酸化亜鉛電子写真感光層の光減衰に対する実験式
(1977.12.13受理)徳 永 一 美*・安 西 正 保*・土 井 哲 夫*
An Empiricol Equo↑ion for萱he Ligh↑Decoy Curve of↑he Zinc Oxide Eledropho奮ogrophic LoyersKazumi TOKUNAGA,Masayasu ANZAI and Tetsuo DOI
(Hitachi Research Lab.,Hitachi Lt(1.,Kuji−cho,Hitachi,Ibaragi) An empirical equation for the light decay curves of zinc.oxide electrophotographic(ZnO) 1ayers is suggested. In the relatively wide range from the initial value to a value about one third of the initial value,the surface potential of the ZnO_resin layers seems to conform to the equation V「=「Vf exp(一α∫2) where V∫:initial value of the surface potentia1, α:posltlveconstant・ The authors use this equation to quantitatively(letermine the degree of reciprocity law failure an(1to determine an intrinsic value for the photosensitivity of ZnO−resin layers. 1. 緒 目 酸化亜鉛をバインダー中に分散させた,いわゆる酸化 亜鉛電子写真層(ZnO層)の表面電位減衰特性は単純に CRを時定数とするExponential decayとならないこと は良く知られた事実である. 従来からこのようなZnO層の減衰特性を数式で表現 する試みがあり,現在2,3の実験式が提案されている. 井上ら1)は帯電中止後何秒か以後のZnO層の表面電 位は暗減衰・光減衰を含めて V=Vfexp(一為レ!孟) (1) ただし,Vf:初期電位 為:定数 によって非常によく表現しうることを見出している. これとは別に,飯田ら2)は理論的見地からZnO層の 光減衰について考察し,コロナイオンがZnO層表面に イオン吸着した後ZnO層中を拡散輸送されると考えれ ば輸送理論の関係式から(1)式を導き得ることを示し た. 山口ら3)は(1)式よりも実際の表面電位減衰特性によ く一致し,しかもある程度物理的意味を含めた実験式 *日立製作所・日立研究所 日立市久慈町大甕4926 1 (n一御)K 1 = ・孟+ (2) V”一郷 7ηC V「∫鶉¶ を見出した. ここでnはZnO層の非オーム性に関係する因子,窺は静電容量に関係する因子,K,CはそれぞれZnO層
の電気抵抗および静電容量に関係する定数である.すな わち感光層が示す電圧・電流特性を1=κ’V” (3)
により,また平板コンデンサに於ける式をQニCV励 (4)
によってそれぞれ非直線性を導入して(2)式を導いた. 近藤ら4)はAmick5)およびHauHe6)の理論を発展さ せると同時に,ZnO層の帯電面側より光を照射した場 合と裏面側より光を照射した場合について比較して,光 減衰初期はバルク放電が,その後は電極間放電が支配段 であると考えた7).理想的な感光体に於いては光減衰初 期にはv一鷲一喘〉2ノ (5)
ただし,N:毎秒生成されるキャリアの数 π:ドナー濃度 に従って表面電位が減衰するはずである8).これらの実験式,例えば(1)式などを実際のZnO層 の光減衰曲線に適用すると,光減衰開始後一定時間経過 後の表面電位減衰についてはよく現わすものの,光減衰 初期の状態については表現できないことがわかる.一 方,(5)式は理想的な感光体について理論的に成立つこ とは理解できるが,実際の感光体に於ける表面電位減衰 との対応は明らかではない. 筆者らは実際のZnO層の光減衰特性を検討した結果, 従来提案されている実験式でよく表現することが出来な かった,光減衰初期のS字型の肩の部分をよく表わす実 験式を見出した.また,この実験式を用いると減衰に及 ぼす各要因をまとまった形で表示することができること が分った.ここにその概要を報告し,相反則不軌の定量 的表現や感光体の固有感度についても付言する.
