Title
多文化社会の中のCDCs (1)アジア系CDCsの活躍
Author(s)
小野, 啓子
Citation
地域開発(360): 17-26
Issue Date
1994-09-01
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/10024
Rights
日本地域開発センター
-特集・都市再生に挑戦する
多文化社会の中の
CDCs
(
1
)
アジア系
CDCs
の活躍
サンフランシスコとその周辺では、アジア系、 ヒスパニック系、アフリカ系など、実にさまざ まなエスニック・グループ (民族集団)のコミュ ニティが形成されている。その文化・社会的な 特性を背景としながら、独自の活動を展開する アジア系CDCs
を紹介する。1
.
チャイナタウンのC
D
Cs
-エイジアン ネイパーフッドーデザイン AsianNeighborhood Design, A.N. D (1)設立:1
9
7
3
年 (2)スタッフ数 フルタイム4
5
人 +パートタイム、 ボランティア (3)主な活動 建築サービス、不動産開発、職業 訓練、家具の製作販売等 ①非営利の建築設計組織 サンフランシスコ市チャイナタウン地区を拠 点としながら、 ベイ・エリア (サンフランシス コ湾岸地 域)一体に活動地域を広げている「エ イジアン ・ネイパーフ 7ド・デザインJ
(以下、A
N
.
D
.
)は、1
9
7
3
年にカリフォルニア大学パー クレー校建築 学科のアジア系の学生たちが、自 らの育ったチャイナタウンの環境改善を目指し1
7
計画技術研究所 小 野啓子
て設立したCDC
である。当初、 学生 た ち の ボ ランティアでスタートした組織だったが、現在 ではフルタイムの有給スタッフが4
5
人を越え、 ちょっとした企業並みの組織に大きく成長した。 ベイ ・エリアの低所得者コミュニティの住環 境 改善を目標に掲げるA.N
.
D
.で あるが 、こ
の組織の特性は、内部に建築デザイナーを抱え、 自組織の住宅開発だけではなく、他の非営利組 織の住宅やコミュニティ施設プロジェクトの建 築 計 画・設計を請け負う、いわば非営利の「建 築設計事務所J
であることである。 後述するチャイニーズ ・コミュニティ ・ハウ ジング ・コーポレーション(
CC
H
C
)は、チャ
チャイナタウンのー函にある作業所だった建物を改装し た A.N.D.のオフィス。震近、より広いオフィスに移 動した。地
域開発
94・9多文化社会の中のCDCs レジデンシャル ホテルを改築して32戸の低所得者住宅 としたスイス アメリカンーホテル。建物はCCHCの 所有で、A.N.Dが建築を担当した。 1階には民間のテ ナン卜を入れ、維持費を補っている。 スイス アメリカン・ホテル内部。キッチンや廊下等、 あちこちに用いられている。 イナタウンを中心に活発な住宅供給を行うもう ひとつのCDCであるカf、CCHCカfレジデ、ン シャル ・ホテル1)を買い取り、低所得者向け住 宅として改築した「スイス ・アメリカン ・ホテ ル 」 の 計 画 ・設計は、 A.N.Dが「建築家」 として請け負っている。32戸のユニ 7 トを持つ このホテルの共用部分は淡いパステルカラーを
地
域開発
94・91
8
A. N. Dのデザイン 製作によるコンパクトな家具は、 ぺイ エリアの低所得者向け住宅で多用されている。高 級志向の家具も手がけ、事業的に大きな成功を収めてい る。 基調色とし、あちこちに“シェルター"を象徴 するデザインモチーフが用いられている。廊下 が暗い空間にならないよう、ラウンジとの問に 窓を設けたり、掃除などの維持管理に力を入れ たり、「たとえローコストでも居住者が自分の 住まいに誇りを持つで快適に暮らせることが大 切 で す か らJ
と、A.N.D.のスタッフで設計 者の中国系アメリカ人、ハリー ・ウォン氏は言 う。A.N.D.が こ れ ま で に 設 計 に 関 与 し た 低 所得者向け住宅は、総数で1
,0
0
0
