山田信行著『グローバル化と社会運動――半周辺マレーシアにおける反システム運動』
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(2) をわかりやすく解きほぐして示す,著者の力量に感嘆した. 本書は分析概念として「新しい社会運動」を用いているが,現実の運動の叙述の 中では,当然のことながら「市民運動」 (civil activism)という用語も使わざるを えなくなる.マレーシアの文脈における「新しい社会運動」と「市民運動」の関連 布置(分析概念と実体概念というように単純に切り分けられるか)をどうとらえる べきか.また,本書では主に労働運動の側からみた市民運動との提携の可能性につ いて述べられているが,逆に市民運動のほうでは労働運動との提携についてどう考 えているのか.これらはほんの一例で,具体的な論点について,著者に教えを乞い たいことは数限りない. 評者は,この数年のあいだに,本書を含め,林真人『ホームレスと都市空間』 , 野宮大志郎・西城戸誠編『サミット・プロテスト』,富永京子『社会運動のサブカ ルチャー化』という, 「グローバル化と社会運動」に関連する何冊かの研究書を書 評させていただく機会を得た.本書の著者が編者の 1 人をつとめられた,本誌(65 巻 2 号)の特集「グローバル化と社会的排除に抗う社会運動」に収められた諸論考 なども含め,これらの研究はいずれもすぐれたものだと思うが,「グローバル化と 社会運動」に関するとらえ方が,研究者により,また具体的に扱われる運動により, 実にさまざまであることには驚かされた.別に難しいことをいうのではない. 「グ ローバル化と社会運動」に関する研究は,いまや世界的に行われているわけだが, その流れ(混沌?)の中でわれわれ日本の社会学徒は全体的に何を論じているのか を少し整理しておく必要があるのではないか.あらためて記しておく.われわれは なぜグローバル化と社会運動の関係に注目し,それについてどう書いてきたのか. 結局, 「グローバル化」とは何だったのか.その中で社会運動はどのようなものに なった(なりうる)のか. [文献] 林真人,2014, 『ホームレスと都市空間. 収奪と異化,社会運動,資本-国家』明石書店.. 野宮大志郎・西城戸誠編,2016, 『サミット・プロテスト. グローバル化時代の社会運動』新泉. 社. 富永京子,2016, 『社会運動のサブカルチャー化 山田信行,2006, 『世界システムの新世紀 ,2014, 『社会運動ユニオニズム. G8 サミット抗議行動の経験分析』せりか書房.. グローバル化とマレーシア』東信堂. グローバル化と労働運動の再生』ミネルヴァ書房.. 社会学評論. 70(4) 435.
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