総合的な政策形成、計画づ くりのプロセスにおいて、利用 者の生活実態やニーズや援助サ- ビス、援助者の感覚か ら離れて しまわないためにも、本稿で試 みたライフモデルの分析枠組みの活用の検証をさ らにすすめていく必要があろう。 おわ リに これまで、 さまざまな援助職が直面する 「援助困難」 について、 ライ フモデル ソー シャル ワー クの分析枠組みを設定 し、沖縄県 における地域福祉権利擁護事業の 「援助困難」 の現状 について の分析を試みた。そ こでは、利用者側 と援助者側の接点 に、本人の問題 と環境 にある問題の相互 作用の過程に援助困難が存在す ること、 またそれ らを客観視する ことが可能 とな り、実践面 にお いて、また政策提起 において一定の有効性があることが認め られた。その他の領域 において も分 類枠組みの活用の可能僅 を実践 しつつ検証 していくことが期待 され る。 さらに具体的な個別事例 を通 して、 「援助困難」 の全体像 を相互関連のシステムの中で明 らか にすることが必要であると感 じられるが、今後の課題 として稿 を改めたい。

(19)

-93-沖縄大学人文学部紀要 第10号 2007 注 (1)和気 純子 (2005)「高齢者ケ アマネ ジメン トにお ける困難 ケー ス :ソー シャル ワー クか らの 接近」 東京都立大学 人文学報Vol.21P99-121

(

2)

岡田 朋子

,

「生活 困難層への公 民協働 の生活支援 システムのあ り方研 究 一生括相 談機 能 を中心 と して-」 政策 の創造 と協働 のため の横浜 会議 第3回政策研究発表会,2006

(

3)

社会 的 な援護 を要す る人 々 に対 す る社会福祉 のあ り方 に関す る検 討会 「社会的な援護 を要す る人々に対す る社会福祉 のあ り方 に関す る検 討会」報告書 厚 生労働 省,2000年12月

(4)BradfordW.Sheafor,CharlesR,Horejsi,…Techn)quesandGuidelinesforSocialWorkPractice,

seventhedition…,2006,P日 6

(5)lFSW,"worldConference2006,IntemationalFederationofSocialWorkersProgramme,Munich, Gem any H2006

(6)carelB.Germ ainAlexGjtterman(1996)…TheLlfeModelofSocla)WorkPractice:Advancesln Theory皮Practice" columbiaUniv・Press,P25-60

(7)地 域福 祉権 利 擁 護事 業実 施要綱 (平成12年6月7日施行 、 厚 生省社 会 ・援 護局長)社援第 1355号 (8)地域福祉権 利擁 護事業は、2007(平成19)年4月か ら 「日常 生活 自立支援事業」 に名称変更 とな った。 本稿 にお いては、 旧名称が一般的 に浸透 してお り、 各都道府県社会福祉協議会 にお い て も従 前 の名称 を残 して いる ところが多 いため、従来 の事業名 を使用す る。 なお、社会福祉法81 条 にお いては、 この事業 につ いて 「福祉サー ビス利用支援事業」 と規定 されて いる。 (9)社会福祉法 人 沖縄県 社会福祉協議会 「平成19年度 社協 にお ける権利擁護 システム に関す る調査研究 委員会 中間報告書 ∼地域福祉権利擁護事業 (日常生活 自立支援事業) の現状分析 と今 後 の あ り方 に つ い て の 提 言 ∼ 」 社 協 に お け る権 利 擁 護 シ ス テ ム に 関 す る調 査 研 究 委 員 会 、 2007.10

(10)助 川 未 枝 保 「『援 助 困 難 』 ケ ー ス は つ く られ る」 CareCrltique総 合 ケ ア,医 歯 薬 出版 , 12(ll),2002、P8-41,

(ll)岩 間仲之、 「支援 困難事例 へのア プローチ(1

)

「援助 の本質」 へのい ざな い」介護支援専門員 7(3),メデ ィカル レビュー社,2005、P4-76,

(12)全 国民生委員 児童委 員連盟 「単位 民児協活 動 ガイ ドブ ック」 (第2章新 しい問題 への対応 と 相談援助 の心得 ・エチケ ッ ト、奥川幸子執筆)、2000

(13)ICFは、lntemationalClassificationofFunctioning、DisabilityandHealthの略称であ り、WHO (世界保健機構) が、 1980年 に発表 した障害 に関す る国際的な分類 の試案IC IDH (国際 障害分類)の改訂版IC IDH- 2として検 討 され、フィール ドトライ アルや国際的議論 を経て、 最終草案 が提 出 された2001年5月 にスイ ス ・ジ ュネー ブでひ らかれ た第54回世界保健会議 にお いて承 認 された。 (14)世 界 保 健 機 構 (W HO) 『ICF 国 際 生 活機 能 分 類 一国 際 障 害 分 類 改定 版 -』 中央 法 規,2001

worldHealthOrganization "TowardsaCommonLanguageforFunctlOn)ng,Disabi)ityandHea一th-1CF ◆`2002、 WHO(世界保健機構) ホームペー ジ h什p://www3.who.int/icf/

(15)「福祉事務所現況調査」厚 生労働省社会 ・援護 局総務課 (平成16年10月1日現在) (16)社会 ・援護局 関係主管課長会議 資料 平成19年3月5日 (月)社 会 ・援護局総務課指導監査室

「平成19年度 にお ける生活保護法施行事務 監査 について」

(20)

Methods of dealing with difficulties in the support process

From research on community-based advocacy programs in Okinawa prefecture 2007

Atsushi NISHIO

Abstract

Most social workers experience various difficulties in support and intervention processes with their clients.Itis inevitable for social workers to develop methods to alleviate such difficulties.

The purpose of this study is to present an effective framework for analyzing these difficulties. In order to analyze difficulties in the support process, we introduce two social work frameworks. One is the basic model of "the planned change process" between clients and social workers.

The other is the life model assessment framework which is able to classify the degree of fit between human needs and environmental resources based on the PIE (person in environment) perception.

Using these life model assessment frameworks for analyzing the outcomes of research on community-based advocacy programs in Okinawa prefecture 2007, we have clarified some reasons for the difficulties between clients and social workers, interactions between problems and tasks of policy making.

Itis considered important for social workers to secure their position regarding difficulties in providing support comprehensively and objectively, and also to utilize these frameworks for practicing social work or policy making. We need further studies on the effectiveness and potentiality of these frameworks.

Keywords: supporting difficulties, life model social work, community-based advocacy programs, community social worker, ICF

図 1 ソーシャル ワーク実践の統合 された見方 Anl nt e gr a t i veVi e wofSo c i a lWor kPr a c t i c e
図 3 1C F の構成要素間の相互作用 ( l CF 2001 :17)

参照

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