戸に及び、ベ イ・エリアを越えて全米に知られるCDCとなっ マ > ,~。 A.N.D.は、住宅以外の分野で活動する非 営利組織とも積極的に連携し、建築的なサーピ スを提:供している。サンフランシスコにあるア メリカで最初のエイズ患者専門のホスピス「カ ミング・ホーム ・ホスピス」は、A.N.D.の 計画 ・設計による。女性のアルコール中毒患者 とその子供たちのためのセンターである「ウイ メンズ ・アルコホリズム・センター」、同じく アルコール中毒患者のための宿泊施設「セント ・ヴィンセント ・デ・ポール」、育児所、オフィ ス、教室、 診療所や、レクリエーション ・セン ターなどの計画・設計も手懸け、非営手JIの「建 築設計組織」としての実績は幅広い・。 ②家具の製作・販売と職業訓練プログラム A.N.D. のユニークな取り組みであるもう ひとつの事業は、 地域の青少年の職業訓練とドッ キングさせた家具のデザイン、製作、販売事業 である。1984年に開設された約 1,000m'の家具 工場では、A.N.D.がデザインした家具の製 作と同時に、技術や職を持たない青少年の技術 的訓練が行われている。ここでは年間3
5
人程度 が訓練を受けるが、その多くは高校中退者で、 限られた雇用機会しかない若者たちである。こ のプログラムを通して、熟練した家具職人の指 導を受け技術を取得するとともに、きちんとし た雇用経歴を得ることができるため、その後は 7割が高校に復学したり、正式な雇用を得て社 会に出ている。 A.N.D. は当初、チャイナタウンという特 殊な高密住環境で最小限の住空間を有効に使う ためのコンパク トな家具の製作を手がけ、チャ イナタウンの住民に低廉な仙i
格で貸し出した。 これが次第に発展し、 他のベイ ・エリアの非営 利組織が供給する低所得者向け住宅やホームレ ス・シェルターに設置するための家具を受注す るようになり、本格的な販売ルートにも乗るよ うになった。 この新しい「ビジネス」の成功により A.N. D.の事業収入は大きく伸び、た。1980年代の半 ばには予算の半分近くを公的助成に頼っていた のが、助成金額の伸びにもかかわらず、 1991年1
9
多文化社会の中のCDCs にはA.N.D.年間収入の17%に過ぎない。建 築サービス他の事業による収入が72%と最も大 きく、他に寄附金が7%を占めている。 ③多言語によるサービスの提供 サンフランシスコのチャイナタウンには約1 万人の人口が居住しているが、その半数以上が 英語をほとんど解さないモノリンガルの住民で ある。これは英語を解さなくても生活できるほ ど、密度の高い中国系コミュニティが形成され ているということでもあるカ人 A.N.D. は、 「住宅相談センター」を開設し、居住者や家主 に対するカウンセリンク'を多言語で、行っている。 広東語、中国語を話すスタッフを配置している 他、 英語と中国語で、各種のパンフレγ トを作成 し、「借家人の居住権Ji家主に修繕を要求する 手順についてJi地震への備え」などの情報を 住民に提供している。特に近年はA.N.D.の 活動地域がベイ ・エリア全体に広がっているた スイスーアメリカン ホテルに住む、中国系の一人暮ら しの高齢者。英語はほとんど話せず、広東語を話す。地域開
発
94. 9多文化社会の中のCDCs め、中国語だけではなく、スペイン語などを含 めた多言語での情報提供を行う必要性が高まっ ている。 A.N. D は、その豊富 な 経 験 を 賀 わ れ、サ ンフランシスコ市から南へ2時間ほど下ったス トック トン市のカンボジア難民コミュニティで の住環境改善と、居住者による建物取得の支援 を進めていた。8
0
年代、約3
万人のカンボジア 人コミュニティが急速に形成されたストックト ン市では、まだ自前のCDCsが育っておらず、 住環境改善のための資金も不足している。 しばらく前の話になるが、 1992年のクリント ン政権の発足に際しては、全米から 30の非営利 組織の代表が招かれ、政府と非営利セクターが どのように協力しあい、都市コミュニティの再 生をはかっていくべきかについて発言を求めら れた。参加者の一人としてA.N.D.の代表、 モーリス ・リム ・ミラー氏は、 全国の最低所得 地域において非営利組織が行ってきた住宅、 保 健、福祉、雇用などの面での経験と実績を強調 した上で、「アイディアはすでに提示され、有 効であることも証明されている」と述べ、まっ たく新しい政府プログラムではなく、 CDCs等、 非営利組織の活動をモデルとした財政的、技術 的、社会的な支援こそ最も必要であり、効果的 だと訴えている。地域開発