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5 玩2
李 卜2.実験手段
」 bρ ニ ↑ (a) 一∼ 辱 ↑ (一C)…1・9(卜κ,) 2.1 実験装置 ターンテーブル形の表面電位計を用いて,試料を帯電 後表面電位測定位置に停止させ,その状態で約5秒間の 暗減衰を経た後,光を照射した.光の制御はランプの過 渡特性の影響が入るのを避けるため,シャッタによる遮 光方式とした.全閉→全開の応答時間は10ms以内で, 表面電位計の応答速度が70ms程度であることを考慮 に入れると応答性は十分である. 光源には2,845。Kのタングステン光を用いた. 2.2実験材料 実験に供した材料は当所で試作した高感度ZnO感光 体(試料A)と市販の酸化亜鉛感光紙(試料B,C,D)を 用いた.試料AのZnO感光体はバインダにアクリル系 およびアルキッド系の樹脂を用い,ブロムフェノールブ ルーにより色素増減した材料である.以下の実験には主として試料Aを用いた.試料Aのレジン:ZnO比は
17.5:100(重量比)である. 5. 結果とその検討 5.1 露光曲線と従来の実験式との関係 ZnO層(試料A)を帯電して露光したときの光減衰の 状態について調べた,ごく一般的なVせ特性も含めて Fig.1に示す.(1)V冠曲線
縦軸に表面電位Vを横軸にオをとるとFig.1(a)に示 す如く露光曲線はS字形を示すことは良く知られた事実 である. (2)7=7,exp(一為〆丁) Fig.1(a)の曲線を今度は縦軸に1097を,横軸に (b)一π (d) _! Fiど.1 Variou5expressions of the light decay curve of the ZnO−resin layers with different scale of abscissa and ordinate. レ/7をとって書き直すとFig』・1(b)の曲線が得られる. このスケールでプロットしたとき直線が得られれば上記 実験式の妥当性が示されたことになる. (b)図から,光 照射直後は直線から大きくずれるが,一定時間経過後は よく直線にのること,言い換えれば(1)式の妥当性が示 される. この式では露光曲線のS字形の肩の部分は表現出来な いことがわかる. 1 _(π一窺)K 1 (3)一一 孟+ V”一錫 7nC I!∫π吻 一つの露光曲線についてはπ,吻,C,瓦硲は定数で あるからこの式は オ=:K・V「(魏一π)+K2 (6) と書直すことができる,(6)式を検証するには,実験曲 線上で(’V・,オ・),(72,∫2),(73,孟3)を7ゴが等比的,即ち 巧=レ/佑%と選べば,(6)が成立つとき 孟1オ3−622 K2= (7) 孟1十∫3−2云2 の関係が導かれる.(7)式よりK2の値が計算できて (6)式は 1・9(∫一K2)=1・gK・+(駕一n)1・g7 (8) の直線形に帰することができる9), Fig.1(c)は(8)式に従って(a)の曲線をフ。ロッ、トし たものであるが,この実験式でもS字形の肩の所,即ち 光減衰の初期は大幅に直線よりずれることがわかる.本 来,ZnO層の光減衰の場合のように上に凸の部分と凹 の部分を同時に含んでいる曲線については(8)式では表 現できない.(4)既一喘)〆
Fig.1(d)のように縦軸にv,横軸に孟2をとればほダ 直線となる.この式は光減衰の初期をよく表現するこ とがわかる.初期はよく実際の光減衰曲線を表わすが (2/3)1Vf以下では直線からはずれてしまう. 3・2 実験式γ=γ∫exp(一α¢2)の提案 (5)式より出発して,(5)式よりももっと広範囲で光 減衰曲線と合致する実験式を探したところ,縦軸に10gV を,横軸に〆をとって光減衰曲線をプロットすれば0.2 ∼0.3Vfまでの広範囲において直線となること,つまり 実験式として V「=V「∫exp(一α孟2) (9) を採用すれば光減衰の様子をよく表現しうることを見出 した.Fig.2に横軸を〆とした場合とレ/7とした場 合の10g Vの様子を示すが,興味深いのは実験値が(9) からずれ始めると今度は(1)式に従うという事実であ る.即ち
V二臨誹7)糠騨鞍)}(1・)
市販の酸化亜鉛感光紙についても同様にしてプロット した.}結果をFig.3に示す.市販感光紙についても (10)式がよく成立つことがわかる. 3.3 定数α,βの振舞 (10)式中のαおよびβが露光時の光強度1や初期帯 電電位’Vfにどのように依存しているかについて検討を 加えた.Fig.4は入射光強度1が異なる場合の表面電位 の状態で,Fig.4中の直線の傾き,すなわちαとβを 一500 一200 ロ と 罵一100 =: = の ぢ ⊆」 一508
謹 誉 oり ↓一20 一10 一5 Experimental value (abscissa:、「7) / 444 /
A ム ▲ 4 ム 光強度1に対してフoロットしたのがFig.5である. αはFig.5で直線によくのっており,実験式として は α=:α・11・86 (11) が得られる. βについてはデータが分散しているもののほ穿0.5の 傾きの直線を回帰直線とみなすことが出来る.データが 一500 一200 一100 冠 〕 ∼50 で ’;: ニ9
0 ・一20 α8
謹 一10 誉 の o ▲ ●C
AbscissaKind・fpaper12Vσ
A o ● B △ ▲ C ロ ■ Light Intensity:10〔lux〕B
A
B
C
A
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.o Experimental value (a,bscissa.:’2) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 −Time〔s〕 ∫2,π Fig.2 Coincidence of light decay curve of the ZnO−resin layer with V=7∫exp(一αオ2)an(i V「ニ7,exp(一βレ!一『) 0.5 1・0 1.5 2.0 2.5 π Fig.30 1 2 3 4 5 6 7,2
−Time〔s〕 Light decay curve of the ZnO−resin coated papers with the view of coincidence with the empirical equations of7=V∫exp (一α∫2)and VP=1V,exp(一βレ!7). 昌一500 ピ 冠 コー200 ⊆ の さ 亀一1008
説 碧 一50 あ↓
一20 一10 ¥¥ \ ¥ ¥¥ ¥\ ¥ ¥ ¥ \ 4.8 ¥ ¥ ¥ \ ¥ ¥ ¥¥¥ \\\1よ31益3⑨4\\
32.5 ¥ \ \ 4.8 6.4 32.516.311・3hne abscissa
‘2 一一一一 π 0.5 1.0 1.5 −Time〔s〕, ∫2&4「ガ Fig.4 Light decay curve with different inten− sity of incident tungsten lamp.ばらついているのはこの領域が低電位であって測定精度 がよく出ないのと残留電位の影響を受けているものと思 われる.βに対する実験式としては 20 10 隻 5 冥
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↑21
0.5 0.2 0.1 0.05 β=・β011/2 (12) が得られる. ∼ 定数αおよびβが初期帯電電位Vまの影響をどのよ うに受けるかについて検討した.その結果をFig.6に 示す.Fig.6における直線の傾き,すなわちα,βをV∫ に対してプロットした結果をFig.7に示す.Fig.7の / ★ ノ1!
