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健康文化 38 号 2004 年 2 月発行 1 随 想

3度目の転機

佐々木 教祐 この3月で永年勤めた名古屋大学を定年退職することになった。39年の長 い研究生活は「分子の立体的なかたち」を求める旅のようでもあった。これを 機会に私の研究の転機について振り返ってみた。私の研究の出発点は、天然有 機化合物の構造決定をしていた平田義正教授の研究室でした。先輩の中には「ふ ぐ毒」の構造決定、すなわち、ふぐの毒の分子は炭素、窒素、酸素、水素原子 からできていますが、それらがどのように繋がって出来上がっているかを決め る研究をしていました。研究室にはふぐ毒を含むふぐの内臓が下関からドラム 缶で送られて来て、平田先生自ら大きなカラムを使って毒を抽出しておられた のを思い出します。1つの未知物質の構造を決定するには、構造が複雑になる と100グラムを越える量が必要になるからです。私の最初の構造決定は薬用 植物であるナルコユリの未知の色素成分でした。純粋な色素を取り出し、その 色素に試薬を加え、分解してできた沢山の化合物の構造を決定し、それをつな ぎ合わせて元の構造を求めました。そのころ京都で国際学会が開かれ、ふぐ毒 の構造発表が平田先生のグループも含めて3件あり、3件の研究が独立にその 頃はまだ珍しかった X 線解析法で決めた構造を基にして同じ構造を発表しまし た。この X 線解析では解析に適する結晶が1個あれば、その分子の立体構造が 分かってしまうという方法で、これが私には大きなショックとなり、研究のや り方を X 線解析を使う方法に大きく変換させました。これがわたしの最初の転 機です。 この頃は、物質は純粋になっているがまだ構造の分かっていない植物成分が たくさんありましたので、関西学院で X 線解析を習得された坂部知平博士とと もに多くの構造を解明しました。ユズリハの木の皮や実などが含むアルカロイ ド成分、秋に赤い実を付けるマユミのアルカロイド成分、クサギの紫色の実の 色素など10個以上の新物質の構造を報告できました。これには私が新しく開 発した直接法のコンピュータプログラムが大きな威力を発揮しました。純粋な 物質として単離されている構造未知の物質は急速に少なくなり、研究は微量成

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健康文化 38 号 2004 年 2 月発行 2 分の探索の方向に進んでいきました。これを機会に 1974 年から 1975 年にかけ て糖尿病の薬として知られるインスリンの構造をホジキン教授とともに解明し たブランデル博士がイギリスのサセックス大学に移られたので、そこへ留学を させてもらいました。これが2回目の転機になります。 有機化合物分子は水素原子を除くと原子の数が多いものでも50個程度です。 それに比べるとタンパク質はその100倍の原子を含んでおり、その立体構造 は X 線解析以外の方法では決定できません。またタンパク質の X 線解析を使っ た研究は生まれて間もない新しい分野で、その機能は立体構造の解明により明 らかにすることができます。X 線解析を自分の研究の中心に据えていくにはタン パク質の構造解析以外にないと思われました。 ブランデル博士のところでは、インスリンと並んでよく知られている膵臓ホ ルモンのグルカゴン、すなわちインスリンが血糖値を下げる作用を持つのと反 対に血液の中の糖の量を増やすメッセージを運ぶ役目をするものですが、この グルカゴンの構造を幸いにも解くことができました。また論文に書かれていな い基礎的なやり方も学ぶことができました。 日本に帰ってからは漢方薬の未知成分の構造を解明する一方で、インスリン の構造を詳細に解明する研究を坂部博士夫妻とともに進めていきました。この 頃、名古屋大学にも大型計算機センターができたのを機に、プログラムライブ ラリーの整備、構造データベースの整備、ユーザ相談や運営にも関わるように なりました。我々のグループ3名の役割分担をデータ測定と測定機器の開発、 タンパク質の生化学と結晶の作成、データ解析とコンピュータ処理の3つに分 けましたが、私はコンピュータ処理関連分野を担当しました。インスリンの研 究を通してオックスホード大学のホジキン教授、北京の生物物理研究所のリャ ン教授との交流が行われ、それぞれが進めている詳細な構造の比較が行われま した。 坂部博士が筑波の高エネルギー物理学研究所に移り、シンクロトロン放射光を 使った強力 X 線を使ってデータ測定する機器の開発を行い、私はコンピュータ 関係の部分の整備を進め、国内外の研究者の多くがデータ測定に訪れました。 いまゲノム新時代を迎え、コンピュータの計算スピードは2年で倍になると いう驚異的な速度で発展し、X 線解析をしたことのない生化学者がタンパク質の X 線解析をする時代になりました。 X 線解析の最盛期を迎えている今、定年と 共に次の転機が来ているようです。 (名古屋大学大学院環境学研究科教授)

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