94.920
.チャイナタウン・リソースーセンター Chinatown Resource Center. CRC (1)設立:1
9
7
7
年 (2)スタッフ数;フルタイム6
人十ボランティア 3~5 人 (3)主な活動 プランニング、アドポカシ一、 住 民の組織化等 ①チャイナタウン・コミュニティの危機 サンフランシスコのチャイナタウンはアメリ カではニューヨークに次ぐ規模を誇り、歴史的 には最も古い「観光名所」であるが、同時にサ ンフランシスコとその周辺に住む数万人の中国 系市民にとって欠くことのできないビジネス、 生活、文化の中心であり、日常的に約1万人の 人口が暮らす高密度の者1I市コミュニティの街で もある。 人口の9割以上は中国系、単身世佑=率は4割 以上と極めて高く、高齢者世付;:が多し、。世常収 入は低く、その中間値は市全体の中間所得の半 分にも満たない。住民の9割近くが借家に住み、 その6割以上がレジデンシャル ・ホテルの居住 高層ビjレが接近するチャイナタウン地区。チャイナタウン近くに立地し、
CRC
とCCHC
が同居す るオフィス。一階と半地下を利用している。 者となっている。 小規模な商府や安い家賃の住宅が多く「都市 の中の者1I市jといわれる独特のコミュニティと 都市空間を形成してきたチャイナタウンである が、同時にサンフランシスコ経済の中枢である ダウンタウンに隣接し、最も開発圧力の高い了 地条件にあった。しかも、ゾーニングでは商業C
R
C
(プランナー)とCCHC
(デイペロッパー)の役 割分担と連携を説明するスタッフのイレーネ ディック 氏。2
1
多文化社会の中のC
DC
s
オフィス内部 地域に指定されていたことから、 60年代から70 年代にかけ、ダウンタウン地区の拡張とオフィ ス化の波をまともに受けた。低家賃の住宅や小 規模事業者は、大資本をパックにした開発に対 してまったく非力な状態で、チャイナタウン ・ コミュニテイは存続の危機にさらされた。その 様相は、ちょうどバブル経済の真っ只中で、大 手町や丸ノ内に至近距離の神固などの伝統的な コミュニティが、激しい開発の波にさらされた 状況と酷似している。 こうした状況の中で、チャイナタウンの用途 地域指定を見直すコミュニティ ・プランをつく り、最終的には市の協力を得て用途地域の見直 しを実現させた運動の要となったのが「チャイ ナタウン ・リソース ・センターJ
(
C
R
C
)
であっ た。 ②コミュニティベースのプランナーC
R
C
、もしくは「華樽改進協力助社」は、 1977年、チャイナタウン地区で個別に交通や住 宅、オープンスペースの欠如などの問題に取り 組んで、いた既存の地域グループがまとまり、サ ンフランシスコ財団の資金提供を受けて設立さ地域開
発
94・ 9多文化 社会の中のCDCs 観点からもカリフォルニア大学パークレー校の 協力を得、従来の用途規制のままで開発が進む とチャイナタウンの特性は失われてしまうこと を強く主張している。87年にはこのプランに基 づき、市によるゾーニングの見直しが行われた。 結果はサンフランシスコ市のマスタープランに も反映されている。 この他にも、チャイナタウンの交 通整備やオープンスペース問題、チャイナタウ ン・コミュニテイの声を代弁するアドボカシー を積極的に行っている。住民の組織化、技術的 支援、土地利用計画づくり、コミュニティと行 政や民間とのつなぎ役など、チャイナタウンの コミュ二ティーハウジング コーポレーション
C
R
Cは
、 特性とニーズに応じたきめ細かいまちづくりを めざして活動している。 .チ ャ イ 二 ズ チャイナタウンの調査対象地域(前掲報告書より)C
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,CCHC
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醐
(1)設立 1978年W
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阻
;
C-2 (2)スタッフ数 フルタイム14人、ボランティア 5~10人 れた地域ベースの非営利プランナ一組織である。 「チャイナタウンの都市計画とゾーニング変 (3)主な活動住宅の修復、建設、維持管理、他 の非営利組織への技術支援等 更 に 関 す る 調 査J