!★β ★/ !★】hc.=0.5
ノ / !★ ノ 埼 ! ! 埼 α Inc.=1.86 α二α。r・86 β=β。P5 20 15 曳 ♂↑1。
5 α!二4.00
★ β / ★ ____一一__一一・一噛』一一一一一 ★ ★ 叉α0
100 2QO 300 400 500 (a)一防〔V〕
12 51020 50100
−L噛ht Intehsi重y〔lu幻 Fig.5 Dependence ofαandβon light lntenslty. 一500 〔一200 ン ご魯ヨ00
① o q ① ⇔ d ㎏』 コ o弓 1 , 一50 一20 一1σ 一5 一2 lightintensity:8.75〔lux〕 parameter:罵〔V〕 m sample:A line abscissa ∼2 π ¥ ¥ \ ¥¥ \¥ 雛¥亀¥1¥¥¥\¥ ¥ ¥\¥曾 ¥¥¥¥¥
¥¥¥¥¥\¥\¥¥◇¥¥¥¥¥梅
弱が¥、諭N難
¥49¥、123¥ 0.5 1.0 →Time〔s〕 ,π&診2 Fig.6 Light decay curve with different surface potential at the initial state. 105
◇ も 21
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0.5 0.2 0.1 αo与 0.02 o/
α一αノ=巌』2‘5{
αノ==4.〇一 ゐ=1.6×105 10 20 50 100 200 500 1000 一罵〔V〕 (b) Fig.7 Dependence ofαandβon V,. In Fig.7(b),(α一α,) in Fig.7(a) is plotted against Iog V「’.>一500 ご .由 芒 の ぢ一200 α
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説一100 弩 の ↓』500 sample:A data / 〆 o 。 1.231ux ’ / 16.31し以 data 臥/ ﹄¥ ¥¥ \な 、 y=玩exp(一α∼)y=1委exp(一βπ)/ 、 0 1 2 3 4 5 一∼2 0.6 0.7 0.8 →・7 50 20 10 50 32.51ux 20 0.8751ux ¥奴 10 −200 ¥¥ ム¥ 、昼、 、△、 一100 0 1 2 3 4 5 0.5 0.6 0.7 一心,2 一一)「1 −Time〔s〕 Fig.8 Some examples which show disagreement between experimental data and the empirical equatlons. 結果より織瓢5}
が得られる, 3.4実験式からのずれ (1) V=・V’exp(一α云2)からのずれ (13) 光強度の弱い場合(2.51ux以下)では光減衰の初期に おいて実験式からのずれが観測される.結果をFig.8 に示す.51ux以上の光強度に対してはこのようなずれ は認められず,Fig.4におおいて露光直後よりよく直 線上にのる.照射光強度の弱い場合には暗減衰の影響を 無視することが出来なくなるためと考えられるが,はっ きりした傾向を把握するには至っていない. (2) 1V=7f exp(一βレ毎)からのずれ 光強度が強い領域に於いては,この実験式よりずれて いく傾向がある.Fig.8にその例を併記しておいた, この原因についてはあまり報告例もなく,原因もよく分 らない.4.考
察 酸化亜鉛の光減衰で光照射直後に見られるS字形の肩 の部分をよく表わしているのは近藤らが導いた(5)式以 外には見当らない.(5)式はZnO層のバルク帯電が光 を照射することにより電荷を放出していくものという仮 定から導かれたものである.光減衰初期において(5)式 が成立することはバルク放電説を裏付けるものであろ う. (5)式と本報告で提案した(9)式がどの範囲まで実際 coincident with exp(一α’2)←一 1
with(L牡ん’2) 1 _500一 →: Ic・incidentwithi、 L璽π)
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