• 検索結果がありません。

山田信行著『グローバル化と社会運動――半周辺マレーシアにおける反システム運動』

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "山田信行著『グローバル化と社会運動――半周辺マレーシアにおける反システム運動』"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖. 山田信行 著. 『グローバル化と社会運動 半周辺マレーシアにおける反システム運動』 (東信堂,2019 年,A5 判,312 頁,2,800 円+税). 大畑 裕嗣. (明治大学文学部教授). 本書は,著者の著作群に位置づけると『世界システムの新世紀. グローバル化. とマレーシア』の主題に新たな側面から迫るとともに,アメリカ合衆国をフィール ドとした『社会運動ユニオニズム. グローバル化と労働運動の再生』にも対応し. ている. 『社会運動ユニオニズム』が世界システムの中核ゾーンにおけるグローバ ル化と労働運動の関係を問うたのに対し,本書は「半周辺」ゾーンにおける類似の 研究課題を扱った力作である.著者が多年にわたり継続してきた,このように骨太 の研究プロジェクトが「労使関係の歴史社会学」という一貫した問題関心に導かれ ていることはいうまでもない. 世界システム論の可能性を精力的に彫琢してきた著者は,本書においてもウォー ラーステインの反システム運動論の理論枠組みに基づき,半周辺社会マレーシアに おける社会運動の構造と動態を「民族解放運動」 (第 1 部) , 「労働運動」 (第 2 部) , 「新しい社会運動」 (第 3 部)に分けて分析している.第 1 部では「ヒンドゥー教徒 の権利行動隊」や「マレーシア社会党」を事例として,民族解放運動におけるエス ニシティと階級関係の複雑な関連が明らかにされる.第 2 部では労働運動の意外な 「弱さ」に注意が促され,運動の困難の背後には権威主義的で専制的な労使関係が あることが指摘されるとともに,労働運動が自らの弱さを克服するために模索する, 市民運動との連携の試みに焦点が当てられる.第 3 部は「新しい社会運動」として の環境保護運動について,参加者への質問紙調査も行いつつ,その可能性を探求し ている.以上の半周辺社会マレーシアにおける反システム運動の三相の分析から, グローバル化の中で半周辺社会の反システム運動にみられる「周辺性」と「中核 性」の共存,それゆえに半周辺社会が有する世界システムの「変動の苗床」として の可能性が結論として導かれる. 世界システム論という確立された理論図式に裏づけられた本書の叙述をたどれば, 評者のようにマレーシアの実情にうとい者さえも,そこで展開される社会運動につ いてそれなりにはっきりしたイメージを形作ることができる.世界の特定の地域を 研究する方だけではない社会学界の読者に向けて,社会運動に関する地域研究の成 果を説得的に示していくうえで,著者の書き方はよい手本になるのではないか.こ れと関連して,マレーシア社会の理解にとって不可欠と思われるエスニシティにつ いて,インド人,華人,マレー人という異なった担い手による運動間の複雑な関係 70(4). 434.

(2) をわかりやすく解きほぐして示す,著者の力量に感嘆した. 本書は分析概念として「新しい社会運動」を用いているが,現実の運動の叙述の 中では,当然のことながら「市民運動」 (civil activism)という用語も使わざるを えなくなる.マレーシアの文脈における「新しい社会運動」と「市民運動」の関連 布置(分析概念と実体概念というように単純に切り分けられるか)をどうとらえる べきか.また,本書では主に労働運動の側からみた市民運動との提携の可能性につ いて述べられているが,逆に市民運動のほうでは労働運動との提携についてどう考 えているのか.これらはほんの一例で,具体的な論点について,著者に教えを乞い たいことは数限りない. 評者は,この数年のあいだに,本書を含め,林真人『ホームレスと都市空間』 , 野宮大志郎・西城戸誠編『サミット・プロテスト』,富永京子『社会運動のサブカ ルチャー化』という, 「グローバル化と社会運動」に関連する何冊かの研究書を書 評させていただく機会を得た.本書の著者が編者の 1 人をつとめられた,本誌(65 巻 2 号)の特集「グローバル化と社会的排除に抗う社会運動」に収められた諸論考 なども含め,これらの研究はいずれもすぐれたものだと思うが,「グローバル化と 社会運動」に関するとらえ方が,研究者により,また具体的に扱われる運動により, 実にさまざまであることには驚かされた.別に難しいことをいうのではない. 「グ ローバル化と社会運動」に関する研究は,いまや世界的に行われているわけだが, その流れ(混沌?)の中でわれわれ日本の社会学徒は全体的に何を論じているのか を少し整理しておく必要があるのではないか.あらためて記しておく.われわれは なぜグローバル化と社会運動の関係に注目し,それについてどう書いてきたのか. 結局, 「グローバル化」とは何だったのか.その中で社会運動はどのようなものに なった(なりうる)のか. [文献] 林真人,2014, 『ホームレスと都市空間. 収奪と異化,社会運動,資本-国家』明石書店.. 野宮大志郎・西城戸誠編,2016, 『サミット・プロテスト. グローバル化時代の社会運動』新泉. 社. 富永京子,2016, 『社会運動のサブカルチャー化 山田信行,2006, 『世界システムの新世紀 ,2014, 『社会運動ユニオニズム. G8 サミット抗議行動の経験分析』せりか書房.. グローバル化とマレーシア』東信堂. グローバル化と労働運動の再生』ミネルヴァ書房.. 社会学評論. 70(4) 435.

(3)

参照

関連したドキュメント

私たちの行動には 5W1H

が作成したものである。ICDが病気や外傷を詳しく分類するものであるのに対し、ICFはそうした病 気等 の 状 態 に あ る人 の精 神機 能や 運動 機能 、歩 行や 家事 等の

自分は超能力を持っていて他人の行動を左右で きると信じている。そして、例えば、たまたま

たとえば、市町村の計画冊子に載せられているアンケート内容をみると、 「朝食を摂っています か 」 「睡眠時間は十分とっていますか」

「新老人運動」 の趣旨を韓国に紹介し, 日本の 「新老人 の会」 会員と, 韓国の高齢者が協力して活動を進めるこ とは, 日韓両国民の友好親善に寄与するところがきわめ

父親が入会されることも多くなっています。月に 1 回の頻度で、交流会を SEED テラスに

・マネジメントモデルを導入して1 年半が経過したが、安全改革プランを遂行するという本来の目的に対して、「現在のCFAM

私たちは、行政や企業だけではできない新しい価値観にもとづいた行動や新しい社会的取り