(
1
9
8
6
年)は、C
R
Cにとっ
てこれまでに最も大きな活動成果である。コミュ ①コミュニティ・ ベースの住宅デベ口ッパー 70年代半ばにアメリカ連邦政府は都市部のコ ニティ自身が危機感にかられて立ち上がり、そ こに専門家が参加し、ゾーニングの変更を求め ミュニティ再生のための新たな助成プログラム を創設したが (コミュニティ総合開発基金:C
D
BG
)
、サンフランシスコ市では、この財源 を低所得者住宅開発のためにプログラム化し、 て激しくアドボカシー、運動を繰り広げる一方、 自ら土地利用調査、人口、世帯や住宅に関する 現況調査、交通、商庖の調査を行い、定期的な コミュニティ会議を聞きながら、コミュニティ ・ 新たな非営手JIの住宅開発組織の設立への助成も プランをまとめあげた。アーパンデザイン的な2
2
94. 9地
域開発
CCHC
が市有駐車場の空中権を借り、新築した3
0
戸の 低所得者向け高齢者住宅、ぺイサイド 工jレダリー ハ ウジング コープ。家賃補助が行われている。後ろに見 えるのは‘19
6
0
年代の高層公共住宅。CCHC
がサンフランシスコ市内で最も荒廃の著しいテ ンダ一口イン地区で開発したテンダ一口イン ファミリー ハウジング。アフオーダブルな賃貸住宅175戸。低所得 者住宅を使った開発税額控除としては、最大規模の開発 多文化社会の中のC
DC
s
進めることにした。この助成を活用して、C
R
C
は 低 所 得 者 住 宅 の 開 発 に 専 門 的 に 取 り 組 む 組 織「チャイニーズ ・コミュニティ ・ハウジング・ コ ー ポ レ ー シ ョ ンJ
(以下、CC
HC
)を
1
9
7
8
年 に設立した。 チャイナタウンでは7
0
年代の1
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年間に、1
, 000-1,5
0
0
戸の低廉な価格のアパートやレジデンシャ ル ・ ホ テ ル が 開 発 に よ り 失 わ れ た が 、CCHC
の 目 的 は ま ず 、 チ ャ イ ナ タ ウ ン の ア フ オ ー ダ ブ ルな住宅を維持・確 保 す る こ と で あ っ た。CRC
が チ ャ イ ナ タ ウ ン の 住 民 の 声 を 代 弁 す る ア ド ボカシー活動、住民の組織化、家賃規制など、 テンダ一口イン ファミリー ハウジングの中庭側。1 階には保育所等も設けられる。 である。 テンダ一口イン・ファミリーハウジングの2
寝室住戸。2
3
地域開発
94. 9多文化社会の中のCDCs CCHCのパンフレッ卜より。CCHCが所有、運営する レジデンシャル ホテルの共同キッチンの様子。 政策的な行政への働きかけを行う一方、CCHC は住宅開発専門のデイベロッパーとして、実際 に土地建物を買い上げ、修復や新築によってア フオーダブル住宅の供給、維持管理を行うとい う役割分担が、密接な関係を保ちつつ行われた。 C CH Cは、 92年現在、フルタイムのスタッ フ
1
4
人、ボランティア5
-
1
0
人で運営され、7
棟566戸の住宅を所有、うち 522戸を運営管理し ている。 CCHCの住宅プロジェク 卜の多く は修復で あるが、近年新たな建設プロジェクトも増えて いる。 91年に新築で完成した高齢者および障害者向 けの31戸のアフオーダブル住宅「ベイサイド ・ エルダリー ・ハウジング・コープ」 は、サンフ ランシスコ市所有の駐車場の上の空中権を借り、 斜面を利用した半地下の駐車場の上に住宅が建 設されたプロジェク トである。建設費は主に連 邦政府と市の住宅局から捻出され、 一般の銀行 や企業も融資を行っている。入居者は収入の30 %を上限とする家賃負担で入居することができ、 市の家賃補助制度の対象となる。地域開発
94・92
4
93年には、 市の駐車場の土地を活用した175 戸のファミ リ一向け低所得者住宅「テンダーロ イン・ファミリー ・ハウジング」を完成させた。 これには市、ナ│‘│からの無利子融資、銀行の低利 融資、民間の投資 (低所得者住宅税額控除を受 けられる)等で、 市の資金提供による保育所も l階に設置されている。2
.
新しいアジア系コミュニティの形成 -イースト ペイー工イジアン ローカル-ディ ペロップメント コーポレーション East Bay Asian LocalDevelopment Corp. (1)設立1
9
7
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年 (2)スタッフ数 フルタイム10人、パートタイム2
人他 (3注な活動.住宅開発、商業開発、アドボカシ一、 住民の組織化等 ①チャイナタウンの多様化 サンフランシスコ周辺には、伝統的なチャイ ナタウンだけではなく、多くのアジア系コミュ ニティが分布している。市内からベイブリッジ を渡った東側、オークランドのチャイナタウン は、 第二次世界大戦前から中国系や日系の移民 EBALDCのスタッフ。女性が多い。EBALDCのリーフ レツ卜より。が数多く暮らしてきた地区であったが、近年、 カンボジアやベトナム、ラオス、フィリピン、 韓国などからの移民が増え、これにアフリカ系、 ヒスパニック系などの住民が加わり、これまで になくコミュニテイの「多文化化
J
が進んでい る。なお、オークランド市の人口約3
5
万人に対 し、オークランド周辺に住むアジア系人口は12 万近くで、6
0
年代から3
倍に増えたといわれて いる。 このチャイナタウンの一角で「イースト ・ベ イ・ローカル・デベロップメン ト・コーポレー ションJ
(以下、 EBALDC)が、装飾豊かな歴 史的建造物であった空き倉庫を「アジア系リソー ス・センターJ
として再生し、同じ建物の中に オフィスをかまえている。 ②EBALDCの誕生 EBALDCは、オークランドのチャイナタウ ンで荒廃するままになっていた歴史的建造物の 空き倉庫を、アジア系コミュニティのための施 設として再生利用しようと学生や地域のリーダー たちが集まり、 1975年に設立された。 この6
,600m
2の建物を修復再生するプロジェ クトは発想から完成までに8
年の年月を要した が、現在は「アジア系リソース ・センター」と して、コミュニティに保健、医療、福祉、職業 相談などのさまざまな社会サービスを提供する 13の非営利組締め勺長合するオフィス ・コンプレッ クスとして利用されている。一部営利目的のビ ジネスにも市場価格でスペースを賃貸しており、 ここからあがる収益で非営利組織のオフィスの 賃貸料を下げている。1階にはコミュニテイの ための集会室や、アジア系の文化活動のための2
う 多文化社会の中のCDCs EBALDCの設立のきっかけとなった3階建の倉庫。美 しい装飾が施されている歴史的建造物である。再生後は、 オフィスやアジア系住民の文化センターとなった。 アート ・ギャラリーがあり、各種の展示が行わ れている。 EBALDCは、イースト・ ベイ地域のアジア 系コミュニテイの環境、文化、経済開発を通し たまちづくりを使命としている。新たな人口流 入が続く中、もっとも切実な問題は、適切な家 賃の住宅と雇用の確保であり、 EBALDCは次 第にアフオーダフゃル住宅の開発や小規模事業者 の支援に乗り出した。 ③地域のための不動産開発 「マドローン ・ホテルjはオークランドのチャ イナタウンの中心に近い4階建ての古いレジデ ンシャル・ホテルであったが、 9年間閉鎖され たまま放置されていた。EBALDCはこれを買 い取って修復し、 32戸の低所得者向け住宅とし て再生している。居住者には、アジア系の他、 アフリカ系やヒスパニックの住民もいるが、モ ノリンガルの中国系住民のためには、週2回広 東語を話すパイリンガルのパートタイム ・スタッ フが来ている。パス、 トイレは共同で、 l人向 け住戸が192ドル/月、 2人向け住戸は220ドル地域開
発
94・9多文化社会の中の